JP4153692B2 - ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロキシエチルセルロースの製造方法に関する。さらに詳しくは、増粘剤、乳化重合用安定剤、塗料、化粧品、分散剤、保水剤、保護コロイド等の種々の用途に好適に使用しうる半合成高分子化合物であるヒドロキシエチルセルロースの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシエチルセルロースは、通常、セルロースをアルカリで処理したアルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させることによって製造されている。
【0003】
前記反応により得られた粗ヒドロキシエチルセルロース中には多量のアルカリが残存しているため、残存するアルカリを中和する工程が必要である。
【0004】
残存しているアルカリを中和する方法としては、反応により得られたスラリー状態の粗ヒドロキシエチルセルロースに、該粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリに相当する量(モル)の酸(以下、当該量の酸という)を添加して中和を行い、その後、生成した塩を洗浄により除去する方法が知られている。
【0005】
しかしながら、この方法には、スラリー状態で中和を行うため、中和反応が均一に進行しやすいものの、残存するアルカリが多く、中和に必要な酸の量が多くなるため、工業的に好ましくないという欠点がある。
【0006】
一方、反応により得られた粗ヒドロキシエチルセルロースを予め反応溶媒、アルコール、水の混合溶媒で洗浄して大部分のアルカリを除去した後、洗浄後に残存しているアルカリを当該量の酸で中和を行う方法が知られている。この方法では、洗浄後に中和が行われるため、必要な酸の量は少量でよい。
【0007】
このようにして残存アルカリを中和したヒドロキシエチルセルロースは、乾燥して製品とされる。得られたヒドロキシエチルセルロースは、通常、1〜3重量%程度の水溶液として用いられる。この際に、水溶液がアルカリ性ではヒドロキシエチルセルロースが分解しやすいため、通常、得られるヒドロキシエチルセルロースの水溶液のpHは5〜8とされている。
【0008】
しかしながら、洗浄後に残存しているアルカリ量を正確に測定することが困難であるため、前記の中和を行う際に、強酸を用いると、中性付近でpHが急激に変化し、中和の終点を正確に判定することが困難である。その結果、得られるヒドロキシエチルセルロース中には、酸またはアルカリが過剰に存在する場合があり、その水溶液のpHも大きく変化する。このように、残存アルカリを強酸で中和して得られるヒドロキシエチルセルロースの水溶液のpHを、例えば、5〜8の範囲内にあるようにすることは容易ではない。
【0009】
したがって、これまでのところ、酢酸等の弱酸を用いて残存アルカリの中和が行われているが、弱酸は一般的に強酸と比べて高価であり工業的に不利である。さらに、酢酸は有臭であるため、得られるヒドロキシエチルセルロースにわずかでも残存すると臭気が残り、用途によっては使用することができないという欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ヒドロキシエチルセルロースを水に溶解させたときに所望のpHを有する水溶液を与えるヒドロキシエチルセルロースの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られる粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリを
(A)強酸を用いて中和する第1中和工程および
(B)弱酸を用いて中和する第2中和工程
によって中和するヒドロキシエチルセルロースの製造方法であって、前記第1中和工程において、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリ量の60〜90モル%を中和する、ヒドロキシエチルセルロースの製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本明細書にいう「粗ヒドロキシエチルセルロース」とは、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られるヒドロキシエチルセルロースをいう。
【0013】
本発明において、粗ヒドロキシエチルセルロースを調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、セルロースをアルカリ水溶液で処理して得られるアルカリセルロースをエチレンオキシドおよび反応溶媒と混合した後、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させる方法などが挙げられる。
【0014】
より具体的には、まず、セルロースをアルカリ水溶液で処理し、アルカリセルロースを製造する。
【0015】
セルロースとしては、例えば、シート状、粉末状等のコットンリンター、木材パルプ等を挙げることができる。
【0016】
また、アルカリ水溶液としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液等を挙げることができる。これらの中では、安価である観点から、水酸化ナトリウムの水溶液が好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常、10〜30重量%である。
【0017】
アルカリセルロースを製造する際のアルカリ水溶液の使用量は、スラリーの流動性を向上させ、セルロースとアルカリとの反応が局部的に進行するのを回避する観点および容積効率を向上させる観点から、セルロース100重量部に対して1000〜6000重量部、好ましくは2000〜5000重量部であることが望ましい。
【0018】
セルロースをアルカリ水溶液で処理する方法としては、例えば、浸漬、混合等の方法等を挙げることができる。
【0019】
より具体的には、セルロースをアルカリ水溶液に浸漬し、攪拌翼を備えた容器内で、通常、20〜50℃で20分間〜2時間程度混合してアルカリを作用させた後、加圧濾過して、アルカリ水溶液を圧搾除去する方法等を挙げることができる。
【0020】
次に、反応溶媒中で、得られたアルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させることにより、粗ヒドロキシエチルセルロースを得ることができる。
【0021】
エチレンオキシドの量は、目的とするエチレンオキシドの付加モル数によって決定される。通常、エチレンオキシドの量は、セルロースへの付加量を増大させ、ヒドロキシエチルセルロースの水に対する溶解度を高める観点およびヒドロキシエチルセルロースの収率を高める観点から、セルロース100重量部に対して60〜200重量部、好ましくは80〜180重量部であることが望ましい。
【0022】
反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。
【0023】
反応溶媒の使用量は、エチレンオキシドが局部的にセルロースに付加することを回避する観点および容積効率を高める観点から、アルカリセルロース100重量部に対して20〜800重量部、好ましくは20〜600重量部であることが望ましい。
【0024】
反応温度は、反応を促進させ、反応時間を短縮させる観点および反応が急激に進行するのを回避し、温度および圧力の制御を容易にする観点から、通常、30〜80℃、好ましくは40〜60℃であることが望ましい。
【0025】
なお、反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜15時間程度である。
【0026】
反応終了後、洗浄液を加え、余剰のアルカリやエチレンオキシドから副生したエチレングリコール類を除去する。
【0027】
洗浄液としては、特に限定されないが、余剰のアルカリやエチレンオキシドによって副生したエチレングリコール類を効率的に除去することができる観点から、反応で使用した反応溶媒に特定量のメタノールと特定量の水を添加した混合溶媒が好ましい。混合溶媒におけるメタノールの量は、通常、20〜60重量%であることが好ましい。また、混合溶媒における水の量は、通常、5〜30重量%であることが好ましい。
【0028】
洗浄液の使用量は、洗浄が十分行われないことを回避する観点および使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるのを回避する観点から、セルロース100重量部に対して、500〜7000重量部、好ましくは1000〜5000重量部であることが望ましい。
【0029】
上記のようにして粗ヒドロキシエチルセルロースが得られる。本発明においては、得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリを
(A)強酸を用いて中和する第1中和工程および
(B)弱酸を用いて中和する第2中和工程
によって中和する点に、1つの大きな特徴がある。
【0030】
すなわち、まず、第1中和工程においては、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリが強酸によって中和される。とりわけ、第1中和工程において、アルカリ量の60〜90モル%、好ましくは65〜85モル%を強酸で中和することが望ましい。
【0031】
したがって、第1中和工程における強酸の使用量は、その種類によって異なるが、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリ量の60〜90モル%、好ましくは65〜85モル%を中和しうる量であることが望ましい。
【0032】
このようにアルカリを予め強酸で中和しておくことにより、弱酸の使用量を低減し、工業的に有利にヒドロキシエチルセルロースを製造することができる。
【0033】
第1中和工程に用いられる強酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等が挙げられる。これらの中では、取り扱いやすく、臭気が少ない観点から、硝酸が好ましい。
【0034】
強酸は、通常、水溶液の状態で用いることができる。その濃度は、特に限定されないが、乾燥に長時間を要するのを回避する観点から、3重量%〜飽和濃度、好ましくは5重量%〜飽和濃度であることが望ましい。
【0035】
第1中和工程における粗ヒドロキシエチルセルロースの中和方法には、特に限定がない。中和方法としては、例えば、ニーダー等の攪拌混合機内に粗ヒドロキシエチルセルロースおよび強酸を仕込み、攪拌下で混合する方法等が挙げられる。攪拌下で混合する際の温度は、中和を円滑に進行させる観点および粗ヒドロキシエチルセルロースの分解を抑制する観点から、5〜35℃、好ましくは10〜30℃であることが望ましい。
【0036】
なお、中和反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することができないが、通常、10分間〜1時間程度である。
【0037】
次に、第1中和工程で中和された粗ヒドロキシエチルセルロースは、第2中和工程に供される。
【0038】
第2中和工程では、第1中和工程で中和された粗ヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリを弱酸によってほぼ完全に中和する。
【0039】
このように第2中和工程においては、第1中和工程で中和されなかったアルカリをほぼ完全に中和する際に、強アルカリと弱酸との反応により中和の終点をより正確にコントロールすることができる。その結果、得られた製品状態のヒドロキシエチルセルロースを水に溶解させたとき、その水溶液のpHは、5〜8の範囲内となる。
【0040】
第2中和工程に用いられる弱酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、リン酸、プロピオン酸等が挙げられる。これらの中では、比較的安価で、臭気が少ない観点から、リン酸が好ましい。
【0041】
第2中和工程における弱酸の使用量は、得られるヒドロキシエチルセルロース10gを水490gに溶解させて得られた2重量%水溶液のpHが所望の範囲内、すなわち、5〜8の範囲内、好ましくは5.5〜7.5の範囲内となるような量であることが好ましい。
【0042】
弱酸は、通常、水溶液の状態で用いられる。その濃度は、特に限定されないが、乾燥に長時間を要するのを回避する観点から、3重量%〜飽和濃度、好ましくは5重量%〜飽和濃度であることが望ましい。
【0043】
第2中和工程による粗ヒドロキシエチルセルロースの中和方法には、特に限定がない。中和方法としては、例えば、第1中和工程で中和された粗ヒドロキシエチルセルロースに、引き続いて弱酸を添加し、攪拌下で混合する方法等が挙げられる。攪拌下で混合する際の温度は、中和を円滑に進行させる観点および粗ヒドロキシエチルセルロースの分解を抑制する観点から、5〜35℃、好ましくは10〜30℃であることが望ましい。
【0044】
なお、中和反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することができないが、通常、10分間〜1時間程度である。
【0045】
かくして得られるヒドロキシエチルセルロースは、上記のようにして中和された後、常圧ないし減圧下で乾燥することにより、ヒドロキシエチルセルロースの乾燥品とすることができる。
【0046】
【実施例】
以下、製造例、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0047】
なお、実施例および比較例により得られたヒドロキシエチルセルロースは、以下の方法により評価した。
【0048】
(1)pH
ヒドロキシエチルセルロース10gをイオン交換水490gに溶解し、2重量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液を調製した。得られたヒドロキシエチルセルロースの水溶液をpHメーター〔(株)堀場製作所製、品番:F−12〕を用いて20℃の温度で測定した。
【0049】
(2)粘度(mPa・s)
前記(1)でpHの測定に用いたヒドロキシエチルセルロースの水溶液を、ブルックフィールド型回転粘度計〔東機産業(株)製、品番:BM型〕を用いて20℃、30rpm(No.4ローター)の条件で測定した。
【0050】
(3)透視度(cm)
前記(1)でpHの測定に用いたヒドロキシエチルセルロースの水溶液を、30cm用透視度計〔岩城硝子(株)製〕を用いて測定した。
【0051】
製造例
セルロースとして微細に粉砕された木材パルプ50gを20重量%水酸化ナトリウム水溶液2000gに浸漬し、5L容のフラスコ内で30℃で30分間攪拌混合してアルカリを作用させた。その後、加圧濾過して、水酸化ナトリウム水溶液を圧搾除去し、アルカリセルロース150gを得た。
【0052】
1L容のニーダーに、得られたアルカリセルロース150g、酸化エチレン75gおよびメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込み、引き続き同温度で30分間混合した後、50℃に昇温して3時間反応させた。
【0053】
次に、得られた反応物にメチルイソブチルケトン450g、メタノール450gおよび水100gからなる混合溶媒を加えてスラリーとした。得られたスラリーを数分間静置した後、粗ヒドロキシエチルセルロースを濾別した。
【0054】
さらに、濾別したヒドロキシエチルセルロースにメチルイソブチルケトン225g、メタノール225gおよび水50gからなる混合溶媒を加えてスラリーとし、前記と同様にして濾別した。この操作を2回繰り返し、粗ヒドロキシエチルセルロース198gを得た。
【0055】
得られた粗ヒドロキシエチルセルロース中の水酸化ナトリウムの残存量は、1.5重量%(74.3ミリモル)であった。
【0056】
なお、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウムの量は、粗ヒドロキシエチルセルロース4gを精秤し、これをイオン交換水100gに溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、1N塩酸で滴定し、使用した塩酸量から算出した。算出した水酸化ナトリウムの量を重量換算することにより、粗ヒドロキシエチルセルロースに対する量を求めた。
【0057】
実施例1
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸10.9g(51.9ミリモル、残存アルカリ量の70モル%)を添加して、20℃、15分間攪拌下で混合して第1中和工程を行った。
【0058】
引き続いて、第1中和工程で得られた混合液に、25重量%リン酸4.6g(11.7ミリモル)を添加して20℃、15分間攪拌下で混合して第2中和工程を行った。
【0059】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース77gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性として、水溶液のpH、粘度および透視度を前記方法に従って調べた。その結果を表1に示す。
【0060】
実施例2
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸12.3g(58.6ミリモル、残存アルカリ量の79モル%)を添加して、20℃で15分間攪拌下で混合して第1中和工程を行った。
【0061】
引き続いて、第1中和工程で得られた混合液に、25重量%リン酸4.6g(11.7ミリモル)を添加して20℃で15分間攪拌下で混合して第2中和工程を行った。
【0062】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース78gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0063】
実施例3
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸12.9g(61.4ミリモル、残存アルカリ量の83モル%)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第1中和工程を行った。
【0064】
引き続いて、第1中和工程で得られた混合液に、25重量%リン酸5.4g(13.8ミリモル)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第2中和工程を行った。
【0065】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース79gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0066】
実施例4
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸10.9g(51.9ミリモル、残存アルカリ量の70モル%)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第1中和工程を行った。
【0067】
引き続いて、第1中和工程で得られた混合液に、25重量%リン酸8.2g(20.9ミリモル)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第2中和工程を行った。
【0068】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース78gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0069】
比較例1
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、60重量%硝酸8.6g(81.9ミリモル)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して中和を行った。このとき、強酸(硝酸)の使用量は、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウムの量74.3ミリモルに対して1.10倍モル当量であった。
【0070】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース77gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0071】
比較例2
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、60重量%硝酸9.0g(85.7ミリモル)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して中和を行った。このとき、強酸(硝酸)の使用量は、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウムの量74.3ミリモルに対して1.15倍モル当量であった。
【0072】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース77gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0073】
比較例3
1L容ニーダーに、製造例で得られた粗ヒドロキシエチルセルロース198gを仕込み、25重量%リン酸24.2g(61.7ミリモル)を添加し、20℃、15分間攪拌下で混合して中和を行った。このとき、弱酸(リン酸)の使用量は、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウムの量74.3ミリモルに対して2.49倍モル当量であった。
【0074】
次に、減圧下で70℃で一昼夜乾燥してヒドロキシエチルセルロース80gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示された結果から、実施例1〜4では、強酸と弱酸とを用いて中和が行われているので、得られるヒドロキシエチルセルロースの水溶液のpHは、5〜8の範囲内にあることがわかる。
【0077】
これに対して比較例1および2においては、強酸のみを用いて中和が行われているため、強酸の使用量が少しでも多くなると得られるヒドロキシエチルセルロースの水溶液のpHは、3〜4程度まで変化することがわかる。
【0078】
また、比較例3においては、弱酸のみが用いられているため、ヒドロキシエチルセルロースの水溶液のpHを5〜8の範囲内とするためには、弱酸を多く使用しなければならないことがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、ヒドロキシエチルセルロースを水に溶解させて得られる水溶液のpHを容易に5〜8の範囲内とすることができる。
したがって、本発明の製造方法は、工業的に有利にヒドロキシエチルセルロースを製造することができるという効果を奏する。
Claims (3)
- アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られる粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリを
(A)強酸を用いて中和する第1中和工程および
(B)弱酸を用いて中和する第2中和工程
によって中和するヒドロキシエチルセルロースの製造方法であって、前記第1中和工程において、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリ量の60〜90モル%を中和する、ヒドロキシエチルセルロースの製造方法。 - 強酸が、硝酸である請求項1記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
- 弱酸が、リン酸である請求項1または2記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
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