JP4330091B2 - 低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウムの製造方法 - Google Patents
低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウムの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCNaという)の製造方法に関する。詳しくはCMCNaと過酸化水素の反応においてpHをコントロールすることにより、低粘度のCMCNaでは得られない非ニュートン性の強い流体特性をもったCMCNaを工業的に効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の方法】
従来、過酸化水素を用いて低粘度CMC−Naを製造する方法は、種々提案されている。例えば、粉体状又は湿潤状のCMC−Naに過酸化水素を反応させて低粘度化させる方法(特公昭45-678号公報、特公昭48-19232号公報)や、過酸化水素を3.0〜6.5のpH域でCMC−Naと反応させる事を特徴とする方法(特開平4−25501号公報)が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法は、不溶性ゲルや副生物の生成がなく、簡単な混合装置のみで製造可能な優れた方法であるが、いずれの方法とも低粘度品はえられるが、非ニュートン性流体を得ることはできなかった。
【0004】
本発明の目的は、低粘度のCMCNaでありながら、非ニュートン性を有するCMCNaを得る製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成するため、過酸化水素と固体状態のCMCNaとの反応における系のpHに着目し、これを二段階のpHで反応させることで上記課題を克服できることをつきとめ本発明に到達した。すなわち、固相状態のカルボキシメチルセルロースナトリウムに過酸化水素を反応させて低粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウムを製造する方法において、反応系のpHを7.0未満として反応を開始し、次に反応途中でアルカリを添加し、pHを7.0以上として反応を継続することを特徴とする低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウムの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に原料として用いられるCMCNaの物性は特に限定はないが、好ましいエーテル化度は0.5〜3.0であり、さらに好ましくは0.6〜1.0である。エーテル化度が低すぎると低粘度化されても非ニュートン性のものが得にくく、また高すぎると過酸化水素による低粘度化効率が悪くなる。
【0007】
また1%水溶液粘度は10〜10000mPa・sが好ましいが、1000〜5000mPa・sが更に好ましい。粘度が低すぎると低粘度化効率が悪い傾向にあり、高すぎると過酸化水素を多量に必要とするため経済的に好ましくない。
【0008】
原料CMCNaはより低粘度品である方が好ましいが、非ニュートン性も備えたCMCNaを得ようとする場合、一定の粘度が必要である。
【0009】
この原料CMCNaは揮発分が15〜50重量%、好ましくは20〜30重
量%であって、水分が15〜25重量%、好ましくは14〜20重量%の固相状態のものを用いるのがよい。この時形状は湿潤状品でも乾燥粉末品でもよく、またCMCNaは製造工程中のものでも、製品となったものでもよい。
【0010】
揮発分、水分がそれぞれ50重量%、25重量%をこえる場合は、低粘度化が進むにつれて反応装置内のCMCNaが団粒化してくるため好ましくない。また15重量%未満では低粘度化効率が悪くなるので好ましくない。
【0011】
次に反応に供する過酸化水素は、10〜35重量%水溶液を用いて、反応器中の原料CMCNa中へ添加する。添加量は原料CMCNa(固形分換算)の粘度にもよるが、原料CMCNaに対して1〜10重量%(固形分換算)添加する。添加方法は均一反応とするため噴霧するのが好ましい。
【0012】
次に過酸化水素添加時における反応開始時の反応系のpHは7.0未満好ましくは5.0から7.0未満とする。この時pHが7.0以上になると低粘度化効率が低下し、5.0未満となると酸型のCMCが生成し、ゲル状の水不溶性物質が生成し易くなる。このpHの調製は酸を反応系内に添加しても、また過酸化水素と予め混合しておいてもよい。この時に使用する酸はいずれの酸も使用できるが、酢酸、グリコール酸が挙げられる。
【0013】
次にpH7.0未満で過酸化水素を反応させた後、一定時間後(約10〜20分後)の反応途中でアルカリを添加してpHを7.0以上(好ましくは7.0〜8.5) とする。このアルカリはカセイソーダ、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ等が用いられるが、CMCNaより早く反応できるようにするため、濃度を5〜20重量%とした溶液で使用することが好ましい。この時の溶解液は水でもメタノール、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒のどちらでもよい。
【0014】
過酸化水素による反応途中であるという確認は、過酸化水素が系中に残存していることを確認することによって行われる。たとえば、反応中のCMCNaを採取し水に完全溶解し、その後硫酸、ヨウ化カリ及びデンプン溶液を加えて青色の呈色により過酸化水素の確認を行なう。
【0015】
過酸化水素の添加、加熱条件については従来公知の方法を用いる。たとえば過酸化水素の添加後、30分間で105℃に加温後、105℃で90分間加熱混合して本発明の目的とする低粘度CMCNaを得る。
【0016】
アルカリ条件下では、過酸化水素の分解による活性酸素の発生がよくなることより、反応系内に残っている過酸化水素はCMCNaと反応する前に分解し大気中に飛散する。すなわち短時間のCMCNaと過酸化水素の反応は充分均一な反応が行われないうちに完結されてしまう事よりCMCNaは不均一な粘度の低粘度品となる。
【0017】
【実施例】
次に本発明のCMCNaの製造方法を実施例及び比較例によって説明するが、これらによって本発明は何ら限定されるものではない。
(CMCNaの分析方法)
1.エーテル化度
絶乾CMCNa0.7gを磁性ルツボで700〜800℃灰化する。この灰化物の入ったルツボごとビーカーに入れ水に浸し、灰化物を完全に溶出する。これを0.1NH2SO4でフェノールフタレイン指示薬で中和滴定し、0.1NH2SO4所要量(ml)を求める。
【0018】
【数1】
【0019】
2.1%水溶液粘度(mPa・s)
300ml共栓三角フラスコ中に水分値既知のCMCNa約2.4gを精秤し、蒸留水200gを加え、直ちに栓をして激しく振とうし、CMCを小さい固まりに分散して放置する。一夜(約18〜20時間)放置した後、既知の水分値より補正水にて1%水溶液濃度に合わせる。
【0020】
【数2】
【0021】
補正終了後、三角フラスコ中に小回転子を入れ、マグネチックスターラーで25分間攪拌し、膨潤状態の内容物を完全に分散溶解する。次いでこの溶液を250ml容栓付き容器(口径50mm×高さ140mm)に移し、栓をして25℃の恒温槽中に30分間放置する。温度25℃を確認した後、この栓付き容器にBM型粘度計、ローター、ガードを取り付け、3分後の目盛りを読み取る。この時ローターNO.は予測させる粘度に合わせて選び、回転数は30rpmとする。
【0022】
3.非ニュートン性の測定法
東京計器製BH型粘度計を用いて下記の糊液粘度を測定し、下記の計算式によって求める。
【0023】
10000±500mPa・sの糊液粘度水溶液を調整してよくかき混ぜた後、ラップでカバーして25℃恒温器中で一夜放置する。次に恒温器中より取り出しガラス棒にて充分に攪拌する。次にBH型粘度計、ローターNO.5を用いて変速ツマミで2rpm、20rpmと回転数を変化させ、それぞれの粘度を測定して下記式にて非ニュートン性を算出する。この数値が1.0に近づくほどニュートン性が強く、0に近づくほど非ニュートン性が強い事を示す。
【0024】
【数3】
【0025】
実施例1
CMC−Na500gを5L容ブレンダーに仕込み、50%メタノール(水::メタノール=1:1)125gで湿潤状態にする。
【0026】
これに酢酸を添加して、CMC−NaのpHを6.0に調製した(pHの測定は、CMCNaを約1g取り、100mlの水に簡易的に溶解し、pHメーターでpHを測定した)pH調整後、35%過酸化水素を水で2倍に希釈した17.5%溶液を50g添加する。次にブレンダーで攪拌しながら、15分かけて105℃まで昇温し、過酸化水素の残存を下記の方法によって確認した。
【0027】
CMCNaサンプル1gを採取し、100mlの水に溶解する。完全溶解したCMCNa水溶液に10%硫酸10ml、10%ヨウ化カリ10mlを加えて10分間日光に当てないようにして放置する。その後1%デンプン溶液を3滴加えて青色を呈することを確認する。青色を呈したので過酸化水素の残存が確認された。
【0028】
昇温後に、10%カセイソーダ水溶液を添加し、pHを7.5に調製する(pH調整法は前述の通り)。pH調整後、105℃で90分間攪拌を続けて、低粘度CMC−Naを得た。
実施例2〜4及び比較例1〜6
下記表1の条件とするほかは実施例1と同様にしてCMCNaを得た。また表1に得られたCMCNaの2%粘度とPVI値を記載した。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より原料CMCNaに比べて本発明の製造方法により得られたCMCNaは著しく低粘度化され、また2%粘度が20〜35mPa・sという低粘度にもかかわらず、流動特性を表すPVI値をみると、実施例品は比較例品に比べ小さく、非ニュートン性が大きいことを示している。
【0031】
【発明の効果】
本願は、非ニュートン性の強い低粘度CMC−Naを工業的に製造する方法であり、低粘度CMC−Naであるが故に、従来は出来なかった非ニュートン性が付与できた事により、食品用タレ糊剤、食品ゲル助剤などの用途に天然糊剤であるペクチン、キサンタンガム等と合わせ、又は併用使用する事が出来る。
Claims (3)
- 固相状態のカルボキシメチルセルロースナトリウムに過酸化水素を反応させて低粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウムを製造する方法において、反応系のpHを7.0未満としてカルボキシメチルセルロースナトリウムと過酸化水素との反応を開始し、次に反応途中でアルカリを添加し、pHを7.0以上として反応を継続することを特徴とする低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウムの製造方法。
- アルカリを添加した後の反応系のpHが7.0〜8.5である請求項1記載の製造方法。
- 反応前のカルボキシメチルセルロースナトリウムの1%水溶液粘度が1000〜5000mPa・sである請求項1又は2記載の製造方法。
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