JP4824209B2 - ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロキシエチルセルロースの製造方法に関する。さらに詳しくは、増粘剤、乳化重合用安定剤、塗料、化粧品、分散剤、保水剤、保護コロイド等の種々の用途に好適に使用しうる半合成高分子化合物であるヒドロキシエチルセルロースの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシエチルセルロースの製造方法としては、易水溶性有機溶媒中、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させる方法が知られている。しかし、この方法で得られたヒドロキシエチルセルロースには、アルカリセルロースの製造工程に由来するアルカリが多量に含まれるため、そのアルカリを除去するための洗浄工程が必要である。
【0003】
ヒドロキシエチルセルロースを洗浄することにより、含有されているアルカリを除去する方法としては、ヒドロキシエチルセルロースに含まれているアルカリを予め中和することによって生成した塩を、反応溶媒として用いた易水溶性有機溶媒と水とからなる混合溶媒で洗浄する方法等が知られている。
【0004】
しかしながら、前記混合溶媒に含まれている水の量が多い場合、塩の除去には効果的である反面、ヒドロキシエチルセルロースが水溶性であるため収量が減少する。そこで、前記混合溶媒に含まれている水の量を少なくした場合には、ヒドロキシエチルセルロースの収量を増やすことができる反面、塩を十分に除去することができないため、塩の含量の少ないヒドロキシエチルセルロースを得るためには、洗浄操作を繰り返して行わなければならない。
【0005】
そこで、かかる欠点を解消する方法として、反応溶媒として難水溶性有機溶媒を用い、生成したヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリまたはその中和塩を洗浄溶媒として該難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒を用いて洗浄する方法が提案されている(特開平6−199902号公報)。
【0006】
前記方法で得られるヒドロキシエチルセルロースは、通常の用途においては充分に使用しうるものであるが、その用途によっては、ヒドロキシエチルセルロース中のアルカリの残存量をさらに低減したものが必要とされている。したがって、より効率的な洗浄方法が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られたヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリを効率的に除去し、工業的に有利にヒドロキシエチルセルロースを製造しうる方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られたヒドロキシエチルセルロースを、難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒Iを用いて洗浄する第1洗浄工程と、
(B)前記混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する第2洗浄工程
を含むヒドロキシエチルセルロースの製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、ヒドロキシエチルセルロースを製造する。ヒドロキシエチルセルロースを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、セルロースをアルカリ水溶液で処理して得られるアルカリセルロースをエチレンオキシドおよび反応溶媒と混合した後、反応させる方法が好ましい。
【0010】
より具体的には、まず、セルロースをアルカリ水溶液で処理し、アルカリセルロースを製造する。
【0011】
セルロースとしては、例えば、シート状、粉末状等のコットンリンター、木材パルプ等を挙げることができる。
【0012】
また、アルカリ水溶液としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液等を挙げることができる。これらの中では、安価である観点から水酸化ナトリウムの水溶液が好適に用いられる。アルカリ水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常、10〜30重量%である。
【0013】
アルカリセルロースを製造する際のアルカリ水溶液の使用量は、スラリーの流動性を向上させ、セルロースとアルカリとの反応が局部的に進行するのを回避する観点および容積効率を向上させる観点から、セルロース100重量部に対して1000〜6000重量部、好ましくは2000〜5000重量部であることが望ましい。
【0014】
セルロースとアルカリ水溶液とを反応させる方法としては、例えば、浸漬、混合等の方法等を挙げることができる。より具体的には、セルロースをアルカリ水溶液に浸漬し、攪拌翼を備えた容器内で、通常、20〜50℃で20分間〜2時間程度混合してアルカリを作用させた後、加圧濾過して、アルカリ水溶液を圧搾除去する方法等を挙げることができる。
【0015】
次に、得られたアルカリセルロース、エチレンオキシドおよび反応溶媒を予め混合し、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させることにより、ヒドロキシエチルセルロースを得ることができる。
【0016】
エチレンオキシドの量は、目的とするエチレンオキシドの付加モル数によって決定される。通常、エチレンオキシドの量は、セルロースへの付加量を増大させ、ヒドロキシエチルセルロースの水に対する溶解度を高める観点およびヒドロキシエチルセルロースの収率を高める観点から、セルロース100重量部に対して60〜200重量部、好ましくは80〜180重量部であることが望ましい。
【0017】
反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。
【0018】
反応溶媒の使用量は、エチレンオキシドが局部的にセルロースに付加することを回避する観点および容積効率を高める観点から、アルカリセルロース100重量部に対して20〜800重量部、好ましくは20〜600重量部であることが望ましい。
【0019】
アルカリセルロース、エチレンオキシドおよび反応溶媒を予め混合する際の温度は、アルカリセルロースの結晶構造の変化を回避し、反応を均一に進行させる観点およびエチレンオキシドを均一に分散させ、エチレンオキシドが局部的にセルロースに付加するのを回避する観点から、5〜30℃、好ましくは10〜20℃であることが望ましい。なお、混合時間は、通常、10分間〜2時間程度である。
【0020】
次に、得られた混合物に含まれているアルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させる。
【0021】
反応温度は、反応を促進させ、反応時間を短縮させる観点および反応が急激に進行するのを回避し、温度および圧力の制御を容易にする観点から、通常、30〜80℃、好ましくは40〜60℃であることが望ましい。
【0022】
なお、反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜15時間程度である。
【0023】
上記のようにしてヒドロキシエチルセルロースが得られるが、本発明においては、
(A)このヒドロキシエチルセルロースを、難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒Iを用いて洗浄する第1洗浄工程と、
(B)前記混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する第2洗浄工程
とに供する点に、1つの大きな特徴がある。
【0024】
すなわち、まず、第1洗浄工程においては、ヒドロキシエチルセルロースに含まれているアルカリのうち大部分が除去される。このように、アルカリをあらかじめ除去しておくことにより、従来よりも少ない量の酸でヒドロキシエチルセルロース中のアルカリを効率的に中和することができるとともに、生成した塩を効率的に除去することができるので、工業的に有利にヒドロキシエチルセルロースを製造することができる。
【0025】
第1洗浄工程に用いられる混合溶媒I中の各成分の組成には、特に限定がない。しかし、ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリを効率的に除去する観点およびヒドロキシエチルセルロースの収量の低減を回避するとともに洗浄効率を高める観点から、混合溶媒Iは、難水溶性有機溶媒20〜50重量%、メタノール20〜60重量%および水2〜30重量%で構成されていることが望ましい。
【0026】
難水溶性有機溶媒の種類には特に限定がされないが、例えば、25℃の水への溶解度が約3重量%以下である難水溶性有機溶媒が好ましい。
【0027】
難水溶性有機溶媒の代表例としては、炭素数が6〜10の脂肪族ケトンが挙げられる。この炭素数が6〜10の脂肪族ケトンは、水への溶解度が比較的小さいため、水との分離が容易であるので再利用しやすいとともに、メタノールとの親和性が大きく、アルカリまたはその塩に対する洗浄効果にも優れるという利点がある。
【0028】
炭素数6〜10の脂肪族ケトンの具体例としては、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。これらの中では、比較的沸点が低く、蒸留による回収が容易であることから、メチルイソブチルケトンが好ましい。
【0029】
混合溶媒Iの量は、特に限定されないが、通常、第2洗浄工程で使用される酸の量を低減させる観点およびあまりにも多量に使用するとその使用量に見合うだけの効果が発現されず却って経済的でなくなることを回避する観点から、アルカリセルロース100重量部に対して、250〜3500重量部、好ましくは500〜2500重量部であることが望ましい。
【0030】
第1洗浄工程によるヒドロキシエチルセルロースの洗浄方法には、特に限定がない。洗浄方法としては、例えば、混合溶媒Iを幾つかに分割し、数回に分けて濾過する回分洗浄方法、ヌッチェ等で一定の減圧下、次々に混合溶媒Iを添加する連続洗浄方法等が挙げられる。このとき、混合溶媒Iの液温は、混合溶媒に対して十分なアルカリの溶解度を確保する観点および混合溶媒に対するヒドロキシエチルセルロースの溶解度が高くなることにより、収率が低下するのを回避する観点から、5〜35℃、好ましくは15〜25℃であることが望ましい。
【0031】
第1洗浄工程における洗浄は、混合溶媒Iの使用量と第2洗浄工程における酸の使用量の総合的なバランスを考慮して、ヒドロキシエチルセルロース中の残存アルカリ量がヒドロキシエチルセルロース中のグルコース単位1モルに対して1モル程度となるまで行うことが好ましい。
【0032】
次に、第1洗浄工程で洗浄されたヒドロキシエチルセルロースは、第2洗浄工程に供される。
【0033】
第2洗浄工程では、第1洗浄工程で洗浄されたヒドロキシエチルセルロースを、前記混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する。
【0034】
このように第1洗浄工程で洗浄されたヒドロキシエチルセルロースを第2洗浄工程において混合溶媒IIで洗浄することにより、第1の洗浄工程で除去されなかったアルカリを中和させ、かつこの中和によって生成した塩を洗浄により除去することにより、アルカリ含量が低減されたヒドロキシエチルセルロースを工業的に有利に効率よく製造することができる。
【0035】
混合溶媒IIに使用される酸の種類には特に限定がない。酸の具体例としては、酢酸等の有機酸、および硝酸、塩酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸の中では、アルカリの中和によって生成する塩を混合溶媒IIに溶解させやすい観点から、酢酸および硝酸が好ましい。
【0036】
酸の量は、洗浄効率を高める観点および洗浄後に酸が多量に残存するのを回避する観点から、混合溶媒Iを用いて洗浄した後のヒドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリ1モルあたり、0.5〜3モル、好ましくは1〜2モルであることが望ましい。
【0037】
混合溶媒IIの使用量は、ヒドロキシエチルセルロースの精製の程度によって異なるので一概には決定することができない。通常、混合溶媒IIの使用量は、洗浄を十分に行う観点およびあまりにも多量に使用するとその使用量に見合うだけの効果が発現されず却って経済的でなくなることを回避する観点から、ヒドロキシエチルセルロース100重量部に対して100〜3000重量部、好ましくは300〜2000重量部であることが望ましい。
【0038】
混合溶媒IIは、前述した使用量の範囲内で一括して使用してもよく、あるいは幾つかに分割して数回に分けて使用してもよい。より具体的には、例えば、混合溶媒IIを構成している混合溶媒Iおよび酸において、その総使用量のうちの半量の混合溶媒Iとその総使用量の全量の酸との混合溶液で洗浄した後、その総使用量のうちの残りの半量の混合溶媒Iで洗浄してもよく、あるいはその総使用量のうちの半量の混合溶媒Iで洗浄した後、その総使用量のうちの残りの半量の混合溶媒Iとその総使用量の全量の酸との混合溶液で洗浄してもよい。
【0039】
第2洗浄工程によるヒドロキシエチルセルロースの洗浄方法には、特に限定がない。洗浄方法としては、例えば、混合溶媒IIを幾つかに分割し、数回に分けて濾過する回分洗浄方法、ヌッチェ等で一定の減圧下、次々に混合溶媒IIを添加する連続洗浄方法等が挙げられる。このとき、混合溶媒IIの液温は、混合溶媒に対して十分な中和塩の溶解度を確保する観点および混合溶媒に対するヒドロキシエチルセルロースの溶解度が高くなることにより、収率が低下するのを回避する観点から、5〜35℃、好ましくは15〜25℃であることが望ましい。
【0040】
第2洗浄工程における洗浄は、ヒドロキシエチルセルロースが所望の純度となるまで行うことが好ましい。
【0041】
かくして得られたヒドロキシエチルセルロースは、例えば、濾過等の方法により、混合溶媒IIから単離した後、常圧あるいは減圧下で乾燥することにより、その乾燥品を得ることができる。
【0042】
本発明の製造方法によれば、ヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリが効率的に除去されるが、その理由は、定かではないが、以下のとおりであると推測される。
【0043】
すなわち、ヒドロキシエチルセルロースは、その分子内にアルコール性の水素原子を有しているため、その酸性度が比較的高い。このことから、ヒドロキシエチルセルロースとアルカリとはイオン的に強く結合しているものと考えられる。
【0044】
したがって、ヒドロキシエチルセルロースとは結合しておらず、遊離している過剰量のアルカリは、洗浄により比較的容易に除去することができるものの、ヒドロキシエチルセルロースとイオン的に結合しているアルカリは、洗浄しても容易に除去することができない。
【0045】
しかしながら、第2洗浄工程において、混合溶媒IIには酸が用いられているため、ヒドロキシエチルセルロースとイオン的に結合しているアルカリは、この酸によってヒドロキシエチルセルロースから遊離し、その酸とともに中和塩を形成するようになる。したがって、この状態で洗浄すれば、遊離しているアルカリは中和塩の形態で除去されるので、ヒドロキシエチルセルロースからアルカリを除去することができるものと考えられる。
【0046】
なお、ヒドロキシエチルセルロースにアルカリが過剰量で存在している第1洗浄工程で、混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIを用いた場合には、その酸と過剰量のアルカリとによって形成された塩の混合溶媒IIに対する溶解度は、アルカリの溶解度よりも低いため、かえって洗浄効率が悪化するものと考えられる。
【0047】
以上説明したように、本発明においては、第2洗浄工程において、混合溶媒IIに酸が用いられていることにより、ヒドロキシエチルセルロースを非常に効率よく洗浄することができるという優れた効果が発現される。
【0048】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0049】
なお、実施例および比較例により得られたヒドロキシエチルセルロースは、以下の方法により評価した。
【0050】
(1)粘度
ヒドロキシエチルセルロースの2重量%水溶液を調製し、ブルックフィールド型回転粘度計〔東機産業(株)製、品番:BM型〕を用い、25℃、60rpm(No.4ローター)の条件で測定した。
【0051】
(2)強熱残分
質量既知の50mL容の磁性るつぼにヒドロキシエチルセルロースを入れてヒドロキシエチルセルロース4gを精秤した後、磁性るつぼに98重量%硫酸2mLを添加し、650℃で2時間加熱して灰化させた後、得られた灰分の質量Xgを測定した。これとは別にヒドロキシエチルセルロース中の水分含量を測定し、上記ヒドロキシエチルセルロース中の水分量Ygを求めた。
【0052】
灰分は硫酸ナトリウムになっているが、一般的に強熱残分は、炭酸ナトリウム換算で表記されるため、得られた測定値から式:
〔強熱残分〕=(X/4−Y)×0.746×100
にしたがって強熱残分(重量%)を求めた。式中の0.746は、炭酸ナトリウムの分子量106を硫酸ナトリウムの分子量142で除した値である。
【0053】
製造例
セルロースとして、微細に粉砕された木材パルプ50gを20重量%水酸化ナトリウム水溶液2000gに浸漬し、5L容のフラスコ内で30℃、30分間攪拌混合して水酸化ナトリウムを作用させた。その後、得られたスラリーを加圧濾過することにより、水酸化ナトリウム水溶液を圧搾除去し、アルカリセルロース150gを得た。
【0054】
実施例1
(工程A)
1L容のニーダーに、製造例で得られたアルカリセルロース150g、エチレンオキシド75gおよびメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温してアルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応させた。
【0055】
次に、得られた反応混合物に、メチルイソブチルケトン450g、メタノール450gおよび水100gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0056】
得られたスラリーを数分間静置した後、スラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒドロキシエチルセルロース247gを得た。
【0057】
得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウム量を滴定により測定した結果、4.5重量%(0.28モル)であった。
【0058】
(工程B)
次に、粗ヒドロキシエチルセルロース247gにメチルイソブチルケトン225g、メタノール225g、水50gおよび酢酸16.8g(0.28モル)からなる混合溶媒IIを加えてスラリーとし、前記工程Aと同様にして濾別した。その後、得られた残渣に、メチルイソブチルケトン225g、メタノール225gおよび水50gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとし、前記と同様にして濾別した。
【0059】
得られた残渣を減圧下で70℃で一昼夜乾燥し、ヒドロキシエチルセルロースの乾燥品74gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性として粘度および強熱残分を前記方法に従って調べた。その結果を表1に示す。
【0060】
実施例2
実施例1において、酢酸の量を25.2g(0.42モル)に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒドロキシエチルセルロース73gを得た。
【0061】
得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0062】
実施例3
実施例1において、酢酸の使用量を8.4g(0.14モル)に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒドロキシエチルセルロース74gを得た。
【0063】
得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様に調べた。その結果を表1に示す。
【0064】
実施例4
(工程A)
1L容のニーダーに、製造例で得られたアルカリセルロース150g、エチレンオキシド75gおよびメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温してアルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応させた。
【0065】
次に、得られた反応混合物に、メチルイソブチルケトン450g、メタノール450gおよび水100gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0066】
得られたスラリーを数分間静置した後、スラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒドロキシエチルセルロース249gを得た。
【0067】
得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウム量を滴定により測定した結果、4.6重量%(0.29モル)であった。
【0068】
(工程B)
次に、粗ヒドロキシエチルセルロース249gにメチルイソブチルケトン225g、メタノール225g、水50gおよび酢酸8.6g(0.14モル)からなる混合溶媒IIを加えてスラリーとし、前記工程Aと同様にして濾別した。この操作を2回繰り返した後、減圧下70℃で一昼夜乾燥し、ヒドロキシエチルセルロースの乾燥品74gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0069】
実施例5
(工程A)
1L容のニーダーに、製造例で得られたアルカリセルロース150g、エチレンオキシド75gおよびメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温してアルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応させた。
【0070】
次に、得られた反応混合物に、メチルイソブチルケトン450g、メタノール450gおよび水100gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0071】
得られたスラリーを数分間静置した後、スラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒドロキシエチルセルロース250gを得た。
【0072】
得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに残存している水酸化ナトリウム量を滴定により測定した結果、4.4重量%(0.28モル)であった。
【0073】
(工程B)
次に、粗ヒドロキシエチルセルロース250gにメチルイソブチルケトン225g、メタノール225gおよび水50gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとし、前記工程Aと同様に濾別した。その後、得られた残渣に、メチルイソブチルケトン225g、メタノール225g、水50gおよび酢酸16.5g(0.25モル)からなる混合溶媒IIを加えてスラリーとし、前記と同様に濾別した。
【0074】
得られた残渣を減圧下70℃で一昼夜乾燥し、ヒドロキシエチルセルロースの乾燥品75gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0075】
実施例6
実施例1において、酢酸を60重量%硝酸水溶液29.2g(0.28モル)に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒドロキシエチルセルロース74gを得た。
【0076】
得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0077】
比較例1
(工程A)
1L容のニーダーに、製造例で得られたアルカリセルロース150g、酸化エチレン75gおよびメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温してアルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応させた。
【0078】
次に、得られた反応物に、メチルイソブチルケトン450g、メタノール450gおよび水100gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0079】
得られたスラリーに酢酸38g(0.63モル)を添加して数分間静置した後、スラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒドロキシエチルセルロース294gを得た。
【0080】
(工程B)
次に、得られた粗ヒドロキシエチルセルロース294gに、メチルイソブチルケトン225g、メタノール225gおよび水50gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとし、前記工程Aと同様にして濾別した。この操作を3回繰り返した後、減圧下70℃で一昼夜乾燥し、ヒドロキシエチルセルロース74gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004824209
【0082】
表1に示された結果から、実施例1〜6で得られたヒドロキシエチルセルロースは、粘度が高く、また強熱残分が少ないことから、ヒドロキシエチルセルロースが効率的に洗浄されていることがわかる。
【0083】
一方、比較例1では、各実施例で得られたヒドロキシエチルセルロースと同様の物性を有するものを製造しようとすれば、酸および洗浄溶媒を多量に使用しなければならず、洗浄効率が悪いことがわかる。
【0084】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られたヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリを効率的に除去し、工業的に有利にヒドロキシエチルセルロースを製造することができる。

Claims (5)

  1. (A)アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られたヒドロキシエチルセルロースを、難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒Iを用いて洗浄する第1洗浄工程と、
    (B)前記混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する第2洗浄工程
    を含むヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
  2. 混合溶媒Iが、難水溶性有機溶媒20〜50重量%、メタノール20〜60重量%および水2〜30重量%からなる請求項1記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
  3. 難水溶性有機溶媒が、メチルイソブチルケトンである請求項1または2記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
  4. 混合溶媒IIに含まれている酸の量が、第1洗浄工程で洗浄されたヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリ1モルあたり0.5〜3モルである請求項1記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
  5. 酸が、酢酸または硝酸である請求項1〜4いずれか記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
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