JP2003012535A - ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシエチルセルロースの製造方法

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JP2003012535A JP2001200893A JP2001200893A JP2003012535A JP 2003012535 A JP2003012535 A JP 2003012535A JP 2001200893 A JP2001200893 A JP 2001200893A JP 2001200893 A JP2001200893 A JP 2001200893A JP 2003012535 A JP2003012535 A JP 2003012535A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルカリセルロースとエチレンオキシドとを反
応させて得られたヒドロキシエチルセルロース中に残存
しているアルカリを効率的に除去し、工業的に有利にヒ
ドロキシエチルセルロースを製造しうる方法を提供する
こと。 【解決手段】(A)アルカリセルロースとエチレンオキ
シドとを反応させて得られたヒドロキシエチルセルロー
スを、難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からなる
混合溶媒Iを用いて洗浄する第1洗浄工程と、(B)前
記混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する第
2洗浄工程を含むヒドロキシエチルセルロースの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキシエチル
セルロースの製造方法に関する。さらに詳しくは、増粘
剤、乳化重合用安定剤、塗料、化粧品、分散剤、保水
剤、保護コロイド等の種々の用途に好適に使用しうる半
合成高分子化合物であるヒドロキシエチルセルロースの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒドロキシエチルセルロースの製造方法
としては、易水溶性有機溶媒中、アルカリセルロースと
エチレンオキシドとを反応させる方法が知られている。
しかし、この方法で得られたヒドロキシエチルセルロー
スには、アルカリセルロースの製造工程に由来するアル
カリが多量に含まれるため、そのアルカリを除去するた
めの洗浄工程が必要である。
【0003】ヒドロキシエチルセルロースを洗浄するこ
とにより、含有されているアルカリを除去する方法とし
ては、ヒドロキシエチルセルロースに含まれているアル
カリを予め中和することによって生成した塩を、反応溶
媒として用いた易水溶性有機溶媒と水とからなる混合溶
媒で洗浄する方法等が知られている。
【0004】しかしながら、前記混合溶媒に含まれてい
る水の量が多い場合、塩の除去には効果的である反面、
ヒドロキシエチルセルロースが水溶性であるため収量が
減少する。そこで、前記混合溶媒に含まれている水の量
を少なくした場合には、ヒドロキシエチルセルロースの
収量を増やすことができる反面、塩を十分に除去するこ
とができないため、塩の含量の少ないヒドロキシエチル
セルロースを得るためには、洗浄操作を繰り返して行わ
なければならない。
【0005】そこで、かかる欠点を解消する方法とし
て、反応溶媒として難水溶性有機溶媒を用い、生成した
ヒドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリ
またはその中和塩を洗浄溶媒として該難水溶性有機溶
媒、メタノールおよび水からなる混合溶媒を用いて洗浄
する方法が提案されている(特開平6−199902号
公報)。
【0006】前記方法で得られるヒドロキシエチルセル
ロースは、通常の用途においては充分に使用しうるもの
であるが、その用途によっては、ヒドロキシエチルセル
ロース中のアルカリの残存量をさらに低減したものが必
要とされている。したがって、より効率的な洗浄方法が
求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、アルカリセルロースと
エチレンオキシドとを反応させて得られたヒドロキシエ
チルセルロース中に残存しているアルカリを効率的に除
去し、工業的に有利にヒドロキシエチルセルロースを製
造しうる方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)アルカ
リセルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られ
たヒドロキシエチルセルロースを、難水溶性有機溶媒、
メタノールおよび水からなる混合溶媒Iを用いて洗浄す
る第1洗浄工程と、(B)前記混合溶媒Iおよび酸から
なる混合溶媒IIで洗浄する第2洗浄工程を含むヒドロキ
シエチルセルロースの製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず、ヒドロ
キシエチルセルロースを製造する。ヒドロキシエチルセ
ルロースを製造する方法としては、特に限定されない
が、例えば、セルロースをアルカリ水溶液で処理して得
られるアルカリセルロースをエチレンオキシドおよび反
応溶媒と混合した後、反応させる方法が好ましい。
【0010】より具体的には、まず、セルロースをアル
カリ水溶液で処理し、アルカリセルロースを製造する。
【0011】セルロースとしては、例えば、シート状、
粉末状等のコットンリンター、木材パルプ等を挙げるこ
とができる。
【0012】また、アルカリ水溶液としては、特に限定
されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液
等を挙げることができる。これらの中では、安価である
観点から水酸化ナトリウムの水溶液が好適に用いられ
る。アルカリ水溶液の濃度は、特に限定されないが、通
常、10〜30重量%である。
【0013】アルカリセルロースを製造する際のアルカ
リ水溶液の使用量は、スラリーの流動性を向上させ、セ
ルロースとアルカリとの反応が局部的に進行するのを回
避する観点および容積効率を向上させる観点から、セル
ロース100重量部に対して1000〜6000重量
部、好ましくは2000〜5000重量部であることが
望ましい。
【0014】セルロースとアルカリ水溶液とを反応させ
る方法としては、例えば、浸漬、混合等の方法等を挙げ
ることができる。より具体的には、セルロースをアルカ
リ水溶液に浸漬し、攪拌翼を備えた容器内で、通常、2
0〜50℃で20分間〜2時間程度混合してアルカリを
作用させた後、加圧濾過して、アルカリ水溶液を圧搾除
去する方法等を挙げることができる。
【0015】次に、得られたアルカリセルロース、エチ
レンオキシドおよび反応溶媒を予め混合し、アルカリセ
ルロースとエチレンオキシドとを反応させることによ
り、ヒドロキシエチルセルロースを得ることができる。
【0016】エチレンオキシドの量は、目的とするエチ
レンオキシドの付加モル数によって決定される。通常、
エチレンオキシドの量は、セルロースへの付加量を増大
させ、ヒドロキシエチルセルロースの水に対する溶解度
を高める観点およびヒドロキシエチルセルロースの収率
を高める観点から、セルロース100重量部に対して6
0〜200重量部、好ましくは80〜180重量部であ
ることが望ましい。
【0017】反応溶媒としては、特に限定されないが、
例えば、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソアミルアルコー
ル等のアルコール類;ジオキサン、1,2−ジメトキシ
エタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げるこ
とができる。
【0018】反応溶媒の使用量は、エチレンオキシドが
局部的にセルロースに付加することを回避する観点およ
び容積効率を高める観点から、アルカリセルロース10
0重量部に対して20〜800重量部、好ましくは20
〜600重量部であることが望ましい。
【0019】アルカリセルロース、エチレンオキシドお
よび反応溶媒を予め混合する際の温度は、アルカリセル
ロースの結晶構造の変化を回避し、反応を均一に進行さ
せる観点およびエチレンオキシドを均一に分散させ、エ
チレンオキシドが局部的にセルロースに付加するのを回
避する観点から、5〜30℃、好ましくは10〜20℃
であることが望ましい。なお、混合時間は、通常、10
分間〜2時間程度である。
【0020】次に、得られた混合物に含まれているアル
カリセルロースとエチレンオキシドとを反応させる。
【0021】反応温度は、反応を促進させ、反応時間を
短縮させる観点および反応が急激に進行するのを回避
し、温度および圧力の制御を容易にする観点から、通
常、30〜80℃、好ましくは40〜60℃であること
が望ましい。
【0022】なお、反応時間は、反応温度によって異な
るので一概には決定することができないが、通常、1〜
15時間程度である。
【0023】上記のようにしてヒドロキシエチルセルロ
ースが得られるが、本発明においては、(A)このヒド
ロキシエチルセルロースを、難水溶性有機溶媒、メタノ
ールおよび水からなる混合溶媒Iを用いて洗浄する第1
洗浄工程と、(B)前記混合溶媒Iおよび酸からなる混
合溶媒IIで洗浄する第2洗浄工程とに供する点に、1つ
の大きな特徴がある。
【0024】すなわち、まず、第1洗浄工程において
は、ヒドロキシエチルセルロースに含まれているアルカ
リのうち大部分が除去される。このように、アルカリを
あらかじめ除去しておくことにより、従来よりも少ない
量の酸でヒドロキシエチルセルロース中のアルカリを効
率的に中和することができるとともに、生成した塩を効
率的に除去することができるので、工業的に有利にヒド
ロキシエチルセルロースを製造することができる。
【0025】第1洗浄工程に用いられる混合溶媒I中の
各成分の組成には、特に限定がない。しかし、ヒドロキ
シエチルセルロースに残存しているアルカリを効率的に
除去する観点およびヒドロキシエチルセルロースの収量
の低減を回避するとともに洗浄効率を高める観点から、
混合溶媒Iは、難水溶性有機溶媒20〜50重量%、メ
タノール20〜60重量%および水2〜30重量%で構
成されていることが望ましい。
【0026】難水溶性有機溶媒の種類には特に限定がさ
れないが、例えば、25℃の水への溶解度が約3重量%
以下である難水溶性有機溶媒が好ましい。
【0027】難水溶性有機溶媒の代表例としては、炭素
数が6〜10の脂肪族ケトンが挙げられる。この炭素数
が6〜10の脂肪族ケトンは、水への溶解度が比較的小
さいため、水との分離が容易であるので再利用しやすい
とともに、メタノールとの親和性が大きく、アルカリま
たはその塩に対する洗浄効果にも優れるという利点があ
る。
【0028】炭素数6〜10の脂肪族ケトンの具体例と
しては、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミル
ケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−ブ
チルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケ
トン等が挙げられる。これらの中では、比較的沸点が低
く、蒸留による回収が容易であることから、メチルイソ
ブチルケトンが好ましい。
【0029】混合溶媒Iの量は、特に限定されないが、
通常、第2洗浄工程で使用される酸の量を低減させる観
点およびあまりにも多量に使用するとその使用量に見合
うだけの効果が発現されず却って経済的でなくなること
を回避する観点から、アルカリセルロース100重量部
に対して、250〜3500重量部、好ましくは500
〜2500重量部であることが望ましい。
【0030】第1洗浄工程によるヒドロキシエチルセル
ロースの洗浄方法には、特に限定がない。洗浄方法とし
ては、例えば、混合溶媒Iを幾つかに分割し、数回に分
けて濾過する回分洗浄方法、ヌッチェ等で一定の減圧
下、次々に混合溶媒Iを添加する連続洗浄方法等が挙げ
られる。このとき、混合溶媒Iの液温は、混合溶媒に対
して十分なアルカリの溶解度を確保する観点および混合
溶媒に対するヒドロキシエチルセルロースの溶解度が高
くなることにより、収率が低下するのを回避する観点か
ら、5〜35℃、好ましくは15〜25℃であることが
望ましい。
【0031】第1洗浄工程における洗浄は、混合溶媒I
の使用量と第2洗浄工程における酸の使用量の総合的な
バランスを考慮して、ヒドロキシエチルセルロース中の
残存アルカリ量がヒドロキシエチルセルロース中のグル
コース単位1モルに対して1モル程度となるまで行うこ
とが好ましい。
【0032】次に、第1洗浄工程で洗浄されたヒドロキ
シエチルセルロースは、第2洗浄工程に供される。
【0033】第2洗浄工程では、第1洗浄工程で洗浄さ
れたヒドロキシエチルセルロースを、前記混合溶媒Iお
よび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する。
【0034】このように第1洗浄工程で洗浄されたヒド
ロキシエチルセルロースを第2洗浄工程において混合溶
媒IIで洗浄することにより、第1の洗浄工程で除去され
なかったアルカリを中和させ、かつこの中和によって生
成した塩を洗浄により除去することにより、アルカリ含
量が低減されたヒドロキシエチルセルロースを工業的に
有利に効率よく製造することができる。
【0035】混合溶媒IIに使用される酸の種類には特に
限定がない。酸の具体例としては、酢酸等の有機酸、お
よび硝酸、塩酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。これ
らの酸の中では、アルカリの中和によって生成する塩を
混合溶媒IIに溶解させやすい観点から、酢酸および硝酸
が好ましい。
【0036】酸の量は、洗浄効率を高める観点および洗
浄後に酸が多量に残存するのを回避する観点から、混合
溶媒Iを用いて洗浄した後のヒドロキシエチルセルロー
スに残存しているアルカリ1モルあたり、0.5〜3モ
ル、好ましくは1〜2モルであることが望ましい。
【0037】混合溶媒IIの使用量は、ヒドロキシエチル
セルロースの精製の程度によって異なるので一概には決
定することができない。通常、混合溶媒IIの使用量は、
洗浄を十分に行う観点およびあまりにも多量に使用する
とその使用量に見合うだけの効果が発現されず却って経
済的でなくなることを回避する観点から、ヒドロキシエ
チルセルロース100重量部に対して100〜3000
重量部、好ましくは300〜2000重量部であること
が望ましい。
【0038】混合溶媒IIは、前述した使用量の範囲内で
一括して使用してもよく、あるいは幾つかに分割して数
回に分けて使用してもよい。より具体的には、例えば、
混合溶媒IIを構成している混合溶媒Iおよび酸におい
て、その総使用量のうちの半量の混合溶媒Iとその総使
用量の全量の酸との混合溶液で洗浄した後、その総使用
量のうちの残りの半量の混合溶媒Iで洗浄してもよく、
あるいはその総使用量のうちの半量の混合溶媒Iで洗浄
した後、その総使用量のうちの残りの半量の混合溶媒I
とその総使用量の全量の酸との混合溶液で洗浄してもよ
い。
【0039】第2洗浄工程によるヒドロキシエチルセル
ロースの洗浄方法には、特に限定がない。洗浄方法とし
ては、例えば、混合溶媒IIを幾つかに分割し、数回に分
けて濾過する回分洗浄方法、ヌッチェ等で一定の減圧
下、次々に混合溶媒IIを添加する連続洗浄方法等が挙げ
られる。このとき、混合溶媒IIの液温は、混合溶媒に対
して十分な中和塩の溶解度を確保する観点および混合溶
媒に対するヒドロキシエチルセルロースの溶解度が高く
なることにより、収率が低下するのを回避する観点か
ら、5〜35℃、好ましくは15〜25℃であることが
望ましい。
【0040】第2洗浄工程における洗浄は、ヒドロキシ
エチルセルロースが所望の純度となるまで行うことが好
ましい。
【0041】かくして得られたヒドロキシエチルセルロ
ースは、例えば、濾過等の方法により、混合溶媒IIから
単離した後、常圧あるいは減圧下で乾燥することによ
り、その乾燥品を得ることができる。
【0042】本発明の製造方法によれば、ヒドロキシエ
チルセルロース中に残存しているアルカリが効率的に除
去されるが、その理由は、定かではないが、以下のとお
りであると推測される。
【0043】すなわち、ヒドロキシエチルセルロース
は、その分子内にアルコール性の水素原子を有している
ため、その酸性度が比較的高い。このことから、ヒドロ
キシエチルセルロースとアルカリとはイオン的に強く結
合しているものと考えられる。
【0044】したがって、ヒドロキシエチルセルロース
とは結合しておらず、遊離している過剰量のアルカリ
は、洗浄により比較的容易に除去することができるもの
の、ヒドロキシエチルセルロースとイオン的に結合して
いるアルカリは、洗浄しても容易に除去することができ
ない。
【0045】しかしながら、第2洗浄工程において、混
合溶媒IIには酸が用いられているため、ヒドロキシエチ
ルセルロースとイオン的に結合しているアルカリは、こ
の酸によってヒドロキシエチルセルロースから遊離し、
その酸とともに中和塩を形成するようになる。したがっ
て、この状態で洗浄すれば、遊離しているアルカリは中
和塩の形態で除去されるので、ヒドロキシエチルセルロ
ースからアルカリを除去することができるものと考えら
れる。
【0046】なお、ヒドロキシエチルセルロースにアル
カリが過剰量で存在している第1洗浄工程で、混合溶媒
Iおよび酸からなる混合溶媒IIを用いた場合には、その
酸と過剰量のアルカリとによって形成された塩の混合溶
媒IIに対する溶解度は、アルカリの溶解度よりも低いた
め、かえって洗浄効率が悪化するものと考えられる。
【0047】以上説明したように、本発明においては、
第2洗浄工程において、混合溶媒IIに酸が用いられてい
ることにより、ヒドロキシエチルセルロースを非常に効
率よく洗浄することができるという優れた効果が発現さ
れる。
【0048】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により
何ら限定されるものではない。
【0049】なお、実施例および比較例により得られた
ヒドロキシエチルセルロースは、以下の方法により評価
した。
【0050】(1)粘度 ヒドロキシエチルセルロースの2重量%水溶液を調製
し、ブルックフィールド型回転粘度計〔東機産業(株)
製、品番:BM型〕を用い、25℃、60rpm(N
o.4ローター)の条件で測定した。
【0051】(2)強熱残分 質量既知の50mL容の磁性るつぼにヒドロキシエチル
セルロースを入れてヒドロキシエチルセルロース4gを
精秤した後、磁性るつぼに98重量%硫酸2mLを添加
し、650℃で2時間加熱して灰化させた後、得られた
灰分の質量Xgを測定した。これとは別にヒドロキシエ
チルセルロース中の水分含量を測定し、上記ヒドロキシ
エチルセルロース中の水分量Ygを求めた。
【0052】灰分は硫酸ナトリウムになっているが、一
般的に強熱残分は、炭酸ナトリウム換算で表記されるた
め、得られた測定値から式: 〔強熱残分〕=(X/4−Y)×0.746×100 にしたがって強熱残分(重量%)を求めた。式中の0.
746は、炭酸ナトリウムの分子量106を硫酸ナトリ
ウムの分子量142で除した値である。
【0053】製造例 セルロースとして、微細に粉砕された木材パルプ50g
を20重量%水酸化ナトリウム水溶液2000gに浸漬
し、5L容のフラスコ内で30℃、30分間攪拌混合し
て水酸化ナトリウムを作用させた。その後、得られたス
ラリーを加圧濾過することにより、水酸化ナトリウム水
溶液を圧搾除去し、アルカリセルロース150gを得
た。
【0054】実施例1 (工程A)1L容のニーダーに、製造例で得られたアル
カリセルロース150g、エチレンオキシド75gおよ
びメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ
後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温して
アルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応
させた。
【0055】次に、得られた反応混合物に、メチルイソ
ブチルケトン450g、メタノール450gおよび水1
00gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0056】得られたスラリーを数分間静置した後、ス
ラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒ
ドロキシエチルセルロース247gを得た。
【0057】得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに
残存している水酸化ナトリウム量を滴定により測定した
結果、4.5重量%(0.28モル)であった。
【0058】(工程B)次に、粗ヒドロキシエチルセル
ロース247gにメチルイソブチルケトン225g、メ
タノール225g、水50gおよび酢酸16.8g
(0.28モル)からなる混合溶媒IIを加えてスラリー
とし、前記工程Aと同様にして濾別した。その後、得ら
れた残渣に、メチルイソブチルケトン225g、メタノ
ール225gおよび水50gからなる混合溶媒Iを加え
てスラリーとし、前記と同様にして濾別した。
【0059】得られた残渣を減圧下で70℃で一昼夜乾
燥し、ヒドロキシエチルセルロースの乾燥品74gを得
た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性として
粘度および強熱残分を前記方法に従って調べた。その結
果を表1に示す。
【0060】実施例2 実施例1において、酢酸の量を25.2g(0.42モ
ル)に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒドロキ
シエチルセルロース73gを得た。
【0061】得られたヒドロキシエチルセルロースの物
性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示
す。
【0062】実施例3 実施例1において、酢酸の使用量を8.4g(0.14
モル)に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒドロ
キシエチルセルロース74gを得た。
【0063】得られたヒドロキシエチルセルロースの物
性を実施例1と同様に調べた。その結果を表1に示す。
【0064】実施例4 (工程A)1L容のニーダーに、製造例で得られたアル
カリセルロース150g、エチレンオキシド75gおよ
びメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ
後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温して
アルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応
させた。
【0065】次に、得られた反応混合物に、メチルイソ
ブチルケトン450g、メタノール450gおよび水1
00gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0066】得られたスラリーを数分間静置した後、ス
ラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒ
ドロキシエチルセルロース249gを得た。
【0067】得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに
残存している水酸化ナトリウム量を滴定により測定した
結果、4.6重量%(0.29モル)であった。
【0068】(工程B)次に、粗ヒドロキシエチルセル
ロース249gにメチルイソブチルケトン225g、メ
タノール225g、水50gおよび酢酸8.6g(0.
14モル)からなる混合溶媒IIを加えてスラリーとし、
前記工程Aと同様にして濾別した。この操作を2回繰り
返した後、減圧下70℃で一昼夜乾燥し、ヒドロキシエ
チルセルロースの乾燥品74gを得た。得られたヒドロ
キシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして調
べた。その結果を表1に示す。
【0069】実施例5 (工程A)1L容のニーダーに、製造例で得られたアル
カリセルロース150g、エチレンオキシド75gおよ
びメチルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ
後、同温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温して
アルカリセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応
させた。
【0070】次に、得られた反応混合物に、メチルイソ
ブチルケトン450g、メタノール450gおよび水1
00gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0071】得られたスラリーを数分間静置した後、ス
ラリーからヒドロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒ
ドロキシエチルセルロース250gを得た。
【0072】得られた粗ヒドロキシエチルセルロースに
残存している水酸化ナトリウム量を滴定により測定した
結果、4.4重量%(0.28モル)であった。
【0073】(工程B)次に、粗ヒドロキシエチルセル
ロース250gにメチルイソブチルケトン225g、メ
タノール225gおよび水50gからなる混合溶媒Iを
加えてスラリーとし、前記工程Aと同様に濾別した。そ
の後、得られた残渣に、メチルイソブチルケトン225
g、メタノール225g、水50gおよび酢酸16.5
g(0.25モル)からなる混合溶媒IIを加えてスラリ
ーとし、前記と同様に濾別した。
【0074】得られた残渣を減圧下70℃で一昼夜乾燥
し、ヒドロキシエチルセルロースの乾燥品75gを得
た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を実施
例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0075】実施例6 実施例1において、酢酸を60重量%硝酸水溶液29.
2g(0.28モル)に変更した以外は、実施例1と同
様にしてヒドロキシエチルセルロース74gを得た。
【0076】得られたヒドロキシエチルセルロースの物
性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示
す。
【0077】比較例1 (工程A)1L容のニーダーに、製造例で得られたアル
カリセルロース150g、酸化エチレン75gおよびメ
チルイソブチルケトン50gを15℃で仕込んだ後、同
温度で30分間混合し、次いで50℃に昇温してアルカ
リセルロースとエチレンオキシドとを3時間反応させ
た。
【0078】次に、得られた反応物に、メチルイソブチ
ルケトン450g、メタノール450gおよび水100
gからなる混合溶媒Iを加えてスラリーとした。
【0079】得られたスラリーに酢酸38g(0.63
モル)を添加して数分間静置した後、スラリーからヒド
ロキシエチルセルロースを濾別し、粗ヒドロキシエチル
セルロース294gを得た。
【0080】(工程B)次に、得られた粗ヒドロキシエ
チルセルロース294gに、メチルイソブチルケトン2
25g、メタノール225gおよび水50gからなる混
合溶媒Iを加えてスラリーとし、前記工程Aと同様にし
て濾別した。この操作を3回繰り返した後、減圧下70
℃で一昼夜乾燥し、ヒドロキシエチルセルロース74g
を得た。得られたヒドロキシエチルセルロースの物性を
実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1に示された結果から、実施例1〜6で
得られたヒドロキシエチルセルロースは、粘度が高く、
また強熱残分が少ないことから、ヒドロキシエチルセル
ロースが効率的に洗浄されていることがわかる。
【0083】一方、比較例1では、各実施例で得られた
ヒドロキシエチルセルロースと同様の物性を有するもの
を製造しようとすれば、酸および洗浄溶媒を多量に使用
しなければならず、洗浄効率が悪いことがわかる。
【0084】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、アルカリセ
ルロースとエチレンオキシドとを反応させて得られたヒ
ドロキシエチルセルロース中に残存しているアルカリを
効率的に除去し、工業的に有利にヒドロキシエチルセル
ロースを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 智朗 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社機能樹脂研究所内 Fターム(参考) 4C088 AB59 AC05 AC11 BA08 CA23 MA52 NA05 NA06 ZB26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルカリセルロースとエチレンオ
    キシドとを反応させて得られたヒドロキシエチルセルロ
    ースを、難水溶性有機溶媒、メタノールおよび水からな
    る混合溶媒Iを用いて洗浄する第1洗浄工程と、(B)
    前記混合溶媒Iおよび酸からなる混合溶媒IIで洗浄する
    第2洗浄工程を含むヒドロキシエチルセルロースの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 混合溶媒Iが、難水溶性有機溶媒20〜
    50重量%、メタノール20〜60重量%および水2〜
    30重量%からなる請求項1記載のヒドロキシエチルセ
    ルロースの製造方法。
  3. 【請求項3】 難水溶性有機溶媒が、メチルイソブチル
    ケトンである請求項1または2記載のヒドロキシエチル
    セルロースの製造方法。
  4. 【請求項4】 混合溶媒IIに含まれている酸の量が、第
    1洗浄工程で洗浄されたヒドロキシエチルセルロース中
    に残存しているアルカリ1モルあたり0.5〜3モルで
    ある請求項1記載のヒドロキシエチルセルロースの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 酸が、酢酸または硝酸である請求項1〜
    4いずれか記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方
    法。
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