JP2003155301A - ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 - Google Patents
ヒドロキシエチルセルロースの製造方法Info
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Abstract
ときに所望のpHを有する水溶液を与えるヒドロキシエ
チルセルロースの製造方法を提供すること。 【解決手段】アルカリセルロースとエチレンオキシドと
を反応させて得られる粗ヒドロキシエチルセルロースに
残存しているアルカリを(A)強酸を用いて中和する第
1中和工程および(B)弱酸を用いて中和する第2中和
工程によって中和するヒドロキシエチルセルロースの製
造方法。
Description
セルロースの製造方法に関する。さらに詳しくは、増粘
剤、乳化重合用安定剤、塗料、化粧品、分散剤、保水
剤、保護コロイド等の種々の用途に好適に使用しうる半
合成高分子化合物であるヒドロキシエチルセルロースの
製造方法に関する。
セルロースをアルカリで処理したアルカリセルロースと
エチレンオキシドとを反応させることによって製造され
ている。
ルセルロース中には多量のアルカリが残存しているた
め、残存するアルカリを中和する工程が必要である。
ては、反応により得られたスラリー状態の粗ヒドロキシ
エチルセルロースに、該粗ヒドロキシエチルセルロース
に残存しているアルカリに相当する量(モル)の酸(以
下、当該量の酸という)を添加して中和を行い、その
後、生成した塩を洗浄により除去する方法が知られてい
る。
態で中和を行うため、中和反応が均一に進行しやすいも
のの、残存するアルカリが多く、中和に必要な酸の量が
多くなるため、工業的に好ましくないという欠点があ
る。
チルセルロースを予め反応溶媒、アルコール、水の混合
溶媒で洗浄して大部分のアルカリを除去した後、洗浄後
に残存しているアルカリを当該量の酸で中和を行う方法
が知られている。この方法では、洗浄後に中和が行われ
るため、必要な酸の量は少量でよい。
ドロキシエチルセルロースは、乾燥して製品とされる。
得られたヒドロキシエチルセルロースは、通常、1〜3
重量%程度の水溶液として用いられる。この際に、水溶
液がアルカリ性ではヒドロキシエチルセルロースが分解
しやすいため、通常、得られるヒドロキシエチルセルロ
ースの水溶液のpHは5〜8とされている。
カリ量を正確に測定することが困難であるため、前記の
中和を行う際に、強酸を用いると、中性付近でpHが急
激に変化し、中和の終点を正確に判定することが困難で
ある。その結果、得られるヒドロキシエチルセルロース
中には、酸またはアルカリが過剰に存在する場合があ
り、その水溶液のpHも大きく変化する。このように、
残存アルカリを強酸で中和して得られるヒドロキシエチ
ルセルロースの水溶液のpHを、例えば、5〜8の範囲
内にあるようにすることは容易ではない。
弱酸を用いて残存アルカリの中和が行われているが、弱
酸は一般的に強酸と比べて高価であり工業的に不利であ
る。さらに、酢酸は有臭であるため、得られるヒドロキ
シエチルセルロースにわずかでも残存すると臭気が残
り、用途によっては使用することができないという欠点
がある。
エチルセルロースを水に溶解させたときに所望のpHを
有する水溶液を与えるヒドロキシエチルセルロースの製
造方法を提供することを目的とする。
ロースとエチレンオキシドとを反応させて得られる粗ヒ
ドロキシエチルセルロースに残存しているアルカリを (A)強酸を用いて中和する第1中和工程および (B)弱酸を用いて中和する第2中和工程 によって中和するヒドロキシエチルセルロースの製造方
法に関する。
チルセルロース」とは、アルカリセルロースとエチレン
オキシドとを反応させて得られるヒドロキシエチルセル
ロースをいう。
ロースを調製する方法としては、特に限定されないが、
例えば、セルロースをアルカリ水溶液で処理して得られ
るアルカリセルロースをエチレンオキシドおよび反応溶
媒と混合した後、アルカリセルロースとエチレンオキシ
ドとを反応させる方法などが挙げられる。
カリ水溶液で処理し、アルカリセルロースを製造する。
粉末状等のコットンリンター、木材パルプ等を挙げるこ
とができる。
されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液
等を挙げることができる。これらの中では、安価である
観点から、水酸化ナトリウムの水溶液が好ましい。アル
カリ水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常、10
〜30重量%である。
リ水溶液の使用量は、スラリーの流動性を向上させ、セ
ルロースとアルカリとの反応が局部的に進行するのを回
避する観点および容積効率を向上させる観点から、セル
ロース100重量部に対して1000〜6000重量
部、好ましくは2000〜5000重量部であることが
望ましい。
法としては、例えば、浸漬、混合等の方法等を挙げるこ
とができる。
溶液に浸漬し、攪拌翼を備えた容器内で、通常、20〜
50℃で20分間〜2時間程度混合してアルカリを作用
させた後、加圧濾過して、アルカリ水溶液を圧搾除去す
る方法等を挙げることができる。
ルロースとエチレンオキシドとを反応させることによ
り、粗ヒドロキシエチルセルロースを得ることができ
る。
レンオキシドの付加モル数によって決定される。通常、
エチレンオキシドの量は、セルロースへの付加量を増大
させ、ヒドロキシエチルセルロースの水に対する溶解度
を高める観点およびヒドロキシエチルセルロースの収率
を高める観点から、セルロース100重量部に対して6
0〜200重量部、好ましくは80〜180重量部であ
ることが望ましい。
例えば、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソアミルアルコー
ル等のアルコール類;ジオキサン、1,2−ジメトキシ
エタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げるこ
とができる。
局部的にセルロースに付加することを回避する観点およ
び容積効率を高める観点から、アルカリセルロース10
0重量部に対して20〜800重量部、好ましくは20
〜600重量部であることが望ましい。
短縮させる観点および反応が急激に進行するのを回避
し、温度および圧力の制御を容易にする観点から、通
常、30〜80℃、好ましくは40〜60℃であること
が望ましい。
るので一概には決定することができないが、通常、1〜
15時間程度である。
リやエチレンオキシドから副生したエチレングリコール
類を除去する。
剰のアルカリやエチレンオキシドによって副生したエチ
レングリコール類を効率的に除去することができる観点
から、反応で使用した反応溶媒に特定量のメタノールと
特定量の水を添加した混合溶媒が好ましい。混合溶媒に
おけるメタノールの量は、通常、20〜60重量%であ
ることが好ましい。また、混合溶媒における水の量は、
通常、5〜30重量%であることが好ましい。
ことを回避する観点および使用量に見合う効果がなく経
済的でなくなるのを回避する観点から、セルロース10
0重量部に対して、500〜7000重量部、好ましく
は1000〜5000重量部であることが望ましい。
ロースが得られる。本発明においては、得られた粗ヒド
ロキシエチルセルロースに残存しているアルカリを (A)強酸を用いて中和する第1中和工程および (B)弱酸を用いて中和する第2中和工程 によって中和する点に、1つの大きな特徴がある。
は、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存しているアル
カリが強酸によって中和される。とりわけ、第1中和工
程において、アルカリ量の60〜90モル%、好ましく
は65〜85モル%を強酸で中和することが望ましい。
使用量は、その種類によって異なるが、粗ヒドロキシエ
チルセルロースに残存しているアルカリ量の60〜90
モル%、好ましくは65〜85モル%を中和しうる量で
あることが望ましい。
おくことにより、弱酸の使用量を低減し、工業的に有利
にヒドロキシエチルセルロースを製造することができ
る。
例えば、硫酸、塩酸、硝酸等が挙げられる。これらの中
では、取り扱いやすく、臭気が少ない観点から、硝酸が
好ましい。
ができる。その濃度は、特に限定されないが、乾燥に長
時間を要するのを回避する観点から、3重量%〜飽和濃
度、好ましくは5重量%〜飽和濃度であることが望まし
い。
セルロースの中和方法には、特に限定がない。中和方法
としては、例えば、ニーダー等の攪拌混合機内に粗ヒド
ロキシエチルセルロースおよび強酸を仕込み、攪拌下で
混合する方法等が挙げられる。攪拌下で混合する際の温
度は、中和を円滑に進行させる観点および粗ヒドロキシ
エチルセルロースの分解を抑制する観点から、5〜35
℃、好ましくは10〜30℃であることが望ましい。
異なるので一概には決定することができないが、通常、
10分間〜1時間程度である。
キシエチルセルロースは、第2中和工程に供される。
れた粗ヒドロキシエチルセルロース中に残存しているア
ルカリを弱酸によってほぼ完全に中和する。
中和工程で中和されなかったアルカリをほぼ完全に中和
する際に、強アルカリと弱酸との反応により中和の終点
をより正確にコントロールすることができる。その結
果、得られた製品状態のヒドロキシエチルセルロースを
水に溶解させたとき、その水溶液のpHは、5〜8の範
囲内となる。
例えば、蟻酸、酢酸、リン酸、プロピオン酸等が挙げら
れる。これらの中では、比較的安価で、臭気が少ない観
点から、リン酸が好ましい。
られるヒドロキシエチルセルロース10gを水490g
に溶解させて得られた2重量%水溶液のpHが所望の範
囲内、すなわち、5〜8の範囲内、好ましくは5.5〜
7.5の範囲内となるような量であることが好ましい。
る。その濃度は、特に限定されないが、乾燥に長時間を
要するのを回避する観点から、3重量%〜飽和濃度、好
ましくは5重量%〜飽和濃度であることが望ましい。
ルロースの中和方法には、特に限定がない。中和方法と
しては、例えば、第1中和工程で中和された粗ヒドロキ
シエチルセルロースに、引き続いて弱酸を添加し、攪拌
下で混合する方法等が挙げられる。攪拌下で混合する際
の温度は、中和を円滑に進行させる観点および粗ヒドロ
キシエチルセルロースの分解を抑制する観点から、5〜
35℃、好ましくは10〜30℃であることが望まし
い。
異なるので一概には決定することができないが、通常、
10分間〜1時間程度である。
ースは、上記のようにして中和された後、常圧ないし減
圧下で乾燥することにより、ヒドロキシエチルセルロー
スの乾燥品とすることができる。
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例
により何ら限定されるものではない。
ヒドロキシエチルセルロースは、以下の方法により評価
した。
0gに溶解し、2重量%ヒドロキシエチルセルロース水
溶液を調製した。得られたヒドロキシエチルセルロース
の水溶液をpHメーター〔(株)堀場製作所製、品番:
F−12〕を用いて20℃の温度で測定した。
ロースの水溶液を、ブルックフィールド型回転粘度計
〔東機産業(株)製、品番:BM型〕を用いて20℃、
30rpm(No.4ローター)の条件で測定した。
ロースの水溶液を、30cm用透視度計〔岩城硝子
(株)製〕を用いて測定した。
20重量%水酸化ナトリウム水溶液2000gに浸漬
し、5L容のフラスコ内で30℃で30分間攪拌混合し
てアルカリを作用させた。その後、加圧濾過して、水酸
化ナトリウム水溶液を圧搾除去し、アルカリセルロース
150gを得た。
ルロース150g、酸化エチレン75gおよびメチルイ
ソブチルケトン50gを15℃で仕込み、引き続き同温
度で30分間混合した後、50℃に昇温して3時間反応
させた。
ケトン450g、メタノール450gおよび水100g
からなる混合溶媒を加えてスラリーとした。得られたス
ラリーを数分間静置した後、粗ヒドロキシエチルセルロ
ースを濾別した。
ースにメチルイソブチルケトン225g、メタノール2
25gおよび水50gからなる混合溶媒を加えてスラリ
ーとし、前記と同様にして濾別した。この操作を2回繰
り返し、粗ヒドロキシエチルセルロース198gを得
た。
の水酸化ナトリウムの残存量は、1.5重量%(74.
3ミリモル)であった。
存している水酸化ナトリウムの量は、粗ヒドロキシエチ
ルセルロース4gを精秤し、これをイオン交換水100
gに溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、
1N塩酸で滴定し、使用した塩酸量から算出した。算出
した水酸化ナトリウムの量を重量換算することにより、
粗ヒドロキシエチルセルロースに対する量を求めた。
ルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸10.
9g(51.9ミリモル、残存アルカリ量の70モル
%)を添加して、20℃、15分間攪拌下で混合して第
1中和工程を行った。
液に、25重量%リン酸4.6g(11.7ミリモル)
を添加して20℃、15分間攪拌下で混合して第2中和
工程を行った。
ドロキシエチルセルロース77gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性として、水溶液のpH、
粘度および透視度を前記方法に従って調べた。その結果
を表1に示す。
ルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸12.
3g(58.6ミリモル、残存アルカリ量の79モル
%)を添加して、20℃で15分間攪拌下で混合して第
1中和工程を行った。
液に、25重量%リン酸4.6g(11.7ミリモル)
を添加して20℃で15分間攪拌下で混合して第2中和
工程を行った。
ドロキシエチルセルロース78gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
ルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸12.
9g(61.4ミリモル、残存アルカリ量の83モル
%)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第1
中和工程を行った。
液に、25重量%リン酸5.4g(13.8ミリモル)
を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第2中和
工程を行った。
ドロキシエチルセルロース79gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
ルセルロース198gを仕込み、30重量%硝酸10.
9g(51.9ミリモル、残存アルカリ量の70モル
%)を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第1
中和工程を行った。
液に、25重量%リン酸8.2g(20.9ミリモル)
を添加し、20℃で15分間攪拌下で混合して第2中和
工程を行った。
ドロキシエチルセルロース78gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
ルセルロース198gを仕込み、60重量%硝酸8.6
g(81.9ミリモル)を添加し、20℃で15分間攪
拌下で混合して中和を行った。このとき、強酸(硝酸)
の使用量は、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存して
いる水酸化ナトリウムの量74.3ミリモルに対して
1.10倍モル当量であった。
ドロキシエチルセルロース77gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
ルセルロース198gを仕込み、60重量%硝酸9.0
g(85.7ミリモル)を添加し、20℃で15分間攪
拌下で混合して中和を行った。このとき、強酸(硝酸)
の使用量は、粗ヒドロキシエチルセルロースに残存して
いる水酸化ナトリウムの量74.3ミリモルに対して
1.15倍モル当量であった。
ドロキシエチルセルロース77gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
ルセルロース198gを仕込み、25重量%リン酸2
4.2g(61.7ミリモル)を添加し、20℃、15
分間攪拌下で混合して中和を行った。このとき、弱酸
(リン酸)の使用量は、粗ヒドロキシエチルセルロース
に残存している水酸化ナトリウムの量74.3ミリモル
に対して2.49倍モル当量であった。
ドロキシエチルセルロース80gを得た。得られたヒド
ロキシエチルセルロースの物性を実施例1と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
は、強酸と弱酸とを用いて中和が行われているので、得
られるヒドロキシエチルセルロースの水溶液のpHは、
5〜8の範囲内にあることがわかる。
は、強酸のみを用いて中和が行われているため、強酸の
使用量が少しでも多くなると得られるヒドロキシエチル
セルロースの水溶液のpHは、3〜4程度まで変化する
ことがわかる。
いられているため、ヒドロキシエチルセルロースの水溶
液のpHを5〜8の範囲内とするためには、弱酸を多く
使用しなければならないことがわかる。
エチルセルロースを水に溶解させて得られる水溶液のp
Hを容易に5〜8の範囲内とすることができる。したが
って、本発明の製造方法は、工業的に有利にヒドロキシ
エチルセルロースを製造することができるという効果を
奏する。
Claims (4)
- 【請求項1】 アルカリセルロースとエチレンオキシド
とを反応させて得られる粗ヒドロキシエチルセルロース
に残存しているアルカリを (A)強酸を用いて中和する第1中和工程および (B)弱酸を用いて中和する第2中和工程 によって中和するヒドロキシエチルセルロースの製造方
法。 - 【請求項2】 第1中和行程において、粗ヒドロキシエ
チルセルロースに残存しているアルカリ量の60〜90
モル%を中和する請求項1記載のヒドロキシエチルセル
ロースの製造方法。 - 【請求項3】 強酸が、硝酸である請求項1または2記
載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。 - 【請求項4】 弱酸が、リン酸である請求項1〜3いず
れか記載のヒドロキシエチルセルロースの製造方法。
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JP2001355735A JP4153692B2 (ja) | 2001-11-21 | 2001-11-21 | ヒドロキシエチルセルロースの製造方法 |
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