JP2003252902A - 低置換度セルロースエーテル粉末とその製造方法 - Google Patents
低置換度セルロースエーテル粉末とその製造方法Info
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Abstract
し、何らかの担体に使用するのにも適したセルロース系
ポリマーを提供する。 【解決手段】 一次粒子のアスペクト比が1.0〜1.
5のものが95重量%以上である低置換度セルロースエ
ーテル粉末を提供する。また、低置換度セルロースエー
テルのアルカリ溶液に酸を加えて中和しながら、又は酸
を加えて中和した後、剪断摩砕し、得られ分散液を噴霧
乾燥することを特徴とするモル置換度0.05〜1.0の
低置換度セルロースエーテル粉末の製造方法を提供す
る。さらに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを
剪断摩砕により水に膨潤分散する工程と、得られる分散
液を噴霧乾燥することを特徴とするモル置換度0.05
〜1.0の低置換度セルロースエーテル粉末の製造方法
を提供する。
Description
粧品、水性塗料、インキ、糊料等の分散安定剤、粘度調
節剤等として好適に使用される低置換度セルロースエー
テル粉末とその製造方法に関するものである。
ーの寄与は大きく、例えば結晶セルロースや粉末セルロ
ース、また水溶性セルロース誘導体が広く使用されてい
る。また、特公昭56−54292号公報、特公昭62
−61041号公報、特公平6−49768号公報に
は、低置換度セルロースエーテル粉末を水に分散させ、
これを剪断摩砕することを特徴とする水性ゲルの製造方
法が開示されている。
て望まれる性能として、使用法が簡便で安定であり、目
的に合った粘性や保形性、良好な使用感を有すること等
である。結晶セルロースは、そのような性能を有してお
り広く使用されているが、保水性に若干欠けるところが
ある。また、公知の低置換度セルロースエーテルは、繊
維状をしているため、例えば皮膚に適用する場合の使用
感に欠ける問題がある。また、公知の低置換度セルロー
スエーテルでは、一次粒子の段階で実質的に球状である
ものはなく、例えば何らかの担体に使用したい場合不都
合である。本発明の目的は、これらの問題点を克服した
セルロース系ポリマーの提供にある。
結果、上記課題を解決する物質を見出し、本発明を完成
させた。本発明は、一次粒子のアスペクト比が1.0〜
1.5のものが95重量%以上である低置換度セルロー
スエーテル粉末を提供する。また、本発明は、低置換度
セルロースエーテルのアルカリ溶液に酸を加えて中和し
ながら、又は酸を加えて中和した後、剪断摩砕し、得ら
れ分散液を噴霧乾燥することを特徴とするモル置換度
0.05〜1.0の低置換度セルロースエーテル粉末の製
造方法を提供する。さらに、本発明は、低置換度ヒドロ
キシプロピルセルロースを剪断摩砕により水に膨潤分散
する工程と、得られる分散液を噴霧乾燥することを特徴
とするモル置換度0.05〜1.0の低置換度セルロース
エーテル粉末の製造方法を提供する。
明する。本発明における低置換度セルロースエーテル
は、水には溶解しないがアルカリ溶液に溶解する性質を
もつものである。一般にセルロースは、水に不溶である
が、セルロースを構成しているグルコース環の水酸基の
水素原子をアルキル基やヒドロキシアルキル基で置換す
ると、その置換の程度によって水溶性を持つようにな
る。しかしながら、置換の程度が低いものは水への溶解
性は見られず、その変わりにアルカリ溶液には溶解する
性質をもつことが多い。多くの場合、低置換度セルロー
スエーテルの粉末は、水中に分散されると、その一部が
膨潤した状態となる。置換度が高くなると水溶性のもの
となり、また逆にアルカリに溶解する性質を失う。その
ような水溶性セルロースエーテルを使用することでは本
発明の水性ゲル状物を得ることはできない。
ーテルの主なものについて望ましいモル置換度は、0.
05〜1.0であり、望ましい置換基の重量%の範囲
(カッコ内はモル置換度を示す。)を示せば次の通りで
ある。なお、モル置換度は、日本薬局方を参考に測定で
きる。 低置換度メチルセルロース:メトキシル基3〜15重量
%(0.16〜0.85) 低置換度ヒドロキシエチルセルロース:ヒドロキシエト
キシル基3〜15重量%(0.08〜0.45) 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:ヒドロキシプ
ロポキシル基4〜20重量%(0.09〜0.51) 低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース:メトキ
シル基3〜12重量%、ヒドロキシプロポキシル基4〜
20重量%(両置換基を合わせて0.25〜1.0)
は、水には不溶であるがアルカリ水溶液には溶解し、ま
た吸水して膨潤する性質を持つ。さらに典型的な例とし
て、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げら
れ、この物質は信越化学工業社より低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロースの商品名で現在市販されており、日
本薬局方に収載され、特に医薬材料分野で錠剤に配合さ
れる崩壊剤として汎用されているものである。
知の製造法は、例えば特公昭57−53100号公報に
おいて説明されている。製造するためには、まずアルカ
リセルロースの調製が必要となる。これは出発原料であ
るパルプのシート状のものをアルカリ水溶液、例えば苛
性ソーダに浸せきするか、又はパルプを粉砕したものを
そのままアルカリ溶液と混合したり、パルプ粉末を有機
溶剤中に分散させた後でアルカリを加える等して調製さ
れる。次に、アルカリセルロースを反応器に仕込み、プ
ロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のエーテル
化剤を添加した後、加熱して反応させるとセルロースエ
ーテルとなる。反応終了後の粗セルロースエーテルを別
のタンクに移し、アルカリを酸で中和して固形物を洗
浄、乾燥、粉砕して粉末として最終製品とする。或い
は、反応直後の粗セルロースエーテルを水に完全溶解又
は部分溶解させた後で中和し、析出する高分子を分取し
て洗浄、乾燥、粉砕する方法を取る場合もある。
度セルロースエーテルを一度アルカリ水溶液に溶解後、
中和しながら、又は中和した後でこれに剪断摩砕をかけ
て得た分散液を噴霧乾燥することによる。ここで、前述
の方法で一度最終製品とされた低置換度セルロースエー
テル粉末をアルカリ水溶液に溶かしても、反応直後の段
階で粗セルロースエーテルを水に溶解しても結果的には
同様の効果が得られる。後者の場合は、粗セルロースエ
ーテルがアルカリを含んでいるため、溶かす溶媒は水の
みでもよいが、溶解を確実にするためにアルカリを追加
する場合もある。いずれの方法も本発明に包含される。
性ソーダ等が挙げられ、その濃度は使用するセルロース
エーテルの置換基の種類と置換度により異なるので適宜
決定するが、通常2〜25重量%、特に3〜15重量%
である。典型的な例としては、モル置換度0.2の低置
換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合、10重量%
の苛性ソーダに溶解する。なお、置換基の分布の違いに
より、透明な溶液となる場合と完全に透明でない場合が
ある。後者の場合、明らかに粘性が上昇している時はこ
れを溶解しているものと見なす。
酸、酢酸等を用いればよい。アルカリ溶液を剪断摩砕機
にかけ、徐々に酸を加えて中和を進めながら摩砕する
か、又は先に当量の酸を加えて中和し、析出した高分子
が存在する液をそのまま剪断摩砕する。
スエーテルのアルカリ性溶液又はそれを中和した液を好
ましくは乳化分散機を用いて摩砕する方法である。乳化
分散機としては、特に限定しないが、振動ボールミル、
コロイドミル、ホモミキサー、プロペラ式ホモジナイザ
ーや高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等のホ
モジナイザー等が挙げられる。この中でも、ホモジナイ
ザーが好ましく、高圧をもってバルブの隙間から処理液
を噴射させる高圧式ホモジナイザー(例えば、三和機械
社製「ホモジナイザー」、スギノマシン社製「アルティ
マイザーシステム」、みずほ工業社製「マイクロフルイ
ダイザー」、ゴーリン社製高圧ホモジナイザー)、超音
波の振動を利用した超音波ホモジナイザー(例えば、日
本精機製作所製「超音波ホモジナイザー」)が均一な水
分散系を調製する上で好ましい。このとき、アルカリ性
溶液の場合は、これに塩酸、硫酸、酢酸等の酸を徐々に
加えながら摩砕を進める。剪断摩砕条件は、特に限定さ
れないが、例えばプロペラ式ホモジナイザーであれば
3,000〜15,000rpm、特に10,000〜
15,000rpm、高圧ホモジナイザーであれば、圧
力100〜2,000kg/cm2、特に200〜2,
000kg/cm2好ましい。
テル濃度は、0.01〜20重量%、特に0.1〜10
重量%とすることが好ましい。これより濃度が高くなる
と、粘性が過度に上昇し、摩砕が困難になるおそれがあ
る。
た塩が存在するので、所望によりこれを遠心分離又は透
析等の手法で取り除く。なお、本発明の分散液には、ゲ
ル状のものも含まれる。
をアルカリに溶解することなく、低置換度セルロースエ
ーテルを水に膨潤分散させ剪断摩砕、好ましくは乳化分
散機を用いて剪断摩砕する方法を用いることができる。
法により粉末化する。噴霧乾燥は、例えば、噴霧乾燥装
置を用いて20〜150℃で乾燥することにより行われ
る。得られる粉末はその一次粒子が実質的に球状を成し
ており、そのアスペクト比(粒子の長径と短径の比)が
1.0〜1.5のものが95重量%以上である。これま
でのものとは異なり、繊維状の粒子は存在しない。ま
た、繊維状粒子を含む低置換度セルロースエーテルを湿
式造粒法等により球形顆粒としたものは、これは一次粒
子と見なされないので本発明とは異なる。なお、アスペ
クト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察に基づき、
粒子の長径や粒子の短径で表すものとする。アスペクト
比が上記の範囲にないと、皮膚に適用したときの使用感
に欠けてしまう。
均粒子径は、通常、篩法、レーザー回折法、顕微鏡によ
る視覚的方法等の方法(ただし乾式法に限る)で1mm
以下であり、好ましくは100μm以下である。さらに
好ましくは10μm以下である。なお、その下限は特に
制限されないが、通常0.1μm以上である。粒子の大
きさは、分散液を調製する時の剪断摩砕の力、また溶け
ている高分子の濃度等の条件によりコントロールされ
る。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
工業社製、モル置換度0.2、平均粒径100μm)
7.5gを6.3重量%NaOH水溶液425gに溶解
した。この溶液をホモジナイザー(日本精機製作所製A
M−10型)を用いて5,000rpmで剪断摩砕しな
がら容器の小さな孔より中和当量の酢酸を5分にわたり
滴下した。中和後、さらに10,000rpmで10分
間剪断摩砕を続けた。得られたゲルを10,000rp
mで10分間遠心分離し、上清を捨て、沈殿物に固形分
濃度が2重量%となるように新たな純水を加えて再分散
した。この分散液を噴霧乾燥装置(Pulvis社 M
inispray)を用い吸気温度120℃で噴霧乾燥
して粉末を得た。この粉末を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ一次粒子は球状をしており、粒子の95重量%以上が
アスペクト比1.1であった(図1と図2を参照)。写
真から平均粒子径を求めたところ、2μmであった。
カリセルロースとし、これを1cm×1cmのチップ状
にカットした。このもの100gを反応器に仕込み、プ
ロピレンオキサイド11gを添加した。反応器を窒素置
換して密封し、撹拌しながら60℃で5時間加熱した。
反応物を少量サンプリングし、中和洗浄、乾燥後のモル
置換度測定値は0.2であった。別に反応生成物7gを
水400gに溶解し、これを上記と同形式のホモジナイ
ザーを用い5,000rpmで回転させながらチャンバ
ーの小孔から酢酸を5分間にわたり徐々に加えて中和し
た。中和後さらに1,000rpmで5分剪断摩砕を続
けた。得られた水性ゲルを10,000rpmで10分
間遠心分離した後、上清を取り除き、新たに純水350
gを加えて再分散し、再び遠心分離して上清を取り除い
た。もう一度同様の操作を繰り返し、ゲルを精製した。
さらにセルロースエーテルの濃度が3重量%となるよう
に水を加えて濃度調整を行った。この分散液を噴霧乾燥
装置(Pulvis社Minispray)で吸気温度
120℃で噴霧乾燥して粉末を得た。この粉末を電子顕
微鏡で観察したところ一次粒子は球状をしており、粒子
の95重量%以上がアスペクト比1.1であった。写真
から平均粒子径を求めたところ、3μmであった。
ロピルセルロースをそれぞれ低置換度メチルセルロース
(モル置換度0.28)、低置換度ヒドロキシプロピル
メチルセルロース(メトキシ基モル置換度0.13、ヒ
ドロキシプロポキシル基モル置換度0.18)、低置換
度ヒドロキシエチルセルロース (モル置換度0.2)
に置き換えて粉末を調製した。これらの粉末を電子顕微
鏡で観察したところ一次粒子は球状をしており、そのア
スペクト比及び写真から平均粒子径を求めた結果を表1
に示す。
たところ、半透明でチキソトロピックな粘性を有するゲ
ルとなった。市販の低置換度ヒドロキシプロピルセルロ
ース粉末(信越化学工業社製LH−31、モル置換度
0.2、繊維状粒子、平均粒径17μm、図3参照)を
同様に水に分散させたところ、白濁したゲル状となった
が、実施例1のものに比べると滑らかさに欠け、皮膚へ
の触感に劣っていた。
ル粉末は、粒子形状の点で先行技術のものより優れてい
るものであり、ペースト状、ゲル状の食品、医薬品、化
粧品、或いは水系塗料、インキ、糊料等に使用した場
合、これらの保水性、分散安定性、増粘作用において優
れた効果を有する。
ルセルロース粉末のSEM写真(5,000倍)であ
る。
ルセルロース粉末のSEM写真(250倍)である。
ロピルセルロース粉末(LH−31)のSEM写真(3
50倍)である。
法により粉末化する。噴霧乾燥は、例えば、噴霧乾燥装
置を用いて20〜150℃で乾燥することにより行われ
る。得られる粉末はその一次粒子が実質的に球状を成し
ており、そのアスペクト比(粒子の長径と短径の比)が
1.0〜1.5のものが95重量%以上である。これま
でのものとは異なり、繊維状の粒子は存在しない。ま
た、繊維状粒子を含む低置換度セルロースエーテルを湿
式造粒法等により球形顆粒としたものは、これは一次粒
子と見なされないので本発明とは異なる。なお、アスペ
クト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察に基づき、
粒子の長径と粒子の短径の比で表すものとする。アスペ
クト比が上記の範囲にないと、皮膚に適用したときの使
用感に欠けてしまう。
Claims (4)
- 【請求項1】 一次粒子のアスペクト比が1.0〜1.
5のものが95重量%以上含まれるモル置換度0.05
〜1.0の低置換度セルロースエーテル粉末。 - 【請求項2】 平均粒子径が、1mm以下である請求項
1に記載の低置換度セルロースエーテル粉末。 - 【請求項3】 低置換度セルロースエーテルのアルカリ
溶液に酸を加えて中和しながら、又は酸を加えて中和し
た後、剪断摩砕し、得られる分散液を噴霧乾燥すること
を特徴とするモル置換度0.05〜1.0の低置換度セル
ロースエーテル粉末の製造方法。 - 【請求項4】 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
を剪断摩砕により水に膨潤分散する工程と、得られる分
散液を噴霧乾燥することを特徴とするモル置換度0.0
5〜1.0の低置換度セルロースエーテル粉末の製造方
法。
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