JP2005336177A - フィルム製剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生体にとって有害性のない高分子であって、皮膚に対し接着性の高いフィルム製剤を提供することを目的とし、さらには油状の薬効成分を含有し、皮膚に対し接着性の高いフィルム製剤を提供する。
【解決手段】 薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルとを含有し、皮膚接着時間が100分以上であるフィルム製剤であり、これを使用時に水で湿潤させるだけで皮膚接着性に優れた皮膚接着性含水シートとなるフィルム製剤を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、化粧品、医薬品、その他の用途に使用されるゲル状シートに関するものであり、特に、皮膚に付着させ使用する美容用のシートまたは経皮吸収製剤に関するものである。
従来、寒天等を主成分とするゲル状シートが知られている。これらは、ゲル形成成分としての寒天が水中で網目構造を形成し、保水等の目的で使用されている。しかしながら、寒天から作られたゲル状シートは強度的に不足である場合があった。また、このようなゲル状シートに油状の薬効成分を含有させるには限界があった。
また、アクリル系ポリマーのゲルでは、残留するモノマーの毒性が懸念され、皮膚に対する刺激性が少ないものが望まれている。また、架橋剤が必要な場合が多く製造に手間がかかるといった問題点があり、このゲルについても油状の薬効成分を含有させるには限界があった。
一方、顔や手、その他の肌に適用する美容シートは、保水剤とそれを担持させる高分子を配合させたものや保水剤を含む成分をシート上に塗布して使用するものが多い。例えば、特許文献1では、繊維シートにヒアルロン酸やコラーゲン等の保湿剤を担持させる保湿美容シートが開示されている。また、特許文献2には、キトサンと媒質ペーストからなる美容パックが、特許文献3にはカチオン性バイオポリマーを架橋させたコラーゲンを含まない保湿マスクが開示されている。
これらは、主に紙性のシート状に保水剤を含浸させて用いるものが一般的であるが、水分の保持力が十分でなく、紙性のシートによる違和感があるものが多い。また、ゲル状の高分子についても皮膚に対する接着性は改良されてきてはいるが、まだ十分なものではない。さらに架橋剤を使用する等製造に手間がかかる欠点がある。
これらの問題点に対して特許文献2では、モル置換度の低いセルロースエーテルのゲル状シートが、アクリル系ポリマーのようなモノマーの問題もなく、架橋剤を使用する等の製造に手間がかかることもなくして、水分の保持力が十分で、また違和感が生じないシートができることを開示している。しかしながら、かかるシートを生体に付着した場合、含浸する保湿剤、防シワ剤、防シミ剤、美白効果剤等の薬剤が作用し始める時間(20分程)以前に、剥がれ落ちてしまい、薬剤が作用するに最低必要とされる60分以上の粘着性を保つことができず、皮膚接着性が悪いという問題があった。また、上記低置換度セルロースエーテルの含水シートを作製するには、低置換度セルロースエーテルのアルカリ溶液を台板上にキャストした後、そのシートを酸により中和凝固させ、そのシート中の中和塩を洗浄することにより作製できる。しかし、薬効成分を含有するシートを作製するには、予めアルカリ溶液を作る際に薬効成分を添加するか、あるいはシート状にした後に薬効成分を含む液に浸けることにより含浸させる方法があるが、薬効物質においては、アルカリ溶液で分解してしまったり、溶解しなかったり、薬効成分の水溶液中にシートを含浸させても十分な量がシート中に担持できない等の問題があり、さらには水と混和しない油状物質を担時させることができない問題があった。
また、皮膚接着性を改良するために低置換度セルロースエーテルのアルカリ溶液と置換度が1.1〜1.4である水溶性で、かつアルカリ可溶性のセルロースエーテルとの混合溶液を台板上にキャストした後、そのシートを酸により中和凝固させ、そのシート中の中和塩を洗浄することにより、皮膚接着性が改良された含水ゲルシートを作製する方法があるが、この方法では中和塩を除くための洗浄工程で一部水溶性セルロースエーテルが溶け出してしまい含水シートの強度が低下してしまうため、水溶性セルロースエーテルを高い割合で含有する含水シートを作製することができなかった。この水溶性セルロースエーテルの含有量が多い程、皮膚接着性は向上するため得られたシートの皮膚接着性は十分ではなかった。
また、経皮吸収製剤に関するものとしては、特許文献5にニコチン含有フィルム製剤が開示されている。特許文献6には繊維芽細胞成長因子に水溶性セルロース低級アルキルエーテルを配合する皮膚接着性フィルム製剤に関するものが開示されている。特許文献7には薬物が含有する水溶性高分子の層と接着性物質を含有する接着層を有する粘膜付着性多層フィルム製剤に関するものが開示されているが、何れも低置換度セルロースエーテルを含有する含水シートに関するものではない。
特開平9−238738号公報 特開平6−48917号公報 特表2001−502678号公報 特開2003−300852号公報 特開2003−95947号公報 特開平7−82171号公報 特開平9−235220号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、生体にとって有害性のない高分子であって、皮膚に対し接着性の高い含水ゲル状シートを提供することを目的とし、さらには油状の薬効成分を含有し、皮膚に対し接着性の高い含水ゲル状シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、薬物と無水グルコース単位(C6105)あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式湿磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることにより任意な配合量で薬物を含有するフィルム製剤が得られ、これを使用時に水で湿潤させるだけで皮膚接着性に優れた含水シートを作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルとを含有し、皮膚接着時間が100分以上であるフィルム製剤、及びこのフィルム製剤を湿潤させて得られる皮膚接着性含水シートを提供する。
また、本発明は、薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることを含んでなるフィルム製剤の製造方法を提供する。
本発明による薬物を任意の割合で含有し、保水性に優れ、含水時のシート強度および弾性に優れ皮膚への接着性、使用感に優れるフィルム製剤が得られる。さらには、油状物質も含有する皮膚付着性含水シートが得られる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明におけるに低置換度セルロースエーテルは、水には溶解しないがアルカリ溶液に溶解する性質をもつものである。一般にセルロースは水に不溶であるが、セルロースを構成しているグルコース環の水酸基の水素原子をアルキル基やヒドロキシアルキル基で置換すると、その置換の程度によって水溶性を持つようになる。しかしながら、置換の程度が低いものは水への溶解性は見られず、その代わりにアルカリ溶液には溶解する性質を持つことが多い。多くの場合、低置換度セルロースエーテルの粉末は、水中に分散されると、その一部が膨潤した状態となる。モル置換度が高くなると水溶性のものとなり、逆にアルカリに溶解する性質を失う。
本発明で使用される水には溶解しないが、アルカリに溶解する低置換度セルロースエーテルの主なもののモル置換度は、0.05〜1.0である。各種低置換度セルロースエーテル(カッコ内はモル置換度を示す。)の例として、メトキシル基3〜15質量%(0.16〜0.85)を有する低置換度メチルセルロース、ヒドロキシエトキシル基3〜15質量%(0.08〜0.45)を有する低置換度ヒドロキシエチルセルロース、 ヒドロキシプロポキシル基4〜20質量%(0.09〜0.51)を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メトキシル基3〜12質量%とヒドロキシプロポキシル基4〜20質量%(両置換基を合わせて0.25〜1.0)を有する低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。セルロースエーテルの置換度は、日本薬局方に基づいて測定できる。
このような低置換度セルロースエーテルは、水には不溶であるがアルカリ水溶液には溶解し、また吸水して膨潤する性質を持つ。さらに典型的な例として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられ、この物質は信越化学工業社より低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの商品名で現在市販されており、日本薬局方に収載され、特に医薬材料分野で錠剤に配合される崩壊剤として汎用されているものである。
これらの低置換度セルロースエーテルの製造方法は、公知であり、例えば特開昭57−53100号公報において説明されているように、まずアルカリセルロースの調製が必要となる。これは、出発原料であるパルプのシート状のものをアルカリ水溶液、例えば苛性ソーダに浸漬するか又はパルプを粉砕したものをそのままアルカリ溶液と混合したり、パルプ粉末を有機溶剤中に分散させた後でアルカリを加える等して調製される。次にアルカリセルロースを反応器に仕込み、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のエーテル化剤を添加した後加熱して反応させるとセルロースエーテルとなる。反応終了後の粗セルロースエーテルを別のタンクに移し、アルカリを酸で中和し、得られた固形物を洗浄、乾燥、粉砕して粉末として最終製品とする。或いは、反応直後の粗セルロースエーテルを水に完全溶解又は部分溶解させた後に中和し、析出する高分子を分取して洗浄、乾燥、粉砕する方法を採る場合もある。
本発明によるフィルム製剤の製造方法では、薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることにより得られる。この低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物は、低置換度セルロースエーテルの水分散液を湿式粉砕機を用いて磨砕して得られる。
低置換度セルロースエーテルは、特別な撹拌機を必要とせず、低置換度セルロースエーテルを水に投入するか、水を低置換度セルロースエーテルに投入して吸水膨潤させて水分散液として得ることができる。また、湿式粉砕機に低置換度セルロースエーテルと水を投入し、直接湿式粉砕することもできる。
湿式粉砕機としては、振動ボールミル、コロイドミル、ホモミキサー、プロペラ式ホモジェナイザー、高圧式ホモジェナイザー、超音波式ホモジェナイザー、石臼型湿式粉砕機等が挙げられ、高圧式ホモジェナイザー(例えば、スギノマシン社製アルテマイザー、吉田機械社製ナノマイザー、みずほ工業社製マイクロフルイダイザー等)が均一な磨砕物を作製するのに有利である。処理圧力は、ものによって変化するが概ね100〜250MPaが好ましい。100MPa未満ではうまく分散されず、250MPaを超えると処理するには機械的に難しい場合がある。
また、特開2002-204951号公報にあるように低置換度セルロースエーテルのアルカリ溶液に高速撹拌機で混合しながら、酸を添加して中和析出させて均一な低置換度セルロースエーテルの水分散液の湿式磨砕物を得る方法がある。この方法では、低置換度セルロースエーテルのアルカリ溶液に酸を添加し、中和析出ゲル状物を作成し、それを熱水等で洗浄した後、湿式磨砕を行う態様もある。
さらに、前述の低置換度セルロースエーテルのアルカリ溶液は、一度最終製品とされた低置換度セルロースエーテル粉末をアルカリ水溶液に溶かしても、反応直後の段階でアルカリ分を含む粗セルロースエーテルを水に溶解しても結果的には同様の効果が得られる。後者の場合は、粗セルロースエーテルがアルカリを含んでいるため、溶かす溶媒は水のみでもよいが、溶解を確実にするためにアルカリを追加する場合もある。いずれの方法も本発明に適用できる。
溶解に使用するアルカリは、苛性カリ、苛性ソーダ等が挙げられ、その濃度は使用するセルロースエーテルの置換基の種類と置換度により異なるので適宜決定できるが、通常2〜25質量%、特に5〜12質量%が好ましい。典型的な例としては、モル置換度0.2の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースには10質量%の苛性ソーダを用いることができる。なお、置換基の分布の違いにより、透明な溶液となる場合と完全に透明でない場合がある。後者の場合、明らかに粘性が上昇している時はこれを溶解しているものと見なす。
中和に使用する酸としては例えば酢酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸、塩酸、硫酸等の無機酸が挙げられ、その濃度については自由に選択可能であるが、約5〜10質量%が好ましい。
磨砕する時の低置換度セルロースエーテルの濃度としては、2〜20質量%が好ましい。2質量%未満ではその後乾燥する際の負荷が大きくなる恐れがある。この磨砕処理により、そのスラリーはゲルまたはゾル状に増粘するため、20質量%を超えると処理できなくなる恐れがある。
この磨砕物の水での湿潤状態の粒径としては、レーザー回折散乱法にて測定した体積換算での平均粒子径20ミクロン以下が好ましい。水不溶性の高分子の水分散液では分散液中の粒子径が乾燥後の造膜性に影響を与えることは従来から知られているが、低置換度セルロースエーテル磨砕物の場合も同様であり、粒子径が小さい程その水分散液が乾燥する際に最密充填され、隣接粒子同士が合一融合して透明連続フィルムとなり易い。この連続透明フィルムは乾燥時の強度が高く、水湿潤後、その形状を保ちながら吸水したゲル状シートなり、皮膚接着性含水シートを得ることができる。一方、20ミクロン超過ではその水分散液を乾燥しても一部透明な部分のある不連続フィルムとなったり、粉の堆積状物となる。堆積物では乾燥時の強度が弱く、さらに水での湿潤状態ではその形状を保つことができず、目的の皮膚接着性含水シートを作成できない。粒子径の下限は特に限定されないが概ね1ミクロン程度が好ましい。
また、本発明で使用される水溶性セルロースエーテルとしては(かっこ内はモル置換度を示す。)、メチルセルロース(メトキシル基:1.5〜2.0)等のアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(ヒドロキシエチル基:1.0〜3.0)、ヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシプロピル基:2.0〜3.0)等のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシル基:1.1〜2.0、ヒドロキシプロピル基:0.1〜0.4)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(メトキシル基:1.1〜2.0、ヒドロキシエチル基:0.1〜0.4)等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチル基:0.5〜2.5)等が挙げられるが、油状物質を含有するフィルム製剤を作成するには表面張力が低く、界面活性が高く油状物質の液滴を小さく均一に乳化できる点で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが適している。
さらに、水溶性セルロースエーテルの水溶液粘度は、20℃における2質量%水溶液で、3〜4,000mPa・s、特に3〜100mPa・sが好ましい。3mPa・s未満では形成されるフィルムの強度が低下したり、皮膚への付着性が低下する恐れがあり、4,000mPa・sを超えると高濃度の溶液を作製することができないため、乾燥に時間を要したり、溶液の脱泡が困難となる恐れがある。
これらの水溶性セルロースエーテルの製造方法としては、例えば、特開平10−158302号公報に説明されている。製造するためには、まずアルカリセルロースの調製が必要となる。これは、出発原料であるパルプのシート状のものをアルカリ水溶液、例えば苛性ソーダに浸漬するか、又はパルプを粉砕したものをそのままアルカリ溶液と混合したり、パルプ粉末を有機溶剤中に分散させた後でアルカリを加える等して調製される。次に、アルカリセルロースを反応器に仕込み、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のエーテル化剤を添加した後加熱して反応させるとセルロースエーテルとなる。反応終了後の粗セルロースエーテルを別のタンクに移し、メチルセルロース等の熱水に溶解しにくい性質を有するものは熱水で必要な中和洗浄を行う。カルボキシメチルセルロース等熱水にも冷水にも溶解するセルロースエーテルにあっては 必要な中和処理を行って水を含んだメタノール等の貧溶媒中で洗浄し、乾燥、粉砕して粉末として最終製品とする。
本発明のフィルム製剤の製造方法によれば、水溶性セルロースエーテルは、水溶液として薬物や低置換度セルロースエーテルの磨砕物と混合することが好ましい。混合するための水溶性セルロースエーテルの水溶液の濃度は、低置換度セルロースエーテルと水溶性セルロースエーテルとの配合比率やキャストに用いる濃度等を考慮して選択できる。
本発明のフィルム製剤における低置換度セルロースエーテルと水溶性セルロースエーテルとの配合割合(質量比)としては、好ましくは(98/2)〜(40/60)、さらに好ましくは(95/5)〜(50/50)である。低置換度セルロースエーテルと水溶性セルロースエーテルの割合が98/2よりも大きくなると、皮膚に付着した場合、含浸する保湿剤、防シワ剤、防シミ剤、美白効果剤等の薬剤が作用し始める時間(20分程)以前に、剥がれ落ちてしまい、薬剤が作用するに最低必要とされる60分以上の粘着性を保つことができない場合がある。また、油状物質を含有するフィルムを作成するには水溶性セルロースエーテルと油状物質を混合することにより乳化状態となり均一にフィルム内に担持されるが、低置換度セルロースエーテルと水溶性セルロースエーテルの割合が98/2よりも大きくなると、その効果が小さく、うまく安定な乳化液を作成できず不均一な皮膜となる場合がある。
一方、低置換度セルロースエーテルと水溶性セルロースエーテルの割合が40/60よりも小さくなると湿潤後のフィルム強度が弱く、剥離後にフィルムの一部が皮膚に残留してしまい、使用感の悪い含水シートとなってしまう恐れがある。
本発明に用いる薬物としては、特に限定されないが、水と混和しない油状物質に対して特に効果的である。
本発明に用いる薬物としては、レチノール等の防シワ剤、システイン等の防シミ剤、美白効果剤、グリセリン、ヒアルロン酸、コラーゲン、スクワレン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、糖類やアミノ酸類、プラセンタエキス、ソルビトール、ポリエチレングリール等の保湿成分や、オリーブオイルや、セチルアルコール、ラノリン、ステアリルアルコール等の柔軟化剤、トコフェノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸等の抗炎症剤、各種ビタミンC等の美肌成分等の薬剤が挙げられ、これらの一種以上を含有することが、薬剤シートとして好ましい。必要により、アルコール等の水溶性の有機溶媒を加えてもよい。また、経皮吸収製剤に使用する場合、局所麻酔剤としては、テトラカイン、パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、オキシブプロカイン、リドカイン、ジブカイン、プロピトカイン等が挙げられる。鎮痛消炎剤としてはアスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、グリチルリチン酸、フルフェナム酸、フェニルブタゾン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、ジクロフェナックナトリウム、ベンジダミン、メピリゾール、塩酸イソチペンジル、ブフェキサマック、ベンダザック、アズレン、ピロキシカム、ジフルニサル等が挙げられる。消炎ステロイド剤としてはトリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、吉草酸ベタメタゾン等が挙げられる。抗生物質としてはペニシリン、ゲンタマイシン、セファレキシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン等が挙げられる。このうち、レチノール、スクワレン、ドコサヘキサエン酸、エイコペンタエン酸、オリーブオイル、トコフェノール等の常温において液状であって、水と混和しない油状物質が特に好ましい。
薬物の含有量はその種類により異なるが、フィルム製剤中に概ね50質量%以下が好ましい。50質量%超過では湿潤後のシート強度が低下し、皮膚から剥離した時に皮膚に残留する恐れがある。また、通常使用されているアクリル系または寒天等の含水シートでは油状成分は数質量%しか担持できないが、本発明のフィルムでは概ね30〜40質量%程度を担持できる利点を有する。これは、低置換度セルロースエーテルが水分を保持するだけでなく油状物質も保持し、ブリージングを抑制する効果が高いことによるものと考えられる。
本発明のフィルム製剤は、薬物と低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることにより得ることができる。
キャストに用いる混合液の濃度は、特に限定されず、使用の目的に応じて調製できるが、例えば、固形分濃度で2〜30質量%の範囲である。
混合液のキャストの方法は、特に限定されず、通常の方法でキャストすればよい。用いる台板の材質は、特に限定されず、ガラス、テフロン(登録商標)等が挙げられる。例えば、ガラス板上にキャスト用ブレードで適度の厚みでキャストする。厚みは、特に限定されず、使用の目的に応じて調節できるが、通常0.1〜10mm程度の範囲である。
フィルム作製時の乾燥温度は、特に制限はないが60〜80℃が好ましい。フィルム中の水分がおおむね10質量%以下になるまで乾燥することが好ましい。乾燥が不十分の場合、造膜が不十分となり、湿潤後のシート強度が低下してしまう恐れがある。また、フィルム中の水分を除くことにより、水分の影響を受けやすい薬物の保存安定性が改善される。
乾燥して得られたフィルム製剤は、使用時に水で湿潤することにより、高含水シートとして利用できるものとなる。湿潤する水の添加量は、使用目的に応じて選択すればよいが、フィルムが完全に吸水した状態にすることが好ましく、本発明のフィルムに吸水させると概ね90質量%が好ましい。
皮膚接着性試験の方法として、例えば、フィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き評価用のサンプルとし、この円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、その含水シートが自然剥離するまでの時間を測定する。
皮膚付着時間は100分以上であり、上限は特に限定されないが、概ね400分程度と考えられる。
含浸する保湿剤、防シワ剤、防シミ剤、美白効果剤等の薬剤が作用し始める時間は20分程度であり、薬剤が作用するのに最低必要とされる時間は60分以上であり、さらに、薬剤が完全に作用するには100分以上必要である。よって60分以下では含浸する保湿剤、防シワ剤、防シミ剤、美白効果剤等の薬剤が作用できない恐れがあり、100分以下では完全に薬剤が作用できない恐れがある。
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物の作製
内容積5Lの双軸ニーダーに25℃の純水2360gを張り込み、そこに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度 0.25)150gを添加して均一に分散させた。そこに、25℃の49質量%NaOH水溶液490gを添加して溶解し低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのNaOH水溶液を得た。(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース濃度:5質量%、NaOH濃度:8質量%)
次に、上記溶液に氷酢酸378gを添加して中和を行い、ゲル状析出物を得た。これを低置換度ヒドロキシプロピルセルロースに対して20倍量の熱水でスラリー化して、遠心脱水機にて脱水を行った。この操作を再度実施し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース洗浄品を得た。
次に、得られた洗浄品を固形分濃度4質量%になるように純水を加えて湿式磨砕原料とした。石臼型粉砕機(セレンディピターMKCA6-3INV増幸産業社製)を用いて、上下臼のクリアランス60ミクロン、回転数1500rpm(周速11.7m/秒)、処理速度1.0kg/分で湿式磨砕し、この操作を5回繰り返し実施し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物を得た。得られたスラリーは増粘してクリーム状となった。HORIBA LA−90 レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、10ミクロンであった。
フィルムの作製
4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物87.5g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の70ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:7/3(質量比)
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 46.4質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 19.9質量%
α-トコフェロール 14.2質量%
アスコルビン酸 14.2質量%
水 5.3質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
実施例2
実施例1記載の方法で作成した4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物75.0g(固形分3.0g)と10質量%のヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度はヒドロキシプロポキシル基2.5であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液20.0g(固形分:2.0g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の60ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:6/4(質量比)
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 40.0質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 26.6質量%
α-トコフェロール 14.2質量%
アスコルビン酸 14.2質量%
水 5.0質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
実施例3
低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物の作製
実施例1記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを低置換度メチルセルロース(メトキシル基のモル置換度0.28)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物を得た。得られたスラリーは増粘してクリーム状となった。HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、16ミクロンであった。
フィルムの作製
4質量%の低置換度メチルセルロースの湿式磨砕物87.5g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.3、ヒドロキシプロポキシル基0.21であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は100mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.5g、アスコルビン酸0.64を添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い、下記組成の70ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:7/3(質量比)
低置換度メチルセルロース 46.4質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 19.9質量%
α-トコフェロール 20.0質量%
アスコルビン酸 8.6質量%
水 5.1質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
実施例4
低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物の作製
実施例1記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社、モル置換度は、メトキシル基0.13、ヒドロキシプロポキシル基0.18であった。)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物を得た。得られたスラリーは増粘してクリーム状となった。HORIBA LA−90 レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、16ミクロンであった。
フィルムの作製
4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの湿式磨砕物112.5g(固形分4.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.8、ヒドロキシプロポキシル基0.16であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は5mPa・sであった。)の水溶液2.5g(固形分:0.25g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、グリセリン1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の70ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:9/1(質量比)
低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース 60.0質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6.6質量%
α-トコフェロール 14.2質量%
グリセリン 14.2質量%
水 5.0質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
比較例1
実施例1で作製した湿式磨砕物の原料である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.25)の10質量%の水分散液を作製し、HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ150ミクロンであった。この水分散液35.0g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行った。
この分散液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行ったところ、白色不連続な粉体の堆積物と透明なフィルム部分のあるものであり、フィルム強度が弱いものであった。さらに、少量の水で湿潤させたところ、形が崩れてしまい皮膚への接着試験ができないものであった。
比較例2
実施例1で作製した湿式磨砕物の原料である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.25)を乾式ジェットミルにて微粉砕を実施し、その10質量%の水分散液を作製し、HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、60ミクロンであった。この水分散液35.0g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行った。
この分散液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行ったところ、白色不連続な粉体の堆積物と透明なフィルム部分のあるものであり、フィルム強度が弱いものであった。さらに、少量の水で湿潤させたところ、形が崩れてしまい皮膚への接着試験ができないものであった。
比較例3
実施例1で作製した湿式磨砕物の原料である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.25)を乾式ジェットミルにて微粉砕を実施し、その7質量%の水分散液を石臼型粉砕機(セレンディピターMKCA6-3INV増幸産業社製)を用いて、上下臼のクリアランス80ミクロン、回転数1500rpm(周速 11.7m/秒)、処理速度1.5kg/分で湿式磨砕し、この操作を5回繰り返し実施し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物を得た。得られたスラリーはやや増粘したスラリーとなった。HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、40ミクロンであった。
この水分散液50.0g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行った。
この分散液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行ったところ、白色不連続な粉体の堆積物と透明なフィルム部分のあるものであり、フィルム強度が弱いものであった。さらに、少量の水で湿潤させたところ、形が崩れてしまい皮膚への接着試験ができないものであった。
比較例4
実施例1記載の方法で作成した4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物125.0g(固形分5.0g)にグリセリン1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の50ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース 66.4質量%
グリセリン 14.2質量%
アスコルビン酸 14.2質量%
水 5.2質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
Figure 2005336177
表1において、「柔軟性」の評価は、○:柔軟で伸縮性がある、△:柔軟で伸縮性があまり良くない、×:柔軟性なし、に基づき、「密着性」の評価は、○:皮膚密着性が良い、△:皮膚密着性があまり良くない、×:皮膚密着性が悪い、に基づき、「剥離後の皮膚の状態」の評価は、○:しっとりなめらかである、△:ややしっとり感あり、×:変化なし、に基づく。
表1より、実施例は皮膚接着性に優れ、使用感に優れる含水シートであることが分かる。

Claims (5)

  1. 薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルとを含有し、皮膚接着時間が100分以上であることを特徴とするフィルム製剤。
  2. 上記薬物が、油状物質である請求項1に記載のフィルム製剤。
  3. 上記低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物が、平均粒子径20ミクロン以下である請求項1又は請求項2に記載のフィルム製剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム製剤を湿潤させて得られる皮膚接着性含水シート。
  5. 薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることを含んでなるフィルム製剤の製造方法。
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