JP2005336177A - フィルム製剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルとを含有し、皮膚接着時間が100分以上であるフィルム製剤であり、これを使用時に水で湿潤させるだけで皮膚接着性に優れた皮膚接着性含水シートとなるフィルム製剤を提供する。
【選択図】 なし
Description
また、アクリル系ポリマーのゲルでは、残留するモノマーの毒性が懸念され、皮膚に対する刺激性が少ないものが望まれている。また、架橋剤が必要な場合が多く製造に手間がかかるといった問題点があり、このゲルについても油状の薬効成分を含有させるには限界があった。
これらは、主に紙性のシート状に保水剤を含浸させて用いるものが一般的であるが、水分の保持力が十分でなく、紙性のシートによる違和感があるものが多い。また、ゲル状の高分子についても皮膚に対する接着性は改良されてきてはいるが、まだ十分なものではない。さらに架橋剤を使用する等製造に手間がかかる欠点がある。
即ち、本発明は、薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルとを含有し、皮膚接着時間が100分以上であるフィルム製剤、及びこのフィルム製剤を湿潤させて得られる皮膚接着性含水シートを提供する。
また、本発明は、薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることを含んでなるフィルム製剤の製造方法を提供する。
本発明におけるに低置換度セルロースエーテルは、水には溶解しないがアルカリ溶液に溶解する性質をもつものである。一般にセルロースは水に不溶であるが、セルロースを構成しているグルコース環の水酸基の水素原子をアルキル基やヒドロキシアルキル基で置換すると、その置換の程度によって水溶性を持つようになる。しかしながら、置換の程度が低いものは水への溶解性は見られず、その代わりにアルカリ溶液には溶解する性質を持つことが多い。多くの場合、低置換度セルロースエーテルの粉末は、水中に分散されると、その一部が膨潤した状態となる。モル置換度が高くなると水溶性のものとなり、逆にアルカリに溶解する性質を失う。
低置換度セルロースエーテルは、特別な撹拌機を必要とせず、低置換度セルロースエーテルを水に投入するか、水を低置換度セルロースエーテルに投入して吸水膨潤させて水分散液として得ることができる。また、湿式粉砕機に低置換度セルロースエーテルと水を投入し、直接湿式粉砕することもできる。
湿式粉砕機としては、振動ボールミル、コロイドミル、ホモミキサー、プロペラ式ホモジェナイザー、高圧式ホモジェナイザー、超音波式ホモジェナイザー、石臼型湿式粉砕機等が挙げられ、高圧式ホモジェナイザー(例えば、スギノマシン社製アルテマイザー、吉田機械社製ナノマイザー、みずほ工業社製マイクロフルイダイザー等)が均一な磨砕物を作製するのに有利である。処理圧力は、ものによって変化するが概ね100〜250MPaが好ましい。100MPa未満ではうまく分散されず、250MPaを超えると処理するには機械的に難しい場合がある。
溶解に使用するアルカリは、苛性カリ、苛性ソーダ等が挙げられ、その濃度は使用するセルロースエーテルの置換基の種類と置換度により異なるので適宜決定できるが、通常2〜25質量%、特に5〜12質量%が好ましい。典型的な例としては、モル置換度0.2の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースには10質量%の苛性ソーダを用いることができる。なお、置換基の分布の違いにより、透明な溶液となる場合と完全に透明でない場合がある。後者の場合、明らかに粘性が上昇している時はこれを溶解しているものと見なす。
中和に使用する酸としては例えば酢酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸、塩酸、硫酸等の無機酸が挙げられ、その濃度については自由に選択可能であるが、約5〜10質量%が好ましい。
さらに、水溶性セルロースエーテルの水溶液粘度は、20℃における2質量%水溶液で、3〜4,000mPa・s、特に3〜100mPa・sが好ましい。3mPa・s未満では形成されるフィルムの強度が低下したり、皮膚への付着性が低下する恐れがあり、4,000mPa・sを超えると高濃度の溶液を作製することができないため、乾燥に時間を要したり、溶液の脱泡が困難となる恐れがある。
一方、低置換度セルロースエーテルと水溶性セルロースエーテルの割合が40/60よりも小さくなると湿潤後のフィルム強度が弱く、剥離後にフィルムの一部が皮膚に残留してしまい、使用感の悪い含水シートとなってしまう恐れがある。
本発明に用いる薬物としては、レチノール等の防シワ剤、システイン等の防シミ剤、美白効果剤、グリセリン、ヒアルロン酸、コラーゲン、スクワレン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、糖類やアミノ酸類、プラセンタエキス、ソルビトール、ポリエチレングリール等の保湿成分や、オリーブオイルや、セチルアルコール、ラノリン、ステアリルアルコール等の柔軟化剤、トコフェノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸等の抗炎症剤、各種ビタミンC等の美肌成分等の薬剤が挙げられ、これらの一種以上を含有することが、薬剤シートとして好ましい。必要により、アルコール等の水溶性の有機溶媒を加えてもよい。また、経皮吸収製剤に使用する場合、局所麻酔剤としては、テトラカイン、パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、オキシブプロカイン、リドカイン、ジブカイン、プロピトカイン等が挙げられる。鎮痛消炎剤としてはアスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、グリチルリチン酸、フルフェナム酸、フェニルブタゾン、ナプロキセン、オキシフェンブタゾン、ジクロフェナックナトリウム、ベンジダミン、メピリゾール、塩酸イソチペンジル、ブフェキサマック、ベンダザック、アズレン、ピロキシカム、ジフルニサル等が挙げられる。消炎ステロイド剤としてはトリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、吉草酸ベタメタゾン等が挙げられる。抗生物質としてはペニシリン、ゲンタマイシン、セファレキシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン等が挙げられる。このうち、レチノール、スクワレン、ドコサヘキサエン酸、エイコペンタエン酸、オリーブオイル、トコフェノール等の常温において液状であって、水と混和しない油状物質が特に好ましい。
キャストに用いる混合液の濃度は、特に限定されず、使用の目的に応じて調製できるが、例えば、固形分濃度で2〜30質量%の範囲である。
混合液のキャストの方法は、特に限定されず、通常の方法でキャストすればよい。用いる台板の材質は、特に限定されず、ガラス、テフロン(登録商標)等が挙げられる。例えば、ガラス板上にキャスト用ブレードで適度の厚みでキャストする。厚みは、特に限定されず、使用の目的に応じて調節できるが、通常0.1〜10mm程度の範囲である。
皮膚付着時間は100分以上であり、上限は特に限定されないが、概ね400分程度と考えられる。
含浸する保湿剤、防シワ剤、防シミ剤、美白効果剤等の薬剤が作用し始める時間は20分程度であり、薬剤が作用するのに最低必要とされる時間は60分以上であり、さらに、薬剤が完全に作用するには100分以上必要である。よって60分以下では含浸する保湿剤、防シワ剤、防シミ剤、美白効果剤等の薬剤が作用できない恐れがあり、100分以下では完全に薬剤が作用できない恐れがある。
実施例1
低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物の作製
内容積5Lの双軸ニーダーに25℃の純水2360gを張り込み、そこに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度 0.25)150gを添加して均一に分散させた。そこに、25℃の49質量%NaOH水溶液490gを添加して溶解し低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのNaOH水溶液を得た。(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース濃度:5質量%、NaOH濃度:8質量%)
次に、上記溶液に氷酢酸378gを添加して中和を行い、ゲル状析出物を得た。これを低置換度ヒドロキシプロピルセルロースに対して20倍量の熱水でスラリー化して、遠心脱水機にて脱水を行った。この操作を再度実施し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース洗浄品を得た。
次に、得られた洗浄品を固形分濃度4質量%になるように純水を加えて湿式磨砕原料とした。石臼型粉砕機(セレンディピターMKCA6-3INV増幸産業社製)を用いて、上下臼のクリアランス60ミクロン、回転数1500rpm(周速11.7m/秒)、処理速度1.0kg/分で湿式磨砕し、この操作を5回繰り返し実施し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物を得た。得られたスラリーは増粘してクリーム状となった。HORIBA LA−90 レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、10ミクロンであった。
4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物87.5g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の70ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:7/3(質量比)
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 46.4質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 19.9質量%
α-トコフェロール 14.2質量%
アスコルビン酸 14.2質量%
水 5.3質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
実施例1記載の方法で作成した4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物75.0g(固形分3.0g)と10質量%のヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度はヒドロキシプロポキシル基2.5であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液20.0g(固形分:2.0g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の60ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:6/4(質量比)
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 40.0質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 26.6質量%
α-トコフェロール 14.2質量%
アスコルビン酸 14.2質量%
水 5.0質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物の作製
実施例1記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを低置換度メチルセルロース(メトキシル基のモル置換度0.28)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物を得た。得られたスラリーは増粘してクリーム状となった。HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、16ミクロンであった。
4質量%の低置換度メチルセルロースの湿式磨砕物87.5g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.3、ヒドロキシプロポキシル基0.21であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は100mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.5g、アスコルビン酸0.64を添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い、下記組成の70ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:7/3(質量比)
低置換度メチルセルロース 46.4質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 19.9質量%
α-トコフェロール 20.0質量%
アスコルビン酸 8.6質量%
水 5.1質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物の作製
実施例1記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社、モル置換度は、メトキシル基0.13、ヒドロキシプロポキシル基0.18であった。)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で低置換度セルロースエーテル湿式磨砕物を得た。得られたスラリーは増粘してクリーム状となった。HORIBA LA−90 レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、16ミクロンであった。
4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの湿式磨砕物112.5g(固形分4.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.8、ヒドロキシプロポキシル基0.16であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は5mPa・sであった。)の水溶液2.5g(固形分:0.25g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、グリセリン1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。
この乳化液を1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の70ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度セルロースエーテル/水溶性セルロースエーテル:9/1(質量比)
低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース 60.0質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6.6質量%
α-トコフェロール 14.2質量%
グリセリン 14.2質量%
水 5.0質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
実施例1で作製した湿式磨砕物の原料である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.25)の10質量%の水分散液を作製し、HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ150ミクロンであった。この水分散液35.0g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行った。
この分散液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行ったところ、白色不連続な粉体の堆積物と透明なフィルム部分のあるものであり、フィルム強度が弱いものであった。さらに、少量の水で湿潤させたところ、形が崩れてしまい皮膚への接着試験ができないものであった。
実施例1で作製した湿式磨砕物の原料である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.25)を乾式ジェットミルにて微粉砕を実施し、その10質量%の水分散液を作製し、HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、60ミクロンであった。この水分散液35.0g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行った。
この分散液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行ったところ、白色不連続な粉体の堆積物と透明なフィルム部分のあるものであり、フィルム強度が弱いものであった。さらに、少量の水で湿潤させたところ、形が崩れてしまい皮膚への接着試験ができないものであった。
実施例1で作製した湿式磨砕物の原料である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.25)を乾式ジェットミルにて微粉砕を実施し、その7質量%の水分散液を石臼型粉砕機(セレンディピターMKCA6-3INV増幸産業社製)を用いて、上下臼のクリアランス80ミクロン、回転数1500rpm(周速 11.7m/秒)、処理速度1.5kg/分で湿式磨砕し、この操作を5回繰り返し実施し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物を得た。得られたスラリーはやや増粘したスラリーとなった。HORIBA LA−90レーザー回折散乱式粒度分布測定器にて平均粒径を測定したところ、40ミクロンであった。
この水分散液50.0g(固形分3.5g)と10質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製、モル置換度は、メトキシル基1.87、ヒドロキシプロポキシル基0.23であり、20℃における2質量%水溶液の粘度は6mPa・sであった。)の水溶液15g(固形分:1.5g)を300rpmにて撹拌混合を行った。そこにα-トコフェロール1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行った。
この分散液を1.0mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行ったところ、白色不連続な粉体の堆積物と透明なフィルム部分のあるものであり、フィルム強度が弱いものであった。さらに、少量の水で湿潤させたところ、形が崩れてしまい皮膚への接着試験ができないものであった。
実施例1記載の方法で作成した4質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの湿式磨砕物125.0g(固形分5.0g)にグリセリン1.07g、アスコルビン酸1.07gを添加して300rpmにて撹拌混合を行い均一なクリーム状の乳化液を得た。1.5mmの膜厚でガラス板状にキャストして、60℃の送風オーブンで乾燥を行い下記組成の50ミクロンの透明な連続フィルムが得られた。
低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース 66.4質量%
グリセリン 14.2質量%
アスコルビン酸 14.2質量%
水 5.2質量%
このフィルムを直径2.5cmの円形に打ち抜き、評価用のサンプルとした。
上記円形フィルムに少量の水を塗布して吸水させた含水シートを手の甲に付着させて、剥離までの時間、使用感、剥離後の状態の試験を実施し、その結果を表1に示した。
Claims (5)
- 薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルとを含有し、皮膚接着時間が100分以上であることを特徴とするフィルム製剤。
- 上記薬物が、油状物質である請求項1に記載のフィルム製剤。
- 上記低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物が、平均粒子径20ミクロン以下である請求項1又は請求項2に記載のフィルム製剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム製剤を湿潤させて得られる皮膚接着性含水シート。
- 薬物と無水グルコース単位あたりの置換モル数が0.05〜1.0である低置換度セルロースエーテルの湿式磨砕物と水溶性セルロースエーテルの水溶液との混合液を台板上にキャストし、これを乾燥させることを含んでなるフィルム製剤の製造方法。
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