JP5398062B2 - ハイドロゲル外用剤 - Google Patents
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特許文献2は、余分な皮脂や汚れを有効に除去するとともに、皮膚から剥離する際に痛みを伴わず、更にうるおいを補給しながら余分な皮脂のみを除去することが可能な皮脂除去用シート状パック剤に関するが、液の滲出なども記載が無く、特に保湿感などが不十分である。
特許文献4は、内容的にはヘアケアについての実施例等が記載され、ヘアケア用のゲルをイメージしているため、ゲルの骨格(網目構造を有する合成高分子)などの記載や液のブリードについての記載は全く無い。よって、滲出液の状態などへの考慮はない。
ハイドロゲル外用剤全体の100重量部中に、ヒドロキシプロピルグアーガムが0.05〜3重量部含まれていることを特徴とするものである。
合成高分子としては、網目構造を形成し、少なくとも水を含んでゲルを形成することができさえすれば特に限定されない。ハイドロゲルを化粧品の分野で経皮用途として使用する場合は、当該分野で許容される合成高分子が使用できる。特に、水と親和性がある合成高分子が使用されるが、中でもアニオン性官能基を有する合成高分子が好ましく用いられる。そのような合成高分子の例としては、カルボキシル基を官能基として有するアクリル酸、メタクリル酸等の重合性不飽和単量体の重合物及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)、スルホン酸基を官能基として有するt−ブチルアクリルアミドスルホン酸等の重合性不飽和単量体の重合物及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。好適には親水性高分子としてポリアクリル酸ナトリウムが用いられる。また好ましい含有量としてハイドロゲル外用剤(全体)100重量部中に0.5〜35重量部含まれていることが好ましい。
合成高分子の網目構造は、架橋前の合成高分子の架橋により得ることができる。すなわち、架橋前の合成高分子に架橋剤を添加し、必要に応じて加熱することで、網目構造を得ることができる。
架橋剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、カリミョウバン、硫酸アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、塩化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
また好ましい含有量としてハイドロゲル外用剤(全体)100重量部中に0.1〜5重量部含まれていることが好ましい。
また、架橋剤の作用に最適なpHに調整し、架橋をより確実にする目的で、酒石酸、乳酸、グリコール酸等のα−ヒドロキシ酸のほか、クエン酸等の各種有機酸や塩酸等の無機酸を、pH調整剤(酸触媒という場合もある)として使用してもよい。好ましいpHの範囲は4〜7である。
好ましい含有量としてハイドロゲル外用剤(全体)100重量部中に0.1〜10重量部含まれていることが好ましい。
本発明のハイドロゲル外用剤は色素などで着色していても構わないが、透明からほぼ透明の外観を持つことが好ましい。本発明で言う透明とは、ハイドロゲル外用剤のゲルシートを20ポイント文字が黒色で印字されている白色上質紙の上にのせたときに、文字があることが判る程度の透明性が確保されていることが好ましい。本発明のハイドロゲル外用剤のゲルシートにおいては、ゲルシートの透明性を損なわせることなく、ゲルシートの引裂強度と取扱い性とを向上させることを目的として、ゲルシート内部に開口率が十分に大きい織布または不織布を厚み方向に内在させることが好ましい。なお、本発明において、開口率が大きい織布または不織布とは、織布または不織布を通しても20ポイントの活字を判読することができる程度に広い開口率をもつ(透明性が維持された)ものをいう。
本発明のハイドロゲル外用剤の透明からほぼ透明の外観を持つゲルシートは、貼着したゲルシートを通して皮膚の改善効果が見えるとともに、所定の部位に正確に貼れるという優れた外観の効果を有する。
本発明のハイドロゲル外用剤のゲルシートの厚さとしては、全体が均一であっても、部分的に厚さが異なっていても良いが、密着性、透明性、強度を確保するため、0.1〜3mmの厚さが好ましい。0.1mm未満ではゲルシートの強度が弱く、また3mmを超えると、ゲルシートの自重が重すぎて密着性に欠ける場合がある。尚、ゲルシート全体が厚くない場合には、ゲルシートを部分的に6mmまでの厚さに厚くすることは可能である。
本発明に使用するヒドロキシプロピルグアーガムは、マメ科植物であるグアーの種子胚乳部分に含有される天然水溶性高分子多糖類であるグアーガムを原料に、水酸化ナトリウム及び酸化プロピレンを反応させる等の方法により、ヒドロキシル基をヒドロキシプロピル基に置換させて得られるノニオン性ポリマーである。
ゲルシートから滲出する水溶液の液だれ性の改善などのために、水溶性増粘剤として用いられる他のセルロースエーテル類やセルロース、グアーガム、カチオン化グアーガム、スターチ、キサンタンガムなどの多糖類及びその誘導体等を加えることによってハイドロゲル中の水等の粘度を上げることで解決できると思われたが、ゲル自身の保水性が上昇してしまい、ゲルからの薬液成分等を含む溶液の滲出が抑制されてしまうという問題があり、一方で、滲出した溶液の粘度は上昇せずにさらさらした触感のままであり、前記の改善効果が十分ではなかった。
本発明では、ヒドロキシプロピルグアーガムにおけるヒドロキシプロピル基の置換度が0.4〜1.2の範囲のものが好ましく用いられる。0.6〜1.0のものが更に効果が高くより好ましい。
滲出剤とは、ハイドロゲル内の溶液を効果的にハイドロゲル表面に滲み出させるために使用される剤である。溶液滲出促進剤とも称する。例えば、親水性でありながらもある程度の疎水性を有する物質を配合することによりハイドロゲル内の水を効果的に吐出させることができる非イオン性水溶性高分子、又はハイドロゲルの網目構造を引き締める効果を発揮させることにより、ハイドロゲル内の溶液をハイドロゲル表面に滲出させることができる電解質が挙げられる。
非イオン性水溶性高分子の好ましい含有量は、ハイドロゲル外用剤(全体)100重量部中に0.1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
電解質の好ましい含有量は、ハイドロゲル外用剤(全体)100重量部中に0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。非イオン性水溶性高分子と電解質はどちらか一方を単独で配合してもよいし、両者を併用して配合してもよい。
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルビトール、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、マンニトール、ヒアルロン酸及びその塩、トレハロースやラフィノース等の各種誘導体、トリメチルグリシン、サイクロデキストリン、ヒアルロン酸及びその塩等のグリコール類、多価アルコール類及び多糖類等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
好ましい含有量としてハイドロゲル外用剤(全体)100重量部中に1〜30重量部含まれていることができる。
本発明において配合することができる薬効成分としては、従来、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クマザサエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、スイカズラエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
例えば、合成高分子と、ヒドロキシプロピルグアーガムと、湿潤剤と、水とを少なくとも混合して得られた混合物に、さらに架橋剤と、滲出剤と水を加えて混合し、反応させることを特徴とするハイドロゲル外用剤の製造方法が採用することができる。好ましくはpH調整剤(酸触媒)を加えて混合溶液のpHを4〜7となるように調整して反応させることを特徴とする製造方法を採用することができる。
ここで重要なことは、ヒドロキシプロピルグアーガムをあらかじめ合成高分子と湿潤剤に加えておき、ヒドロキシプロピルグアーガムを溶解させて、その後、架橋剤と滲出剤とを加えるという点である。いいかえれば、ヒドロキシプロピルグアーガムは、ゲル形成前に添加することが望ましい。ヒドロキシプロピルグアーガムをゲルを作成してから添加すると工程が多くなるためコストが高く、パックも均質なものが出来ない。すなわち、ヒドロキシプロピルグアーガムをゲルを作成した後から添加する場合、固体であるヒドロキシプロピルグアーガムをゲル表面に均質に分散させることは困難であるし、例えば水溶液にして添加する場合も高粘度であるため均質に分散させることは困難である。一方、低粘度にするために低濃度の水溶液を作成して添加しても、過剰の水により求める特性(使用性、効果感)が得られない。また、均質に分散できない場合は滲出液の粘度がばらつき、例えば部分的に剥がれやすくなったり、保湿効果が局所的になったりするなど、求める特性が得られないため好ましくない。
ここで、より好ましくは、pH調整剤(酸触媒)を加えて、混合溶液のpHを4〜7となるように調整して、反応させることを特徴とするハイドロゲル外用剤の製造方法である。
次の表に示すゲル形成用組成物を用いて、以下の手順に従って、化粧品用パックに用いられる各実施例・比較例のゲルシートを作成した。合成高分子とヒロドキシプロピルグアーガム(HPグアーガム)もしくはその他の増粘剤に湿潤剤を加え、さらに水を加えて均一になるまで十分に混練した。この混合物に、滲出剤、架橋剤および水を加えてよく分散させスラリーとしたものにさらにpHが5〜6となるようにpH調整剤(酸触媒)を加えて合計100部として、十分に混練攪拌する。次に、平滑なガラス板上に乗せた38μm厚みのPETフィルムの四隅に1mmの厚みのスペーサーを置き、その中央部分に適量の上記組成物を混合終了後直ちに流し込み、目付け量17g/m2のナイロン編布(トリコットハーフ)と、もう一枚の38μm厚のPETフィルムを重ね、その上からガラス板で挟んでそのまま24時間放置し、厚さ1mmのハイドロゲル外用剤のゲルシートを得た。このゲルシートを5cm×5cmにカットし、評価用の試料とした。
ゲルシートは測定直前に袋から取出して両面のPETフィルムをはがし、重量(a)を測定した後、片面のみにPETフィルムを貼りつけておく。2枚のガラス板(100×100mm 厚さ3mm)と、ろ紙(アドバンテック製5A 直径150mm 円形)を用意し、ろ紙の重量(b)を測定して1枚のガラス板上にのせる。ろ紙の中央部にゲル面を下に向けてゲルシートを貼り、その上からもう一枚のガラス板をのせ10分間静置する。その後、ガラス板とゲルシート上のPETフィルムを取り除き、更に、ゲルを取り除いて円形ろ紙のみの重量(c)を測定し、あらかじめ測定しておいたろ紙重量との差から、滲出した液の重量を算出する。この液量を元のゲル重量に対する比率で表し滲出量((c−b)/a)とする。測定値は同様のテストを3枚のゲルで行った結果の平均値を用いる。
滲出量は小さいと肌への密着性が低下するため使用中に剥がれやすく、皮膚へ浸透する液量も少ないため、保湿感などの効果が不十分であり、大きすぎるとゲルの重さによりズレ落ちたり、過剰な液が垂れて(液ダレ)衣服などに付着してしまうので、滲出量の好ましい範囲は、20〜35(%)である。
上記のように形成したゲルシートを上体が起きた状態で10人の女性被験者の頬に貼り、20分間静置した時の密着性および液ダレ性についての評価と、20分後にはがした後の肌状態の保湿感を下記の1〜5の5段階で表現してもらい、パック剤としての使用性や効果感として評価し、全被験者の合計点数を以って評価結果とした。従って、これらの評価の値は性能、効果の大小を示している(満点50点)。その結果を表に示す。
5:肌が著しく保湿された気がする。
4:肌が保湿された気がする。
3:肌がやや保湿された気がする。
2:肌がわずかに保湿された気がする。
1:効果が感じられない。
5:液ダレが全く無い。
4:液ダレがわずかにある。
3:液ダレはややある。
2:液ダレが多い。
1:液ダレが多すぎ、滲出した液が衣服に付くほどである。
5:皮膚に完全に密着しておりズレはない。
4:皮膚にほぼ密着しており、ズレはわずかである。
3:皮膚に密着していない部分もあり、ズレはややある。
2:皮膚に密着しにくく、ズレは多い。
1:ズレが大きく落下する。
これに対して、他の増粘剤としてグアーガム、カチオン化グアーガム、キサンタンガムの比較例3〜5の場合、滲出量は適当であるが、液ダレ性、密着性が不十分で、保湿感が不足している。また他の増粘剤として、ヒドロキシエチルセルロース、ヒアルロン酸Naの比較例6、7の場合、液ダレ性は良いが、滲出量が不足し、密着性が低下し、保湿感が不足している。
Claims (3)
- 網目構造を有する合成高分子、ヒドロキシプロピルグアーガム、湿潤剤、滲出剤及び水が少なくとも含まれており、前記合成高分子はポリアクリル酸ナトリウムであり、ゲル形成前に前記ヒドロキシプロピルグアーガムは添加されたハイドロゲル外用剤であって、
ハイドロゲル外用剤全体の100重量部中に、ヒドロキシプロピルグアーガムが0.05〜3重量部、前記合成高分子が0.5〜35重量部含まれている
ことを特徴とするハイドロゲル外用剤。 - 前記滲出剤がハイドロゲル外用剤全体の100重量部中に0.1〜20重量部含まれている請求項1記載のハイドロゲル外用剤。
- 請求項1記載のハイドロゲル外用剤の製造方法であって、
ヒドロキシプロピルグアーガムをあらかじめ合成高分子と湿潤剤と水に加えておき、ヒドロキシプロピルグアーガムを溶解させて、その後、この混合物に架橋剤と滲出剤を加えて混合し、反応させるハイドロゲル外用剤の製造方法。
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