JP4230221B2 - 生体用貼付ゲルシートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体用貼付ゲルシートの製造方法に関する。本発明の生体用貼付ゲルシートは、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等の分野に好適に用いることができる。
更に、上記生体用貼付ゲルシートは、肌荒れ、かさつき、くすみ、くま、シミ等のさまざまな皮膚トラブルに対して改善効果を有するさまざまな薬効成分(スキンケア成分)を、簡便かつ、短時間で効果的に機能させうるスキンケア方法に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、皮膚表面のさまざまなトラブルに対して改善効果を示す種々の薬効成分が開発されてきた。
このような薬効成分は、化粧水に含有させたり、不織布や織布等の基材に含浸させたり、ピールオフタイプのパック剤に配合することで用いられてきた。
しかし、前2者の方法では、皮膚への薬効成分の浸透が十分行われにくいという問題を有していた。また、ピールオフタイプのパック剤を用いる方法では、乾燥させて生じる皮膜を剥がすという方式のため、皮膜中に十分な量の水等の溶媒を保持させることができず、貼付中の潤い感や冷涼感等は乏しい。更に、塗布時に指が汚れたり、剥がす際に剥がれ残りが出ないよう均一に塗り広げる必要があるが、この作業には熟練が必要であるため、取扱上の問題点も有する。
【0003】
また、特開昭54−49334号公報では、塗布後乾燥させずに剥がせるパック剤が記載されている。このパック剤は、保液量を多くとることができる。しかし、塗布時に指等が汚れる他、十分に固化していない柔軟な状態のパック剤をきれいに剥がすのは容易ではないという問題点があった。
以上の問題点を解決するために、皮膚への密着性や閉塞性にすぐれ、保液力も確保できるという点から、従来から湿布剤では不織布等の基材に薬効成分を含んだゲル状の膏体を塗工した剤形(ゲルシート)が提案されている。この湿布剤と同様のゲルシートを、スキンケア用途に用いることも近年広く行われるようになった。
【0004】
例えば、特開昭55−92306号公報では、含水合成高分子シート中に美肌成分と粘着付与成分を含むゲルシート状パック剤、特開平1−254612号公報では、ポリアクリル酸あるいはその塩と水、美肌成分、アルミニウム塩、多価アルコール等からなるゲルシート状パック剤が提案されている。
【0005】
特に後者のゲルシートで用いられる、ポリアクリル酸やその塩をアルミニウム塩等の多価金属イオンで架橋させる反応は、両者を混合することによって即開始する。そのため、加熱等の必要がなく、安定性に欠ける薬効成分等でも配合することが可能である等の利点がある。しかし、通常の攪拌装置によって両者を均一に混合して均質なゲルシートを得るためには、15分以上もの長時間流動性のある状態で攪拌を続ける必要があり、そのためポリアクリル酸と多価金属塩との反応速度を遅くしてやる必要があり、結果として固化までに非常に長時間を要して生産効率が悪化するという問題点を有していた。
【0006】
また、上記のように従来のゲルシートは、湿布剤に代表されるようにゲルと不織布又は織布等の支持基材との積層体である。この支持基材は、ゲルの裏抜けを防止するために、開口率がほとんどなく不透明なものが使用されるため、皮膚に貼り付けた際の視覚的違和感が大きく、使用に際しては時と場所とが大きく制限されるという問題があった。同様に、化粧水を、不織布や織布に含有させるタイプのシートでも、多量の液体を包含させるために、使用する不織布や織布は目付の多いものを使用する必要がある。そのため不透明となり、皮膚に貼り付けた際の視覚的違和感が生じていた。
【0007】
更に、湿布剤等で使用される、ポリアクリル酸やその塩をアルミニウム塩等の多価金属イオンで架橋させるゲルシートは、上記のように通常両者の反応速度の遅い組み合わせを選択するため、ゲル体自体も架橋後乳濁した不透明なゲル体となりやすい。
【0008】
これに対して、特開2000−119129号公報では、透明フィルムとパルプ又はレーヨンとを積層した支持体をゲル層と積層した、化粧用ゲルシートが提案されている。ゲル体の裏抜け防止と支持体としての強度は透明フィルムが受け持ち、ゲルとの接着はパルプ又はレーヨンの繊維部分が受け持つ構造を有している。このシートでは、フィルムがある分、パルプやレーヨンは開口率の大きなものでも使用できるため、透明性もある程度確保することができる。しかし、透明性は不充分であり、かつフィルム部分の伸縮性に乏しく、顔面等の複雑な曲面には十分にフィットさせることが難しいという問題点があった。
【0009】
これに対して、特開平3−86806号公報では、ゼラチン系ゲル体(支持体)とポリアクリル酸等のゲル体を用いた多層ゲルシート状パック剤が提案されている。この場合、柔軟なゲル体を支持体として利用し、かつ、そのゲル体の透明性を確保することで貼付時の外観的違和感をある程度軽減することができる。しかしながら、接着が困難なゲル体同志の層間での剥離を防止するために、二層の固化を同時に進行させる必要があり、製造工程や設備が複雑になってしまうという問題点を有していた。また、支持体側のゲルは透明に仕上げやすいが、ポリアクリル酸等のゲル体を透明に仕上げるためには、上記問題点があるため、全体として透明なゲルシートというには未だ不充分であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のスキンケア方法で用いられてきた生体用貼付シートは、皮膚に対する保湿性や冷涼感あるいは密着性や閉塞感、視覚的な違和感の少なさ、更には製造の容易さ等を総合的に満足させるものではなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、アニオン性官能基を有する水溶性合成高分子化合物と、この高分子化合物を架橋しうる多価カチオン系化合物とを水性媒体の存在下で混合して1,000〜30,000mPa・sの粘度のゲル体形成用配合物とし、ゲル体形成用配合物を3≦W≦50(単位g/m 2 )の目付量Wと0.05≦N≦2.0の範囲内の1m 2 当たりの繊維による仮定上の遮蔽面積N(m 2 /m 2 )(Nは、次の式、
【0012】
【式2】
Figure 0004230221
【0013】
(ここでWはg/m 2 で表される織布又は不織布の目付量、dは構成する繊維のデニール繊量、ρは繊維の構成成分のg/cm 3 で示した密度)で表される)とを有する織布又は不織布に含浸させた後支持基材上又は型枠中でシート状にし、かつ薬効成分を含ませた後、その状態で架橋を完了させることで織布又は不織布と一体的に固化した透明又は半透明の高分子ゲル体を得、次いでシートの少なくとも一方の表面の任意の部分を架橋剤で硬化処理することで生体用貼付ゲルシートを得る生体用貼付ゲルシートの製造方法が提供される。
【0014】
上記方法によれば、優れた性質を有する生体用貼付ゲルシ−トを単純な製造方法で提供することができる。
発明の方法により得られる生体用貼付ゲルシートは、
(1)皮膚に対する保湿性や冷涼感あるいは密着性や閉塞感等が総合的に満足でき、
(2)過剰な粘着力を持たせなくても剥離や脱落することなく肌表面にとどまり、薬効成分の皮膚への作用がより効果的であり、
(3)装着が容易で、視覚的な違和感を生じさせない程度の透明性を有し、
(4)皮膚に貼付した際、皮膚と反対側のゲル体表面での水分等の揮発にともない体積の収縮が起こるにつれて、ゲル体表面、特に皮膚とゲルシートの間にゲルシートに含まれる液体が滲出する特性を有している。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、シートに成形する時点を種々検討した結果、高分子ゲル体が部分的に形成されたゲル体形成用配合物をシート状に保持するための基体(支持基材や型枠)上に容易に展延しうる程度の粘度を有する状態でシート状にし、その後保形性を保持させるシートの製造方法であり、ゲル体形成用配合物が、下記範囲内の粘度を有することで、優れた特性を有する生体用貼付ゲルシートを、簡便な方法で得ることができる。
【0016】
本発明の方法により得られる生体用貼付ゲルシートは、アニオン性官能基を有する水溶性合成高分子化合物と、この高分子化合物を架橋しうる多価カチオン系化合物とを水性媒体の存在下で混合してゲル体形成用配合物とし、ゲル体形成用配合物が1,000〜50,000mPa・sの粘度の時点で支持基材上又は型枠中でシート状にし、その状態で架橋を完了させることにより得られた高分子ゲル体(以下、単にゲル体ともいう)からなる。
【0017】
ここで、粘度が50,000mPa・sより大きい場合、シート状等の形状に自由に成形することが困難となるので好ましくなく、1,000mPa・sより小さい場合、支持基材からたれ落ちたり、外力により容易に変形してしまったりするので好ましくない。
【0018】
なお、本発明において、「生体用貼付ゲルシート」は、パック料、貼付剤、経皮吸収剤、生体用粘着テープ、創傷被覆剤、消炎鎮痛剤等の美容、美顔及び皮膚の治療等を目的として、皮膚に貼り付けて使用される粘着シートあるいは貼着シートをいう。以下、単にゲルシートともいう。
また、粘度の測定は、B型粘度計(株式会社トキメック製BH型)を用い、液温25℃で、4rpmの回転数で行った。
【0019】
[高分子ゲル体]
高分子ゲル体は、無色又は着色された透明ないしは半透明であり、かつ保形性を有することを特徴とする。
また、高分子ゲル体は、皮膚表面に貼付することで、ゲル体の表面にゲル体に含まれる液体が滲出することが好ましい。
なお、生体用貼付ゲルシートを構成するゲル体としては、カラギーナン、ゼラチン、アルギン酸ソーダ、ペクチン等の天然高分子ゲル体を用いることも可能であるが、天然高分子ゲル体は、熱安定性に乏しく腐敗もしやすいので、合成高分子ゲル体のほうがより好ましい。
ここで、「透明又は半透明」とは、白色地に黒で記された10ポイントの活字上にゲルシートを置いたときに、ゲルシートを通して下の文字が判読可能な状態をいう。
【0020】
[ゲル体を構成する合成高分子化合物]
アニオン性官能基を有する水溶性合成高分子化合物(以下、単に高分子化合物ともいう)としては、水と親和性があり、多価カチオン系化合物と反応して網目構造を形成し、その際少なくとも水を含んでゲル体を形成しうるものであって、従来、化粧品、医薬品、医薬部外品、衛生材料、雑貨等の分野で経皮用に使用されているものであれば特に限定されず、種々の高分子化合物を用いることができる。アニオン性官能基は、カルボキシル基及びスルホン基の少なくとも一つから選ばれる基であるのが好ましい。なお、水溶性とは、20℃の水100gに1g以上溶解することを意味する。
中でも、製造が容易である等の観点から、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、1種又は2種以上の重合性不飽和単量体を重合して得られる水溶性合成高分子化合物が好適に用いられる。この場合、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基を有する重合性不飽和単量体以外の重合性不飽和単量体を、重合後の高分子化合物が水溶性を失わない程度に共重合させてもよい。
【0021】
上記の側鎖にカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸やそのカルボキシル基の一部又は全部を水酸化ナトリウム等のアルカリで中和したもの等が挙げられる。側鎖にスルホン酸基を有する重合性不飽和単量体としては、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸やそのスルホン酸基の一部又は全部を水酸化ナトリウム等のアルカリで中和したもの等が挙げられる。
【0022】
上記水溶性合成高分子化合物は、カルボキシル基、スルホン酸基のほかに、これらを変成した官能基を有してもよい。例えば、皮膚への密着性の向上を目的として水溶性合成高分子化合物中におけるカルボキシル基の40%程度をエステル化して親油化する処理を行ってもよい。また、側鎖に長い飽和炭化水素部分がある場合には、当該部分に親水性を付与することを目的として、更にカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基、アミノ基等を導入したり、酸やアルカリ等の試薬で処理してもよい。これらの処理は単量体の重合前に行ってもよいし、重合後に行ってもよい。
【0023】
上記水溶性合成高分子化合物に網目構造を導入して高分子ゲル体を形成する架橋性因子は、多価カチオン系化合物であり、三価以上の多価金属イオン化合物が好適に用いられる。
【0024】
多価金属イオン化合物としては、例えばアルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物等が挙げられる。中でも、架橋効率及びゲル形成に最適な反応速度を提供するという観点から、水酸化アルミニウム及びその塩、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、マグネシウムアルミニウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、マグネシウムアルミニウムハイドロオキサイドカーボネートハイドレート、水酸化アルミニウム炭酸ナトリウム共沈物等の3価のアルミニウムイオンを含む水に難溶性の化合物が好適である。これら化合物は、非晶質構造であるものがより好適である。なお、難溶性とは、通常の水にはほとんど溶解しないが、pH3.5以下の酸性水100gには、20℃で0.1g以上溶解可能であることを意味する。
【0025】
高分子ゲル体を構成する高分子化合物の配合量は、当該高分子ゲル体の総量に対して0.5〜50質量%であるのが好ましい。高分子化合物の配合量が0.5質量%を下回ると、ゲル体の腰強度が弱くなり、ゲル体の保形性が不安定となる。そのため、得られた生体用貼付ゲルシートは、使用の際に、ちぎれたりして操作性が悪くなるおそれがある。逆に、50質量%を超えると、ゲル強度は強くなるものの、ゲル体の高分子構造が密になりすぎて、ゲル体中に保持できる液体の量が少なくなりすぎるおそれがある。高分子化合物の配合量は、上記範囲の中でも特に、1〜30質量%であるのが好ましく、2〜25質量%であるのがより好ましい。
なお、皮膚表面に貼付することでゲル体の表面に薬効成分を含有する溶液が滲出する高分子ゲル体の場合には、高分子化合物の配合量は少ない方が好ましく、0.5〜15質量%であるのが好ましい。
【0026】
また、多価カチオン系化合物の配合量は、高分子ゲル体に対して0.1〜10質量%であるのが好ましい。多価カチオン系化合物の配合量が前記範囲を下回ると、ゲル体の腰強度が弱くなり、ゲル体の保形性が不安定となる。そのため、得られた生体用貼付ゲルシートは、使用の際にちぎれたりして操作性が悪くなるおそれがある。逆に、配合量が前記範囲を超えると、ゲル体の脆さが増大し、引張応力や圧縮応力によって切断や破壊が生じやすくなるおそれがある。
【0027】
[ゲル体を構成する溶媒]
高分子ゲル体は、溶媒として少なくとも水を含んでいる。高分子ゲル体に占める水の割合は1〜99.5質量%であるのが好ましい。ゲル体に占める水の割合が1質量%を下回ると、ゲル体中に配合される薬効成分等の各種添加剤等を容易に溶かすことができなくなるおそれがある。逆に、ゲル体に占める水の割合が99.5質量%を超えると、ゲル体の腰強度が弱くなり、ゲル体の保形性が不安定となる。そのため、得られた生体用貼付ゲルシートは、使用の際に、ちぎれたりして操作性が悪くなるおそれがある。ゲル体に占める水の割合は、上記範囲の中でも特に5〜95質量%であるのが好ましく、10〜85質量%であるのがより好ましい。
【0028】
上記高分子ゲル体を構成する溶媒としては、水のほか、ゲル体形成用配合物中で相分離を起こさず、従来、化粧品、医薬品、医薬部外品、衛生材料、雑貨等の分野で経皮用途として使用されている溶媒であれば、これを水と混合した上で使用することができる。かかる溶媒としては、例えばエチルアルコール等のモノアルコール類、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン等の多価アルコール類、あるいはグリコール類や多価アルコール類が2分子以上エーテル結合により連なったポリグリコール類や、ポリグリセリン類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
高分子ゲル体に占める水以外の溶媒の割合は98質量%以下であるのが好ましい。かかる割合が98質量%を超えると、溶媒としての水の含有量が低下するため、ゲル体中に配合される各種の添加剤等を容易に溶解できなくなるおそれがある。更に、ゲル体の腰強度が弱くなり、ゲル体の保形性が不安定となる。そのため、得られた生体用貼付ゲルシートは、使用の際に、ちぎれたりして操作性が悪くなるおそれがある。
【0030】
なお、皮膚表面に貼付することでゲル体の表面に薬効成分を含有する溶液が滲出する高分子ゲル体の場合には、溶媒の配合量はより多い方が好ましく、水及び水以外の溶媒の合計が85〜99.5質量%であるのが好ましい。この場合、水以外の利用可能な溶媒としては多価アルコール類と多価アルコールのエーテル類があげられ、好ましくは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量が6,000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量が1000以下のポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール、イソプレングリコール、平均付加モルが9以下のポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル及びポリオキシプロピレングリセリルエーテルが挙げられる。
【0031】
[架橋反応]
高分子ゲル体は、少なくとも水を含む溶媒と上記アニオン性官能基を有する高分子化合物に、多価カチオン系化合物を混合してゲル体形成用配合物とし、これを架橋させることにより得られる。
【0032】
ここで、混合時のpHは3〜7の範囲であることが好ましい。混合時のpHが上記範囲より低い場合には、架橋後のゲルシートのpHが低くなりすぎ、皮膚に対して悪影響がある。更に、架橋反応速度が早くなりすぎ、多価カチオン系化合物と高分子化合物との混合が不均一なままゲルが固化してしまうという問題点がある。混合時のpHが上記範囲より高い場合には、架橋反応速度が遅く生産効率が悪化する。更に、水に難溶性の多価カチオン系化合物が白濁した状態でゲル体中に残存しやすく、シートが不透明になるという問題点を有する。混合時のより好ましいpHの範囲は3.5〜6.0である。
【0033】
また、架橋反応は、高分子化合物と多価カチオン系化合物とを連続的に撹拌処理しうる混合装置を用いて行うことが好ましい。
なお、反応速度が遅いことを利用して、pHが3〜7の範囲より高い条件下で高分子化合物と多価カチオン系化合物の混合を先に行い、その後連続的撹拌処理が可能な混合装置を用いて、酸を均一に添加することでpHを3〜7の範囲にして両者を反応させることも可能である。この場合に用いる酸としては、最終的にpHを3〜7の範囲内に納める添加量で、皮膚に対して深刻な悪影響を及ぼさないものならどのような酸でもよく、塩酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸等の各種無機酸、有機酸が使用可能である。また、顕著な硬化反応を伴わない高分子化合物と多価カチオン系化合物との混合は、通常のバッチ方式の撹拌装置を用いることも可能である。
【0034】
本発明では高分子ゲル体が透明又は半透明であることを特徴とするが、上記のとおり水への溶解性が非常に低い多価カチオン系化合物は、ゲル体が固化した後もゲル体中に白濁した状態で残存しやすい。一方、水への溶解性が高い多価カチオン系化合物を用いたりゲル体形成用配合物を低pHとする場合には、透明性の高いゲル体ができるが、ゲル体形成用配合物の架橋反応が急激に進行しやすい。そのため、容器内でバッチ処理により混合する撹拌装置では、撹拌終了時には既に成形が困難なほど固化が進行する場合がある。
【0035】
本発明のゲルシートは、このような反応時間が短い、高分子化合物と多価カチオン系化合物の水性媒体の存在下での混合を、連続的撹拌処理が可能な混合装置を用いて短時間で行うことができる。この場合の反応時間の目安としては、架橋反応に伴う粘度上昇が、ゲル体形成用配合物の混合開始後10分間で50,000mPa・s以上に達するように調整することが好ましい。また、連続的撹拌処理が可能な混合装置とは、装置に混合する対象物を注入してから、混合処理を行って取り出されるまでの工程が連続的に経過するタイプの撹拌装置のことを意味する。具体的にはスタティックミキサーや、反応押出機等が挙げられる。中でも高分子の剪断による低分子化が起こりにくいという点でスタティックミキサーが好ましい。
【0036】
これらの装置内での撹拌時間、すなわち装置中での滞留時間は、5〜300秒程度であるのが望ましく、10〜150秒程度であるのが更に望ましい。上記範囲より短い撹拌時間では混合が不均一になりやすく、上記より長い場合、架橋反応速度の速い高分子化合物と多価カチオン系化合物の系では、装置内でのゲルの固化が起こりやすくなるほか、装置の大きさも滞留量の増大にともなって大きくなるという問題点がある。
【0037】
[薬効成分]
本発明の生体用貼付ゲルシートの少なくとも皮膚に貼付する表面に存在する液体は、少なくとも薬効成分と溶媒(以下、薬効成分液)から構成されている。薬効成分としては、例えば美容、美顔及び皮膚の治療等を目的として、従来、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されているものであれば特に限定されるものではない。
【0038】
例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0039】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子;アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシン等の保湿成分;スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分;ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤;ビタミンA,B2,B6,C,D,E,K,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類;アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分;トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤;α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸等の細胞賦活剤;γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤;レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤;アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤;セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、鎮痛剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質、植物由来成分、海藻由来成分等も挙げられる。
【0040】
薬効成分液には、上記薬効成分以外にも、必要に応じて保湿剤、増粘剤、香料、着色料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、pH調整剤、キレート剤、界面活性剤、防腐剤、抗菌剤等が添加剤として含まれていてもよい。
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレンカーボネート、ソルビトール、マルチトール、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、グルコース、フラクトース、マンニトール、ヒアルロン酸及びその塩、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等のグリコール類、多価アルコール類及び糖アルコール類等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
増粘剤としては、比較的少量で、配合液がある程度の粘度をもつものが好ましく、例えばポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子が挙げられる。
薬効成分液を構成する溶媒としては、上記の高分子ゲル体を構成する溶媒である水や、従来から化粧品、医薬品、医薬部外品、衛生材料、雑貨等の分野で経皮用途として使用されている溶媒の中から、上記の薬効成分や添加剤等を均一に混合させうる構成を選択して、単独又は混合して用いることができる。薬効成分等が溶媒に対して溶解しない場合でも、界面活性剤や増粘剤等の作用により均一に溶媒中に分散した状態を保てればよい。
【0042】
薬効成分の配合量は、その種類により最適な適用量が異なるため一概には規定できないが、一般に薬効成分液の総量に対して0.001〜80質量%であるのが好ましく、0.05〜60質量%であるのがより好ましい。
薬効成分液の適量については、その含有する薬効成分の種類や量によって異なるため一概にはいえないが、皮膚への均一な作用をもたらし、かつ、ゲル体貼付時に液だれ等のハンドリング上の問題が起こりにくいという観点から、ゲル体の皮膚に貼付する面の表面積1cm2あたり0.5〜50mgが好ましく、1〜20mgがより好ましい。液体の量が少なすぎる場合にはゲルシート貼付面のほとんどの部分に薬効成分が行き渡らなくなって、薬効成分の効果が十分でなくなる。また、液体の量が多すぎる場合にはゲルシートの貼付時に液だれが生じて不快感を伴ったり、薬効成分を無駄に使用することになる。
【0043】
ゲルの表面に存在する液体を定量するには、紙製ワイパー(クレシア社製の「キムワイプ ワイパーS−200」等)を、一枚ずつ精密天秤にて秤量した後、測定対象のゲルシート表面をまんべんなく拭い、使用したワイパーを再び精密天秤にて秤量することで、2つの秤量値の差をゲルシート表面の液重量とする。
なお、薬効成分液は皮膚表面にゲルシートを貼付する際に相当量がゲル体上に存在すればよく、たとえば液を外部からゲル体表面に供給する場合に、ゲル体に対して上記の量よりも多量の液中にゲル体を一旦浸漬して皮膚に貼付する場合でも、貼付時に上記範囲内の液量がゲル体表面に残っていればよい。
【0044】
薬効成分液は、ゲル体の固化終了後、塗布、滴下、噴霧等の方法により供給してもよいし、ゲル体が固化する前に、たとえばシート状に展延塗工する際にその一方の表面に、塗布、滴下、噴霧等の方法により供給してもよい。ゲル体をシート状に展延塗工したのちに、薬効成分液を添加する場合、薬効成分液はゲル体の表面に直接、塗布、滴下、噴霧等の方法により供給してもよいし、ゲル体表面を保護フィルム等が被っている場合等は、使用する直前にフィルムをはがした後にゲル体の表面を薬効成分液でぬらすようにしてもよい。ゲル体をそれよりも大きなベースフィルムやカップ等に載せた状態で包装する場合には、ゲル体の周囲の台紙やカップ上に薬効成分液を塗布又は滴下しておけば、使用時にゲル体をベースフィルムやカップから取りはずす際に、はがしたゲルの表面を濡らすように薬効成分液を回り込ませることができる。
【0045】
更に、上記のように薬効成分液をゲル体とは別に供給する方法のほか、ゲル体が固化する前にゲル体形成用配合物の中にあらかじめ薬効成分類とそれを溶解させうる溶媒を配合しておき、ゲル体が固化した後に、硬化処理等によりその表面に薬効成分液を滲出させてもよい。
更にまた、型枠を用いてシートを形成する場合は、型枠内に予め塗布又は滴下しておくことにより供給してもよい。
【0046】
[硬化処理]
高分子ゲル体からなるゲルシートの一方の表面の全面もしくは一部に硬化処理を施してもよい。硬化処理の方法としては、当該ゲル体と反応してその架橋密度を上昇させることができる硬化処理剤を施す方法、紫外線、電子線等を照射して、高分子ゲル体の一方の表面における架橋密度を上昇させる方法等が挙げられる。
これらの方法の中でも、特に当該ゲルシートの、少なくとも一方の表面の全面もしくは一部に、上記硬化処理剤を施す(より具体的には、上記硬化処理剤を塗布、噴霧する等の方法を採る)のが、作業の容易さや製造コスト等の観点から好ましい。
【0047】
(硬化処理剤)
硬化処理剤としては、生体用貼付ゲルシートを構成する高分子と反応し、当該高分子の架橋密度を上昇させ得る架橋性因子を含むものが用いられる。すなわち、硬化処理剤は、高分子ゲル体からなるゲルシートの少なくとも一方の表面の全面、もしくは一部の架橋密度を上昇させることによって、当該ゲル体内部から薬効成分液、即ちゲル体を構成する溶媒及びそれに溶解した薬効成分を滲出させることができるものであって、従来、化粧品、医薬品、医薬部外品、衛生材料、雑貨等の分野で経皮用途として使用されているものであるほかは特に限定されない。
【0048】
硬化処理剤は、当該硬化処理剤に含有される架橋性因子が高分子ゲル体を構成する高分子と反応して、当該ゲル体の架橋密度を上げる機能を有する。このため、上記ゲル体中には、硬化処理剤が有する架橋性因子と架橋反応を起こし得る高分子化合物の存在を必要とする。かかる高分子化合物は、それ自体が高分子ゲル体を形成する網目構造を有する高分子化合物であってもよいし、高分子ゲル体を形成する高分子化合物とは別に、当該ゲル体中にその溶媒とともに包含された未架橋の高分子化合物であってもよい。
【0049】
上記硬化処理剤と高分子ゲル体との組み合わせは特に限定されるものではないが、製造が容易であるとの観点から、
(i)硬化処理剤が、多価カチオン系化合物、多価カルボン酸、多価アルコール、多官能エポキシド類及びジアルデヒド類からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋性因子を有するものであり、かつ、
(ii)ゲル体を構成する高分子化合物が、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、1種又は2種以上の重合性不飽和単量体を重合して得られる水溶性合成高分子化合物(すなわち、上記(i)の架橋性因子と架橋反応を起こし得る高分子化合物)
が含まれる組み合わせが好適である。
【0050】
上記(ii)記載のゲル体を構成する高分子化合物のうち、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基を有する高分子化合物としては、前述の[ゲル体を構成する高分子化合物]の欄に記載したものが例として挙げられる。側鎖に水酸基を有する高分子化合物としては、酢酸ビニルモノマーの重合体を加水分解して得られるポリビニルアルコール等が挙げられる。側鎖にアミド基を有する高分子化合物としては、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリN,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0051】
また、上記高分子化合物を構成する単量体は、[ゲル体を構成する高分子化合物]の欄の記載と同様に、カルボキシル基等を変性した官能基を有してもよい。当該官能基を導入するための処理やその処理を行う時期等についても、「ゲル体を構成する高分子化合物」の欄の記載と同様である。
【0052】
硬化処理剤と反応する上記(ii)の高分子化合物については、それ自体が高分子ゲル体を形成する網目構造を有する高分子化合物であってもよいし、それとは別に、当該ゲル体中に溶媒とともに包含された未架橋の高分子化合物であってもよい。ゲル体中に未架橋の高分子化合物を包含させるには、高分子ゲル体を形成する高分子化合物と、上記(ii)の高分子化合物とをあらかじめ高分子溶液として混合しておいたのちに、前者に網目構造を導入するのが好ましい。
【0053】
上記(i)記載の硬化処理剤のうち、多価カチオン系化合物とは、二価以上のカチオンを含む化合物全般を指す。その中でも、架橋反応効率の観点から、例えばAl3+、Fe3+、Ti3+、In3+、Zr4+、Ta5+等の三価以上のカチオンを含む化合物が好適に用いられる。
【0054】
上記多価カチオン系化合物は、例えば塩化アルミニウムのように水に可溶性の塩であっても、水酸化アルミニウムのように難溶性のものであってもよく、その製造方法に応じて最適なものを適宜選択すればよい。すなわち、硬化処理に即効を得ることを目的とする場合は、使用する硬化処理剤あるいは高分子ゲル体に包含された溶媒との可溶性を有する塩を選択すればよく、逆に硬化処理を、例えば1時間以上かけて行うことを目的とする場合は、使用する硬化処理剤あるいは高分子ゲル体に包含された溶媒に対して難溶性の塩を選択すればよい。
【0055】
また、上記(i)記載の硬化処理剤のうち、多価カルボン酸としては、例えばコハク酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジグリセリン等が挙げられる。多官能エポキシドとしては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。また、ジアルデヒド類としては、例えばグリオキサール、テレフタルアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げられる。
【0056】
上記硬化処理における上記高分子化合物と架橋性因子との組み合わせは、製造が更に容易であるとの観点から、前述の中でも特に、少なくともアニオン性官能基を有する重合性不飽和単量体を重合して得られる高分子化合物と、少なくとも多価カチオン系化合物を含む架橋性因子との組み合わせが好適である。上記アニオン性官能基とは、水中でカチオンと化学結合を有する能力のある官能基全般を指し、製造が容易であるとの観点から、−COOH、−COOX(X;対イオン)で示されるカルボキシル基が好ましい。
【0057】
本発明の生体用貼付ゲルシートを構成する高分子ゲル体の少なくとも一方の表面に施される硬化処理剤は、上記架橋性因子とともに溶媒を含んでもよく、かかる溶媒としては例えば水やエチルアルコール等のモノアルコール類、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。前述のように、上記架橋性因子はかかる溶媒に溶解していても、溶解せずにスラリー状になっていてもよい。更に、硬化処理剤には必要に応じて増粘剤、香料、着色料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、pH調整剤、キレート剤、界面活性剤、防腐剤、抗菌剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0058】
本発明における硬化処理は、高分子ゲル体からなるゲルシートの少なくとも一方の表面を処理すればよく、その処理した表面が、皮膚に貼り付ける場合の貼り付ける部位と接触する面であってもよく、またその反対側の接触しない面であってもよい。更に、処理される表面に対しては、表面一面に均一な処理量を施してもよく、部分的に処理量が不均一になってもよく、更には処理される表面の一部のみの処理でもよい。硬化処理は、そのゲル体表面の処理された箇所付近が、ゲル体内部に比べて架橋密度が上昇することによって、当該ゲル体内部から溶媒が滲出すればどのような方法を用いてもよい。なお、ゲル体表面の一部のみを硬化処理する場合は、その処理される面の表面積の10%以上を処理するのが好ましい。10%を下回ると、硬化処理によって発生するゲル体内部からの構成する溶媒の滲出が顕著に現れず、皮膚に与える薬効成分の効果、保湿性や冷涼感等が不十分になるおそれがある。
【0059】
硬化処理において、高分子ゲル体からなるゲルシートの表面に施される硬化処理剤の量は、架橋性因子の架橋当量で表わした場合、前記ゲル体の処理された表面全体に対し、表面1cm2当たり1×10-10〜1×10-2当量であるのが好ましい。処理量が1×10-10当量/cm2を下回ると、当該高分子ゲル体内部から溶媒の滲出が顕著に現れず、皮膚に与える保湿性や冷涼感等が不十分になるおそれがある。一方、処理量が1×10-2当量/cm2に達すると、もはや硬化処理としては十分に施され、それ以上有効に作用することはない。なお、ここでいう架橋性因子の架橋当量とは、架橋性因子の架橋点の量をモル数で表わしたものをいう。
【0060】
本発明の硬化処理によって、高分子ゲル体の内部から薬効成分を含む溶媒を、より効果的に滲出させるためには、ゲル体中の高分子の網目構造を構成する架橋点の多価カチオン系化合物の量(モル数)が、高分子を構成する単量体のモル数100に対して、0.001〜8.0モルであることが好ましく、0.01〜5.0モルであることがより好ましい。上記架橋点の多価カチオン系化合物の量が上記範囲を上回ると、ゲル体内部の元々の架橋密度が高くなりすぎて、硬化処理を行ってもゲル体内部から溶媒を滲出させる効果が小さくなる。一方、上記架橋点の硬化処理剤の量が上記範囲を下回ると、ゲル体の保形性が不安定となる。そのため、得られた生体用貼付ゲルシートは、使用の際に、ちぎれたりして操作性が悪くなるおそれがある。
【0061】
また、硬化処理によるゲル体内部からの溶媒の滲出をより効果的に行うためには、高分子ゲル体を構成する溶媒として水以外に、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類やグリセリン等の多価アルコール類等の極性溶媒を、当該ゲル体に対して1質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。このようにゲル体の溶媒として水以外の極性溶媒を含むことによって、ゲル体の溶媒である水自身の滲出も容易となる。
【0062】
更に、ゲル体を構成する網目構造のマトリックスが大きすぎると、ゲル体自身の溶媒を包含する能力が強くなりすぎて、当該ゲル体の硬化処理を施しても、ゲル体内部からの溶媒の滲出の程度は小さくなる。そのため、ゲル体を形成する網目構造に関わる、アニオン性官能基を有する水溶性高分子化合物は、その50質量%以上が分子量100,000以下の分子で構成されていることが好ましい。ただし、用いる水溶性合成高分子の50質量%以上が分子量1,000を下回ると、ゲル体の保形性が不安定となる。そのため、得られた生体用粘着ゲルシートは、使用の際に、ちぎれたりして操作性が悪くなるおそれがある。
なお、本発明の生体用貼付ゲルシートのうち、皮膚表面に貼付することでゲル体の表面に薬効成分を含有する溶液が滲出する高分子ゲル体とは、ゲルシートを皮膚上に貼付した際、ゲル体がそれを構成する溶媒の蒸散(乾燥)により収縮するに連れて、ゲルシート表面、特に、ゲルシートと皮膚との間に薬効成分を含有した溶液が滲出するものである。そのため、上記のように薬効成分を含有する溶液を添加したり、表面硬化処理を施したりすることがなくとも、同様の効果が得られる。皮膚に貼付する際には、ゲルシート表面に薬効成分を含んだ溶液が存在している必要はなく、貼付中にゲル体表面に滲出すればよい。前述の生体貼付用ゲルシートに比べ、貼付時のうるおい感は不足する傾向はあるが、薬効成分液の添加や、硬化処理を行う必要がなく製造上の利点は大きいため、どちらのタイプを用いるかは、生産コストと使用感の違いを考慮して決定すればよい。
【0063】
皮膚表面に貼付することによって薬効成分を含有する溶液が滲出する生体用貼付ゲルシートとして利用可能なゲル体とは、次の条件を満たすものである。すなわち、少なくとも水を含む溶媒、水溶性合成高分子化合物及び薬効成分を含有する高分子ゲル体で、36℃で相対湿度60%の環境下で、一方の面をガラスの平板に、もう一方を雰囲気中にさらして20分間放置した後、ゲル体を取り去ったガラス板上に、もとのゲル体の面積にして1cm2あたり0.5〜50mgの薬効成分含有液が残存するゲル体であり、外観は透明又は半透明であるのがより好ましい。
これらの条件を満たすゲル体には、上記[ゲル体を構成する合成高分子化合物]や、[ゲル体を構成する溶媒]の項で記述した高分子や溶媒が、好ましく用いられ、薬効成分としても上記[薬効成分]の項で記述したものが好ましく用いられる。
【0064】
[ゲルシートの構成等]
本発明の生体用貼付ゲルシートは、溶媒として少なくとも水を含む網目構造を有する高分子ゲル体及び、その皮膚に貼付する表面に存在する薬効成分を含有する溶液からなる。更に、当該高分子ゲル体中には上記のほか、ゲルシートの透明性を損なわせることなく、ゲルシートの引裂強度と取り扱い性とを向上させることを目的として、ゲル体内部に開口率が十分に大きい織布又は不織布のような基材を内在させることができる。
【0065】
上記織布又は不織布をゲル体内に内在させるには、粘度が1,000〜30,000mPa・sのゲル体形成用配合物に、該織布又は不織布を浸漬し、次いでシート状に成形した後、固化させるのが好ましい。より詳細には、2枚のフィルム状セパレーターを所定間隔で設置して形成した空隙に上述のゲル形成用配合物を挟み込んでシート状に成形する際に、開口率が十分に大きい織布又は不織布を、該ゲル形成用配合物に浸漬した状態でセパレーターと平行方向に導入し、架橋反応によってゲルと織布又は不織布を一体的に固化させるにより、該織布又は不織布を得るのが好ましい。固化前の配合液に開口率の大きい織布又は不織布を浸漬することで、繊維の間等への気泡の残存を少なくすることができ、更に、ゲル体が固化した後、ゲル体と、織布又は不織布を強固に一体化させることができる。
【0066】
なお、「内在」とは、織布又は不織布が、その少なくとも一部がゲル体に埋め込まれる形で存在している状態をいい、織布又は不織布が、ゲル体中に完全に埋没していてもよいし、その一部がゲル体外に露出する形であってもよい。
また、フィルム状セパレーターとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムや、これらの複数をラミネート処理等で複合したもの、紙と複合したもの、表面にシリコン等で離型処理を施したもの等、一般に離型材として用いられる素材で、ゲル形成用配合物との離型性、成形後もゲルシートの保護フィルムとして流用するか等に応じて選択すればよい。
【0067】
本発明における、開口率が十分に大きい織布又は不織布としては、g/m2で表した目付量Wが、3≦W≦50の範囲内であることが好ましく、5≦W≦30の範囲内であることがより好ましい。目付量がこれらの範囲よりも小さい場合には織布や不織布の強度が弱く、基材としての役割を十分に果たせず、これらの範囲よりも大きい場合には剛性が強くなりゲル体の柔軟性を阻害したり、透明性を失う等の問題点が出てくる。
【0068】
また、本発明における、開口率が十分に大きい織布又は不織布としては、
次の式、
【0069】
【式3】
Figure 0004230221
【0070】
(ここでWはg/m2で表される織布又は不織布の目付量、dは構成する繊維のデニール繊量、ρは繊維の構成成分のg/cm3で示した密度)
で表される、1m2当たりの、繊維による仮定上の遮蔽面積N(m2/m2)が、0.05≦N≦2.0の範囲内にあることが好ましく、0.1≦N≦1.0の範囲内にあることがより好ましい。上記範囲よりもNの値が小さい場合には織布又は不織布の目が粗すぎ、基材としての機能を果たすことが難しく、上記範囲よりもNの値が大きい場合には透明性が十分ではなくなるため好ましくない。
【0071】
開口率が大きい織布又は不織布を構成する繊維としては、一般的に用いられているものが使用可能であるが、透明性や衛生管理面から、天然繊維よりは合成繊維の方が好ましい。中でも好ましい素材としては、ナイロン及び、ポリエステル繊維が挙げられる。更に、ゲルに埋め込んだ場合に気泡が発生しにくい等の点から、マルチフィラメントタイプの繊維の場合、一本の繊維を構成する繊維の数は少ない方が好ましく、更にモノフィラメントタイプであることがより好ましい。
【0072】
ゲルシートの厚みは、その使用状況に応じて適宜設定すればよく、全体に均一であっても、部分的に厚さが異なっていてもよいが、皮膚に貼り付けたときの違和感や強度を考慮すると、0.1〜3mmの範囲であるのが好ましい。ゲルシート全体の厚みが0.1mmを下回るとゲルシートの強度が弱くなるおそれがある。一方、3mmを超えると、シートの自重が大きくなりすぎて、皮膚に貼り付けたときに違和感が生じるおそれがある。なお、ゲルシート全体が厚くないのであれば、部分的にシートの厚みを6mm程度にまで厚くすることが可能である。
【0073】
[添加剤]
本発明の生体用貼付ゲルシートにおいて、当該ゲルシートを構成する高分子ゲル体には、前記ゲルシートの使用目的に応じて(すなわち、化粧品や医薬部外品等への適用に応じて)、各種の添加剤を適宜配合することができる。
かかる添加剤としては、例えば美容、美顔及び皮膚の治療等を目的とする薬効成分のほか、保湿剤、増粘剤、香料、着色料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、pH調整剤、キレート剤、界面活性剤、防腐剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0074】
上記薬効成分としては、従来、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されているものであれば特に限定されるものではなく、上記の高分子ゲル体の皮膚に貼付する表面に存在する液体中に含まれる薬効成分と同様のものが用いられる。
また、薬効成分の配合量は、その素材により有効成分量が異なるため一概には規定できないが、一般に生体用貼付ゲルシートの総量に対して0.001〜80質量%であるのが好ましく、0.05〜10質量%であるのがより好ましい。
【0075】
保湿剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、グルコース、フラクトース、マンニトール、ヒアルロン酸及びその塩、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等のグリコール類、多価アルコール類及び多糖類等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0076】
増粘剤としては、比較的少量で、配合液がある程度の粘度をもつものが好ましく、例えばポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子が挙げられる。増粘剤の配合量は、高分子ゲル体を形成する配合液及び/もしくは硬化処理剤に対して0.01〜20質量%であるのが好ましく、0.05〜10質量%であるのがより好ましい。
その他、皮膚上で貼付することによって表面に薬効成分を含む溶液が滲出するゲルでは、その滲出をより容易にするため、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機電解質を添加するのが効果的である。
【0077】
[生体用貼付ゲルシートの製造方法の一例]
次に、本発明の生体用貼付ゲルシートの製造方法を、一例を用いて具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
高分子ゲル体の製造方法としては、上記の高分子化合物を水又は水を含む溶媒に溶解し、この溶液に、多価カチオン系化合物を有する少なくとも1種の化合物である架橋性因子を添加して架橋反応を行う方法が挙げられる。通常、架橋反応は架橋性因子の添加により直ちに始まるが、架橋反応の際には必要に応じて加熱、冷却や、pH調整等の処理を加えて反応速度を調整してもよい。
【0078】
ここで、反応時間が短い酸性の高分子化合物と多価カチオン系化合物の混合を、連続的撹拌処理が可能な混合装置を用いて短時間で行うことが好ましい。この場合の、連続的撹拌処理が可能な混合装置とは、前述の[架橋反応]の項に記載のとおり、装置に混合する対象物を投入してから、混合処理を行って取り出されるまでの工程が連続的に経過するタイプの撹拌装置のことで、具体的にはスタティックミキサーや、反応押出機等が挙げられる。中でも高分子の剪断による低分子化が起こりにくいという点でスタティックミキサーが好ましい。
【0079】
これらの装置内での撹拌時間、すなわち装置中での滞留時間は、5〜300秒程度であるのが望ましく、10〜150秒程度であるのが更に望ましい。上記範囲より短い撹拌時間では混合が不均一になりやすく、上記より長い場合、架橋反応速度の速いタイプの高分子化合物と多価カチオン系化合物の系では、装置内でのゲルの固化が起こりやすくなるほか、装置の大きさも滞留量の増大にともなって大きくなるという問題点がある。混合装置内での滞留時間は、上記範囲内で高分子化合物と多価カチオン系化合物との混合が十分にできる時間を決定すればよい。滞留時間と混合能力の調整は、スタティックミキサーであれば、流速、ミキサーの内径、エレメント数の増減や形状によって調整可能であり、反応押出機であれば、スクリューの回転数、形状、フィード量等によって調節可能である。
【0080】
なお、スタティックミキサーの内部の撹拌用エレメント部分については脱着可能な構造とする方が内部の清掃が容易に行えるため好ましい。また、高分子化合物と多価カチオン系化合物を上記の撹拌装置に投入する際、多価カチオン系化合物も溶液やスラリー等の液状である方が、ダマ等の発生が少なく混合が均一になりにやすいため好ましい。
多価カチオン系化合物をスラリー状で供給する場合には、沈殿による濃度むらの発生をなくすため、供給部に撹拌装置等を設けてスラリーを撹拌する。この際、スラリーに増粘剤等を加え粘度を上げて沈殿を遅くする等の措置をとってもよい。
【0081】
[厚みの調整]
本発明の生体用貼付ゲルシートを形成する高分子ゲル体の厚み調整は、かかるゲル体の固化が終了する前のゲル形成用配合物に対して、例えば押出機やドクターブレード、ローラー等を用いて展延したり、所定の厚みをもった容器に充填したりすることで行われる。
ブレードやローラーを用いてゲル形成用配合物をシート状に展延する場合、配合液に直接ブレードやローラーが触れる状態で行ってもよいが、配合液を2枚のフィルム状セパレーターで挟んだ状態で展延する方が、ゲル体の表面がより滑らかに仕上がる点から、あるいは、衛生的な観点からも好ましい。
【0082】
所定の厚みをもった容器にゲル形成用配合物を充填する後者の方法では、かかる容器の形状を使用時の生体用貼付ゲルシートの形状に合わせて形成しておけば、ゲル体成形までの一貫製造プロセスが容易となり、製造工程上好ましいものとなる。更に、長い帯状のゲル体を一旦形成し、これから目的とする使用時の形状に打ち抜く方法に比べて、廃棄するゲルの発生量が抑えられること、またゲル体と打抜き刃の接触がないことから衛生的であること等の観点からも好適である。
【0083】
また、架橋反応により上記の高分子ゲル体を得るためには、架橋性因子の添加や加熱等の操作を、架橋反応前の配合物に対して行う必要があるが、これらの操作を行うタイミングは、それぞれの反応系に応じて適切に選択すればよい。例えば、架橋性因子の添加後直ちに架橋反応が開始する系では、上記の方法で厚み調整や充填を行う直前にこれらの添加と、配合物の均一化のための混合を行うことが好ましい。
【0084】
本発明の高分子ゲル体において、厚みの調整後架橋反応によりゲル体の固化が終了するまでの時間は、1分程度の短時間で終了するものから、数時間〜数日間を要するものまでさまざまであるが、この固化が終了するまでの間は、ゲル体に対して局部的な加圧や横ずれの力等、ゲル体を変形させる力を加えないことが好ましい。但し、固化終了前のゲル体に対してカット等の加工をする際には、そのカット面から未固化の液状配合物が飛び出すのを軽減するため、カット線の形状に合わせて予め線状にプレスし、カット線上から未固化の配合物を押しのけておく等の加工をしてもよい。
【0085】
[基材の導入]
ゲル体中に開口率の大きい織布又は不織布のような基材を導入する方法としては、前述のとおり、固化が完了していない液状のゲル体形成用配合物に、該織布又は不織布を浸漬し、その後シート状に成形してゲルを固化させるのが好ましい。より詳細には、2枚のフィルム状セパレーターを所定間隔で設置して形成した空隙に上述の液状ゲル形成用配合物を挟み込んでシート状に成形する際は、開口率が十分に大きい織布又は不織布を、該ゲル形成用配合物に浸漬した状態でセパレーターと平行方向に導入し、架橋反応によってゲルと織布又は不織布を一体的に固化させることにより、該織布又は不織布を導入するのが好ましい。
【0086】
先に織布又は不織布を広げているところにゲル形成用配合物をのせて、ブレードやローラーで直接、あるいはフィルム状セパレーターを更に貼付した上から、所定の厚みとなるよう圧力をかける方法でも織布等を内在するゲルシートを得られるが、この場合は織布又は不織布に付着する気泡がゲル中に残存しやすくなる。
【0087】
水平に並べた2本のローラーの間を所定の間隔で固定し、その隙間に上記ゲル形成用配合物を流すことで、ゲル体の厚みを調整する場合は、ローラーの上部から配合物と一緒に上記織布又は不織布を流してやることでゲル体中にそれを導入することができる。この場合も、ローラーに接するようにフィルムを流して配合物及び織布又は不織布を両側からフィルム状セパレーターで挟むようにすることが好ましい。また、この場合、2本のロール上に各々ドクターブレード等を設けることで、各ローラー上で一旦一定厚みの配合物層を形成し、ロール間の隙間に両方から等量の配合物を供給するようにすれば、その隙間に供給する織布又は不織布をゲル体厚み方向でのほぼ中心に位置させることができる。また、織布又は不織布を一方のロール又はロール上をながれるフィルムに密着させた状態で供給すると、ゲル体中で織布又は不織布が一方の面に偏在するようになるが、ロールによる厚み規制後、織布又は不織布がゲル体の上面になるようにゲル体を水平に保って固化させることで、ゲル体中に残存する気泡を減少させることができる。
【0088】
[硬化処理]
本発明において、高分子ゲル体からなるゲルシートにおける少なくとも一方の表面の全面もしくは一部に硬化処理を施す場合、その時期は、高分子ゲル体の固化が終了した後であっても、当該ゲル体の固化が終了する前であってもよい。
なお、本発明における「ゲル体の固化が終了する」とは、ゲル化前の配合物が架橋反応を起こして保形性を有する状態になったことをいう。
【0089】
上記硬化処理の中でも、前述のように硬化処理剤を施す処理においては、当該硬化処理剤を、固化が終了したゲル体の少なくとも一方の表面に、例えばコーター、印刷機、ハケ等を用いた塗工やスプレー等を用いた噴霧等の方法によって施せばよい。
【0090】
硬化処理剤を施す方法は、固化が終了する前のゲル体の表面に処理を施す場合であっても、上記と同様にすればよいが、処理を行う際のゲル形成用配合物が、ある程度以上の粘度を有していることが望ましい。かかる粘度としては、厚み調整が済んでいる状態にあっては、10,000mPa・s以上が好ましい。硬化処理剤を用いて処理する時のゲル形成用配合物の粘度が10,000mPa・sを下回ると、かかるゲル形成用配合物と硬化処理剤が混ざり合って、得られるゲルシートの表面と内部との間での架橋密度の差が現れにくくなる。その結果、ゲル体内部からの薬効成分の滲出があまり生じなくなるおそれがある。
【0091】
ゲル体の固化が終了する前に硬化処理剤を施す場合であって、ゲル形成用配合物の厚み調整を行う前に硬化処理剤を施すことによって、製造されるゲルシートの表面と内部に架橋密度の差を生じさせることもできる。この場合、硬化処理剤を介在させることが可能なシート(以下、介在シートという)に、硬化処理剤を介在させ、かかる介在シートを上記のフィルム状セパレーターとして用い、固化終了前のゲル形成用配合物に接触させた上で、ドクターブレードやスキージー等を用いて固化終了前のゲル形成用配合物の厚み調整を行う。その結果、介在シートが保持していた硬化処理剤をかかるゲル形成用配合物に転写することができ、これをゲル体の固化の終了まで静置することで、目的とする表面と内部の架橋密度が異なったゲルシートを得ることができる。
【0092】
かかる製造方法のごとく、厚み調整を行う前に硬化処理を施す場合には、ゲル形成用配合物の粘度は、5,000〜50,000mPa・sであることが好ましい。粘度が5,000mPa・sを下回ると、ゲル形成用配合物と硬化処理剤が混ざり合って、得られるゲルシートの表面と内部との間での架橋密度の差が現れにくくなり、その結果、ゲル体内部からの溶媒の滲出があまり生じなくなるおそれがある。逆に、50,000mPa・sを超えると、ゲル形成用配合物の厚み調整自身が困難となる。
【0093】
なお介在シートは、硬化処理剤を介在させることができるものであればどのようなものであってもよく、例えば、プラスチックシート、スポンジシート、紙、織布、不織布等を用いることができる。中でも、当該介在シートは生体用貼付ゲルシートの使用時までに剥がされるため、剥離が容易なプラスチックシート等であるのが好ましい。また、介在シートには、着色、模様や文字の印刷等が施されていてもよい。
好ましいプラスチックシートの材質としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、前記介在シートに硬化処理剤を均一に介在させやすくするために、硬化処理剤の中に増粘剤を加えることも可能である。
【0094】
[包装]
本発明の生体用貼付ゲルシートは、実際に使用するまでの保存中にゲル体表面の薬効成分液が乾燥してしまわぬよう、水蒸気バリア性に優れた包装フィルムを用いて密封包装することが好ましい。包装フィルムの水蒸気透過性としては、40℃で相対湿度差90%RHで2.0g/(m2・24h)以下であることが好ましく、1.0g/(m2・24h)以下であることがより好ましい。水蒸気透過性がこれを超える場合には、保存中に薬効成分液やゲル体中の水分が失われ、本発明のゲルシートの持つ特徴が失われる。
【0095】
なお、包装の形態としては従来既知のプラスチックフィルムを用いた包装方法、すなわち、三方ピロー型包装、横型三方シール包装、四方シール包装等の袋型包装のほか、カップ型に整形した水蒸気バリア性フィルムにゲルシートを納め、上部を水蒸気バリア性のフィルムでシールするブリスターパック型の包装を採用することもできる。ブリスター型のカップを利用する場合は、硬化した高分子ゲル体から使用部位に合わせて打抜加工等で成形したゲルシートを、カップの凹部に納めて上部をシールしてもよいし、上記[厚みの調整]の欄で記載のとおり、ゲル形成用配合物をカップ部に直接流し込んでシールし、硬化させてもよい。
【0096】
[形状]
本発明の生体用貼付ゲルシートの形状としては特に制限はないが、楕円形、円形、ハート形、半円形、半楕円形、正方形、長方形、台形、三角形、適用部位に沿った形状、あるいはこれら組み合わせ等が挙げられ、使用部位により最も適切に貼り付けることができる形状を適宜設計すればよい。また、ゲルシートの中心部や周辺部に位置合わせ等の目的で凸部や凹部を設けたり、使用部位の形状に応じて切り込みやくり抜き部分等を設けると、ゲルシートの取り扱い性を向上させることができる。
【0097】
[適用方法]
本発明の生体用貼付ゲルシートの適用部位としては、顔(唇、頬部、目元部、目の上下部、鼻部、額部)、頭部、胸部、腹部、背部、首部、腕部、脚部、指部、爪部、眼部等が挙げられる。生体用貼付ゲルシートの形状、面積、厚み、粘着面の粘着特性等は、適用部位に応じて適宜調整すればよい。例えば、適用部位が顔全体であるゲルシートを形成する場合には、図1に示すように、目、口の位置に相当する部分をくり抜き、鼻の位置に相当する部分に切り込みを入れた形状があげられる。更にこの場合、貼付け面積が大きいことから、粘着面の粘着力を上昇させるか、厚さを薄めにする等の調整を行うのが好ましい。
【0098】
本発明の生体用貼付ゲルシートは、実際に使用されるまでの間、少なくとも皮膚に貼り付ける面側にポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムをそのままの状態で、又はそのプラスチックフィルムの表面にシリコーン樹脂等の離型剤を塗布もしくは焼付けした状態で、保護フィルムとして貼り付けておくのが衛生上好ましい。上記保護フィルムはゲル体の形状に合わせてカットした状態でもよいし、ゲル体よりも大きな形状として、一枚のフィルム上に複数枚のゲル体が貼り付けられていてもよい。また、保護フィルムには、着色、模様や文字の印刷等が施されていてもよい。
【0099】
中でも、一回で使用する枚数分のゲルシートを、一枚のゲルシートより大きな一枚の保護フィルム上に、その皮膚に貼り付ける面がフィルムと接触するように貼付し、その保護フィルムごと1回の使用分ずつ上記の包装フィルムを用いて密封包装することが好ましい。これにより、使用者は常に開封直後のみずみずしいゲルシートを必要枚数のみ取り出すことができる。この場合、保護フィルム(以後、ベースフィルム)の形状は、必要枚数のゲルシートをその形状に合わせて貼付することができる形状であればよい。具体的には、前述の、ゲル体表面に存在する薬効成分液が、ゲル体周辺からこぼれ落ちるのを防ぐ効果と、ゲル体とベースフィルムとの剥離を容易にする効果を持たせるために、ゲル体の周辺部分が、ベースフィルムの外周部分よりも1mm以上内側に来るようにゲル体を配置することができるような形状であることが好ましい。
【0100】
ベースフィルムは、貼付するゲルシートの厚みや重さ、粘着性に合わせて、適宜材質や厚みを選択すればよいが、ゲル体を所定の形状に打ち抜く工程がベースフィルム上で行われる場合等、ベースフィルムの材質としては、比較的硬いフィルムを用いる方がゲル体のカットが良好であることから、延伸ポリエチレンテレフタレートや延伸ポリプロピレンフィルムを単体、あるいは、ポリエチレン又はポリプロピレン等の別の樹脂とのラミネートフィルムとして用いるのが好ましい。
【0101】
ベースフィルムの外観は、透明や半透明であっても、遮光処理をされていたり、着色や模様が印刷されていても、またそれによって不透明であってもかまわない。ゲルシートに対して遮光性等の効果を持たせたい場合には不透明に近いものを採用すればよいし、ゲルシートの透明性を強調する意匠効果や、製造中にゲルシートの異常をチェックする目的では、透明又は半透明のもの、あるいは異物を見つけやすいような着色を採用すればよい。
【0102】
好ましいベースフィルムの厚みは30〜400μm、より好ましくは50〜250μmである。これより薄いと、フィルム上での半打ち抜きによるゲル体のカットが困難になる他、フィルム部分の剛性不足で密封包装から取り出したゲルシートの取り扱いが困難になる。また、上記範囲より厚いフィルムでは、剛性はもはや必要以上であり、コスト的にも不利となる。
【0103】
また、ゲルシートの乾燥を防いだり、衛生上の配慮から、皮膚に貼り付けない面側にも保護フィルム(以後トップフィルム)を貼り付けるのが好ましい。トップフィルムの材質も、貼付するゲルシートの厚みや重さ、粘着性に合わせて、適宜材質や厚みを選択すればよいが、ゲル体を所定の形状に打ち抜く工程で、ゲル体をカットする際に同時にトップフィルムも打ち抜く場合等、トップフィルムの材質は、比較的柔らかいものの方がゲル体を押しつぶさずに打ち抜くことができることから、ポリエチレンや、無延伸のポリプロピレンフィルム、紙、不織布あるいはそれらの複合体等を用いるのが好ましい。
【0104】
トップフィルムの外観は、透明や半透明であっても、遮光処理をされていたり、着色や模様が印刷されていても、またそれによって不透明であってもかまわない。ゲルシートに対して遮光性等の効果を持たせたい場合には不透明に近いものを採用すればよいし、ゲルシートの透明性を強調する意匠効果や、製造中にゲルシートの異常をチェックする目的では、透明又は半透明のものを採用すればよい。
【0105】
トップフィルムの好ましい厚みは10〜200μm、より好ましくは15μm〜100μmである。これより薄いとフィルム自体の強度不足により、工程中での取り扱いがやっかいになり、この範囲よりも厚いフィルムではゲルのカット時にゲルがきれいにカットされなくなる。
【0106】
なお、ゲルシートの両面にフィルムを貼付する場合、形状、厚み、材質、着色や印刷等によって容易に区別できるようにしておけば、ゲルシートを裏表誤って使用することが防げて好ましい。材質としては、ベースフィルムに延伸ポリエチレンテレフタレートや延伸ポリプロピレンフィルム等の透明で硬質なフィルムを使用する場合、反対側のトップフィルムとしては、ポリエチレンや無延伸ポリプロピレン等の軟質フィルムを用いるのが好ましい。また、やや曇ったマット調の外観を持つ高密度ポリエチレンや、ケミカルブラスト法やサンドブラスト法によるマット加工のポリエチレンフィルム等を用いるのがベースフィルムとの区別が容易で更に好ましい。フィルムへの印刷によってゲルシートの表裏を区別するのは、文字を使った説明ができる等の利点も多い。しかし、ゲルシート中の溶媒によって表示が消えないよう、印刷面には、ゲルシート中の溶媒では溶出しない樹脂によるコーティング等の対策を施すのが好ましい。上記ベースフィルムのようにラミネートフィルムを用いる場合には、そのラミネート面に印刷を施すことがより好ましい。同様にフィルムの着色によって区別する場合でもフィルム中の着色剤がゲルシートに移行することがないよう、顔料系の着色剤を用いたり、上記のようなラミネートやコーティング等の処理がされていることが望ましい。
【0107】
なお、ゲルシートに貼り付けられた保護フィルムは、ゲルシートに比べて柔軟性が乏しく、皮膚表面の動きに十分追従することができないことから、使用時には剥がす方が好ましいが、ゲルシートを使用部位に貼付するまでは、皮膚に貼り付けない面側に保護フィルムを貼り付けたままにして位置決めをし、ゲルシートを皮膚に密着させた後取り外すようにすれば、単体では取り扱いにくい柔らかいゲルシートを、容易に皮膚上の所定の位置に貼り付けることができる。上記保護フィルムは、ゲルシートのゲル製造プロセス中にセパレーターとして用いたものをそのまま利用してもよいし、ゲルシートの製造が終了した後で貼り付けてもよい。
【実施例】
【0108】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[生体用貼付ゲルシートの製造]
実施例1 (目元用美白化粧パック)
下記の製造方法により、生体用貼付ゲルシートを製造した。生体用貼付ゲルシートの製造に使用した製造装置の構成図を図5に、ゲル体形成用配合物と硬化処理剤の構成を、表1の配合1に示す。
【0109】
配合1の高分子溶液の配合成分を、アンカー羽根付き攪拌槽中で約30分間混練して均一にした後、10時間静置して気泡を除去した。また、多価カチオン化合物液の配合成分を精製水と混合してスラリーとした。ノリタケカンパニーリミテッド社製の内径17.5mmで96のエレメントを持つスタティックミキサー(6)に接続した二台の定量供給ポンプの各液供給タンク(2と3)に、高分子溶液とスラリーとを供給し、前者が75、後者が25の重量比となるように各供給ポンプの流量を調整してスタティックミキサー(6)で両者を混合した。なお、B型粘度計にて測定した高分子溶液の粘度は約12,000mPa・s、スラリーは約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約22,000mPa・s、pHは5.0であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0110】
こうして得られたゲル体形成用配合物(7)を、厚さ100μmのポリプロピレンシート1上に塗工し、その上に、15デニールのナイロン(6ナイロン)単繊維からなる目付量17g/m2の織布(4)(トリコットハーフ、N=0.44)及び、厚み40μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(5)をこの順にかぶせて、その上からローラーを用いて厚さ0.8mmに均一に展延した。ベルトコンベヤ上を移動中にゲル体形成用配合物の架橋反応が進行し、塗工から1分経過した位置で上部のポリプロピレンフィルムを剥離して巻き上げた。図中、5′は巻上用ローラーを意味する。このとき、ゲル体の表面は指で押してもゲル体形成用配合物が指に付着することはなく、上記織布はゲル体にほぼ埋没した状態になっていた。
【0111】
更に、ラインの後部で、タンク(8)中の表1の配合1に示す硬化処理剤、すなわち、架橋性因子(塩化アルミニウム六水和物)を溶媒(精製水)に溶解したものを、塗工ローラー(9)を用いてゲル体表面に均一に塗布することにより、前記合成高分子ゲル体の硬化処理を施した。前記硬化処理剤の塗布量は、合成高分子ゲル体の表面1cm2あたり3mg(すなわち架橋当量で、1×10-6当量/cm2)となるように調整した。
【0112】
更に、合成高分子ゲル体の、前記硬化処理剤が施された側の表面に厚さ50μmのポリプロピレンシート(10)を貼り付けて、カット(11)にて図1に示す形状(目元用パック、まる1右用、まる1’左用;長さ=45mm、幅y=74mm)に打ち抜いた。打ち抜いたゲルシートは、40℃相対湿度差90%RH条件での水蒸気透過性が、0.01g/(m2・24h)以下である4層構造アルミラミネートフィルム(構成:12μmPETフィルム/9μmアルミ箔/12μmPETフィルム/40μmL−LDPEヒートシール層)を用いた四方シール袋に密封して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0113】
実施例2 (全顔用美白化粧パック)
ゲルの厚みを1.0mmにすること以外は実施例1と同様にして得た効果処理を施したゲルシートを、図2に示す形状に打ち抜いた。打ち抜いたゲルは。
表1の配合2を用いる以外は実施例2と同様にして、図2に示す形状で、実施例1と同様に四方シール袋に密封して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0114】
実施例3 (全顔用美白化粧パック)
表1の配合2を用いること以外は実施例2と同様にして、図2に示す形状で、実施例1と同様の四方シール袋に密封した最終製品を得た。なお、このとき高分子溶液の粘度は約12,200mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約22,500mPa・s、pHは5.0であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0115】
実施例4 (全顔用老化防止パック)
表1の配合3を用いること以外は実施例2と同様にして、図2に示す形状で、実施例1と同様の四方シール袋に密封した最終製品を得た。なお、このとき高分子溶液の粘度は約12,500mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約23,000mPa・s、pHは5.1であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0116】
実施例5 (全顔用美肌化粧料パック)
表1の配合4を用いること以外は実施例2と同様にして、図2に示す形状で、実施例1と同様の四方シール袋に密封した最終製品を得た。なお、このとき高分子溶液の粘度は約12,200mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約22,500mPa・s、pHは5.0であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0117】
実施例6 (ニキビ用化粧料)
表1の配合5を用い、更に15デニールのナイロン織布を使用しないこと以外は実施例1と同様にして厚み0.8mmのゲルシートを作成し、直径20mmの円形にうち抜き、実施例1と同じアルミラミネートフィルムで作った四方シール袋に密封した最終製品を得た。なお、このとき高分子溶液の粘度は約12,500mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約23,000mPa・s、pHは5.2であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0118】
実施例7 (液添加型全顔用美白化粧パック)
表1の配合6を用い、実施例1と同様のスタティックミキサーにより得たゲル体形成用配合物を、実施例1と同様にローラーを用いて厚さ1.0mmのシート状に成形した。このときの高分子溶液の粘度は約10,500mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約19,000mPa・s、pHは5.5で、ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0119】
続いて、図5の装置を用いる工程の内、巻上用ローラー(5′)によるフィルムの剥離、タンク(8)中の硬化処理剤を塗工ローラー(9)により塗布する硬化処理及びフィルム(10)の貼り付けを行わなかった。更に、100μm厚のポリプロピレンシートは切れずに残るように、50μm厚のポリプロピレンシート側から、このシートとゲル体のみカット(11)でハーフカットした。マスク周辺部分及び目と口部分の不要なゲル体と、50μm厚のポリプロピレンフィルムを取り除いた。更に、ゲル体(フェイスマスク)がそのほぼ中央部に収まるように、長さx=185mm、幅y=225mmの長方形でゲル体の周囲の100μm厚のポリプロピレンシートをカットし、図3に示す形状の高分子ゲル体を得た。
この高分子ゲル体の周囲のポリプロピレンシート上に、表1の配合6に示す組成の薬効成分液2gを、ゲルの切断面部分に接するようほぼ均一に滴下した。高分子ゲル体は、薬効成分液をのせたポリプロピレンシートごと実施例1と同様に四方シール袋に密封して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0120】
実施例8 (全顔用美白化粧パック)
目付量17g/m2の織布(トリコットハーフ)のかわりに、30デニールのナイロン(6ナイロン)マルチフィラメント糸からなる目付量50g/m2の織布(N=0.91)を用いること以外は、実施例2と同様に表1の配合1を用い、硬化処理を施してフェイスマスク形状に打ち抜いたゲル体を、アルミラミフィルムで四方シールにより密封包装して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0121】
実施例9 (全顔用美白化粧パック)
目付量17g/m2の織布(トリコットハーフ)のかわりに、繊維の平均繊量が10デニール、目付量30g/m2のポリエステル製不織布(N=0.17)を用いること以外は、実施例2と同様に表1の配合1を用い、硬化処理を施してフェイスマスク形状に打ち抜いたゲル体を、アルミラミフィルムで四方シールにより密封包装して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0122】
実施例10 (容器入り目元用美白化粧パック)
製造装置の構成図を図6に示す。塩化ビニールシート(厚さ200μm、40℃相対湿度差90%RH条件での水蒸気透過性が、0.1g/(m2・24h))のカップ原反(11)を、図4に示す形状の深さ1.2mmの凹部(まる1まる1’)を持つ皿状に熱成形した。図中、17は熱成形機を意味する。その各凹部に実施例2で使用したものと同じ目付量17g/m2の15デニールのナイロン単繊維からなる織布(トリコットハーフ)を、まる1まる1’と同じ形状に打ち抜いたもの(14)を置いた。その上から、表1の配合6の成分を実施例7と同様にスタティックミキサー(16)にて混練して均一にしたゲル体形成用配合物を、3gずつ各凹部に注入した。なお、このとき高分子溶液の粘度は約10,500mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約19,000mPa・s、pHは5.5であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
【0123】
更に、凹部内のゲル体の上部に表1の配合6の薬効成分液を液添加部(18b)から各0.3gずつ注入し、その上に40℃相対湿度差90%RH条件での水蒸気透過性が、0.01g/(m2・24h)以下である4層構造アルミラミイージーピールフィルム(構成:12μmPETフィルム/9μmアルミ箔/12μmPETフィルム/40μmイージーピールシーラント層)からなるカバーフィルム(15)をヒートシールして密封包装し、カット(19)で皿部分の周囲を打ち抜いた。3日間室温に放置して、目的とする最終製品を得た。なお、図6中、12及び13は高分子溶液及び多価カチオンスラリー供給タンクを意味する。18aは、液添加部を意味するが、この実施例では使用しない。
【0124】
実施例11 (容器入り目元用美白化粧パック)
実施例10と同様に、図6の構成の製造装置により、厚さ200μmの塩化ビニールシートを深さ1.2mmの凹部をもつ皿状に熱成形し、その各凹部に目付量17g/m2の15デニールのナイロン織布(トリコットハーフ)を、まる1まる1’と同じ形状に打ち抜いたもの(14)を置き、その上から表1の配合7に示す硬化処理剤を各凹部あたり約0.1gとなるように液添加部18aにより均一に噴霧した。硬化処理剤の噴霧量は、合成高分子ゲル体の表面1cm2あたり約4mg(すなわち架橋当量で、2.7×10-6当量/cm2)となる。更にその上から、表1の配合7の高分子溶液と多価カチオン化合物液を、実施例10と同様にスタティックミキサーにて均一に混練して得たゲル体形成用配合物を、3gずつ各凹部に注入した。なお、このとき高分子溶液の粘度は約12,000mPa・s、スラリー液は約50mPa・s、ミキサーから吐出されるゲル体形成用配合物の粘度は約21,000mPa・s、pHは5.5であった。ミキサー中を液が通過するのに要する時間は約30秒であった。
得られたゲル体を、実施例1で用いたのものと同じアルミラミイージーピールフィルムからなるカバーフィルムをヒートシールして密封包装し、カット装置で皿部分の周囲を打ち抜いた。3日間室温に放置して、目的とする最終製品を得た。
【0125】
実施例12 (目元用美白化粧パック)
表1の配合8に示す成分の内、高分子溶液の配合成分を約30分間混練して均一にした後、10時間静置して気泡を除去した。このとき高分子溶液の粘度は約10,500mPa・sで、pHは8.2であった。また、同じく表1の配合8に示す有機酸溶液の配合成分を混合して調整した。有機酸溶液の粘度は10mPa・sであった。多価カチオン化合物液を有機酸溶液に置き換えたこと以外は、実施例7と同様にして、スタティックミキサーにて混練して均一にしたゲル体形成用配合物を、トリコットハーフと50μm厚ポリプロピレンフィルムを重ねて厚さ0.8mmにロールで展延し高分子ゲル体を得た。なお、高分子溶液と有機酸溶液を混合した直後の粘度は約9,800mPa・sで、pHは5.7であった。
【0126】
この高分子ゲル体の50μmのポリプロピレンフィルム側から、100μm厚ポリプロピレンシートのみ切れずに残るように、図1に示す形状でハーフカットで打ち抜き、周囲部分の不要なゲル体と50μm厚ポリプロピレンフィルムを取り除いた後、ゲル体(目元用パック)がほぼ中央部に収まるよう、長さx=100mm、幅y=90mmで、四隅をR=10mmで丸めた長方形でゲル体の周囲の100μmポリプロピレンフィルムをカットし、高分子ゲル体を得た。
【0127】
得られたゲル体を、実施例1で用いたものと同じアルミラミネートフィルムで作った四方シール袋に密封し、3日間室温に放置して目的とする最終製品を得た。
【0128】
比較例1
カチオン系化合物液を、重量比で高分子溶液75に対し25となるように秤量し、上記の高分子溶液の入った混合装置に投入した。混合操作を続けるうちに架橋反応が進行し、5分経過した時点で撹拌不能となったため装置を止め、内容物を取り出したが既に保形性のあるゲルであり、シート状に展延することはできなかった。
【0129】
比較例2
比較例1と同じく表1の配合1の成分を用い、高分子溶液と多価カチオン化合物液を、アンカー羽根付き攪拌混合装置で混合した。1分経過した時点で混合操作を停止し、容器の底部からゲル形成用配合物を取り出し、そのまま実施例1と同様、厚さ100μmのポリプロピレンシート上に塗工し、目付量17g/m2のナイロン織布(トリコットハーフ)及び、厚み40μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムをこの順にかぶせて、その上からローラーを用いて厚さ0.8mmに均一に展延した。硬化処理液の塗布とフィルムの張り替え後、実施例1と同様に図1の形状に打ち抜き、アルミラミネートフィルム製の四方シール袋に密封して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0130】
比較例3
表1の配合8の成分を用いること以外は比較例2と同様に、調製した高分子溶液と有機酸溶液を、アンカー羽根付き攪拌混合装置で1分間混合し、目付量17g/m2の15デニールのナイロン織布(トリコットハーフ)を内在させた状態で、厚さ0.8mmのシート状に展延した。なお、高分子溶液の段階でのpHは8.3であり、有機酸溶液と混合後のゲル体形成用配合物のpHは5.7であった。
【0131】
そのまま、図1の形状に打ち抜き、アルミラミネートフィルム製の四方シール袋に密封して3日間室温に放置し、目的とする最終製品を得た。
【0132】
上記実施例及び比較例で得られた各製品の、皮膚に貼り付ける側の表面に存在する液体は、以下の方法により定量した。すなわち、クレシア社製の紙製ワイパー(「キムワイプ ワイパーS−200」)を、一枚ずつ精密天秤にて秤量した後、測定対象のゲルシート表面をまんべんなく拭い、使用したワイパーを再び精密天秤にて秤量することで、2つの秤量値の差をゲルシート表面の液重量とした。また、表面の液を採取し、高速液体クロマトグラフィーにより添加した薬効成分が液中に含まれているかを分析した。
【0133】
ゲルの 表面の 表面積当たり 液中の
表面積 液量 の液量 薬効成分
実施例1 25.3cm2 0.03g 1.2mg/cm2 有り
実施例2 292cm2 0.34g 1.1mg/cm2 有り
実施例3 292cm2 0.33g 1.1mg/cm2 有り
実施例4 292cm2 0.30g 1.0mg/cm2 有り
実施例5 292cm2 0.33g 1.1mg/cm2 有り
実施例6 3.1cm2 0.003g* 1.0mg/cm2 有り
実施例7 292cm2 0.56g 1.9mg/cm2 有り
実施例8 292cm2 0.29g 1.0mg/cm2 有り
実施例9 292cm2 0.31g 1.1mg/cm2 有り
実施例10 25.3cm2 0.11g 4.3mg/cm2 有り
実施例11 25.3cm2 0.02g 0.8mg/cm2 有り
実施例12 25.3cm2 0.03g 1.2mg/cm2 有り
比較例1 − − − −
比較例2 25.3cm2 0.02g 0.8mg/cm2 有り
比較例3 25.3cm2 0.01g 0.4mg/cm2 有り
* 10枚分加算して測定しての平均値
【0134】
上記で得られた各製品を、専門パネラー10名が2週間の間、1日1回20分間顔に貼り付けて使用し、各評価項目について下表の評価基準に従って評価を行い、全パネラーの合計点数をもって評価結果とした。従って点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す。更に、白色地に黒で記された10ポイントの活字上にゲルシートを置いたときに、ゲルシートを通して下の文字が容易に判読可能な場合を「透明」、見にくいが判読可能な場合を「半透明」、全く判読不可の場合を「不透明」として、ゲルシートの透明性を評価した。以下にその結果を示す。
【0135】
基 準 点 数
――――――――――――――――――――――――――――
効果が高く感じられる 5
効果が感じられる 4
効果はやや感じられる 3
効果はわずかしか感じられない 2
効果が感じられない 1
【0136】
<効果>
うるおい 冷涼感 密着感 薬効* 取扱 透明性
感 の持続 易さ
実施例1 45 43 46 40 15 透明
実施例2 42 42 41 41 35 透明
実施例3 46 45 45 37 32 透明
実施例4 45 44 43 38 33 透明
実施例5 43 43 45 42 35 透明
実施例7 45 43 43 43 35 透明
実施例8 43 41 37 43 39 半透明
実施例9 41 43 35 41 41 透明
実施例10 41 45 47 35 41 透明
実施例11 34 42 44 35 39 透明
実施例12 31 41 41 37 43 透明
比較例2 13 40 12 28 11 透明
比較例3 13 35 13 28 12 透明
薬効:実施例1、2、3、7、8、9,10、11、12と比較例は美白効果
実施例4は老化防止効果、実施例5は美肌効果
【0137】
比較例2及び3で密着性や取り扱い易さの評価が低いのは、ゲルシートの所々に硬化の不足した部分があり、それが貼付時や剥離時に顔面や指に残ってしまうためであった。
また、実施例6のサンプルについて、ニキビのある10名のパネラーに1週間の間毎日使用してもらい、以下のような評価結果を得た。
うるおい 冷涼感 密着感 薬効 取扱 透明性
感 の持続 易さ
実施例6 33 31 45 39 42 透明
【0138】
以上のように本発明の生体貼付用ゲルシートは、表面に存在する薬効液によりうるおい感に優れ、ソフトな密着感と透明性、更には優れた均質性により、使用感も良好であり、またその閉塞作用により添加した薬効成分の効果も十分に引き出せることがわかった。
【0139】
【表1】
Figure 0004230221
【0140】
【表2】
Figure 0004230221
【0141】
なお、スタティックミキサーでの混合に適する各液の粘度の上限は、200,000mPaで、これを越える粘度になると攪拌効果を得るためにはミキサー内の圧力を非常に高くする必要があり、実用性は著しく低下する。また、攪拌する各液の混合比率としては、最も量の多いものに対する最も少ないものの比が、重量比で1%以上あるのが好ましい。混合比に差がある場合には、混合を均一化するため、図7に示すように、添加量の少ない液を添加量の多い液と合流させる配管の開口位置(A)を、添加量の多い液の流路(B)の中心に設けるのが効果的である。
【0142】
発明の効果
本発明によれば、
(1)皮膚に対する保湿性や冷涼感あるいは密着性や閉塞感等が総合的に満足でき、
(2)過剰な粘着力を持たせなくても剥離や脱落することなく肌表面にとどまり、薬効成分の皮膚への作用がより効果的であり、
(3)装着が容易で、視覚的な違和感を生じさせない程度の透明性を有し、
(4)製造工程が単純な
生体用貼付ゲルシートの製造方法及びそれにより得られたゲルシートを提供することができる。
【0143】
更に、本発明によれば、生体用貼付ゲルシートを用いて、肌荒れ、かさつき、くすみ、くま、シミ等のさまざまな皮膚トラブルに対して改善効果を有するさまざまな薬効成分(スキンケア成分)を、簡便かつ、短時間で効果的に機能させうるスキンケア方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の生体用貼付ゲルシートの概略構成図である。
【図2】本発明の生体用貼付ゲルシートの概略構成図である。
【図3】本発明の生体用貼付ゲルシートの概略構成図である。
【図4】本発明の生体用貼付ゲルシートの概略構成図である。
【図5】本発明の生体用貼付ゲルシートの製造に使用する製造装置の概略構成図である。
【図6】本発明の生体用貼付ゲルシートの製造に使用する製造装置の概略構成図である。
【図7】本発明の生体用貼付ゲルシートの製造に使用する製造装置の一部の概略拡大図である。

Claims (7)

  1. アニオン性官能基を有する水溶性合成高分子化合物と、この高分子化合物を架橋しうる多価カチオン系化合物とを水性媒体の存在下で混合して1,000〜30,000mPa・sの粘度のゲル体形成用配合物とし、ゲル体形成用配合物を3≦W≦50(単位g/m2)の目付量Wと0.05≦N≦2.0の範囲内の1m2当たりの繊維による仮定上の遮蔽面積N(m2/m2)(Nは、次の式、
    【式1】
    Figure 0004230221
    (ここでWはg/m2で表される織布又は不織布の目付量、dは構成する繊維のデニール繊量、ρは繊維の構成成分のg/cm3で示した密度)で表される)とを有する織布又は不織布に含浸させた後支持基材上又は型枠中でシート状にし、かつ薬効成分を含ませた後、その状態で架橋を完了させることで織布又は不織布と一体的に固化した透明又は半透明の高分子ゲル体を得、次いでシートの少なくとも一方の表面の任意の部分を架橋剤で硬化処理することで生体用貼付ゲルシートを得る生体用貼付ゲルシートの製造方法。
  2. ゲル体形成用配合物の調製とシートへの成形が、連続的に行われる請求項1に記載の製造方法。
  3. ゲル体形成用配合物が、3〜7のpHを有する請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 薬効成分が、水性溶媒に溶解又は分散した状態で、シートの表面又は側面に塗布又は滴下されることにより高分子ゲル体に加えられる請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
  5. 架橋剤が、多価カチオン系化合物である請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法。
  6. アニオン性官能基が、カルボキシル基又はスルホン基である請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法。
  7. 多価カチオン系化合物が、三価以上の金属を含む化合物である請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法。
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