JP5350575B2 - シート状パック剤及びその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、従来のシート状パック剤は高含水による水分補給や、油分による肌保護といった手段により一時的な皮膚保湿効果は期待できるものの、その持続性あるいは恒常的な改善効果としては未だ不十分であり、さらなる改善の必要があった。また、皮膚保湿を目的としては、従来からローションやクリーム、ゲルなどの皮膚への塗布を目的とした外用組成物が数多く開発されているものの、これらはそれぞれ、ローションは一時的な水分の補給には優れているが直接的には皮膚の乾燥を防ぐ効果は期待できず、クリームは皮膚を乾燥から保護することはできるが水分を補給することはできず、またゲルは支持体と基剤を備えるシート状パック剤に比べてODT(密封包帯法)効果が期待できないため、皮膚への水分補給や有効成分の浸透が不十分であるとともに、配合可能な成分が制限される、といった欠点を有していることから、水分の補給と乾燥からの保護という効果を併せ持ち、有効成分の皮膚浸透性が良好であって、かつ短時間の貼付で長時間保湿効果が持続する、優れた皮膚保湿効果を有するシート状パック剤の開発が望まれていた。
また、本発明は、オイルゲルが、多価アルコール脂肪酸エステル及びデキストリン脂肪酸エステルを含有する、前記のシート状パック剤に関する。
さらに、本発明は、多価アルコール脂肪酸エステルの配合量が、基剤全体の1〜20質量%である、前記のシート状パック剤に関する。
また本発明は、多価アルコール脂肪酸エステルがトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルである、前記のシート状パック剤にも関する。
また、本発明は、デキストリン脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及び、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である、前記のシート状パック剤にも関する。
さらに本発明は、デキストリン脂肪酸エステルのゲル強度が10〜300gである、前記のシート状パック剤にも関する。
またさらに、本発明は、ハイドロゲルが、グリコール類及び/又は多価アルコール類を含有する、前記のシート状パック剤に関する。
そしてさらに、本発明は、ハイドロゲルとオイルゲルを均一混合し、ハイドロゲル中に存在する多価金属化合物及びその他の架橋剤の経時反応型架橋により、三次元包接構造体を形成させてハイブリッドゲルを得る、シート状パック剤の製造方法に関する。
a.従来のシート状パック剤を大きく上回るODT(密封包帯法)効果が得られ、皮膚からの老廃物分泌が促進される。
b.皮膚への水分補給と皮膚からの水分蒸散抑制に優れる。
c.シート状パック剤を剥離した後も、長時間に渡り、皮膚の水分含有量および皮脂量を貼付前よりも増加した状態で維持することができるため、皮膚保湿効果が持続し、皮膚保湿の恒常性改善に優れる。
d.数分から数十分程度の短時間の貼付で、長時間に渡る持続的な皮膚保湿効果を得ることができる。
e.配合した皮膚への有効成分や薬物の放出性に優れるため、充分な経皮吸収性を備えており、これら配合成分の効果が充分に発揮される。
f.質感や粘着性などの使用感およびしっとり感などの効果感にも優れる。
g.皮膚に対する安全性および経時的安定性に優れ、ほとんど皮膚刺激を生じない。
なお、かかる効果を奏するシート状パック剤は、本発明により初めて実現されたものである。
本発明のシート状パック剤におけるハイブリッドゲルとは、水、水溶性高分子及び水溶性成分を主体とするハイドロゲルと、脂質成分や脂溶性成分を主体とするオイルゲルとのハイブリッドなゲル構造体を示すものをいう。すなわち、ハイドロゲルとオイルゲルとの複合ゲルを調製し、ハイドロゲルの三次元架橋によりネットワーク形成し、オイルゲルを包接したゲル構造体である。また、本発明のシート状パック剤において、ハイブリッドゲルにおけるハイドロゲルとオイルゲルの質量比は特に限定されないが、好ましくは70:30〜99:1であり、より好ましくは80:20〜95:5であり、特に好ましくは85:15〜95:5である。これは、ハイドロゲルとオイルゲルの質量比において、オイルゲルの割合が70:30(30%)を超えると油性成分による皮膚表面の被膜作用が過剰になるため、シート状パック剤から皮膚への水分補給がかえって遮蔽され望ましい保湿効果が得られない傾向にあり、オイルゲルの占める割合が99:1(1%)未満であると皮膚への水分補給は十分なされるが、油性成分による皮膚表面の被膜作用が不十分となるため、シート状パック剤剥離後に水分が蒸散し保湿効果が持続しない傾向にあることによる。
前記水溶性高分子の配合量としては、シート状パック剤の基剤全体を基準として好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは4〜8質量%である。これは、配合量が3質量%未満であると、製剤の粘着性、凝集性、保型性、吸水能が低下し、膏体の不均一化、製造時の支持体裏じみ(染み出し)や舌出し(はみ出し)、展延性や作業性の低下、使用感の低下、経皮吸収性の低下、油分のブリードを生じる傾向にあり、また、配合量が10質量%を越えると、製剤の粘着性、凝集性、保型性を低下させ、膏体の不均一化、展延性や作業性の低下、使用感の低下、保湿効果の低下、経皮吸収性の低下、油分のブリードを生じる傾向にあるためである。
本発明においてオイルゲルに用いられる液状油性成分としては、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明に用いられるオイルゲルに好適な多価アルコール脂肪酸エステルとしては、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、2−エチルヘキサン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが挙げられ、この群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、特に好ましい多価アルコール脂肪酸エステルとしては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルが挙げられる。
本発明において用いられる多価アルコール脂肪酸エステルは、シート状パック剤の基剤全体を基準として好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%で配合される。これは、多価アルコール脂肪酸エステルの配合量が1質量%以下になると、展延性や作業性の低下、使用感や保湿効果の低下、皮膚安全性の低下および経皮吸収性の低下を生じる傾向にあり、一方で、配合量が20質量%を超えると製剤の粘着性、凝集性、保型性、吸水能を低下させ、膏体の不均一化、製造時における支持体の裏じみ(染み出し)や舌出し(はみ出し)、油分のブリード、展延性や作業性の低下、使用感や保湿効果の低下、皮膚安全性の低下および経皮吸収性の低下を生じ易くなることによる。
デキストリン脂肪酸エステル5gを内径45mmの平底容器に精秤し、流動パラフィン(#70)45gを加えて分散させ、ゆるやかにかき混ぜながら90℃まで加熱して溶解する。その後直ちに30℃の恒温槽にて24時間静置しゲルを形成させる。このゲルを温度変化が生じないように手早くレオメーター(サン科学製、SUN RHEO METER CR−200D・CR−500DX)にセットし、次の条件でゲル強度を測定する。尚、初期のピークすなわち降伏値(g)をゲル強度とする。
測定条件は、
温度:30℃
アダプター:φ20mm、厚さ2mmの円盤
架台上昇速度:60mm/min
である。
本発明に用いるパルミチン酸デキストリンとしては、酸価(医薬品添加物規格(薬添規)「パルミチン酸デキストリン」の酸価試験法に準じる)が、好ましくは38以下であり、より好ましくは10以下である。また、パルミチン酸デキストリンの融点(薬添規「パルミチン酸デキストリン」確認試験(3)に準じる)としては、50〜63℃であることが好ましい。これは、前記のパルミチン酸デキストリンの酸価、融点、または上記のゲル強度の範囲外のものを用いた場合には、油分のブリードを生じる恐れがあるためである。
また、本発明のデキストリン脂肪酸エステルの配合量は、シート状パック剤の基剤全体を基準として0.05〜3質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。これは3質量%を超えると基剤の粘度が増加して堅くなり、粘着性、凝集性、吸水能の低下を招くため、保湿効果や使用感が劣ったものとなる傾向にあり、また、0.05質量%未満であると油性成分を基剤中に十分保持できず、油性成分がブリード(浸出)して皮膚にべたつきを生じ、使用感が好ましくないものとなる傾向にあることによる。
グリコール類および/又は多価アルコール類の基剤全体量に対する配合量は、好ましくは5〜50質量%であり、さらに好ましくは10〜30質量%である。これは、配合量が5質量%未満では、製剤の粘着性や凝集性、使用前における保水性および保型性の低下やゲルの不均一化、作業性の低下、使用時の使用感の低下、保湿効果の低下、経皮吸収性の低下、油分のブリードを招く傾向が認められ、一方、配合量が50質量%を越えると、製剤の粘着性や凝集性および保型性が低下する傾向にあることによる。これらグリコール類および/又は多価アルコール類と水との配合バランスにより、肌に対する適度な保湿性と粘着性を与えることができる。
したがって、本発明において水の配合量は、シート状パック剤の基剤全体を基準として好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは40〜60質量%の範囲である。水の配合量が20質量%未満になると、製剤の粘着性、凝集性、保型性、吸水能が低下し、膏体の不均一化、展延性や作業性の低下、使用感の低下、保湿効果の低下、経皮吸収性の低下および皮膚安全性の低下を生じる要因となり、また、配合量が80質量%以上では製剤の粘着性、凝集性、保型性、吸水能を低下させ、膏体の不均一化、製造時の支持体の裏じみ(染み出し)や舌出し(はみ出し)、展延性や作業性の低下、使用感の低下、経皮吸収性の低下、油分のブリードおよび皮膚安全性の低下を生じ易くなるからである。
金属イオン封鎖剤の配合量としては、基剤全量を基準として好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.1〜0.6質量%である。これは、金属イオン封鎖剤の炭酸カルシウム−キレート力および配合量がこの範囲を逸脱すると、製造時の支持体の裏じみ(染み出し)や舌出し(はみ出し)、展延性や作業性の低下、貼付時および保存時の物性変化、粘着力不足による捲れや再付着不良、粘着力過多による膏体残りや人体適用時の発赤・カブレやうっ血、保湿効果の低下、経皮吸収性の低下、油分のブリード等の問題点を招く傾向があることによる。また、特に製造時の展延状態と展延可能な時間にも大きく影響するのでこれらに配慮する必要がある。
本発明のシ−ト状パック剤は、上記の粘着剤(基剤)成分に加えて、貼付剤の用途に応じ、公知の架橋剤、防腐剤、薬効成分、美肌成分、保湿成分、酸化防止剤、粘着付与剤、溶解剤、色素、香料、界面活性剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、冷感付与成分、温感付与成分およびpH調整剤等を適宜適量配合することができる。
粘着付与剤としてはゼラチン、カゼイン、プルラン、寒天、デキストラン、アルギン酸ソーダ、可溶性デンプン、カルボキシデンプン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン等を配合できる。
また、溶解剤としてはベンジルアルコール、ピロチオデカン、ハッカ油、ミリスチン酸イソプロピル、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類、高級アルコール類、アジピン酸ジエチル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−ヘプチルウンデシル)、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等の多塩基酸類等を配合できる。
また、無機充填剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、含水シリカ、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、無水ケイ酸、ベントナイト等を配合できる。
また、pH調整剤としては酢酸、蟻酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等を配合することができる。膏体のpH値は、製造時の展延状態と展延可能な時間に影響するだけでなく、皮膚刺激等の安全性、保湿効果、経皮吸収性、油分のブリードにも影響するので配慮することが望まれ、したがって、本願発明のシート状パック剤の基剤を構成する上記の必須成分およびその他公知の成分を適宜適量配合した膏体のpHは、好ましくは4〜8、より好ましくは5〜7の範囲となるように調整される。
なお、上述の必須成分および製造方法により達成される本願発明のシート状パック剤は、シート状パック剤ならではの剤型メリットに併せて、そのゲル構成がハイドロゲルとオイルゲルのハイブリッドゲルであることから、それぞれが持つ次の様な効果を発揮できる。
1.ODT効果による美肌成分や薬物等の経皮吸収促進、皮膚からの老廃物を分泌促進。
2.ハイドロゲルによる水溶性の成分や薬物の放出、水分補給。
3.オイルゲルによる脂溶性の成分や薬物の放出、皮膚からの水分蒸散抑制や外界からの肌保護。
支持体としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、レーヨン、パルプ、綿などの素材から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせたものであり、織布あるいは絡合、熱融着、圧着あるいはバインダー接着にて製した不織布が挙げられる。特にポリエステルの不織布が好適に用いられる。このとき支持体の目付は20〜200g/m2であることが好ましく、より好ましくは40〜120g/m2、更に好ましくは80〜120g/m2である。支持体の目付が80g/m2以下になるにつれ、破れなどの形状破壊、粘着剤塗布時の染み出しによる外観不良や成型不良、貼付時の貼りづらさを招く傾向が見られ、20g/m2未満では特にその傾向が著しいためである。また支持体の目付が120g/m2を超えるにつれ、支持体の伸縮性不良や柔軟性不良による使用性低下、貼付時の捲れ、更にはコストアップを招く傾向が見られ、200g/m2を越えると特にその傾向が著しい。更に、支持体の厚みは接触面積5cm2あたり0.98Nの押圧で測定するとき0.1〜1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0mmである。支持体の厚みが0.5mm以下になるにつれ、破れなどの形状破壊、粘着剤塗布時の染み出しによる外観不良や成型不良、貼付時の貼りづらさを招く傾向が見られ、0.1mm未満では特にその傾向が著しい。また支持体の厚みが1.0mmを超えるにつれ、支持体の伸縮性不良や柔軟性不良による使用性低下、貼付時の捲れ、更にはコストアップを招く傾向が見られ、1.5mmを越えると特にその傾向が著しい。更にまた、支持体の色については特に限定されないが、製剤イメージに大きく影響を与え、美観や人体適用時の使用感向上につながるものであるので、白色、肌色、黄色、赤色、橙色、緑色、青色、ピンク色、水色、茶色等が好ましい例として挙げられ、必要に応じ濃淡を調整したものがより好ましい。また印刷やエンボス等の加工も適宜可能である。
実施例1.本発明のシ−ト状パック剤
オイルゲルの必須成分であるトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル10質量%およびパルミチン酸デキストリン1質量%と、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル0.01質量%を70℃〜90℃で溶解後、室温に戻し、長鎖アルキル基の結晶化やデキストリン中の残存水酸基間の水素結合によりオイルゲルを形成させる。次に、別に精製水52.14質量%、ポリアクリル酸部分中和物6.5質量%、合成ケイ酸アルミニウム4質量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.4質量%、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.35質量%、メチルパラベン0.2質量%、乳酸0.1質量%、濃グリセリン10質量%、ポリエチレングリコール(400)15質量%、水溶性プラセンタエキス0.2質量%、アラントイン0.1質量%を混合して均一に分散・溶解させ、ハイドロゲルを調製した。前記のハイドロゲルとオイルゲルとを均一混合し、ハイドロゲル中に存在する多価金属化合物の経時架橋反応により三次元包接構造体のハイブリッドゲルを得た。
次に、これを714g/m2の割合になるように剥離ライナー上に展延し、支持体を貼着し転写した。その後、顔の形に裁断し、本発明のシート状パック剤(実施例1)を得た。
精製水77.6質量%、ゼラチン1質量%、ポリアクリル酸部分中和物6質量%、合成ケイ酸アルミニウム4質量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.4質量%、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.35質量%、メチルパラベン0.25質量%、乳酸0.1質量%、ポリエチレングリコール(400)10質量%、水溶性プラセンタエキス0.2質量%、アラントイン0.1質量%、を均一に分散・溶解するまで攪拌した。次に、これを1000g/m2の割合になるように剥離ライナー上に展延し、支持体を貼着し転写した。その後、顔の形に裁断し、シート状パック剤(比較例1)を得た。
本発明のシート状パック剤(実施例1)および従来のシート状パック剤(比較例1)について40名の被験者を用い、使用比較試験を実施した。被験者に試料を各1枚渡し、風呂上り洗顔後に顔に30分間貼付させ(1日に実施例1または比較例1のシート状パック剤いずれか1枚)、それぞれ絶対評価を行った。その後、被験者に〔質感〕〔付着性〕〔しっとり感〕〔翌朝の化粧のり〕〔保湿効果の比較〕〔使用意向の比較〕の項目について評価させた。表1に〔質感〕、表2に〔付着性〕、表3に〔しっとり感〕、表4に〔翌朝の化粧のり〕、表5に〔保湿効果の比較〕、表6に〔使用意向の比較〕の結果を示す。
実施例1および比較例1のシート状パック剤について健常成人の女性被験者A〜Eの5名を用い、各試料使用後の皮膚状態について肌質(表皮角質層水分・表皮皮脂・皮膚表面温度)の測定を実施した。被験者の両上腕外側を用い、以下の手順で実施した。
(1)肌を洗浄する。(試験開始30分前にエチルアルコールで貼付部位を拭き取る。)
(2)試験前の肌質測定を行う。
(3)両上腕外側にφ45mmサイズにくり抜いた各試料を30分間貼付する。
(4)剥離直後の肌質測定を行う。
(5)剥離30分後の肌質測定を行う。
(6)剥離1時間後の肌質測定を行う。
(7)剥離6時間後の肌質測定を行う。
なお、試験には株式会社アミックグループ製SKICOS301を使用した。また測定は25℃−55%Rh人工気象室内で実施し、被験者を測定5分前に入室させた。表7に〔表皮角質層水分〕、表8に〔表皮皮脂〕、表9に〔皮膚表面温度〕の測定結果を示す。
また、表9の結果から、本発明のシート状パック剤(実施例1)は従来のシート状パック剤(比較例1)と同様に、適度な冷却作用があり、顔のほてりや疲れを鎮め、心地よい使用感を有することが示された。
本発明のシート状パック剤(実施例1)について、美肌成分の1つであるアラントインのセルロース膜透過性を図1の装置を用いて以下の手順で調べた。
(1)φ45mmサイズの試料をセルロース膜(株式会社ユニフレックス CUPROPHAN MEMBRANE)に貼着し、ガラスセルにセットした。
(2)200mlビーカーに蒸留水(約90ml)を入れ恒温槽で32℃に保温した。
(3)試料(本発明のシート状パック剤(実施例1))をセットしたガラスセルを200mlビーカーの32℃の蒸留水に浸漬した。
(4)浸漬時間を15分、30分および60分とする各試験について、それぞれガラスセルを除去し、200mlビーカー内の蒸留水全量をサンプリングして100mlにし、HPLCサンプルとした。
(5)HPLC測定にはアラントイン2mg/100ml標準液を調製し定量した。
機器:島津製作所製 高速液体クロマトグラフ LC−10A
カラム:Shodex Asahipak NH2P−50 4E
カラム温度:40℃
波長:220nm
移動相:CH3CN/H2O=4/1
流速:1.0ml/min
注入量:20μl
表10に〔アラントイン透過量〕の試験結果を示す。
本発明のシート状パック剤(実施例1)、実施例1を50℃で1ヶ月間保存した経時品(実施例1の50℃1ヶ月経時品)および従来のシート状パック剤(比較例1)について、48時間クローズドパッチテストを実施した。試験は成人男性30名の背部に各パック剤を48時間貼付し、剥離1時間後および剥離24時間後の皮膚刺激を判定した。表11に結果を示す。
したがって上記のとおり、本発明のシート状パック剤は、表皮角質層水分および皮脂の補充・維持効果に優れた、皮膚保湿の恒常性改善に極めて有効なものであるとともに、皮膚への有効成分の放出性および経皮吸収性にも優れ、かつ良好な使用感、皮膚安全性および経時的安定性を備えたものであることが明らかになった。さらにまた、本発明のシート状パック剤を継続的に使用することにより、皮膚保湿の恒常性を定常的に維持し得ることが示唆された。
2:セルロース膜
3:マグネチックスターラー
4:試料(本発明のシート状パック剤)
5:200mlビーカー
6:蒸留水
Claims (11)
- 支持体、基剤及び剥離ライナーを備えてなるシート状パック剤であって、前記基剤が、架橋剤、水及び水溶性高分子を含有するハイドロゲルに、多価アルコール脂肪酸エステル及びデキストリン脂肪酸エステルを含有するオイルゲルが包接されたハイブリッドゲルを含有する、前記シート状パック剤。
- 水溶性高分子が、ポリアクリル酸部分中和物である、請求項1に記載のシート状パック剤。
- 多価アルコール脂肪酸エステルの配合量が、基剤全体の1〜20質量%である、請求項1または2に記載のシート状パック剤。
- 多価アルコール脂肪酸エステルがトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- デキストリン脂肪酸エステルの配合量が、基剤全体の0.05〜3質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- デキストリン脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及び、パルミチン酸/オクタン酸デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- デキストリン脂肪酸エステルのゲル強度が10〜300gである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- ハイドロゲルが、グリコール類及び/又は多価アルコール類を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- ハイブリッドゲルが、ハイドロゲルと、オイルゲルを均一混合して、ハイドロゲル中に存在する架橋剤の経時反応型架橋により、ハイドロゲルを架橋させてなるハイブリッドゲルであり、ハイドロゲルとオイルゲルとの重量比が、70:30〜99:1である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- 架橋剤が、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、テトラポリリン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム、カオリン、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルから選ばれる1種もしくは2種以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシート状パック剤。
- 架橋剤、水及び水溶性高分子を含むハイドロゲルと、多価アルコール脂肪酸エステル及びデキストリン脂肪酸エステルを含有するオイルゲルを均一混合して、ハイドロゲル中に存在する架橋剤の経時反応型架橋により、ハイドロゲルを架橋させてなるハイブリッドゲルを得ること、および得られたハイブリッドゲルを含有する基剤を支持体上に展延して剥離性フィルムを貼着するか、または剥離性フィルム上に展延して支持体を貼着することを含む、シート状パック剤の製造方法。
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