JP2009108005A - ゲルシートおよびシート状化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】離漿性と密着性に優れたゲルシート、及び保湿性に優れたシート状化粧料を提供することにある。
【解決手段】本発明のゲルシートはハイドロゲルを含む。このハイドロゲルは、25℃における歪0.1での貯蔵弾性率が、25℃における歪1での貯蔵弾性率に対して2以上である。また、本発明のシート状化粧料は、本発明のゲルシートを用いて構成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゲルシートおよびシート状化粧料に関するものであり、詳細には、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等の分野に用いられるゲルシート及び該ゲルシートを用いたシート状化粧料に関する。
従来より、ゲルシートは、美容、美顔および皮膚の治療等に用いられるパック料や貼付剤、皮膚浸透成分や、消炎鎮痛成分等の有効成分の担持体、傷保護や薬剤固定化などを目的とする生体用粘着テープ、創傷被覆剤などに使用されている。これらのゲルシートは、皮膚に貼着することで、例えば、皮膚表面の含水量(保水性)を上げる、皮膚の温度を制御する、ゲルシート中の有効成分を皮膚に供給するなどの機能を発現することができる。 特に、ゲルシートを皮膚に密着させた状態で経時させることによって、温度や水分量の向上が図られて皮膚の生理作用が増大した場合、この生理作用の増大により、ゲルシート中の有効成分の皮膚への浸透をより高めることもできる。
このような作用を有するゲルシートとしては、生体への使用を考慮して、ゲル基材として、コラーゲンやキチン、キトサン、アルギン酸、セルロース等の多糖類を構成成分としていることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、皮膚の保湿性を向上させる目的で特定のアルキレンオキシド誘導体によりゲル基材からのブリーディング効果を促進させる技術(例えば、特許文献2参照。)、あるいは、ポリエチレングリコールや電解質の添加により溶液滲出効果を促進する技術(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
ゲルシート内に保持される水分や機能性成分などの各種成分を、皮膚などの被着体における目的領域へ速やかに供給するためには、当該成分をゲル内に保持する性能のみならず、ゲル内に保持される各種成分が被着体に貼着した際にゲル外に速やかに離漿する性能を有することが、ゲルシートには要求される。しかしながら、上記のごとき技術では、かかる要求を満足することは困難であった。従って、例えば、皮膚表面における保湿性を維持しつつも、水分や機能性成分などの各種成分を皮膚に速やかに供給して浸透させることを可能とするゲルシートは、未だ提供されていないのが現状である。
特開平3−81213号公報 特開2005−225837号公報 特開2003−183147号公報
上記事情に鑑みなされた本発明の目的は、離漿性と密着性に優れたゲルシート、及び保湿性に優れたシート状化粧料を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、上記課題解決に、高歪領域で貯蔵弾性率が低下するゲルシートが有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
<1> 25℃における歪0.1での貯蔵弾性率が25℃における歪1での貯蔵弾性率に対して2以上であるハイドロゲル、を含むゲルシート。
<2> 前記ハイドロゲルの貯蔵弾性率が、25℃、歪0.01において、100Pa以上10000Pa以下であることを特徴とする前記<1>に記載のゲルシート。
<3> 前記ハイドロゲルの含水率が、70質量%以上95質量%以下であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載のゲルシート。
<4> 前記ハイドロゲルが、多糖類を含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のゲルシート。
<5> 前記ハイドロゲルが、ポリエーテルを含むことを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のゲルシート。
<6> 前記ハイドロゲルが、O/W型エマルションを含むことを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のゲルシート。
<7> 前記ハイドロゲルが、コラーゲン及びコラーゲン分解生成物の少なくとも一方を含有することを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のゲルシート。
<8> 前記ハイドロゲルが、多価アルコール化合物を含むことを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のゲルシート。
<9> 前記ハイドロゲルを含むハイドロゲル層と、該ハイドロゲル層中或いは該ハイドロゲル層と隣接して設けられるシート状基材と、を有することを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項のいずれかに記載のゲルシート。
<10> 厚みが0.4mm以上2mm以下であることを特徴とする前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のゲルシート。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載のゲルシートを用いたシート状化粧料。
本発明のゲルシートは、25℃における歪0.1での貯蔵弾性率が25℃における歪1での貯蔵弾性率に対して2以上であるハイドロゲル(以下「本発明のハイドロゲル」と称する場合がある)、を含むことを特徴とする。
本発明のゲルシートが離漿性に優れる理由については明らかでないが、以下のように推測される。但し、下記推測によって本発明は限定されない。
ハイドロゲルに含まれる液性成分がハイドロゲルから滲出し、隣接する被着体に移動すると、ハイドロゲルは部分的に歪を生じ、この歪によって更に貯蔵弾性率が低下する。貯蔵弾性率が低下すると、内包成分は放出され易くなる。その結果、連鎖的に内包成分を放出し、離漿性が高くなるものと推測される。
貯蔵弾性率の低下は、ハイドロゲルの3次元構造が緩くなったり、或いはゲル基材に対する内包成分の付着力・吸着力等が弱まるなどの要因によって引き起こるものと考えられる。25℃における歪0.1及び1での貯蔵弾性率の比が2以上であるハイドロゲルは、その構造やゲル基材に対する内包成分の付着力・吸着力などの兼ね合いから、上記効果に優れているのではないかと推測される。
また、本発明のハイドロゲルは変形を加えると、より変形し易くなって内包する液体などが外部へ放出され易くなり、離漿性が高まる。すなわち本発明のゲルシートを被着体、例えば、生体に貼付すると、ゲルシートは変形して離漿性がより高くなる。よって本発明のゲルシートは使用形態に沿ったものであり、皮膚の角層などへ水分や有効成分が効率的に供給される。
なお、本発明のゲルシートは、変形しやすく、且つ表面が湿潤状態にあることから、被着体との密着性に優れる。ゲルシートの変形のしやすさは、本発明のゲルシートを構成するハイドロゲルが多量の水性成分を保持していることから奏され、更に貯蔵弾性率に関する上記特性によって、変形が与えられるとシートはより柔軟に変形しやすくなる。
したがって、本発明のゲルシートを用いたシート状化粧料は、(1)表皮の角層へ水分や有効成分の供給が効率的に行われること、(2)密着性に優れること、等から皮膚などの被着体の保湿性に優れる。
本発明によれば、離漿性と密着性に優れたゲルシート、及び保湿性に優れたシート状化粧料を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ハイドロゲル>
本発明のゲルシートはハイドロゲルを含む。このハイドロゲルは、25℃における歪0.1での貯蔵弾性率(G’)が、25℃における歪1での貯蔵弾性率(G’)に対して(G’/G’)、2以上である。なお、歪0.1とは高さhの試料に対しh/10の変形を与えることを意味し、歪1とは高さhの試料に対しhの変形を与えることを意味する。歪を増加させた際に貯蔵弾性率が低下することは、与えられた応力に対してハイドロゲルの分子間力が小さいことを意味する。
本発明における貯蔵弾性率G’、G’は、回転式レオメータを用いて測定することができる。測定はオシレーションモードにより25℃、1Hzにおける歪0.001〜1の範囲で行うことが好ましい。具体的な測定方法は、以下の通りである。
貯蔵弾性率G’、G’は、直径20mm、角度2°のコーンプレートを使用し、ギャップ70μmの条件において測定した値をいう。なお、直径20mmのパラレルプレートを使用し、ギャップ200〜500μmの条件において測定してもよい。
本発明のハイドロゲルは、25℃における歪0.1での貯蔵弾性率が、25℃における歪1での貯蔵弾性率に対して、2以上1000以下であることが好ましく、2以上500以下であることがより好ましく、2以上100以下であることが更に好ましく、2以上15以下であることが特に好ましい。貯蔵弾性率の変化がこの範囲にあることで、離漿性を向上させることができる。
また、離漿性をさせ、かつ常温での取り扱い性を与えるという観点からは、相応する分子間力を維持することが必要であり、25℃における歪0.1での貯蔵弾性率が、25℃における歪1での貯蔵弾性率に対して、2以上10以下であることが好適である。
また、本発明のハイドロゲルの25℃歪0.01における貯蔵弾性率は、100〜10000Paの範囲にあることが好ましく、100〜5000Paの範囲にあることがより好ましく、100〜500Paの範囲にあることが更に好ましい。25℃歪0.01における貯蔵弾性率がこの範囲にあることで、貼付時の被着体への密着性が向上するとともに、刺激性を低減させることができる。
本発明のハイドロゲルの含水率は、70質量%以上95質量%以下であることが好ましく、75質量%以上95質量%以下がより好ましく、80質量%以上90質量%以下が特に好ましい。ハイドロゲル層の含水率がこの範囲にあることで、ハイドロゲル層が含有しうる機能性成分の放出効率が向上させるだけでなく、ハイドロゲル層の強度についても高く保たれる。また、ゲルシートを生体用に構成した際には、表皮等の被着体に対して、機能性成分の浸透性を向上させつつも、刺激性をより低減させることができる。
ハイドロゲルの含水率は、加熱乾燥または減圧乾燥に伴う質量減少率から測定することができる。具体的には、ハイドロゲル1g取り出し、25℃にて試料の質量変化が認められなくなるまで減圧乾燥し、下記に示す式(2)により算出した値を前記含水率とする。
含水率(質量%)= (初期質量−乾燥後質量)/初期質量 *100 ・・・(式2)
上記の測定試験を5回繰り返して得られた値の平均値を、含水率とする。
本明細書におけるハイドロゲルの含水率は、上記方法により測定したものである。
なお、ハイドロゲルの含水率は、カールフィッシャー式、赤外線方式、あるいは電気抵抗方式の水分計により測定することもできる。また、ハイドロゲル配合液そのものがゲル化する場合は水分の配合率をゲルの含水率とすることができる。
本発明におけるハイドロゲルは、以下の各成分を組み合わせることにより調製することができる。以下、本発明のゲルシートの構成要素であるハイドロゲルが含みうる各成分について、詳細に説明する。
〔ポリエーテル〕
本発明におけるハイドロゲルは、ポリエーテルを含むことが好ましい。ポリエーテルは、ゲルシートの離漿性を促進させうる。
ポリエーテルとして、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシドブロックコポリマー等が挙げられ、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとを含むブロックポリマーが特に好ましい。具体的には、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、又は、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシドブロックコポリマー(以下、「PEO−PPO−PEOブロックポリマー」と略称することがある。)が特に好ましい。これらのポリエーテルはポロキサマーとして知られており、「プルロニック」、「ルトロール」(いずれも、BASF社製)、ニューポール(三洋化成工業(株)製)、エパン(第一工業製薬(株)製)、プロノン(日本油脂(株)製)等の名称にて市販品としても容易に入手可能である。
ポリエーテルの重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100万であることが好ましく、5,000〜50万であることがより好ましい。
ハイドロゲル中におけるポリエーテルの含有量は、0.05〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。ポリエーテルの含有量が0.05質量%以上あれば、ハイドロゲル中に含まれる液性成分が滲出し易く、例えば、皮膚浸透性の向上効果が得られ、また20質量%以下であれば、ゲルシートの保存安定性が著しく低下することを防止することができる。
〔多糖類〕
本発明におけるハイドロゲルは、多糖類を含むことが好ましい。多糖類は、ゲルシートの取り扱い性を向上させ得る。
本発明に用いることができる多糖類としては、例えば、中性多糖類(例えば、セルロース、アミロース、アミロペクチン、デキストラン、プルラン、イヌリン、ガラクタン、マンナン、キシラン、アラビナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アガロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カードラン、キシログルカンなど)、アニオン性多糖類(ペクチン酸、アルギン酸、アガロース、寒天、カラギーナン、フコイダン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデキストランなど)、カチオン性多糖類(キチン、キトサン、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化デキストランなど)が挙げられる。
これらの中でも、多糖類としては、増粘ゲル化作用の高い多糖類がより好ましく、グルコマンナン、ガラクトマンナン、寒天、カラギーナン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガムが特に好ましい。さらにそのゲル化性を向上させるために、こられの多糖類を2種以上併用してもよい。
ハイドロゲル中における多糖類の含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜4質量%がより好ましく、0.2〜2質量%が特に好ましい。多糖類の含有量が、0.01質量%以上あれば、ゲル強度の不足を抑制することができるので取り扱い性がよく、5質量%以下であればハイドロゲル中に含まれる液性成分が滲出しやすく、例えば、皮膚浸透性の低下を防止することができる。
〔O/W型エマルション〕
本発明におけるハイドロゲルは、O/W型エマルションを含むことが好ましい。特に、薬効成分等として作用しうる油溶性の機能性成分を含有したO/W型エマルションであることが好ましい。このような形態とすることで、例えば、本発明のゲルシートを生体用ゲルシートとした場合であれば、皮膚浸透により例えば美肌効果を高めることができる。
油溶性の機能性成分としては、例えば、脂溶性ビタミン及びその類縁体(トコフェロール、トコトリエノール、レチノール、レチナール、カルシフェロールなど)、ステロール類(コレステロール、フィトステロールなど)、ユビキノン(CoQ10など)、スフィンゴ脂質、セラミド、オリザノール、スクワレン、スクワラン、カロテノイド等、及びこれらの誘導体が好ましい。本発明に適用しうる油溶性の機能性成分としては、カロテノイドであることが特に好ましい。
カロテノイドとしては、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、β−8’−アポ−カロテナール、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロテン、β―カロテン、γ―カロテン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、及びそれらの誘導体が挙げられる。
中でも、カロテノイドとしては、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、β―クリプトキサンチンが好ましく、特に、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果が認められているアスタキサンチンが好ましい。
なお、このO/W型エマルションには、一般にエマルション組成物の各相に含有可能な乳化剤等の他の成分を、一般に用いられる量で含有していてもよい。このような他の成分としては、多価アルコール等の本明細書中に記載の他の成分も含まれる。
O/W型エマルションの乳化粒子の体積平均粒径としては、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜150nmであることが特に好ましい。
O/W型エマルションの乳化粒子の体積平均粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒径測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
体積平均粒径範囲及び測定の容易さから、本発明におけるエマルジョンの体積平均粒径測定では動的光散乱法を用いることが好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明において、O/W型エマルションの体積平均粒径は、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)を用いて25℃で測定した値を採用する。
前記体積平均粒径の測定方法は、油相成分の濃度が0.1〜1質量%の範囲内になるように純水で希釈を行い、測定用ガラス管を用いて測定を行う。体積平均粒径は、分散媒屈折率として1.3313(純水)、分散媒の粘度として0.8846mPa・S(純水)に設定して測定した時の累積(50%)値として求めることができる。
前記O/W型エマルションの製造方法は特に限定されず、例えば、特開2005−75817号公報に記載されている方法を用いることができる。或いは、a)水性媒体に、水溶性乳化剤を溶解させて水相を得、b)カロテノイド、トコフェロール、レシチン、及び必要に応じてその他の油脂を混合、溶解して油相を得、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、エマルジョン組成物を得るステップからなる方法により製造することが好ましい。
乳化分散の際、例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式せん断装置等のせん断作用を利用する通常の乳化装置を用いて乳化を行った後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用することが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物をさらに均一な微粒子の液滴に揃えることができる。
ハイドロゲル中に含まれるO/W型エマルションの含有量は、機能性成分の効能や生体用シートに適用した際における皮膚浸透性の点で、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。
また、ハイドロゲル中に含まれる油溶性の機能性成分の含有量は、機能性成分により異なるが、0.0001〜10質量%が好ましく、0.005〜5質量がより好ましい。
また、油溶性の機能性成分がカロテノイドである場合、ハイドロゲル中におけるカロテノイドの含有量としては、0.0001〜0.5質量%であることが好ましく、0.0005〜0.1質量%がより好ましく、0.001〜0.05質量%であることが特に好ましい。カロテノイド含有量が0.0001質量%以上であれば、本発明のゲルシートを生体用ゲルシートした場合を例とした場合、該ゲルシートを皮膚に貼付した後の効果(美肌効果等)が感じられ、また0.5質量%以下であれば表皮への着色を抑えることができ不快感を生じにくい。
〔コラーゲン又はその分解物〕
本発明におけるハイドロゲルは、コラーゲン又はその分解物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。コラーゲン又はその分解物は、ゲルシートを被着体に貼付た際における保湿性を向上させうる。さらには、前記ポリエーテルと組合せて使用することで、ハイドロゲルの離しょう性を向上させることができる。
ここでいうコラーゲンは特に限定されず、様々なコラーゲン抽出物が対象とされる。抽出はコラーゲン含有原料を用いて、酸可溶化、アルカリ可溶化、中性塩可溶化、酵素可溶化などの公知の手法にて行うことができる。コラーゲン含量原料としては、コラーゲンを含有する原料であれば何れの材料でも使用でき、脊椎動物(例えば、ウシ、ブタ、イワシ、サメ等)の皮あるいは鱗、骨、軟骨、腱、臓器が例示される。コラーゲン含量の高いことから、コラーゲン含量原料としては、骨、軟骨、皮あるいは鱗、腱、胎盤などが好適に使用される。これらのうち、本発明に好適に使用しうるコラーゲンとしては、水溶性コラーゲンが好ましい。
コラーゲン分解物は、コラーゲンを、コラゲナーゼ、トリプシン、キモトリプシンのようなタンパク分解酵素や酸、アルカリで加水分解する、あるいは加熱変性により得られる。コラーゲン分解生成物としては、例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酵素分解ゼラチン、コラーゲントリペプチド、コラーゲンジペプチド、アミノ酸(グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等)が挙げられる。
ハイドロゲルにおけるコラーゲン又はコラーゲン分解物の含有量は、0.05〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。コラーゲン又はコラーゲン分解物の含有量が、0.05質量%以上あれば、本発明のゲルシートを生体用として、表皮等に貼付した際に保水性効果が得られ、また、20質量%以下であればゲルシートの取扱い性がよい。
〔多価アルコール化合物〕
本発明におけるハイドロゲルは、多価アルコール化合物を含むことが好ましい。多価アルコール化合物は、ゲルシートを生体用に適用した場合における機能性成分の皮膚浸透性や、ゲルシートの保存安定性を向上させうる。
多価アルコール化合物としては、具体的には、グリセリン類(グリセリン、ジグリセリンなど)、グリコール類(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなど)、糖類(グルコース、フラクトース、マンノース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、セロビオース、コージビオース、ソホロース、マルトトリオ―ス、ラフィノース、スタキオースなど)、糖アルコール(グリセロール、トレイロール、エリスリトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イノシトールなど)が挙げられる。前記多価アルコール化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、多価アルコール化合物としては、グリセリン類又はグリコール類であることが好ましく、中でも、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオールがより好ましい。さらには、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオールであること特に好ましい。
ハイドロゲルにおける多価アルコール化合物の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、1〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明におけるハイドロゲル中に占める多価アルコール化合物の割合を50質量%以下とすることで、ゲル強度の低下を防止して、取扱い性を良くすることができる。
〔水溶性2価金属塩〕
本発明のゲルシートにおけるハイドロゲルは、水溶性2価金属塩を含むことが好ましい。ここで、本発明における水溶性とは、25℃の純水に少なくとも0.1質量%溶解しうるものを指す。
本発明に用いる水溶性2価金属塩を形成する2価金属としては、周期表第II族のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、あるいは遷移金属のCu2+、Fe2+、Zn2+、Mn2+が挙げられ、マグネシウム及びカルシウムがより好ましい。水溶性塩は、無機塩、有機酸塩、有機・無機複合塩のいずれであってもよく、特に限定されるものではない。例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸リン酸エステル塩、グルコン酸塩などが挙げられる。
これらの中でも、具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウムがより好ましく、塩化マグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムが特に好ましい。
水溶性2価金属塩は、ハイドロゲル形成用配合液中に、0.1〜5質量%含まれることが好ましく、0.2〜4質量%含まれることがより好ましく、0.5〜2質量%含まれることが特に好ましい。
また、水溶性2価金属塩は、ハイドロゲル形成用配合液において、併用されるアニオン性高分子化合物100質量部に対して50質量部以上配合されることが好ましく、水溶性2価金属塩の添加効果の観点からは、50質量部〜1000質量部がより好ましく、70質量部〜500質量部が更に好ましく、80質量部〜300質量部であることが特に好ましい。このアニオン性高分子化合物と2価金属水溶性塩とを併用することで、形成されるハイドロゲル系中に弱い架橋構造を有する3次元ネットワーク構造が形成され、十分な液状成分保持性と良好な離漿性が発現するものと考えられる。
なお、アニオン性高分子化合物としては、前述の多糖類中のアニオン性多糖類や、後述する親水性高分子化合物において、親水性基として、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基などから選択されるアニオン性基を分子内に有する高分子化合物が相当する。
例えば、アニオン性合成高分子化合物としては、アクリル酸(共)重合体、メタクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体、イタコン酸(共)重合体、p−ビニル安息香酸(共)重合体、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(共)重合体、スチレンスルホン酸(共)重合体、が挙げられる。
またアニオン性天然高分子化合物としてはペクチン酸、アルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデキストラン、ポリグルタミン酸が挙げられ、さらには、DNA、RNAなども本発明におけるアニオン性高分子化合物として使用することができる。
これらのうち、保水性、ゲル強度と離しょう性の両立といった観点からアクリル酸(共)重合体、アルギン酸、寒天、カラギーナン、ヒアルロン酸、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースが好ましく、寒天、カラギーナン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガムが特に好ましい。
これらアニオン性高分子化合物は、ゲル強度向上の観点からは、アニオン性高分子化合物の分子量は、10000〜5000000の範囲であることが好ましく、20000〜2000000の範囲であることがさらに好ましい。
水溶性2価金属塩とアニオン性高分子化合物とを併用する場合には、ハイドロゲル中のアニオン性高分子化合物の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、0.2〜4質量%が特に好ましい。含有量がこの範囲にあることで、取り扱い性が良好なゲル強度を達成しうるとともに、充分な離漿性を有するハイドロゲルを得ることができる。
アニオン性高分子化合物と水溶性2価金属塩とは、目的に応じて適宜組み合わせることが可能であるが、ゲル強度と離漿性との両立といった観点からは、以下に示すような水溶性2価金属塩/アニオン性高分子化合物の組合せが好適なものとして挙げられるが、これらに制限されるものではない。
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム/カラギーナン、
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム/ジェランガム、
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム/寒天、
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム/キサンタンガム、
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム/アクリル酸(共)重合体、
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム/カルボキシメチルセルロース、
塩化マグネシウム/カラギーナン、
塩化マグネシウム/ジェランガム、
塩化マグネシウム/アクリル酸(共)重合体、
乳酸マグネシウム/カラギーナン、
乳酸マグネシウム/寒天
乳酸カルシウム/ジェランガム
アスコルビン酸カルシウム/カラギーナン
グルコン酸カルシウム/ジェランガム。
また、形成されたハイドロゲル中における水溶性2価金属塩の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が特に好ましい。水溶性金属塩の割合がこの範囲にあることで、ハイドロゲルからの離しょう性が向上するとともに、取扱にすぐれたゲルシートを得ることができる。
なお、アニオン性高分子化合物と水溶性2価金属塩によって形成されたハイドロゲル中では、水溶性2価金属塩は必ずしも「塩」の状態で存在するものではない。しかし、形成されたハイドロゲル中における水溶性2価金属塩又はそれに由来する化合物の含有量は、金属塩を構成する金属の量を測定し、その量から換算することができる。よって、上記「ハイドロゲル中における水溶性2価金属塩の含有量」は、このようにして換算した値をいうものとする。この方法によれば、形成後のハイドロゲルであってもその中に含まれるとされる水溶性2価金属塩が上記含有量の範囲内にあるかを検知することができる。
〔他の成分〕
本発明のハイドロゲルは、上記の成分の他に、ゲルシートに要求される種々の効果に応じて、親水性高分子化合物、賦形剤、防腐剤、香料等の他の成分を含むことが好ましい。
−親水性高分子化合物−
本発明のハイドロゲルは、公知の親水性高分子化合物を添加することができる。親水性高分子化合物は、被着体の保湿性を向上させる等の観点からは、皮膚などの被着体への接触時の溶解性を損なわない限りにおいて、ハイドロゲル中に添加することができる。また、親水性高分子化合物は、ゲルシートの形状安定性の向上のために用いることもできる。
本発明において用いることができる親水性高分子化合物としては、前記ポリエーテルおよび前記多糖類以外の高分子化合物であって、親水性官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基、カルバモイル基、アミノ基、アンモニオ基、エチレンオキシ基など)を有するものであれば、合成高分子化合物であってもよいし、天然高分子化合物であってもよい。これらは単独でも、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に好適な、親水性基を有する合成高分子化合物としては、例えば、ビニルアルコール(共)重合体、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共)重合体、アクリル酸(共)重合体、メタクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体、イタコン酸(共)重合体、p−ビニル安息香酸(共)重合体、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(共)重合体、スチレンスルホン酸(共)重合体、アクリルアミド(共)重合体、アクリロイルモルホリン(共)重合体、N−ビニルピロリドン(共)重合体、ビニルアミン(共)重合体、N、N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(共)重合体、2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド(共)重合体、ポリエチレングリコールメタクリレート(共)重合体、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
本発明における親水性高分子化合物は、被着体の保湿性向上の点から、重量平均分子量が、1,000〜500,000であるものが好ましく、5,000〜100,000であるものがより好ましい。
ハイドロゲルにおける親水性高分子化合物の含有量は、被着体の保湿性向上とゲルシートの取り扱い性の点から、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であるであることがより好ましい。
−賦形剤−
本発明におけるハイドロゲルは、さらに形状安定性の向上のために、ハイドロゲル中に賦形剤を添加することが好ましい。賦形剤としては、有機または無機の微粒子が好適に使用することができる。有機微粒子としては、公知のポリスチレン粒子、ポリメタクリレート粒子、微結晶セルロースが好ましい。また無機微粒子としては、酸化チタン、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、粘土鉱物等が好ましい。これらのうち、シリカあるいは粘土鉱物が好ましく、特に平均粒子径が200nm以下の気相法シリカ、合成スメクタイトが特に好ましい。
本発明におけるハイドロゲル中に占める賦形剤の割合は、10質量%以下であるのが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましく、1〜2質量%であることが更に好ましい。
−防腐剤−
本発明のハイドロゲルは、防腐剤を含むことが好ましい。防腐剤を含むことで、微生物によるハイドロゲルの変質等を防止することができる。
防腐剤としては、例えばフェノール、安息香酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、パラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン)、2−フェノキシエタノール、デヒドロ酢酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、塩化アルキルアミノエチルグリシン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また併用して使用することがより好ましい。これらのうちパラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノールが特に好ましい。
ハイドロゲル中おける防腐剤の含有量としては、0.01〜0.5質量%が好ましく、0.02〜0.3質量%がより好ましく、0.03〜0.2質量%が特に好ましい。
−香料−
本発明のハイドロゲルは、香料を添加してもよい。ハイドロゲルに香料を添加することで、リラックス効果などを高めることができる。
香料としては、アルコール系香料、フェノール系香料、カルボン酸系香料、アミン系香料等が挙げられ、アルコール系香料としては、青葉アルコール、3−オクテノール、9−デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュオール、ムゴール、ミセノール、テルピネオール、1−メントール(L−メントール)、ボルネオール、イソブレゴール、テトラヒドロムゴール、ボルニルメトキシシクロヘキサノール、ノボール、ファルネソール、ネロリドール、サンタロール、サンダロール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、α−アミルシンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、β−フェニルエチルメチルエチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、フェニルグリコール、第3級ブチルシクロヘキサノール等が挙げられる。また、フェノール系香料としては、オイゲノール、バニリン、ヒノキチオール等が、カルボン酸系香料としては、桂皮酸、フェニル酢酸、ヒドロ桂皮酸等が、アミン系香料としては、インドール、スカトール、2−メチルテトラヒドロキノリン、6−メチルキノリン等が挙げられる。
−有機酸―
ハイドロゲルは、pH調整の観点から、有機酸をさらに含んでもよい。有機酸塩として、具体的には、酢酸、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸など)、アスコルビン酸、ピロリドンカルボン酸、等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの有機酸のハイドロゲル中における含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましい。
−その他の添加剤等−
本発明のゲルシートの使用目的に応じて、さらに各種の有効成分や添加剤を配合することができる。そのような有効成分や添加剤としては、以下に示すものを挙げることができる。
・酸化防止剤: トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等。
・紫外線吸収剤: p−メトキシ桂皮酸、p−メトキシ桂皮酸オクチル、2−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル等。
・pH調整剤: 乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等。
・キレート剤: フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等。
・界面活性剤: ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等。
・ビタミン類: ビタミンA、B1、B2、B6、C、D、Eおよびその誘導体。
・アミノ酸類: グリシン、トリメチルグリシン、ピロリドンカルボン酸、セリン、カルニチン、γ―アミノ酪酸、タウリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、オルニチン、バリン、ロイシン等。
・消炎剤: グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等。
・保湿剤: 尿素、カゼイン、大豆ペプチド、乳酸菌発酵代謝産物、酵母発酵代謝産物、ハチミツ、ラクトフェリン、アルブミン、加水分解エラスチン、加水分解ケラチン、加水分解シルク。
・美白剤: アスコルビン酸グルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、アルブチン、ヒドロキノン、コウジ酸、ルシノール、トラネキサム酸、アデノシン−1−リン酸ナトリウム、マグノリグナン、エラグ酸、レチノイド、ルチン、レゾルシノール、システイン、グルタチオン等。
・各種抽出物: 例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、バーチエキス、アイリスエキス、ブドウエキス、ユリエキス、サフランエキス、ショウキュウエキス、トウガラシエキス、トウキエキス、海藻抽出物、胎盤抽出物、プラセンタエキス、カミツレエキス、ハトムギエキス、柚子種子エキス、ブドウ種子エキス、ウォータークレスエキス、月下美人エキス、ホワイトルピンエキス、ショウキョウエキス、鶏冠抽出物等。
・賦活剤: 例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等。
・血行促進剤: 例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等。
・抗脂漏剤: 例えば、硫黄、チアントール等。
・抗炎症剤: 例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)。
これらの他、従来公知の保湿剤や、生体用ゲルシートへの適用の場合には、皮膚浸透により生体内へ投与することが可能であれば、薬効成分を添加することも可能である。
<ハイドロゲルの調整>
本発明のハイドロゲルが貯蔵弾性率として上記特性を示すのであれば、ハイドロゲルを作製するための上記成分の組み合わせは特に限定されない。組み合わせとして好ましくは、多糖類、コラーゲン又はコラーゲン分解物、水溶性2価金属、多価アルコール化合物および水を少なくとも用いる場合であり、より好ましくは、多糖類を2種以上、コラーゲン分解物、マグネシウム塩、多価アルコール化合物および水を少なくとも用いる場合である。
本発明のハイドロゲルを化粧料として適用する場合には、上記成分の組み合わせに加えて、更にO/W型エマルションやコラーゲンを含有することが好適である。
本発明のハイドロゲルの貯蔵弾性率を調整する方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。但し、下記方法に限定されない。
歪0.01での貯蔵弾性率を高めるには、前記多糖類や、コラーゲンおよびその分解生成物などの添加量を多くする、あるいは親水性高分子化合物をさらに添加してもよい。
歪0.1と歪1とで貯蔵弾性率の差を大きくするには、前記コラーゲンおよびその分解物と前記ポリエーテルとを組合わせて使用する、あるいは前記アニオン性多糖類100部に対して50部以上の前記水溶性2価金属塩を組合わせて使用してもよい。
<ゲルシート>
本発明のゲルシートは、前記本発明のハイドロゲルを含む。よって本発明のゲルシートは、被着体(例えば、生体)への密着性、離漿性に優れ、ハイドロゲル層中に含有させる成分の種類や量、ハイドロゲル層の厚みやゲルシートの剤形を選択することで、皮膚などに対する保湿性にも優れる。
本発明のゲルシートは上記機能を発現し得るため、種々の用途に使用することができる。即ち、本発明において「ゲルシート」とは、薬物を生体内へ投与する経皮吸収性医薬品の担持体としての貼付剤、美容、美顔および皮膚の治療等に用いられるパック料などのシート状化粧料、皮膚浸透成分や消炎鎮痛成分等の有効成分の担持体、傷保護や薬剤固定化などを目的とする生体用粘着テープ、創傷被覆剤などを包含するものである。
〔ゲルシートの構成〕
本発明のゲルシートは、上述したようなハイドロゲルを単層で構成したものとしてもよく、さらに他の層(例えば保護シートなど)を有する多層構造のものとしてもよい。また、構成の異なるハイドロゲル層を複数層設けた態様であってよい。本発明のゲルシートを複数のハイドロゲル層により構成する場合には、ハイドロゲルが含有しうる前記した各成分は、同一のハイドロゲル層に含有されてもよく、複数の層に分けて含有されてもよい。本発明のゲルシートが、複数のハイドロゲル層から構成される場合、前記した各成分の含有量は、ゲルシートを構成するハイドロゲル層の全層中に含有される量である。
ハイドロゲル層以外の他の層としては、たとえば、シート状基材(支持基材)や、保護シートを挙げることができる。
支持基材は、本発明のゲルシートの形状安定性と取扱い性の向上の観点で設けることが好ましく、保護シートは、使用時までハイドロゲル層表面を保護する観点で設けることが好ましい。
支持基材としては、不織布、織布、フィルム、ゲル等のシート状の公知の支持基材を用いることができる。
不織布、織布を構成する素材としては特に制限はなく、繊維としては、一般的に用いられるものが使用可能である。例えば、セルロース、レーヨン、フィブロインなどの天然繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ポリウレタンなどの合成繊維が挙げられ、セルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンが好適に用いられる。
フィルムを用いる場合には、その素材は任意であり、例えば、液不透過性の単層、又は、多層のプラスチックシートなどが挙げらる。また、シートの一部或いは全面にわたって液透過用の開口部が形成されたシート、多孔質シート、メッシュ状のシートなどを用いることもできる。
支持基材の厚みとしては、0.01mm〜1mm程度のものがハンドリング性の観点から好ましい。また、化粧料などに使用する場合には、以下に詳述するように透明性が高いものを用いることが好ましい場合もある。
支持基材をハイドロゲル層中に設ける場合には、液透過性のシート、例えば、織布、不織布、多孔質シート、メッシュなどが好ましいが、片面のみに支持体として用いる場合には、液不透過性のシートや厚手の織布、不織布などを用いることができる。
また、支持基材をハイドロゲル層の補強層として用いる場合には、架橋ゲル(ゼラチン/グルタルアルデヒド架橋ゲル、ポリアクリル酸/多価金属イオン架橋ゲルなど)、物理ゲル(アガロースゲル、κ―カラギーナンゲルなど)、さらには親水性高分子化合物から形成される水不溶性フィルム(キトサンフィルム、セロファン、κ−カラギーナンキャストフィルムなど)等の破断強度の高い高分子ゲルシートや親水性高分子フィルムなどの基材を使用することも可能である。
これらのうち、支持基材としては、織布又は不織布が好ましい。織布又は不織布の目付量としては、3g/m〜100g/mの範囲であることが好ましく、5g/m〜70g/mであることがより好ましく、5g/m〜50g/mであることが特に好ましい。目付量が上記範囲において、支持基材の強度が取扱性に優れる範囲となり、且つ、ゲルシートの柔軟性を損なわず、貼付時の密着性が低下することがない。
本発明のゲルシートは、前記ハイドロゲルを含むハイドロゲル層の中に、あるいは隣接して、前記シート状基材(支持基材)が設けられる構造であることが好ましい。
これらのうち、本発明のゲルシートは、前記ハイドロゲルと織布または不織布とが一体となった構造であることが特に好ましい。
ここで、「一体化した構造」とは、ハイドロゲルから構成される層と支持基材とが隣接配置されており、両者がゲルシートの取扱中に剥離しない強度で密着している構造、或いは、ハイドロゲル中に支持基材の全部又は一部が内在している構造を指す。
本発明のゲルシートには、使用時まで有効成分や水分の保持性維持する目的で、保護シートを設けることが好ましい。保護シートとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、PETフィルム等を使用することが好ましい。中でも、厚さ500μm以下、より好ましくは、20μm〜400μmのポリエチレンフィルムを使用することが好ましい。
本発明のゲルシートの厚みは、一般に形状の保持性や取扱い性の観点から、0.4mm〜2mmであることが好ましく、0.5mm〜1.5mmであることが特に好ましい。
〔ゲルシートの製造方法〕
本発明のゲルシートの製造方法は、一般に行なわれる方法に従って製造することができる。
例えば、ハイドロゲルを構成する各成分を加熱混合してハイドロゲル形成用配合液を調製し、該配合液をシート状の支持基材上に塗布するか、又は、該配合液中にシート状の支持基材を浸漬してハイドロゲル層を形成した後、常温雰囲気下で静置するか冷却することで、容易にゲルシートを得ることができる。あるいは、ハイドロゲルをシート状に塗布した後、ゲル化が完了する前にシート状の支持基材を積層して得ることができる。
また、保護シートを設ける場合には、ゲルシートにおけるハイドロゲルが露出している部分を被覆するように、保護シートで被覆すればよい。
なお、前記多価アルコール、O/W型エマルションおよび多糖類などの有効成分は、前記ハイドロゲルの製造工程中に、それぞれ別途あるいは共に添加してもよいし、ハイドロゲルの製造後に、有効成分を含有する溶液中にハイドロゲルを1〜3日程度含浸させて導入することもできる。
〔ゲルシートの物性〕
−離漿性−
本発明のゲルシートは上記ハイドロゲルを含むため、離漿性に優れる。
ここで、本明細書において「離漿性」とは、ゲルシートと被着体との接触により、ハイドロゲルに含まれる液性成分(離漿水)がハイドロゲルから滲出し、被着体に移動する機能を指す。本発明におけるハイドロゲルから滲出する液性成分には、ハイドロゲル中に存在する水分及び水性成分の他、エマルション粒子、微細な固体粒子などが含まれる。従って、本発明のゲルシートは、水分の他、ハイドロゲル中に保持される水溶性又は油溶性の機能性成分などについても、効果的に被着体に供給することができる。
離漿性が高いゲルシートであれば、被着体へ接触させることによって、隣接する被着体へ、ゲルシートのハイドロゲル層中の各種成分を効果的に供給することができる。
本発明のゲルシートは、離漿率が40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、45質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。離漿率が上記範囲内にあると、被着体の保湿率を高めたり、ゲルシートを安定的に保存し得る。
この離漿率は、下記の測定試験により算出することができる。
(測定試験)
ゲルシートを3cm×3cmにカットし、この試料を直径9cmのアドバンテック東洋(株)製濾紙No.2(JIS P3801(1995年度版)に規定される2種の定性濾紙:125g/m、厚さ0.26mm、濾水時間80秒、吸水度80cm)を上下各2枚用いてはさみ、25℃、相対湿度50±10%の環境下にて10分間静置した際の濾紙質量変化を測定する。得られた測定値を用い、下記に示す式(1)により離漿率を算出する。上記の測定試験を5回繰り返して得られた値の平均値を、離漿率とする。

離漿率(質量%)=(濾紙吸液質量/ゲル初期質量)*100 ・・・ (式1)
*ここでゲル初期質量は、ゲルシート試験片の質量から、シート状基材であるナイロンメッシュの質量を除いて得られる値である。
離漿率の測定方法については、例えば、「フレグランスジャーナル」2007年6月号95〜102ページに記載されてる方法を参照することができる。
−透明性−
本発明のゲルシートは、透明性が高いことが、皮膚へ添付した際の外観的な違和感を軽減する観点から好ましい。
本発明のゲルシートの透明性は、分光光度計を用いたゲルシートを通した文字の判別サイズにより評価することができる。本発明のゲルシートでは、明朝体の12ポイントサイズの文字が判別可能であることが好ましく、10ポイントサイズの文字を判別できることがより好ましい。この範囲にあることで、例えば、生体用ゲルシートとした場合には、貼付時に皮膚の状態を確認し易くなる。しかしながら、外観が考慮されない使用部位に適用する場合などは、必ずしも透明である必要はない。
また、ゲルシートが透明性を必要とする場合には、ハイドロゲルとともに用いられる支持基材も、ナイロンメッシュ、透明樹脂フィルムなどの光透過性に優れたものを選択することが好ましい。
〔ゲルシートの形状〕
本発明のゲルシートを実用に供する際の形状としては特に制限はないが、テープ状でロール状に巻いた形状で提供されてもよく、一枚一枚独立した個別のシートであってもよい。個別のシートの場合、その形状は任意であり、使用目的、使用部位に応じて適宜選択され、例えば、楕円形、円形、ハート形、半円形、半楕円形、正方形、長方形、台形、三角形、あるいはこれらが組み合わされた形状等が挙げられ、また、適用部位に沿った形状、使用部位により最も適切に貼り付けることができる形状を適宜設計してもよい。
例えば、生体用粘着シートとして用いる場合、ゲルシートの中心部や周辺部に位置合わせ等の目的で凸部や凹部を設ける、或いは、使用部位の形状に応じて、切り込みやくり抜き部分等を設けるなどの態様をとることができ、このような態様をとることで、適用部位におけるゲルシートの取り扱い性を向上させ、必要な領域における隣接する被着体との密着性を向上させることができる。
以下、本発明のゲルシートの適用部位と形状について説明する。
本発明のゲルシートを生体に適用する場合の適用部位としては、顔(唇、頬部、目元部、目の上下部、鼻部、額部、顔全体)、腕部、脚部、胸部、腹部、背部、首部等が挙げられる。
本発明のゲルシートを生体用ゲルシートとして使用する場合には、前記した形状のみならず、面積、厚み、ハイドロゲル層最表面の粘着特性等を、適用部位に応じて適宜調整すればよい。また、含有させる有効成分の種類や含有量も適宜調整することができる。
例えば、適用部位が顔全体である生体用シートを形成する場合には目、口の位置に相当する部分をくり抜き、鼻の位置に相当する部分に切り込みを入れた形状とし、さらに貼付け面積が大きいことから、粘着層の粘着力を上昇させるか、厚さを薄めにする等の調整を行うのが好ましい。また、顔用の形状を2分割し、額や目、鼻の周りに適用する上部と、口の周りからあご部に適用する下部とに分けてもよい。
これらのゲルシートは、使用されるまでに水分や有効成分が経時的に減少することを防止するため、非通気性の素材からなる包装材料内に密閉されていてもよい。
例えば、テープ状に連続したゲルシートの場合、開閉可能な密閉容器、例えば、チャック付き非通気性シートからなる包装袋、非通気性樹脂により形成された蓋付き容器などに収納することができる。また、一枚一枚独立した個別のシートの場合には、非通気性のシートからなる開封可能な個別袋体内に密閉してもよい。このような状態で保存、流通することで使用時まで水分や有効成分を適切な状態で維持することができる。
<シート状化粧料>
本発明のシート状化粧料は、本発明のゲルシートを用いて構成される。
即ち、本発明のゲルシートに機能性成分(有効成分)として、保湿成分、美白成分、収斂成分などを保持させて化粧料とすることができる。このシート状化粧料は、ハイドロゲル層表面を皮膚に密着させて使用するものである。
本発明のゲルシートは皮膚に対して保湿性及び密着性に優れているため、本発明のシート状化粧料は、上記のような顔に貼付して肌に潤いや薬効成分を与えるパック剤などのシート状化粧料として特に有用である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」、「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
<O/W型エマルションの作製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
(水相成分)
・ショ糖オレイン酸エステル ・・・15g
・モノオレイン酸デカグリセリル ・・・23g
・グリセリン ・・・500g
・純水 ・・・322g
また、下記成分を70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
(油相成分)
・ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) ・・・40g
・ミックストコフェロール ・・・10g
・レシチン(大豆由来) ・・・90g
前記水相組成物を70℃に保ったままホモジナイザーで攪拌し(10000rpm)、そこへ上記油相組成物を添加してエマルションを得た。得られたエマルションをアルティマイザーHJP−25005(スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。得られたエマルションの体積平均粒径を、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)を用いて25℃で測定したところ、90nmであった。
<ゲルシ−トの作製>
表1に記載の成分のうち、エマルションを除く成分を水中に順に添加し、80℃にて加熱・混練し、ゾル状物を得た。ここで、表1中で示す成分量の単位は「質量部」である。
このゾル状物を60℃まで冷却した後、前記O/W型エマルションを添加し、均一に攪拌した。これを0.8mm厚となる様にドクターブレードを用いて展延した後、目付量20g/mのナイロン編布を被せ、25℃で30分間静置することで、ナイロン編布をシート状基材として備え、その両面にハイドロゲル層を有する実施例1〜5、比較例1〜3のゲルシートを得た。ハイドロゲル層の厚みは、総厚で0.8mmであった。
Figure 2009108005
(ゲルシートの評価)
実施例1〜5及び比較例1〜3のゲルシートを用いて、下記評価を行い、表1にその評価結果を併記した。なお、密着性、保湿性、皮膚バリア性、及び官能評価は、10人のモニターに上記実施例1〜5および比較例1〜3のゲルシートを各々使用(顔に貼付)させ、その評価の平均値を表1に示した。
(1)弾性率
BohlinレオメータGemini150(Malvern社製)を使用し、25℃、1Hzにおける歪依存性貯蔵弾性率を測定し、(歪0.1における貯蔵弾性率G’)/(歪1における貯蔵弾性率(G’))として評価した。
また、上記同様の方法で、25℃、1Hz、歪0.01における貯蔵弾性率を測定した。
(2)離漿率
実施例1〜5及び比較例1〜3のゲルシートを、3cm×3cmにカットし、この試料を直径9cmのアドバンテック東洋(株)製濾紙No.2(JIS P3801(1995年度版)に規定される2種の定性濾紙:125g/m、厚さ0.26mm、濾水時間80秒、吸水度80cm)を上下各2枚用いてはさみ、25℃、相対湿度50±10%の環境下にて10分間静置した際の濾紙質量変化を測定する。得られた測定値を用い、下記に示す式(1)により離漿率を算出した。
離漿率(質量%)=(濾紙吸液質量/ゲル初期質量)*100 ・・・ (式1)
*ここでゲル初期質量は、ゲルシート試験片からシート状基材であるナイロンメッシュの質量を除して得られる値である。
離漿率については、上記の測定試験を5回繰り返して得られた値の平均値を、離漿率として評価した。
(3)密着感
貼り付けたゲルシートが、顔の表面に沿って密着する場合をA、部分的に浮きが生じた場合をB、各部にシワができて、浮きが多数発生した場合をCとして評価した。
なお、密着感評価において、ゲルシートを皮膚に貼付する際、破損や所望されない伸張などは観察されず、このことから実施例1〜5のゲルシートは取り扱い性にも優れることがわかった。
(4)保湿性
モニター10名のゲルシート貼付前の被検部位(目尻の部分)の角層水分量を、角層水分量計(アサヒバイオメッド社製)におけるコンダクタンスの値にて評価した。
その後、実施例1〜5及び比較例1〜3のゲルシートを、被検部位に15分間貼付して、剥離した後30分後の角層水分量について角層水分量計(アサヒバイオメッド社製)におけるコンダクタンスの値にて評価した。ゲルシート貼付前後におけるコンダクタンスを比較し、10名の平均にてコンダクタンスが15%以上上昇していた場合をAA、10%〜15%の増加がみられた場合はA、2%〜10%の増加がみられた場合をB、2%未満の変化であった場合をCとして評価した。
(5)皮膚バリア性
肌荒れ改善機能を評価するため、以下の方法で経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定した。
すなわち、1日15分の貼付を3日継続し、3日目のゲルシート剥離直後の経表皮水分蒸散量(TEWL)を水分蒸散計(アサヒバイオメッド社製)にて測定した。テスト前に比して、TEWLが5質量%以上低下した場合をA、1〜4質量%の場合をB、変化が見られない場合をCとして評価した。
(6)官能評価
1日15分の貼付を3日継続した際の、3日目のゲルシート剥離直後の皮膚の外観についての印象にて評価を行った。明らかにキメが整ったと感じた場合をA、わずかにキメが整ったと感じた場合をB、変化が見られなかったと感じた場合をCとした。
(7)含水率
実施例1〜5及び比較例1〜3のゲルシートのハイドロゲル層1g取り出し、25℃にて減圧乾燥を行った。試料の質量変化が認められなくなるまで乾燥を継続し、下記に示す式(2)により含水率を算出した。
含水率(質量%)= (初期質量−乾燥後質量)/初期質量 *100 ・・・(式2)
上記の測定試験を5回繰り返して得られた値の平均値を、含水率として評価した。
表1の結果から、実施例1〜5のゲルシートは、保湿性や皮膚のバリア性の改善効果に優れ、またキメを調える美肌効果を有することが明らかとなった。また、肌への密着性や肌に密着させるときの取り扱い性が良好であった。
一方、貯蔵弾性率の歪依存性が低い比較例1〜3のゲルシートでは、離漿性が低く、保湿性に劣り、特に官能評価での実感が得られなかった。

Claims (11)

  1. 25℃における歪0.1での貯蔵弾性率が25℃における歪1での貯蔵弾性率に対して2以上であるハイドロゲル、を含むゲルシート。
  2. 前記ハイドロゲルの貯蔵弾性率が、25℃、歪0.01において、100Pa以上10000Pa以下であることを特徴とする請求項1に記載のゲルシート。
  3. 前記ハイドロゲルの含水率が、70質量%以上95質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゲルシート。
  4. 前記ハイドロゲルが、多糖類を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のゲルシート。
  5. 前記ハイドロゲルが、ポリエーテルを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のゲルシート。
  6. 前記ハイドロゲルが、O/W型エマルションを含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のゲルシート。
  7. 前記ハイドロゲルが、コラーゲン及びコラーゲン分解生成物の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のゲルシート。
  8. 前記ハイドロゲルが、多価アルコール化合物を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のゲルシート。
  9. 前記ハイドロゲルを含むハイドロゲル層と、
    前記ハイドロゲル層中に又は前記ハイドロゲル層と隣接して設けられるシート状基材と、
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のゲルシート。
  10. 厚みが0.4mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のゲルシート。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のゲルシートを用いたシート状化粧料。
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