JP4557161B2 - 繊維の改質方法 - Google Patents
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Description
更に、ギマ加工ではアルカリ水溶液を用いるため、酸で中和凝固させる工程が必要となる上、アルカリに対する耐性の低い繊維の改質は困難であった。
請求項1:
アルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基によるモル置換度が0.05〜1.3である水に溶解しない低置換度セルロースエーテルを水中又はアルカリ濃度が1質量%以下の希アルカリ水溶液中に懸濁分散して剪断前分散液を調製し、この剪断前分散液に剪断力をかけて得られた剪断分散液及び架橋剤又は水系樹脂エマルジョンを繊維に付着させた後、加熱処理することを特徴とする繊維の改質方法。
請求項2:
低置換度セルロースエーテルをアルカリの水溶液に溶解し、このアルカリ溶液を当量又はアルカリ濃度を1質量%以下とする量の酸で中和して低置換度セルロースエーテルを析出させることにより低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液を得る請求項1記載の繊維の改質方法。
請求項3:
剪断力をかけて低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得る方法が、振動ボールミル、コロイドミル、ホモミキサー又はホモジナイザーを用いて、剪断前分散液中の低置換度セルロースエーテルを互いに衝突させるか又は衝突板に衝突させて低置換度セルロースエーテルを摩砕させる方法である請求項1又は2記載の繊維の改質方法。
請求項4:
剪断力をかけて低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得る方法が、ノズルから70〜250MPaの高圧で噴射させると共に、低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液同士又は低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液と衝突板とを90〜180°の角度で1〜200回衝突させて、低置換度セルロースエーテルの平均粒子長さを1/4以下に粉砕することにより、低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得るようにした請求項1又は2記載の繊維の改質方法。
請求項5:
剪断力をかけて低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得る方法が、低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液に500sec-1以上の剪断力を1〜60回かけて低置換度セルロースエーテルを摩砕分散させることにより、低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得るようにした請求項1又は2記載の繊維の改質方法。
請求項6:
アルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基によるモル置換度が0.05〜1.3である水に溶解しない低置換度セルロースエーテルをアルカリの水溶液に溶解し、このアルカリ溶液をコロイドミルで剪断して低置換度セルロースエーテルを摩砕するか、又はホモジナイザーを用いて低置換度セルロースエーテルを衝突、粉砕させながら、上記アルカリと当量又はアルカリ濃度を1質量%以下とする量の酸で中和して得られた剪断分散液及び架橋剤又は水系樹脂エマルジョンを繊維に付着させた後、加熱処理することを特徴とする繊維の改質方法。
請求項7:
低置換度セルロースエーテルの剪断分散液中の濃度が0.5〜20質量%であり、ピックアップ率が10〜500質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
請求項8:
架橋剤が、イソシアナート系の架橋剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
請求項9:
水系樹脂エマルジョンが、水系ウレタン樹脂エマルジョン又は反応性オルガノポリシロキサンのO/W型エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
請求項10:
低置換度セルロースエーテルが、モル置換度0.1〜0.7の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
水系ウレタン樹脂エマルジョンとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等のポリエーテルとトリレインジイソシアナート、3,3’−ビストリレン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3−ジメチルジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナート等のジイソシアナート類の反応から製造される各種エマルジョン等が挙げられる。
表1に示した低置換度セルロースエーテル50gを950gの0.5質量%の希水酸化ナトリウム水溶液に分散した後、スギノマシーン(株)製のアルテマイザーの対向衝突型ユニットを用いて圧力150MPaにて高圧分散を行った。この処理を10回実施することにより低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を調製した。この剪断分散液100gにジフェニルメタンジイソシアナート8gを添加した試料分散液を調製した。次に、ニットコーマ綿糸30/1番手をこの分散液に浸漬させた後、ローラマングルでピックアップ率108%に絞った後、乾燥し、次いで145℃で10分間、加熱して、試料を得た。
このようにして得られた試料について、下記試験法に従い、毛羽立ち性、引張り強度、耐摩耗性、制電性、吸水性、耐洗濯性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示した低置換度セルロースエーテル50gを950gの水に分散した後、スギノマシーン(株)製のアルテマイザーの対向衝突型ユニットを用いて圧力150MPaにて高圧分散を行った。この処理を10回実施することにより低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を調製した。この剪断分散液100gにジフェニルメタンジイソシアナート8gを添加した試料分散液を調製した。次に、ニットコーマ綿糸30/1番手又は羊毛2/48番手をこの分散液に浸漬させた後、ローラマングルでピックアップ率108%に絞った後、乾燥し、次いで145℃で10分間、加熱して、試料を得た。
このようにして得られた試料について、下記試験法に従い、毛羽立ち性、引張り強度、耐摩耗性、制電性、吸水性、耐洗濯性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示した低置換度セルロースエーテル50gを950gの水に分散した後、スギノマシーン(株)製のアルテマイザーの対向衝突型ユニットを用いて圧力150MPaにて高圧分散を行った。この処理を10回実施することにより低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を調製した。この剪断分散液100gに架橋構造タイプの水系ウレタン樹脂エマルジョンとしてポリオキシエチレングリコールとジフェニルメタンジイソシアナートの架橋物8gを添加した試料分散液を調製した。次に、繊維として2/48番手の羊毛を使用し、かつローラマングルでピックアップ率108%に絞った後、95℃で20分間加熱した。このようにして得られた試料について、下記試験法に従い、評価した結果を表1に示す。
表1に示した低置換度セルロースエーテル50gを950gの0.5質量%の希水酸化ナトリウム水溶液に分散した後、スギノマシーン(株)製のアルテマイザーの対向衝突型ユニットを用いて圧力150MPaにて高圧分散を行った。この処理を10回実施することにより低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を調製した。この剪断分散液100gにジフェニルメタンジイソシアナート8gを添加した試料分散液を調製した。次に、羊毛2/48番手をこの分散液に浸漬させた後、ローラマングルでピックアップ率108%に絞った後、乾燥し、次いで145℃で10分間、加熱して、試料を得た。
このようにして得られた試料について、下記試験法に従い、毛羽立ち性、引張り強度、耐摩耗性、制電性、吸水性、耐洗濯性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示した低置換度セルロースエーテル50gを950gの水に分散した後、スギノマシーン(株)製のアルテマイザーの対向衝突型ユニットを用い圧力150MPaにて高圧分散を行った。この処理を10回実施することにより低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を調製した。この剪断分散液100gにジフェニルメタンジイソシアナート8gを添加した試料分散液を調製した。次に、2/60番手のポリエステルと羊毛の混紡糸をこの分散液に浸漬させた後、ローラマングルでピックアップ率108%に絞った後、乾燥し、次いで145℃で10分間、加熱して、試料を得た。このようにして得られた試料について、下記試験法に従い、評価した結果を表1に示す。
日本製紙(株)製の粉末セルロースKCフロックW100により、セルロース換算濃度8質量%、苛性ソーダ濃度6質量%、二硫化炭素2.5質量%からなるビスコース試料液
に2/48番手の羊毛を浸漬したところ、羊毛が溶解してしまい、繊維改質はできなかった。
ヒドロキシプロピル基置換度0.25の低置換度セルロースエーテル50gを475gの水に分散した後、20質量%濃度苛性ソーダを475g添加して低置換度セルロースエーテル苛性ソーダ水溶液を調製した。この溶液に2/60番手のポリエステルと羊毛の混紡糸を浸漬したところ、繊維が溶解してしまい、繊維改質はできなかった。
敷島紡績(株)製のF−INDEX TESTERの光学式毛羽試験装置により2mm以下、3mm以下、4mm以下の合計毛羽量を求め、未加工の糸の値に対する割合を求めた。
<引張り強度>
エーアンドディ社製のテンシロン引張り強度測定装置にて、長さ100mmの試料糸10本についての引張り強度の未処理繊維との比を測定した。
<耐摩耗性>
蛭田式摩耗性試験装置にて、試料糸が破断するまでの回数を未処理の糸での破断回数で除した値として求めた。
<制電性>
JIS L 1094−1980により半減期を求め、未処理品に対する比として求めた。
<吸水速度>
JIS L 1096−1979により10分間における吸水長さを未処理品との比として求めた。
<耐洗濯性>
JIS L 0844に記載の方法で糸を洗濯し、洗濯後の顕微鏡観察により繊維の毛羽立ちが未処理品より顕著に少なくなっているものを◎とした。
Claims (10)
- アルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基によるモル置換度が0.05〜1.3である水に溶解しない低置換度セルロースエーテルを水中又はアルカリ濃度が1質量%以下の希アルカリ水溶液中に懸濁分散して剪断前分散液を調製し、この剪断前分散液に剪断力をかけて得られた剪断分散液及び架橋剤又は水系樹脂エマルジョンを繊維に付着させた後、加熱処理することを特徴とする繊維の改質方法。
- 低置換度セルロースエーテルをアルカリの水溶液に溶解し、このアルカリ溶液を当量又はアルカリ濃度を1質量%以下とする量の酸で中和して低置換度セルロースエーテルを析出させることにより低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液を得る請求項1記載の繊維の改質方法。
- 剪断力をかけて低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得る方法が、振動ボールミル、コロイドミル、ホモミキサー又はホモジナイザーを用いて、剪断前分散液中の低置換度セルロースエーテルを互いに衝突させるか又は衝突板に衝突させて低置換度セルロースエーテルを摩砕させる方法である請求項1又は2記載の繊維の改質方法。
- 剪断力をかけて低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得る方法が、ノズルから70〜250MPaの高圧で噴射させると共に、低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液同士又は低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液と衝突板とを90〜180°の角度で1〜200回衝突させて、低置換度セルロースエーテルの平均粒子長さを1/4以下に粉砕することにより、低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得るようにした請求項1又は2記載の繊維の改質方法。
- 剪断力をかけて低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得る方法が、低置換度セルロースエーテルの剪断前分散液に500sec-1以上の剪断力を1〜60回かけて低置換度セルロースエーテルを摩砕分散させることにより、低置換度セルロースエーテルの剪断分散液を得るようにした請求項1又は2記載の繊維の改質方法。
- アルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基によるモル置換度が0.05〜1.3である水に溶解しない低置換度セルロースエーテルをアルカリの水溶液に溶解し、このアルカリ溶液をコロイドミルで剪断して低置換度セルロースエーテルを摩砕するか、又はホモジナイザーを用いて低置換度セルロースエーテルを衝突、粉砕させながら、上記アルカリと当量又はアルカリ濃度を1質量%以下とする量の酸で中和して得られた剪断分散液及び架橋剤又は水系樹脂エマルジョンを繊維に付着させた後、加熱処理することを特徴とする繊維の改質方法。
- 低置換度セルロースエーテルの剪断分散液中の濃度が0.5〜20質量%であり、ピックアップ率が10〜500質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
- 架橋剤が、イソシアナート系の架橋剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
- 水系樹脂エマルジョンが、水系ウレタン樹脂エマルジョン又は反応性オルガノポリシロキサンのO/W型エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
- 低置換度セルロースエーテルが、モル置換度0.1〜0.7の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の繊維の改質方法。
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