JP2014122435A - 防汚加工繊維の製造方法、防汚加工繊維及び繊維用防汚加工薬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、粉体汚れに対するSG性(汚れ成分が繊維表面に対して付着し難くなる性能)とSR性(繊維に一度付着した汚れ成分の洗浄による脱落性)に優れる防汚加工繊維の製造方法、防汚加工繊維及び該防汚加工繊維を製造する際に好適に用いることができる繊維用防汚加工薬剤を提供することにある。
【解決手段】 本発明の防汚加工繊維の製造方法は、繊維材料に対して、多糖類を付着させる工程(A)と、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)とを含むものである。本発明の防汚加工繊維は、繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子が付着してなるものである。本発明の繊維用防汚加工薬剤は、多糖類及び水を含有するものであり、上記の防汚加工繊維を製造する際に、好適に用いることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の防汚加工繊維の製造方法は、繊維材料に対して、多糖類を付着させる工程(A)と、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)とを含むものである。本発明の防汚加工繊維は、繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子が付着してなるものである。本発明の繊維用防汚加工薬剤は、多糖類及び水を含有するものであり、上記の防汚加工繊維を製造する際に、好適に用いることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、防汚加工繊維の製造方法、防汚加工繊維及び繊維用防汚加工薬剤に関する。
近年、繊維製品に快適性や安全性等の機能性が求められており、このような機能性の一つとして防汚加工が挙げられる。従来から、繊維に汚れが付着することを防止したり、付着した汚れを落ちやすくしたりするための様々な防汚加工手段が提案されている。
このような繊維の防汚加工方法として、繊維表面に親水性を付与することが可能なSR剤に繊維を浸漬させて処理を行うSR(Soil Release)加工が知られている。繊維に対してSR加工を施せば、繊維表面が親水性となり、洗濯等の水洗で容易に汚れを落とすことができる。しかし、SR加工は、液体の汚れ成分に対して防汚効果は大きいが、赤土や黄砂、花粉等の粉体汚れに対する防汚効果がほとんどないという問題があった。
一方、繊維表面をシリコーン系やフッ素系の撥水・撥油剤で被覆するSG(Soil Guard)加工も知られている。繊維に対してSG加工を施せば、繊維表面が撥水及び撥油性となり、繊維表面に汚れが付着し難くなる。しかし、このようなSG加工では、繊維表面が撥水性となって繊維の吸水性が低下するため、繊維表面に汚れが一度付着すると、洗濯を行ってもその汚れが落ち難くなるという欠点があった。
また、最近では親水性基を有するフッ素系のSR剤に繊維を浸漬して親水性を付与した後、フッ素系撥水・撥油剤で加工を行い、撥水・撥油性を付与するSGR加工も知られている(例えば、特許文献1等)。しかし、このようなSGR加工は、液体の汚れ成分に対して防汚効果は大きいが、赤土や黄砂、花粉等の粉体汚れに対して防汚効果は不十分であった。
このように、特に粉体汚れに対するSR加工とSG加工の両立は難しく、未だ十分な性能を有する防汚加工繊維の開発には至っていない。
本発明の目的は、粉体汚れに対するSG性(汚れ成分が繊維表面に対して付着し難くなる性能)とSR性(繊維に一度付着した汚れ成分の洗浄による脱落性)に優れる防汚加工繊維の製造方法、防汚加工繊維及び該防汚加工繊維を製造する際に好適に用いることができる繊維用防汚加工薬剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子を付着させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、繊維材料に対して、多糖類を付着させる工程(A)と、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)とを含む、防汚加工繊維の製造方法である。
前記工程(A)は、繊維材料に対して、前記多糖類及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程であることが好ましい。また、前記工程(B)は、繊維材料に対して、前記変性オルガノシリケート微粒子及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程であることが好ましい。
前記工程(A)は、繊維材料に対して、多糖類及びシリカ微粒子を付着させる工程であることが好ましい。
前記多糖類はアニオン性基を有することが好ましい。また、前記多糖類はアルギン酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明の防汚加工繊維の製造方法は、前記工程(A)を経て得られた繊維材料に対して前記工程(B)を行うか、又は前記工程(B)を経て得られた繊維材料に対して前記工程(A)を行うものである。さらには、本発明の防汚加工繊維の製造方法は、前記工程(B)を経て得られた繊維材料に対して前記工程(A)を行うことが好ましい。
本発明の防汚加工繊維は、繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子が付着してなるものである。本発明の防汚加工繊維は、繊維材料に対して、さらにシリカ微粒子が付着してなるものが好ましい。
本発明の防汚加工繊維に付着してなる前記多糖類は、アニオン性基を有することが好ましい。前記多糖類はアルギン酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明の繊維用防汚加工薬剤は、多糖類及び水を含有するものであり、上記の防汚加工繊維を製造する際に、好適に用いることができる。
本発明の繊維用防汚加工薬剤は、さらにシリカ微粒子を含有することが好ましい。
本発明の繊維用防汚加工薬剤は、さらにシリカ微粒子を含有することが好ましい。
本発明の繊維用防汚加工薬剤に含まれる前記多糖類は、アニオン性基を有することが好ましい。また、前記多糖類は、アルギン酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明の繊維用防汚加工薬剤に含まれる前記シリカ微粒子の平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましい。
本発明の防汚加工繊維の製造方法は、粉体汚れに対して、SR加工とSG加工の両立を図ることができる。本発明の防汚加工繊維の製造方法によれば、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。
本発明の防汚加工繊維は、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する。
本発明の繊維用防汚加工薬剤は、本発明の防汚加工繊維を製造する際に、好適に用いることができる。
本発明の防汚加工繊維は、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する。
本発明の繊維用防汚加工薬剤は、本発明の防汚加工繊維を製造する際に、好適に用いることができる。
[防汚加工繊維の製造方法]
本発明の防汚加工繊維の製造方法は、繊維材料に対して、多糖類を付着させる工程(A)と、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)とを含むものである。以下、詳細に説明する。
本発明の防汚加工繊維の製造方法は、繊維材料に対して、多糖類を付着させる工程(A)と、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)とを含むものである。以下、詳細に説明する。
(多糖類)
変性オルガノシリケート微粒子とともに、多糖類を繊維材料に付着させることにより、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。一般的に多糖類とは、単糖類がポリグリコシル化した高分子化合物であって、重合度が10以上のものをいう。多糖類は、水溶性、不溶性、加熱により溶解するもの、加熱によりゲルを生成するもの等が挙げられるが、本発明で使用する多糖類としては、水溶性であることが好ましい。多糖類は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性オルガノシリケート微粒子とともに、多糖類を繊維材料に付着させることにより、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。一般的に多糖類とは、単糖類がポリグリコシル化した高分子化合物であって、重合度が10以上のものをいう。多糖類は、水溶性、不溶性、加熱により溶解するもの、加熱によりゲルを生成するもの等が挙げられるが、本発明で使用する多糖類としては、水溶性であることが好ましい。多糖類は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、セルロース、イヌリン、マンナン、グルコマンナン、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ペクチン、キシログルカン等が挙げられる。
本発明で用いる多糖類は、分子内にアニオン性基を有することが好ましい。アニオン性基を有することにより、工程(B)で使用する変性オルガノシリケート微粒子とイオン性相互作用が生じることで、洗濯耐久性を有する防汚繊維を製造することができる。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
多糖類に含まれるアニオン性基は、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩を形成していることが好ましい。但し、アニオン性基は、完全に塩型になっている必要はない。
カルボキシル基を有する多糖類は、天然由来のものと天然高分子材料を変性したもの(半合成高分子化合物)が含まれる。天然由来のカルボキシル基を含有する多糖類は、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸等のウロン酸を分子内に持つ化合物であり、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン等が挙げられる。半合成高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルキチンナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム等の天然の多糖類を変性したものや、デンプンやセルロース等の多糖類にアクリル酸をグラフト共重合したもの等が挙げられる。これらの中でも、多糖類としては、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ペクチンが好ましく、アルギン酸ナトリウムがさらに好ましい。
このようなアニオン性基を有する多糖類、特にカルボキシル基を有する多糖類を用いることで、繊維材料を洗濯しても、SR性及びSG性を維持することができ、繊維材料に対して優れた洗濯耐久性を付与することができる。
このようなアニオン性基を有する多糖類、特にカルボキシル基を有する多糖類を用いることで、繊維材料を洗濯しても、SR性及びSG性を維持することができ、繊維材料に対して優れた洗濯耐久性を付与することができる。
多糖類を1重量%水溶液としたときの粘度(20℃)は、耐久性や加工時の取扱い易さの点から、10〜5000mPa・sであることが好ましく、50〜2000mPa・sであることがより好ましく、100〜1000mPa・sであることがさらに好ましい。
(変性オルガノシリケート微粒子)
変性オルガノシリケート微粒子とは、シリカ微粒子の表面のシラノール基と反応する官能基を有する有機化合物(例えばシランカップリング剤)を用いて、シリカ微粒子表面を処理することによって得られる微粒子をいう。
本発明で用いられる変性オルガノシリケートは、微粒子状であることが必要である。微粒子状であることにより、繊維表面に微細な凹凸を形成させて、SG性を付与することができる。
変性オルガノシリケート微粒子とは、シリカ微粒子の表面のシラノール基と反応する官能基を有する有機化合物(例えばシランカップリング剤)を用いて、シリカ微粒子表面を処理することによって得られる微粒子をいう。
本発明で用いられる変性オルガノシリケートは、微粒子状であることが必要である。微粒子状であることにより、繊維表面に微細な凹凸を形成させて、SG性を付与することができる。
処理液における変性オルガノシリケート微粒子の平均粒子径は、0.001μm〜1μmが好ましく、0.005〜0.5μmがより好ましく、0.01〜0.1μmがさらに好ましい。該平均粒子径がこの範囲であることで、糸条同士の隙間や繊維同士の隙間はもちろん、繊維表面に存在し得る微細な窪みにまで微粒子が入り込みやすく、繊維表面を均一に斑なく被覆する被膜層が形成される。平均粒子径が1μmを超える場合には十分な防汚性が発現せず、洗濯耐久性が低下する恐れがある。
変性オルガノシリケート微粒子は、微粒子の形成性、形状及び硬さの点から、4級アンモニウム基や1〜3級アミノ基などのカチオン性基を導入したカチオン変性オルガノシリケート微粒子であることが好ましい。
カチオン変性オルガノシリケート微粒子は、カチオン性基と、シリカ表面のシラノール基に対して反応性を有する官能基との双方を有する有機化合物を用いて、シリカ微粒子の表面を処理することにより得られる。カチオン性基としては、4級アンモニウム基や1〜3級アミン塩を構成してカチオン性を示すことができる1〜3級アミノ基等を挙げることができる。また、4級アンモニウム基や1〜3級アミノ基以外のカチオン性基を用いることができる。有機化合物におけるカチオン性基の量は、全体としてカチオン性を示す限り特に制限されない。
カチオン変性オルガノシリケート微粒子は、カチオン性基と、シリカ表面のシラノール基に対して反応性を有する官能基との双方を有する有機化合物を用いて、シリカ微粒子の表面を処理することにより得られる。カチオン性基としては、4級アンモニウム基や1〜3級アミン塩を構成してカチオン性を示すことができる1〜3級アミノ基等を挙げることができる。また、4級アンモニウム基や1〜3級アミノ基以外のカチオン性基を用いることができる。有機化合物におけるカチオン性基の量は、全体としてカチオン性を示す限り特に制限されない。
前記有機化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノアルキルジグリシジルエーテル等のアミノ基やそれらを4級化したアンモニウム塩を挙げることができる。
(繊維材料)
繊維材料としては、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよい。天然繊維としては、例えば、綿、大麻、亜麻、ヤシ、いぐさ等の植物繊維;羊毛、山羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ、絹等の動物繊維;石綿等の鉱物繊維等を挙げることができる。化学繊維としては、例えば、ロックファィバ−、金属繊維、グラファイト、シリカ、チタン酸塩等の無機繊維;レーヨン、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生セルロース系繊維;溶融紡糸セルロース繊維;牛乳タンパク、大豆タンパク等のタンパク質系繊維;再生絹、アルギン酸繊維等の再生・半合成繊維;ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維、等の合成繊維を挙げることができる。また、これら繊維を2種以上複合(混紡、混繊、交織、交編等)されていてもよい。
繊維材料としては、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよい。天然繊維としては、例えば、綿、大麻、亜麻、ヤシ、いぐさ等の植物繊維;羊毛、山羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ、絹等の動物繊維;石綿等の鉱物繊維等を挙げることができる。化学繊維としては、例えば、ロックファィバ−、金属繊維、グラファイト、シリカ、チタン酸塩等の無機繊維;レーヨン、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生セルロース系繊維;溶融紡糸セルロース繊維;牛乳タンパク、大豆タンパク等のタンパク質系繊維;再生絹、アルギン酸繊維等の再生・半合成繊維;ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維、等の合成繊維を挙げることができる。また、これら繊維を2種以上複合(混紡、混繊、交織、交編等)されていてもよい。
ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のほかに、ポリ乳酸(PLA)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリアリレート繊維等エステル結合を形成する反応によって縮合させた高分子からなる繊維を意味する。ポリエステル繊維と複合される繊維としては、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維や天然繊維が挙げられる。
ポリアミド繊維は、ポリアミドを必須とし、複合化されていてもよい繊維を意味し、たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン4、ナイロン7、芳香族ナイロン(アラミド)等が挙げられる。ポリアミドは、通常、アミド結合を形成する反応によって縮合させて得られる。
繊維材料の形態としては、例えば、織物、編物、布帛、糸状、チーズ、かせ、不織布等の形態を挙げることができる。繊維材料の用途としては、防汚性を付与する対象物、例えば、アウター、ユニフォーム、スポーツ等の衣料;マスク、ガーゼ、紙おむつ等の衛生材料;自動車、航空機、鉄道、船舶等の車両内装材;布団、マットレス、シーツ、枕、カバー、毛布、タオルケット等の寝具類;カーテン、ブラインド、ソファー、椅子、座布団、壁紙、絨毯、カーペット、テーブルクロス、クッション、椅子、ふすま等のインテリア;どん帳、暗幕、工事用シート、テント、フィルターなどの産業資材等を挙げることができる。
(工程(A)と工程(B))
工程(A)は、上記の繊維材料に対して、上記の多糖類を付着させる工程である。詳細には、工程(A)は、繊維材料に対して、多糖類及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程である。
工程(B)は、上記の繊維材料に対して、上記の変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)である。詳細には、工程(B)は、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程である。
工程(A)は、上記の繊維材料に対して、上記の多糖類を付着させる工程である。詳細には、工程(A)は、繊維材料に対して、多糖類及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程である。
工程(B)は、上記の繊維材料に対して、上記の変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)である。詳細には、工程(B)は、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程である。
工程(A)及び工程(B)は、別々に行う工程であることが好ましい。つまり、工程(A)を経て得られた繊維材料に対して工程(B)を行うか、又は工程(B)を経て得られた繊維材料に対して工程(A)を行うことが好ましい。工程(A)及び工程(B)を別々に行うことにより、繊維材料に対して、多糖類を含む層と変性オルガノシリケート微粒子を含む層とが形成され、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。さらに、本発明の製造方法によれば、工程(A)及び工程(B)の順序に関わらず、つまり層を形成する順序に関わらず、粉体汚れに対して優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。従って、防汚加工繊維を製造する際の設計上・工程上の自由度が向上する。
工程(A)は、繊維材料に対して、多糖類及びシリカ微粒子を付着させる工程であることが好ましい。詳細には、工程(A)は、繊維材料に対して、多糖類、シリカ微粒子及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程であることが好ましい。工程(A)においてシリカ微粒子をさらに用いることにより、繊維材料に対して、多糖類及びシリカ微粒子を含む層と変性オルガノシリケート微粒子を含む層とが形成される。このような層が形成された防汚加工繊維は、洗濯を繰り返しても、粉体汚れに対するSG性、SR性を維持することができ、洗濯耐久性に優れる。
シリカ微粒子とは、SiO2を主成分とする水不溶性の微粒子をいう。一般的にシリカ微粒子は、結晶性シリカ(微粒子)と非結晶性シリカ(微粒子)の2つに大別されるが、本発明においてはいずれのシリカ微粒子を用いることができる。また、本発明でいうシリカ微粒子は、上記の変性オルガノシリケート微粒子を除くものである。すなわち、シリカ微粒子の表面が前述の有機化合物によって処理されていないものをいう。
本発明の防汚加工繊維の製造方法において、シリカ微粒子は、水を分散媒とし、SiO2又はその水和物の微粒子を水中に分散せしめたコロイド溶液(コロイダルシリカ)として、用いることができる。コロイダルシリカは、ケイ酸塩に希塩酸を作用させてから透析する方法等により得られる。コロイダルシリカに占めるシリカ微粒子の重量割合は、通常、5〜50重量%となる。また、コロイダルシリカはその特性分類から、酸性とアルカリ性の双方があるが、本発明においてはどちらのコロイダルシリカも使用することができる。また、コロイダルシリカは、球状、鎖状、会合状、房状等の形状を有するが、本発明においてはいずれの形状のコロイダルシリカを用いることができる。
コロイダルシリカにおけるシリカ微粒子の平均粒子径は、1〜100nmが好ましく、2〜70nmがより好ましく、3〜50nmがさらに好ましい。該平均粒子径が100nm超の場合、SG性が不良となることがある。なお、本発明でいう平均粒子径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製LA−910)で測定された粒度分布より算出された平均値をいう。
本発明の製造方法は、工程(B)を経て得られた繊維材料に対して工程(A)を行うことが好ましい。このような順序で行うことにより、つまり変性オルガノシリケート微粒子を含む層を形成した後に、多糖類を含む層を形成することにより、粉体汚れに対して優れたSG性及びSR性を有するばかりでなく、液体汚れに対して優れたSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。特に、変性オルガノシリケート微粒子がカチオン変性オルガノシリケート微粒子であり、多糖類がアニオン性基を有する場合に、その効果は大きくなる。
工程(A)で用いる処理液は、多糖類及び水を含有するものであり、好ましくは、多糖類、シリカ微粒子及び水を含有するものである。処理液全体に占める多糖類の濃度は、0.001〜20重量%が好ましく、0.005〜15重量%がより好ましく、0.01〜10重量%がさらに好ましい。処理液全体に占めるシリカ微粒子の濃度は、0.001〜25重量%が好ましく、0.005〜20重量%がより好ましく、0.01〜15重量%がさらに好ましい。
工程(B)で用いる処理液は、変性オルガノシリケート微粒子及び水を含有するものである。処理液全体に占める変性オルガノシリケート微粒子の濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。
また、工程(A)で用いる多糖類がアルギン酸ソーダやペクチンの場合、工程(B)で用いる処理液に二価以上の金属成分を混合してゲル化を生じさせ、水不溶性とすることで耐久性を付与することも可能である。二価以上の金属としては、カルシウム、鉄、アルミニウム等が挙げられる。
また、工程(A)で用いる多糖類がアルギン酸ソーダやペクチンの場合、工程(B)で用いる処理液に二価以上の金属成分を混合してゲル化を生じさせ、水不溶性とすることで耐久性を付与することも可能である。二価以上の金属としては、カルシウム、鉄、アルミニウム等が挙げられる。
工程(A)及び工程(B)で用いる処理液は、他の薬剤を含んでもよい。同時に加工可能な他の薬剤としては、溶剤、バインダー、架橋剤、防虫剤、防カビ剤、防ダニ剤、抗菌剤、消臭剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗アレル剤、深色化剤、平滑剤、柔軟剤又は吸水剤が挙げられる。これらは、複数同時に処理することも可能である。各薬剤については、公知のものを採用できる。
これら処理液の製造方法は、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、後述する繊維用防汚加工薬剤を希釈して調製してもよく、各成分の水溶液や分散液を混合撹拌して調製してもよい。
繊維材料に対する多糖類の付着量については、特に限定はないが、繊維材料に対して0.001〜40重量%が好ましく、0.003〜30重量%がより好ましく、0.005〜20重量%がさらに好ましい。該付着量が0.001重量%未満の場合、粉体汚れに対して、優れたSR性を発現しないことがある。該付着量が40重量%超の場合は、粉体汚れに対して、SR性の向上がこれ以上見られず、経済的に不利となることがある。
繊維材料に対する変性オルガノシリケート微粒子の付着量については、特に限定はないが、繊維材料に対して0.01〜100重量%が好ましく、0.02〜80重量%がより好ましく、0.05〜60重量%がさらに好ましい。該付着量が0.01重量%未満の場合、SG性が十分に発現しないことがある。該付着量が100重量%超の場合は、SG性にこれ以上の性能が見られず、経済的に不利となることがある。
繊維材料に対するシリカ微粒子の付着量については、特に限定はないが、繊維材料に対して0.01〜100重量%が好ましく、0.03〜80重量%がより好ましく、0.05〜60重量%がさらに好ましい。該付着量が0.01重量%未満の場合、洗濯耐久性が発現しないことがある。該付着量が100重量%超の場合は、経済的に不利となることがある。
本願発明の効果をより発現させ、繊維材料に対して優れた洗濯耐久性を付与できる点から、繊維材料に付着した際の多糖類と変性オルガノシリケート微粒子の重量比(多糖類/変性オルガノシリケート微粒子)は、5/95〜80/20が好ましく、10/90〜75/25がより好ましく、15/85〜70/30がさらに好ましい。
本願発明の効果をより発現させ、優れた洗濯耐久性を付与できる点から、繊維材料に付着した際の多糖類とシリカ微粒子の重量比(多糖類/シリカ微粒子)は、0.1/99.9〜99/1が好ましく、0.5/99.5〜90/10がより好ましく、1/99〜70/30がさらに好ましい。
繊維材料に上記の処理液を付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。これらの中でも、前述の多糖類、変性オルガノシリケート微粒子、シリカ微粒子を繊維材料に確実に付着させることができる点から、吸尽法、パッドドライ法、スプレー法及びコーティング法から選ばれる少なくとも1種の方法が好ましく、パッドドライ法がさらに好ましい。
吸尽法、パッドドライ法、スプレー法、コーティング法としては、公知の方法を採用できる。吸尽法とは、薬剤の希薄溶液を用い、温度、浸漬時間、液循環回数等の条件を設定して、薬剤を繊維に選択吸着させることで吸尽付着させる方法である。その後、通常、水洗を行い、遠心脱水、乾燥を行う。パッドドライ法とは、薬剤の溶液中に繊維を短時間浸漬し、ただちに脱水マングル等で絞ることで付着させる方法である。その後乾燥を行い、必要に応じて、キュアリングを行う。スプレー法とは、一定速度のコンベアー上に繊維を乗せ、その上から、薬剤の溶液を一定量スプレーすることで付着させる方法である。その後乾燥を行い、必要に応じて、キュアリングを行う。コーティング法とは、通常マングルで薬剤の溶液を片面より塗布することで付着させる方法である。その後、余分の薬剤はドクターでかき落とし、乾燥を行い、必要に応じて、キュアリングを行う。
繊維材料に処理液を付与する際の温度は、5〜40℃が好適である。付与温度が5℃より低いと、一定温度保持が難しいために繊維材料への一定付与ができなくなることがある。一方、付与温度が40℃より高いと、繊維材料に含まれる染料等の溶出が多くなることがある。
処理液が付与された繊維材料は、テンションレス、あるいはテンションを加える等の方法によって乾燥され、本発明の防汚加工繊維を得ることができる。テンションレスで乾燥する方法としては、ノンタッチ乾燥機、ショートループ乾燥機、テンションレスローラ型、シリンダー乾燥機等が挙げられ、テンションを加え乾燥する方法としては、ピンテンター、クリップテンター等が挙げられる。
乾燥温度については、特に限定はないが、加工薬剤を繊維材料に付着させるためには、100℃以上が好ましく、110〜200℃がさらに好ましい。乾燥温度が100℃より低いと、加工薬剤が繊維材料に付着しないことがある。
乾燥温度については、特に限定はないが、加工薬剤を繊維材料に付着させるためには、100℃以上が好ましく、110〜200℃がさらに好ましい。乾燥温度が100℃より低いと、加工薬剤が繊維材料に付着しないことがある。
[防汚加工繊維]
本発明の防汚加工繊維は、繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子が付着してなるものである。繊維材料、多糖類、変性オルガノシリケート微粒子、シリカ微粒子、それらの重量比及びそれらの繊維材料に対する付着量等については、前述の防汚加工繊維の製造方法で説明したものと同様である。防汚加工繊維は、前述の防汚加工繊維の製造方法によって、得ることができる。本発明の防汚加工繊維は、粉体汚れに対して優れたSG性及びSR性を有する。
本発明の防汚加工繊維は、洗濯耐久性を向上させる点から、繊維材料に対して、さらにシリカ微粒子が付着してなることが好ましい。シリカ微粒子については、前述の防汚加工繊維の製造方法で説明したものと同様である。
本発明の防汚加工繊維は、繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子が付着してなるものである。繊維材料、多糖類、変性オルガノシリケート微粒子、シリカ微粒子、それらの重量比及びそれらの繊維材料に対する付着量等については、前述の防汚加工繊維の製造方法で説明したものと同様である。防汚加工繊維は、前述の防汚加工繊維の製造方法によって、得ることができる。本発明の防汚加工繊維は、粉体汚れに対して優れたSG性及びSR性を有する。
本発明の防汚加工繊維は、洗濯耐久性を向上させる点から、繊維材料に対して、さらにシリカ微粒子が付着してなることが好ましい。シリカ微粒子については、前述の防汚加工繊維の製造方法で説明したものと同様である。
前述の防汚加工繊維の製造方法で説明したように、粉体汚れに対して一層優れたSG性及びSR性を発揮させる点から、本発明の防汚加工繊維は、多糖類を含む層と、変性オルガノシリケート微粒子を含む層を有することが好ましい。また、洗濯耐久性を向上させる点から、多糖類及びシリカ微粒子を含む層と、変性オルガノシリケート微粒子を含む層を有することが好ましい。さらに、液体汚れに対するSR性を発揮させる点から、本発明の防汚加工繊維は、変性オルガノシリケート微粒子を含む層が形成された後に、多糖類を含む(必要に応じてシリカ微粒子を含む)層が形成されていることが好ましい。
[繊維用防汚加工薬剤]
本発明の繊維用防汚加工薬剤(以下薬剤ということがある)は、多糖類及び水を含有するものであり、本発明の防汚加工繊維の製造方法の工程(A)において、好適に用いることができる。具体的には、該薬剤を希釈して、工程(A)の処理液を調製することができる。本発明の薬剤は、さらにシリカ微粒子を含有することが好ましい。多糖類、シリカ微粒子については、防汚加工繊維の製造方法で説明したものと同様である。
本発明の繊維用防汚加工薬剤(以下薬剤ということがある)は、多糖類及び水を含有するものであり、本発明の防汚加工繊維の製造方法の工程(A)において、好適に用いることができる。具体的には、該薬剤を希釈して、工程(A)の処理液を調製することができる。本発明の薬剤は、さらにシリカ微粒子を含有することが好ましい。多糖類、シリカ微粒子については、防汚加工繊維の製造方法で説明したものと同様である。
薬剤の不揮発分に占める多糖類の割合は、0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜15重量%がより好ましく、0.5〜10重量%がさらに好ましい。該割合が0.1重量%未満の場合、耐久性が発現しないことがある。該割合が20重量%超の場合は、特に高粘度となり取り扱いが困難となることがある。
薬剤がシリカ微粒子を含有する場合、薬剤の不揮発分に占めるシリカ微粒子の割合は、1〜50重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。該割合が1重量%未満の場合、洗濯耐久性が発現しないことがある。該割合が50重量%超の場合は、経済的に好ましくないことがある。
なお、本発明における不揮発分とは、試料を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
薬剤がシリカ微粒子を含有する場合、薬剤の不揮発分に占めるシリカ微粒子の割合は、1〜50重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。該割合が1重量%未満の場合、洗濯耐久性が発現しないことがある。該割合が50重量%超の場合は、経済的に好ましくないことがある。
なお、本発明における不揮発分とは、試料を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
本願発明の効果をより発現させ、繊維材料に対して優れた洗濯耐久性を付与できる点から、薬剤における多糖類とシリカ微粒子の重量比(多糖類/シリカ微粒子)は、0.1/99.9〜99/1が好ましく、0.5/99.5〜90/10がより好ましく、1/99〜70/30がさらに好ましい。
繊維用防汚加工薬剤の調製方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、多糖類の水溶液及びシリカ微粒子を含むコロイダルシリカを調製し、これらを混合撹拌して調製することができる。
なお、変性オルガノシリケート微粒子及び水を含む繊維用防汚加工薬剤を希釈して、工程(B)で用いる処理液を調製することができる。該繊維用防汚加工薬剤の不揮発分に占める変性オルガノシリケート微粒子の割合は、1〜50重量%が好ましく、2〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(実施例1)
<工程1>
平均粒子径が30nmである変性オルガノシリケート微粒子(1)20重量%及び水80重量%からなる防汚加工薬剤を水で希釈して、薬剤が5重量%となる処理液を調製した。次に各評価で用いるポリエステル織物を、この処理液に浸漬させ、マングルで絞った。この際、処理液の繊維に対する付着量は80重量%であった。その後、処理液が付着したポリエステル織物をピンテンターで120℃、2分間乾燥させた。
<工程1>
平均粒子径が30nmである変性オルガノシリケート微粒子(1)20重量%及び水80重量%からなる防汚加工薬剤を水で希釈して、薬剤が5重量%となる処理液を調製した。次に各評価で用いるポリエステル織物を、この処理液に浸漬させ、マングルで絞った。この際、処理液の繊維に対する付着量は80重量%であった。その後、処理液が付着したポリエステル織物をピンテンターで120℃、2分間乾燥させた。
なお、実施例において、繊維に対する処理液の付着量は下記式により計算した。
繊維に対する処理液の付着量(重量%)=[(Y−X)/X]×100
X:処理液が付着する前のポリエステル織物の重量
Y:処理液が付着した後のポリエステル織物の重量
繊維に対する処理液の付着量(重量%)=[(Y−X)/X]×100
X:処理液が付着する前のポリエステル織物の重量
Y:処理液が付着した後のポリエステル織物の重量
<工程2>
次に、平均粒子径が10nmのシリカ微粒子(1)2重量%及び水96重量%の溶液を攪拌しながら、1重量%水溶液の粘度(20℃)が500mPa・sのアルギン酸ソーダ(1)を溶液全体に対して2重量%なるように加えて、防汚加工薬剤を調製した。
得られた薬剤を水で希釈して、薬剤が5重量%となる処理液を調製した。工程1で得られたポリエステル織物をこの処理液に浸漬させ、マングルで絞った。この際、繊維に対する処理液の付着量は80重量%であった。その後、処理液が付着したポリエステル織物をピンテンターで120℃、2分間乾燥させ、防汚加工繊維(ポリエステル織物試験片)を得た。得られた防汚加工繊維の防汚性について、下記方法により評価を行った。
次に、平均粒子径が10nmのシリカ微粒子(1)2重量%及び水96重量%の溶液を攪拌しながら、1重量%水溶液の粘度(20℃)が500mPa・sのアルギン酸ソーダ(1)を溶液全体に対して2重量%なるように加えて、防汚加工薬剤を調製した。
得られた薬剤を水で希釈して、薬剤が5重量%となる処理液を調製した。工程1で得られたポリエステル織物をこの処理液に浸漬させ、マングルで絞った。この際、繊維に対する処理液の付着量は80重量%であった。その後、処理液が付着したポリエステル織物をピンテンターで120℃、2分間乾燥させ、防汚加工繊維(ポリエステル織物試験片)を得た。得られた防汚加工繊維の防汚性について、下記方法により評価を行った。
[粉体汚れ評価]
ポリエステル織物試験片(6cm×6cm)2枚と汚れ成分(赤土)2gをビニール袋に入れ、空気で膨らませ、ビニール袋の口を止めた。その後、ICI形ピリング試験機で30分間処理した。
(SG性)
赤土処理後の試験片1枚について、視覚により下記基準で粉体汚れのSG性(付着防止性)の評価を行った。
◎:汚れ成分がほとんど付着しない。
○:汚れ成分が僅かに付着。
△:汚れ成分がある程度付着。(○と×の間)
×:汚れ成分が大量に付着。
ポリエステル織物試験片(6cm×6cm)2枚と汚れ成分(赤土)2gをビニール袋に入れ、空気で膨らませ、ビニール袋の口を止めた。その後、ICI形ピリング試験機で30分間処理した。
(SG性)
赤土処理後の試験片1枚について、視覚により下記基準で粉体汚れのSG性(付着防止性)の評価を行った。
◎:汚れ成分がほとんど付着しない。
○:汚れ成分が僅かに付着。
△:汚れ成分がある程度付着。(○と×の間)
×:汚れ成分が大量に付着。
(SR性)
赤土処理後の他の試験片1枚について、JIS L 0844 A−2号に基づき、さらに洗濯処理を行った。洗濯処理後の試験片について、JIS L 0809に従い、粉体汚れのSR性(洗濯脱落性)をグレースケール等級で判定した。等級の判定には分光側色計(CM−3600d、コニカミノルタ製)を使用し、薬剤を付与していない未加工布を基準とした。表の数値は等級を示し、数値が大きいほど汚染していないことを示す。
赤土処理後の他の試験片1枚について、JIS L 0844 A−2号に基づき、さらに洗濯処理を行った。洗濯処理後の試験片について、JIS L 0809に従い、粉体汚れのSR性(洗濯脱落性)をグレースケール等級で判定した。等級の判定には分光側色計(CM−3600d、コニカミノルタ製)を使用し、薬剤を付与していない未加工布を基準とした。表の数値は等級を示し、数値が大きいほど汚染していないことを示す。
[液体汚れ評価]
ポリエステル織物試験片(10cm×10cm)2枚に汚れ成分(オレイン酸)を滴下し、24時間放置後、1枚をJIS L 0217 103法で1回洗濯処理を行った。洗濯処理後の試験片について、JIS L 0809に従い、液体汚れのSR性(洗濯脱落性)をグレースケール等級で判定した。等級の判定には分光側色計(CM−3600d、コニカミノルタ製)を使用し、薬剤を付与していない未加工布を基準とした。表の数値は等級を示し、数値が大きいほど汚染していないことを示す。
ポリエステル織物試験片(10cm×10cm)2枚に汚れ成分(オレイン酸)を滴下し、24時間放置後、1枚をJIS L 0217 103法で1回洗濯処理を行った。洗濯処理後の試験片について、JIS L 0809に従い、液体汚れのSR性(洗濯脱落性)をグレースケール等級で判定した。等級の判定には分光側色計(CM−3600d、コニカミノルタ製)を使用し、薬剤を付与していない未加工布を基準とした。表の数値は等級を示し、数値が大きいほど汚染していないことを示す。
[洗濯耐久性の評価]
ポリエステル織物試験片をJIS−L−0217 103法で10回洗濯処理したものを洗濯耐久性評価用の試験片とする以外は、上記の粉体汚れ評価、液体汚れ評価と同様に評価した。
ポリエステル織物試験片をJIS−L−0217 103法で10回洗濯処理したものを洗濯耐久性評価用の試験片とする以外は、上記の粉体汚れ評価、液体汚れ評価と同様に評価した。
(実施例2〜13)
実施例1で、防汚加工剤の種類、加工濃度及び加工順序を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして防汚加工繊維をそれぞれ製造し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例1で、防汚加工剤の種類、加工濃度及び加工順序を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして防汚加工繊維をそれぞれ製造し、評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1〜6、BL)
実施例1で、防汚加工剤の種類、加工濃度及び加工順序を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして防汚加工繊維をそれぞれ製造し、評価した。なお、比較例5、6、BLは工程1のみ行ったものであり、さらにBLは薬剤の代わりに水で処理したものである。その結果を表2に示す。
実施例1で、防汚加工剤の種類、加工濃度及び加工順序を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして防汚加工繊維をそれぞれ製造し、評価した。なお、比較例5、6、BLは工程1のみ行ったものであり、さらにBLは薬剤の代わりに水で処理したものである。その結果を表2に示す。
なお、表1、2に示す防汚加工薬剤の成分は以下の通りである。
変性オルガノシリケート微粒子(1):3−アミノプロピルトリメトキシシランの4級アンモニウム塩にてシリカ微粒子を表面処理したもの。平均粒子径30nm。
変性オルガノシリケート微粒子(2):3−アミノプロピルトリエトキシシランの4級アンモニウム塩にてシリカ微粒子を表面処理したもの。平均粒子径45nm。
変性オルガノシリケート微粒子(3):N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランの4級アンモニウム塩にてシリカ微粒子を表面処理したもの。平均粒子径25nm。
アルギン酸ソーダ(1):1重量%水溶液の粘度(20℃)が500mPa・sのアルギン酸ソーダ。
アルギン酸ソーダ(2):1重量%水溶液の粘度(20℃)が300mPa・sのアルギン酸ソーダ。
ヒアルロン酸ソーダ:1重量%水溶液の粘度(20℃)が2500mPa・sのヒアルロン酸ソーダ。
アミノ変性シリコーン乳化物:アミノ変性シリコーン20重量%の乳化物。
シリカ微粒子(1):平均粒子径が10nmのコロイダルシリカ。
シリカ微粒子(2):平均粒子径が30nmのコロイダルシリカ。
親水性ポリエステル樹脂:アニオン性親水性ポリエステル樹脂(SR−1000 高松油脂(株)社製)。
ポリアクリル酸ソーダ:40重量%水溶液の粘度(25℃)が400mPa・sのポリアクリル酸ソーダ。
フッ素樹脂:親水性基としてオキシアルキレン基を有する含フッ素共重合体20重量%。
変性オルガノシリケート微粒子(1):3−アミノプロピルトリメトキシシランの4級アンモニウム塩にてシリカ微粒子を表面処理したもの。平均粒子径30nm。
変性オルガノシリケート微粒子(2):3−アミノプロピルトリエトキシシランの4級アンモニウム塩にてシリカ微粒子を表面処理したもの。平均粒子径45nm。
変性オルガノシリケート微粒子(3):N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランの4級アンモニウム塩にてシリカ微粒子を表面処理したもの。平均粒子径25nm。
アルギン酸ソーダ(1):1重量%水溶液の粘度(20℃)が500mPa・sのアルギン酸ソーダ。
アルギン酸ソーダ(2):1重量%水溶液の粘度(20℃)が300mPa・sのアルギン酸ソーダ。
ヒアルロン酸ソーダ:1重量%水溶液の粘度(20℃)が2500mPa・sのヒアルロン酸ソーダ。
アミノ変性シリコーン乳化物:アミノ変性シリコーン20重量%の乳化物。
シリカ微粒子(1):平均粒子径が10nmのコロイダルシリカ。
シリカ微粒子(2):平均粒子径が30nmのコロイダルシリカ。
親水性ポリエステル樹脂:アニオン性親水性ポリエステル樹脂(SR−1000 高松油脂(株)社製)。
ポリアクリル酸ソーダ:40重量%水溶液の粘度(25℃)が400mPa・sのポリアクリル酸ソーダ。
フッ素樹脂:親水性基としてオキシアルキレン基を有する含フッ素共重合体20重量%。
表1、2からわかるように、実施例の防汚加工繊維の製造方法によれば、比較例のものと比べ、粉体汚れに対して、優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。さらに、本発明の製造方法によれば、工程(A)及び工程(B)の順序に関わらず、粉体汚れに対して優れたSG性及びSR性を有する防汚加工繊維を得ることができる。
Claims (16)
- 繊維材料に対して、多糖類を付着させる工程(A)と、繊維材料に対して、変性オルガノシリケート微粒子を付着させる工程(B)とを含む、防汚加工繊維の製造方法。
- 前記工程(A)が、繊維材料に対して、前記多糖類及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程であり、前記工程(B)が、繊維材料に対して、前記変性オルガノシリケート微粒子及び水を含む処理液を付与して乾燥させる工程である、請求項1に記載の防汚加工繊維の製造方法。
- 前記工程(A)が、繊維材料に対して、多糖類及びシリカ微粒子を付着させる工程である、請求項1又は2に記載の防汚加工繊維の製造方法。
- 前記多糖類がアニオン性基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の防汚加工繊維の製造方法。
- 前記多糖類がアルギン酸ナトリウムである、請求項1〜4のいずれかに記載の防汚加工繊維の製造方法。
- 前記工程(A)を経て得られた繊維材料に対して前記工程(B)を行うか、又は前記工程(B)を経て得られた繊維材料に対して前記工程(A)を行う、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚加工繊維の製造方法。
- 前記工程(B)を経て得られた繊維材料に対して前記工程(A)を行う、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚加工繊維の製造方法。
- 繊維材料に対して、多糖類及び変性オルガノシリケート微粒子が付着してなる、防汚加工繊維。
- 繊維材料に対して、さらにシリカ微粒子が付着してなる、請求項8に記載の防汚加工繊維。
- 前記多糖類がアニオン性基を有する、請求項8又は9に記載の防汚加工繊維。
- 前記多糖類がアルギン酸ナトリウムである、請求項8〜10のいずれかに記載の防汚加工繊維。
- 多糖類及び水を含有する、繊維用防汚加工薬剤。
- さらに、シリカ微粒子を含有する、請求項12に記載の繊維用防汚加工薬剤。
- 前記多糖類がアニオン性基を有する、請求項12又は13に記載の繊維用防汚加工薬剤。
- 前記多糖類がアルギン酸ナトリウムである、請求項12〜14のいずれかに記載の繊維用防汚加工薬剤。
- 前記シリカ微粒子の平均粒子径が1〜100nmである、請求項13〜15のいずれかに記載の繊維用防汚加工薬剤。
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JP2012277723A JP2014122435A (ja) | 2012-12-20 | 2012-12-20 | 防汚加工繊維の製造方法、防汚加工繊維及び繊維用防汚加工薬剤 |
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JP2018095983A (ja) * | 2016-12-12 | 2018-06-21 | 花王株式会社 | 繊維製品への易洗浄性の付与方法 |
-
2012
- 2012-12-20 JP JP2012277723A patent/JP2014122435A/ja active Pending
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