JP2004052153A - 皮革様シート状物とその製造方法 - Google Patents

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JP2004052153A JP2002210586A JP2002210586A JP2004052153A JP 2004052153 A JP2004052153 A JP 2004052153A JP 2002210586 A JP2002210586 A JP 2002210586A JP 2002210586 A JP2002210586 A JP 2002210586A JP 2004052153 A JP2004052153 A JP 2004052153A
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佐相 康宏
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Abstract

【課題】本発明は、染色加工中での製品破れや、毛羽落ちなどがなく、染色加工後の製品物性が非常に優れた人工皮革とその製造方法を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の皮革様シート状物は、1〜60μmの範囲の粒子径を有する下記化学式で示されるセピオライトを含有するポリウレタン樹脂を含有することを特徴とするものである。かかる皮革様シート状物の製造方法は、極細繊維からなるシート状物とエマルジョン型ポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物の製造方法において、1〜60μmの範囲の粒子径を有する下記化学式で示されるセピオライトを該ポリウレタン樹脂に混合してなる樹脂組成物を該シート状物に付与することを特徴とするものである。
【化1】
Figure 2004052153

【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明では、シート内にエマルジョン型ポリウレタン樹脂を均一に存在させ、さらに染色加工品の物性を向上させた皮革様シート状物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、良好な立毛を有し、優れた柔軟性と品位を持つ、天然皮革に勝るとも劣らない、極細繊維を使用した人工皮革が知られている。従来の人工皮革の製法としては、たとえば、極細繊維発現型の複合繊維の1成分に極細繊維形成用成分を用い、他成分に有機溶媒で溶解可能な成分を用いた繊維でフェルトを作成する。このフェルトに有機溶媒ジメチルホルムアミドを用いたポリウレタン溶液を付与した後、複合繊維の溶解成分を有機溶媒で除去し極細繊維化するか、極細繊維化したシートにポリウレタン樹脂の溶液を付与することにより人工皮革が得られる。しかるに、上記の方法では、複合繊維の溶解成分を除去するための有機溶媒や、ポリウレタン樹脂の有機溶媒を必要とする。かかる溶媒は環境への影響等からできる限り使用を抑えることが望まれ、特に近年は地球環境保全の観点からかかる有機溶媒を使用しないですむ新たな製法が強く求められている。
【0003】
かかる要請に対し、極細繊維発現型の複合繊維の溶解除去成分としてアルカリ可溶型のポリマーを用い、この繊維でシートを形成後アルカリで溶解成分を除去する手段が検討されている。またさらに一歩進め、特開平9−273029号公報に開示されているように、ポリウレタン樹脂を溶液タイプから、水系エマルジョンタイプのものを用い、全く有機溶媒を用いないプロセスの検討もなされている。しかるに、これらの製法には、染色加工中で製品破れ、毛羽落ちなどの発生や、染色加工後の製品物性が非常に低いなどの問題があった。
【0004】
これらの課題を解決するため、特開昭60−9976号公報で開示されているように、コロイダルシリカ、アルミナゾルをポリウレタン樹脂に添加し、樹脂の破断強度を向上し製品強度を上げることを目的にした製品を得る製法の検討が行われた。
【0005】
しかし、これら化合物をエマルジョンポリウレタン樹脂に混合しても、目的とする製品を得るまでには至らず、特に染色加工後では、シートの破れ、多量の毛羽落ちが発生し、シート物性は非常に低い問題があった。
【0006】
また極細繊維からなるシートにエマルジョンポリウレタン樹脂を含浸し乾燥処理した場合、ポリウレタン樹脂がシート表層に多く存在し、シート内には殆ど存在しないものとなり、染色加工で、シートの破れ、多量の毛羽落ちが起きるなど問題があった。
【0007】
ポリウレタン樹脂がシート表層に多く存在する問題を解決するため、種々の検討が行われている。例えば、特昭公55−51076号公報によれば、エマルジョンポリウレタン樹脂に感熱ゲル化剤を添加することで、感熱凝固性を増しポリウレタン樹脂がシート表層に多く存在させない検討をしている。また特公昭59−1823号公報、特開平6−316877号公報によれば、エマルジョンポリウレタン樹脂に無機塩を添加することで、凝固温度を大きく下げることで、さらには特開2000−290879号公報で、会合型増粘剤を液中に添加、増粘した液をシートに付与することで、シートを乾燥している間にエマルジョンポリウレタン樹脂液が毛細管現象によりシート表層に上がらせないことを検討している。しかし、これらの方法では、ポリウレタン樹脂をシート内に均一に存在させることは難しかった。
【0008】
感熱ゲル化剤を添加する方法(特公昭55−51076号公報)を試みた場合、ポリウレタン樹脂の物性が格段に低下、その樹脂を付与したシートの物性も低くなって、染色加工中に破断する問題があった。
【0009】
エマルジョンポリウレタン樹脂に無機塩を添加する方法(特公昭59−1823号公報、特開6−316877号公報)では、細かいゲル化物が発生する問題があった。
【0010】
会合型増粘剤を添加する方法(特開2000−290879号公報)では、エマルジョンポリウレタン樹脂液の粘度が高くなりすぎ、シート内部まで樹脂液を十分浸透させることができない問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、染色加工中での製品破れや、毛羽落ちなどがなく、染色加工後の製品物性が非常に優れた人工皮革とその製造方法を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の皮革様シート状物は、1〜60μmの範囲の粒子径を有する下記化学式で示されるセピオライトを含有するポリウレタン樹脂を含有することを特徴とするものである。かかる皮革様シート状物の製造方法は、極細繊維からなるシート状物とエマルジョン型ポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物の製造方法において、1〜60μmの範囲の粒子径を有する下記化学式で示されるセピオライトを該ポリウレタン樹脂に混合してなる樹脂組成物を該シート状物に付与することを特徴とするものである。
【0013】
【化3】
Figure 2004052153
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり染色加工中での製品破れや、毛羽落ちなどがなく、染色加工後の製品物性が非常に優れた人工皮革について、鋭意検討し、特定な粒子径を有するセピオライトをエマルジョン型ポリウレタン樹脂に混合してみたところ、かかる樹脂組成物は、該シート内に該エマルジョン型ポリウレタン樹脂を均一に存在させる機能を発揮し、その結果、前記課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0015】
本発明で言う極細繊維とは、0.5dtex以下の繊度を持つ繊維であり、湿式、乾式及び溶融紡糸法、メルトブロー法、海島型繊維、ポリマーブレンド繊維から1成分を抽出、除去する方法などにより得たものが使用することができる。本発明に係る極細繊維の形態は、例えば、海部にアルカリ溶解性成分と島部に極細繊維を構成する成分を配置した海島型や、星雲型、多層型、多島中空型などを基本とし、これらを組み合わせたもの、あるいは変形発展させたものなどであり、1成分を除去することで0.5dtex以下の極細繊維が得られるものなどから適宜選択可能である。かかる極細繊維を形成する成分は、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン66等のポリアミド、共重合ポリアミド等、さらにはポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチルメチレンテレフタレートなどが使用されるが、特に限定はされない。
【0016】
本発明では、この極細発現型複合繊維を用い、シート状物を製造する。かかるシート状物の形態としては、不織布、織物、編物等を採用することができるが、風合いの点で不織布が好ましく採用される。かかる不織布形成のための手段としては、例えば、クロスラッパーで繊維を積層させシート化する方法やスパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法など紡糸直結で直接シート化する方法などの手段を採用することができる。かくして得られるシート状物は、その後ニードルパンチやウオータージェットパンチなどの繊維絡合処理を施すのが好ましい。
【0017】
かくして得られたシート状物を、有機溶剤、アルカリ性水溶液あるいは熱水などを用いて処理して、該シート状物を構成している極細発生型繊維から極細繊維を発現させる。
【0018】
かかる有機溶剤としては、例えば、トリクロロエチレン、トルエン等の溶剤が使用され、アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア塩を添加した水溶液等が使用される。
【0019】
極細繊維の発現方法は、これら有機溶剤またはアルカリ性水溶液の中にシート状物を浸し、溶解成分を抽出する採用される。ここで該有機溶剤や該アルカリ水溶液の濃度や処理温度などは、適宜調整して、より良好な極細繊維を発生させることができる。
【0020】
また、アルカリ脱海に先立ち、ポリウレタン樹脂と繊維との結合をコントロールしたり、該シート状物の形態を保つ目的で、該シート状物に高鹸化度ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの熱水溶解性ポリマーを付与しても構わない。
【0021】
かくして得られる極細繊維からなるシート状物に、エマルジョン型ポリウレタン樹脂を付与する。本発明でいうエマルジョン型ポリウレタン樹脂とは、いわゆるエマルジョンにして使用するポリウレタン樹脂という意味であって、エマルジョンそのものを指すものではない。
【0022】
かかるエマルジョン型ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、ポリオール成分の一部にポリカーボネートを含むポリカーボネートジオールとジイソシアネートと鎖伸長剤の各成分を適宜組み合わせて反応させて得られるポリウレタン樹脂が、最終的に得られる製品の風合いや品位、物性、耐久性が優れている点で好ましく採用される。
【0023】
かかるポリカーボネ−トジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジメチルカーボネ−ト、ジフェニルカーボネ−ト、ホスゲンとの反応により得られる化合物が好ましく使用される。さらにこのポリカーボネートジオールと他のポリオール成分として、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールなどを組み合わせた共重合体も使用することができる。かかるポリエステルジオールとして、例えば、ネオペンチルアジペード等が好ましく使用されるが、特に限定されない。また、ポリエーテルジオールとして、例えば、ポリカプロラクトンなどが好ましく使用されるが、特に限定はされない。
【0024】
本発明で使用するエマルジョン型ポリウレタン樹脂のジイソシアネート成分としては、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート以外に2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3−ジメトキシ−4、4−フェニレンイソシアネートなどが好ましく使用されるが、特にこれらに限定しない。
【0025】
かかるエマルジョン型ポリウレタン樹脂の鎖伸長剤には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンなどが好ましく使用される。これらは単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0026】
かかるエマルジョン型ポリウレタン樹脂には、強制乳化型、自己乳化型があるが、いずれのものを使用しても構わない。しかし、皮革様シート状物の物性が良い点から、自己乳化型のものが好ましく用いられる。
【0027】
かかるエマルジョン型ポリウレタン樹脂は、有機溶剤を含んでいても、有機溶剤を含まない完全水系であってもよいが、環境面および回収工程による生産性低下の面から有機溶剤を含まないものが好ましく採用される。
【0028】
本発明の特徴は、エマルジョン型ポリウレタン樹脂に、下記化学式で示されるセピオライト(含水マグネシウムシリケート)を添加するところにある。
【0029】
【化4】
Figure 2004052153
【0030】
すなわち、特定な粒子径を有するセピオライトをエマルジョン型ポリウレタン樹脂に混合してなる樹脂組成物からなる処理液を該シート状物に付与すると、該シート状物内にエマルジョン型ポリウレタン樹脂を均一に存在させる機能を有するのである。かかる機能によって、染色加工中での製品破れや、毛羽落ちなどがなく、染色加工後の製品物性が非常に優れた人工皮革を提供することができるのである。
【0031】
すなわち、本発明の皮革様シート状物は、1〜60μm、好ましくは3〜50μm の範囲の粒子径を有するセピオライトを含むことが重要である。すなわち、粒子径が1μm未満では、樹脂組成物からなる処理液中にセピオライトを高分散させることができず、その結果、ポリウレタン樹脂の強力を向上させることができず、染色加工時にシート状物の破れや毛羽落ちが発生し、一方、粒子径が60μmを越えると、該処理液の粘度が増加しすぎて、シート表面にポリウレタン樹脂が偏在したものとなりやすく、硬い皮革様シート状物となる傾向がある。
【0032】
かかる樹脂組成物からなる処理液を該シート状物に付与した後、該ポリウレタン樹脂を凝固する際に、その凝固方法が、スチームによる湿熱凝固か、または、無機塩を添加してなる凝固浴に浸漬させる湿式凝固の場合には、セピオライトの粒子径は、1〜40μmであることが好ましく、さらに好ましくは3〜20μmであるのがよい。かかる凝固手段の場合においては、セピオライトの粒子径を40μmを越える大きいものでは、樹脂組成物からなる処理液の粘度を500mPa〜1000mPaの範囲に調整することができなくなり、ポリウレタン樹脂にセピオライトが均一に存在させることが難しい。
【0033】
一方、乾式凝固する場合には、セピオライトの粒子径は、3〜50μmであるのが好ましい。かかる乾式凝固では、粒子径が60μmを越えると、該樹脂組成物からなる処理液の粘度を1000mPa・s〜5000mPa・sの範囲に調整することができなくなり、シートにポリウレタン樹脂を均一に存在させることが難しい。
【0034】
いずれの凝固方法においても、それぞれ処理液粘度の好適な範囲が存在するので、それに適合した粒子径を有するセピオライトを使用するのが好ましい。かかる粘度を好適な範囲内とすることにより、シート状物の表層一面にエマルジョン型ポリウレタン樹脂の皮膜層が形成されにくく、シート内部と表層に、より均一に該ポリウレタン樹脂を存在させることができ、柔軟性に優れた皮革様シート状物を提供することができる。
【0035】
かかるセピオライトの該ポリウレタン樹脂中に添加する量は、特に限定はされないが、ポリウレタン樹脂の物性と製品物性とのバランスを良好にする点で、該ポリウレタン樹脂100重量部に0.1〜20重量部を添加することが好ましい。かかる添加量を0.1重量部未満では、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の粘度を1000mPa・s〜5000mPa・sまで高くすることができず、皮革様シート状物の風合いを低下させてしまう傾向がでてくる。また、添加量が20重量部を越えると、該シート状物内にエマルジョン型ポリウレタン樹脂を均一に分布させることができず、皮革様シート状物の品位、物性を低下させてしまう傾向がでてくる。
【0036】
かかる樹脂組成物には、他の無機物、例えば、二酸化ケイ素、二酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化カルシウム、二酸化ナトリウム、酸化カリウムなどを添加することができる。
【0037】
かかる樹脂組成物からなる処理液をシート状物に付与する方法は、塗布および/または含浸であるが、さらに具体的には、該シート状物に、エマルジョンポリウレタン樹脂とセピオライトとの混合樹脂組成物からなる処理液を含浸し、乾熱凝固する方法(乾式凝固)、該シート状物に該処理液を含浸し、エマルジョンポリウレタン樹脂を湿熱で凝固し、乾燥する方法(湿熱凝固)、無機塩を溶解させた浴中かまたは、熱水浴中へ、予め該処理液を含浸してなるシート状物を浸漬して、該エマルジョンポリウレタン樹脂を凝固する方法(湿式凝固)などを採用することができる。かかる方法は、それぞれ組み合わせた形での付与方法であってもよい。また、該混合樹脂組成物からなる処理液に、無機塩を添加するか、あるいは増粘剤等を添加しても構わない。
【0038】
しかしエマルジョンポリウレタン樹脂を凝固し乾燥しただけでは、エマルジョンポリウレタン樹脂の耐水性、かつ耐染色加工性が低い。よって前記シートを好ましくは90℃〜200℃の範囲で、1分から60分、より好ましくは120℃〜150℃で2分から20分程度熱処理する。
【0039】
本発明に使用するエマルジョン型ポリウレタン樹脂に他の樹脂が併用されても感熱ゲル化性、保存安定性を保ち得る範囲内で併用しても差し支えない。併用可能な樹脂に、例えば、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用しても、複数を併用して使用してもよい。さらに必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等を添加することもできる。
【0040】
本発明において、かくして得られたシートは必要に応じ熱処理し、場合に応じ公知のスライス機による半裁、バッフィングによる起毛、染色加工等を施し、目的の皮革様繊維シート状物を得ることが出来る。
【0041】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明する。
【0042】
(1)エマルジョンポリウレタン樹脂の分布
シート内にエマルジョンポリウレタン樹脂が均一に存在しているかを、次の方法で確認した。
【0043】
エマルジョンポリウレタン樹脂液、もしくはセピオライトを混合した液を含浸、乾燥したシートをナイフでシート断面に対し垂直に切れ目を入れていき、同じ厚さのサンプル4枚を作成した。作成した各サンプルの重さを測定し、その重量から極細繊維の重量を引くことで、シート内のポリウレタン樹脂の重量を求めた。なお、極細繊維の重量は、エマルジョンポリウレタン樹脂を含浸する前のシートの重量から繊維密度を求めた。次にその密度を用いて、半裁したシートの厚みとサイズから繊維重量を求めた。
【0044】
実施例1
ポリスチレンを海成分として30部、島成分としてポリエチレンテレフタレートが70部から成る割合でフィラメント中に島成分が36島、平均繊度が3.6dtex、繊維長が6cmの海島型繊維のステープルを用いてカード、クロスラッパーを通してウェブを作成した後、ニードルパンチを施し、不織布を作成した。この繊維基体にケン化度95のポリビニルアルコール水溶液を島成分に対し、30重量部含浸、乾燥処理した。この繊維基体をトリクロロエチレンに30分浸漬し海成分を除去した後、水洗、乾燥した。次に、40重量%のエマルションポリウレタン樹脂液(APC−55、日華化学社製)、粒子径が約40μmのセピオライトをポリウレタン樹脂固形分100重量部に対し1部添加、水で希釈し、12重量%の混合液を作成した。この混合液を、ポリウレタン樹脂固形分が島成分100重量部に対し48重量部含まれるように、含浸した直後に100℃で乾燥し、150℃で5分間熱処理を行った。次に基体内部のポリビニルアルコールを100℃の熱水で除去後、スライス機で半裁、バッフィングをしてシート表面を起毛した後、分散染料を用い液流染色機を用い染色した。得られたシート状物は、品位、風合いなども従来の製法で得られるものと同等のものだった。染色前生機の破断強度は60.8N/cm、染色後品の破断強度は、57.3N/cmと高かった。
【0045】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、12重量%のエマルジョンポリウレタン樹脂液にセピオライトを混合した液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cmである、サンプル4枚の中に含まれるエマルジョン型ポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.21g、約0.14g、約0.14g、約0.22gであった。これからシート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在した、皮革様シート状物を得ることが出来た。
【0046】
実施例2
セピオライトの粒子径を5μm、極細繊維を発現させたシートに12重量%のエマルジョンポリウレタン樹脂液にセピオライトを混合した液を含浸、スチーム処理した後に乾燥した以外、実施例1と同様にして、皮革様シート状物を作成した。
【0047】
得られたシート状物は、品位、風合いなども従来の製法で得られるものと同等のものだった。染色前生機の破断強度は60.8N/cm、染色後品の破断強度は、57.3N/cmと高かった。
【0048】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、12重量%のエマルジョンポリウレタン樹脂液にセピオライトを混合した液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cmである、サンプル4枚の中に含まれるエマルジョン型ポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.18g、約0.17g、約0.16g、約0.20gであった。これからシート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在した、皮革様シート状物を得ることが出来た。
【0049】
実施例3
5−ソディウムスルホイソフタル酸を8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として30部、島成分としてポリエチレンテレフタレートが70部からなる割合でフィラメント中に島成分が36島、平均繊度が3.8dtex、繊維長が6cmの海島型繊維のステープルを用いてカード、クロスラッパーを通してウェブを作成した後、ニードルパンチを施し、不織布を作成した。この繊維基体にケン化度95のポリビニルアルコール水溶液を島成分に対し、30重量部含浸、乾燥処理した後、180℃の熱処理を施した。熱処理後の繊維基体に、40℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬し海成分を除去した後、水洗、乾燥した。
【0050】
次に、40重量%のエマルションポリウレタン樹脂液(APC−55、日華化学社製)、粒子径が約40μmのセピオライトをポリウレタン樹脂固形分100重量部に対し2部添加、水で希釈し、12重量%の混合液を作成した。この混合液を、ポリウレタン樹脂固形分が島成分100重量部に対し48重量部含まれるように、含浸した直後に100℃で乾燥し、130℃で5分間熱処理を行った。
【0051】
次に基体内部のポリビニルアルコールを100℃の熱水で除去後、スライス機で半裁、バッフィングをしてシート表面を起毛させた後、分散染料を用い液流染色機を用い染色した。得られたシート状物は、品位、風合いなども従来の製法で得られるものと同等のものだった。染色前生機の破断強度は56.8N/cm、染色後品の破断強度は、47.3N/cmと高かった。
【0052】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、実施例1と同様の方法でエマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cmである、半裁した4枚の中に含まれるエマルジョン型ポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.20g、約0.15g、約0.16g、約0.21gであった。これからシート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在した、皮革様シート状物を得ることができた。
【0053】
実施例4
セピオライトの粒子径を5μm、極細繊維を発現させたシートに12重量%のエマルジョンポリウレタン樹脂液にセピオライトを混合した液を含浸、スチーム処理した後に乾燥した以外、実施例1と同様にして、皮革様シート状物を作成した。
【0054】
得られたシート状物は、品位、風合いなども従来の製法で得られるものと同等のものだった。染色前生機の破断強度は54.3.8N/cm、染色後品の破断強度は、51.6N/cmと高かった。
【0055】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、12重量%のエマルジョンポリウレタン樹脂液にセピオライトを混合した液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cm3 である、サンプル4枚の中に含まれるエマルジョン型ポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.19g、約0.17g、約0.16g、約0.19gであった。これからシート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在した、皮革様シート状物を得ることが出来た。
【0056】
比較例1
セピオライトを使用しない以外は、実施例1と同様の方法で行った。染色前生機の破断強度は56.8N/cm、染色後品の破断強度は、40.4N/cmと低かった。また得られた皮革様シート状物の風合いは非常に柔軟であったが、反発性は非常に低かった。さらに品位は従来の製法で得られるものより、非常に低かった。エマルジョンポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cm3 である、半裁した4枚の中に含まれるポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.25g、約0.1g、約0.0.12g、約0.24gであり、シート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在していないことを確認した。
【0057】
比較例2
エマルジョンポリウレタン樹脂液にセピオライトを0.05g混合した以外、実施例1と同様に皮革様シート状物を作成した。
【0058】
染色前生機の破断強度は56.8N/cm、染色後品の破断強度は、40.4N/cmと低かった。また得られた皮革様シート状物の風合いは低く、反発性は非常に高かった。さらに品位は従来の製法で得られるものよりも非常に低かった。
【0059】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cm3 である、半裁した4枚の中に含まれるポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.25g、約0.12g、約0.11g、約0.24gであり、シート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在していないことを確認した。
【0060】
比較例3
セピオライトを使用しない以外は、実施例2と同様の方法で行った。染色前生機の破断強度は56.8N/cm、染色後品の破断強度は、29.4N/cmと非常に低かった。また得られた皮革様シート状物の風合いは非常に柔軟であったが、反発性は非常に低かった。さらに品位は従来の製法で得られるものより、非常に低かった。
【0061】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cm3 である、半裁した4枚の中に含まれるポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.27g、約0.08g、約0.08g、約0.28gであり、シート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在することを確認した。
【0062】
比較例4
40μmのセピオライトをエマルジョン型ポリウレタン樹脂100重量部中に30重量部添加する以外、実施例1と同様に皮革様シート状物を作成した。
【0063】
しかし、得られた皮革様シート状物の品位は非常にわるく、セピオライトが表面に析出していた。
【0064】
染色加工後の破断強度は20.8kg・f/cmと非常に低かった。
【0065】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cm3 である、半裁した4枚の中に含まれるポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.18g、約0.18g、約0.17g、約0.18gであり、シート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在することを確認した。
【0066】
比較例5
5μmのセピオライトをエマルジョン型ポリウレタン樹脂100重量部中に30重量部添加する以外、実施例1と同様に皮革様シート状物を作成した。
【0067】
しかし、得られた皮革様シート状物の品位は非常にわるく、セピオライトが表面に析出していた。染色加工後の破断強度は19.8kg・f/cmと非常に低かった。
【0068】
エマルジョン型ポリウレタン樹脂がシート内で均一に存在しているかを確認するため、エマルジョンポリウレタン樹脂液を含浸、乾燥したシートから厚み2.1mm、タテ10cm、ヨコ10cm、重さ1.49gのサンプルを切り取り、前記(1)の方法に従い、エマルジョン型ポリウレタン樹脂の分布を確認した。その結果、シートの繊維密度が0.07g/cm3 である、半裁した4枚の中に含まれるポリウレタン樹脂の重量は、厚み方向の順に約0.19g、約0.17g、約0.165g、約0.185gであり、シート内で均一にエマルジョン型ポリウレタン樹脂が存在することを確認した。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた破断強力、耐久性、柔軟性を兼ね備えた皮革様シート状物とその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 1〜60μmの範囲の粒子径を有する下記化学式で示されるセピオライトを含有するポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする、皮革様シート状物。
    Figure 2004052153
  2. 該セピオライトが、3〜50μmの範囲の粒子径を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の皮革様シート状物。
  3. 該セピオライトが、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の皮革様シート状物。
  4. 極細繊維からなるシート状物とエマルジョン型ポリウレタン樹脂からなる皮革様シート状物の製造方法において、1〜60μmの範囲の粒子径を有する下記化学式で示されるセピオライトを該ポリウレタン樹脂に混合してなる樹脂組成物を該シート状物に付与することを特徴とする、皮革様シート状物の製造方法。
    Figure 2004052153
  5. 該付与手段が、塗布および/または含浸である請求項4に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  6. 該樹脂組成物が、該エマルジョン型ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部のセピオライトを含むものであることを特徴とする、請求項4または5に記載の皮革様シート状物の製造方法。
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JP2007162203A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Alcantara Spa 弾性ナノ複合材料マトリックスを含むセーム調極細織布−不織布の製造方法
CN108410344A (zh) * 2018-04-10 2018-08-17 清远邦太新材料有限公司 一种皮革用水性雾绒蜡滑剂及其制备方法

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