JP3441298B2 - 銀面を有する皮革様シート及びその製造方法 - Google Patents

銀面を有する皮革様シート及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透湿性、剥離強力及び折
れシワに優れ、風合がソフトでかつ充実感を有する皮革
様シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、不織布や織編物等の繊維集合体に
ポリウレタンで代表される高分子弾性体をバインダ−と
して含浸した基体層上に、銀面層用樹脂溶液をコーティ
ングし、乾燥した後、型押し加工した皮革様シートが知
られている。また別途離型紙上にコ−ティングした銀面
層用樹脂層を、半乾燥状態のポリウレタン樹脂の接着層
を介して同上の基体層上に接着する離型紙法を用いた皮
革様シートが一般的に知られている。
【0003】しかし、前者の方法では、基体層中に銀面
層用樹脂が浸透し過ぎると同時に、基体層表層部の微細
な気孔を侵して気孔を潰してしまうために折れシボが悪
く、一体感のないものとなる。一方、後者の方法では、
接着層を半乾燥状態としているために基体層への沈み込
みが実質的になく、又は基体層表層部の微細な気孔を潰
すことなく製造できるものの、接着力の不足による剥離
強力の低いものとなる。現実的には剥離強力を維持する
ために、乾燥を最小限にとどめざるを得ず、基体層表層
部の微細な気孔が存在する十分な柔軟性をもったシート
を得ることが不可能であった。すなわち基体層と銀面層
との間で十分な剥離強力を持ち、かつ基体層表層部の微
細な気孔を潰すことなく保持することにより一体感のあ
る皮革様シートは得られなかった。
【0004】更に特公昭60−71777号公報には、
基体層の表層部の少なくとも一方の面の上に、厚さが3
〜500μの湿式凝固多孔質樹脂層を設け、さらにその
上に厚さ0.1〜20μの非多孔質樹脂層を設けた皮革
様シートが記載されているが、この皮革様シートの場合
には、繊維質基材層の表層部に多孔質樹脂層を均一に設
けることにより感性は向上するが、基体層と多孔質樹脂
層との剥離強力は向上していない。
【0005】また特公昭46−91541号公報には、
ポリウレタンの水混和性の有機溶剤溶液を離型紙上に塗
布したあと、水を含浸させた基体と一体化しポリウレタ
ンを凝固させることにより、基体中にポリウレタンが入
り風合が固くなることを防ぐ方法の記載がある。しかし
この公報に記載の方法は、基体が多孔質樹脂を含まない
繊維のみからなるものであり、繊維中にポリウレタンが
入り込ませない工夫が見られるが、得られるシートは、
基体中に多孔質樹脂を含まないために皮革調のものとは
ほど遠くゴムライクなものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、剥離強力
および柔軟性に優れた銀面を有する皮革様シートに関し
て種々提案されているが、これらはいずれも、柔軟性、
ドレープ性、面の高級感を合わせて必要とする高級銀付
き靴、高級銀付き衣料等の用途には不十分なものであっ
た。即ち、従来の皮革様シートは、繊維絡合体表層部の
微細な気孔を壊さないものは剥離強力が低く、逆に被覆
層ポリウレタンを基体層内に十分浸入させ剥離強力を高
めたものは繊維絡合体表層部の微細な気孔が壊れたもの
となっており、折れシワに問題があった。
【0007】本発明は、上記問題点を解決し、優れた柔
軟性及び剥離強力を主とする優れた物性を有する天然皮
革に類似した、極めて柔軟で、一体感のある風合を有
し、折れシワに優れ、剥離強力を主とする物性の優れた
銀面を有する皮革様シート及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表面層の
構成に着目し、鋭意検討を行った結果、基体層と一体化
した膜を付与することにより、上記特徴を合わせ持つ皮
革様シートが得られることを見出だした。本発明は、繊
維絡合体と多孔質ポリウレタンからなる基体層の少なく
とも片面に無孔質ポリウレタン弾性体からなる被覆層が
形成されているシートにおいて、被覆層と接する基体層
の表層部多孔質ポリウレタン弾性体には、その下部の気
孔より微細な気孔を有し、被覆層ポリウレタンの一部が
基体層内に浸入していることを特徴とした皮革様シート
であり、そしてその製造方法として、繊維絡合体と多孔
質ポリウレタンからなる基体層の少なくとも片面に無孔
質ポリウレタン弾性体からなる被覆層が形成されている
シートを製造する方法において、該基体層に該多孔質ポ
リウレタンに対して貧溶剤となる液体を付与した状態
で、被覆層用ポリウレタン溶液を塗布し、その後に該液
体及び被覆層用ポリウレタン溶液の溶媒を除去する方法
を用いるものである。
【0009】以下本発明について詳述する。本発明で使
用する繊維絡合体を構成する繊維としては、ポリエステ
ル、ポリアミドなどの極細繊維あるいは通常の繊維、例
えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリ
ル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールなどの合成
繊維、再生セルローズなどの化学繊維、木綿、麻等の天
然繊維等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以
上の繊維を混同して用いることができる。柔軟性及びド
レープ性を要する用途の場合には、構成繊維として、ポ
リエステル、ポリアミドなどの極細繊維束状繊維単独、
または該極細繊維束状繊維と通常の繊維を混同して用い
ることが好ましい。
【0010】極細繊維束状繊維を用いる場合の製造方法
としては、例えば次の方法で製造される。少なくとも2
種の相溶性のない可紡性ポリマ−を混合溶解し、あるい
は別々に溶解し、口金で規制して紡糸する方法により混
合繊維を作る。この混合繊維は、少なくとも1成分がポ
リエステル、ポリアミドなどを分散成分とした複数の極
細デニ−ル繊維となって、他種の分散媒成分のポリマ−
に分散した形態、あるいは断面方向に分割した形態にな
っている。この繊維から分散媒成分のポリマ−を溶解除
去することにより単繊維太さが0.01〜0.0001
デニ−ルの極細繊維が束状に集合した繊維が得られる。
【0011】これらの繊維を、ニードルパンチや高速流
体流により絡合不織布としたり、或いは立毛編織布、不
織布と編織布の積層などの布帛の状態とする。不織布や
布帛の目付は300〜1500g/m2が好ましく、よ
り好ましくは500〜1000g/m2である。300
g/m2未満では繊維量不足によりゴムライクとなり、
1500g/m2を超えると柔軟性のない皮革様シ−ト
となる。更に、厚みは0.8〜4mmが好ましく、より
好ましくは1〜3mmである。0.8mm未満あるいは
4mmを超える厚みでは銀面層を付与した時のバランス
が悪く、ゴムライクあるいは柔軟性のない皮革様シ−ト
となる。
【0012】繊維絡合体に含浸するポリウレタンは、平
均分子量500〜3000のポリマージオール、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンプロ
ピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペート
グリコール、ポリカプロラクトンジオ−ル、ポリバレロ
ラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどから
選ばれた少なくとも一種類のポリマージオールと有機ジ
イソシアネート、例えば、4、4'-ジフェニルメタンジ
イソシアネート、フェニレンジイソシアネートなどの芳
香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族または脂
環族ジイソシアネートなどの中から選ばれた少なくとも
一種と、鎖伸長剤として活性水素原子を少なくとも二個
有する低分子化合物、例えば、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジオールなどのジオール類、エチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラ
ジン、フェニレンジアミンなどのジアミン類、ヒドラジ
ン、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン類あるい
はヒドラジド類などの中から選ばれた少なくとも一種と
を所望の割合で反応させて得たポリウレタン、もしくは
これらポリウレタンの混合物である。
【0013】これらのポリウレタンのなかで特にポリエ
チレンプロピレンアジペートグリコール、4、4'-ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、及びエチレングリコー
ルから得られたポリウレタンが望ましい。更に、ポリマ
−ジオ−ルのモル比に対する鎖伸長剤のモル比は1:1
〜1:10が好ましく、より好ましくは1:3〜1:8
である。これらのポリウレタンの組成及び混合割合は該
皮革様シートの指向する用途分野に応じて、風合、耐劣
化性、耐黄変性、染色性等の各種物性を満足するものの
中から適宜選ぶことができる。
【0014】このポリウレタンを溶媒で溶解あるいは希
釈して布帛に含浸する。ここで使用する溶媒としては、
ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、
ジフェニルスルホン、N,N'-ジメチルイミダゾリノン
等であり、特にジメチルホルムアミドが好適に用いられ
る。また、溶解あるいは希釈したポリウレタン溶液のポ
リウレタン濃度としては、5〜30重量%が好ましく、
より好ましくは10〜20重量%である。含浸したポリ
ウレタン組成液はポリウレタンの非溶剤中で凝固、脱洗
させ、また必要であれば多成分繊維を極細繊維束状繊維
に変成する処理を行い、乾燥し、基体層シートとする。
【0015】この基体層シートを厚み方向の断面で見る
と、表層部の多孔質ポリウレタンの気孔が、下部に存在
する多孔質ポリウレタンの気孔より小さくなる。表層部
の気孔の大きさとしては直径が5μm〜30μm、その
下部に存在する気孔の大きさとしては50〜200μm
が一般的である。なお本発明で言う気孔はシート厚さ方
向の断面を電子顕微鏡写真で撮ることにより見ることが
でき、気孔の直径とは、その写真に写っている気孔のシ
ート状物の広さ方向の最も広がっている部分の長さを意
味している。なお本発明で言う気孔とはそのまわりを完
全に壁により覆われたもの以外に、一部の壁が欠如した
ものも気孔に含め、そのような気孔の場合には、欠如し
た壁はあるものと仮定して大きさを定める。
【0016】基体層シートは、厚みとして0.5mm以
上で4mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以
上、3mm以下である。0.5mm未満では、被覆層と
のバランスが悪くゴムライクになり、4mmを越えると
柔軟性に欠けたものとなる。
【0017】基体層に、ポリウレタンに対して貧溶剤と
なる液体を付与する方法としては、室内で自然乾燥した
上記基体層シート、又は上記基体層シートを乾燥する前
に、直ちに貧溶剤となる液体に浸し、必要ならばプレス
ロールなどによりディップニップを行い、十分に該貧溶
剤となる液体を含ませた後プレスロールなどにより搾液
する方法が挙げられる。ここで含有させる基体層の含液
率としては、40〜120重量%が好ましく、より好ま
しくは80〜100重量%である。含液率が40重量%
未満の場合には、被覆層ポリウレタンの基体層への浸入
が多く、基体層表層部の微細な気孔を侵すために折れシ
ボの悪い一体感に欠けたものとなる。また含液率が12
0重量%を超える場合には基体層と被覆層ポリウレタン
との接着力が乏しく、銀面層剥離を引き起こす。
【0018】ここで使用される、ポリウレタンに対して
貧溶剤となる液体としては、ポリウレタンに対する溶解
度が極めて小さいものであればよく、例えば、メタノー
ル、エタノール、水、アセトン、トルエン、キシレン、
パークロルエチレンなどが挙げられる。特に水はコスト
や取扱い上で好ましい。
【0019】基体層シートを被覆するポリウレタン弾性
体は、表面平滑性、柔軟性、良好な折れシボ感を得るた
めに不可欠のものである。具体的には、平均分子量50
0〜2500のポリマージオール、例えば、前記したポ
リエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエス
テル・エーテルジオール、ポリカプロラクトンジオー
ル、ポリカーボネートジオールなどの中から選ばれた少
なくとも1種類のポリマージオールと、脂環族ジイソシ
アネート、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート、ト
リフェニルメタン4,4´,4”−トリイソシアネート
などの有機トリイソシアネート等からなる群から選ばれ
た少なくとも1種類の有機ポリイソシアネートと、活性
水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物を鎖伸長
剤として反応させて得た熱可塑性ポリウレタンである。
柔軟性及び耐久性の点でポリマージオールがポリエーテ
ルジオールである熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
【0020】この熱可塑性ポリウレタンの溶媒として
は、前記したジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル
ピロリドン、ジフェニルスルホン、N,N'-ジメチルイ
ミダゾリノン等が挙げられ、特にジメチルホルムアミド
が好適に用いられる。更に乾燥速度の促進や基体層表層
部のポリウレタンへの浸透制御のために、有機溶媒を併
用するのが好ましく、そのような溶媒としては、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
ピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、テトラハイドロフラン、トルエン、キシレン等
が挙げられる。特にイソプロピルアルコール、メチルエ
チルケトンが好適に用いられ、その好適な量としては、
熱可塑性ポリウレタン弾性体塗布液全体に対して5〜6
0重量%で、かつ安定なポリマー液を保つことが可能な
量である。またこのポリウレタン弾性体塗布液のポリウ
レタン濃度は、全体の風合、剥離強力等を考慮し決定す
る。好適には10〜30重量%である。
【0021】被覆するポリウレタン弾性体の形成する被
覆層は本発明の最も重要な部分である。即ち、柔軟性、
ドレープ性、剥離強力を主とする物性はこの被覆層の構
成によって決まるところが大である。従来、被覆するポ
リウレタン弾性体を塗布する方法としては、乾燥した基
体層シートに半乾燥状態の接着層を介して無孔質層フィ
ルムを接着する方法があるが、この方法では十分な剥離
強力が得られない。また乾燥した基体層シート上にポリ
ウレタン樹脂溶液を塗布する方法は、塗布したポリウレ
タン溶液により基体層表面の微細な気孔が潰されるた
め、基体層と被覆層との一体感に欠けるものとなる。
【0022】ポリウレタン弾性体溶液を塗布する方法と
しては、該ポリウレタンに対する貧溶剤を40〜120
重量%含有した基体層に、ポリウレタン弾性体溶液塗布
用のコンマコーター、ナイフコーター等の塗布機と、該
基体層表面とのクリアランスを調整して塗布する方法が
用いられ、この方法により塗布したポリウレタン弾性体
の一部が基体層内に浸入し、かつ被覆層と接する基体層
の表層部多孔質ポリウレタン弾性体には、微細孔が破壊
されることなくかなりの数が残り、その下部の気孔より
微細な気孔を有する構造の皮革様シートが得られる。
【0023】得られた皮革様シートを厚み方向の断面を
電子顕微鏡写真で見ると、基体層表層部と被覆層とが接
する部分において、皮革様シート表面と平行に引いた直
線の長さに対して、被覆層と接している微細孔の直径の
合計長さの割合(微細孔残存率)が30%〜70%とな
った。本発明において、被覆層ポリウレタンの一部が基
体層内に浸入しているか否かは、基体層表層部と被覆層
とが接する部分において、該表層部に存在していた微細
孔が被覆層用のポリウレタン溶液の浸入により破壊され
て、非多孔質化している部分が存在している状態、すな
わち皮革様シートの断面を電子顕微鏡で観察すると、図
1や図2に示すように基体層表層部に微細孔が存在して
いるゾーンと微細孔が破壊されて実質的に微細孔が存在
していないゾーンが存在している状態を意味している。
【0024】前記特徴を付与するにあたり、該クリアラ
ンスは−100〜+300μmが好ましく、より好まし
くは−50〜+100μmであり、−100μmより狭
い場合には基体層表面下に該ポリウレタン弾性体が浸透
し過ぎ風合の硬化をもたらす。300μmより広い場合
には表面層の厚さが厚くなり、折れシワと風合の一体感
に欠けるものとなる。以上のクリアランスの管理を行う
ことにより、剥離強力に優れ、風合がソフト、かつ充実
感を持つ皮革様シートが得られる。
【0025】塗布したポリウレタン溶液からの溶媒除去
及び基体層に付与した貧溶剤の除去方法としては、乾燥
機にて100〜200℃の温度で行うのが好ましく、よ
り好ましくは120〜160℃の温度条件である。10
0℃未満の場合では溶媒を除去する時間が長くかかるた
めに効率が悪く、200℃を超える温度の場合では短時
間で溶媒除去は完了するが、高温のために基体層の劣化
を引き起こす恐れがあり管理が困難である。
【0026】更に一体感のある風合を付与する為には、
無孔質層の厚さを適切な範囲に管理することが好まし
い。即ち、その無孔質層の厚さは2〜120μmが好ま
しく、より好ましくは10〜80μmである。2μm未
満の場合には、表面の平滑性が十分に得られず、120
μmを超えると折れシワ、風合の一体感に欠けるものと
なる。ここで形成する無孔質層は何層となってもかまわ
ない。しかし、合計の厚みは上記範囲とするのが好まし
い。
【0027】無孔質層には、必要により、染料、顔料、
各種安定剤、添加剤などが添加されていてもよい。顔
料、例えば、酸化チタンが添加されている場合には樹脂
液の基体層への沈み込みを適度に抑えることができるた
めより好ましい。顔料の添加量としてはポリウレタン固
形分に対して10〜200重量%が好適である。更に必
要により得られた皮革様シートを、皮革様凹凸を付与す
るために型押し、着色処理、柔軟処理等を行う。
【0028】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の部及び%は、断りのない限り重量に関す
るものである。また、剥離強力の測定はクレープゴム板
(タテ220mm×ヨコ25mm)に試験片のコート面
を接着剤で貼合、180度に折り曲げて引っ張って剥離
し、平均値を読み取る。
【0029】実施例1 6−ナイロン50部を分散成分、ポリエチレン50部を
分散媒成分とする300島の4.5デニール多成分繊維
80部、2デニールの6−ナイロン繊維20部からなる
ウェブをニードルパンチにより絡合し、目付600g/
2、厚み2mmの絡合不織布を得た。この絡合不織布
に、ポリエチレンアジペートグルコール/4、4'-ジフ
ェニルメタンジイソシアネート/エチレングリコールを
モル比1:5:4で反応させて得たポリウレタンとポリ
エチレングリコール/4、4'-ジフェニルメタンジイソ
シアネート/エチレングリコールをモル比1:5:4で
反応させて得たポリウレタンを1:4で混合し、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)に溶解及び希釈して16%ポ
リウレタン溶液を得た。
【0030】このポリウレタン溶液を上記絡合不織布に
含浸し、30%DMF水溶液中で凝固させた後、多成分
繊維中のポリエチレンを溶解除去して極細繊維が0.0
1デニ−ル、レギュラ−繊維が2デニ−ルである基体層
(基体層シートA)を得た。この基体層シートAは、極
細繊維束状繊維が66.7%の不織布にポリウレタンが
多孔質状態で含有された、目付550g/m2、厚み
1.3mmのシートであった。この基体層シートAを水
に浸し、マングルによって基体層シートAの水分含有率
が90%になるよう搾液した。塗布液としてポリエーテ
ル系ポリウレタン30%溶液(ライトケミカル工業 )
100部、白顔料(酸化チタン)55%含有溶液(溶媒
はDMF:メチルエチルケトン=1:1の混合液)30
部、DMF30部、メチルエチルケトン30部の割合で
混入し、十分攪拌した液(塗布液B)を基体層シートA
とコンマコーターとのクリアランスを50μmに調節し
たコンマコーターにて溶液の状態で50g/m2塗布
し、130℃で4分乾燥した。次に表面に白のグラビア
インクを塗布し、毛シボのエンボス処理、柔軟処理を行
って皮革様シートに仕上げた。
【0031】得れらたシートは被覆層と接する基体層の
表層部多孔質ポリウレタン弾性体には、その下部の気孔
(平均直径約100μm)より微細な気孔(平均直径約
10μm)を有し、微細孔残存率が50%である優れ
た、柔軟性及び剥離強力を主とする優れた物性を有す
る、天然皮革に類似した、優れた銀面を有する皮革様シ
ートとなった。この皮革様シートの断面を電子顕微鏡に
より観察したところ、図1に示すように、微細孔が破壊
されたゾーンが所々存在し、このことより、被覆層がそ
の下の多孔質層に沈みこんでいることが確認できた。
【0032】実施例2 実施例1と同じ基体層シートAの水分含有率を70%に
し、塗布液Bを用いて、実施例1と同じ方法で処理し
た。得れらたシートは、被覆層と接する基体層の表層部
多孔質ポリウレタン弾性体には、その下部の気孔(平均
直径約100μm)より微細な気孔(平均直径約10μ
m)を有し、微細孔残存率が55%である優れた柔軟
性、剥離強力を主とする優れた物性を有する天然皮革に
類似した、優れた銀面を有する皮革様シートであった。
この皮革様シートの断面を電子顕微鏡により観察したと
ころ、図2に示すように、微細孔が破壊されたゾーンが
所々存在し、このことより、被覆層がその下の多孔質層
に沈みこんでいることが確認できた。
【0033】比較例1 基体層シートAを乾燥状態のままで、塗布液Bを用い、
実施例1と同じ方法で処理した。得れらたシートは基体
層の表層部の微細孔が侵され、微細孔残存率が5%であ
る構造になり、折れシボの悪い、柔軟性に欠けた皮革様
シートとなった。この皮革様シートの断面を電子顕微鏡
により観察したところ、図3に示すように、ほとんどの
微細孔が破壊されており、このことより被覆層がその下
の多孔質層内に大きく沈みこんでいることが確認でき
た。 比較例2 支持体となる離型紙上に塗布液Bを、溶液の状態で12
0g/m2コーティングしたシートに、接着剤としてポ
リエーテル系ポリウレタン60%溶液[レザミンUD−
8310(大日精化製)]100部、架橋剤12部[レ
ザミンUD架橋剤(大日精化製)]、促進剤6部[レザ
ミンUD−103(大日精化製)]、メチルエチルケト
ン10部、トルエン10部を混合した溶液を溶液にて1
50g/m2塗布し、60℃、90秒間乾燥機に入れ、
半乾燥状態とした後、基体層シートAに接着した。接着
はプレスロールにて2kg/cm2で行い、50℃で2
4時間熟成した後、離型紙を取り除いた。得れらたシー
トは微細孔残存率が90%となり、基体層に接着剤がほ
とんど浸入しておらず、基体層と被覆層との接着力が弱
く、剥離強力の弱い皮革様シートとなった。この皮革様
シートの断面を電子顕微鏡により観察したところ、図4
に示すように、微細孔が殆ど破壊されておらず、このこ
とより、被覆層がその下の多孔質層に殆ど沈みこんでい
ないことが確認できた。以上の実施例及び比較例により
得られた皮革様シートの折れシボ及び剥離強度のあたい
を表に示す。
【0034】
【表1】 折れシボ ◎は内側に折り曲げた箇所のシワが緻密でし
なやかに折れるもの。 ○は内側に折り曲げた箇所のシワが若干粗く、やや鋭角
に折れるもの。 ×は内側に折り曲げた箇所のシワが粗く、鋭角に折れる
もの。
【0035】
【発明の効果】本発明で得られた皮革様シートは、極め
て充実感のある風合を有し、優れた剥離強力を持った天
然皮革に類似した、優れた銀面を有する皮革様シートで
あり、高級銀付き靴、高級銀付き衣料用途に好適に使用
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた皮革様シートの断面の電子
顕微鏡写真を模式的に示したものである。
【図2】実施例2で得られた皮革様シートの断面の電子
顕微鏡写真を模式的に示したものである。
【図3】比較例1で得られた皮革様シートの断面の電子
顕微鏡写真を模式的に示したものである。
【図4】比較例2で得られた皮革様シートの断面の電子
顕微鏡写真を模式的に示したものである。
【符号の説明】
A:無孔質ポリウレタン弾性体からなる被覆層 B:基体層の表層部に存在する微細な気孔 C:基体層の内部に存在する比較的巨大な気孔 D:基体層に存在する繊維 F:接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥浦屋 兼治 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社 クラレ内 (56)参考文献 特開 平8−41786(JP,A) 特開 平6−264371(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/14 B32B 5/18 B32B 27/40 C08J 9/28 CFF

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維絡合体と多孔質ポリウレタンからな
    る基体層の少なくとも片面に無孔質ポリウレタン弾性体
    からなる被覆層が形成されているシートにおいて、該被
    覆層と接する基体層の表層部の多孔質ポリウレタン弾性
    体には、その下部の気孔より微細な気孔が存在してお
    り、被覆層ポリウレタンの一部が基体層内に浸入してい
    ることを特徴とする皮革様シート。
  2. 【請求項2】 繊維絡合体と多孔質ポリウレタンからな
    る基体層の少なくとも片面に無孔質ポリウレタン弾性体
    からなる被覆層が形成されているシートを製造する方法
    において、該基体層に該多孔質ポリウレタンに対して貧
    溶剤となる液体を付与した状態で、被覆層用ポリウレタ
    ン溶液を塗布し、その後に該液体及び被覆層用ポリウレ
    タン溶液の溶媒を除去することを特徴とする皮革様シー
    トの製造方法。
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