JP2002088661A - 抗菌性を有する皮革様シート - Google Patents

抗菌性を有する皮革様シート

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JP2002088661A
JP2002088661A JP2000278036A JP2000278036A JP2002088661A JP 2002088661 A JP2002088661 A JP 2002088661A JP 2000278036 A JP2000278036 A JP 2000278036A JP 2000278036 A JP2000278036 A JP 2000278036A JP 2002088661 A JP2002088661 A JP 2002088661A
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resin
leather
antibacterial
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sheet
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JP2000278036A
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Kazuto Akamata
一人 赤股
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗菌性、防黴性および防臭性にすぐれ、抗菌性
物質の脱落が少なく、さらに折れしわと風合いに優れた
皮革様シートを提供する。 【解決手段】弾性重合体を含浸した繊維集合体からなる
基体層とその表面に形成された被覆層からなる皮革様シ
ートにおいて、該基体層内には抗菌剤含有樹脂が分散さ
れており、さらに該被覆層の表面には、抗菌剤含有樹脂
がスポット状に付与されており、かつスポットと隣り合
うスポットとの距離の最短距離が10〜100ミクロン
である皮革様シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性、防黴性および
防臭性にすぐれ、抗菌性物質の脱落が少なく、 さらに
折れしわと風合いに優れた皮革様シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から皮革様シートの抗菌性を高める
方法としてさまざまな技術が提案されている。その代表
的な技術として、例えば特願平2−225402号公報
には、殺菌作用を有する金属イオンを保持したゼオライ
ト系固体粒子を含有する樹脂を繊維基体表面にコーティ
ング又はラミネートすることにより抗菌剤を有する皮革
様シートを製造する技術が記載されている。しかし、こ
の方法により得られる抗菌性皮革様シートは、表面に存
在した抗菌樹脂層が脱落しやすく、また皮革様シートに
とって必須の天然皮革様の折れしわや風合いを損なうこ
とから満足できるものではない。この技術において、抗
菌性物質の脱落や折れシワや風合いの悪化を防ぐために
抗菌剤の添加剤を減らすと抗菌性能が低下することとな
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の抗菌
性皮革様シートは抗菌性と折れしわと風合いを共に満足
するものではなかった。本発明者等は、上記従来の欠点
を解消するために鋭意研究した結果、耐摩耗性、耐傷
性、耐擦過性および折れしわに優れ、さらに風合いの良
好な皮革様シートを見出し、本発明に達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、弾性
重合体が含有された繊維集合体からなる基体層とその表
面に形成された被覆層からなる皮革様シートにおいて、
該基体層内に抗菌剤含有樹脂が分散されており、さらに
該被覆層の表面に、抗菌剤含有樹脂がスポット状に付与
されており、かつスポットと隣り合うスポットとの最短
距離が10〜100ミクロンであることを特徴とする皮
革様シートである。
【0005】そして、好ましくは、該基体層内に分散さ
れ、かつ該被覆層の表面に付与されている抗菌剤が銀、
銅、亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
またはその化合物である上記皮革様シートである。また
好ましくは、該被覆層を構成している樹脂がシリコン変
性ポリウレタン樹脂を主体したものであり、かつ100
%モジュラスが10〜150kg/cm2である上記の
皮革様シートである。さらに好ましくは、該基体層内に
分散されている抗菌剤含有樹脂を構成する樹脂がポリウ
レタンエマルジョン或いはアクリルエマルジョンからな
る樹脂である上記の皮革様シートである。
【0006】以下、次に本発明について詳述する。まず
本発明の基体層である繊維集合体を構成する繊維として
は、通常の繊維、例えば、ポリエステル、ポリアミド、
ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルア
ルコールなどの合成樹脂からなる繊維、再生セルローズ
などの化学繊維、コットン、麻、ウール等の天然繊維等
が挙げられる。合成繊維の場合には、単独ポリマーから
なる繊維はもちろんのこと、2種以上のポリマーを混合
紡糸あるいは複合紡糸した繊維でもよい。混合紡糸した
繊維や複合紡糸した繊維を用いた場合には、該繊維を構
成している複数のポリマーのうちから、少なくともひと
つのポリマーを皮革様シートを製造する任意の段階で抽
出除去または分解除去する方法か、あるいは繊維を構成
している複数のポリマーの界面を剥離させる方法を採用
して、繊維を極細繊維の集束体あるいは内部に多数の中
空を有する多孔繊維にするのが好ましい。
【0007】これらの繊維をウエッブとし、ニードルパ
ンチや高速流体流により絡合処理して不織布とする。ま
た編織物とすることもできる。さらに不織布と編織物の
積層物とすることもできる。これら不織布や織編物やこ
れらの積層布帛(以下これらをまとめて繊維集合体と称
す)には、弾性重合体の溶液または分散液が含浸される
が、弾性重合体液を含浸処理するに先立って、必要に応
じて繊維集合体を熱プレスなどの方法により表面の平滑
化処理をする。またその後に行われる弾性重合体液の含
浸・凝固や繊維構成ポリマーの抽出の際に生じ易い繊維
集合体の形態破壊を防ぐために、繊維集合体表面を加熱
プレスして、構成繊維間を一部融着させる方法や、ある
いはポリビニルアルコールで代表される水溶性樹脂を繊
維集合体に含浸・乾燥させて繊維間を糊付固定する方法
を用いても良い。繊維集合体の厚さとしては1.0〜
3.0mmが好ましい。
【0008】繊維集合体に含浸される弾性重合体として
は、ポリウレタン、アクリル系重合体、アクリロニトリ
ル・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合
体などの弾性重合体の群から選ばれた少なくとも1種類
の弾性重合体を挙げることができる。風合いや耐久性表
面層との接着強度等の点から特にポリウレタンが好まし
い。
【0009】ポリウレタンとしては、数平均分子量50
0〜2500のポリマージオール、例えばポリエステル
ジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル・エー
テルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカー
ボネートジオールなどの中から選ばれた少なくとも1種
類のジオールと、有機ポリイソシアネート、例えば、脂
肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、芳
香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、脂
環族ジイソシアネート、環状基を有する脂肪族ジイソシ
アネートなどの群から選ばれた少なくとも1種類の有機
ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネート化合
物と、活性水素原子を少なくとも2個有する分子量30
0以下の低分子化合物、例えば低分子ジオール、低分子
ジアミン、ヒドラジンやジカルボン酸ジヒドラジド等の
複数の活性水素原子含有低分子化合物を鎖伸長剤として
反応させて得たポリウレタンエラストマーである。
【0010】これらのポリウレタンの原料組成は、該皮
革様シートの指向する用途分野に応じて、風合い、耐劣
化性、耐黄変性、染色性等の各種物性を満足するものの
中から適宜選ぶことができる。ポリウレタンで代表され
る弾性重合体には必要により他の重合体や各種安定剤、
着色剤、凝固調節剤等が添加される。弾性重合体は、溶
液又は分散液の状態で繊維集合体に含浸され、凝固され
る。凝固方法としては、風合いの点で湿式凝固法が好ま
しい。湿式凝固方法を用いることにより、弾性樹脂が多
孔質状態となり、天然皮革調の風合いが得られる。繊維
集合体に含浸させる樹脂の量としては、樹脂固形分換算
で繊維集合体(繊維構成ポリマーの少なくとも一成分ポ
リマーを除去して極細繊維束または多孔繊維とする場合
には、除去後の繊維集合体)100重量部に対して10
〜60重量部である。
【0011】繊維集合体が2種以上のポリマーからなる
混合紡糸繊維あるいは複合紡糸繊維から構成されている
場合には、繊維集合体に弾性重合体を含浸する前又は後
で、繊維を構成しているポリマーの内の少なくとも1成
分を溶解または分解除去し、少なくとも1成分を残す方
法が用いるのが好ましい。例えば、混合紡糸繊維あるい
は複合紡糸繊維が海島構造の断面を有する繊維である場
合、海成分ポリマーを溶解または分解除去すると、島成
分ポリマーが残り、繊維は極細繊維束となり、一方、島
成分ポリマーを溶解除去すると、海成分が残り繊維中に
中空部を多数有する多孔繊維となる。また繊維が複数の
ポリマーを長さ方向に貼り合わせたような複合紡糸繊維
である場合には、該繊維を物理的処理や化学的処理によ
りポリマー間を剥離して繊維を極細繊維束とする方法を
用いてもよい。
【0012】繊維集合体に弾性重合体を含浸した後、そ
の表面に被覆層を形成する。本発明において、被覆層の
少なくとも表面側(接着面とは反対側の面)が、ポリイソ
シアネート系硬化剤により架橋されたシリコン変性ポリ
ウレタン樹脂よりなる場合が表面強度の点で好ましい。
被覆層の表面層を構成するシリコン変性ポリウレタン樹
脂の種類としては、特に限定されず、ポリエステル系、
ポリエーテル系、ポリカーボネート系などがあるが、耐
久性や物性等を考慮するとポリエーテル系またはポリカ
ーボネート系が好ましい。シリコン変性ポリウレタン樹
脂としては、ジメチルシロキサン単位をポリウレタンの
主鎖や側鎖に導入することにより変性したポリウレタン
である。シリコン変性の程度としては、ポリウレタン中
に5〜50重量%のジメチルシロキサン単位が存在して
いるのが好ましい。
【0013】特にシリコン変性ポリウレタン樹脂とし
て、その100%モジュラスが10〜150kg/cm
2である樹脂が好ましい。100%モジュラスが10k
g/cm2未満の場合には、タック性が非常にあり、表
面強度が弱くなる。また100%モジュラスが150k
g/cm2を越える場合には、表面層が硬くなり、耐屈
曲性が悪くなる。好ましくは20〜100kg/cm2
である。被覆層を形成させる樹脂は溶液またはエマルジ
ョンの形態で用いられる。被覆層を成形する方法として
は、基体層上に直接塗布する方法であっても、あるい
は、予め離型紙上に被覆層用の樹脂溶液を塗布して、凝
固させた後、接着剤用の樹脂液をその上に塗布し、そし
て基体層に重ね合わせて一体化した後、離型紙を剥離す
る方法を用いても良い。
【0014】この方法において接着剤として用いられる
樹脂としては、強固な接着力が得られる点で2液硬化型
ポリウレタンが好ましい。被覆層の造面凝固方法として
は、乾式造面が用いられる。もちろん、被覆層を形成さ
せる樹脂には必要に応じて硬化剤の反応を阻害しない範
囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、界面活性
剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の各種添加剤やコラ
ーゲン、プロテインの粉末等を添加することもできる。
なお、100%モジュラスは、樹脂液から製造した乾式
フィルムの応力と伸び曲線から100%伸度時の強度に
より測定される。被覆層の厚みとしては、30〜150
ミクロンの範囲である。
【0015】該被覆層表面には抗菌性を付与するために
抗菌剤がスポット的に付与される。さらに基体層にも抗
菌剤が付与される。このように本発明においては、基体
層と被覆層の両方に抗菌剤が存在していることが必須で
あり、いずれか一方にしか存在していない場合には抗菌
性の効果が劣り、またいずれか一方にのみ多量の抗菌剤
が存在しており、他の層には実質的に存在していない場
合にも抗菌効果はあるが、耐屈曲性が悪くなり、本発明
の目的は達成されない。
【0016】抗菌剤としては、好ましくは抗菌効果の持
続性の点で抗菌性金属成分を含むものであり、具体的に
は抗菌性金属そのもの、あるいはそれらの金属の化合物
が挙げられる。そして、これらの抗菌性金属成分が担体
となる抗菌性金属成分以外の無機酸化物に担持されてい
るものが抗菌効果の耐久性の点で好ましい。抗菌性金属
成分しては、通常知られている抗菌性金属成分を用いる
ことが出来、例えば、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、ビスマ
ス、カドミウム、クロム、水銀などの金属又はその化合
物がある。特に、銀、銅、亜鉛から選択される1種以上
の抗菌性金属成分は抗菌作用、変色および人体に対する
安全性などの観点から好ましい。本発明において好適な
抗菌剤である担体に担持させた抗菌性金属成分において
抗菌性金属成分の量は純金属分として、1〜30重量%
の範囲内が望ましい。抗菌性金属成分が1重量%より少
ない場合は、抗菌作用が十分に発現されない。また、抗
菌性金属成分が30重量%を越える場合には抗菌作用が
発現されるが、変色が激しくなり、品質的に問題とな
る。好ましい抗菌金属成分の量は、純金属換算で5〜1
5重量%の範囲である。
【0017】一方、本発明に用いられる抗菌性金属成分
以外の担体用の無機化合物としては、例えば、単一酸化
物としてはSiO2、TiO2、ZrO2、Fe23、S
2 5などがあり、また複合酸化物としては、例えば、
SiO2・Al23,SiO2・TiO2、SiO2・Al
23・MgO、SiO2・Al23・TiO2などがあ
る。その中でも分散性および安全性の点でSiO2・A
23・MgOが好ましい。特に本発明に用いられる抗
菌剤としては抗菌作用、安全性、分散性、変色性等から
考慮して、酸化銀と酸化亜鉛のいずれか又は両者を酸化
ケイ素・酸化アルミ・酸化マグネシウムに担持させたも
のが最良である。担体に担持させた該抗菌性金属成分の
平均粒子径は200ミクロン以下であることが望まし
い。平均粒子径が200ミクロンより大きくなるとポリ
ウレタン樹脂との分散性が悪くなり、また風合いが悪く
脱落し易くなる。より好ましくは2〜50ミクロン、さ
らに好ましくは5〜30ミクロンの範囲である。
【0018】このような抗菌剤は樹脂溶液または樹脂エ
マルジョン液に添加される。そしてこの樹脂エマルジョ
ン液を基体層に付与する。樹脂エマルジョンとしては、
ポリウレタン系エマルジョンおよびアクリルエマルジョ
ンが風合い、折れしわの点で好適であり、なかでもポリ
ウレタン系エマルジョンが特に良好である。ポリウレタ
ンエマルジョンとしては、ポリエステル系、ポリエーテ
ル系、ポリカーボネート系等使用されるが耐久性、コス
トの点でポリエーテル系が最適である。また、ポリウレ
タンエマルジョンの使用は、固形分換算で抗菌剤の固形
分に対して50〜300重量%の範囲が好ましい。50
重量%未満では抗菌剤の効果が少なく、脱落しやすくな
る。ポリウレタンのエマルジョンの量が300重量%を
越えると風合いが硬くなり、折れしわが悪くなる。該抗
菌剤の基体層への付与方法としてはディッピング方法が
最適である。基体層に付与する抗菌剤の量としては、抗
菌剤純分換算で0.5〜5g/m2が好ましい。
【0019】一方、被覆層表面には抗菌剤含有樹脂は、
スポット状に塗布される。本発明において、抗菌剤含有
樹脂はスポット状に存在している必要があり、スポット
状で存在することなく、例えば、連続層として存在して
いる場合や、一方向に連続している層として存在してい
る場合には下層(被覆層)との接着性が悪く、また耐屈
曲性が劣る。本発明において個々のスポットの大きさと
しては1×10-4〜1×10-2mm2が好ましい。該抗
菌剤の塗布方法としてはスプレー法、グラビア印刷法、
捺染、転写法等の公知の方法のいずれかで塗布すれば良
いが、スポット状に容易に塗布する方法としてはグラビ
ア印刷法が好ましい。本発明の特徴である皮革様シート
の抗菌性と触感性を両立するためにはスポットとそれと
隣り合うスポットの最短距離が10〜100ミクロンを
維持する必要がある。
【0020】最短距離が10ミクロン未満の場合には、
下層との接着性が悪くなる。一方、100ミクロンを越
える場合には接着性はよいが抗菌性の効果が劣る。抗菌
剤の好適な塗布量としては、抗菌剤換算で0.2〜5g
/m2の範囲である。塗布量が0.2g/m2未満の場合
には抗菌性に効果が少なく、また、5g/m2を越える
場合には風合いが悪くなり、耐屈曲が劣る。
【0021】被覆層にスポット状に付与される抗菌剤の
固定に用いられる樹脂としては、通常使用されるポリウ
レタン樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびそのシリコン
変性樹脂等が挙げられ、特に耐久性の点でポリカーボネ
ート系樹脂が好ましい。抗菌剤含有樹脂の塗布量として
は、樹脂固形分換算で2〜50g/m2が特に好まし
い。塗布量が2g/m2未満の場合には抗菌性の効果が
少なく、一方、50g/m2を越える場合には風合いが
悪くなり、屈曲性が劣り、折れしわが粗くなる。より好
ましくは5〜20g/m2の範囲である。
【0022】本発明において、前記した被覆層やその表
面にスポット状で存在させる抗菌剤の樹脂層には、着色
剤が添加されていても良く、添加する着色剤としては顔
料または染料が使用される。顔料としては、カーボンブ
ラック、酸化チタン等の無機顔料、フエロシアニン系、
アゾ系、アントラキノン系等の有機顔料が使用される。
また、染料としては、含金属錯塩染料、酸性染料、硫化
染料、分散染料等が使用されるが、耐光性、堅牢度等の
点で含金属錯塩染料が望ましい。その添加量としては、
樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。
【0023】また、必要に応じてエンボス処理、揉み加
工あるいはリラックス処理を行うことも可能である。本
発明の皮革様シートにおいて、基体層と被覆層の間に、
多孔質弾性樹脂層等の層を存在させてもよい。さらに基
体層の裏面側に、補強用の布帛などが積層されていても
よい。
【0024】本発明で得られる皮革様シートは、耐摩耗
性、耐傷性、耐擦過性および折れしわに優れ、さらに風
合いの良好なものである。これらの皮革様シートは、ボ
ール、鞄、袋物、スポーツシューズ、一般靴等の用途に
非常に適している。
【0025】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%はことわりのない限り重量に関
するものである。
【0026】実施例1 6−ナイロン60部(島成分)と高流動性低密度ポリエ
チレン(海成分)からなる海島型複合繊維を溶融紡糸に
より得て、これを70℃の温水中で2.5倍に延伸し、
繊維油剤を付与し、機械捲縮をかけて乾燥後、51mm
にカットして4デシテックスのステープル繊維とした。
このステーブル繊維をクロスラップ法で目付500g/
2のウェッブに形成し、ついで両面から交互に合わせ
て約500パンチ/cm2のニードルパンチングを行
い、さらに120℃加熱し、カレンダーロールでプレス
することで表面の平滑な絡合不織布をつくった。この絡
合不織布の目付は340g/m2、見かけ比重は0.3
であった。この絡合不織布に、ポリテトラメチレンエー
テル系ポリウレタンを主体とする濃度13%のポリウレ
タンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸し、
DMF/水=15/85の混合液の中に浸してポリウレ
タンを多孔質状に湿式凝固した後、熱トルエン中で複合
繊維中の海成分を溶出除去して極細繊維(平均繊維太さ
0.001デシテックス)を発現させ、基体層を得た。
得られた基体層は厚さが1.0mmで、ポリウレタンの
量は120g/m2であった。次に、大日本インキ製ボ
ンディック1320NS(ポリエーテル系ポリウレタン
エマルジョン固形分40%)1部、抗菌剤アトミボール
3S(触媒化成製固形分10%、抗菌金属:Ag2O・
TiO2)5部、水94部を含浸処理し、含液率50%
とし、その後、120℃で2分間処理した(抗菌剤付着
量:1.0g/m2)。
【0027】一方、しぼ付き離型紙(リンテックTP
Rー8)の上に、表皮層としてシリコン変性ポリエーテ
ル系ポリウレタン(大日本インキ製クリスボンNY21
4、100%モジュラス50kg/m2、固形分30
%、シリコン変性量2%)1000部、トリメチロール
プロパンポリイソシアネート硬化剤5部(大日精化製N
E架橋剤固形分60%)、レザミンDUT4093白
(大日精化製固形分50%)30部、DMF30部、メ
チルエチルケトン30部のポリウレタン樹脂溶液をドラ
イベースで50ミクロンになる様に塗布し、100℃で
5分間加熱し、表皮層を得た。その上に1液型ポリエー
テル系ポリウレタン(大日精化製レザミンME8133
−2固形分30%)100部、DMF20部のポリウレ
タン樹脂溶液をウエットで100g/m2になる様に塗
布し、前記の繊維質シート基体層とを貼り合わせ、10
0℃で2分間乾燥し、その後、40℃、1日間放置した
後、離型紙を剥離し皮革様シートを得た。その表面にレ
ザミンTC―7(大日精化製ポリカーボネート系ポリウ
レタン、樹脂濃度:15%)100部へ銀系抗菌剤AI
S−NAZ320(触媒化成製固形分100%、担体の
平均粒径:10ミクロン、担体と銀との重量比:90/
10)1部を140メツシュの格子状グラビアロール
(140線/1インチ、セル深さ50μ)を用いて、固
形分で2g/m2の量を塗布した。スポット間の距離は
20ミクロンで、スポットの大きさは2×10-3mm2
であった。さらに柔軟性を付与するために揉み処理を行
った。
【0028】得られた皮革様シートはソフトな風合いを
有し、抗菌性試験(統一試験法)測定結果(黄色ぶどう
球菌)増減値差3.0で合格(2.2以上)。得られた
皮革様シートは且つ折れしわが細かく、ソフトな風合い
のものであった。これは厨房靴原反としては最適であっ
た。
【0029】実施例2 黒系顔料を練り込んだ6−ナイロン50部を分散成分、
ポリエチレン50部を分散媒成分とする多成分繊維の絡
合不織布を実施例1と同様の方法により作製した。目付
450g/m2、見かけ比重0.26であった。黒系着色
剤を含むポリエチレンアジペート/ポリエチレングリコ
ール共重合系ポリウレタンの18%ジメチルホルムアミ
ド(DMF)溶液を含浸し、その表面に同種の溶液を8
0g/m2ナイフコートし、25%DMF水溶液中で湿式
凝固した後、多成分繊維中のポリエチレンを溶解除去し
て、0.002デシテックスの極細繊維からなる基体層
を得た。得られた基体層は目付500g/m2で厚さが
1.3mmであった。また樹脂含有量は120g/m2であ
った。
【0030】その表皮層にクリスボンNY324(シリ
コン変性ポリカーボネート系インク、大日本インキ製固
形分25%、100%モジュラス:80kg/c
2))をグラビア150メツシュ4段処理し、樹脂液
を60g/m2塗布した。その上に、毛穴シボのエンボ
スロールを用いて温度150℃、プレス圧2kg/cm
2、速度2m/minの条件でエンボス処理した。その
上に、上記インク(クリスボンNY324)100部へ
抗菌剤AIS−NAZ320(触媒化成製、固形分10
0%、平均粒径:10ミクロン、担体と銀との重量比は
90:10)5部の樹脂液(樹脂固形分と抗菌剤純分と
の量比は10:3)を用いて雲柄プリントロールでグラ
ビア処理をした。得られたスポットの大きさは5×10
-3mm2であり、スポット間の距離は50ミクロンで、
塗布量は固形分で3g/mm2であった。その後、ウイ
ンス染色機を使用して、染色条件として、染料ラニール
ブラック2BL(住友化学工業製)3g/L、浴比:
1:20,温度90℃、処理時間1時間で処理し、12
0℃、5分間乾燥した。さらに、大日本インキ製RYU
DYE−W 5KS(アクリル系エマルジョン固形分4
0%)3部、抗菌剤アトミボール3S(触媒化成製、固
形分10%、抗菌金属:Ag2O・TiO2)10部、水
87部の液を含浸処理し、含液率60%とし、その後、
120℃で2分間乾燥した。基体層1m2に付着してい
る抗菌剤の量は3g/m2であった。得られた皮革様シ
ートは抗菌性(統一試験方法で静菌活性値:2.8)で
合格、風合いも良好で、カジュアルシューズ用原反とし
ては最適であった。
【0031】比較例1 実施例1において、表面に抗菌剤を付与した樹脂をスポ
ット状でなく、表面へ全面にダイレクトロールを用いて
固形分で20g/m2塗布した。得られた皮革様シート
は抗菌性は良好であるが、風合いが硬く、屈曲性が悪く
なり、実施例1のものと比べて商品価値の低いものであ
った。
【0032】比較例2 実施例1において、表面層への抗菌剤の添加をなくし
て、且つ基体層の抗菌剤アトミボール3S(触媒化成
製、固形分10%、抗菌金属:Ag2O・TiO2)を5
0部にする以外は実施例1の条件で処理した(抗菌剤付
着量10g/m2)。得られた皮革様シートは抗菌性が
良好であるが、風合いが硬く、屈曲性が悪くなり、実施
例1のものと比べて商品価値の低いものであった。
【0033】以上の実施例、比較例で得られた皮革様シ
ートの評価結果を以下の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明の皮革様シートは、抗菌性、防黴
性および防臭性にすぐれ、さらに触感とソフト性にも優
れている。本発明の皮革様シートは、ボール、鞄、袋
物、スポーツ靴、一般靴等の用途に非常に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 23/16 D06M 11/12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性重合体が含有された繊維集合体からな
    る基体層とその表面に形成された被覆層からなる皮革様
    シートにおいて、該基体層内に抗菌剤含有樹脂が分散さ
    れており、さらに該被覆層の表面に、抗菌剤含有樹脂が
    スポット状に付与されており、かつスポットと隣り合う
    スポットとの最短距離が10〜100ミクロンであるこ
    とを特徴とする皮革様シート。
  2. 【請求項2】基体層内に分散され、かつ被覆層の表面に
    付与されている抗菌剤が銀、銅、亜鉛からなる群から選
    ばれる少なくとも1種の金属またはその化合物である請
    求項1に記載の皮革様シート。
  3. 【請求項3】被覆層を構成している樹脂が、シリコン変
    性ポリウレタン樹脂を主体としたものであり、かつ10
    0%モジュラスが10〜150kg/cm2である請求
    項1に記載の皮革様シート。
  4. 【請求項4】基体層内に分散されている抗菌剤含有樹脂
    を構成する樹脂がポリウレタンエマルジョン或いはアク
    リルエマルジョンからなる樹脂である請求項1記載の皮
    革様シート。
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