JP2008144328A - 機能性シートおよび吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 薬剤と熱可塑性水溶性ポリマーとを含む機能性組成物と、シート状基材とを備え、前記機能性組成物が非連続的にシート状基材に付着している、機能性シート。
【選択図】 なし
Description
たとえば、親水性繊維を含む繊維シートを湿潤状態としておき、その状態で水溶性の薬剤を含む塗布液を塗布することにより、薬剤を均一に塗布する技術が知られている(特許文献1)。
さらに、界面活性剤などの繊維処理剤と1,3−ブチレングリコールと薬剤とを含む混合液を繊維表面に付着させ、乾燥させて得られるスキンケア剤含有繊維が知られている(特許文献2)。
第2の本発明は、上記本発明に係る機能性シートを含む吸収性物品に関する。
ここで、「シート」は、その幅、長さ、厚みにおいて何ら制限されず、たとえばフィルム、テープなどを含む概念である。
基材の種類も特に限定されず、シート状基材としては、合成樹脂製シート、織布、不織布、紙などを任意に使用することができる。合成樹脂や繊維の種類も、何ら限定はされず、吸収性物品等に通常使用される各種の基材を使用することができる。基材は、単層構造、多層構造のいずれであってもよい。さらに基材は、親水性材料から構成されるほか、疎水性材料の表面に界面活性剤処理を施すことにより親水性を付与した材料から構成されていてもよい。また、パーフォレーション加工、延伸加工、テンタリング加工、パンチング加工などにより孔を形成させた開孔フィルムを基材として用いることもできる。このような開口フィルムの開口率は10〜60%であることが好ましく、開口径は平均で0.1〜2mm程度であることが好ましい。
機能性シートは、必要に応じて、接着層、粘着層、撥水層など、シート状基材以外の構成(層)を備えていてもよい。
ポリマーの水溶性は、37℃での水への溶解度から判断する。37℃に設定した定温ウォーターバスにより100ccの水を入れたビーカーを加熱し、このビーカーに、スターラーで回転速度700rpmで攪拌しながら、試料ポリマー1gを入れる。このポリマーが5分後に完全に溶解するものを、ここでは水溶性ポリマーと称する。
体液とは、血液、リンパ液、組織液など、動物の体内で細胞外にある液体の総称であり、体外に放出される汗、尿、経血等を含む概念である。
すなわち、機能性組成物は、実質的に無溶剤であることが好ましい。ここで、「実質的に無溶剤である」とは、機能性組成物塗布後の乾燥工程を必要とするような溶剤を含んでいないことをいう。機能性組成物が無溶剤であると、付着させた後に溶剤を乾燥させる工程が不要となるため、製造工程および製造設備の簡略化ができ好ましい。さらに、発明者らの知見によると、乾燥工程での溶剤の蒸発に伴い薬剤同士が凝集し塊状となる傾向があるのに対し、無溶剤であるとそのような凝集を回避することができるため、この側面からも好ましい。さらに、ポリマー(すなわちこれを含む機能性組成物)の粘度が高いと粒子状になりやすく、またポリマーの粘度を下げるために温度を上げすぎると、機能性組成物中に配合する薬剤の種類によっては熱分解等してしまう恐れがあるため、好ましくない。
上記ポリマー粘度(80℃)は、得られるシート状基材の柔軟性や、より低温での塗工可能性に鑑み、25000mm2/s以下であることがより好ましく、10000mm2/s以下であることがさらに好ましく、5000mm2/s以下であることが一層好ましく、1000mm2/s以下であることが最も好ましい。
常温とは、機能性シートや吸収性物品を通常使用する温度であり、たとえば室温(25℃)である。つまり、常温で固体のポリマーとして、凝固点が25℃以上のポリマーを好ましく用いることができる。
このポリマーが、常温において液体であると、体液が存在しなくても薬剤がリリースされて肌に移行してしまい、肌に余分な刺激を与える可能性があるため好ましくない。さらに、このポリマーが常温で液体であると、べたつき感を与えて着用感が低下するとともに、製品の製造加工時や使用前に、薬剤が製造装置、包装材、手指などに付着してシートから脱落してしまい、薬理効果が失われる恐れがあるため好ましくない。
そのようなPEGとして具体的には、分子量(GPC法、標準ポリエチレン換算の重量平均分子量をいう。以下同じ。)が100〜50000のものを好ましく用いることができ、600〜30000程度であることがより好ましい。これらは、粘度(80℃)が40000mm2/s以下であって、常温(25℃)において固体である。
このように、分子量の異なる複数種のPEGまたはその誘導体を使用することにより、体液への溶解性、柔軟性、および基材への付着性(定着性)をバランスよく実現することができるため好ましい。
両者の混合比は、それぞれのPEGの分子量にも依存するため特に限定されないが、たとえばPEG−S:PEG−Lが重量比で1:9〜9:1であることが好ましく、1:9〜7:3であることがより好ましく、1:9〜5:5であることがさらに好ましく、2:8〜4:6であることが一層好ましい。
PVAとしては、重合度が500以下のものを使用することが好ましい。PVA誘導体としても、水酸基がエステル化あるいはエーテル化されたものなどを使用できる。
なかでも、体液と接することで効果的にその機能を発揮することができるため、水に可溶な薬剤を用いることが好ましい。
N,N’,N’’−トリス(ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、4,4−ジメチルオキサゾリジン、1,3−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、1,3−ジモルホリノ−2−ニトロ−2−エチルプロパン等のホルムアルデヒド放出剤;
1,3−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニロリル等のハロゲン化合物;
4−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、3−ヨードプロパギルブチルカルバメート等のヨードプロパギル誘導体;
2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール等のチオシアナト化合物;
2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾロン−3、N−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾロン−3等のイロチアゾリノン誘導体;
N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド等のトリハロメチルチオ化合物;
アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、デシルイソノニルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド(塩化セチルピリジニウム)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)等の第4アンモニウム塩;
塩酸ポリヘキサメチレンビグアニド、グルコン酸クロロヘキシジン、クロロヘキシジン塩酸塩等のビグアニド化合物;
ホルムアルデヒド、1,5−ペンタンジアール(グルタルアルデヒド)、α−ブロモシンナムアルデヒド等のアルデヒド類;
3−メチル−4−クロロフェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル)等のフェノール類;
2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル等のベンズイミダゾール誘導体;
ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛等のピリジンオキシド;
3,4,4’−トリクロロカルバニリド、4,4’−ジクロロ−3−(トリフルオロメチル)カルバニリド等のカルバニリド;
2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル;
ソルビン酸、プロピオン酸、10−ウンデシレン酸、安息香酸等のカルボン酸;
10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等の有機金属化合物。
なかでも、「非連続的」の好ましい一形態は、島状である。ここで「島状」とは、離散的に機能性組成物が存在する状態をいい、点あるいはドット状、まだら状、さらには粒子状などを含む概念である。個々の島の形状は何ら限定されない。島と島とは、互いに離間していることが好ましいが、相互につながった状態の島を含んでいてもよい。このように本願発明では、薬剤が凝集して塊状になることを防止しうる、機能性組成物の不連続部分が存在する。
たとえば、体液が汗である場合、汗孔(汗腺)の数は体の部位によっても異なるが平均して100〜250個/cm2であり、そのピッチは計算上は650〜1000μmとなる。したがって、このピッチよりも機能性組成物の島間のピッチが短いことにより、体液との接触頻度がより高まるために好ましい。
島が粒子状である場合は、微粒子であることが好ましい。たとえば、粒子の平均粒径は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、20μm以下であることが一層好ましく、15μm以下であることが最も好ましい。一方、平均粒径の下限値は、特に限定されないが、1μm程度であることが好ましい。ここで、平均粒径は、電子顕微鏡により200倍に拡大して30個の粒子の直径を測定した平均値をいう。
噴霧条件や使用する装置等は、特に限定はされないが、ノズルのサイドにエアー吐出口を備えたスプレーノズルを用いて、機能性組成物からなる吐出物をエアーにより分断・霧化して噴霧することが好ましい。このエアー霧化方式で噴霧することにより、機能性組成物をより細かい粒子として基材へ付着させることができる。
エアーの吐出角度は、特に限定はされないが、吐出物を、その吐出方向に対し直交方向からエアーで切断するように、傾きが大きく設計されていることが好ましい。
ノズルの被塗物からの距離(高さ)についても、特に限定はされないが、一般に1〜100mmであることが好ましく、5〜50mmがより好ましい。
このギアポンプは、安定した搬送を可能とするため、ギアの隙間の狭いタイプのものが好ましい。
特に、この抗菌性シートは、体液吸収のための吸収性物品に用いられることが好ましい、吸収性物品としては、使い捨ておむつ;ショーツの内面に取り付けて使用する生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッド;おむつカバーの内面に取り付けて使用する吸収性パッド;等が挙げられる。
具体的には、表面シートは、液体透過性を有し、レーヨン繊維、パルプ繊維、合成繊維等の親水性繊維からなる不織布や、多孔性プラスチックシートなどを好ましく用いることができる。裏面シートは、液体不透過性を有し、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの各種プラスチックシートを用いることができる。裏面シートは、通気性であっても、非通気性であってもよい。この表面シート、裏面シートは、それぞれ、多層構造を有していてもよい。たとえば、裏面シートは、プラスチックシートに不織布がラミネートされた構造でもよい。吸収体は、パルプの積層体やパルプと高吸収性ポリマーとの積層体などで形成される。
表面シートとして使用される抗菌性シートの抗菌性組成物付着面は、肌側である最表面であっても、肌に触れない側である吸収体側であってもよい。抗菌性組成物付着面が吸収体側となる場合は、体液がシート状基材内部に拡散して抗菌性組成物に達し、ポリマーを溶解させることにより、抗菌剤の機能が発揮される。
図1は、使い捨ておむつを示す斜視図である。この使い捨ておむつは、軸中心線を介して左右両側が対象に形成されたパンツ型おむつ10である。
このパンツ型おむつ10は、前胴周り域1、後胴周り域2、および股下域3とから構成されており、前胴周り域1および後胴周り域2の左右両側縁部5が接合されている。これによって、上側に配置された胴側開口部6と、下側に配置された左右一対の脚開口部7とが形成されている。
以上、機能性シートとして抗菌性シートの利用例を説明したが、その他の機能性シートの場合も、同様にして、各種吸収性物品に使用することができる。
<実施例1〜2>
薬剤として抗菌剤を使用し、以下のようにして抗菌性組成物および抗菌性シートを作製した。
水溶性ポリマーとして、日本油脂(株)製のPEG#600およびPEG#4000(各番手は、それぞれ近似の平均分子量を表す。)を、重量比3:7で用い、ここに抗菌剤として塩化セチルピリジニウム(CPC、和光純薬工業(株)製)1重量%を加えて、抗菌性組成物(PEG:CPC=99:1)を得た。PEG#600の粘度(80℃)は17mm2/s、PEG#4000の粘度(80℃)は120mm2/sであった。
シート状基材としては、ポリプロピレンスパンボンド(PPSB、1.9dtex、目付量:20g/m2)(実施例1)、および、ポリエチレンテレフタレート/レーヨン/ポリエチレンテレフタレートのスパンレース(1.7dtex、目付量:25g/m2)(実施例2)を使用した。
実施例2において得られた抗菌性シートの顕微鏡写真を、図4に示す。図4(a)〜(e)は、順に50倍、100倍、190倍、300倍、550倍の拡大写真である。
実施例1の抗菌性シートにおいて、抗菌性組成物の平均粒径は11.2μm、平均粒子ピッチは44.1μmであった。
実施例2の抗菌性シートにおいて、抗菌性組成物の平均粒径は45μm、平均粒子ピッチは98μmであった。
これを用いて、以下のようにして、おむつの使用試験を行った(実施例群)。抗菌性シートが貼着されていない通常のおむつを使用した群を、比較例群とした。
また、実施例群において、かぶれ、湿疹などの肌刺激の発症は見られず、着用感も良好であったことが確認された。
水溶性ポリマーとして、日本油脂(株)製のPEG#20000(80℃における粘度:23000mm2/s)を使用した以外は、上記実施例1と同様に実施し、抗菌性組成物が粒子状に繊維に付着した抗菌性シートを得た。ただし、抗菌性組成物の塗工温度は130℃に設定して行った。
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
20 抗菌性シート
Claims (9)
- 薬剤と熱可塑性水溶性ポリマーとを含む機能性組成物と、シート状基材とを備え、前記機能性組成物が非連続的にシート状基材に付着している、機能性シート。
- 島状に付着した機能性組成物を含む、請求項1記載の機能性シート
- 機能性組成物からなる前記島の平均島間距離が10〜200μmである、請求項2記載の機能性シート。
- 機能性組成物がシート状基材の表面および内部に付着している、請求項1〜3のいずれか1項記載の機能性シート。
- 機能性組成物の付着量が0.05〜5g/m2である、請求項1〜4のいずれか1項記載の機能性シート。
- 機能性組成物が実質的に無溶剤である、請求項1〜5のいずれか1項記載の機能性シート。
- 熱可塑性水溶性ポリマーの粘度(80℃)が40000mm2/s以下である、請求項1〜6のいずれか1項記載の機能性シート。
- 熱可塑性水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリビニルアルコール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の機能性シート。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の機能性シートを含む、吸収性物品。
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