JP2018166937A - 吸収性物品用シート及び吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】香りがよく、排泄物に起因する不快な臭いを低減し、抗菌性能に優れる吸収性物品用シート及び吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品用シートは、香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しないことを特徴とする。前記抗菌剤は粒子であり得、その平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1000μm以下、比表面積は、好ましくは10m2/g以上500m2/g以下である。また、本発明の吸収性物品は、表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い裏面シートとを具備し、両シート間に、前記吸収性物品用シートが配されている。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の吸収性物品用シートは、香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しないことを特徴とする。前記抗菌剤は粒子であり得、その平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1000μm以下、比表面積は、好ましくは10m2/g以上500m2/g以下である。また、本発明の吸収性物品は、表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い裏面シートとを具備し、両シート間に、前記吸収性物品用シートが配されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、吸収性物品の構成部材として使用される賦香された吸収性物品用シート、及び該シートを具備する賦香された吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品を賦香して、その香気によって吸収性物品から生じる尿等の排泄物由来の臭気をマスキングし、あるいは気分転換やリラックス感を図る技術が知られている。例えば特許文献1には、吸収性物品に適用可能なシート状構造体として、基材シートに、多価金属塩水溶液と、機能成分を含有させたポリアニオン水溶液とを接触させて得られたものが記載されており、該機能成分として、銀系、亜鉛系などの抗菌剤、消臭剤、芳香剤が例示されている。
特許文献2には、シクロデキストリンが有する消臭機能やシクロデキストリン錯体が有する活性成分の徐放機能を効率よく、十分に発揮させることができる吸収性物品として、液透過層及び液不透過層と両層間に介在配置された吸収層とを具備する構成を有し、該吸収層と該液不透過層との間にシクロデキストリン含有層を配置したものが記載されており、該シクロデキストリン含有層が香料を含有し得ることも記載されている。また特許文献2には、前記吸収層に、消臭成分を含有した吸収性ポリマー粒子を含有させてもよい旨記載されており、該消臭成分として、活性炭、活性炭の表面に殺菌作用を有する第4級アンモニウム塩化合物が付着した複合体などが例示されている。
特許文献3には、使用済みの吸収性物品を丸めて廃棄する際に利用される廃棄テープに臭気対策剤を含有させることが記載されている。この廃棄テープは、第1ガスバリア層と第2ガスバリア層とが臭気対策剤を含有する粘着剤を介して剥離可能に一体とされた構成を有するもので、特許文献3には、該臭気対策剤として、香料、活性炭などの臭気吸着剤が例示されている。
本発明の課題は、香りがよく、排泄物に起因する不快な臭いを低減し、抗菌性能に優れる吸収性物品用シート及び吸収性物品を提供することに関する。
本発明者らは、賦香され抗菌性能を有する吸収性物品用シートについて種々検討した結果、該シートに香料と共に、特許文献2及び3にも開示されている代表的な消臭成分である活性炭を付与すると、香料の香りが変質し、消臭効果や気分転換を図る効果など、香料の使用によって期待される効果が著しく低減することを知見した。このように活性炭は代表的な消臭成分として扱われており、いずれの特許文献にも、吸収性物品用シートにおいて活性炭を積極的に排除する旨は開示されていない。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しな
い吸収性物品用シートである。
い吸収性物品用シートである。
また本発明は、表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い裏面シートとを具備し、両シート間に、前記の本発明の吸収性物品用シートが配されている吸収性物品である。
本発明によれば、香りがよく、排泄物に起因する不快な臭いを低減し、抗菌性能に優れる吸収性物品用シート及び吸収性物品が提供される。
本発明の吸収性物品用シートは香料を有する。本発明において香料を使用する主たる目的の1つは、排泄物に起因する不快な臭いの低減であり、具体的には例えば、メルカプタンや硫化水素に起因する腐敗臭やジアセチルに起因するおりもの特有の臭気を、香料の香気によってマスキング及び/又はハーモナージュする点にある。本発明で用いられる香料としては、大気圧下で香気成分を大気中に揮散して斯かる目的を達成し得るものであれば良く、常温常圧の環境下でその香気を知覚し得る通常の香料を特に制限なく用いることができ、使い捨ておむつなどの吸収性物品において従来用いられてきたものを用いることができる。香料としては例えば、沸点が約250℃以下の高揮発性香料成分、又は沸点が約250〜約300℃の中揮発性香料成分が好ましく用いられる。
前記高揮発性香料成分としては、例えばアニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、酢酸イソボルニル、シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、パラシメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、1−カルボン、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、酢酸ネリル、酢酸ノニル、リナロール、エチルリナロール、酢酸リナリル、フェニルエチルアルコール、α−ピネン、β−ピネン、γ−ピネン、α−ヨノン、β−ヨノン、γ−ヨノン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、酢酸テルピニル、テンタローム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもシトロネロール、リナロール、ゲラニオールが好ましく用いられている。
前記中揮発性香料成分としては、例えばアミルシンナムアルデヒド、ジヒドロジャスモン酸メチル、サリチル酸イソアミル、β−カリオフィレン、セドレン、セドリルメチルエーテル、桂皮アルコール、クマリン、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、イソオイゲノール、γ−メチルヨノン、ヘリオトロピン、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、フェニルヘキサノール、ペンタライド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる香料としては、前述の高揮発性及び中揮発性香料成分以外に、あるいはこれら香料成分に加えてさらに、バラ香調、ラベンダー香調、ジャスミン香調、イランイラン香調を有する香料を含有した香料組成物を用いることもできる。斯かる香料組成物としては、例えば、ネロール、ラバンジュロール、ジャスマール、シクロピデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明
で用いられる香料には、前述した香料素材単体、及び天然精油や調合ベースのように、「複数の香料によって構成される香料素材が組み合わされたもの(香料組成物)で、溶剤によって希釈・調整されたもの」が含まれる。例えば、香料として、バラ、ラベンダー、ジャスミン、イランイラン様香気を有する香料を含有する香料組成物を用いることができる。
で用いられる香料には、前述した香料素材単体、及び天然精油や調合ベースのように、「複数の香料によって構成される香料素材が組み合わされたもの(香料組成物)で、溶剤によって希釈・調整されたもの」が含まれる。例えば、香料として、バラ、ラベンダー、ジャスミン、イランイラン様香気を有する香料を含有する香料組成物を用いることができる。
本発明の吸収性物品用シートにおいて、香料の含有量は特に制限されず、香料の種類、該シートの吸収性物品における使用形態等に応じて適宜設定することができる。例えば、後述するナプキン1(図1及び図2参照)のように、表面シートと裏面シートとの間に本発明の吸収性物品用シートを介在させる場合、該シートにおける香料の含有量は、坪量にして、好ましくは0.1g/m2以上、さらに好ましくは0.2g/m2以上、そして、好ましくは1g/m2以下、さらに好ましくは0.5g/m2以下である。吸収性物品用シートにおける香料の含有量を前記の下限以上とすることで、所望の香りを得ることができ、また、前記の上限以下とすることで、香料を含有する吸収性物品用シートを吸収性物品に適用した場合に、その吸収性物品が収容されたパッケージ内に香りを収めることができ、他のパッケージへの臭い移りを低減できる。
本発明の吸収性物品用シートは、香料に加えてさらに抗菌剤を有する。本発明で用いられる抗菌剤は、典型的には、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現し得る抗菌性物質である。即ち、本発明においては、抗菌剤が臭気の発生源に作用するという抗菌性能を有することにより、排泄物に起因する不快な臭いを低減することができる。また、抗菌剤の中には、それ自体が臭気に直接作用して、即ち臭気を中和、分解等して、消臭効果を発現し得るものが存在するところ、本発明ではこのような臭気に直接作用する抗菌剤を使用することもできる。本発明で用いられる抗菌剤としては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において抗菌用途に用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えば、金属、抗菌性金属担持物、有機系抗菌剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で抗菌剤として使用可能な金属としては、銅、銀、金、鉛、ニッケル、錫、亜鉛、鉄、ジルコニウム等が挙げられる。
本発明で抗菌剤として使用可能な抗菌性金属担持物としては、銀ゼオライト、ジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン−2−ビニルピリジン銀共重合体(例えば特開2006−307404号公報記載のもの)、アルミニウム・銀・ナトリウム硝酸ケイ酸塩(例えば特開2005−232654号公報記載のもの)、二酸ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物、リン酸銀ジルコニウム、銀・亜鉛ゼオライトの混合物等が挙げられる。
本発明で抗菌剤として使用可能な有機系抗菌剤としては、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩化ベンザルコニウムクロライド、セチルリン酸化ベンザルコニウム等が挙げられる。
本発明において抗菌剤として特に好ましいものは、前記抗菌性金属担持物の一種である金属担持多孔質粒子であり、これについては後で説明する。
本発明で抗菌剤として使用可能な抗菌性金属担持物としては、銀ゼオライト、ジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン−2−ビニルピリジン銀共重合体(例えば特開2006−307404号公報記載のもの)、アルミニウム・銀・ナトリウム硝酸ケイ酸塩(例えば特開2005−232654号公報記載のもの)、二酸ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物、リン酸銀ジルコニウム、銀・亜鉛ゼオライトの混合物等が挙げられる。
本発明で抗菌剤として使用可能な有機系抗菌剤としては、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩化ベンザルコニウムクロライド、セチルリン酸化ベンザルコニウム等が挙げられる。
本発明において抗菌剤として特に好ましいものは、前記抗菌性金属担持物の一種である金属担持多孔質粒子であり、これについては後で説明する。
本発明で用いられる抗菌剤の形態は特に制限されず、液体、粉体などでもよいが、粒子が好ましい。抗菌剤の粒子の形状は特に制限されず、例えば、球状、俵状、不定形状などであり得る。
代表的な消臭剤の1つである活性炭は、比表面積が1500m2/g程度であり、細孔分布が1〜1000nmと比較的広いことに起因して、広範囲なニオイ物質を吸着し得ることから、排泄物由来の不快な臭気成分のみならず、香料由来の香気成分も吸着する。これに対し、例えば前記抗菌性金属担持物の一種であるジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン−2−ビニルピリジン銀共重合体は、比表面積300m2/g、細孔分布1〜100
nm、また、前記抗菌性金属担持物の他の一種である二酸ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物は、比表面積250m2/g、細孔分布5〜200nmであり、いずれの抗菌剤も活性炭に比して、比表面積が小さく、細孔分布が狭いことから、これらの抗菌剤を吸収性物品用シートに用いた場合には、活性炭を用いた場合に比して、香料由来の香気成分が吸着されるという不都合が起こり難い。吸収性物品用シートに含有されている抗菌剤がこのように比表面積が小さく、細孔分布が狭い粒子であると、その抗菌剤の粒子表面で、香気成分は吸着されにくい一方で、臭気を吸着することが期待され、排泄物に起因する不快な臭いをより一層効果的に低減し得る。
nm、また、前記抗菌性金属担持物の他の一種である二酸ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物は、比表面積250m2/g、細孔分布5〜200nmであり、いずれの抗菌剤も活性炭に比して、比表面積が小さく、細孔分布が狭いことから、これらの抗菌剤を吸収性物品用シートに用いた場合には、活性炭を用いた場合に比して、香料由来の香気成分が吸着されるという不都合が起こり難い。吸収性物品用シートに含有されている抗菌剤がこのように比表面積が小さく、細孔分布が狭い粒子であると、その抗菌剤の粒子表面で、香気成分は吸着されにくい一方で、臭気を吸着することが期待され、排泄物に起因する不快な臭いをより一層効果的に低減し得る。
本発明で用いられる抗菌剤の粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.01μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下である。抗菌剤の粒子の平均粒径を前記の下限以上とすることで、抗菌剤の粒子の微粉が飛散せず、製造時の生産性を良好にすることができる。また、抗菌剤の粒子の平均粒径を前記の上限以下とすることで、特に、吸収性物品用シートを後述するように湿式抄紙法によって製造する場合に、製造された吸収性物品用シートの地合いを良好にでき、該シートが抗菌剤の粒子を良好に担持することができる。地合いの良い吸収性物品用シートは、抗菌剤の分布が均一であるため、所望の抗菌・消臭機能が得られるだけでなく、シートの物理的強度も担保できる。抗菌剤の粒子の平均粒径は下記方法により測定される。
<粒子の平均粒径の測定方法>
抗菌剤などの粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、LA−960)を使用し、常法に従って測定することができる。測定条件は下記の通りである
・測定セル:フローセル
・粒子径基準:体積
・分散媒:粒子の分散性がよい適当な溶媒、例えばエタノール/蒸留水=90/10質量%
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・透過率:70〜90%
・試料濃度:0.1%
抗菌剤などの粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、LA−960)を使用し、常法に従って測定することができる。測定条件は下記の通りである
・測定セル:フローセル
・粒子径基準:体積
・分散媒:粒子の分散性がよい適当な溶媒、例えばエタノール/蒸留水=90/10質量%
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・透過率:70〜90%
・試料濃度:0.1%
尚、吸収性物品からその構成部材(例えば本発明の吸収性物品用シート)を取り出して評価測定する場合において、その構成部材が、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、コールドスプレーの噴霧によって除去してから取り出す。
また、測定対象が前記の抗菌剤の粒子の如き微小物の場合は、その微小物を含む構成部材を前記の要領で吸収性物品から取り出し、取り出した構成部材を光学顕微鏡(例えば株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ「VHX−900」)を用いて観察しつつ、該構成部材からピンセット等を用いて測定対象である微小物(例えば抗菌剤の粒子)を取り出し、取り出した微小物について評価測定を行う。
以上の吸収性物品の構成部材の評価測定に際しての取り扱いは、特に断らない限り、本明細書における他の測定評価方法に適宜適用される。
また、測定対象が前記の抗菌剤の粒子の如き微小物の場合は、その微小物を含む構成部材を前記の要領で吸収性物品から取り出し、取り出した構成部材を光学顕微鏡(例えば株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ「VHX−900」)を用いて観察しつつ、該構成部材からピンセット等を用いて測定対象である微小物(例えば抗菌剤の粒子)を取り出し、取り出した微小物について評価測定を行う。
以上の吸収性物品の構成部材の評価測定に際しての取り扱いは、特に断らない限り、本明細書における他の測定評価方法に適宜適用される。
また、本発明で用いられる抗菌剤の粒子の比表面積に関しては、前述した通り、香料の香りの変質を防止しつつ、臭気を吸着する観点から、適切な範囲にあることが好ましい。即ち、抗菌剤と併用される香料から揮散される香気成分が該抗菌剤に吸着されず、該香料の香りが維持されるためには、抗菌剤の粒子の比表面積は、好ましくは500m2/g以下、さらに好ましくは300m2/g以下である。
一方で、抗菌剤の粒子の比表面積が一定以上であると、抗菌剤自体が排泄物の臭気を吸着して消臭することが期待でき、粒子の比表面積による物理消臭能と、担持した金属イオンなどの抗菌物質による化学消臭能とを兼ね備えた抗菌剤となり得る。この点を考慮すると、抗菌剤の粒子の比表面積は、好ましくは10m2/g以上、さらに好ましくは30m2/g以上である。抗菌剤の粒子の比表面積は下記方法により測定される。
<粒子の比表面積の測定方法>
抗菌剤などの粒子の比表面積は、BET表面積測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、BELSORP−MR6)を用いて、BET1点法により測定することができる。吸着ガスとしては、窒素30体積%、ヘリウム70体積%のガスを用いる。試料の前処理として、120℃で10分間、吸着ガスの流通を行った後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求め、その表面積の値を試料の質量で除することで、比表面積を算出する。
抗菌剤などの粒子の比表面積は、BET表面積測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、BELSORP−MR6)を用いて、BET1点法により測定することができる。吸着ガスとしては、窒素30体積%、ヘリウム70体積%のガスを用いる。試料の前処理として、120℃で10分間、吸着ガスの流通を行った後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求め、その表面積の値を試料の質量で除することで、比表面積を算出する。
本発明の吸収性物品用シートにおいて、抗菌剤の含有量は特に制限されず、抗菌剤の種類、該シートの吸収性物品における使用形態等に応じて適宜設定することができる。例えば、後述するナプキン1(図1及び図2参照)のように、表面シートと裏面シートとの間に本発明の吸収性物品用シートを介在させる場合、該シートにおける抗菌剤の含有量は、坪量にして、好ましくは0.05g/m2以上、さらに好ましくは0.1g/m2以上、そして、好ましくは5g/m2以下、さらに好ましくは3g/m2以下である。また、抗菌剤の含有量は、本発明の吸収性物品用シートの全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。抗菌剤の含有量を前記の下限以上とすることで所望の抗菌効果を得ることができ、前記の上限以下とすることで、香り変質及び低下を防止することができる。
本発明で好ましく用いられる抗菌剤として、前記抗菌性金属担持物の一種として、金属担持多孔質粒子が挙げられる。金属担持多孔質粒子は、金属又は金属イオンを担持(含有)している多孔質粒子であり、多孔質粒子が無機多孔質粒子であるもの(金属担持無機多孔質粒子)と有機多孔質粒子であるもの(金属担持有機多孔質粒子)とに大別される。本発明では何れの金属担持多孔質粒子も使用可能であり、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記金属担持無機多孔質粒子において、金属を担持する無機多孔質粒子としては、例えば、銀カンクリナイト、銀ゼオライト、銅ゼオライト、酸化亜鉛、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。特に好ましい金属担持無機多孔質粒子は、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物(以下、金属置換カンクリナイト様鉱物ともいう)である。金属置換カンクリナイト様鉱物は、カンクリナイト様鉱物中の金属元素が、抗菌性を有する金属元素で置換されたものである。金属置換カンクリナイト様鉱物は、広い消臭スペクトルをもち、種々の悪臭、例えばアンモニア、アミン、ピリジン等のアルカリ性臭、低級脂肪酸、メルカプタン等の酸性臭、その他エステル、ケトン、アルデヒド等の中性臭からなる悪臭に対して良好な消臭作用を有する。また、金属置換カンクリナイト様鉱物の粒子は、テトラポッド状、金平糖状ないしウニ状の形状を有し、その形状に起因してパルプなどの繊維材料への付着性が極めて良いという利点も有している。
前記カンクリナイト様鉱物は、特開2005−232654号公報及び特開2006−307404号公報に記載のものを用いることができる。
また、前記金属担持有機多孔質粒子において、金属を担持する有機多孔質粒子としては、特開2008−62029号公報、特開2008−63711号公報、及び特開201
0−138344号公報に記載のものを用いることができる。
0−138344号公報に記載のものを用いることができる。
本発明の吸収性物品用シートは、香料及び抗菌剤を有する一方で、活性炭を有しない点によって特徴付けられる。活性炭は代表的な消臭剤の1つであり、当該技術分野においても消臭用途に汎用されている素材であるが、前述した通り、香料と活性炭とを併用すると、香料の香りが変質する場合があり、その結果、香料の使用によって期待される効果、典型的には、排泄物の臭気に対するマスキング効果ないしハーモナージュ効果が著しく低減する。そこで本発明では、吸収性物品用シートに香料及び抗菌剤を含有させて、該シートに排泄物の臭気の低減機能及び抗菌機能を付与する一方で、活性炭を含有させないこととしたものである。
活性炭は、細孔構造を有する多孔性物質で大きな比表面積を有し、高い吸着性を有する特徴がある。活性炭の比表面積は通常、500〜2000m2/g程度である。活性炭には例えば、椰子殻炭、木炭、暦青炭、泥炭、亜炭等があるが、本発明の吸収性物品用シートは何れも有しない。
本発明の吸収性物品用シートは、前述した香料及び抗菌剤が含有されるシート基材を有する。即ち本発明の吸収性物品用シートは、シート基材に香料及び抗菌剤を含有させ、活性炭を含有させないものということができる。
前記シート基材としては、前述した香料及び抗菌剤を保持し得るものであれば良く、例えば、織布、不織布、編布、紙等の繊維シートの他、樹脂製フィルム等を用いることができ、あるいはこれらの2種以上を積層した複合シートを用いることもでき、吸収性物品用シートの用途等に応じて適宜選択すればよい。前記シート基材は、単層構造でもよく、2層以上が積層された積層構造を有していてもよい。前記シート基材は、典型的には、公知の湿式抄紙法によって製造された紙、又は不織布である。
前記シート基材(繊維シート)の構成繊維として典型的なものは、セルロース系繊維である。特に、前記シート基材が紙の場合、その主たる構成繊維、即ち含有量がシート基材の全質量に対して50質量%を超える構成繊維は通常、セルロース系繊維である。セルロース系繊維としては、衛生品をはじめとする各種用途に用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、天然セルロース繊維、マーセル化セルロース繊維、溶解セルロース繊維及びセルロース繊維誘導体が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリント等の綿パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ、麻パルプ等の非木材パルプ;古紙パルプ等が挙げられる。マーセル化セルロース繊維は、周知の通り、濃アルカリ処理によってアルカリ変性(いわゆるマーセル化)されているセルロース繊維である。溶解セルロース繊維としては、例えば、リヨセル(登録商標)、テンセル(登録商標)、ベンベルグ(登録商標)、ビスコースレーヨン、ベンリーゼ(登録商標)等が挙げられる。セルロース繊維誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、TEMPO触媒酸化セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
前記シート基材(繊維シート)の構成繊維としては、セルロース系繊維以外の他の繊維を用いることもでき、2種以上の繊維を組み合わせてもよい。他の繊維(非セルロース系繊維)としては、例えば、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の疎水性合成繊維が挙げられる。疎水性合成繊維は、必要に応じ、界面活性剤等の親水化剤により親水化処理されていてもよい。また、他の繊維としては、加熱により溶融し相互に接着し得る熱融着性繊維を用いることもでき、具体的には例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維等が挙げられる。複合繊維の形態は特に制限されず、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型等を適宜選択し得る。
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維等が挙げられる。複合繊維の形態は特に制限されず、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型等を適宜選択し得る。
前記シート基材には、前述した繊維成分に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては例えば紙力補強剤が挙げられる。紙力補強剤としては、例えばポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、カイメン、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。これらの紙力補強剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記シート基材の坪量は特に制限されず、吸収性物品用シートの用途等に応じて適宜設定すればよい。例えば、後述するナプキン1(図1及び図2参照)のように、表面シートと裏面シートとの間に本発明の吸収性物品用シートを介在させる場合、該シートを構成するシート基材の坪量は、好ましくは10g/m2以上、さらに好ましくは15g/m2以上、そして、好ましくは50g/m2以下、さらに好ましくは40g/m2以下である。
本発明の吸収性物品用シートは、前記シート基材又はその製造中間体に、香料及び抗菌剤を付与することで製造される。前記シート基材が紙の場合、本発明の吸収性物品用シートの製造方法は、公知の湿式抄紙法に準じて製造することができ、具体的には例えば、下記工程(i)及び(ii)を有する製造方法によって製造することができる。
(i)セルロース系繊維等の繊維材料、抗菌剤(抗菌剤粒子)及び水を含む懸濁液を、抄紙網を用いて脱水し、抗菌剤を含む湿紙を形成する工程。
(ii)前記湿紙、又は前記湿紙を乾燥させて得られた紙に、香料を塗布する工程。
(i)セルロース系繊維等の繊維材料、抗菌剤(抗菌剤粒子)及び水を含む懸濁液を、抄紙網を用いて脱水し、抗菌剤を含む湿紙を形成する工程。
(ii)前記湿紙、又は前記湿紙を乾燥させて得られた紙に、香料を塗布する工程。
前記(i)の工程は、公知の湿式抄紙機を用いて常法に従って、例えば特開2009−155743号公報に記載されている抄造成形体の製造方法を実施することができる。
前記(ii)の工程において、香料の塗布対象を湿紙とするか、又は湿紙を乾燥させた紙とするかは、使用する香料の種類等に応じて適宜選択すればよい。香料の塗布に際しては、必要に応じ、水や各種有機溶媒などの適当な溶媒に溶解させ、その香料含有液を塗布してもよい。香料の塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレーによる噴霧法、刷毛塗り法、浸漬法の他、バーコーター、グラビアコーター、各種ロールコーター等を用いた塗布法が挙げられる。
前記(ii)の工程において、香料の塗布対象を湿紙とするか、又は湿紙を乾燥させた紙とするかは、使用する香料の種類等に応じて適宜選択すればよい。香料の塗布に際しては、必要に応じ、水や各種有機溶媒などの適当な溶媒に溶解させ、その香料含有液を塗布してもよい。香料の塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレーによる噴霧法、刷毛塗り法、浸漬法の他、バーコーター、グラビアコーター、各種ロールコーター等を用いた塗布法が挙げられる。
図1及び図2には、本発明の吸収性物品用シートの適用例として、該吸収性物品用シートを具備する生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有すると共に、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部領域A並びにその前後に延在する前方領域B及び後方領域Cを有する。ナプキン1は、図1に示す如き平面視において、縦方向Xに長く且つ排泄部領域A(縦方向Xの中央)において横方向Yの内方に括れた形状を有している。
ナプキン1は、表面シート2と、該表面シート2よりも着用者の肌から遠い裏面シート3とを具備し、両シート2,3間に、吸収性物品用シート4が折り畳まれた状態で配されている。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収性物品用シート4よりも大きな寸法を有し、吸収性物品用シート4の周縁から外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されて周縁シール部5を形成している。折り畳まれた状態の吸収性物品用シート4は、前方領域Bから後方領域Cに亘って延在しており、平面視して縦方向Xに長い矩形形状を有している。表面シート2及び裏面シート3と吸収性物品用シート4との間は接着剤によって接合されていてもよい。また図2に示すように、ナプキン1の非肌対向面(裏面シート3の非肌
対向面)には、該ナプキン1をショーツ等の着衣(図示せず)に固定する粘着部(図示せず)が設けられており、この粘着部は、不使用時には剥離シート(図示せず)によって被覆されている。表面シート2及び裏面シート3としては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、液透過性を有する親水性の不織布や穿孔フィルムなどを用いることができ、これらの不織布やフィルムは一般に熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等から構成されている。裏面シート3としては、例えば、液難透過性のフィルムや不織布などを用いることができ、液難透過性のフィルムは透湿性を有していてもよい。
対向面)には、該ナプキン1をショーツ等の着衣(図示せず)に固定する粘着部(図示せず)が設けられており、この粘着部は、不使用時には剥離シート(図示せず)によって被覆されている。表面シート2及び裏面シート3としては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、液透過性を有する親水性の不織布や穿孔フィルムなどを用いることができ、これらの不織布やフィルムは一般に熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等から構成されている。裏面シート3としては、例えば、液難透過性のフィルムや不織布などを用いることができ、液難透過性のフィルムは透湿性を有していてもよい。
尚、本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば表面シート2)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置が維持された状態を意味する。
図2に示すように、表面シート2と吸収性物品用シート4との間には、液透過性のセカンドシート6が配されている。セカンドシート6は、本技術分野においてサブレイヤーシートなどとも呼ばれる吸収性物品の構成部材であり、表面シート2から吸収性物品用シート4への液の透過性の向上、吸収性物品用シート4に吸収された液の表面シート2への液戻りの低減などの役割を担う。ナプキン1においては、セカンドシート6は吸収性物品用シート4の肌対向面の略全域を被覆している。セカンドシート6としては、親水性不織布や親水性の繊維集合体を用いることができ、不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、レジンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。
図1に示すように、表面シート2の肌対向面には平面視円形状の凹部7が複数形成されており、表面シート2とセカンドシート6とが凹部7にて互いに接合されている。複数の凹部7は、縦方向X及び横方向Yの両方向に直交する第1方向、並びに該第1方向に交差する第2方向のそれぞれにおいて間欠的に配されており、それによって表面シート2の肌対向面に、該第1方向に延びる複数本の第1不連続線が該第2方向に所定間隔を置いて互いに平行に配されていると共に、該第2方向に延びる複数本の第2不連続線が該第1方向に所定間隔を置いて互いに平行に配されている。凹部7は、表面シート2の肌対向面側からエンボス加工を施すことによって形成されたもので、斯かるエンボス加工としては、両シート2,6の構成繊維を溶融し加圧し得るものであればよく、例えば、熱エンボス加工、超音波エンボス加工が挙げられる。凹部7においては両シート2,6が融着により一体化している。複数の凹部7は、平面視形状及び寸法が互いに同一である。凹部7の平面視形状は円形形状に制限されず、例えば楕円形形状、多角形形状など、任意に設定し得る。
吸収性物品用シート4は、図2に示すように、折り畳まれた状態で表面シート2と裏面シート3との間に配されており、2層以上の積層構造を有している。より具体的には、吸収性物品用シート4の本来的な横方向Yの長さ即ち幅(折り畳まれていない状態での幅)は、ナプキン1の幅の2倍以上3倍以下であり、このようなナプキン1に比して幅広のシート4は、図2に示すように、その縦方向Xに沿う両側部が非肌対向面側に折り曲げられ、且つその折り曲げられた両側部の縦方向Xに沿う縁部どうしがナプキン1の横方向Yの中央部にて重なるように折り畳まれた状態で、表面シート2と裏面シート3との間に配されており、横方向Yの中央部が3層構造、それ以外の部分が2層構造である。
ナプキン1において、吸収性物品用シート4は、経血等の体液を吸収保持する吸収体(
吸収性シート)として機能し得る。この種の吸収性物品における吸収体としては、木材パルプ等の繊維材料を積繊してなる積繊体が一般的であるが、吸収性物品用シート4からなる吸収性シートは、斯かる積繊体に比して、厚みが薄く低剛性という利点を有する。
吸収性シート)として機能し得る。この種の吸収性物品における吸収体としては、木材パルプ等の繊維材料を積繊してなる積繊体が一般的であるが、吸収性物品用シート4からなる吸収性シートは、斯かる積繊体に比して、厚みが薄く低剛性という利点を有する。
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。例えば、吸収性や防漏性等の向上の観点から、ナプキン1の肌対向面に、表面シート2、セカンドシート6及び吸収性物品用シート4が一体的に圧密化されてなる溝が形成されていてもよい。
また、吸収性物品用シート4は、表面シート2と裏面シート3との間に介在配置された吸収性コア(図示せず)の表面(肌対向面及び非肌対向面)を被覆する被覆シートとして用いられるものであってもよい。この吸収性コアとしては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、典型的には、木材パルプなどの親水性繊維及び/又は吸水性ポリマー粒子を含んで構成される。
本発明の吸収性物品は、前記実施形態の如き生理用ナプキンに制限されず、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ショーツ等も包含される。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
また、吸収性物品用シート4は、表面シート2と裏面シート3との間に介在配置された吸収性コア(図示せず)の表面(肌対向面及び非肌対向面)を被覆する被覆シートとして用いられるものであってもよい。この吸収性コアとしては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、典型的には、木材パルプなどの親水性繊維及び/又は吸水性ポリマー粒子を含んで構成される。
本発明の吸収性物品は、前記実施形態の如き生理用ナプキンに制限されず、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ショーツ等も包含される。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しない吸収性物品用シート。
<2>
前記抗菌剤が粒子である前記<1>に記載の吸収性物品用シート。
<3>
前記抗菌剤の粒子の平均粒径が0.1μm以上1000μm以下である前記<2>に記載の吸収性物品用シート。
<4>
前記抗菌剤の粒子の比表面積が500m2/g以下である前記<2>又は<3>に記載の吸収性物品用シート。
<5>
前記抗菌剤の粒子の比表面積が10m2/g以上である前記<2>〜<4>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しない吸収性物品用シート。
<2>
前記抗菌剤が粒子である前記<1>に記載の吸収性物品用シート。
<3>
前記抗菌剤の粒子の平均粒径が0.1μm以上1000μm以下である前記<2>に記載の吸収性物品用シート。
<4>
前記抗菌剤の粒子の比表面積が500m2/g以下である前記<2>又は<3>に記載の吸収性物品用シート。
<5>
前記抗菌剤の粒子の比表面積が10m2/g以上である前記<2>〜<4>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<6>
前記香料の含有量が、坪量にして、好ましくは0.1g/m2以上、さらに好ましくは0.2g/m2以上、そして、好ましくは1g/m2以下、さらに好ましくは0.5g/m2以下である前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<7>
前記抗菌剤が、金属、抗菌性金属担持物及び有機系抗菌剤からなる群から選択される1種以上である前記<1>〜<6>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<8>
前記金属が、銅、銀、金、鉛、ニッケル、錫、亜鉛、鉄及びジルコニウムからなる群から選択される1種以上である前記<7>に記載の吸収性物品用シート。
<9>
前記抗菌性金属担持物が、銀ゼオライト、ジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン−2−ビニルピリジン銀共重合体、アルミニウム・銀・ナトリウム硝酸ケイ酸塩、二酸ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物、リン酸銀ジルコニウム及び銀・亜鉛ゼオライトの混合物からなる群から選択される1種以上である前記<7>又は<8>に記載の吸収性物品用シート。
<10>
前記有機系抗菌剤が、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩化ベンザルコニウムク
ロライド及びセチルリン酸化ベンザルコニウムからなる群から選択される1種以上である前記<7>〜<9>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
前記香料の含有量が、坪量にして、好ましくは0.1g/m2以上、さらに好ましくは0.2g/m2以上、そして、好ましくは1g/m2以下、さらに好ましくは0.5g/m2以下である前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<7>
前記抗菌剤が、金属、抗菌性金属担持物及び有機系抗菌剤からなる群から選択される1種以上である前記<1>〜<6>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<8>
前記金属が、銅、銀、金、鉛、ニッケル、錫、亜鉛、鉄及びジルコニウムからなる群から選択される1種以上である前記<7>に記載の吸収性物品用シート。
<9>
前記抗菌性金属担持物が、銀ゼオライト、ジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン−2−ビニルピリジン銀共重合体、アルミニウム・銀・ナトリウム硝酸ケイ酸塩、二酸ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物、リン酸銀ジルコニウム及び銀・亜鉛ゼオライトの混合物からなる群から選択される1種以上である前記<7>又は<8>に記載の吸収性物品用シート。
<10>
前記有機系抗菌剤が、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩化ベンザルコニウムク
ロライド及びセチルリン酸化ベンザルコニウムからなる群から選択される1種以上である前記<7>〜<9>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<11>
前記抗菌剤の含有量が、坪量にして、好ましくは0.05g/m2以上、さらに好ましくは0.1g/m2以上、そして、好ましくは5g/m2以下、さらに好ましくは3g/m2以下である前記<1>〜<10>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<12>〔0027〕
前記抗菌剤の含有量が、前記吸収性物品用シートの全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である前記<1>〜<11>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<13>
前記香料及び前記抗菌剤が含有されるシート基材を有し、該シート基材が、織布、不織布、編布、紙若しくは樹脂製フィルム又はこれらの2種以上を積層した複合シートである前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<14>
前記シート基材が紙である前記<13>に記載の吸収性物品用シート。
<15>
前記シート基材の坪量が、好ましくは10g/m2以上、さらに好ましくは15g/m2以上、そして、好ましくは50g/m2以下、さらに好ましくは40g/m2以下である前記<13>又は<14>に記載の吸収性物品用シート。
前記抗菌剤の含有量が、坪量にして、好ましくは0.05g/m2以上、さらに好ましくは0.1g/m2以上、そして、好ましくは5g/m2以下、さらに好ましくは3g/m2以下である前記<1>〜<10>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<12>〔0027〕
前記抗菌剤の含有量が、前記吸収性物品用シートの全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である前記<1>〜<11>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<13>
前記香料及び前記抗菌剤が含有されるシート基材を有し、該シート基材が、織布、不織布、編布、紙若しくは樹脂製フィルム又はこれらの2種以上を積層した複合シートである前記<1>〜<12>の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
<14>
前記シート基材が紙である前記<13>に記載の吸収性物品用シート。
<15>
前記シート基材の坪量が、好ましくは10g/m2以上、さらに好ましくは15g/m2以上、そして、好ましくは50g/m2以下、さらに好ましくは40g/m2以下である前記<13>又は<14>に記載の吸収性物品用シート。
<16>
前記<1>〜<15>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートの製造方法であって、下記工程(i)及び(ii)を有する、吸収性物品用シートの製造方法。
(i)繊維材料、抗菌剤及び水を含む懸濁液を、抄紙網を用いて脱水し、抗菌剤を含む湿紙を形成する工程。
(ii)前記湿紙、又は前記湿紙を乾燥させて得られた紙に、香料を塗布する工程。
<17>
香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しない吸収性物品用シートの製造方法であって、下記工程(i)及び(ii)を有し、且つ該シートの原材料として活性炭を使用しない、吸収性物品用シートの製造方法。
(i)繊維材料、抗菌剤及び水を含む懸濁液を、抄紙網を用いて脱水し、抗菌剤を含む湿紙を形成する工程。
(ii)前記湿紙、又は前記湿紙を乾燥させて得られた紙に、香料を塗布する工程。
<18>
前記(ii)の工程において、香料の塗布対象を湿紙とするか、又は湿紙を乾燥させた紙とするかを、使用する香料の種類に応じて決定する前記<16>又は<17>に記載の吸収性物品用シートの製造方法。
<19>
前記(ii)の工程において塗布する香料が、香料を溶媒に溶解させて得た香料含有液である前記<16>〜<18>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートの製造方法。
<20>
前記<16>〜<19>の何れか1項に記載の製造方法で製造された吸収性物品用シート。
前記<1>〜<15>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートの製造方法であって、下記工程(i)及び(ii)を有する、吸収性物品用シートの製造方法。
(i)繊維材料、抗菌剤及び水を含む懸濁液を、抄紙網を用いて脱水し、抗菌剤を含む湿紙を形成する工程。
(ii)前記湿紙、又は前記湿紙を乾燥させて得られた紙に、香料を塗布する工程。
<17>
香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しない吸収性物品用シートの製造方法であって、下記工程(i)及び(ii)を有し、且つ該シートの原材料として活性炭を使用しない、吸収性物品用シートの製造方法。
(i)繊維材料、抗菌剤及び水を含む懸濁液を、抄紙網を用いて脱水し、抗菌剤を含む湿紙を形成する工程。
(ii)前記湿紙、又は前記湿紙を乾燥させて得られた紙に、香料を塗布する工程。
<18>
前記(ii)の工程において、香料の塗布対象を湿紙とするか、又は湿紙を乾燥させた紙とするかを、使用する香料の種類に応じて決定する前記<16>又は<17>に記載の吸収性物品用シートの製造方法。
<19>
前記(ii)の工程において塗布する香料が、香料を溶媒に溶解させて得た香料含有液である前記<16>〜<18>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートの製造方法。
<20>
前記<16>〜<19>の何れか1項に記載の製造方法で製造された吸収性物品用シート。
<21>
前記<1>〜<15>及び<20>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートを有する吸収性物品。
<22>
表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い裏面シートとを具備し、両シート間に、前記<1>〜<15>及び<20>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートが配されている吸収性物品。
<23>
前記吸収性物品用シートが、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介在配置された吸収性コアの表面を被覆する被覆シートである前記<22>に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収性物品用シートが、体液を吸収保持する吸収体として機能し得る前記<21>〜<23>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<25>
前記吸収性物品が生理用ナプキンである前記<21>〜<24>の何れか1項に記載の吸収性物品。
前記<1>〜<15>及び<20>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートを有する吸収性物品。
<22>
表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い裏面シートとを具備し、両シート間に、前記<1>〜<15>及び<20>の何れか1項に記載の吸収性物品用シートが配されている吸収性物品。
<23>
前記吸収性物品用シートが、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介在配置された吸収性コアの表面を被覆する被覆シートである前記<22>に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収性物品用シートが、体液を吸収保持する吸収体として機能し得る前記<21>〜<23>の何れか1項に記載の吸収性物品。
<25>
前記吸収性物品が生理用ナプキンである前記<21>〜<24>の何れか1項に記載の吸収性物品。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜5、比較例1〜3及び参考例1〕
前記工程(i)及び(ii)を有する製造方法によって、吸収性物品用シートを製造した。具体的には、丸網抄紙機に、繊維材料と、下記消臭剤AないしFの何れか1種と、水とを含むパルプスラリーを送り脱水することにより、機能性粒子が内添された湿紙を得、次いで、該湿紙を加熱乾燥して紙を得、さらに、該紙の片面の全域に香料を塗布することによって、シート基材に香料及び消臭剤を含有させた吸収性物品用シートを製造した。尚、香料を塗布しない以外は前記と同様に製造したものを参考例1とした。前記繊維材料として、セルロース系繊維の一種である木材パルプを用いた。前記シート基材の坪量は28g/m2であった。前記香料の塗布量は、平面視四角形形状(寸法:65mm×100mm)の前記シート基材1枚当たり1.35μLとし、前記香料として、下記香料A又はBを用いた。尚、ここでいう「消臭剤」とは、活性炭の如き、臭気に直接作用して消臭効果を発現するものと、抗菌剤の如き、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現するものとの両方を含む。下記消臭剤AないしDは抗菌剤を担持するが、下記消臭剤E及びFは抗菌剤を担持しない。
前記工程(i)及び(ii)を有する製造方法によって、吸収性物品用シートを製造した。具体的には、丸網抄紙機に、繊維材料と、下記消臭剤AないしFの何れか1種と、水とを含むパルプスラリーを送り脱水することにより、機能性粒子が内添された湿紙を得、次いで、該湿紙を加熱乾燥して紙を得、さらに、該紙の片面の全域に香料を塗布することによって、シート基材に香料及び消臭剤を含有させた吸収性物品用シートを製造した。尚、香料を塗布しない以外は前記と同様に製造したものを参考例1とした。前記繊維材料として、セルロース系繊維の一種である木材パルプを用いた。前記シート基材の坪量は28g/m2であった。前記香料の塗布量は、平面視四角形形状(寸法:65mm×100mm)の前記シート基材1枚当たり1.35μLとし、前記香料として、下記香料A又はBを用いた。尚、ここでいう「消臭剤」とは、活性炭の如き、臭気に直接作用して消臭効果を発現するものと、抗菌剤の如き、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現するものとの両方を含む。下記消臭剤AないしDは抗菌剤を担持するが、下記消臭剤E及びFは抗菌剤を担持しない。
・消臭剤A:花王株式会社製、商品名「ルナモスSP−PC」(前記金属担持無機多孔質粒子;主成分はアルミニウム、銀ナトリウムケイ酸塩;担持金属は銀;金属担持量2.4質量%)
・消臭剤B:花王株式会社製、商品名「ポリマーD」(前記金属担持有機多孔質粒子;主成分はジビニルベンゼン、ビニルピリジン;担持金属は銀;金属担持量0.3質量%)
・消臭剤C:水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズカナイトHP」(主成分は二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム;担持金属は亜鉛;金属担持量30質量%)
・消臭剤D:東亜合成株式会社製、商品名「ノバロンAG300」(主成分はリン酸ジルコニウム、銀;担持金属はジルコニウム、銀)
・消臭剤E:活性炭、フタムラ化学株式会社製
・消臭剤F:ゼオライト、水澤化学工業株式会社製
・香料A:花王株式会社製、商品名「U−YBPS−1」
・香料B:花王株式会社製、商品名「U−XLF−1」
・消臭剤B:花王株式会社製、商品名「ポリマーD」(前記金属担持有機多孔質粒子;主成分はジビニルベンゼン、ビニルピリジン;担持金属は銀;金属担持量0.3質量%)
・消臭剤C:水澤化学工業株式会社製、商品名「ミズカナイトHP」(主成分は二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム;担持金属は亜鉛;金属担持量30質量%)
・消臭剤D:東亜合成株式会社製、商品名「ノバロンAG300」(主成分はリン酸ジルコニウム、銀;担持金属はジルコニウム、銀)
・消臭剤E:活性炭、フタムラ化学株式会社製
・消臭剤F:ゼオライト、水澤化学工業株式会社製
・香料A:花王株式会社製、商品名「U−YBPS−1」
・香料B:花王株式会社製、商品名「U−XLF−1」
〔性能評価〕
各実施例、比較例及び参考例の吸収性物品用シートについて、香り安定性(香りの絶対評価、香りの強さ相対評価)、硫化水素吸着量、ジアセチル吸着量、抗菌活性値をそれぞ
れ下記方法により評価した。その結果を下記表1に示す。
各実施例、比較例及び参考例の吸収性物品用シートについて、香り安定性(香りの絶対評価、香りの強さ相対評価)、硫化水素吸着量、ジアセチル吸着量、抗菌活性値をそれぞ
れ下記方法により評価した。その結果を下記表1に示す。
<香り安定性の評価方法>
測定対象のシートから平面視四角形形状(寸法:65mm×100mm)を切り出して測定サンプルとした。測定サンプルを密閉可能な非通気性の袋内に封入し、その袋ごと温度50℃に設定している恒温室に1週間保存した。その後、恒温室から袋を取り出し開封して、測定サンプルの香りを官能評価した。この香りの官能評価は、前記手順を経た(即ち50℃で1週間保存された)測定サンプルについて、下記の香りの絶対評価及び香りの強さの相対評価をそれぞれ実施することによって実施した。
香りの絶対評価は、5名のモニター(臭気判定士の指導を受け6段階臭気強度表示法に則って臭気評価が実施できる者)に評価させた。その評価基準は以下の通りである。即ち、香りの強度を0〜5の評価スコアによる6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価スコアは、「0」無臭、「1」極わずかに匂う(検知閾値)、「2」弱く匂う(認知閾値)、「3」はっきり匂う、「4」強く匂う、「5」かなり強く匂う、を示す。匂いの強度の判定は0.5刻みで行い、5人の評価の平均値を6段階臭気強度表示法による評価として下記表1に示した。
香りの強さの相対評価は、比較例1の吸収性物品用シート(消臭剤無添加のシート)の香りを基準として、5名のモニター(臭気判定士の指導を受け6段階臭気強度表示法に則って臭気評価が実施できる者)に評価させた。その評価基準は以下の通りである。即ち、香りの基準を1〜4の評価スコアによる評価を行った。「1」基準と同等、「2」基準と比較し若干異なる、「3」基準と比較しやや異なる、「4」基準と比較し明らかに異なる、を示す。香りの強度の判定は、5人の評価の平均値による評価として下記表1に示した。
測定対象のシートから平面視四角形形状(寸法:65mm×100mm)を切り出して測定サンプルとした。測定サンプルを密閉可能な非通気性の袋内に封入し、その袋ごと温度50℃に設定している恒温室に1週間保存した。その後、恒温室から袋を取り出し開封して、測定サンプルの香りを官能評価した。この香りの官能評価は、前記手順を経た(即ち50℃で1週間保存された)測定サンプルについて、下記の香りの絶対評価及び香りの強さの相対評価をそれぞれ実施することによって実施した。
香りの絶対評価は、5名のモニター(臭気判定士の指導を受け6段階臭気強度表示法に則って臭気評価が実施できる者)に評価させた。その評価基準は以下の通りである。即ち、香りの強度を0〜5の評価スコアによる6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価スコアは、「0」無臭、「1」極わずかに匂う(検知閾値)、「2」弱く匂う(認知閾値)、「3」はっきり匂う、「4」強く匂う、「5」かなり強く匂う、を示す。匂いの強度の判定は0.5刻みで行い、5人の評価の平均値を6段階臭気強度表示法による評価として下記表1に示した。
香りの強さの相対評価は、比較例1の吸収性物品用シート(消臭剤無添加のシート)の香りを基準として、5名のモニター(臭気判定士の指導を受け6段階臭気強度表示法に則って臭気評価が実施できる者)に評価させた。その評価基準は以下の通りである。即ち、香りの基準を1〜4の評価スコアによる評価を行った。「1」基準と同等、「2」基準と比較し若干異なる、「3」基準と比較しやや異なる、「4」基準と比較し明らかに異なる、を示す。香りの強度の判定は、5人の評価の平均値による評価として下記表1に示した。
<硫化水素吸着量の測定方法>
測定対象のシートから10cm四方を切り出して測定サンプルとし、共栓付き三角フラスコに入れた。測定サンプルの入ったフラスコ内に、硫化水素の濃度が1000ppmである硫化水素/窒素混合ガス(高千穂化学工業株式会社製)を、5mLのシリンジを用いて4ppm注入後、速やかにフラスコの口を共栓で閉鎖して30分静置した。その後、硫化水素検知管(株式会社ガステック製の4LT)を用いてフラスコ内に残留する硫化水素量を測定し、その測定値がゼロ即ち残留硫化水素が無い場合は、前記と同様に、フラスコ内に硫化水素/窒素混合ガスを4ppm注入、30分静置、残留硫化水素量の測定を実施した。フラスコ内に残留硫化水素が検知されるまでにフラスコ内に注入した硫化水素の総量を、当該測定対象のシートの硫化水素吸着量とした。硫化水素は、ヒトの排泄物の腐敗臭の主成分であり、硫化水素吸着量が多いほど、排泄物に起因する不快な臭いの低減効果が高いと判断され、高評価となる。
測定対象のシートから10cm四方を切り出して測定サンプルとし、共栓付き三角フラスコに入れた。測定サンプルの入ったフラスコ内に、硫化水素の濃度が1000ppmである硫化水素/窒素混合ガス(高千穂化学工業株式会社製)を、5mLのシリンジを用いて4ppm注入後、速やかにフラスコの口を共栓で閉鎖して30分静置した。その後、硫化水素検知管(株式会社ガステック製の4LT)を用いてフラスコ内に残留する硫化水素量を測定し、その測定値がゼロ即ち残留硫化水素が無い場合は、前記と同様に、フラスコ内に硫化水素/窒素混合ガスを4ppm注入、30分静置、残留硫化水素量の測定を実施した。フラスコ内に残留硫化水素が検知されるまでにフラスコ内に注入した硫化水素の総量を、当該測定対象のシートの硫化水素吸着量とした。硫化水素は、ヒトの排泄物の腐敗臭の主成分であり、硫化水素吸着量が多いほど、排泄物に起因する不快な臭いの低減効果が高いと判断され、高評価となる。
<ジアセチル吸着量の測定方法>
測定対象のシートから10cm四方を切り出して測定サンプルとし、共栓付き三角フラスコに入れる。測定サンプルの入ったフラスコ内に、ジアセチル(和光純薬株式会社製)を、5mLのシリンジを用いて100ppm注入後、速やかにフラスコの口を共栓で閉鎖して30分静置した。その後、ジアセチル検知管(株式会社ガステック製の92)を用いてフラスコ内に残留するジアセチル量を測定し、その測定値がゼロ即ち残留ジアセチルが無い場合は、前記と同様に、フラスコ内にジアセチルを100ppm注入、30分静置、残留ジアセチル量の測定を実施した。フラスコ内に残留ジアセチルが検知されるまでにフラスコ内に注入したジアセチルの総量を、当該測定対象のシートのジアセチル吸着量とした。ジアセチルは、女性のおりものの臭いの主成分であり、ジアセチル吸着量が多いほど、排泄物に起因する不快な臭いの低減効果が高いと判断され、高評価となる。
測定対象のシートから10cm四方を切り出して測定サンプルとし、共栓付き三角フラスコに入れる。測定サンプルの入ったフラスコ内に、ジアセチル(和光純薬株式会社製)を、5mLのシリンジを用いて100ppm注入後、速やかにフラスコの口を共栓で閉鎖して30分静置した。その後、ジアセチル検知管(株式会社ガステック製の92)を用いてフラスコ内に残留するジアセチル量を測定し、その測定値がゼロ即ち残留ジアセチルが無い場合は、前記と同様に、フラスコ内にジアセチルを100ppm注入、30分静置、残留ジアセチル量の測定を実施した。フラスコ内に残留ジアセチルが検知されるまでにフラスコ内に注入したジアセチルの総量を、当該測定対象のシートのジアセチル吸着量とした。ジアセチルは、女性のおりものの臭いの主成分であり、ジアセチル吸着量が多いほど、排泄物に起因する不快な臭いの低減効果が高いと判断され、高評価となる。
<抗菌活性値の評価方法>
供試菌をニュートリエントブロス(液体培地)で24時間培養した。菌液の吸光度を測定し、1〜3×108個/mLに調製した。この菌液0.4mLを新しいニュートリエントブロスに接種し、さらに3時間培養した。ここで、再び菌液の吸光度を測定し、1/20濃度のニュートリエントブロスで1〜3×105個/mLの菌濃度に調製して試験菌懸濁液とした。
滅菌した抗菌加工布と綿標準白布(0.4g)に試験菌懸濁液を0.2mL接種した後、バイアル瓶中で37℃、18時間培養した。
培養後、洗い出し用生理食塩水(界面活性剤0.2質量%添加、20mL入れて混合した)で抗菌加工布と綿標準白布上の菌を洗い出した後、この洗い出し液の10倍希釈系列混釈平板を作成し、37℃、24〜48時間培養後、コロニー数を計数した。さらに、コロニー数に希釈倍率と洗い出し用生理食塩水液量(20mL)を乗じて抗菌加工布と綿標準白布上に存在した生菌数を算出した。
同様に、抗菌加工布と綿標準白布に試験菌懸濁液を0.2mL接種した直後の生菌数も上記の方法で計算した。
次式から抗菌活性値を求めた。次式中の各項の詳細は下記の通りである。
抗菌活性値=(logCt−logC0)−(logTt−logT0)
logCt:log(平均(綿標準布18時間培養の生菌数))
logC0:log(平均(綿標準布接種直後の生菌数))
logTt:log(平均(抗菌加工布18時間培養の生菌数))
logT0:log(平均(抗菌加工布接種直後の生菌数))
供試菌をニュートリエントブロス(液体培地)で24時間培養した。菌液の吸光度を測定し、1〜3×108個/mLに調製した。この菌液0.4mLを新しいニュートリエントブロスに接種し、さらに3時間培養した。ここで、再び菌液の吸光度を測定し、1/20濃度のニュートリエントブロスで1〜3×105個/mLの菌濃度に調製して試験菌懸濁液とした。
滅菌した抗菌加工布と綿標準白布(0.4g)に試験菌懸濁液を0.2mL接種した後、バイアル瓶中で37℃、18時間培養した。
培養後、洗い出し用生理食塩水(界面活性剤0.2質量%添加、20mL入れて混合した)で抗菌加工布と綿標準白布上の菌を洗い出した後、この洗い出し液の10倍希釈系列混釈平板を作成し、37℃、24〜48時間培養後、コロニー数を計数した。さらに、コロニー数に希釈倍率と洗い出し用生理食塩水液量(20mL)を乗じて抗菌加工布と綿標準白布上に存在した生菌数を算出した。
同様に、抗菌加工布と綿標準白布に試験菌懸濁液を0.2mL接種した直後の生菌数も上記の方法で計算した。
次式から抗菌活性値を求めた。次式中の各項の詳細は下記の通りである。
抗菌活性値=(logCt−logC0)−(logTt−logT0)
logCt:log(平均(綿標準布18時間培養の生菌数))
logC0:log(平均(綿標準布接種直後の生菌数))
logTt:log(平均(抗菌加工布18時間培養の生菌数))
logT0:log(平均(抗菌加工布接種直後の生菌数))
表1に示す通り、各実施例の吸収性物品用シートは、香料及び抗菌剤を有し且つ活性炭
を有しないことに起因して、各比較例及び参考例に比して、香りの安定性に優れ、さらに抗菌性能にも優れていた。
比較例1及び2の吸収性物品用シートは、それぞれ、抗菌剤を有していないため抗菌性能に乏しく、また、比較例3の吸収性物品用シートは、抗菌剤を有していないことに加えてさらに活性炭を有しているため、香りの安定性に欠ける結果となった。
を有しないことに起因して、各比較例及び参考例に比して、香りの安定性に優れ、さらに抗菌性能にも優れていた。
比較例1及び2の吸収性物品用シートは、それぞれ、抗菌剤を有していないため抗菌性能に乏しく、また、比較例3の吸収性物品用シートは、抗菌剤を有していないことに加えてさらに活性炭を有しているため、香りの安定性に欠ける結果となった。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性物品用シート(吸収性シート)
5 周縁シール部
6 セカンドシート
7 凹部
A 排泄部領域
B 前方領域
C 後方領域
X 縦方向
Y 横方向
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性物品用シート(吸収性シート)
5 周縁シール部
6 セカンドシート
7 凹部
A 排泄部領域
B 前方領域
C 後方領域
X 縦方向
Y 横方向
Claims (6)
- 香料及び抗菌剤を有し、活性炭を有しない吸収性物品用シート。
- 前記抗菌剤が粒子である請求項1に記載の吸収性物品用シート。
- 前記抗菌剤の粒子の平均粒径が0.1μm以上1000μm以下である請求項2に記載の吸収性物品用シート。
- 前記抗菌剤の粒子の比表面積が500m2/g以下である請求項2又は3に記載の吸収性物品用シート。
- 前記抗菌剤の粒子の比表面積が10m2/g以上である請求項2〜4の何れか1項に記載の吸収性物品用シート。
- 表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い裏面シートとを具備し、両シート間に、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品用シートが配されている吸収性物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017068267A JP2018166937A (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 吸収性物品用シート及び吸収性物品 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2018166937A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022085417A1 (ja) * | 2020-10-20 | 2022-04-28 | 花王株式会社 | 吸収性物品 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008144328A (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-26 | Uni Charm Corp | 機能性シートおよび吸収性物品 |
JP2009529371A (ja) * | 2006-03-10 | 2009-08-20 | ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー | 防臭フィルムを有する使い捨て吸収性用品 |
JP2011030900A (ja) * | 2009-08-04 | 2011-02-17 | Kao Corp | 吸収性物品 |
JP2016169446A (ja) * | 2015-03-11 | 2016-09-23 | 花王株式会社 | 薄葉紙 |
-
2017
- 2017-03-30 JP JP2017068267A patent/JP2018166937A/ja active Pending
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JP2022067401A (ja) * | 2020-10-20 | 2022-05-06 | 花王株式会社 | 吸収性物品 |
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