以下、先ず、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき説明する。図1は、本発明の吸収性物品の第1実施形態である使い捨ておむつを各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態(展開状態)を模式的に示す肌当接面側(表面シート側)の平面図、図2は、図1のX−X線断面(おむつの幅方向断面)を模式的に示す断面図である。
第1実施形態のおむつ1は、図1及び図2に示すように、肌当接面を形成する液透過性の表面シート2、非肌当接面を形成する液不透過性の裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に配置された液保持性の吸収体4を具備し、実質的に縦長に形成されている展開型のものである。おむつ1は、背側部A、腹側部B及びこれらの間に位置する股下部Cを長手方向に有している。背側部Aは着用者の背側に位置する部位、腹側部Bは着用者の腹側に位置する部位、股下部Cは着用者の股下に位置する部位である。股下部Cは、おむつ1の長手方向中央部に位置している。尚、本明細書において、肌当接面は、吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
おむつ1は、股下部Cの長手方向に沿った両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、全体として長手方向中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。表面シート2は、吸収体4よりも外形寸法の大きい略矩形状の平面視形状を有しており、裏面シート3の幅方向中央部に配されている。裏面シート3は、おむつの外形形状に一致する砂時計状の外形を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ吸収体4の長手方向両端縁部及び幅方向両側縁部から外方に延出しており、それらの延出部において直接的に又は他の部材を介在させて接着剤やシール接合等の接合手段により互いに接合されている。吸収体4は、平面視して矩形形状をしており、その長手方向をおむつ1の長手方向に一致させておむつ1の略中央部に配されている。
第1実施形態における吸収体4は、図2に示すように、液保持性の吸収性コア5及び該吸収性コア5を包む液透過性のコアラップシート6を備えている。第1実施形態においては、吸収性コア5は平面視して矩形形状をしている。また、コアラップシート6は1枚のシートからなり、矩形形状の吸収性コア5の肌当接面側及び非肌当接面側の全域を覆うように配されている。吸収性コア5とコアラップシート6との間は、所定の部位においてホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されていても良い。
第1実施形態における吸収性コア5は、繊維を主体とする繊維層50と、吸水性樹脂を主体とする吸水性樹脂層51とを含んで構成され、且つ上下2層の繊維層50の間に吸水性樹脂層51が介在配置されてなる吸収構造体を含んでいる。より具体的には、第1実施形態における吸収性コア5は、3層の繊維層50と2層の吸水性樹脂層51とを有し、繊維層50と吸水性樹脂層51とが厚み方向に交互に積層されて構成されている。前記吸収構造体は、例えば、繊維層50の片面に粒子状の吸水性樹脂を散布した後、その樹脂散布面に別の繊維層50を重ね合わせることによって得られる。繊維層50における吸水性樹脂との接触面には、必要に応じホットメルト接着剤等の接着剤を塗布しておいても良い。
繊維層50(吸水性コア5)に含まれる繊維としては、当該技術分野において吸収体に通常用いられているものを適宜用いることができ、例えば、針葉樹晒しクラフトパルプ、広葉樹晒しクラフトパルプ等の木材パルプ;藁、綿等の非木材パルプ;レーヨン、リヨセル、テンセル、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコールなどの親水性の(半)合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、セルロースジアセテート及びセルローストリアセテートの両成分を含む1種類の繊維を用いることもできる。繊維層50における繊維の含有量は、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは20〜70質量%である。繊維層50には、繊維以外の成分を適宜含有させても良い。繊維層50としては、紙、不織布等を用いることができる。
吸水性樹脂層51に含まれる吸水性樹脂としては、当該技術分野において通常用いられているものを適宜用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また前記吸水性樹脂としては、通常は粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでも良い。粒子状の吸水性樹脂には、不定形状、塊状、俵状、球状、球状が複数凝集した形状等があり、何れ形状でも良い。
各繊維層50の坪量は、好ましくは10〜1000g/m2、更に好ましくは20〜500g/m2である。各吸水性樹脂層51の坪量は、好ましくは10〜500g/m2、更に好ましくは50〜300g/m2である。吸収性コア5の坪量は、好ましくは10〜1000g/m2、更に好ましくは20〜500g/m2である。
コアラップシート6は、消臭剤が含有された消臭剤含有シートを含んで構成されている。第1実施形態におけるコアラップシート6は、繊維を主体とするシート中に消臭剤が担持されている構造の消臭剤含有シートのみから構成されている。この繊維を主体とするシートとしては、液透過性のシートが好ましく、例えば、紙;スパンボンド、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)、スパンレース、エアスルー、エアレイド等の不織布等が挙げられ、特に紙又はエアレイド不織布が好ましい。前記消臭剤含有シートに含まれる繊維としては、前述した繊維層50(吸収性コア5)に含まれる繊維と同じものを用いることができる。前記消臭剤含有シートにおける繊維の含有量は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60.0〜99.9質量%である。
コアラップシート6に含有される消臭剤としては、活性炭、無機多孔質微粒子、有機多孔質粒子及び抗菌性物質からなる群から選択される1種以上が挙げられる。尚、ここでいう消臭剤とは、臭気に直接作用して(即ち臭気を吸着、中和、分解等して)消臭効果を発現するもののみならず、例えば抗菌性物質のように、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現するものも含む。以下、各消臭剤について説明する。
活性炭(消臭剤)は、細孔構造を有する多孔性物質で大きな比表面積を有し、高い吸着性を有する特徴がある。活性炭の原料には通常、ヤシ殻、木材等の炭化物、石炭が使用されるが、本発明では何れでも良い。また活性炭の賦活法には、水蒸気や二酸化炭素により高温で処理するガス賦活法、あるいは塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等で処理する薬品賦活法があるが、本発明では何れの方法により得られたものでも良い。
また活性炭は、形状によって繊維状活性炭と粒子状活性炭とに分けられ、更に粒子状活性炭として破砕炭、造粒炭、顆粒炭及び球状炭が挙げられ、その他粉末状の活性炭微粒子があるが、本発明では何れでも良い。粒子状活性炭の平均粒子径は、風合いや活性炭粒子の歩留まりの観点から、好ましくは1〜500μm、更に好ましくは10〜200μmである。活性炭の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布計を用いて常法に従って測定することができる。
無機多孔質粒子(消臭剤)としては、抗菌作用を有する物質(粒子状物質)であれば良く、例えば、銀カンクリナイト、銀ゼオライト、銅ゼオライト、酸化亜鉛、リン酸ジルコニウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
特に好ましい無機多孔質粒子は、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物(以下、金属置換カンクリナイト様鉱物ともいう)である。金属置換カンクリナイト様鉱物は、カンクリナイト様鉱物中の金属元素が、抗菌性を有する金属元素で置換されたものである。金属置換カンクリナイト様鉱物は、広い消臭スペクトルをもち、種々の悪臭、例えばアンモニア、アミン、ピリジン等のアルカリ性臭、低級脂肪酸、メルカプタン等の酸性臭、その他エステル、ケトン、アルデヒド等の中性臭からなる悪臭に対して良好な消臭作用を有する。また、金属置換カンクリナイト様鉱物の粒子は、テトラポッド状、金平糖状ないしウニ状の形状を有し、その形状に起因してパルプなどの繊維材料への付着性が極めて良いという利点も有している。
前記カンクリナイト様鉱物は、アルミノシリケート系化合物に類似の構造を有するものである。本発明においてカンクリナイト様鉱物とは、JCPDS(ジョイント・コミッティ・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ)No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515及び45−1373からなる群より選ばれる1種以上のX線回折パターンを有するものをいう。X線回折パターンにおいて、d=0.365±0.015nmに主たるピークを有するものが好ましい。
金属置換カンクリナイト様鉱物における抗菌性を有する金属としては、例えば銀、銅、亜鉛、ジルコニウム等が挙げられる。金属置換カンクリナイト様鉱物の平均粒子径は、0.1〜1000μm、特に0.4〜600μm、とりわけ1〜100μmであることが、消臭速度が高くなる点及び粉末流動性が良好になる点から好ましい。金属置換カンクリナイト様鉱物の平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用い、相対屈折率1.16にて測定する。金属置換カンクリナイト様鉱物としては、本出願人の先の出願に係る特許文献2に記載のものを用いることができる。
有機多孔質粒子(消臭剤)は、細孔構造を有する多孔性有機微粒子で大きな比表面積を有し、高い吸着性を有する特徴がある。有機微粒子としては、例えば、2,6−ジフェニルーp−フェニレンオキサイドベースポリマー、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体等の多孔性ポリマーが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
特に好ましい有機多孔質粒子は、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られる粒子(以下、ビニル共重合粒子ともいう)である。とりわけ、BET比表面積が10m2/g以上で且つ金属イオンを含有しているビニル共重合粒子は、大きなBET比表面積による物理消臭能と、担持した金属イオンによる化学消臭能とを兼ね備え、格段に高い消臭能を持つため、本発明で好ましく用いられる。
前記架橋性ビニルモノマーは、ビニル基を二つ以上有するモノマーである。架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジビニルベンゼンが好ましい。モノマー成分中の架橋性ビニルモノマーの割合が大きいほど、BET比表面積の大きいビニル共重合粒子が得られる。従って、全モノマー成分中における架橋性ビニルモノマーの割合は、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。該割合の上限は、98質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
前記ヘテロ芳香環を有するビニルモノマーは、ビニル基及びヘテロ芳香環を含む化合物であれば特に制限されない。ヘテロ芳香環とは、環状の有機化合物における環であって、構成要素として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子などを含むものをいう。窒素原子を含むものとしては、ピリジン、ピロール、キノリン等の窒素原子を環に1個有するもの、イミダゾール、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール等の窒素原子を環に2個有するものが例示される。また、チオフェン、チアゾール等の硫黄原子を環に有するもの、フラン等の酸素を環に有するものが例示される。ヘテロ原子の有する孤立電子対が悪臭物質の吸着を高め、また、金属イオンの化学結合に関与するものと考えられる。これらの中でも、ピリジン、イミダゾール、ピリミジンが好ましい。ヘテロ芳香環を有するビニルモノマーとしては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリミジン等が挙げられ、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンが好ましい。
前記ビニル共重合粒子においては、モノマー成分として、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマー以外に、これらと共重合可能な他のモノマーを用いることができる。該他のモノマーとしては、例えば、芳香族系ビニルモノマー、不飽和酸エステル、不飽和酸等が挙げられる。芳香族系ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルベンジルクロライド等が例示され、不飽和酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が例示され、不飽和酸としては、(メタ)アクリル酸が例示される。また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等も用いることができる。これらの中では芳香族系ビニルモノマーが好適であり、特にスチレンが好ましい。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
前記ビニル共重合粒子は、更に金属イオンを含有(担持)していることが好ましい。ビニル共重合粒子は、そのポリマー表層に存在するヘテロ芳香環との配位結合により、その細孔表面に金属イオンを担持させることが可能である。この場合、アンモニア、アミン類、メルカプタン類、脂肪酸等の悪臭ガスは、金属イオンとの配位結合によりビニル共重合粒子に吸着される。つまり、金属イオンを担持したビニル共重合粒子は、大きなBET比表面積による物理消臭能と、担持した金属イオンによる化学消臭能とを兼ね備えた格段に高い消臭能を持つ粒子である。
前記ビニル共重合粒子に含有される金属イオンとしては、例えば、銀イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、コバルトイオン、ジルコニウムイオン、セリウムイオン、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオン、白金イオン等が挙げられ、銀イオン、亜鉛イオンが好ましい。ビニル共重合粒子における金属イオン含有率は、ビニル共重合粒子に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。ビニル共重合粒子における金属イオン含有率の上限は、特に制限されないが、ビニル共重合粒子に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。ビニル共重合粒子における金属イオン含有率は、例えば、モノクロ励起EDX蛍光X線を用いて測定することができる。
前記ビニル共重合粒子に金属イオンを担持させるために用いられる金属塩は、水又は有機溶剤に溶解するものであれば特に制限されない。該金属塩としては、例えば、硝酸銀、硝酸アルミニウム、硝酸コバルト、硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、硝酸銅、硝酸ニッケル、酢酸銀、塩化セリウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、塩化銅、過塩素酸銀、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸白金、過塩素酸亜鉛、過塩素酸ジルコニウム、硫酸銀、硫酸アルミニウム、硫酸銅、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種類以上用いてもよい。特に好ましくは硝酸銀、酢酸銀、及び塩化亜鉛である。
前記ビニル共重合粒子のBET比表面積は、架橋性ビニルモノマーの割合や、重合に用いる有機溶剤の選定により任意に設定することができるが、大きいほど消臭効果が高い。高い物理消臭能を有する観点から、BET比表面積は10m2/g以上であり、50m2/g以上が好ましく、200m2/g以上がより好ましく、300m2/g以上がさらに好ましい。BET比表面積の上限は特に限定されないが、800m2/g以下が好ましい。BET比表面積は、次のようにして求められる。
<BET比表面積の算出方法>
フローソーブ2300(島津製作所製)を用いてBET1点法により求めた。吸着ガスは、窒素30体積%、ヘリウム70体積%のガスを用いた。試料の前処理として、120℃で10分間、吸着ガスの流通を行った。その後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求めた。試料の質量で除して比表面積を求めた。
前記ビニル共重合粒子の体積平均径は、特に限定されず用途に応じて適当なものを選定することができるが、好ましくは1〜1000μm、更に好ましくは5〜200μmである。体積平均径は、例えば、測定対象の粒子をコーヒーミル等で解砕し、この解砕物をヘキサンに分散させた状態で、コールターカウンター(Coulter Corporation製)により測定することができる。
前記ビニル共重合粒子は、水中油型懸濁重合法又は沈殿重合法により製造することが好ましい。
抗菌性物質(消臭剤)としては、皮膚の抗菌用に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等の陽イオン界面活性剤、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロカルバン、トリクロサン、ハロカルバン及びパラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。これらの抗菌性物質は単独で用いても、又は2種以上を混合して用いてもよい。特に、酵素阻害効果と吸収性能の観点から、抗菌性物質としては、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどの4級アンモニウム塩型の界面活性剤が好ましい。
前述した各消臭剤(活性炭、無機多孔質微粒子、有機多孔質粒子、抗菌性物質)は、コアラップシート6を構成する消臭剤含有シート中に担持されている。消臭剤含有シート中に消臭剤が担持されている状態とは、消臭剤が、消臭剤含有シートの構成繊維によって形成される空間内に入り込み、消臭剤含有シートに対して外部から応力が加わっても消臭剤の極端な移動や脱落が起こりにくくなっている状態をいう。このような消臭剤の担持状態をより強力なものとする観点から、消臭剤と消臭剤含有シートの構成繊維との間は、融着繊維(バインダー繊維)、ホットメルト粘着剤、合成バインダー等の結合剤によって結合されていても良い。
前記消臭剤含有シートには、前述した繊維及び消臭剤に加えて、必要に応じ、湿潤紙力増強剤、定着剤、地合調整剤、消泡剤、剥離剤等を含有させることができる。前記消臭剤含有シートは、例えば、1)繊維及び消臭剤を含む水性液を原料とした湿式抄紙法、2)消臭剤が含まれていないシートを製造し、該シートを、別途調製した消臭剤を含む液中に浸漬する方法、3)消臭剤が含まれていないシートを製造し、該シートに、別途調製した消臭剤を含む液をスプレー等を用いて噴霧する方法等によって製造することができる。
前記消臭剤含有シートにおける消臭剤の含有量は、消臭剤の種類に応じて適宜設定することができる。活性炭の含有量は、消臭剤含有シートの全質量に対して、好ましくは0.5〜50質量%、更に好ましくは2〜25質量%である。無機多孔質粒子(前記金属置換カンクリナイト様鉱物)の含有量は、消臭剤含有シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%である。有機多孔質粒子(前記ビニル共重合粒子)の含有量は、消臭剤含有シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。抗菌性物質(前記4級アンモニウム塩型の界面活性剤)の含有量は、消臭剤含有シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
前記消臭剤含有シートの坪量は、好ましくは5〜100g/m2、更に好ましくは10〜70g/m2である。また前記消臭剤含有シートの厚み(無荷重下における厚み)は、好ましくは0.05〜10mm、更に好ましくは0.1〜5mmである。
尚、本発明の吸収性物品は、前述した各消臭剤(活性炭、無機多孔質微粒子、有機多孔質粒子、抗菌性物質)が含有された消臭剤含有シートを含んでいれば良く、該消臭剤含有シートに加えて、更に消臭剤を含有していても良い。その場合、消臭剤の含有形態は特に限定されず、例えば、吸収性コアを包むコアラップシートに含有させる;吸収性コア内の親水性繊維や吸水性樹脂に付着させる;予め吸水性樹脂内に水溶液の状態で含浸させておく;等でも良い。特に、β−グルクロニダーゼ阻害効果を高める、あるいは界面活性剤の溶解による排泄液の表面張力の低下に伴う液戻りや透湿性裏面シートからのにじみを抑える等の観点から、吸水性樹脂の近傍あるいは吸収性樹脂の内部に、前述した各消臭剤が存在していることが好ましい。
第1実施形態のおむつ1は、上述した消臭剤含有シートに加えて、β−グルクロニダーゼ阻害剤を含んでいる。β−グルクロニダーゼ阻害剤をおむつに含ませることによって、尿臭の原因物質であるフェノール系化合物及びインドール類の増加が抑制され、不快な尿臭の発生を持続的に抑制することが可能になる。
β−グルクロニダーゼは、各種のアルコール類、フェノール類、アミン類等がグルクロン酸抱合された化合物(グルクロニド)を加水分解する酵素をいい、細菌、真菌、植物、動物など多くの生物に存在する。体外に排出された尿の分解には微生物の関与が大きいため、本発明においては、細菌及び真菌由来のβ−グルクロニダーゼが重要である。具体的には、Escherichia coli、Lactobacillus brevis、Propionibacterium acnes、Clostridium perfringens、Staphylococcus haemolyticus、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pyogenes、Haemophilus somunus、Shigela sonnei、Aspergillus niger等由来のβ−グルクロニダーゼが挙げられる。これらの微生物由来のβ−グルクロニダーゼは共通のドメインを有する酵素群に分類される。更にはヒト血漿由来のβ−グルクロニダーゼも同様のタンパク質群に分類される。
本発明において用いられるβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、下記のβ-グルクロニダーゼ活性阻害率の測定方法において、反応液中0.1重量%添加することによって、活性が60%以上抑制されるβ−グルクロニダーゼ阻害活性を示すものをいう。更に、前記反応液中0.01重量%添加することによって、前記活性を80%以上抑制するものであることが好ましい。
<β-グルクロニダーゼ活性阻害率の測定方法>
γ線滅菌済み容器中にて2mM・p−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(PNPG)水溶液100μL、0.5Mリン酸バッファー(pH6.8)40μL、イオン交換水38μL、各種化合物又は植物抽出物の10又は1重量%DPG(ジプロピレングリコール)溶液2μLを混合し、続いて16units/mLに調整したβ-グルクロニダーゼ水溶液20μLを加えて37℃恒温槽中で2時間酵素反応を行った。また一部の化合物については、さらに0.1重量%DPG溶液についても同様の実験を行った(供した化合物及び植物抽出物の反応液中での濃度はそれぞれ、0.1重量%、0.01重量%、0.001重量%となる)。また、前記化合物及び植物抽出物の代わりにDPGを加えたものをコントロールとし、各サンプル及びコントロールごとに酵素液の代わりにイオン交換水を加えたものをブランクとして、それぞれ同様に2時間反応を行った。前記反応液を0.2Mグリシンバッファー(pH10.4)を用いて希釈し、波長400nmにおける吸光度を測定した。得られた測定値より、次式に従ってβ-グルクロニダーゼ活性阻害率を求める。次式中、コントロール吸光度変化=(コントロールの吸光度−コントロールごとのブランクの吸光度)であり、また、サンプル吸光度変化=(サンプルの吸光度−サンプルごとのブランクの吸光度)である。 β-グルクロニダーゼ活性阻害率(%)=[(コントロール吸光度変化−サンプル吸光度変化)/(コントロール吸光度変化]×100
本発明におけるβ−グルクロニダーゼ阻害剤としては、上述したβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有するものを用いることができる。具体的には、例えばゴバイシタンニン、テンダイウヤク、アケビ等の植物抽出物;グルカロラクトン、グロバノン、ムスセノネデルタ、アンブレトライド、シベトーン、オキサライド、メチルオクチンカルボネート、エストラゴール、ムスクTM−II、ムスクZ−4、2−フェニルシクロペンテンオン、ベチベロール、メチルイオネン−G、シクラメナルデヒド、ヌーカトン、D−グルカロ−1,4−ラクトン、シス−ジャスモン、ターピニルアセテート、オルビトーン、リナリルアセテート、フェニルエチルイソアミルエーテル、メチルイオネン−A、ムスコン等の香料;サニゾール等の界面活性剤等を用いることができる。これらの中でも特に、ゴバイシタンニン、グルカロラクトンは、β−グルクロニダーゼ阻害効果を高める、吸水性樹脂に対する影響を最小限に抑える等の観点から好ましい。
本発明においては、β−グルクロニダーゼ阻害剤として、動植物から単離したものを用いても良く、化学的に合成したものを用いても良い。また、これらの化合物を含有する精油などの植物抽出物、例えば、ベチバー油、バジル油、クローブ油、シナモン油、グレープフルーツ油等をそのままβ−グルクロニダーゼ阻害剤として用いても良い。これらの化合物又は植物抽出物は2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明におけるβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、吸収性物品の吸収性能を維持する観点から、吸水性樹脂に対する影響が少ないものを用いることが好ましい。ここで、吸水性樹脂に対する影響が少ないとは、β−グルクロニダーゼ阻害剤の存在下において吸水性樹脂の膨潤後のゲル経時安定性が良好であるという意味であり、このゲル経時安定性は下記の方法により評価することができる。
<吸水性樹脂の膨潤後のゲル経時安定性の評価法>
吸水性樹脂0.4gを、0.02%のβ−グルクロニダーゼ阻害剤及び0.05%のL−アスコルビン酸を含有した生理食塩水45gで膨潤させ、これを密閉したスクリュー管内に40℃で3時間放置した後、吸水性樹脂(ゲル)の状態を目視観察することにより、膨潤後のゲル経時安定性を評価した。尚、この膨潤後のゲル経時安定性の評価は、ゲルの流動性、曳糸性及び形状安定性について下記に示す評価基準により4段階で行った。ゲルの流動性については、スクリュー管を傾けつつ目視観察し、このときゲルに流動性が見られれば、吸水性樹脂の分解が進行し、ゲル経時安定性が低下していると判断した。また、曳糸性については、ゲルをスパーテルでかきまぜつつ目視観察し、このときゲルが糸をひいている状態が見られれば、吸水性樹脂の分解が進行し、ゲル経時安定性が低下していると判断した。また、形状安定性については、ゲルをスクリュー管から出して目視観察し、ゲルが液状になっているなど、ゲルの形状に変化が見られれば、吸水性樹脂の分解が進行し、ゲル経時安定性(形状安定性)が低下していると判断した。下記の評価基準においては、◎及び○の評価である場合に、当該吸水性樹脂の膨潤後のゲル経時安定性が良好であり、当該吸水性樹脂が生理用ナプキン、使い捨ておむつ、成人用シーツ、タンポン、衛生綿等の吸収性物品等に用いられる吸水性物質として好適であることを示す。
(評価基準)
◎:流動性なし、曳糸性なし、形状に変化なし
○:流動性若干あり、曳糸性若干あり、形状に変化若干あり
△:流動性あり、曳糸性あり、形状に変化があり一部液状
×:流動性あり、曳糸性あり、形状に変化があり半分以上が液状
おむつ1におけるβ−グルクロニダーゼ阻害剤の含有箇所は特に限定されず、例えば、吸収性コア5、コアラップシート6、後述する帯状シート11(立体ギャザー形成用シート)、表面シート2等、任意の箇所を選択できる。また、例えば表面シート2と吸収体4との間、あるいは吸収体4と裏面シート3との間に図示しないシート(サブレイヤー)を配置した場合には、このサブレイヤーにβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含有させても良い。サブレイヤーとしては表面シートと同様のものを用いることができる。また、β−グルクロニダーゼ阻害剤は、おむつの1箇所のみならず複数箇所に含有させることができる。β−グルクロニダーゼ阻害剤は、特に吸収体4、即ち吸収性コア5及び/又はコアラップシート6に含有させることが好ましく、とりわけ吸収性コア5に含有させることが、尿臭抑制効果の点で好ましい。
β−グルクロニダーゼ阻害剤は、吸水性樹脂に含有させても良く、繊維に含有させても良い。例えば、粒子状の吸水性樹脂とβ−グルクロニダーゼ阻害剤と混合することによって得られる、表面にβ−グルクロニダーゼ阻害剤が付着した吸水性樹脂粒子、あるいはパルプや合成繊維にβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含浸・付着させて得られる、β−グルクロニダーゼ阻害剤含有繊維は、何れも本発明で好適に用いられる。
おむつ1におけるβ−グルクロニダーゼ阻害剤の坪量は、好ましくは0.1〜20g/m2、更に好ましくは0.5〜10g/m2である。
以下、第1実施形態のおむつ1について更に説明する。おむつ1は、図1及び図2に示すように、その長手方向の両側に、一側縁部側が固定され且つ他側縁部側が表面シート2の肌当接面側に起立可能な一対の立体ギャザー10,10を具備している。立体ギャザー10は、帯状シート11と、該帯状シート11に伸長状態で固定された1本又は複数本(第1実施形態では2本)の立体ギャザー形成用弾性部材12とを具備している。帯状シート11は、図2に示すように、その幅方向の一側縁部側が、他の部材の肌当接面上に固定され且つその固定縁部13を立ち上がり基端13として、帯状シート11における該一側縁部側とは反対側の他側縁部側が表面シート2の肌当接面の上方に起立可能になされている。帯状シート11は、立ち上がり基端部13からおむつ1の幅方向外方に延出し、その延出部において裏面シート3と接合されている。また帯状シート11は、おむつ1の長手方向の前後端部においても、表面シート2又は裏面シート3上に接合されている。
おむつ1の長手方向に沿った両側部それぞれには、1本又は複数本(第1実施形態では2本)のレッグ弾性部材14が略直線状に配されている。レッグ弾性部材14は、立体ギャザー形成用弾性部材12よりも幅方向外方において、帯状シート11と裏面シート3との間に伸長状態で挟持固定されている。これによってレッグギャザーが形成されている。
また、背側部Aにおけるおむつ1の長手方向端部及びその近傍(ウエスト部)には、ウエスト弾性部材15が配設されてウエストギャザーが形成されている。ウエスト弾性部材15は、帯状の形態を有し、おむつ10の幅方向に沿って略全幅に亘って、表面シート2と裏面シート3との間に挟持固定されている。更に、背側部Aにおける胴回り部の両側部には、それぞれ複数本の胴回りギャザー形成用弾性部材16が配設されて左右一対の胴回りギャザーが形成されている。胴回りギャザー形成用弾性部材16は、幅方向に沿って略直線状に配され、表面シート2と裏面シート3との間に挟持固定されている。背側部Aにおける前記胴回り部は、図1に示すようにおむつ1を、その各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態(展開状態)とし、背側部A側を上側、腹側部B側を下側と考えた場合に、前記ウエスト部よりも下方に位置し且つ股下部Cよりも上方に位置する領域である。
また、第1実施形態のおむつ1は展開型のおむつであり、長手方向の一方の端部においては、その両側縁部に一対のファスニングテープ17が取り付けられている。また、腹側部Bの外表面(非肌当接面)上には、ファスニングテープ17の止着用のランディングテープ18が貼付されている。
おむつ1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2、裏面シート3及び帯状シート11(立体ギャザー形成用シート)としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。表面シート2としては、例えば、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート4及び帯状シート11としては、例えば、透湿性又は非透湿性の樹脂フィルム(開孔フィルム);該樹脂フィルムと不織布との積層体;撥水性不織布(サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンボンドーメルトブローンースパンボンド不織布、スパンボンドーメルトブローンーメルトブローンースパンボンド不織布等)等を用いることができる。
また、前記各種弾性部材12,14,15,16としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができ、素材としては、例えばスチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状または紐状(平ゴム等)またはテープ状のもの、或いはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
以下、本発明の他の実施形態について図3〜図8を参照して説明する。後述する他の実施形態については、上述した第1実施形態のおむつ1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、第1実施形態のおむつ1についての説明が適宜適用される。
図3は、本発明の吸収性物品の第2実施形態である使い捨ておむつにおける吸収体の幅方向断面(おむつ幅方向に沿った断面)を模式的に示す斜視図、図4は、図3の吸収体に用いられているコアラップシートの幅方向断面(おむつ幅方向に沿った断面)を模式的に示す断面図である。本発明におけるコアラップシートとしては、上述した、繊維を主体とするシート中に消臭剤を担持させた構造の消臭剤含有シートを単独で用いるだけでなく、該消臭剤含有シートと他のシートとを組み合わせて用いることもでき、第2実施形態においては、コアラップシートとして次の構成の積層シート7が採用されている。即ち、第2実施形態におけるコアラップシートは、2枚の繊維シートの間に前記消臭剤含有シートを介在させた積層シートで、該積層シートの少なくとも一側部の全体に亘って該消臭剤含有シートが介在していない積層シートである。斯かる構成の積層シートは、消臭剤の脱落防止や強度向上の点で特に有効であり、とりわけ消臭剤として活性炭を用いる場合に有効である。
第2実施形態におけるコアラップシート(積層シート)7は、図3及び図4に示すように、2枚の同サイズの長方形形状の繊維シート71,71の間に、該繊維シート71よりも幅方向の長さが短い長方形形状の消臭剤含有シート72を介在させてなる。そして、コアラップシート7におけるおむつ1の長手方向に沿った両側部7a,7aは、それぞれ側部7a全体に亘って消臭剤含有シート72が介在していない。両側部7a,7aは、それぞれ側部7a全体に亘って消臭剤含有シート72を介在させずに、2枚の繊維シート71,71を積層してなる2層構造部分である。側部7aにおける繊維シート71,71どうしがそれぞれ接合されることにより、コアラップシート7の両側部7a,7aが封止されて、該シート7の両側縁からの消臭剤の脱落がより効果的に防止される。
コアラップシート7の側部7aのおむつ幅方向の長さL1(図4参照)は特に制限されず、コアラップシート7のおむつ幅方向の全長L2(図4参照)等を考慮して適宜設定することができる。例えば前記全長L2が30cm程度(30cm±10cm)の場合、消臭剤の脱落防止と消臭機能とのバランスの観点から、前記長さL1は好ましくは0.2〜20cm、更に好ましくは0.5〜8cmである。
繊維シート71は、繊維を主体とし且つ消臭剤を実質的に含有しない、即ち消臭剤の含有量が0.1質量%以下のシートである。繊維シート71としては、例えば、紙;スパンレース不織布等の不織布等が挙げられる。繊維シート71に含まれる繊維としては、上述した繊維層50に含まれる繊維と同じものを用いることができる。繊維シート71における繊維の含有量は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60〜100質量%である。また、繊維シート71の坪量は、好ましくは5〜50g/m2、更に好ましくは10〜30g/m2であり、厚み(無荷重下における厚み)は、好ましくは1〜50mm、更に好ましくは5〜30mmである。一方、消臭剤含有シート72は、図2に示す第1実施形態のコアラップシート6と同様に構成することができる。
コアラップシート(積層シート)7は、繊維シート71と消臭剤含有シート72とを常法通り抄紙機上で抄き合わせるか、又は別途製造した繊維シート71と消臭剤含有シート72とを貼り合わせ機を用いて接着剤等により貼り合わせることにより、得られる。その後、スリット工程において所望のシート巾に調整されるが、その際、両側部7a,7aに消臭剤含有シート72が介在されていないため、消臭剤の脱落が起こり難く、製品及び製造ラインが汚れるおそれが少ない。
図5は、本発明の吸収性物品の第3実施形態である使い捨ておむつの図2相当図(おむつ幅方向に沿った断面図)である。第3実施形態は、吸収性コアとして、薄いシート状の吸収性シート55を用いている点以外は、第1実施形態と同様に構成されている。吸収性シート55は、繊維集合体からなる繊維シート56を複数枚(第3実施形態では2枚)積層してなる積層構造を備え、該積層構造における相対向する繊維シート56,56間(積層構造における繊維シート間のうちの少なくとも1つの繊維シート間)に粒子状の吸水性樹脂57が介在されており、且つ該複数枚の繊維シート56のうちの少なくとも1枚が前記消臭剤含有シート(第1実施形態におけるコアラップシート6と同様の構成のシート)である。吸水性樹脂57としては、第1実施形態における吸収性コア5に含まれるものと同様のものを用いることができる。また、吸収性シート55における複数枚の繊維シート56のうちの一部として前記消臭剤含有シート以外のシートを用いる場合、該シートしては、例えば第2実施形態における繊維シート71(繊維を主体とし且つ消臭剤を実質的に含有しないシート)を用いることができる。
吸収性シート55における吸水性樹脂57は、別途塗布された粘着剤(図示せず)や湿潤時に発現される吸水性樹脂57自体の粘着性によって、相対向する繊維シート56,56間に固定されている。吸水性樹脂57は、相対向する繊維シート56,56間の全域に均一に分布していても良く、あるいは相対向する繊維シート56,56間の一部に所定のパターンで分布していても良い。例えば相対向する繊維シート56,56間において、吸水性樹脂57がおむつ長手方向に延びる所定幅の直線状に散布され、且つこの直線状の散布部がおむつ幅方向に所定間隔を置いて複数位置されているパターンでも良い。
吸収性シート55の坪量は、好ましくは10〜1000g/m2、更に好ましくは20〜500g/m2である。また吸収性シート55の厚み(無荷重下における厚み)は、好ましくは1〜30mm、更に好ましくは2〜20mmである。吸収性シート55は、従来の混合積繊型の吸収体に比して厚みを薄く設計することが可能であるため、吸収性物品の薄型化を図ることができる。
図6は、本発明の吸収性物品の第4実施形態である使い捨ておむつの図3相当図(吸収体のおむつ幅方向に沿った断面を模式的に示す斜視図)である。第4実施形態は、吸収性コアとして、図5に示す吸収性シート55を用いている点以外は、第2実施形態と同様に構成されている。
図7は、本発明の吸収性物品の第5実施形態である使い捨ておむつの図2相当図(おむつ幅方向に沿った断面図)である。第5実施形態は、吸収性コアとして、繊維と粒子状の吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)との混合積繊体58を用いている点以外は、第1実施形態と同様に構成されている。繊維及び吸水性樹脂粒子は、それぞれ混合積繊体58中に略均一に分布している。混合積繊体58に含まれる繊維及び吸水性樹脂としては、第1実施形態における吸収性コア5に含まれるものと同様のものを用いることができる。混合積繊体58は、例えば当該技術分野において混合積繊型の吸収性コアの製造に用いられる公知の積繊装置を用いて常法に従って製造することができる。
図8は、本発明の吸収性物品の第6実施形態である使い捨ておむつの図3相当図(吸収体のおむつ幅方向に沿った断面を模式的に示す斜視図)である。第6実施形態は、吸収性コアとして、図7に示す混合積繊体58を用いている点以外は、第2実施形態と同様に構成されている。
本発明の吸収性物品においては、吸収性コアとして、前述したもの以外に例えば下記A)〜E)の薄型の吸収性シートを用いることができる。即ち、A)本出願人の先の出願に係る特開平9−156014号公報の〔発明の実施の形態〕に記載された吸収性シート;B)複数枚の紙あるいは不織布を重ね合わせ、相対向する紙あるいは不織布間を、所定のパターンで設けられた接合部を介して部分的に接合させ、隣接する該接合部によって区分けされた相対向する紙あるいは不織布間における空間内(非接合部)に、吸水性樹脂粒子を配した吸収性シート;C)不織布製造時に不織布化されるシートに吸水性樹脂粒子を散布し、該シートの不織布化と同時に該吸水性樹脂粒子を固定化して得られた吸収性シート;D)予め製造した不織布に吸水性樹脂粒子を散布して該吸水性樹脂粒子を固定化して得られた吸収性シート;E)公知のカード法等により作製した繊維集合体に吸水性樹脂粒子を直接重合・固定化して得られた吸収性シート。
次に、本発明の繊維シートについて説明する。本発明の繊維シートは、消臭剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含んでいる。
本発明の繊維シートは、繊維を主体として構成されている。繊維シートに用いられる繊維としては、例えば、針葉樹晒しクラフトパルプ、広葉樹晒しクラフトパルプ等の木材パルプ;藁、綿等の非木材パルプ;レーヨンやリヨセル、テンセル、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコールなどの親水性の(半)合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、セルロースジアセテート及びセルローストリアセテートの両成分を含む1種類の繊維を用いることもできる。繊維シートにおける繊維の含有量は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは50〜99質量%である。
本発明の繊維シートに用いられる消臭剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤としては、それぞれ、上述した本発明の吸収性物品に使用可能なものを用いることができる。即ち、消臭剤としては、上述した活性炭、無機多孔質粒子(前記金属置換カンクリナイト様鉱物)、有機多孔質粒子(前記ビニル共重合粒子)及び抗菌性物質(前記4級アンモニウム塩型の界面活性剤)及びからなる群から選択される1種以上を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、β−グルクロニダーゼ阻害剤としては、上述したものの中から1種以上を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。通常、繊維シートには、消臭剤として活性炭、抗菌性物質及び有機多孔質粒子のうちの1種、及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤の1種が含有される。
本発明の繊維シートにおける消臭剤の含有量は、消臭剤の種類に応じて適宜設定することができる。活性炭の含有量は、繊維シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは1〜20質量%である。無機多孔質粒子(前記金属置換カンクリナイト様鉱物)の含有量は、繊維シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。有機多孔質粒子(前記ビニル共重合粒子)の含有量は、繊維シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜30量%、更に好ましくは0.2〜20質量%である。抗菌性物質(前記4級アンモニウム塩型の界面活性剤)の含有量は、繊維シートの全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
また、本発明の繊維シートにおけるβ−グルクロニダーゼ阻害剤の坪量は、好ましくは0.1〜20g/m2、更に好ましくは0.5〜10g/m2である。
本発明の繊維シートには、繊維、消臭剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤以外の成分として、例えば、湿潤紙力増強剤、定着剤地合調整剤、消泡剤、剥離剤等を適宜含有させても良い。
本発明の繊維シートの坪量及び厚みは、繊維シートの用途等に応じて適宜設定することができる。本発明の繊維シートの坪量は、好ましくは10〜1000g/m2、更に好ましくは100〜500g/m2である。また、本発明の繊維シートの厚み(無荷重下における厚み)は、好ましくは5〜50mm、更に好ましくは10〜30mmである。
本発明の繊維シートは、例えば、a)繊維、消臭剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含む水性液を原料とした湿式抄紙法、b)繊維を含み且つ消臭剤を含んでいない消臭剤非含有シートを製造し、該消臭剤非含有シートを、別途調製した消臭剤を含む液中に浸漬する方法、3)前記消臭剤非含有シートに、別途調製した消臭剤を含む液をスプレー等を用いて噴霧する方法等によって製造することができる。
本発明の繊維シートは、各種場面での消臭、特に尿等の排泄物の消臭に効果的である。本発明の繊維シートは、例えば、使い捨ておむつや失禁パッド等の吸収性物品の構成部材(コアラップシート等);シーツ等の寝具;トイレの床や壁等に配されるトイレシート:犬や猫等のペット用トイレの構成部材等に用いることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとしていわゆる展開型の使い捨ておむつを挙げたが、予めパンツ型に成形されたパンツ型の使い捨ておむつ、尿とりパッド、生理用ナプキン等にも適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。尚、実施例1、3及び5は参考例である。
〔実施例1〕
前述した第2実施形態と同様の構成(即ち図1及び図2に示す使い捨ておむつにおいて、吸収体として図3に示す吸収体4を用いたもの)の使い捨ておむつを作製し、これを実施例1のサンプルとした。表面シート2として坪量20g/m2のエアスルー不織布を用い、裏面シート3として20g/m2の液不透過性のシートを用いた。吸収体4は、次のようにして作製した。即ち、繊維層50として針葉樹晒しクラフトパルプからなる紙を用い、該紙の片面にホットメルト接着剤を15g/m2塗布し、その接着剤塗布面に、粒子状の吸水性樹脂(商品名「アクアリックCAW−4S」、日本触媒(株)製)にβ−グルクロニダーゼ阻害剤(ゴバイシタンニン)を該吸水性樹脂に対して1質量%添加した吸水性樹脂を、坪量(散布量)が150g/m2となるように均一に散布した後、その樹脂散布面に、片面にホットメルト接着剤が15g/m2塗布された別の繊維層50(組成は前記紙と同じ)を、その接着剤塗布面が該樹脂塗布面と重なるように重ね合わせる。斯かる手順で、図3に示す多層構造(繊維層3層、吸水性樹脂層2層)の吸収性コア5を作製し、該吸収性コア5の肌当接面側及び非肌当接面側を図3に示すようにコアラップシート(積層シート)7で被覆して、吸収体4を作製した。コアラップシート7における繊維シート71として坪量16g/m2の針葉樹晒しクラフトパルプからなる紙を用い、消臭剤含有シート72として坪量52g/m2の活性炭含有シートを用いた。この活性炭含有シートにおける活性炭の坪量は5g/m2であった。
〔実施例2〕
β−グルクロニダーゼ阻害剤をグルカロラクトンに変更した以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを実施例2のサンプルとした。
〔実施例3〕
コアラップシートとして前記金属置換カンクリナイト様鉱物(銀置換カンクリナイト様鉱物)を含有する下記のシートAを用いた以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを実施例3のサンプルとした。シートA;坪量16g/m2(シートA中の銀置換カンクリナイト様鉱物の坪量0.14g/m2)。
前記シートAは、次のようにして作製した。先ず水に、針葉樹晒しクラフトパルプ、銀置換カンクリナイト様鉱物(商品名「ルナモスSP−PC」、花王(株)製)及び合成ゼオライト4Bタイプ(商品名「TSCゼオライト」、水澤化学工業(株)製)を添加し、これらを食品用ミキサー(ナショナルMX−V350)を用いて十分に混合してスラリー状の混合物(中間スラリー)を得た。前記パルプは叩解によってそのCSFが500mlに調整されたものを用いた。得られた中間スラリー中におけるパルプ濃度は2%、消臭剤(銀置換カンクリナイト様鉱物)の濃度はパルプに対して1%、合成ゼオライト4Bタイプの濃度はパルプに対して2.5%であった。次に、得られた中間スラリーの希釈を行い、その希釈工程中に湿潤紙力増強剤(商品名「WS4024」、星光PMC(株)製)を添加した後、更に高分子化合物(商品名「アコフロック A95」、MTアクアポリマー(株)製、弱アニオン系ポリアクリルアミド、MW1700万)を添加して0.15%パルプスラリーを得た。中間スラリーの希釈は、食品用ミキサーによる攪拌を停止した後に行った。また、湿潤紙力増強剤及び高分子化合物の添加のタイミングは、湿潤紙力増強剤については、食品用ミキサーによる攪拌を終了した段階で添加し、高分子化合物については中間スラリーを水で希釈し、抄造に用いられる最終濃度(パルプ濃度0.15%)に希釈した段階で添加した。得られたパルプスラリー中における湿潤紙力増強剤の濃度はパルプに対して0.5%、高分子化合物の濃度はパルプに対して0.025%であった。このパルプスラリーを原料として、手抄きにより40cm×40cmの正方形形状のシートAを得た。
〔実施例4〕
β−グルクロニダーゼ阻害剤をグルカロラクトンに変更した以外は実施例3と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを実施例4のサンプルとした。
〔実施例5〕
コアラップシートとして前記ビニル共重合粒子(銀担持ビニル共重合粒子)を含有する下記のシートBを用いた以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを実施例5のサンプルとした。シートB;坪量20g/m2(シートB中の銀担持ビニル共重合粒子の坪量0.9g/m2)
前記銀担持ビニル共重合粒子は、以下に示す水中油型懸濁重合法により得た。ヘプタン296gにモノマー(ジビニルベンゼン/2−ビニルピリジン=75/25)592.7g及び2,2’―アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名「V−65B」、和光純薬工業(株)製)11.0gを溶解させ、これにポリビニルアルコール(商品名「ゴーセノールEG−30」、日本合成化学工業(株)製)15.6gを溶かした1600gの水溶液を加えて重合槽に仕込んだ。モノマー混合物と有機溶剤の溶解度パラメータはそれぞれ9.37、7.40であり、その差は1.97であった。ホモジナイザーを用いて、5000rpmで10分間撹拌することで乳化し、これを128rpmの撹拌条件下、60℃で6時間加熱することで重合した。これに1−ブタノールを750g加えた後、減圧乾燥を行い、水と有機溶剤を除いた。こうして得られたビニル共重合粒子100gに対し、水263g、イソプロパノール23g、酢酸銀0.5g、クエン酸1.0gを加え、室温で1時間撹拌し、担持処理を行った。これを濾過し、乾燥することによって銀担持ビニル共重合粒子を得た。得られた銀担持ビニル共重合粒子の体積平均径は23.5μm、BET比表面積は234m2/g、銀イオン含有率は0.28%であった。銀担持ビニル共重合粒子の体積平均径、BET比表面積及び銀イオン(金属イオン)含有率は、それぞれ前記方法により算出した。
前記シートBは、次のようにして作製した。先ず水に、針葉樹晒しクラフトパルプ及び銀担持ビニル共重合粒子を添加し、これらを食品用ミキサー(ナショナルMX−V350)を用いて十分に混合してスラリー状の混合物(中間スラリー)を得た。前記パルプは叩解によってそのCSFが500mlに調整されたものを用いた。得られた中間スラリー中におけるパルプ濃度は2%、消臭剤(銀担持ビニル共重合粒子)の濃度はパルプに対して5%、合成ゼオライト4Bタイプの濃度はパルプに対して2.5%であった。次に、得られた中間スラリーの希釈を行い、希釈工程中に湿潤紙力増強剤(商品名「WS4024」、星光PMC社製)を添加した後、更に高分子化合物(商品名「PAM−P」、住友精化(株)製、中アニオン系ポリアクリルアミド、MW1700万)を添加して0.15%パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー中における湿潤紙力増強剤の濃度はパルプに対して0.5%、高分子化合物の濃度はパルプに対して0.1%であった。このパルプスラリーを原料として、手抄きにより40cm×40cmの正方形形状のシートBを得た。
〔実施例6〕
β−グルクロニダーゼ阻害剤をグルカロラクトンに変更した以外は実施例5と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを実施例6のサンプルとした。
〔比較例1〕
コアラップシートとして、消臭剤を含んでいない坪量16g/m2の針葉樹晒しクラフトパルプからなる紙を用い、且つβ−グルクロニダーゼ阻害剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
β−グルクロニダーゼ阻害剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを比較例2のサンプルとした。
〔比較例3〕
β−グルクロニダーゼ阻害剤を用いなかった以外は実施例3と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを比較例3のサンプルとした。
〔比較例4〕
β−グルクロニダーゼ阻害剤を用いなかった以外は実施例5と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを比較例4のサンプルとした。
〔比較例5〕
コアラップシートとして、消臭剤を含んでいない坪量16g/m2の針葉樹晒しクラフトパルプからなる紙を用いた以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを比較例5のサンプルとした。
〔比較例6〕
コアラップシートとして、消臭剤を含んでいない坪量16g/m2の針葉樹晒しクラフトパルプからなる紙を用いた以外は実施例2と同様にして使い捨ておむつを作製し、これを比較例6のサンプルとした。
〔評価〕
実施例及び比較例のサンプルについて、消臭性を下記方法により評価した。その結果を下記表1に示す。
〔消臭性の評価方法〕
成人男性5名の尿を各100ml混合した人尿500mlを調製する。前記各実施例及び各比較例で得られた使い捨ておむつに人尿30gを吸収させ、容積1.2リットルの密閉容器(商品名「タイトボックスNo.3」、蝶プラ工業(株)製)中に素早く入れて気密状態にして、室温30℃で、1時間後、24時間後に該容器の蓋を開け、容器中の臭いを5名のモニターに評価させた。その評価基準は以下の通りである。即ち、臭いの強度を0〜5の評価スコアによる6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価スコアは、「0」無臭、「1」やっと感知できる臭い(検知閾値)、「2」尿臭であることわかるが弱い臭い(認知閾値)、「3」楽に尿臭であると感じられる臭い、「4」強い尿臭、「5」強烈な尿臭を示す。臭いの強度の判定は0.5刻みで行い、5人の評価の平均値を表1に示した。この平均値が小さいほど、消臭性に関して高評価となる。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6は、24時間後でも臭いの強度が2以下であり、消臭性に優れている。これに対し、比較例1〜6は、24時間後の臭いの強度が3以上であり、実施例1〜6に比して消臭性に劣っている。特に比較例2〜6は、消臭剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤の何れか一方のみを用いているが、両方を併用している実施例1〜6に比して消臭性に劣っており、このことから消臭剤及びβ−グルクロニダーゼ阻害剤を併用することによる効果が確認された。