JP5947693B2 - 薄葉紙 - Google Patents

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Description

本発明は、比較的低坪量の薄い紙である薄葉紙に関し、特に、排泄物臭等の悪臭に対し優れた消臭効果を発揮し、吸収性物品の構成部材等として好適な薄葉紙に関する。
従来、各種消臭用途に使用可能な消臭剤含有シートとして、活性炭や抗菌剤等をパルプ繊維等からなる繊維シートに担持させたものが知られている。また、使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、活性炭等の消臭剤を用いて、排泄物の臭いをおむつの外に出さないようにした消臭効果を有するものが提案されている。
例えば特許文献1には、活性炭、無機多孔質粒子、有機多孔質粒子及び抗菌性物質からなる群から選択される1種以上の消臭剤とβ−グルクロニダーゼ阻害剤とを含有し、尿等の排泄物に対して優れた消臭効果を発揮する繊維シートを、吸収性物品の1種である使い捨ておむつにおいて、吸収性コアを被覆するコアラップシートとして用いることが記載されている。特許文献1には、前記繊維シートに関し、活性炭の平均粒径は1〜500μmが好ましい旨記載されており、また、無機多孔質粒子の具体例として、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物等が記載されており、また、有機多孔質粒子の具体例として、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られる粒子で且つ金属イオンを担持している粒子等が記載されている。
また特許文献2には、排泄物臭等の悪臭に対し優れた消臭効果を発揮し得る消臭性繊維製品として、合成繊維を主体とする繊維製品に、カルボン酸化合物、金属及び多孔質物質からなる組成物を含有させた構成のものが記載されている。特許文献2には、前記多孔質物質の具体例として、粒径5μm以下の活性炭が記載されている。
特開2010−194254号公報 特開2004−52208号公報
特許文献1及び2に記載の如き活性炭含有シートは、その製造時や該シートの加工時等に活性炭が脱落することが懸念される。活性炭の脱落は、活性炭含有シートの製造装置や該シートが組み込まれる製品等の汚染に繋がるため、その防止は活性炭含有シートの重要な課題の1つである。特許文献1には、活性炭の脱落防止の観点から、使い捨ておむつにおける吸収性コアを被覆するコアラップシートとして、活性炭脱落防止層として機能する、活性炭を含有しない2枚の繊維シートの間に、活性炭を含有する消臭剤含有シートを介在させた積層シートを用いることが記載されている。しかし、このようなシートの積層は、シート厚みの増加による柔軟性の低下や液透過性の低下を招くおそれがあり、また、シートの積層工程の導入により製造方法が複雑化、特殊化して製造コストの高騰を招くおそれもあり、活性炭の脱落防止という課題の解決手段としては万全とは言い難い。また、この種の微粒子の脱落防止に関し、例えば湿式抄紙においては、各種薬剤の凝集化技術により歩留まり向上が行われているが、このような凝集化技術は湿式抄紙において紙へ活性炭をより多く定着させることはできるが、紙からの活性炭の脱落防止にはあまり有効とは言えない。
また近年、活性炭の消臭機能を利用した各種製品が広く普及しており、活性炭が黒色の物質であること、活性炭が消臭機能を有していることは、一般消費者に広く知られているので、活性炭による消臭効果を謳う消臭シートが、通常の紙のような白色ではなく、活性炭の黒色が適度に反映された色(例えば灰色又はその類似色)を有していることは、該消臭シートが活性炭による消臭機能を備えていることを使用者に強くアピールすることとなり、結果として、使用者に該消臭シートの消臭効果に対する安心感を与えることができる。従って、この種の消臭シートは、実際の消臭効果もさることながら、外観も重要であり、使用者に優れた消臭効果を期待させるような色を有していることが望ましい。
従って本発明の課題は、活性炭を含有しながらもその脱落が生じ難く、活性炭の黒色が適度に反映された色を有し、尿等の排泄物の消臭性に優れる薄葉紙を提供することにある。
本発明者らは、活性炭を含有する単層のシートにおいて活性炭の脱落を効果的に抑制するべく種々検討した結果、活性炭として平均粒径が小さく且つ粗大粒子の混入率が低いものを、従来のこの種の活性炭含有シートにおける活性炭の含有率よりも低い含有率で用いると共に、シートの構成繊維としてフィブリル化が進行したパルプ繊維を用いることが、活性炭の脱落抑制に有効であるとの知見を得た。また、消臭機能を有する活性炭と共に抗菌機能を有する金属担持多孔質粒子を併用することが、優れた消臭効果を得る上で有効であるとの知見に基づき、更に検討した結果、活性炭による消臭機能は、シートにおける活性炭の分布が均一なほど向上するが、金属担持多孔質粒子による抗菌機能は、シートにおける金属担持多孔質粒子の分布が均一であるよりも、シートの厚さ方向における片面側に金属担持多孔質粒子がより多く偏在している方が高く、少ない量でより効果的であるとの知見を得た。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子を含有する単層のシートを含んで構成される薄葉紙であって、前記パルプ繊維のフリーネスは450ml以上680ml以下であり、前記活性炭は、平均粒径が1μm以上15μm以下、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が体積基準で5%未満であり、且つ該活性炭の含有率は、前記単層のシートの坪量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下であり、前記金属担持多孔質粒子は、前記活性炭に比して平均粒径が大きく、前記単層のシートの明度L値は55以上80以下である薄葉紙を提供することにより、前記課題を解決したものである。
また本発明は、前記薄葉紙を用いた吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、活性炭を含有しながらもその脱落が生じ難く、活性炭の黒色が適度に反映された色を有し、尿等の排泄物の消臭性に優れる薄葉紙が提供される。
図1は、液透過時間の測定方法の説明図である。
以下、本発明の薄葉紙について詳細に説明する。本発明の薄葉紙は、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子を含有する単層のシートを含んで構成される。本発明の薄葉紙の一実施形態として、1枚の単層のシートのみからなる形態が挙げられる。以下、この本発明に係る単層のシートについて説明する。
本発明に係る単層のシートは、パルプ繊維を主体としている。ここで、「主体としている」とは、単層のシートにおけるパルプ繊維の含有率が50質量%以上であることを意味する。
本発明で用いられるパルプ繊維は、フリーネスが450ml以上、好ましくは500ml以上、そして、680ml以下、好ましくは600ml以下、より具体的には、450〜680ml、好ましくは500〜600mlである。フリーネスは、JIS P8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、パルプ繊維の叩解(水の存在下でパルプ繊維を機械的に叩き、磨砕する処理)の度合いを示す値である。通常、フリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強く、叩解による繊維の損傷が大きくてフィブリル化が進行している。パルプ繊維の叩解は、パルプ繊維を分散させた紙料(スラリー)に対して、ビーター、ディスクリファイナー等の公知の叩解機を用いて常法に従って実施することができる。
本発明において、パルプ繊維のフリーネスを前記範囲に調整する主たる理由は、本発明に係る単層のシートに含有される活性炭をパルプ繊維の表面に固定させて、活性炭の脱落を抑制するためである。フリーネスが前記範囲にあるパルプ繊維においては、該パルプ繊維を形成する比較的大きなフィブリルが適度に解れて、繊維表面に微細なミクロフィブリルが毛羽立った状態となっているところ、この毛羽立ったミクロフィブリルによって形成された空間は、活性炭の如き微粒子の保持部として機能し、該空間内に入り込んだ活性炭は、極端な移動や脱落を起こし難い。また、本発明に係る単層のシートを湿式抄紙法で製造する場合に、湿式抄紙機のワイヤー上に形成される湿潤ウエブの脱水速度が速すぎると、その脱水中に活性炭が脱落するおそれがあるところ、パルプ繊維のフリーネスが前記範囲にあると、急激な脱水が抑えられるため、湿式抄紙の脱水中における活性炭の脱落が抑制される。尤も、活性炭の脱落を効果的に抑制するためには、パルプ繊維のフリーネスを前記範囲に調整するだけでは不十分であり、後述するように、活性炭の平均粒径及び粒径分布並びに含有率も調整する必要がある。
パルプ繊維のフリーネスが450ml未満であると、本発明に係る単層のシートを湿式抄紙法で製造する場合に湿潤ウエブの脱水速度が著しく低下するため、脱水不良による生産性の低下を招くおそれがあり、更には、地合の悪化や、パルプ繊維同士が密に絡んで繊維間の空隙が減り、後述する液透過時間が遅くなるおそれもある。また、本発明に係る単層のシートは、活性炭を含有していることに起因して、該シート全体が、活性炭の黒色が適度に反映された色(灰色又はその類似色)に着色されているところ、パルプ繊維のフリーネスが450ml未満であると、本発明に係る単層のシートを湿式抄紙法で製造する場合に、水スラリーの分散状態においてパルプ繊維の凝集体が多く形成され、局所的な脱水速度の差が生じ、その後の抄紙・乾燥を経て得られた単層のシートに活性炭の色ムラが発生するおそれもある。一方、パルプ繊維のフリーネスが680mlを超えると、前記脱水速度が速くなりすぎて活性炭の脱落を誘発するおそれがあり、また、局所的な脱水速度の差が大きくなって色ムラの発生を誘発するおそれがある。
パルプ繊維としては、親水性表面を有する繊維であって、その湿潤状態において、繊維どうしが互いに高い自由度を有するシートを形成できるものであれば、特に制限無く用いることができる。そのようなパルプ繊維としては、天然セルロース繊維(親水性セルロース繊維)が挙げられ、より具体的には、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維;藁、竹、ケナフ、麻、コットン等の非木材パルプ等が挙げられる。特にNBKP及びLBKP、とりわけNBKPは、比較的繊維長が長くてシート強度が得られ易く、また、これを用いたシートは繊維間の空隙率が大きくて液透過性に優れるため、本発明においてパルプ繊維として好ましく用いられる。
本発明に係る単層のシートは、パルプ繊維として、少なくともNBKPを含有していることが好ましく、必要に応じ、パルプ繊維として更に、LBKPを含有していることが好ましい。本発明に係る単層のシートにおいて、LBKPとNBKPとの含有質量比は、NBKP:LBKP=100/0〜70/30であることが好ましく、100/0〜90/10であることが更に好ましい。
本発明で用いられる活性炭及び金属担持多孔質粒子は、何れも本発明の薄葉紙(本発明に係る単層のシート)において消臭剤として機能する。ここでいう消臭剤とは、臭気に直接作用して(即ち臭気を吸着、中和、分解等して)消臭効果を発現するもののみならず、例えば抗菌性物質のように、臭気の発生源に作用して臭気の発生を抑制することで消臭効果を発現するものも含む。活性炭は前者に該当し、金属担持多孔質粒子は前者及び後者の両方に該当する。
活性炭は、細孔構造を有する多孔性物質で大きな比表面積を有し、高い吸着性を有する特徴がある。活性炭の原料には通常、ヤシ殻、木材等の炭化物、石炭が使用されるが、本発明では何れでも良い。また活性炭の賦活法には、水蒸気や二酸化炭素により高温で処理するガス賦活法、あるいは塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等で処理する薬品賦活法があるが、本発明では何れの方法により得られたものでも良い。
また活性炭は、形状によって繊維状活性炭と粒子状活性炭とに分けられ、更に粒子状活性炭として破砕炭、造粒炭、顆粒炭及び球状炭が挙げられ、その他粉末状の活性炭微粒子があるが、本発明では何れでも良い。
本発明では、活性炭の脱落抑制及び消臭効果の向上の観点から、活性炭としては平均粒径が小さく且つ粗大粒子の混入率が低いものを用い、具体的には、平均粒径が1μm以上15μm以下、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が体積基準で5%未満の活性炭を用いる。平均粒径及び粒径分布が斯かる範囲にある活性炭を用いることにより、前述した、フリーネス450ml以上680ml以下のパルプ繊維のミクロフィブリルによる微粒子の保持機能と相俟って、活性炭の脱落が効果的に抑制されると共に、活性炭が本発明に係る単層のシート中に均一に分散され、延いては、該シートの活性炭含有に起因する黒っぽい色(灰色又はその類似色。活性炭の黒色が適度に反映された色。)の発色が十分に得られるようになる。また、活性炭の平均粒径が小さくなると、活性炭の見掛け表面積が増大するため、活性炭の均一な分散状態と相俟って、薄葉紙の消臭効果が向上する。活性炭の平均粒径が1μm未満では、活性炭が小さすぎるため、フリーネス450ml以上680ml以下のパルプ繊維と併用した場合でもその脱落を抑制し難く、抄紙製造上における活性炭の歩留まりが低下するおそれがある。また、活性炭の平均粒径が15μmを超える、あるいは粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が体積基準で5%を超えると、活性炭の保持部として機能する、前述したパルプ繊維におけるミクロフィブリルによって形成された空間に対し、該空間内に入り込む活性炭の割合が低下するため、更には該空間内に入り込んだ活性炭でも平均粒径が前述したものであると、外部からの摩擦や衝撃により容易に紙から脱落してしまい、活性炭の脱落抑制効果に乏しい。また、活性炭の平均粒径が大きくなると、臭い物質の吸着性能が低下するため、薄葉紙の消臭効果が低下する。
本発明で用いられる活性炭の平均粒径は、好ましくは3μm以上、そして、好ましくは10μm以下である。また、本発明で用いられる活性炭の粒径分布において、粒径40μm以上の粒子の積算量(割合)は少ないほど好ましく、理想的には0質量%である。
活性炭、及び金属担持多孔質粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、LA−920)を使用し、常法に従って測定することができる。測定条件は下記の通りである。
・測定セル:フローセル
・粒子径基準:体積
・分散媒:粒子の分散性がよい適当な溶媒、例えばエタノール/蒸留水=90/10質量%
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・透過率:70〜90%
・試料濃度:0.1%
また、活性炭の粒度分布は前記の平均粒径と同様にして測定することができ、平均粒径40μm以上の積算量より、活性炭の全量に対する割合(体積基準)が求められる。
本発明に係る単層のシートにおいて、活性炭の脱落を効果的に抑制する観点からは、活性炭の含有率は少ないほど好ましいが、活性炭の含有率が少なすぎると、該シートに十分な消臭機能を付与できず、また、使用者が薄葉紙の消臭効果に対して安心感を持つ根拠となり得る、該シートの黒っぽい色(灰色又はその類似色。活性炭の黒色が適度に反映された色。)の発色が不十分となるおそれがある。斯かる観点から、本発明では、薄葉紙を構成する単層のシートにおける活性炭の含有率を、該単層のシートの坪量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下に調整している。活性炭の含有率は、単層のシートの坪量に対して、好ましくは0.25質量%以上、そして、好ましくは1.0質量%以下である。
本発明で用いられる金属担持多孔質粒子は、金属又は金属イオンを担持(含有)している多孔質粒子であり、多孔質粒子が無機多孔質粒子であるもの(金属担持無機多孔質粒子)と有機多孔質粒子であるもの(金属担持有機多孔質粒子)とに大別される。本発明では何れの金属担持多孔質粒子も使用可能であり、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、金属担持多孔質粒子として、併用される活性炭よりも平均粒径が大きいものを用いる。活性炭に比して平均粒径が大きい金属担持多孔質粒子を用いる理由は、比較的少ない使用量で金属担持多孔質粒子による作用効果(抗菌作用)を最大限に発揮させるためである。金属担持多孔質粒子の役割は、臭気の発生源に作用してその抗菌作用により臭気の発生を抑制することであり、少ない使用量で斯かる役割を十分に果たすためには、臭気の発生源の近傍に金属担持多孔質粒子が存在するのが最も効果的である。特に、薄葉紙を、使い捨ておむつにおいて吸収性コアを被覆するコアラップシートとして用いる場合、尿等の排泄物は吸収性コアに吸収保持されて該吸収性コア自体が臭気の発生源となるため、吸収性コア中の尿由来の臭気の発生を効果的に抑制するためには、薄葉紙(コアラップシート)の厚さ方向における吸収性コアとの対向面側に金属担持多孔質粒子が偏在しているのが好ましい。金属担持多孔質粒子が薄葉紙の厚さ方向において均一に分散していたのでは、臭気の発生源である吸収性コアの近傍に存在する金属担持多孔質粒子の数が少ないため、金属担持多孔質粒子による抗菌作用が十分に発揮されず、消臭効果が十分に得られないおそれがある。
要するに、薄葉紙を吸収性物品の一構成部材であるコアラップシートとして用いる場合、比較的少ない使用量で金属担持多孔質粒子による抗菌作用を最大限に発揮させるためには、金属担持多孔質粒子は、薄葉紙を構成する前記単層のシートの厚さ方向における片面側に偏在している、即ち、前記単層シートの厚さ方向の分布状態において片面側に多く偏在していることが好ましい。そして、本発明においては、斯かる金属担持多孔質粒子の偏在を実現するために、活性炭に比して平均粒径が大きい金属担持多孔質粒子を用いている。このような、活性炭に比して平均粒径の大きな金属担持多孔質粒子を用いて、本発明に係る単層のシートを湿式抄紙法により製造した場合、その製造途中の湿潤状態の繊維ウエブの脱水過程において、湿式抄紙機のワイヤーと対向する該繊維ウエブのワイヤー面から金属担持多孔質粒子が脱落する一方で、該ワイヤー面とは反対側の面では金属担持多孔質粒子が比較的多く偏在する不均一な分散状態となり、該繊維ウエブの乾燥後もその偏在状態が維持される。金属担持多孔質粒子の平均粒径が大きいほど、前記繊維ウエブ(単層のシート)の厚さ方向における金属担持多孔質粒子の偏在の勾配は顕著となり、片面側のごく表面により多くの金属担持多孔質粒子が存在する。尚、金属担持多孔質粒子は通常白色であるため、黒色の活性炭とは異なり、シートの製造時や加工時等に前記繊維ウエブから多少脱落しても問題とはならない。
金属担持多孔質粒子が本発明に係る単層のシートの片面側に偏在しているか否かは、下記方法によって確認することができる。即ち、単層のシートの両面において観察される金属担持多孔質粒子の面積率をそれぞれ測定し、一方の面の面積率の他方の面の面積率に対する比が1.1以上である場合に、金属担持多孔質粒子は片面側に偏在しているとした。金属担持多孔質粒子の面積率は、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子(株)社製JCM−51
00)や透過型電子顕微鏡による観察で測定することができる。具体的には、単層のシートの一方の面の任意の場所において金属担持多孔質粒子が認識できる倍率(例えば500倍以上)まで拡大して写真撮影を行い、同じシート面の異なる複数箇所において同様に写真撮影を行い撮影面積の総和が25mm2以上となるまで繰り返す。撮影した面積の総和に対する金属担持多孔質粒子の面積の総和の比率より、一方の面の金属担持多孔質粒子の面積率を求める。同様にして他方の面における金属端子多孔質粒子の面積率を求め、一方の面の金属担持多孔質粒子の面積率と他方の面の金属担持多孔質粒子の面積率のうち大きい方の値を分子とした比率を求める。この値が1.1以上である場合に金属担持多孔質粒子は片面側に偏在していると判断する。
本発明において、活性炭の平均粒径に対する金属担持多孔質粒子の平均粒径の割合(金属担持多孔質粒子の平均粒径/活性炭の平均粒径)は、金属担持多孔質粒子を本発明に係る単層のシートの片面側に確実に偏在させる観点から、好ましくは2〜30である。また、金属担持多孔質粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、そして、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、より具体的には、好ましくは5〜30μm、更に好ましくは10〜25μmである。金属担持多孔質粒子の平均粒径は、前述した活性炭の平均粒径の測定方法と同様の方法により測定される。
本発明で用いられる金属担持無機多孔質粒子において、金属を担持する無機多孔質粒子としては、例えば、銀カンクリナイト、銀ゼオライト、銅ゼオライト、酸化亜鉛、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
特に好ましい金属担持無機多孔質粒子は、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物(以下、金属置換カンクリナイト様鉱物ともいう)である。金属置換カンクリナイト様鉱物は、カンクリナイト様鉱物中の金属元素が、抗菌性を有する金属元素で置換されたものである。金属置換カンクリナイト様鉱物は、広い消臭スペクトルをもち、種々の悪臭、例えばアンモニア、アミン、ピリジン等のアルカリ性臭、低級脂肪酸、メルカプタン等の酸性臭、その他エステル、ケトン、アルデヒド等の中性臭からなる悪臭に対して良好な消臭作用を有する。また、金属置換カンクリナイト様鉱物の粒子は、テトラポッド状、金平糖状ないしウニ状の形状を有し、その形状に起因してパルプなどの繊維材料への付着性が極めて良いという利点も有している。
カンクリナイト様鉱物は、アルミノシリケート系化合物に類似の構造を有するものである。本発明においてカンクリナイト様鉱物とは、JCPDS(ジョイント・コミッティ・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ)No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515及び45−1373からなる群より選ばれる1種以上のX線回折パターンを有するものをいう。X線回折パターンにおいて、d=0.365±0.015nmに主たるピークを有するものが好ましい。
金属置換カンクリナイト様鉱物における抗菌性を有する金属としては、例えば銀、銅、亜鉛、ジルコニウム等が挙げられる。金属置換カンクリナイト様鉱物としては、本出願人の先の出願に係る特開2005−232654号公報及び特開2006−307404号公報に記載のものを用いることができる。
また、本発明で用いられる金属担持有機多孔質粒子において、金属を担持する有機多孔質粒子としては、例えば、2,6−ジフェニルーp−フェニレンオキサイドベースポリマー、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン共重合体等が挙げられる。また、有機多孔質粒子に用いられる多孔性ポリマーとしては、特開2008−62029号公報、特開2008−63711号公報、及び特開2010−138344号公報に記載のものを用いることができる。
特に好ましい有機多孔質粒子は、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られる粒子(以下、ビニル共重合粒子ともいう)である。即ち、特に好ましい金属担持(有機)多孔質粒子は、ビニル共重合粒子で且つ金属イオンを担持している粒子である。とりわけ、BET比表面積が10m2/g以上のビニル共重合粒子は、大きなBET比表面積による物理消臭能を備えており、該ビニル共重合粒子を含んで構成される金属担持有機多孔質粒子は、該ビニル共重合粒子による物理消臭能と、担持した金属イオンによる化学消臭能とを兼ね備え、格段に高い消臭能を持つため、本発明で好ましく用いられる。
前記架橋性ビニルモノマーは、ビニル基を二つ以上有するモノマーである。架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジビニルベンゼンが好ましい。モノマー成分中の架橋性ビニルモノマーの割合が大きいほど、BET比表面積の大きいビニル共重合粒子が得られる。従って、全モノマー成分中における架橋性ビニルモノマーの割合は、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。該割合の上限は、98質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
前記ヘテロ芳香環を有するビニルモノマーは、ビニル基及びヘテロ芳香環を含む化合物であれば特に制限されない。ヘテロ芳香環とは、環状の有機化合物による芳香環であって、構成要素として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等を含むものをいう。窒素原子を含むものとしては、ピリジン、ピロール、キノリン等の窒素原子を環に1個有するもの、イミダゾール、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール等の窒素原子を環に2個有するものが例示される。また、チオフェン、チアゾール等の硫黄原子を環に有するもの、フラン等の酸素を環に有するものが例示される。ヘテロ原子の有する孤立電子対が悪臭物質の吸着を高め、また、金属イオンの化学結合に関与するものと考えられる。これらの中でも、ピリジン、イミダゾール、ピリミジンが好ましい。ヘテロ芳香環を有するビニルモノマーとしては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリミジン等が挙げられ、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンが好ましい。
前記ビニル共重合粒子においては、モノマー成分として、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマー以外に、これらと共重合可能な他のモノマーを用いることができる。該他のモノマーとしては、例えば、芳香族系ビニルモノマー、不飽和酸エステル、不飽和酸等が挙げられる。芳香族系ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルベンジルクロライド等が例示され、不飽和酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が例示され、不飽和酸としては、(メタ)アクリル酸が例示される。また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等も用いることができる。これらの中では芳香族系ビニルモノマーが好適であり、特にスチレンが好ましい。尚、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
前記ビニル共重合粒子(有機多孔質粒子)に担持(含有)される金属イオンとしては、例えば、銀イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、コバルトイオン、ジルコニウムイオン、セリウムイオン、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオン、白金イオン等が挙げられ、銀イオン、亜鉛イオンが好ましい。ビニル共重合粒子は、そのポリマー表層に存在するヘテロ芳香環との配位結合により、その細孔表面に金属イオンを担持させることが可能である。この場合、アンモニア、アミン類、メルカプタン類、脂肪酸等の悪臭ガスは、金属イオンとの配位結合によりビニル共重合粒子に吸着される。ビニル共重合粒子における金属イオン含有率は、ビニル共重合粒子に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。ビニル共重合粒子における金属イオン含有率の上限は、特に制限されないが、ビニル共重合粒子に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。ビニル共重合粒子における金属イオン含有率は、例えば、モノクロ励起EDX蛍光X線を用いて測定することができる。
前記ビニル共重合粒子(有機多孔質粒子)に金属イオンを担持させるために用いられる金属塩は、水又は有機溶剤に溶解するものであれば特に制限されない。該金属塩としては、例えば、硝酸銀、硝酸アルミニウム、硝酸コバルト、硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、硝酸銅、硝酸ニッケル、酢酸銀、塩化セリウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、塩化銅、過塩素酸銀、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸白金、過塩素酸亜鉛、過塩素酸ジルコニウム、硫酸銀、硫酸アルミニウム、硫酸銅、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種類以上用いてもよい。特に好ましくは硝酸銀、酢酸銀、及び塩化亜鉛である。
前記ビニル共重合粒子(有機多孔質粒子)のBET比表面積は、架橋性ビニルモノマーの割合や、重合に用いる有機溶剤の選定により任意に設定することができるが、大きいほど消臭効果が高い。高い物理消臭能を有する観点から、BET比表面積は10m2/g以上であり、50m2/g以上が好ましく、200m2/g以上がより好ましく、300m2/g以上がさらに好ましい。BET比表面積の上限は特に限定されないが、800m2/g以下が好ましい。BET比表面積は、次のようにして求められる。
<BET比表面積の算出方法>
フローソーブ2300(島津製作所製)を用いてBET1点法により求めた。吸着ガスは、窒素30体積%、ヘリウム70体積%のガスを用いた。試料の前処理として、120℃で10分間、吸着ガスの流通を行った。その後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求めた。試料の質量で除して比表面積を求めた。
前記ビニル共重合粒子(有機多孔質粒子)は、水中油型懸濁重合法又は沈殿重合法により製造することが好ましい。
本発明に係る単層のシートにおいて、金属担持多孔質粒子(金属担持無機多孔質粒子、金属担持有機多孔質粒子)の含有率は、消臭と抗菌機能の観点から、好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。上限は特に限定されないが10質量%以下が好ましい。
本発明に係る単層のシートは、活性炭を含む前述の如き組成を有していることに起因して、その全体が、活性炭の黒色が適度に反映された色、より具体的には、黒っぽい色(灰色又はその類似色)を有している。前述したように、活性炭による消臭効果を謳う消臭シートが、通常の紙のような白色ではなく、活性炭の黒色が適度に反映された色を有していることは、該消臭シートが活性炭による消臭機能を備えていることを使用者に強くアピールすることとなり、結果として、使用者に該消臭シートの消臭効果に対する安心感を与えることができる。しかし、活性炭の黒色が過度に反映され、消臭シートが黒色あるいはそれに近い色を有していると、清潔感が損なわれ使用者に対する印象が却って悪くなる、あるいは、消臭シートの存在感が強すぎて該消臭シートを他の製品に組み込み難くなる、等の不都合が生じるおそれがある。
従って、本発明においては、薄葉紙を構成する単層のシートの明度L値を55〜80に設定している。単層のシートの明度L値が55未満では、活性炭の黒色が該シートに過度に反映されて前述した不都合を招くおそれがある。また、単層のシートの明度L値が80を超えると、活性炭の黒色が該シートに十分に反映されず、使用者に薄葉紙の消臭効果に対する安心感を付与できないおそれがある。本発明に係る単層のシートの明度L値は、好ましくは62以上、そして、好ましくは78以下である。
明度L値は、色差計によって測定される。本発明においては、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計NF333(商品名)を用い、照明条件C、視野角条件2°、正面受光条件=0/45°、光束径φ10mmの測定条件で、測定サンプル(前記単層のシート)への照射光の反射光を測定して求められる。尚、明度L値は、前記単層のシートの坪量が低い場合や厚さが薄い場合には測定面の裏側にある物体の色の影響を受けることがあるため、その影響がないことを確認し、その影響がある場合には、前記単層のシートの1枚を測定するのでなく、複数枚重ねて影響のない枚数で測定する。
本発明に係る単層のシートは、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子以外の他の成分を含んでいても良い。この他の成分としては、例えば、パルプ繊維以外の他の繊維(ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維等の合成繊維等);湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、定着剤、地合調整剤、剥離剤、タルク等の填料、染料、色顔料、抗菌剤、pH調整剤、耐水化剤、消泡剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る単層のシートは、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子に加えて更に、カチオン性湿潤紙力増強剤及びゼオライトを含有していても良い。カチオン性湿潤紙力増強剤は、パルプ繊維への定着がよく、シートの湿潤紙力を向上させる役割を果たす。しかしながら、金属担持多孔質粒子とカチオン性湿潤紙力増強剤とを併用すると、金属担持多孔質粒子が本来有する抗菌消臭機能が低下してしまう。斯かる金属担持多孔質粒子の抗菌作用の低下防止を図るため、本発明者らが種々検討したところ、金属担持多孔質粒子とカチオン性湿潤紙力増強剤との混合系に更にゼオライトを添加することが有効であるとの知見を得、本発明に係る単層のシートにカチオン性湿潤紙力増強剤及びゼオライトを含有させることが好ましいとの結論に至ったものである。
カチオン性湿潤紙力増強剤としては、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、ポリアクリルアミド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのカチオン性湿潤紙力増強剤の中でも、特にPAEが好ましい。また、ゼオライトには種々のものが知られており、本発明では特に制限無く用いることができるが、特に4A型のものを用いることが好ましい。
本発明に係る単層のシートにおけるカチオン性湿潤紙力増強剤の含有量は、該シートの全構成繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。紙力増強剤の含有量が少なすぎると、前述した紙力増強剤の使用意義に乏しく、紙力増強剤の含有量が多すぎると、シートの硬化(風合いの低下)の他、シートの製造時におけるヤンキードライヤへのシートの張り付きやメッシュドラムへの紙力増強剤の付着等による、シートの地合の低下を招くおそれがある。
また、本発明に係る単層のシートにおけるゼオライトの含有量は、該シートの全構成繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。また、本発明に係る単層のシートにおいて、ゼオライトとカチオン性湿潤紙力増強剤との含有質量比は、ゼオライト/カチオン性湿潤紙力増強剤=1〜50が好ましく、3〜10が更に好ましい。
また、本発明に係る単層のシートは、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子、必要に応じカチオン性湿潤紙力増強剤及びゼオライトに加えて更に、アニオン性凝集剤を含有していても良い。シートにアニオン性凝集剤を含有させることにより、特に活性炭及び金属担持多孔質粒子の歩留まりが一層向上する。アニオン性凝集剤としては、例えば、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)及びその塩、澱粉、アクリル系樹脂、カルボキシメチルセルロース、変性ポリビニルアルコール等のアニオン性乾燥紙力増強剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アニオン性PAMの塩としては、ナトリウム塩が主に用いられる。これらのアニオン性凝集剤の中でも、特にアニオン性PAM又はその塩が好ましい。
アニオン性凝集剤の重量平均分子量は、活性炭及び金属担持多孔質粒子の繊維状物への定着性の向上の観点から、好ましくは500万以上、更に好ましくは1000万以上、そして、好ましくは3000万以下、更に好ましくは2000万以下、より具体的には、好ましくは500万〜3000万、更に好ましくは1000万〜2000万である。
また、同様の観点から、アニオン性凝集剤は弱アニオン性又は中アニオン性であることが好ましい。ここで、弱アニオン性とは、コロイド当量値(meq/g)で0より小さく、−2.0より大きいものをいう。また、中アニオン性とは、コロイド当量値(meq/g)で−2.0〜−5.0であるものをいう。つまり、本発明で好ましく用いられるアニオン性凝集剤は、コロイド当量値(meq/g)が0〜−5.0の範囲にあるものである。コロイド当量値の測定方法は以下の通りである。
<コロイド当量値の測定方法>
50ppm水溶液(純水で希釈)に希釈したアニオン性凝集剤を100mlメスシリンダーに採取して200mlビーカーに移す。回転子を入れて攪拌しながら2N水酸化ナトリウム溶液(和光純薬工業(株)製)0.5mlをホールピペットで加えた後、N/200メチルグリコールキトサン溶液(和光純薬工業(株)製)5mlをホールピペットで加える。トルイジンブルー指示薬(和光純薬工業(株)製)を2〜3滴入れ、N/400ポリビニルアルコール硫酸カリウム溶液(和光純薬工業(株)製)で滴定する。青色が赤紫色に変わり数秒経っても赤紫色が消えない点を終点とする。同様に純水にて空試験を行う(ブランク)。
コロイド当量値(meq/g)=〔アニオン凝集剤の測定値(ml)−空試験の滴定量(ml)〕/2
本発明に係る単層のシートにおけるアニオン性凝集剤の含有量は、該シートの全構成繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明に係る単層のシートは、公知の湿式抄紙法によって製造することができる。湿式抄紙法は、パルプ繊維を含む水分散液からなる紙料(スラリー)を調製する紙料調製工程と、紙料からパルプ繊維を抄いて繊維ウエブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程とを有するものである。抄紙工程は、通常、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等に分けられ、順次実施される。湿式抄紙法は、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機又は丸網抄紙機等の抄紙機を用いて常法に従って実施することができる。
本発明に係る単層のシートの坪量は、薄葉紙の用途等に応じて適宜設定することができるが、坪量が高すぎるとシートの柔軟性や液透過性が損なわれ、また坪量が低すぎると活性炭と金属担持多孔質粒子の歩留まりが極度に低下することから、好ましくは10g/m2以上、更に好ましくは13g/m2以上、そして、好ましくは40g/m2以下、更に好ましくは25g/m2以下である。
シートの坪量は、次のようにして測定される。JIS P8111の条件にて測定対象シートの調湿を行った後、測定対象シートから10cm四方(面積100cm2)の測定片を切り出し、該測定片の重量を少数点以下2桁の天秤にて測定し、その測定値を面積で除して該測定片の坪量を算出する。測定対象シートから切り出した10枚の測定片について、前記手順に従って坪量を算出し、それらの平均値を測定対象シートの坪量とする。
また、下記方法で測定される本発明に係る単層のシートの液透過時間は、特に下限に制限はないが、好ましくは1秒以上、そして、好ましくは10秒以下、更に好ましくは5秒以下である。液透過時間が短いほど、液透過性が高く高評価となる。液透過時間が前記範囲にあるシートは、液透過性に優れており、例えば該シートを、使い捨ておむつ等の吸収性物品における吸収性コアを被覆するコアラップシートに適用した場合には、尿等の排泄液を素早く透過させて吸収性コアに速やかに吸収させることが可能となり、吸収性物品の防漏性の向上が期待できる。
<液透過時間の測定方法>
図1に示すように、上下端が開口している内径35mmの2本の円筒91,92を、両円筒91,92の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定対象シートS(前記単層のシート)を上下の円筒91,92間に挟み込む。このとき、上側の円筒91の下端及び下側の円筒92の上端に設けられた環状のフランジ部にクリップ93を嵌合させ、上下の円筒91,92を連結させることが好ましい。符号94は、円筒91,92の内径と同径同形状の貫通孔を有するゴム製等のパッキンである。このように、上下の円筒91,92で測定対象シートSを挟持固定した状態で、上側の円筒91内に、図1中符合Wで示す生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9質量%の水溶液)を40g±1g供給する。供給された生理食塩水は、測定対象シートSを透過するか又は測定対象シートSに吸収されて上側の円筒91内からなくなる。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水の水面が測定対象シートSの表面(上側の円筒91側の面)と同位置になるまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
前述した単層のシートを含んで構成される本発明の薄葉紙は、2種類の消臭剤(活性炭及び金属担持多孔質粒子)を含有しているため、尿等の排泄物の消臭性に優れており、また、活性炭を含有していることに起因して、該単層のシート全体が、活性炭の黒色が適度に反映された黒っぽい色(灰色又はその類似色)に着色されているため、使用者に薄葉紙の消臭効果に対する安心感を与えることができ、そのような特長が活かされる種々の用途に好適である。特に、本発明の薄葉紙は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、液保持性の吸収性コアを被覆するコアラップシートとして好適であり、排泄物が、尿等の比較的低粘性の場合のみならず、軟便等の比較的高粘性の場合であっても、排泄物を素早く透過させて吸収性コアに吸収させることができ、吸収性物品の防漏性の向上に寄与し得る。
本発明の薄葉紙を用いた本発明の吸収性物品の一例として、吸収性コア及びこれを被覆するコアラップシートを含んで構成される吸収性物品であって、該コアラップシートが、前述した本発明の薄葉紙であるものが挙げられる。より具体的には、本発明の吸収性物品は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する液不透過性ないし撥水性の裏面シート、及びこれら両シート間に配置された液保持性の吸収体を具備し、該吸収体が、前記吸収性コア及び前記コアラップシート(本発明の薄葉紙)を含んで構成されている。前記コアラップシート(本発明の薄葉紙)は、少なくとも前記吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面を被覆することが好ましい。例えば、前記吸収性コアの幅方向の長さの2倍以上3倍以下の幅を有する1枚の本発明の薄葉紙を、前記コアラップシートとして用いた場合には、その1枚の本発明の薄葉紙で該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面を被覆することが可能となる。尚、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。ここで前記金属担持粒子が厚さ方向における片面側に偏在している薄葉紙を用いる場合には、前記吸収性コア側に前記金属担持粒子が偏在するように構成することが、消臭効果をより発揮しやすいことから好ましい。前記表面シート、前記裏面シート及び前記吸収性コアとしては、それぞれ、この種の吸収性物品において通常用いられているものを特に制限無く用いることができる。本発明の吸収性物品は、展開型あるいはパンツ型の使い捨ておむつ、尿とりパッド、生理用ナプキン等に適用できる。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、本発明の薄葉紙は、パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子を含有する単層のシートを含んで構成されていれば良く、通常、1枚の該単層のシートから構成されるが、1)該単層のシートが複数枚積層されて構成されていても良く、あるいは、2)該単層のシートに、該単層のシートとは異なる組成の別のシートが積層されて構成されていても良く、前記1)及び2)の如き積層シートも本発明に含まれる。但し、本発明に含まれる積層シートは、湿式抄紙法等により別々に製造された複数枚の乾燥状態のシートを、互いに貼り合わせる等して一体化してなる積層シートであり、抄紙工程において湿潤状態の繊維ウエブを重ね合わせる等して一体化してなる積層シート(いわゆる抄き合わせにより製造された積層シート)は、本発明には含まれない。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記(薄葉紙)を開示する。
<1> パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子を含有する単層のシートを含んで構成される薄葉紙であって、
前記パルプ繊維のフリーネスは450ml以上680ml以下であり、
前記活性炭は、平均粒径が1μm以上15μm以下、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が体積基準で5%未満であり、且つ該活性炭の含有率は、前記単層のシートの坪量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下であり、
前記金属担持多孔質粒子は、前記活性炭に比して平均粒径が大きく、
前記単層のシートの明度L値は55以上80以下である薄葉紙。
<2> 前記金属担持多孔質粒子は、前記単層のシートの厚さ方向における片面側に偏在している前記<1>記載の薄葉紙。
<3> 前記金属担持多孔質粒子は、平均粒径が、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、そして、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、より具体的には、好ましくは5μm以上30μm以下、更に好ましくは10μm以上25μm以下である前記<1>又は<2>記載の薄葉紙。
<4> 前記金属担持多孔質粒子は、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られる粒子で且つ金属イオンを担持している粒子である前記<1>〜<3>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<5> 前記単層のシートは、更にカチオン性湿潤紙力増強剤及びゼオライトを含有する前記<1>〜<4>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<6> 前記カチオン性湿潤紙力増強剤は、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂である前記<5>記載の薄葉紙。
<7> 前記カチオン性湿潤紙力増強剤の含有量は、前記単層のシートの全構成繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である前記<5>又は<6>記載の薄葉紙。
<8> 前記ゼオライトの含有量は、前記単層のシートの全構成繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である前記<5>〜<7>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<9> 前記ゼオライトと前記カチオン性湿潤紙力増強剤との含有質量比(ゼオライト/カチオン性湿潤紙力増強剤)は、好ましくは1〜50、更に好ましくは3〜10である前記<5>〜<8>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<10> 前記単層のシートは、更にアニオン性凝集剤を含有し、該アニオン性凝集剤の重量平均分子量が500万以上3000万以下、コロイド当量値(meq/g)が0〜−5.0の範囲にある前記<1>〜<9>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<11> 前記アニオン性凝集剤は、アニオン性ポリアクリルアミド又はその塩である前記<10>記載の薄葉紙。
<12> 前記アニオン性凝集剤の重量平均分子量は、好ましくは500万以上、更に好ましくは1000万以上、そして、好ましくは3000万以下、更に好ましくは2000万以下、より具体的には、好ましくは500万以上3000万以下、更に好ましくは1000万以上2000万以下である前記<10>又は<11>記載の薄葉紙。
<13> 前記アニオン性凝集剤の含有量は、前記単層のシートの全構成繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である前記<10>〜<12>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<14> 前記単層のシートの坪量は10g/m2以上40g/m2以下である前記<1>〜<13>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<15> 前記パルプ繊維として、少なくとも針葉樹晒クラフトパルプを含有し、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプとの含有質量比が、針葉樹晒クラフトパルプ:広葉樹晒クラフトパルプ=100/0〜70/30、好ましくは100/0〜90/10である前記<1>〜<14>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<16> 下記方法で測定される前記単層のシートの液透過時間が1秒以上10秒以下である前記<1>〜<15>の何れか一項に記載の薄葉紙。
<液透過時間の測定方法>
上下端が開口している内径35mmの2本の円筒を、両円筒の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定対象シート(前記単層のシート)を上下の円筒間に挟み込み、その状態で、上側の円筒内に生理食塩水を40g±1g供給する。供給された生理食塩水は、測定対象シートを透過するか又は測定対象シートに吸収されて上側の円筒内からなくなる。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水の水面が測定対象シートの表面と同位置になるまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
<17> 前記<1>〜<16>の何れか一項に記載の薄葉紙を用いた吸収性物品。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
叩解機にかけてフリーネスを550mlに調製したパルプ繊維のNBKP(Cariboo Pulp and Paper Company社製、商品名「Cariboo」)、活性炭A、金属担持多孔質粒子A及びゼオライト(水澤化学工業(株)製、商品名「TSC」)を水中に均一に分散させて中間スラリーを得た。この中間スラリーを希釈しながら、カチオン性湿潤紙力増強剤としてエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(星光PMC製、商品名「WS4024」)を、中間スラリー中の全繊維の乾燥質量に対して0.5質量%投入し、更に、アニオン性凝集剤としてアニオン性ポリアクリルアミド(MTアクアポリマー製、商品名「アコフロック A−95」、コロイド当量値−1.2meq/g、重量平均分子量1700万)を、中間スラリー中の全繊維の乾燥質量に対して0.04質量%投入し、各成分が均一になるように十分に撹拌して、パルプ繊維濃度0.3質量%のスラリーを得た。このスラリーを、角型シートマシン(シート寸法250mm角、熊谷理機工業(株)社製)を用い、ワイヤー目開き径90μm(166メッシュ)の金網抄紙ワイヤー上で脱水し、紙層を形成させる。該紙層をドライヤで乾燥させて単層のシートを製造し、1枚の該単層のシートを実施例1の薄葉紙とした。
〔実施例2〜7及び比較例1〜7〕
パルプ繊維(NBKP)のフリーネス、各種原料の仕込み量等を適宜変更した以外は実施例1と同様にして単層のシートを複数枚製造し、各1枚の該単層のシートを実施例又は比較例の薄葉紙とした。
実施例及び比較例で用いた活性炭A〜Dの詳細は次の通り。
・活性炭A:フタムラ化学製、商品名「太閤活性炭SA1000」、平均粒径5.8μm、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量5体積%未満。
・活性炭B:活性炭A及び活性炭Cを同じ重量量りとって混合して混合物を得、平均粒径が15.0μm、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が5体積%未満となるように、JIS規格の篩い(メッシュ150〜250)を用いて該混合物を篩別した。
・活性炭C:フタムラ化学製、商品名「太閤活性炭FC」、平均粒径35.2μm、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量5体積%以上。
・活性炭D:フタムラ化学製、商品名「太閤活性炭DPB」、平均粒径55.2μm、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量5体積%以上。
実施例及び比較例で用いた金属担持多孔質粒子A〜Dのうち、金属担持多孔質粒子A〜Cは、以下に示す水中油型懸濁重合法により得た。金属担持多孔質粒子A〜Cは、何れも前記「BET比表面積が10m2/g以上のビニル共重合粒子で且つ金属イオンを担持している粒子」に相当し、金属担持多孔質粒子Aの平均粒径は7.3μm、金属担持多孔質粒子Bの平均粒径は18μm、金属担持多孔質粒子Cの平均粒径は2.5μmであった。また、金属担持多孔質粒子Dとしては、花王(株)製の商品名「ルナモスSP−PC」を用いた。金属担持多孔質粒子Dは、前記金属置換カンクリナイト様鉱物(銀置換カンクリナイト様鉱物)に相当し、平均粒径は8.3μmであった。
水中油型懸濁重合法: オクタン112.5g及びトルエン37.5gにモノマー(スチレン/ジビニルベンゼン/2−ビニルピリジン=12.5%/75%/12.5%)100g及び過酸化ラウロイル3gを溶解させ、これに、N−ステアリルタウリン酸ナトリウム1.5gを溶かし込んだ500gの水を加えて重合槽に仕込んだ。その後、仕込まれた混合液を、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで5分間撹拌することで乳化させ、これを200rpmの撹拌条件下、85℃で4時間、更に95℃で3時間加熱することで重合し、水と有機溶剤を濾過して除いた後に乾燥し、平均粒径7.3μmの金属担持多孔質粒子Aを得た。また、同様にしてホモジナイザーの攪拌する回転数の調整により金属担持多孔質粒子の平均粒径を調整し、平均粒径18μmの金属担持多孔質粒子B及び平均粒径2.5μmの金属担持多孔質粒子Cをそれぞれ得た。
〔評価〕
実施例及び比較例の薄葉紙(単層のシート)について、前記方法によって明度L値及び液透過時間をそれぞれ測定すると共に、活性炭脱落度合い(濾紙の明度L値)、色ムラ、消臭性をそれぞれ下記方法により評価した。それらの結果を下記表1及び表2に示す。尚、本実施例及び比較例における明度L値の測定においては、測定面の裏側にある物体の影響を受けないように前記単層のシートを4枚重ねて測定した。
また、金属担持多孔質粒子を含有していない比較例4を除く、各実施例及び比較例の薄葉紙について、前記方法によって、金属担持多孔質粒子が薄葉紙を構成する単層のシートの厚さ方向における片面側に偏在しているか否かを確認したところ、比較例8以外の薄葉紙(金属担持多孔質粒子A又はBを用いた薄葉紙)においては、金属担持多孔質粒子が単層の厚さ方向におけるシートの片面側に偏在していたのに対し、比較例8の薄葉紙(金属担持多孔質粒子Cを用いた薄葉紙)においては、単層のシート各面における金属担持多孔質粒子の面積率の差は小さく、その比は1.1未満となり、金属担持多孔質粒子は偏在していなかった。
<活性炭脱落度合いの評価方法>
プラスチック製の円盤(直径70mm、厚み8mm)と、該円盤の一面の全域を被覆するメラミンフォームのスポンジ(厚み5mm)とを含んで構成されるテスターを用いて行う。テスターにおけるスポンジの中央部に直径70mmの円形状の白色の濾紙(ADVANTEC製、定性濾紙、型式No.2、明度L値96.3)を両面テープで固定し、該濾紙で、水平面上に載置された評価対象シート(薄葉紙)の上面の任意の部位を9gf/cm2の圧力で押圧しつつ、テスター円盤の中心を外周とし、半径25mmの回転運動をさせる。時計回りに回転速度20rpmで3回回転させ、続いて、テスターを反時計回りに同じ回転速度で3回回転させる。斯かる操作を、評価対象シートの上面の同じ部位に対して15回行った後、評価対象シートと接触していた濾紙の明度L値を前記方法により測定する。評価対象シートから活性炭が脱落し難いほど、前記操作により濾紙に転移する活性炭の量は少なくなるため、濾紙の明度L値は大きくなる。つまり、濾紙の明度L値が大きいほど、活性炭が脱落し難く(活性炭脱落度合いが低く)、高評価となる。濾紙の明度L値が90以上を合格とした。
<色ムラの評価方法>
評価対象シート(薄葉紙)の両面をそれぞれ目視で観察した。活性炭が多い部分と活性炭が少なく発色が弱い部分の濃淡を観察した。評価対象シートの全面にわたり均一に発色し、色ムラを認識できない場合をA、色ムラを認識できるが弱い濃淡である場合をB、はっきりと認識できる強い濃淡がある場合をC(NG)とした。
<消臭性の評価方法>
成人男性5名の尿を各100ml混合した人尿500mlを調製する。評価対象シート(薄葉紙)に人尿30gを吸収させ、容積1.2リットルの密閉容器(商品名「タイトボックスNo.3」、蝶プラ工業(株)製)中に素早く入れて気密状態にして、室温30℃で、1時間後、24時間後に該容器の蓋を開け、容器中の臭いを5名のモニターに評価させた。その評価基準は以下の通りである。即ち、臭いの強度を0〜5の評価スコアによる6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価スコアは、「R0」無臭、「R1」やっと感知できる臭い(検知閾値)、「R2」尿臭であることわかるが弱い臭い(認知閾値)、「R3」楽に尿臭であると感じられる臭い、「R4」強い尿臭、「R5」強烈な尿臭を示す。臭いの強度の判定は0.5刻みで行い、5人の評価の平均値を下記表1及び表2に示した。この平均値が小さいほど、消臭性に関して高評価となる。尚、下記表1及び表2においては、密閉容器に評価対象シートを入れてから1時間後の容器中の臭いを「初期臭」、24時間後の容器中の臭いを「腐敗臭」とした。
Figure 0005947693
Figure 0005947693
表1に示す通り、1)パルプ繊維のフリーネスが450ml以上680ml以下であり、2)平均粒径が1μm以上15μm以下、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が5体積%未満の活性炭(活性炭A又はB)を0.1質量%以上1.5質量%以下含有し、且つ3)活性炭に比して平均粒径が大きい金属担持多孔質粒子を含有する、各実施例の薄葉紙は、活性炭脱落度合いを示す濾紙の明度L値が90以上で活性炭の脱落が生じ難く、色ムラを認識できず、且つ消臭性についても初期臭及び腐敗臭の何れも評価スコアがR2.5以下で合格レベルであった。
これに対し、各比較例の薄葉紙は、表2に示す通り、実施例に比して低評価となった。比較例1は、主として、本発明の範囲外の活性炭C(平均粒径が比較的大きく且つ粗大粒子の混入率が比較的高いもの)を用いたため、活性炭含有率が実施例と同レベルであるにもかかわらず、薄葉紙の明度L値が80を超え、活性炭の黒色が薄葉紙に十分に反映されない結果となった。比較例2は、主として、活性炭Cの含有率が比較例1に比して増加していることに起因して、活性炭脱落度合いを示す濾紙の明度L値が90未満となり、活性炭が脱落し易い結果となった。比較例3は、主として、活性炭Cよりも更に平均粒径の大きい活性炭Dを用いたため、薄葉紙の明度L値が80を超え且つ濾紙の明度L値が90未満となった。比較例4は、主として、金属担持多孔質粒子を含有していないため、初期臭及び腐敗臭の何れも評価スコアがR3.0を超え、消臭性に劣る結果となった。比較例5は、主として、活性炭を含有していないため、特に初期臭に劣る結果となった。比較例6及び7は、主として、パルプ繊維のフリーネスが450〜680mlの範囲外であるため、色ムラが見られ、また、他の例に比してパルプ繊維のフリーネスが大きい比較例7については、更に、濾紙の明度L値が90未満となり、活性炭が脱落し易い結果となった。比較例8は、主として、本発明の範囲外の金属担持多孔質粒子C(併用される活性炭に比して平均粒径が小さいもの)を用いたため、腐敗臭に対する消臭性に乏しい結果となった。
91,92 円筒
93 クリップ
94 パッキン
S 測定対象シート(薄葉紙)
W 生理食塩水

Claims (9)

  1. パルプ繊維、活性炭及び金属担持多孔質粒子を含有する単層のシートを含んで構成される薄葉紙であって、
    前記パルプ繊維のフリーネスは450ml以上680ml以下であり、
    前記活性炭は、平均粒径が1μm以上15μm以下、粒径分布において粒径40μm以上の粒子の積算量が体積基準で5%未満であり、且つ該活性炭の含有率は、前記単層のシートの坪量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下であり、
    前記金属担持多孔質粒子は、前記活性炭に比して平均粒径が大きく、
    前記単層のシートの明度L値は55以上80以下である薄葉紙。
  2. 前記金属担持多孔質粒子は、前記単層のシートの厚さ方向における片面側に偏在している請求項1記載の薄葉紙。
  3. 前記金属担持多孔質粒子は、平均粒径が5μm以上30μm以下である請求項1又は2記載の薄葉紙。
  4. 前記金属担持多孔質粒子は、架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られる粒子で且つ金属イオンを担持している粒子である請求項1〜3の何れか一項に記載の薄葉紙。
  5. 前記単層のシートは、更にアニオン性凝集剤を含有し、該アニオン性凝集剤の重量平均分子量が500万以上3000万以下、コロイド当量値(meq/g)が0〜−5.0の範囲にある請求項1〜4の何れか一項に記載の薄葉紙。
  6. 前記単層のシートの坪量は10g/m2以上40g/m2以下である請求項1〜5の何れか一項に記載の薄葉紙。
  7. 前記パルプ繊維として、少なくとも針葉樹晒クラフトパルプを含有し、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプとの含有質量比が、針葉樹晒クラフトパルプ:広葉樹晒クラフトパルプ=100/0〜70/30である請求項1〜6の何れか一項に記載の薄葉紙。
  8. 下記方法で測定される前記単層のシートの液透過時間が1秒以上10秒以下である請求項1〜7の何れか一項に記載の薄葉紙。
    <液透過時間の測定方法>
    上下端が開口している内径35mmの2本の円筒を、両円筒の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定対象シート(前記単層のシート)を上下の円筒間に挟み込み、その状態で、上側の円筒内に生理食塩水を40g±1g供給する。供給された生理食塩水は、測定対象シートを透過するか又は測定対象シートに吸収されて上側の円筒内からなくなる。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水の水面が測定対象シートの表面と同位置になるまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の薄葉紙を用いた吸収性物品。
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