JP4651392B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、失禁ライナ等の吸収性物品に関する。
消臭性能が付与された吸収性物品として、本出願人は先に、吸収性コアの少なくとも肌当接面側に配された脱落防止用シート、及び吸収性コアと脱落防止用シートとの間に介在された活性炭含有シートを有する吸収性物品を提案した(特許文献1参照)。吸収性コア及び脱落防止用シートは、活性炭含有シートの長手方向における前後端から延出し、延出した吸収性コア及び脱落防止用シートが互いに接合されている。これにより前後端から活性炭が脱落しないようになされている。
この吸収性物品とは別に、消臭効果と抗菌効果とがバランスよく発現する吸収性物品として、本出願人は先に、トップシートと吸収性コアとの間に、主として消臭効果を有する層、及び吸収性コアとは別に、主として抗菌効果を有する層が配され、且つトップシートと、主として抗菌効果を有する層との間に、キレート剤又は抗酸化剤を含有する層が配された吸収性物品を提案した。主として消臭効果を有する層は活性炭を含み、また、主として抗菌効果を有する層は、銀、銅又は亜鉛を含む抗菌剤を含んでいる。
これらの吸収性物品によれば、消臭効果や、それに加えて抗菌効果が発現され、それによって吸収性物品の装着中に悪臭が外部へ放出されることが防止される。しかし、消臭効果に優れた吸収性物品に対する消費者のニーズは依然として高く、更に一層高性能な吸収性物品が要求されている。
特開2001−309942号公報 特開2003−052746号公報
従って本発明の目的は、消臭・抗菌効果の一層高い吸収性物品を提供することにある。
本発明は、金属イオンを含有しない抗菌剤又は金属イオンを実質的に水に溶解しない状態で含有する抗菌剤と、活性炭とが、吸収性コアとトップシートとの間に配されてなる吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、第四級アンモニウム塩からなる抗菌剤が、繊維シートに含有されてなる抗菌シートを提供するものである。
本発明の吸収性物品は、長時間にわたり高い消臭・抗菌効果が持続するものである。また金属イオンの溶出がないので、吸収性コアに含まれる高吸収性ポリマーの分解ないし劣化が起こるおそれが極めて低く、また使用者がアレルギーを起こすおそれも極めて低い。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態としての失禁パッド1の斜視図が示されている。図2は図1におけるII−II線断面図である。
本実施形態の失禁パッド1は、液透過性のトップシート2、液不透過性のバックシート3及び両シート間に介在された液保持性の吸収性コア4を有している。パッド1の長手方向左右両側部には、サイドフラップ5,5が配されている。
トップシート2は、吸収性コア4の上面全域を被覆しており、且つ吸収性コア4の両側部を被覆して吸収性コア4の下面側へ巻き込まれている。一方、バックシート3は、吸収性コア4の下面側のみに配されている。バックシート3の外面には、パッド1の幅方向に延びる、着衣固定用の粘着剤(図示せず)が、パッド1の長手方向に所定間隔をおいて複数箇所塗布されている。該粘着剤によって、失禁パッド1が使用者の着衣に接着固定される。
トップシート2としては、繊維材料を主体とするものが用いられ、その例としては各種不織布や、不織布とフィルムとのラミネートからなり多数の開孔が形成されている複合シートが用いられる。バックシート3としては、熱可塑性樹脂製のフィルムなどを用いることができる。該熱可塑性樹脂製のフィルムは透湿性を有していてもよい。吸収性コア4は、吸液性の繊維材料、例えばパルプを主体とし、これに高吸収性ポリマーの粒子が混合されて構成されている。
図2及び図3に示すように、吸収性コア4は、活性炭を含む繊維シート(以下、活性炭シートという)6によって取り巻かれている。詳細には、活性炭シート6は、吸収性コア4の長手方向中央領域における上下面及び両側面を被覆している。その結果、吸収性コア4は、図1に示すように、活性炭シート6の前端6a及び後端6bから、パッド1の長手方向前端部及び後端部方向へ向けてそれぞれ延出している。
活性炭シート6によって取り巻かれた状態の吸収性コア4は、その全面(上下面及び両側面)が、抗菌剤を含む繊維シート(以下、抗菌シートという)7によって取り巻かれている。即ち、吸収性コア4は、その長手方向中央領域が、活性炭シート6及び抗菌シート7の2枚のシートに取り巻かれており、また活性炭シート6の前端6a及び後端6bからそれぞれ前後方向に向けて延出している領域が、抗菌シート7によって取り巻かれている。
活性炭シート6をパッド1の中央領域にのみ配する理由は、活性炭シート6の前後端6a,6bから活性炭が漏れ出る(脱落する)ことを抗菌シート7で防止するためである。活性炭シート6を吸収性コア4の全域に配すると、たとえその上を抗菌シート7で覆ったとしても活性炭の脱落を完全に防止することはできない。特に、活性炭は黒色ないし褐色であることから、活性炭が漏れ出ると、その量が少量であっても、多量の活性炭が漏れ出た印象を使用者に与えやすい。
活性炭シート6は、吸収性コア4の上面において、該上面の面積の50〜90%を被覆していることが、活性炭の脱落防止及び十分な消臭性能の発現の点から好ましい。一方、抗菌シート7は、吸収性コア4の上面において、該上面の面積の60〜100%を被覆していることが、十分な抗菌性能の発現の点から好ましい。
また、吸収性コア4の幅方向断面でみたときに、活性炭シート6は、少なくとも吸収性コア4上面を被覆し、更に、抗菌シート7は、前記吸収性コア4及び活性炭シート6の全体を包む込むように被覆していることが、両シートの相乗効果によって、十分な抗菌性能及び消臭効果が発現する点から好ましい。
パッド1のトップシート側の上面には、パッド1の縦中心線に向かって湾曲した一対の圧縮溝8,8が形成されている。圧縮溝8は、トップシート2と吸収性コア4とを、熱を伴うか又は伴わないエンボス等の圧縮手段によって圧縮することによって形成されている。圧縮溝8は、失禁パッド1が変形するための可撓軸として作用する。その結果、失禁パッド1の着用時に、失禁パッド1は圧縮溝に沿って折曲して着用者の体型に沿った形状に変形し易くなる。
サイドフラップ5は、起立壁部10と防漏面部11とから構成されている。起立壁部10は、その一側が吸収性コア4とバックシート3との間に配置されて、吸収性コア4とバックシート3とによって挟持固定されている。固定手段としてはホットメルト粘着剤等の接着剤による接着が用いられる。起立壁部10が吸収性コア4とバックシート3とによって挟持固定されている部位は、起立壁部10の基端部12となる。起立壁部10によって、サイドフラップ5と、吸収性コア4との間にはポケットP(図2参照)が形成されて、排泄された液がトップシート2の表面を伝って流れ出ても、ポケットPに捕捉されて、それ以上の流出が阻止される。
起立壁部10の他側は防漏面部11に連設している。防漏面部11は、パッド1の幅方向外方にほぼ水平に張り出しており、トップシート2とほぼ平行になった平坦な面を形成している。また、防漏面部11は、トップシート2よりも高い位置に形成されている。これによって、失禁パッド1の着用時に、防漏面部11が着用者の肌に面で密着当接し、横漏れが効果的に防止される。更に、面で密着当接していることによって、着用者の動作によって失禁パッド1がよれても、着用者の身体との間に空隙が発生し、やはり横漏れが効果的に防止される。
起立壁部10及び防漏面部11は、シート材を縦に二つ折りしたものから一体的に構成されている。具体的には、二つ折りにされたシート材の側縁を吸収性コア4とバックシート3とによって挟持固定して、前述した基端部12を形成する。二つ折りにされたシート材の折曲部は自由端部13とする。そして基端部12と自由端部13との間の折り返し部14の位置で、二つ折りにされたシート材をパッド1の幅方向外方に折り返す。これによって、基端部12と折り返し部14との間が起立壁部10となり、折り返し部14と自由端部13との間が防漏面部11となる。
自由端部13の内部には、該自由縁部13に沿って平ゴムからなる弾性部材15が伸張状態で固定されている。この弾性部材15によって防漏面部11の平坦な形状が良好に形成及び維持される。また、これら弾性部材の収縮によって、サイドフラップ5にはギャザーが形成されている。
サイドフラップ6の長手方向前後端部は、固定位置16,17で、本体部5におけるトップシート2上に固定されている。そして、固定位置16,17間においては、サイドフラップ8は、トップシート2上に固定されていない。斯かる固定によってサイドフラップ8における起立壁部10が基端部12から立ち上がると共に防漏面部11が水平方向外方に平坦に張り出す。更に、弾性部材15a,15bの収縮によって、本体部5における前方部及び後方部がトップシート2側に引き起こされる。その結果、失禁パッド1は側面視して略船形形状を呈する。
略船形形状を呈している失禁パッド1は、着用者の形態に沿った形状となり、フィット性が極めて良好になる。また、起立壁部10及び防漏面部11と、前記船形形状との相乗効果によって、失禁パッド1の前後方向及び横方向の漏れが効果的に防止される。
以上の構成を有する失禁パッド1は、排泄物が排泄された後、初期に発生する悪臭物質、特に尿の排泄後、初期に発生するケトン類等の悪臭物質が、活性炭シート6に含まれるによって吸着される。排泄から時間が経過すると、排泄物が雑菌によって分解されて、メルカプタンや硫化水素などを含む腐敗臭が発生するが、その腐敗臭の発生が、抗菌シート7に含まれるによって抑制される。排泄から更に時間が経過すると、アンモニアなどを含む腐敗臭が発生するが、その腐敗臭の発生が、やはり抗菌剤によって抑制される。このように、本実施形態の失禁パッド1においては、排泄物が排泄された後の初期の段階では、活性炭による消臭が支配的であり、中期から後期にかけては抗菌剤による悪臭物質の発生の抑制が支配的となる。このように、排泄物が排泄された後の時間経過に応じ消臭のメカニズムが異なるので、長時間にわたって消臭効果が持続する。具体的には、後述する実施例から明らかなように、約24時間にわたって消臭効果が持続する。
特に失禁パッド1は、吸収性コア4が活性炭シート6に被覆され、その上を抗菌シート7が被覆するという二重構造になっているので、吸収性コア4に吸収された尿等の排泄物から生ずる悪臭物質が外部に放出されることを、二重構造になっている活性炭シート6及び抗菌シート7が阻止する。その結果、消臭効果が一層高くなる。
しかも、後述するように、本実施形態で用いられる抗菌剤には金属イオンが含まれていないか、又は含まれている場合であっても金属イオンが水に実質的に溶解しない状態で含まれているので、金属イオンに起因する高吸収性ポリマーの分解のおそれが極めて低い。更に、金属イオンが溶出しないことで、金属イオンに起因するアレルギーが使用者に発生しづらくなるという利点もある。
吸収性コア4を被覆する活性炭シート6及び抗菌シート7の詳細について説明すると、先ず活性炭シート6は、液透過性及び通気性を有していることが好ましい。このような特性を有する活性炭シート6は、パルプ等の繊維材料を主体とし、活性炭を含有する湿式抄紙された紙から好適に構成される。
活性炭シート6において、繊維材料は、活性炭シート6の重量に対して50〜99重量%、特に70〜97重量%配合されていることが、十分な強度及び柔軟性の発現の点から好ましい。繊維材料としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)などの木材パルプ、及び藁や綿などの非木材パルプ等の吸液性繊維が好ましく用いられる。
活性炭シート6において、活性炭は、活性炭シート6の重量に対して1〜50重量%、特に3〜30重量%配合されていることが、十分な消臭効果及び柔軟性の発現の点から好ましい。活性炭としては、薬品賦活活性炭を用いることが、初期尿臭の吸着効果が一層高い点から好ましい。薬品賦活活性炭としては、塩化亜鉛賦活活性炭及びリン酸賦活活性炭が挙げられる。
活性炭シート6は、その坪量が、15〜50g/m2、特に20〜35g/m2であることが、十分な強度及び柔軟性の発現の点から好ましい。
活性炭シート6から活性炭が脱落することを一層効果的に防止することを目的として、活性炭シート6は、図4に示すように、その上下から、液透過性を有する繊維シート6a,6bによって挟まれていることが好ましい。詳細には、活性炭シート6の幅が、繊維シート6a,6bの幅よりも短くなっていて、繊維シート6a,6bが、活性炭シート6の左右両側縁部から側方に延出している。そして、延出した繊維シート6a,6bどうしが互いに接合されている。このような構成によって、活性炭シート6の側縁からの活性炭の脱落が効果的に防止される。繊維シート6a,6bとしては、例えばティッシュぺーパーなど液透過性のものを用いることができる。
抗菌シート7に含まれる抗菌剤としては、(イ)金属イオンを含有しない抗菌剤、又は(ロ)金属イオンを含有するが、該金属イオンを実質的に水に溶解しない状態で含有する抗菌剤が用いられる。これら(イ)又は(ロ)の抗菌剤を用いることで、先に述べた通り、高吸収性ポリマーの分解のおそれが極めて低くなり、また使用者にアレルギーが発生するおそれも極めて低くなる。
(イ)の抗菌剤としては、有機系の抗菌剤を用いることが好ましい。特に、抗菌性及び安全性の高さの点から、第四級アンモニウム塩を用いることが好ましい。第四級アンモニウム塩としては、例えば塩化ベンザルコニウムやセチルリン酸ベンザルコニウムなどを好適に用いることができ、特にセチルリン酸ベンザルコニウムを用いることが、抗菌性、安全性及び即効性の高さの点から好ましい。
セチルリン酸ベンザルコニウムは、例えば繊維シートを湿式抄紙するために用いられる抄紙原料(スラリー)中に添加しておくことができる(内添法)。或いは、セチルリン酸ベンザルコニウムの水溶液を水で希釈した後、繊維シートに含浸させることで、該繊維シートに含有される(外添法)。繊維シートとしては、先に述べた活性炭シートと同様の繊維材料からなるものを用いることができる。生産効率の点からは、内添法を用いることが好ましい。内添法によって抗菌シートを湿式抄紙し、ドライヤー(例えばヤンキードライヤー)で乾燥させると、抄造された紙がドライヤーの表面で乾燥し、該表面から剥がれてバタつく現象が起こることがある。この現象が起こると、ドクターブレードで紙をドライヤーから引き剥がしながらクレープをつけることが困難になる。セチルリン酸ベンザルコニウムはカチオンの部分を持っているので、抄紙原料(スラリー)中では、パルプのアニオンの部分と相互作用をして付着していると予想されるが、本発明者らの検討の結果、セチルリン酸ベンザルコニウムの収率は低いことが判明した。つまり、前記の相互作用は生じていないと考えられる。その結果、乾燥した紙がドライヤーの表面で剥がれ、バタつきが生じ易くなると推定される。この現象が起こることを防止するために、ドライヤーの表面に、紙とドライヤーの表面との密着性を向上させる剤を付与して、紙とドライヤーの表面との密着性を維持することが好ましい。そのような剤としては、各種接着剤や、紙力増強剤として用いられる剤、更にはスミレズレジン6610(商品名、住友化学工業(株)製)を用いることができる。
抗菌シート7における(イ)の抗菌剤の量は、0.05〜2.0重量%、特に0.1〜1.0重量%であることが、十分な抗菌性の発現の点から好ましい。一方、抗菌シート7における繊維材料の量は、91〜98重量%、特に93〜97重量%であることが、十分な強度及び柔軟性の発現の点から好ましい。
(イ)の抗菌剤を含む抗菌シートは、その坪量が12〜20g/m2、特に12〜18g/m2であることが、十分な強度及び柔軟性の発現の点から好ましい。
(ロ)の抗菌剤としては、無機系の抗菌剤を用いることが好ましい。特に、金属イオンの溶出が実質的に起こらない観点から、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物(以下、これを金属置換カンクリナイト様鉱物という)を用いることが好ましい。「金属イオンを実質的に水に溶解しない状態で含有する」とは、吸収性物品の使用中、金属イオンが全く水に溶解しないか、又は溶解したとしても、高吸収性ポリマーの分解ないし劣化が生じない程度の僅かな量しか金属イオンが溶解しないことをいう。
カンクリナイト様鉱物は、アルミノシリケート系化合物に類似の構造を有するものである。本実施形態においてカンクリナイト様鉱物とは、JCPDS(ジョイント・コミッティ・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ)No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515及び45−1373からなる群より選ばれる1種以上のX線回折パターンを有するものをいう。X線回折パターンにおいて、d=0.365±0.015nmに主たるピークを有するものが好ましい。
金属置換カンクリナイト様鉱物は、高い抗菌作用を示す物質である。また金属置換カンクリナイト様鉱物の粒子は、テトラポッド状、金平糖状ないしウニ状の形状を有し、その形状に起因してパルプなどの繊維材料への付着性が極めて良いものである。
特に、金属置換カンクリナイト様鉱物として、以下の組成式で表されるものを用いることが、高い抗菌性の点から好ましい。
sM(1)xy・tM(2)2O・Al23・uSiO2・vRmn・wH2O (1)
(式中、M(1)は抗菌性を有する金属を表し、M(2)はNa、K及びHからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、RはNa、K、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上の原子団を表し、sは0<s≦3、tは0≦t≦3(但し、s+t=0.5〜3である)、uは0.5≦u≦6、vは0<v≦2、wはw≧0、xは1≦x≦2、yは1≦y≦3、mは1≦m≦2、nは1≦n≦3を満たす。)
式(1)中、M(1)は、含硫黄系悪臭に対する消臭能の高さから好ましくはAg、Zn又はCuであることが好ましく、特にAgであることが好ましい。M(1)は一種類でもよく或いは二種類以上の組み合わせでもよい。M(1)が二種類以上の組み合わせである場合、sM(1)xyの項は、各元素に対応した項ごとに分けて記載される。たとえば、M(1)が、金属元素D及びD’からなる場合、sM(1)xyは、s1x1y1・s2x2y2(ただし、x1+x2=x、y1+y2=y、s1+s2=sである)と表される。その他の項についても同様である。
M(2)は、高い消臭能の発現及び経済性の観点から、好ましくはNa及び/又はHである。Rは、M(2)と同様の観点から、好ましくはNa、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上の金属元素であり、更に好ましくはNaである。Qは、粒子の形態制御の容易性の観点から、好ましくはCO3及び/又はNO3である。
sは、高い消臭能の発現及び経済性の観点から、好ましくは0<s≦2、更に好ましくは0<s≦1である。tは、金属置換カンクリナイト様鉱物の水分散液(後述の1重量%水分散液)のpHを良好に保つ観点から、好ましくは0≦t≦2、更に好ましくは0≦t≦1である。s+tは、好ましくは0.5〜1.8、更に好ましくは0.6〜1.5である。uは、高い消臭能の発現の観点から、好ましくは0.5≦u≦5、更に好ましくは0.5≦u≦4である。vは、粒子形態制御の容易性の観点から、好ましくは0<v≦1.5、更に好ましくは0<v≦1である。wは金属置換カンクリナイト様鉱物に含まれる水の含有率(モル比)であり、金属置換カンクリナイト様鉱物の存在形態、たとえば、粉末状、スラリー状などの形態によって変化する。xとy、及びmとnは、それぞれ、M(1)とOとの組み合わせにより、及びRとQとの組み合わせに応じて任意に決まる。
金属置換カンクリナイト様鉱物はその平均粒子径が、0.1〜1000μm、特に0.4〜600μm、とりわけ1〜100μmmであることが、抗菌性が高くなる点及び粉末流動性が良好になる点から好ましい。平均粒子径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用い、相対屈折率1.16にて測定する。
金属置換カンクリナイト様鉱物は非晶質であっても結晶質であってもよい。金属置換カンクリナイト様鉱物は、その製造条件に応じて針状結晶、板状結晶、柱状結晶等の集合体として得られる。また、それらの結晶が集合して球状、テトラボッド状、塊状の集合体等を形成していてもよく、それらの二次凝集体でもよい。
その他、金属置換カンクリナイトに関する詳細は、例えば本出願人の先に出願に係る特開2004−244789号公報に記載されている。
(ロ)の抗菌シートは、活性炭シート6と同様に、抗菌剤を内添した湿式抄紙によって好適に製造される。シートを構成する繊維材料としては、活性炭シートと同様のものを用いることができる。抗菌シート7における(ロ)の抗菌剤の量は、0.3〜2.5重量%、特に0.5〜2.0重量%であることが、十分な抗菌性の発現の点から好ましい。一方、抗菌シート7における繊維材料の量は、91〜98重量%、特に93〜97重量%であることが、十分な強度及び柔軟性の発現の点から好ましい。
(ロ)の抗菌剤を含む抗菌シートは、その坪量が12〜20g/m2、特に12〜18g/m2であることが、十分な強度及び柔軟性の発現の点から好ましい。
(ロ)の抗菌剤を含む抗菌シートは、活性炭シート6と同様、図4に示すように、その上下から、液透過性を有する繊維シートによって挟まれていることが好ましい。特に、抗菌シートの幅が、上下の繊維シートの幅よりも短くなっていて、上下の繊維シートが、抗菌シートの左右両側縁部から側方に延出し、延出した繊維シートどうしが互いに接合されていることが好ましい。これによって、(ロ)の抗菌剤が、シートの側縁から脱落することが効果的に防止される。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、吸収性コア4が活性炭シート6に被覆され、その上に抗菌シート7が被覆されていたが、これに代えて、吸収性コアが抗菌シートに被覆され、その上を活性炭シートが被覆していてもよい。
また前記実施形態においては、活性炭と抗菌剤とが別個のシートに含有されていたが、これに代えて、一枚のシート中に活性炭と抗菌剤とが含まれていてもよい。この場合、抗菌剤として、先に述べた金属置換カンクリナイト様鉱物を用いる場合には、活性炭及び金属置換カンクリナイト様鉱物を含む一枚の繊維シートが、その上下から、液透過性を有する繊維シートによって挟まれていることが好ましい。特に、活性炭及び金属置換カンクリナイト様鉱物を含む繊維シートの幅が、上下の繊維シートの幅よりも短くなっていて、上下の繊維シートが、活性炭及び金属置換カンクリナイト様鉱物を含む繊維シートの左右両側縁部から側方に延出し、延出した繊維シートどうしが互いに接合されていることが好ましい。これによって、活性炭及び金属置換カンクリナイト様鉱物が、シートの側縁から脱落することが効果的に防止される。
また前記実施形態においては、活性炭シート6及び抗菌シート7が、吸収性コア4の、上下面を被覆していたが、これに代えて、これらシート6,7が、吸収性コア4とトップシート2との間にのみ介在配置され、吸収性コア4の上面のみを被覆していてもよい。
また前記実施形態は、本発明を失禁パッドに適用した例であるが、本発明はこれ以外の吸収性物品にも同様に適用できる。例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁ライナ等に本発明を適用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図1〜図3に示す構成の失禁パッドを製造した。失禁パッドにおけるトップシートは2.5dtexのポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維のサクションヒートボンド不織布(坪量25g/m2)であった。活性炭シートとして、粒径30μmの活性炭を含む坪量63g/m2の湿式抄造紙を用いた。活性炭の配合量は5.0重量%であった。この活性炭シートの上下を、図4に示すように坪量17g/m2のティッシュペーパーで挟み、活性炭シートの両側縁からの活性炭の脱落を防止した。抗菌シートとして、セチルリン酸ベンザルコニウムが含浸された湿式抄造紙を用いた。セチルリン酸ベンザルコニウムの含有量は0.2重量%であった。吸収性コアとして、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとの積繊体を用いた。積繊体坪量は300g/m2であった。フラッフパルプの坪量は150g/m2、高吸収性ポリマーの坪量は150g/m2であった。吸収性コアはその長さが195mm、幅が70mmであった。バックシートとしては、ポリエチレン製の透湿性シート(坪量39g/m2)を用いた。
〔比較例1〕
抗菌シートを用いない以外は実施例1と同様にして失禁パッドを得た。
〔比較例2〕
活性炭シートを用いない以外は実施例1と同様にして失禁パッドを得た。
〔比較例3〕
抗菌シート及び活性炭シートを用いず、その代わりに坪量16g/m2のティッシュペーパーで吸収性コアを包んだ以外は実施例1と同様にして失禁パッドを得た。
〔性能評価〕
失禁パッドに健常な成人男子5人から採取して混合した人尿を50g注入し、失禁パッドから発生する臭いを10人のモニターにより、6時間おきに24時間まで以下の4段階の基準で評価させた。その結果を図5に示す。
・臭わない
・やや臭う
・臭う
・非常に臭う。
図5に示す結果から明らかなように、実施例の失禁パッドは、長時間にわたり、高い消臭性能が維持されていることが判る。これに対して活性炭シートのみ用いた比較例1は、初期の尿臭の消臭に効果はあるものの、時間経過と共に発生する腐敗臭の消臭には効果が低いことが判る。抗菌シートのみ用いた比較例2は、時間経過と共に発生する腐敗臭の消臭に効果はあるものの、初期の尿臭の消臭には効果が低いことが判る。なお、図には示していないが、実施例の失禁パッドにおいては、人工尿の注入から24時間を経過しても、高吸収性ポリマーの分解は全く観察されなかった。
本発明の吸収性物品の一実施形態としての失禁パッドを示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 吸収性コアの要部を拡大して示す斜視図である。 活性炭シートの別の実施形態を示す断面図である。 実施例及び比較例で得られた失禁パッドの消臭性能を示すグラフである。
符号の説明
1 失禁パッド(吸収性物品)
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収性コア
5 サイドフラップ
6 活性炭シート
7 抗菌シート
8 圧縮溝
10 起立壁部
11 防漏面部
12 基端部
13 自由端部
14 折り返し部
15 弾性部材
16,17 固定位置

Claims (5)

  1. 金属イオンを含有しない抗菌剤又は金属イオンを実質的に水に溶解しない状態で含有する抗菌剤と、活性炭とが、吸収性コアとトップシートとの間に配されてなり、
    前記吸収性コアが、前記活性炭を含む繊維シートで被覆され、その上から前記抗菌剤を含む繊維シートで被覆されており、
    前記吸収性コアは、その上面の長手方向中央領域が、前記活性炭を含む繊維シート及び前記抗菌剤を含む繊維シートによって被覆されており、
    前記吸収性コアは、前記活性炭を含む繊維シートの前端及び後端からそれぞれ前後方向に向けて延出している領域が、前記抗菌剤を含む繊維シートによって被覆されている吸収性物品。
  2. 前記吸収性コアの幅方向断面でみたときに、前記抗菌剤を含む繊維シートが、前記吸収性コア及び前記活性炭を含む繊維シートの全体を包み込むように被覆している請求項1記載の吸収性物品。
  3. 記活性炭を含む繊維シートの前端及び後端からそれぞれ前後方向に向けて延出している領域が、前記抗菌剤を含む繊維シートによって取り巻かれている請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記抗菌剤が第四級アンモニウム塩からなる請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記第四級アンモニウム塩が、セチルリン酸ベンザルコニウムである請求項記載の吸収性物品。
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