JP6130869B2 - 薄葉紙 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつや尿とりパッドなどの吸収性物品に用いられる薄葉紙に関する。
使い捨ておむつや尿とりパッド等の吸収性物品では、通常、排泄物から発生する臭いは着用者や周囲の人にとって気になる問題となる。これに対する消臭技術がこれまでいくつか提案されてきた(例えば、特許文献1など)。
排泄物による臭い、例えば尿臭などは多種多様な臭いの複合臭からなる。排泄間もない初期の尿臭自体は、体調や個人差はあるものの通常は不快な臭いを発するものでなく、菌の作用によって不快な腐敗臭を発するようになると考えられている。例えば、介護施設や病院、在宅の介護等において、おむつ着用者の入浴の機会が少ない場合や陰部の清拭が十分でない場合、肌常在菌や便由来の大腸菌などの腸内細菌が着用者の肌や表面シートに残っている場合などはこれらの細菌が尿に作用する。具体的には、菌と尿とが接触すると、菌由来の酵素が尿中に含有される尿素やタンパク質、グルクロン酸抱合体等の臭いの前駆体を分解し、酢酸等の脂肪酸類やアンモニア、トリメチルアミン等のアミン類、フェノール類、メルカプタン類等の酸性から中性、アルカリ性まで種々の臭い成分が液中に発生することとなる。この臭い成分が揮発して尿の腐敗臭として感じる。
このような腐敗臭は、例えば大人用の使い捨ておむつなど尿量が多く、比較的長時間の装着(例えば6時間装着)をする場合は、菌等の増殖で時間とともに加速度的に強まる。この強い腐敗臭は、おむつ交換時の周辺のみならず、居室や居間、おむつ廃棄用のゴミ箱周辺(ゴミ収集までの一定期間保管しておく)に腐敗臭が漂うため強い不快を感じることがある。おむつ着用者や周辺の家族、介護者の衛生面や介護施設や病院等における労働環境の改善を可能とし、不快な腐敗臭を軽減するための消臭性能は吸収性物品に付与されることが強く望まれている。一方、肌常在菌や腸内細菌等による長時間の腐敗臭の発生など過酷な装着環境までを想定したものでなければならない。しかし、従来の消臭技術はこれらの点においてまだ改善すべき余地が多い。
特開2006−191966号公報
上記の長時間の腐敗臭の発生に対し、従来の菌の増殖を抑える抗菌剤や消臭剤を単に増量するだけでは、おむつ着用者や周囲の人が臭いに気づかない程の高いレベルの消臭を実現することは難しい。この問題を解決する提案は未だなされていない。また、吸収性物品用シートにおけるこれら剤の増量自体にも製造技術面やコスト面において限界がある。
本発明は、上記の点を鑑み、肌常在菌や腸内細菌等が繁殖する過酷な条件下で吸収性物品を長時間装着しても、不快と感じないレベルまで臭いを極めて低く抑えることができる薄葉紙に関する。
本発明は、セルロース繊維シート基材に、カチオン性抗菌剤を0.05g/m以上、並びに、多孔質粒子、及びpH緩衝性消臭剤を含有させた薄葉紙を提供する。
本発明の薄葉紙は、菌が多い過酷な条件下で吸収性物品を長時間装着しても、不快と感じないレベルまで臭いを極めて低く抑えることができる。
本発明の薄葉紙の製造工程で用いられる水系塗布液の調製装置の一例を示す模式図である。 本発明の薄葉紙の製造工程で用いられる水系塗布液の噴霧装置の一例を示す模式図である。 本発明の薄葉紙を用いた吸収性物品の一例を模式的に示す断面図である。 実施例の試料に対する臭い官能評価の結果を時系列で示したグラフ。 比較例の試料に対する臭い官能評価の結果を時系列で示したグラフ。
なお、各断面図は模式的に示しており、構成要素がシート等の厚みが薄い物の場合は線で表し、構成要素を見分けやすくするため間隔を開けて示した。したがって、実際には、特に断らない限り、各構成要素間は接触もしくは接着している。
本発明に係る薄葉紙の好ましい一実施形態について以下に詳述する。
本発明の薄葉紙は、セルロース繊維シート基材に、カチオン性抗菌剤を0.05g/m以上、並びに、多孔質粒子、及びpH緩衝性消臭剤を含有させたものである。本実施形態においては、上記の3種の剤が1枚のシートに混在して配されている。このカチオン性抗菌剤、多孔質粒子、及びpH緩衝性消臭剤の組み合わせが、尿等の排泄液が薄葉紙に触れた際に、幅広い消臭スペクトルを示し、排泄尿が由来の種々の悪臭成分の産生抑制と消臭が可能となる。これにより、該シートを組み込んだ吸収性物品において、例えば、6時間経過しても、その後に廃棄されるまでの間、持続的かつ効果的な抗菌と消臭の作用により腐敗臭を強力に抑制し、排泄初期と同等以下の弱い臭いを維持できる。
また、本発明の薄葉紙においては、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤が薄葉紙を構成するセルロース繊維に含有され、乾燥して固体状である。これにより、繊維中のカチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤が排泄液と接して徐々に溶解することで、適度な抗菌と中和消臭の作用効果の持続性が得られる。これは、カチオン性抗菌剤と緩衝剤の混合液が液体状に存在して排泄物と接して発揮される効果とは異なる、高いレベルでの長時間の臭い抑制となる。
本発明の消臭メカニズムは、悪臭が発生するまでの各段階に沿った時間軸の消臭メカニズムと、各発生段階における様々なpHを持つ幅広い腐敗臭に対応するpH軸の消臭メカニズムとに大別される。
時間軸の消臭メカニズムは次の3段階がある。第1段階として、カチオン性抗菌剤が臭い成分の産生源を絶つ(生物学的消臭作用)。すなわち、排泄液の液相において、臭い成分の産生原因である微生物や微生物由来の酵素の増殖を抑える。第2段階として、pH緩衝性消臭剤が、前記液相において第1段階で抑えきれずに産生される臭い成分を中和し、中和塩として液相に留まらせる(化学的消臭作用)。第3段階として、多孔質粒子が、前段階で産生抑制できずに、中和もできない臭い成分が経時により増加し、前記液相中に溶解しきれず、気相に揮散する臭い成分を吸着または包摂する(物理的消臭作用)。
pH軸の消臭メカニズムは、各発生段階における、酸性やアルカリ性の幅広い種類の臭い(複合臭)の発生の防止である。例えば、低級脂肪酸類、フェノール類、メルカプタン類及びアミン類など、酸性からアルカリ性まで様々な臭いの発生を防止する。前述した第1段階では、微生物や微生物由来の酵素の増殖抑制によって、種々の幅広い臭い成分が発生するのを抑える。第2段階では、排泄液のpHの変化を捉えて緩衝し、酸性やアルカリ性の種々の広い範囲の臭い成分を中和させ臭いガスの発生を抑える。第3段階では、多孔質粒子が幅広い種類の臭いガスを吸着して閉じ込める。
このように、上記の3種の剤の組み合わせによる消臭メカニズムが、悪臭発生のメカニズムに対して、時間軸及びpH軸のマトリクスで包括的に封じ込める。また、悪臭が発生するまでの各段階は必ずしも順次時系列的に進むとは限らず、ある時点では各段階が混在する場合もある。すなわち、薄葉紙に混在する上記の3種の剤が同時並行的に作用し包括的に悪臭を封じ込める。特に、カチオン性抗菌剤が臭いの発生源である微生物に作用し(抗菌)、臭い成分の産生制御を行うため、液中の臭い成分及び液中から揮散する臭い成分の発生量が極めて低く抑えられる。このように発生量を抑えられているため、第2段階及び第3段階での消臭を確実に行うことができる。したがって、上記の3つの剤の組み合わせにおいては、消臭能力を高めつつ、揮散した臭い成分に対処する多孔質粒子の含有量を従来よりも低減させることが可能となる。この低減が薄葉紙の柔らかな風合い創出にも寄与する。これらの剤について以下に詳述する。
本発明に用いられるカチオン性抗菌剤は、悪臭産生の制御として強い腐敗臭の発生をも抑えるため、0.05g/m以上の坪量で含有されており、0.1g/m以上が好ましく、0.2g/m以上がより好ましい。その上限は、悪臭産生の制御の観点から特に制限されるものではなく、用いられる物品の用途等によって適宜設定することができる。例えば、吸収性物品の用途においては、使用者の肌に直接、或いは排泄尿を介して長時間接触する場合があるため、含有坪量が過剰であると肌刺激性が強い等の身体への影響や、シートを通過する排泄尿の透過性を阻害する虞がある。そのため、その上限は、1.0g/m以下が好ましく、0.5g/m以下がより好ましく、0.3g/m以下が更に好ましい。
上記のカチオン性抗菌剤の含有坪量は、次の方法により測定することができる。
市販の製品等から分析する場合には、ドライヤーやコールドスプレーなどを用いて、各部材を剥がし、対象となる薄葉紙を得る。その後、薄葉紙中の上記のカチオン性抗菌剤の含有坪量は、液体クロマトグラフ/質量分析計(アジレント・テクノロジー株式会社製6140 LC/MS、イオン化法:ESI)にて測定することができる。あるいは、検量線を作成し、これに基づいてカチオン性抗菌剤の含有量を測定することもできる。
カチオン性抗菌剤としては、上述の抗菌作用を有するものを特に制限なく用いることができる。例えば特開平8−99841号公報の明細書の段落[0015]〜[0018]に記載のものがある。これらのカチオン性抗菌剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。カチオン性抗菌剤は、有機化合物系の抗菌剤で、銀、亜鉛、銅等の金属イオン系よりも尿等の排泄液への溶出が多く抗菌作用が広範囲である。特に、ジデシルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これらのカチオン性抗菌剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そのなかでも、抗菌性と安全性(皮膚への低刺激性)の観点から、下記式(1)で表されるベンザルコニウム塩が好ましい。
式(1)中、R及びRは、同一の若しくは異なるメチル基、エチル基又は炭素数8以上20以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。Xは一価のアニオンを表す。
式(1)で表されるもののうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。式(1)中、R及びRの好ましい組み合わせとしては、例えばRがメチル基であり、Rが炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である組み合わせや、R及びRが同一の基であり、かつ該基が炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせにおいて、アルキル基の炭素数は、10以上18以下であることが更に好ましい。
式(1)中、Xで表される一価のアニオンは、例えばハロゲン化物イオンやアニオン活性基であることが好ましい。「アニオン活性基」とは、陰イオン性の界面活性能を有するイオンのことを言う。
該アニオン活性基としては、炭素数6以上、特に炭素数10以上であり、また、炭素数20以下、特に炭素数18以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を含むアニオン性活性基を用いることが好ましい。そのようなアニオン活性基として、例えばアルキルリン酸エステル塩やアルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩を用いることが、抗菌能の点で好ましい。特に下記式(2)で表されるアルキルリン酸を用いることが、抗菌能が一層高くなる点で好ましい。
式(2)中、R及びRの一方は炭素数6以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、もう一方は水素原子、メチル基又はエチル基を表す。
とRの好ましい組み合わせとしては、Rが水素原子であり、Rが炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である組み合わせが挙げられる。アルキル基の炭素数は、10以上18以下であることが更に好ましい。長鎖アルキルのカチオン性活性基(四級アミン)をもつことで、紙の風合い(嵩高性、柔軟性)が向上し、薄葉紙として好ましい。
上記のベンザルコニウム塩の中でも、特にセチルリン酸ベンザルコニウムを用いることが、抗菌性、安全性及び即効性の高さの点から好ましい。セチルリン酸ベンザルコニウムは、有機系のカチオン性抗菌剤のなかで、抗菌性と皮膚への低刺激性(水溶解性が低い)とのバランスがよく、比較的安全性が高いため、吸収性物品用のシートに用いるのに好ましい剤である。
本発明に用いられるpH緩衝性消臭剤は、排泄液などの液相中に発生する、酸性やアルカリ性の臭い成分を中和し、pHの変化を小さくする剤である。すなわち、平衡作用による中和消臭剤である。このような剤としては、特に制限されるものでないが、例えば、弱酸やその共役塩基、あるいはそれらの混合物、弱塩基やその共液酸、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。具体的には、弱酸としては、クエン酸等が挙げられる。その塩としては、Na、K、Ca等のアルカリ金属塩が挙げられる。弱塩基としてはポリヒドロキシアミン等が挙げられる。pH緩衝性消臭剤は、必ずしも酸、アルカリ臭を全て同時に中和する必要はない。例えば弱酸としてのクエン酸が単独であれば、臭い成分の一つであるアミンやアンモニア等のアルカリ臭を中和消臭できる。さらに、中和により、クエン酸の塩が生成し、副次的に緩衝作用が生じる。またクエン酸ナトリウムの単体だけであっても、クエン酸とその塩との混合物であっても、緩衝作用が生じる。また、弱塩基としてのトリスとその塩においても同様のことが言える。
pH緩衝性消臭剤の含有坪量は、吸収性物品の排泄物に持続的に発生する酸性やアルカリ性の臭い成分を長時間効果的に中和消臭し、気相に揮散させないために、0.05g/m以上が好ましく、0.1g/m以上がより好ましく、0.15g/m以上が更に好ましい。その上限は特に限定されるものではないが、製造コストの観点から、2.0g/m以下が好ましく、1.0g/m以下がより好ましく、0.5g/m以下が更に好ましい。
上記のpH緩衝性消臭剤の含有坪量は、公知のイオンクロマトグラフィー分析法等を使って測定することができる。例えば、有機酸、リン酸等の陰イオン、アルカノールアミン等の分析には分析装置としてDionex ICS−2100(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、電気伝導度検出器、グラジエント溶出法)により定性分析と含有坪量を測定することができる。
pH緩衝性消臭剤には、少なくとも一つの酸解離指数pKa(25℃)が5.0以上の有機酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「A剤」ともいう。)を含むことが好ましい。有機酸の塩とは、Na、K、Ca等の金属塩である。このA剤を含有させることにより、脂肪酸類などの酸性の臭い成分やアミン類などのアルカリ性の臭い成分の中和消臭に作用する。
酸解離指数は、例えば、(a)The Journal of Physical Chemistry vol.68, number6, page1560(1964)記載の方法、(b)平沼産業株式会社製の電位差自動滴定装置(COM−980Win(商品名)等)を用いる方法等により測定することができ、また、(c)日本化学会編の化学便覧(改訂3版、昭和59年6月25日、丸善株式会社発行)に記載の酸解離指数、(d)コンピュドラッグ(CompuDrug)社製のpKaBASE(商品名)等のデータベース等を利用することができる。
A剤の薄葉紙中の含有坪量は、対象とする排泄物や悪臭の濃度、使用の形態によって異なるが、消臭性能の観点から、0.01g/m以上が好ましく、0.03g/m以上がより好ましく、0.1g/m以上が更に好ましい。また、その上限は、過度の坪量は薄葉紙の強度低下や風合いを損なうため、3g/m以下が好ましく、1g/m以下がより好ましく、0.5g/m以下が更に好ましい。
少なくとも一つの酸解離指数pKa(25℃)が5.0以上の有機酸は、例えば有機二塩基酸として、マレイン酸(2段目pKa値:5.83。以下の( )内の数値は2段目pKa値を表す。)、マロン酸(5.28)、2−メチルマロン酸(5.76)、2−エチルマロン酸(5.81)、2−イソプロピルマロン酸(5.88)、2,2−ジメチルマロン酸(5.73)、2−エチル−2−メチルマロン酸(6.55)、2,2−ジエチルマロン酸(7.42)、2,2−ジイソプロピルマロン酸(8.85)、m−ヒドロキシ安息香酸(9.96)、p−ヒドロキシ安息香酸(9.46)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸(トランス体:6.06、シス体:6.74)、1,2−シクロペンタンジカルボン酸(トランス体:5.99、シス体:6.57)、1,2−シクロオクタンジカルボン酸(トランス体:6.24、シス体:7.34)、1,2−シクロヘプタンジカルボン酸(トランス体:6.18、シス体:7.6)、コハク酸(5.24)、フェニルコハク酸(5.55)、2,3−ジメチルコハク酸(6.0)、2,3−ジエチルコハク酸(6.46)、2−エチル−3−メチルコハク酸(6.1)、テトラメチルコハク酸(7.41)、2,3−ジ−t−ブチルコハク酸(10.26)、3,3−ジメチルグルタル酸(6.45)、3,3−ジエチルグルタル酸(7.42)、3−イソプロピル−3−メチルグルタル酸(6.92)、3−t−ブチル−3−メチルグルタル酸(7.49)、3,3−ジイソプロピルグルタル酸(7.68)、3−メチル−3−エチルグルタル酸(6.70)、3,3−ジプロピルグルタル酸(7.48)、2−エチル−2−(1−エチルプロピル)グルタル酸(7.31)、シクロヘキシル−1,1−ジ酢酸(7.08)、2−メチルシクロヘキシル−1,1−ジ酢酸(6.89)、シクロペンチル−1,1−ジ酢酸(6.77)、3−メチル−3−フェニルグルタル酸(6.17)、3−エチル−3−フェニルグルタル酸(6.95)等が挙げられる。
また有機多塩基酸として、クエン酸(3段目pKa値:5.69)等が挙げられる。これらの中では、入手が容易で、ガス発生による内圧の増加等保存安定性の点から、少なくとも一つの解離段における酸解離指数(pKa)が5.2以上の、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸等からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、特にクエン酸が好ましい。
また、pH緩衝性消臭剤として、ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「B剤」ともいう。)を含むことが好ましい。
B剤のポリヒドロキシアミン化合物は下記式(3)で表される化合物である。
式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を示す。
炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。また、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
は、消臭性能及び入手性の観点から、上記の中では水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましく、特に水素原子、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を示す。
炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、上記のものが挙げられる。
は、消臭性能及び入手性の観点から、上記の中では水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシエチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
及びRは、炭素数1〜5のアルカンジイル基を示す。R及びRは、同一でも異なっていてもよい。
炭素数1〜5のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
B剤のポリヒドロキシアミン化合物の具体例としては、例えば、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−4−ヒドロキシプロピル−1,7−ヘプタンジオール、2−(N−エチル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−エチル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
これらの中では、消臭性能等の観点から、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる1種以上が特に好ましい。
特に、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、すなわち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが、酸性臭に対する優れた中和作用を有し、また揮発性が低いためにそれ自体の臭いが少ないので、好ましい。
上記のポリヒドロキシアミン化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、ポリヒドロキシアミン化合物は通常の方法により製造することができる。
薄葉紙における前記B剤の含有坪量は、消臭性能の点から、0.01g/m以上が好ましく、0.05g/m以上がより好ましい。また、その上限は、過度の坪量は吸収性物品シートの強度低下や風合いを損なうため、3g/m以下が好ましく、1g/m以下がより好ましい。更に好ましくは0.01g/m以上3g/m以下、特に好ましくは0.05g/m以上1g/m以下である。
本発明の薄葉紙においては、pH緩衝性消臭剤として、前述したA剤及びB剤のいずれか一方を含んでもよく、両方を含んでもよい。A剤及びB剤の両方を含むと、幅広い臭い成分を中和する点でより好ましい。特に、A剤の有機酸としてクエン酸、B剤のポリヒドロキシアミン化合物としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含有することが好ましい。この場合、A剤の有機酸とB剤のポリヒドロキシアミン化合物、及びそれらの塩が薄用紙から排泄液に同時に溶解し、その緩衝性により排泄液の臭い成分に対し優れた消臭作用を発揮する。さらに、A剤及びB剤のpH緩衝性消臭剤は、前述のカチオン性抗菌剤と組みわせてセルロース繊維シート基材に含有される。この組合せにより酸臭及びアルカリ臭だけでなくpH緩衝性消臭剤だけでは抑えきれなかった中性付近の臭いも含めて、臭い成分全体の産生を強力に抑え、その結果、この薄葉紙を使用した吸収性物品では、長時間装着しても周囲からは排泄液の臭いがほとんど気づかないレベルの消臭性を維持することができる。
また、この組み合わせにおいては、後述する薄葉紙の製造過程で、特定の混合割合の塗料とするとカチオン性抗菌剤の粒子が小粒径化し均一な塗布が可能となる。これにより、本発明の薄葉紙の抗菌性が向上する。
また、本発明の薄葉紙において、尿等の排泄液が接触し前記カチオン性抗菌剤及び前記pH緩衝性消臭剤の作用発現(殺菌作用及び中和作用の発現)した場合の目標pHとしては、消臭性能(緩衝性能を維持できる)の観点から、5.0以上が好ましく、5.5以上がより好ましい。そして、同様の観点から、目標pHは、10.0以下が好ましく、9.0以下がより好ましい。また、作用後の排泄液のpHができるだけ中性領域となることが安全性(皮膚への低刺激性)の観点から好ましい。
A剤とB剤との含有質量の比は、前記pHによる作用の観点と消臭性能の観点から、A剤/B剤=5/95〜95/5が好ましく、更に20/80〜55/45が好ましい。
本発明に用いられる多孔質粒子は、揮発する臭いガスをその孔に吸着または包摂できるものを特に制限なく用いることができる。例えば、多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔ピリジン共重合体等の芳香族系ポリマー、及びそれらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン及びキトサン等の天然の多孔質ポリマー;酸化亜鉛、活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム、アルミノ珪酸塩化合物、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、及び水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質;銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト、並びに、銀担持多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー及び銀担持多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等のビニルピリジン共重合体、などの金属担持多孔質などが挙げられ、これからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。特に、活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが、消臭性能の観点から好ましい。これらの多孔質粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。多孔ビニルピリジン共重合体としては、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等が挙げられる。なお、銀担持カンクリナイトとは、特開2005−336363号公報の段落[0029]〜[0045]に記載のカンクリナイト様鉱物のことである。
上記の作用をより効率的に発現させる観点から、多孔質粒子は、BET比表面積が50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、200m/g以上であることが更に好ましい。また、その上限は特に制限されるものではないが、2000m/g以下とすることが実際的である。加えて、多孔質粒子は、平均細孔径が2nm以上であることが好ましく、そして、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。例えば、前述した活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体のBET比表面積はそれぞれ、1750m/g程度、250m/g程度、350m/g程度、平均細孔径はそれぞれ4.5nm程度、20nm程度、10nm程度のものを用いることができる。このようにBET比表面積の値が大きいものほど臭い成分の吸着性能が高い。また、消臭の対象となる尿等の排泄液の臭い成分はアンモニア、アミン類、脂肪酸類、硫化水素やメルカプタン類など様々であるが、その多くは分子サイズが1nmを超えるため、多孔質粒子の細孔径は2nm以上であると、多種の臭い成分を吸着できる。そのため、上記のBET比表面積又は平均細孔径を有する多孔質粒子を用いると、消臭性能を高く維持したまま、さらに多孔質粒子の含有量を低減化でき好ましい。さらに、上記のBET比表面積及び平均細孔径の両方を有する多孔質粒子を用いると、上記の作用がより高まり好ましい。このことが、前述したカチオン性抗菌剤との組み合わせによる多孔質粒子の含有量の低減化と相俟って、薄葉紙の風合いの向上と、吸収性物品に組み込まれた際の装着感の向上を可能とする。
なお、上記のBET比表面積は、株式会社島津製作所製の比表面積・細孔分布測定装置「ASAP2020」を用いて、液体窒素を用いた多点法で測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出できる。また、細孔分布の測定は水銀圧入法を用いることができる。
多孔質粒子の含有坪量は、吸着又は包摂による消臭効果を得る観点から、0.05g/m以上が好ましく、0.1g/m以上がより好ましく、0.5g/m以上が更に好ましい。その上限は、多く含有するに従い紙の風合いを損なうため、5g/m以下が好ましく、3g/m以下がより好ましく、1.0g/m以下が更に好ましい。
上記の多孔質粒子とは、多数の細孔をもつ微粒子のことをいい、その材質は無機系、有機系、ポリマー等が挙げられ、特に制限されない。また、細孔径は0.1nm以上の細孔径を有すればよい。また微粒子の形状は球形、アスペクト比をもつ棒状や針状、粉砕形状等の不定形状、いずれでもよい。なお、上記の細孔径は、株式会社島津製作所製の比表面積・細孔分布測定装置「ASAP2020」を用いて測定することができる。また、微粒子の形状は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JCM−5100」により観察される。
前述した、活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体はそれぞれ、表面処理によりさらなる消臭機能を付加することもできる。例えば、活性炭は、塩化亜鉛(ZnCl)賦活により硫黄系ガスに対する化学吸着による消臭機能を具備することができる。また、アルミノ珪酸塩化合物は亜鉛担持により、ビニルピリジン共重合体は銀担持により、抗菌作用を具備することができる。
次に、本発明の薄葉紙の基材となるセルロース繊維シート基材について説明する。
セルロール繊維シート基材は、次に説明するようなセルロース繊維からなり、単層であってもよく、2層以上の複数層であってもよい。あるいは、2プライ以上の複数のシートを重ね合わせたものであって、該複数のシートのうちのいずれか一つにセルロース繊維が含まれているものであってもよい。特に、吸収性物品に組込んだときに、セルロール繊維シート基材が複数層の場合には排泄液のコアへの移行、吸収を妨げたり、吸収性物品が硬くなり使用者の装着感を損ねたりする場合があるため、単層であることが好ましい。
セルロール繊維シート基材は、吸収性物品における具体的な適用位置に応じて、適切な坪量のものが用いられる。例えば薄葉紙を、吸収性物品における吸収性コアの被覆に用いる場合には、セルロール繊維シート基材の坪量は、8g/m以上が好ましく、13g/m以上がより好ましい。また、40g/m以下が好ましく、20g/m以下がより好ましい。
セルロール繊維としては、例えば針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプのような木 材パルプ、木綿パルプ及びワラパルプ等の天然セルロース繊維が挙げられる。あるいはレーヨン及びキュプラ等の再生セルロース繊維を用いることができる。更に、アセテート等の半合成セルロース繊維を用いることもできる。
セルロース繊維として、嵩高性のセルロース繊維を用いることもできる。本明細書において「嵩高性の繊維」とは、繊維形状が、捻れ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、又は繊維断面が極太(例えば繊維粗度が0.3mg/m以上)である繊維を言う。嵩高性のセルロース繊維の好ましいものの例として、繊維粗度が0.3mg/m以上、特に0.32mg/m以上、また、2mg/m以下、特に1mg/m以下、とりわけ0.32mg/m以上1mg/m以下のセルロース繊維が挙げられる。「繊維粗度」とは、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、例えば、繊維粗度計(FS−200(商品名)、AJANI EL ECTRONICS LTD.社製)を用いて測定することができる。繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維の例としては、針葉樹クラフトパルプ〔Federal Paper Board Co.製の「ALBACEL」(商品名)、及びPT Inti Indorayon Utama製の「INDORAYON」(商品名)〕等が挙げられる。
嵩高性のセルロース繊維の好ましいものの他の例として、繊維断面の真円度が好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.55以上であり、また、好ましくは1以下であるセルロース繊維が挙げられる。繊維断面の真円度が0.5以上1以下であるセルロース繊維は、液体の移動抵抗が小さく、液体の透過速度が大きくなるので好ましい。繊維断面の真円度は、例えば特開平8−246395号公報に記載の方法で測定することができる。
一般に木材パルプの断面は、脱リグニン化処理により偏平であり、その殆どの真円度は0.5未満である。このような木材パルプの真円度を0.5以上にするためには、例えば、斯かる木材パルプをマーセル化処理して木材パルプの断面を膨潤させればよい。このように、嵩高性のセルロース繊維としては、木材パルプをマーセル化処理して得られる真円度が0.5以上1以下であるマーセル化パルプも好ましい。本発明において用いることのできる市販のマーセル化パルプの例としては、ITT Rayonier Inc.製の「FILTRANIER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」(商品名)等が挙げられる。また、繊維粗度が0.3 mg/m以上で、かつ繊維断面の真円度が0.5以上1以下であるセルロース繊維を用い ると、嵩高なネットワーク構造が一層形成されやすくなり、液体の通過速度も一層大きく なるので好ましい。
嵩高性のセルロース繊維の別の例として、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋させた架橋セルロース繊維がある。かかる架橋セルロース繊維は湿潤状態でも嵩高構造を維持し得るという特長を有している。セルロース繊維を架橋するための方法には特に制限はないが、例えば、架橋剤を用いた架橋方法が挙げられる。かかる架橋剤の例としては、ジメチロールエチレン尿素及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等のN−メチロール系化合物;クエン酸、トリカルバリル酸及びブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸;ジメチルヒドロキシエチレン尿素等のポリオール;ポリグリシジルエーテル系化合物の架橋剤などが挙げられる。特に、架橋時に人体に有害なホルマリン等を発生しない ポリカルボン酸やポリグリシジルエーテル系化合物の架橋剤が好ましい。
以上の各種のセルロース繊維は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。またセルロース繊維は、セルロール繊維シート基材の製造方法や、抗菌性シートの具体的な用途に応じて適切な繊維長のものが用いられる。例えば湿式抄造法でセルロール繊維シート基材を製造する場合、セルロース繊維の繊維長は1mm以上20mm以下であることが好ましい。
セルロール繊維シート基材は、上述したセルロース繊維のみから構成されていてもよく、あるいはセルロース繊維に加えて他の繊維が含まれていてもよい。他の繊維としては、例えば熱融着性繊維が挙げられる。熱融着性繊維としては、加熱により溶融し相互に接着する繊維を用いることができる。熱融着性繊維の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポリビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、並びにポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等を挙げることができる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維のいずれをも用いることができる。これらの熱融着性繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用いることもできる。
熱融着性繊維は、その繊度が0.1dtex以上、特に0.5dtex以上であり、ま た、3dtex以下であることが好ましい。また、繊維シートを例えば湿式抄造法で製造 する場合、熱融着性繊維は、一般にその繊維長が2mm以上60mm以下であることが好 ましい。更に熱融着性繊維は、繊維シート中に1質量%以上30質量%以下含まれていることが好ましい。
セルロース繊維シート基材には、上述した繊維成分に加えて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては例えば紙力補強剤が挙げられる。紙力補強剤としては、例えばポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、カイメン、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。これらの紙力補強剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。紙力補強剤は、セルロース繊維シート基材中に0.01質量%以上30質量%以下、特に0.01質量%以上20質量%以下含まれていることが好ましい。
本発明の薄葉紙において、前述した作用を損なわない範囲において、他の剤を含有するものであってもよい。例えば、多価アルコール、界面活性剤、他の消臭剤、一般に使用される各種の溶剤、油剤、ゲル化剤、硫酸ナトリウムやN,N,N−トリメチルグリシン等の塩、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、香料、色素、紫外線吸収剤、キレート剤などを含有するものであってもよい。
また、本発明の薄葉紙は、β−グルクロニダーゼ阻害剤を含有して、さらに消臭効果を高めるようにしてもよい。β−グルクロニダーゼ阻害剤は尿臭の原因物質であるフェノール系化合物及びインドール類の増加を抑制し、不快な尿臭の発生を持続的に抑制することができる。また例えば、本発明の薄葉紙を組み込んだ吸収性物品の廃棄の際には、β−グルクロニダーゼ阻害剤の作用により、廃棄後の物品内で不快な尿臭が発生することを抑制することが可能になる。
β−グルクロニダーゼは、各種のアルコール類、フェノール類、アミン類等がグルクロン酸抱合された化合物(グルクロニド)を加水分解する酵素をいい、細菌、真菌、植物、動物など多くの生物に存在する。体外に排出された尿の分解には微生物の関与が大きいため、本発明においては、細菌及び真菌由来のβ−グルクロニダーゼが重要である。具体的には、Escherichia oli、Lactobacillus revis、Propionibacterium cnes、Clostridium erfringens、Staphylococcus aemolyticus、Streptococcus galactiae、Streptococcus yogenes、Haemophilus omunus、Shigela onnei、Aspergillus iger等由来のβ−グルクロニダーゼが挙げられる。これらの微生物由来のβ−グルクロニダーゼは共通のドメインを有する酵素群に分類される。更にはヒト血漿由来のβ−グルクロニダーゼも同様のタンパク質群に分類される。
β−グルクロニダーゼ阻害剤は、下記のβ-グルクロニダーゼ活性阻害率の測定方法において、反応液中0.1重量%添加することによって、活性が60%以上抑制されるβ−グルクロニダーゼ阻害活性を示すものをいう。更に、前記反応液中0.01重量%添加することによって、前記活性を80%以上抑制するものであることが好ましい。
<β−グルクロニダーゼ活性阻害率の測定方法>
γ線滅菌済み容器中にて2mM・p−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(PNPG)水溶液100μL、0.5Mリン酸バッファー(pH6.8)40μL、イオン交換水38μL、各種化合物又は植物抽出物の10又は1重量%DPG(ジプロピレングリコール)溶液2μLを混合し、続いて16units/mLに調整したβ−グルクロニダーゼ水溶液20μLを加えて37℃恒温槽中で2時間酵素反応を行った。また一部の化合物については、さらに0.1重量%DPG溶液についても同様の実験を行った(供した化合物及び植物抽出物の反応液中での濃度はそれぞれ、0.1重量%、0.01重量%、0.001重量%となる)。また、前記化合物及び植物抽出物の代わりにDPGを加えたものをコントロールとし、各サンプル及びコントロールごとに酵素液の代わりにイオン交換水を加えたものをブランクとして、それぞれ同様に2時間反応を行った。前記反応液を0.2Mグリシンバッファー(pH10.4)を用いて希釈し、波長400nmにおける吸光度を測定した。得られた測定値より、次式に従ってβ−グルクロニダーゼ活性阻害率を求める。次式中、コントロール吸光度変化=(コントロールの吸光度−コントロールごとのブランクの吸光度)であり、サンプル吸光度変化=(サンプルの吸光度−サンプルごとのブランクの吸光度)である。
β−グルクロニダーゼ活性阻害率(%)=[(コントロール吸光度変化−サンプル吸光度変化)/(コントロール吸光度変化]×100
β−グルクロニダーゼ阻害剤としては、前述したβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有するものを用いることができる。具体的には、例えばゴバイシタンニン、テンダイウヤク、アケビ等の植物抽出物;グルカロラクトン、グロバノン、ムスセノネデルタ、アンブレトライド、シベトーン、オキサライド、メチルオクチンカルボネート、エストラゴール、ムスクTM−II、ムスクZ−4、2−フェニルシクロペンテンオン、ベチベロール、メチルイオネン−G、シクラメナルデヒド、ヌーカトン、D−グルカロ−1,4−ラクトン、シス−ジャスモン、ターピニルアセテート、オルビトーン、リナリルアセテート、フェニルエチルイソアミルエーテル、メチルイオネン−A、ムスコン等の香料;カチオン性界面活性剤等を用いることができる。該カチオン性界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば花王株式会社製のサニゾール、コータミン(何れも商品名)が挙げられる。サニゾールには、サニゾールB−50(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)、サニゾールC(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)、サニゾールP(セチルリン酸ベンザルコニウム)等がある。また、コータミンには、コータミン24P(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミン60W(セチルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミン86P(コンク ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミン86W(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)、コータミンD2345P(ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド)、コータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、コータミンE−80K(オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)等がある。
β−グルクロニダーゼ阻害剤として、動植物から単離したものを用いても良く、化学的に合成したものを用いても良い。また、これらの化合物を含有する精油などの植物抽出物、例えば、ベチバー油、バジル油、クローブ油、シナモン油、グレープフルーツ油等をそのままβ−グルクロニダーゼ阻害剤として用いても良い。これらの化合物又は植物抽出物は2種類以上組み合わせて用いても良い。
β−グルクロニダーゼ阻害剤として、前述した植物抽出物、香料及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される1種以上が好ましく、特に、植物抽出物及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される1種以上が好ましい。とりわけ、酵素阻害効果や水系洗浄剤の分散安定性の観点から、植物抽出物としてはゴバイシタンニンが好ましく、香料としてはグルカロラクトン及びグロバノンが好ましく、カチオン性界面活性剤としてはサニゾールを用いることが好ましい。
β−グルクロニダーゼ阻害剤の濃度は、0.01質量%以上2.0質量%以下であり、特に0.05質量%以上1.0重量%以下、とりわけ0.1質量%以上0.5質量%以下であることが、消臭効果、薬液の保存安定性、拭き取り性、皮膚刺激性、他商品へのにおい移り性が少ない点で好ましい。
次に、本発明の薄葉紙の製造方法の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は次の工程を有する。
(i)セルロース繊維と多孔質粒子とを含む懸濁液を抄紙ワイヤーを使って脱水し多孔質粒子を担持させた湿紙(乾燥する前のセルロース繊維シート基材)を形成する工程。
(ii)カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤を含み、かつ、pHが5.0以上9.0以下である水系塗布液を調製する工程。
(iii)該水系塗布液を前記湿紙へ塗布する工程。
前記(i)の工程は、通常の湿式抄紙製造装置を用いて通常の方法により実施することができる。
前記(ii)の工程では、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤と水とを混合することに水系塗布液を得られる。上記のpH5.0以上9.0以下の調製は、カチオン性抗菌剤に対してpH緩衝性消臭剤の添加量を調節することできる。カチオン性抗菌剤が前記式(1)及び(2)で表されるアルキルリン酸ベンザルコニウム塩である場合、pHは6.5以上が好ましく、7.0以上がより好ましい。水系塗布液のpHをこの値以上に設定することで、未溶解のカチオン性抗菌剤からなる粗大物が水系塗布液中に生成することが、効果的に防止される。この理由は水系塗布液のpHを高めることで、式(1)におけるカチオン部位とアニオン部位との解離が促進されるからであると考えられる。水系塗布液のpHは高いほど、前記抗菌剤(アルキルリン酸ベンザルコニウム塩)からなる粗大物の生成が抑制されるので好ましい。尤も、pHが過度に高くなると、前記抗菌剤の溶解が進行し過ぎて、水系塗布液の粘度が急激に上昇しやすくなる。したがって本実施形態においては、水系塗布液のpHの上限は9.0以下が好ましく、8.5以下がより好ましい。このように、本発明における水系塗布液のpHは5.0以上9.0以下であることが好ましく、6.5以上9.0以下であることがより好ましく、7.0以上8.5以下であることが更に好ましい。水系塗布液のpHはその温度に依存するところ、本発明に言う水系塗布液のpHとは、該水系塗布液をセルロース繊維シート基材に付与するときの該水系塗布液の温度におけるpHのことである。
水系塗布液のpHは緩衝剤の添加量や別途pH調整剤により調整することができる。pH緩衝性消臭剤によるpH調整の一例を示すと、A剤としてクエン酸、B剤としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを使用し、カチオン性抗菌剤としてのアルキルリン酸ベンザルコニウムに添加した場合、A/B比率を20/80〜40/60とすることで、pHは5.0〜8.3となる。このとき塗料中にはカチオン性抗菌剤の粗大物は少なく、粘度は低く、塗布し易い塗料が得られる。すなわち、水に半溶解状態のアルキルリン酸ベンザルコニウムの粒子が小粒径化し、シート基材の上に均一に塗布できるようになる。その結果、薄葉紙の抗菌性が向上する。また、中性付近でのpH緩衝能は高くなる(希釈しても、酸アルカリを入れてもpHが変化しづらい)。例えば、A/B比率25/75〜35/65の範囲のpH緩衝液を加えると、塗布液のpHは緩衝能によりほぼ一定pH7であり、特にA/B=30/70のときにpH7.5近辺である。
水系塗布液中のカチオン性抗菌剤の濃度は、薄葉紙に十分な抗菌性を付与する観点から、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。また、水系塗布液の粘度が過度に上昇しないようにする観点から、前記抗菌剤の濃度は8.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることが更に好ましい。具体的には、前記抗菌剤の濃度は、0.3質量%以上8.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが更に好ましい。
また、水系塗布液中のpH緩衝性消臭剤の濃度は、上記のpHの調製を行いつつ、酸性からアルカリ性までの広い範囲の臭い成分に対する中和消臭性を付与する観点から、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。また、吸収性物品の尿等の排泄物の臭いを消臭するのに効果を発揮する上限値としては、pH緩衝性消臭剤の濃度は8質量%以下であることが好ましい。
水系塗布液にはキレート剤を含有させることも好ましい。キレート剤は、水系塗布液中に不純物として含まれることのある金属イオンと錯体を形成して、前記抗菌剤に起因するスカムの生成を抑制するからである。この観点から、水系塗布液に含まれるキレート剤の濃度は0.1質量%以上、特に0.5質量%以上とすることが好ましい。また、2.0質量%以下、特に1.5質量%以下とすることが好ましい。水系塗布液に含まれるキレート剤の濃度は例えば0.1質量%以上2.0質量%以下、特に0.5質量%以上1.5質量%以下とすることが好ましい。
キレート剤としては、例えばアミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1−ジホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及びそれらの塩、2−ホスホノカルボン酸又はその塩、アスパラギン酸又はその塩、グルタミン酸又はその塩等のアミノ酸又はその塩、ニトリロ三酢酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸又はその塩等のアミノポリ酢酸又はその塩等の有機酸又はその塩、クエン酸又はその塩、ピロ−及びトリリン酸塩等が挙げられる。これらのキレート剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いること ができる。
該水系塗布液にキレート剤が含まれている場合、該水系塗布液に金属石けんを生成し得る金属イオン、例えばカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属元素のイオンが含まれている場合であっても、スカムの生成が効果的に抑制されたものとなる。したがって、水系塗布液に用いられる水として、硬度の高い水を用いることが可能になる。アルカリ土類金属元素のイオンの濃度は、河川水や地下水等の水源や採取場所によって異なるが、本発明においては、水系塗布液に利用する水が100mgCaCO/Lを超える高い硬度であっても、該水系塗布液に含まれるキレート剤の濃度が前記範囲内であれば、スカムの生成を効果的に抑制することができる。
水系塗布液は、その粘度が80mPa・s、特に65mPa・s以下、とりわけ20mPa・s以下であることが好ましい。粘度をこの値以下に設定することによって、該水系塗布液を首尾よく繊維シートに噴霧することが可能になる。水系塗布液の粘度はその温度に依存するところ、本発明に言う水系塗布液の粘度とは、該水系塗布液を繊維シートに付与するときの該水系塗布液の温度における粘度のことである。水系塗布液の粘度は、前記抗菌剤の濃度や該水系塗布液のpHによって調整することができる。水系塗布液の粘度は、B型粘度計TVB−10M(東機産業株式会社製)を用いて測定される。
前記(ii)の工程は、例えば図1に示す装置により実施することができる。まず、原液タンク10中に、水系塗布液の成分である水、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤を仕込み、必要に応じ更にキレート剤を仕込む。これらの成分を、撹拌翼11を用いて十分に混合することで、水系塗布液の原液を調製する。原液タンク10に貯留されている原液は、必要により希釈水Wによって希釈され、希釈タンク12において撹拌翼13を用い十分に混合される。また、このようにして得られた水系塗布液は、必要によりストレーナ14を通過することで粗大物が除去され、ポンプ15によって噴霧ノズル16へ送液される。
前記(iii)の工程では、前記(ii)の工程で得た水系塗布液を前記(i)の工程で得た湿紙へ塗布する。この塗布は、例えば図1に示す噴霧ノズル16を介してスプレー法により塗布することができる。塗布方法としては、このスプレー法に限定されるものではなく、通常用いられる種々の方法で行うことができる。例えば、刷毛塗り法、バーコーター、グラビアコーター、各種ロールコーター、浸漬法などが挙げられる。なかでも湿紙への均等な塗布の観点からスプレー法が好ましい。
このような前記(iii)の工程は、例えば図2に示す装置により実施することができる。図2に示すとおり湿紙20は、湿潤状態のまま第1搬送ベルト21に搬送されて一対のプレスロール22,22で挟圧されて脱水される。次いで第2搬送ベルト23に搬送されてヤンキードライヤ24に導入される直前に、湿紙20の一面に対して前記水系塗布液が噴霧ノズル16による噴霧によって付与される。具体的には、ヤンキードライヤ24の導入部には、該ヤンキードライヤ24の周面に対向するようにタッチロール25,25が配置されている。湿紙20は第2搬送ベルト23とともに、タッチロール25,25に案内されてヤンキードライヤ24に導入される。そしてタッチロール25,25に案内される直前に、湿紙20の一面に、噴霧ノズル16から噴霧された水系塗布液が付与される。図2に示す方法では、湿紙20における一方の面(この面を第1面といい、その反対側を第2面という。)に対してのみ、水系塗布液が付与される。ただし、一方の面にのみ塗布する場合に限らず、両方の面に塗布する方法であってもよい。
水系塗布液が付与された湿紙20は、湿潤状態のままヤンキードライヤ24の周面に保持されて搬送される。そして、その搬送の間に加熱されて水分が除去され乾燥される。その後、ドクターブレード26によってヤンキードライヤ24の周面から剥離されて、薄葉紙27が得られる。なお、湿紙20が乾燥によりヤンキードライヤ24の表面で剥がれバタつくのを防止する観点から、ヤンキードライヤ24の表面に、接着剤等の密着性を向上させる剤を湿紙20が導入される位置の手前で付与することもできる。
以上の方法によって得られた薄葉紙27は、片面(第1面)塗布により得られたものである場合、その塗布された一方の面(第1面)側が、その反対面(第2面)の側に比べて、前記カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤が多く存在した状態となる。この理由は、前記抗菌剤は、水系塗布液中において完全には溶解しておらず、未溶解の凝集体が該水系塗布液中に存在していることから、該水系塗布液を湿式20に噴霧すると、未溶解の該凝集体が、繊維シート内に浸透せず、噴霧面の表面、すなわち第1面の表面に残存するからである。これにより吸収性物品に該薄葉紙を組込んだ場合、第1面を着用者の肌側にすることによって、効果的に抗菌消臭作用が働くのみならず、排泄液の腐敗で発生するアンモニアやアミン類による着用者の肌のpH上昇を抑制でき好ましい。なお、多孔質粒子は、前述のとおり前記(i)の工程で含有されるので、第1面及び第2面のいずれかに偏在することなく、シート全体に分散されて存在している。
本発明の薄葉紙は、その時間軸とpH軸との包括的な消臭メカニズムを利用して、吸収性物品の消臭機能の向上に貢献する。本発明の薄葉紙は、排泄液を吸収保持する種々の吸収性物品に適用される。例えば、尿とりパッドや使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナ等が挙げられる。また、本発明の薄葉紙は、吸収性物品において、種々の構成部材として用いることができる。例えば、図3に示すように、液保持性の吸収性コアを被覆するコアラップシートとして本発明の薄葉紙を適用することができる。
図3は、吸収性物品の基本構造を示している。すなわち、着用者の肌に当接する液透過性の表面シート1、着衣側に向けられる防漏性の裏面シート2、及び両シート間に配置される液保持性の吸収体3からなる。また、必要により表面シート1と吸収体3との間に液拡散性のサブレイヤシート4が配されてもよい。吸収体3は、液保持性の本体をなす吸収性コア31と該吸収性コア31の表面全域を覆う被覆シート32とからなる。本発明の薄葉紙は、被覆シート32に適用されている。吸収性コア31は、フラッフパルプなどの吸液性繊維、又は吸液性繊維及び高吸収性ポリマーを含んで構成されている。
この吸収性コア31における面のうち、少なくとも着用者の肌に対向する面を本発明の薄葉紙で被覆している(肌に対向する面のみに適用する場合は、被覆シート32は肌対向面側と着衣対向面側との2シートからなる構成となる。)。本発明の薄葉紙を被覆シート32に適用すると、排泄液の透過経路において、初期段階から確実に、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤を溶出させることができる。これにより持続的な消臭作用の発現が可能となる。また、肌に触れる表面シート1よりも内部側にあるので、カチオン性抗菌剤、pH緩衝性消臭剤及び多孔質粒子の肌への接触が抑えられて好ましい。この場合、薄葉紙における第1面、すなわち前記カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤が多く存在している側の面を着用者の肌に対向するように配置することが、消臭効果の効果的な発現の点から好ましい。また、前述のように、本発明の薄葉紙は、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤が第1面及び第2面のいずれにおいても均等に存在するようにしてもよい。この場合は、排泄液が吸収性コアへと透過されたあとからでも、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤の液相への溶出を可能とし、高いレベルでの消臭作用の持続の観点から好ましい。また、同様の観点から、吸収性コア31の表面全体を本発明の薄葉紙で覆うことが好ましい。
本発明の薄葉紙は、図3に示す形態に限定されず、他の構成部材に適用してもよい。例えば、被覆シート32に代えて、またはこれとともに、サブレイヤシート4に適用してもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の薄葉紙及びその製造方法を開示する。
<1>
セルロース繊維シート基材に、カチオン性抗菌剤を0.05g/m以上、並びに、多孔質粒子、及びpH緩衝性消臭剤を含有させた薄葉紙。
<2>
前記カチオン性抗菌剤は、0.1g/m以上が好ましく、0.2g/m以上がより好ましく、その上限は、1.0g/m以下が好ましく、0.5g/m以下がより好ましく、0.3g/m以下が更に好ましい前記<1>に記載の薄葉紙。
<3>
前記カチオン性抗菌剤が第四級アンモニウム塩を含有する前記<1>又は<2>に記載の薄葉紙。
<4>
前記第四級アンモニウム塩が、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、及びジアルキルジメチルアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する前記<3>に記載の薄葉紙。
<5>
前記カチオン性抗菌剤が、下記式(1)で表されるベンザルコニウム塩を含有する前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の薄葉紙。
(式(1)中、R及びRは、同一の若しくは異なるメチル基、エチル基又は炭素数8以上20以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。Xは一価のアニオンを表す。)
<6>
前記ベンザルコニウム塩がセチルリン酸ベンザルコニウムである前記<5>に記載の薄葉紙。
<7>
前記多孔質粒子が、活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<8>
前記多孔質粒子は、BET比表面積が50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、200m/g以上であることが更に好ましく、その上限は2000m/g以下が好ましい、前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<9>
前記多孔質粒子は、平均細孔径が2nm以上であることが好ましく、そして、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい、前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<10>
前記多孔質粒子の平均細孔径が2nm以上50nm以下である前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<11>
前記多孔質粒子の含有坪量は、0.05g/m以上が好ましく、0.1g/m以上がより好ましく、0.5g/m以上が更に好ましく、その上限は、5g/m以下が好ましく、3g/m以下がより好ましく、1.0g/m以下が更に好ましい、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<12>
前記多孔質粒子が、多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔ピリジン共重合体の芳香族系ポリマー、及びそれらの共重合体の合成の多孔質ポリマー;キチン及びキトサンの天然の多孔質ポリマー;活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム、アルミノ珪酸塩化合物、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、及び水和酸化ジルコニウムの無機多孔質物質;銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト、並びに、銀担持多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー及び銀担持多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマーのビニルピリジン共重合体、の金属担持多孔質、からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<13>
前記pH緩衝性消臭剤の含有坪量は、0.05g/m以上が好ましく、0.1g/m以上がより好ましく、0.15g/m以上が更に好ましく、その上限は、2.0g/m以下が好ましく、1.0g/m以下がより好ましく、0.5g/m以下が更に好ましい、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<14>
前記pH緩衝性消臭剤は、少なくとも一つの酸解離指数pKaが5.0以上の有機酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるA剤を含む前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<15>
前記pH緩衝性消臭剤において、前記A剤の含有坪量は、0.01g/m以上が好ましく、0.03g/m以上がより好ましく、0.1g/m以上が更に好ましく、その上限は、3g/m以下が好ましく、1g/m以下がより好ましく、0.5g/m以下が更に好ましい、前記<14>に記載の薄葉紙。
<16>
前記A剤が、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記<14>又は<15>に記載の薄葉紙。
<17>
前記pH緩衝性消臭剤は、ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるB剤を含む前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<18>
前記B剤の含有坪量は、0.01g/m以上が好ましく、0.05g/m以上がより好ましく、その上限は、3g/m以下が好ましく、1g/m以下がより好ましく、更に好ましくは0.01g/m以上3g/m以下、特に好ましくは0.05g/m以上1g/m以下である、前記<17>に記載の薄葉紙。
<19>
前記B剤が、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる1種以上を含む、前記<17>又は<18>に記載の薄葉紙。
<20>
前記B剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む前記<17>又は<18>に記載の薄葉紙。
<21>
前記セルロース繊維シート基材が単層である前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<22>
前記セルロース繊維シート基材の坪量は、8g/m以上が好ましく、13g/m以上がより好ましく、45g/m以下が好ましく、20g/m以下がより好ましい、前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<23>
前記薄葉紙は、一方の面側が、その反対面側に比べて、前記カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤が多く存在した状態となっている、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の薄葉紙。
<24>
セルロース繊維と多孔質粒子とを含む懸濁液を抄紙ワイヤーを使って脱水し多孔質粒子を担持させた湿紙を形成する工程、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤を含み、かつ、pHが5.0以上9.0以下である水系塗布液を調製する工程、及び該水系塗布液を前記湿紙へ塗布する工程、を有する薄葉紙の製造方法。
<25>
前記カチオン性抗菌剤が下記式(1)及び(2)で表されるアルキルリン酸ベンザルコニウム塩である場合、前記pHは6.5以上が好ましく、7.0以上がより好ましく前記pHの上限は9.0以下が好ましく、8.5以下がより好ましい、前記<24>に記載の薄葉紙の製造方法。
<26>
前記水系塗布液中のカチオン性抗菌剤の濃度は、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、8.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、前記抗菌剤の濃度は、0.3質量%以上8.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが更に好ましい、前記<24>又は<25>に記載の薄葉紙の製造方法。
<27>
前記水系塗布液中のpH緩衝性消臭剤の濃度は、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、8質量%以下であることが好ましい、前記<24>〜<26>のいずれか1に記載の薄葉紙の製造方法。
<28>
前記の水系塗布液を前記湿紙へ塗布する工程において、
前記湿紙は、湿潤状態のまま第1搬送ベルトに搬送されて一対のプレスロールで挟圧されて脱水され、次いで第2搬送ベルトに搬送されてヤンキードライヤに導入される直前に、前記湿紙の一面に対して前記水系塗布液が噴霧ノズルによる噴霧によって付与される、前記<24>〜<27>のいずれか1に記載の薄葉紙の製造方法。
<29>
前記湿紙における一方の面に対してのみ前記水系塗布液が付与される、前記<24>〜<28>のいずれか1に記載の薄葉紙の製造方法。
<30>
前記ヤンキードライヤの表面に、接着剤等の密着性を向上させる剤を前記湿紙が導入される位置の手前で付与する、前記<28>又は<29>に記載の薄葉紙の製造方法。
<31>
前記<1>〜<23>に記載の薄葉紙、又は、前記<24>〜<30>に記載の製造方法により得られた薄葉紙を構成部材として用いた吸収性物品。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において組成を示す「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
(1)水系塗布液の調製
カチオン性抗菌剤としてセチルリン酸ベンザルコニウム(花王株式会社製、「サニゾールP」(登録商標))、pH緩衝性消臭剤としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸を用いた。これらを地下水と混合して水系塗布液を得た。この地下水の硬度は、75mgCaCO/Lであった。水系塗布液中における各成分の配合比率は、質量比で、セチルリン酸ベンザルコニウム/トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/クエン酸=2/1.4/0.6とした。水系塗布液のpHは7.6、粘度は4.5mPa・s(25℃)とした。
(2)セルロース繊維シート基材の製造
針葉樹クラフトパルプを90%、広葉樹クラフトパルプを10%含む紙料をセルロース繊維原料とし、多孔質粒子としてBET比表面積750m/g、平均細孔径4.5nmの活性炭(塩化亜鉛賦活)(フタムラ化学株式会社製「SA1000」(商品名))を混合して湿式抄造を行った。また、得られた湿紙における活性炭の含有坪量は、0.5g/mであった。この湿紙を加工前のセルロース繊維シート基材として用いた。
(3)薄葉紙の製造
図1及び図2に示す装置を用いて薄葉紙を製造した。薄葉紙の坪量は16g/mであった。薄葉紙において、セチルリン酸ベンザルコニウムの含有坪量は0.1g/m、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの含有坪量は0.056g/m、クエン酸の含有坪量は0.024g/m(pH緩衝性消臭剤として計0.08g/m)であった。また、多孔質粒子の含有坪量は前述のとおり0.5g/mであった。
カチオン性抗菌剤セチルリン酸ベンザルコニウムの含有坪量は、液体クロマトグラフ/質量分析計(アジレント・テクノロジー株式会社製6140 LC/MS、イオン化法:ESI)を用い、次のとおり検量線を作成して測定した。
まず、検量線の作成のため、セチルリン酸ベンザルコニウムの有効成分を約0.05g量りとり、10mmol/L酢酸含有メタノールに溶解して100mLにした(500μg/mL)。この溶液を希釈して、有効分として0.01、0.05、0.1、0.5μg/mLの検量線用の標準液を調製した。
次いで、上記の検量線を用いて、薄葉紙中のセチルリン酸ベンザルコニウムの含有坪量を測定した。すなわち、10cm×10cm角の薄葉紙を10mmol/L酢酸含有メタノール溶液30mLに浸し、超音波を10分間照射し、抽出液を100mLのメスフラスコに回収した。この抽出作業を3回繰り替えし、前記酢酸含有メタノールで100mLに調製した。この溶液を2〜10倍に適宜希釈し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、濾液を薄葉紙の抽出液として得た。測定モードを選択イオンモニタリングに設定し、モニタリングイオンとしてm/z=276(C10のM+)、304(C12のM+)、332(C14のM+)及び360(C16のM+)を設定した。検量線用の標準液の測定結果よりC10、C12、C14、C16のピーク面積の合計値を用いて検量線を作成し、薄葉紙の抽出液の測定から抽出液中の抗菌剤の濃度(μg/mL)を求め、薄葉紙1m当たりの抗菌剤の坪量(g/m)に換算した。
pH緩衝性消臭剤としてのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸の含有坪量は、イオンクロマトグラフ法を用いて測定した。イオンクロマトグラフ分析装置はDionex ICS−2100(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社、電気伝導度検出器)を用いて測定した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸それぞれを0.1gを精秤し、純水を加えて正確に100mLとした。この溶液を希釈し、0.1、0.5、1、2.5、5、10、25μg/mLの濃度とし、検量線用溶液を調製し、LC分析値より検量線を作成した。
薄葉紙からのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸の抽出方法は以下の通りである。メスフラスコ中に薄葉紙の試料1枚(約0.16g)と純水を正確に50ml加える。適宜振り混ぜながら超音波を30分間照射する。次に抽出液を0.45μPVDFフィルターで濾過し、LC分析に用いる。なお、溶液濃度がLC分析の範囲外となれば、適宜、添加する純粋の量を加減したり、或いは濾過した後の抽出液を希釈したりして調整できる。
多孔質粒子の含有坪量は、各多孔質粒子に合わせて、下記の方法により測定した。
多孔質粒子が活性炭である場合には、含有坪量はヨウ素吸着法を利用して測定した。薄葉紙を湿式分解し、既知量のヨウ素溶液中に浸し、活性炭にヨウ素を吸着させ、吸着しないで残ったヨウ素量をチオ硫酸ナトリウムで滴定して求めることで、活性炭が吸着したヨウ素量を求め、活性炭量とヨウ素吸着量との検量線から、薄葉紙中の活性炭の坪量を換算して求めた。
また、多孔質粒子が銀担持ポリマー粒子である場合には、含有坪量は予め粒子の金属とポリマー量の比率が分かっている場合には、薄葉紙に含まれる金属量から銀担持ポリマー粒子の坪量を換算して求めた。尚、薄葉紙に含まれる金属の量は、薄葉紙を湿式分解し、ICP発光分析装置で金属の量を測定して求めた。
また、多孔質粒子がアルミノ珪酸塩のような無機物の場合は、薄葉紙を焼成し、灰分から換算して求めた。
(実施例2)
多孔質粒子として、活性炭0.5g/mの代わりに、BET比表面積250m/g、平均細孔径20nmのミズカナイトHP(酸化亜鉛担持アルミノ珪酸塩)(水澤化学工業株式会社製、商品名)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄葉紙を得た。実施例2の薄葉紙における、多孔質粒子の含有坪量は0.5g/mであった。
(実施例3)
多孔質粒子として、活性炭0.5g/mの代わりに、BET比表面積350m/g、平均細孔径10nmのポリマーD(銀担持ジビニルベンゼン/ビニルピリジン共重合体)(花王株式会社製、商品名)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄葉紙を得た。実施例3の薄葉紙にける、多孔質粒子の含有坪量は0.5g/mであった。
(実施例4)
多孔質粒子として、活性炭0.5g/mの代わりに、BET比表面積30m/g、平均細孔径22nmの銀担持カンクリナイト(銀担持アルミノ珪酸塩)(商品名:ルナモスSP−PC)(クラリアント触媒株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄葉紙を得た。実施例4の薄葉紙にける、多孔質粒子の含有坪量は0.5g/mであった。なお、銀担持カンクリナイトとは、特開2005−336363号公報の段落[0029]〜[0045]に記載のカンクリナイト様鉱物のことである。
(実施例5)
多孔質粒子として、活性炭0.5g/mの代わりに、BET比表面積5m/g、平均細孔径60nmの酸化亜鉛を用いた以外は、実施例1と同様にして薄葉紙を得た。実施例5の薄葉紙にける、多孔質粒子の含有坪量は3g/mであった。
(実施例6)
多孔質粒子として、活性炭0.5g/mの代わりに、BET比表面積430m/g、平均細孔径1.0nmのハイシリカゼオライト(ユニオン昭和株式会社製、商品名:アブセント3000)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄葉紙を得た。実施例6の薄葉紙における、多孔質粒子の含有坪量は3g/mであった。
(実施例7)
pH緩衝性消臭剤として、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含有させなかった以外は、実施例2と同様にして薄葉紙を得た。実施例7の薄葉紙にける、クエン酸の含有坪量は実施例2と同様に0.024g/mであった。
(実施例8)
pH緩衝性消臭剤として、クエン酸を含有させなかった以外は、実施例2と同様にして薄葉紙を得た。実施例8の薄葉紙にける、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの含有坪量は実施例2と同様に0.056g/mであった。
(実施例9)
カチオン性抗菌剤として用いたサニゾールPの含有坪量を0.05g/mとし、多孔質粒子として用いたミズカナイトの含有坪量を5.0g/mとした以外は、実施例2と同様にして薄葉紙を得た。
(実施例10)
カチオン性抗菌剤として用いたサニゾールPの含有坪量を0.2g/mとした以外は、実施例2と同様にして薄葉紙を得た。
(実施例11)
カチオン性抗菌剤として用いたサニゾールPの含有坪量を0.2g/mとし、多孔質粒子として用いたミズカナイトの含有坪量を0.05g/mとした以外は、実施例2と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例1)
pH緩衝性消臭剤を含有させなかった以外は、実施例1と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例2)
カチオン性抗菌剤として用いたサニゾールPの含有坪量を0.03g/mとし、多孔質粒子として用いた活性炭の含有坪量を0.8g/mとした以外は、比較例1と同様にして薄葉紙を得た。なお、上記の坪量は、上述の特許文献の特開2006−191966号公報の実施例1に記載の配合割合を、本明細書における上記実施例1の薄葉紙の坪量16g/mのものに換算した値に設定した。
(比較例3)
多孔質粒子を含有させず、カチオン性抗菌剤であるサニゾールPの含有坪量を0.5g/mとした以外は実施例1と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例4)
カチオン性抗菌剤及び多孔質粒子を含有させず、pH緩衝性消臭剤の含有坪量について、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを0.112g/m、クエン酸を0.048g/mとした以外は実施例1と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例5)
カチオン性抗菌剤を含有させず、多孔質粒子である活性炭の含有坪量を5.0g/mとした以外は実施例1と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例6)
カチオン性抗菌剤であるサニゾールPの含有坪量を0.02g/mとし、多孔質粒子である活性炭の含有坪量を5.0g/mとした以外は実施例1と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例7)
カチオン性抗菌剤であるサニゾールPの含有坪量を0.02g/mとし、多孔質粒子であるミズカナイトHPの含有坪量を5.0g/mとした以外は実施例2と同様にして薄葉紙を得た。
(比較例8)
カチオン性抗菌剤であるサニゾールPの含有坪量を0.02g/mとし、多孔質粒子である酸化亜鉛の含有坪量を5.0g/mとした以外は実施例5と同様にして薄葉紙を得た。
(消臭評価試験)
まず、実施例1〜11及び比較例1〜8で得た各薄葉紙を、吸収体の被覆シートとして170mm×200mmの大きさに調製した。この各薄葉紙で、パルプ/吸収性ポリマーの構成比率が150(g/m)/150(g/m)の吸収性コアの表面全体を被覆し、評価用の吸収体サンプルを作製した。作成した各吸収体サンプルはいずれも70×190mmの大きさであった。
次いで、次の手順で試験に用いる尿を準備した。
(a)坪量20g/mで大きさ10cm×15cmの不織布(抗菌、消臭等の特殊処理をしていない汎用的なもの)を準備した。
(b)水で適度に湿らせた(a)の不織布を用いて3名のモニター(研究員、入浴してから12時間経過後の状態)それぞれが自身の下半身をよく拭き、肌常在菌と便由来の腸内細菌を採取した。
(c)モニター3名が採尿を行い、尿2.0gを(b)の不織布に付着させ、ビニール袋(株式会社生産日本社制ユニパック(登録商標)、ポリエチレン製、200×140×0.04mm)に入れて密封し、36℃雰囲気にて24時間静置した。これにより(b)の不織布における菌を増殖させ、菌が多い過酷な条件を得た。
(d)その後、各モニターから採取した尿300gを混ぜ合わせ、そのうちの500gをメスフラスコに入れた。その中に(c)の結果得られた不織布を入れて、時折撹拌しながら20分間浸漬した。
次いで、(d)の結果得られた尿を30g、各吸収体サンプルの中央部に溢れないように徐々に注入した。尿が注入された各吸収体サンプルをそれぞれ蓋付のステンレス製の容器に入れて密封した。この各容器を恒温乾燥機に保管して36℃になるように保温し6時間静置した。
その間、1、2、3、4、5、6時間後の各容器を恒温乾燥機から取り出し、5人のモニター(少なくとも3名が介護職員初任者等の介護資格所有者)が下記の基準で官能評価を行った。官能評価の具体的な方法は、まず恒温乾燥機から容器を取出し、蓋を開けてから30秒静置した。その後、鼻を容器に近づけて臭いを嗅いだ。その評価数値の平均値を各吸収体サンプルの評価試験の結果とした。
その結果は表1及び2並びに図1及び2に示されるとおりとなった。
5:強い腐敗臭
4:弱い腐敗臭
3:尿と楽に分かる強い臭い
2:尿と分かる弱い臭い
1:尿と判別し難い僅かな臭い
0:臭いがしない
表1に示されるように、実施例1〜11はいずれも、0.05g/m以上のカチオン性抗菌剤、pH緩衝性消臭剤及び多孔質粒子の3つの剤を含有するもので、評価結果が「2.0」以下であり、強い臭いが抑えられていた。
これに対し、比較例1〜8は、表2に示されるように、0.05g/m以上のカチオン性抗菌剤、pH緩衝性消臭剤及び多孔質粒子の3つの剤の構成を充足しないもので、評価結果が「2.5」以上となっていた。すなわち、強いを感じており、実施例の消臭効果には及ばなかった。また、カチオン性抗菌剤の含有坪量が0.05g/m未満とされた比較例5〜7も評価結果が「2」よりも高い値であった。すなわち、強い臭いを感じており、実施例の消臭効果には及ばなかった。
また、図1の時系列での官能評価から分かるとおり、実施例はいずれも、「1:尿と判別し難い僅かな臭い」以下の時間が3時間以上長く続いていた。特に、実施例10は、カチオン性抗菌剤が他よりも多く、終始「0.5」付近で臭いが極めて低く抑えられていた。
これに対し、比較例は、図2の時系列での官能評価から分かるとおり、比較例1,2,6を除いて、3時間経過時点で評価値が「1.5」以上を示し、実施例よりも強い臭いが早い段階から感じられていた。特に、カチオン性抗菌剤及び多孔質粒子を含まない比較例4、カチオン性抗菌剤を含まない比較例5、カチオン性抗菌剤の含有量が「0.05g/m」未満と少ない比較例8は、約3時間経過後で、評価値が「2:尿と分かる弱い臭い」を超え、実施例の6時間後の状態よりも強い臭いが既に発生していた。さらに、pH緩衝性消臭剤を含まない比較例1及び2、カチオン性抗菌剤の含有量が「0.05g/m」未満の比較例6は、途中まではある程度消臭効果がみられるが、試験開始から3時間経過後から急激に臭いが強くなり始め、試験終了の6時間よりも手前で、評価値「2」を越える結果となっていた。
以上のことから、本発明の薄葉紙は、0.05g/m以上のカチオン性抗菌剤、pH緩衝性消臭剤及び多孔質粒子の3つの剤を含有することで、肌常在菌や腸内細菌が増殖する過酷な環境下で長時間使用しても、不快と感じないレベルまで臭いを極めて低く抑えることができることが分かった。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 吸収性コア
32 被覆シート
4 サブレイヤシート
10 原液タンク
11,13 撹拌翼
12 希釈タンク
14 ストレーナ
15 ポンプ
16 噴霧ノズル
20 湿紙
21 第1搬送ベルト
22 プレスロール
23 第2搬送ベルト
24 ヤンキードライヤ
25 タッチロール
26 ドクターブレード
27 薄葉紙

Claims (10)

  1. セルロース繊維シート基材に、カチオン性抗菌剤を0.05g/m以上、並びに、多孔質粒子、及びpH緩衝性消臭剤を含有させた、消臭用薄葉紙。
  2. 前記カチオン性抗菌剤が第四級アンモニウム塩を含有する請求項1記載の消臭用薄葉紙。
  3. 前記多孔質粒子が、活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の消臭用薄葉紙。
  4. 前記多孔質粒子のBET比表面積が50m/g以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の消臭用薄葉紙。
  5. 前記多孔質粒子の平均細孔径が2nm以上50nm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の消臭用薄葉紙。
  6. 前記pH緩衝性消臭剤は、少なくとも一つの酸解離指数pKaが5.0以上の有機酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるA剤を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の消臭用薄葉紙。
  7. 前記pH緩衝性消臭剤は、ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるB剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の消臭用薄葉紙。
  8. 前記B剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む請求項7に記載の消臭用薄葉紙。
  9. 前記セルロース繊維シート基材が単層である請求項1〜8のいずれか1項に記載の消臭用薄葉紙。
  10. セルロース繊維と多孔質粒子とを含む懸濁液を抄紙ワイヤーを使って脱水し多孔質粒子を担持させた湿紙を形成する工程、カチオン性抗菌剤及びpH緩衝性消臭剤を含み、かつ、pHが5.0以上9.0以下である水系塗布液を調製する工程、及び該水系塗布液を前記湿紙へ塗布する工程、を有する消臭用薄葉紙の製造方法。
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