JP2010239993A - 消臭性組成物、消臭性組成物を含有する消臭剤および消臭性組成物を担持した繊維構造物を備えた消臭具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 各種臭気物質の消臭、特に生体由来の臭気物質の消臭効果が高い消臭性組成物、消臭性組成物を含有する消臭剤および消臭性組成物を担持した繊維構造物を備えた消臭具を実現する。
【解決手段】 本発明の消臭性組成物、特にシャクヤクの花弁よび/または葉から抽出された消臭性組成物は、窒素化合物などに対して高い消臭作用を有しており、生体由来の臭気物質の消臭を始めとする各種消臭用途に好適に用いることができる。シャクヤクなどから抽出される抽出物のうち、没食子酸、ガロイルグルコースおよびアストラガリンに良好な消臭作用が認められた。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボタン属に属する植物から抽出された消臭性組成物、消臭性組成物を含有する消臭剤および消臭性組成物を担持した繊維構造物を備えた消臭具に関する。
近年、各種臭気物質の消臭に対する要求が高まってきている。消臭方法としては、中和など化学反応を利用する消臭方法、臭気物質を活性炭などで吸着除去する消臭方法、香料などを徐放させ芳香により悪臭を抑える方法などが挙げられる。ここで、おしめなどのように、消臭性組成物を繊維構造物に担持して肌に直接接触する消臭用途に用いる場合には、肌に優しい天然成分を利用するのが好ましく、例えば、特許文献1には、茶葉抽出物等に含まれているカテキン類を繊維に含有させる技術が開示されている。
特開2000−303250号公報
しかし、上述の技術は、生体由来の臭気物質、例えば、し尿臭や体臭などの臭気物質であるアンモニア等の無機窒素化合物やアミン類などの有機窒素化合物には大きな消臭効果がないという問題があった。
そこで、本発明は、各種臭気物質の消臭、特に生体由来の臭気物質の消臭効果が高い消臭性組成物、消臭性組成物を含有する消臭剤および消臭性組成物を担持した繊維構造物を備えた消臭具を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、消臭性組成物が、ボタン属に属する植物から抽出され、消臭作用を有する、という技術的手段を用いる。
請求項1に記載の発明によれば、ボタン属に属する植物から消臭作用を有する消臭性組成物を抽出することができる。このような消臭性組成物は、高い消臭作用を有しており、各種消臭用途に好適に用いることができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の消臭性組成物において、前記植物は、シャクヤクで、その花弁および/または葉から抽出された、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明にように、シャクヤクの花弁および/または葉から抽出された消臭性組成物は、ボタン属に属する植物の中でも、高い消臭作用を有する消臭成分を多量に含んでいるため、特に好適に用いることができる。
請求項2に記載の発明によれば、シャクヤクの花弁、葉には、根や茎などの他の部位よりも消臭成分が多く含まれているため、消臭性組成物を効率的に抽出することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の消臭性組成物において、没食子酸、ガロイルグルコースおよびアストラガリンのうちの少なくとも1種を含有する、という技術的手段を用いる。
出願人が鋭意研究した結果、シャクヤクなどから抽出される抽出物のうち、没食子酸、ガロイルグルコースおよびアストラガリンに良好な消臭作用が認められることが判明した。没食子酸は、消臭作用が強く、特に窒素化合物に対して顕著な消臭作用を示す。ペンタガロイルグルコースは、消臭作用が強く、特に窒素化合物に対して顕著な消臭作用を示し、更に抗菌性も有しているため、微生物の増殖に伴う悪臭の発生を抑制することができる。また、アストラガリンも良好な消臭作用を有しており、窒素化合物に対しても消臭作用を示す。以上より、請求項3に記載の発明のように、没食子酸、ガロイルグルコース、アストラガリンのうち少なくとも一種を含む消臭性組成物は良好な消臭作用を示すため、好適に用いることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の消臭性組成物において、窒素化合物に対して消臭作用を有する、という技術的手段を用いる。
し尿臭や体臭など生物由来の臭いは、アンモニア等の無機窒素化合物やアミン類などの有機窒素化合物によるものが多い。請求項5に記載の発明によれば、消臭性組成物が窒素化合物に対して消臭作用を有しているため、生物由来の窒素化合物が生じる臭いの消臭用途に好適に用いることができる。
請求項5に記載の発明では、消臭剤が請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の消臭性組成物を含有する、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の消臭性組成物は、消臭剤に含有させることにより、消臭作用が強い消臭剤として好適に用いることができる。
請求項6に記載の発明では、消臭具が請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の消臭性組成物を担持した繊維構造物を備えた、という技術的手段を用いる。
本発明の消臭性組成物は優れた消臭効果を有するので、請求項6に記載の発明のように、繊維構造物に担持して消臭具として好適に用いることができる。また、本発明の消臭性組成物は、植物由来の天然成分であるため、肌に対する刺激が少なく、肌に直接接触する繊維構造物に特に好適に用いることができる。
ボタン属に属する植物から消臭性組成物を抽出する方法について説明する。ここでは、ボタン属に属する植物として、シャクヤクを用いた。シャクヤクの花弁、葉は、ボタン属に属する植物のうちでも、後述する消臭成分を多量に含んでいるため、好適に用いることができる。
消臭性組成物は、シャクヤクの花弁から抽出する。シャクヤクの花弁は、抽出効率を向上させるために、乾燥させた後に粉末状にしておくことが好ましい。シャクヤクの使用部位は、花弁以外にも、葉、茎、幹、樹皮、根、種子等を用いることができるが、花弁および葉は、後述する消臭成分の含有量が多いので、消臭性組成物を効率的に抽出することができ、好適である。
消臭性組成物の抽出方法は、特に限定されず、固液抽出法やパーコレーション法等の蒸気抽出法などを用いることができる。他には、水蒸気を用いて抽出を行う水蒸気蒸留法や超臨界流体に抽出する方法などを採用することができる。
例えば、固液抽出法では、所定量のシャクヤクの花弁の粉末を水などの溶媒とともに装入した容器をオートクレーブ内に載置し、2気圧、121℃の条件で加熱することにより、消臭性組成物を抽出することができる。なお、溶媒、抽出条件などは、適宜設定することができる。
更に、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて、溶媒抽出を行うこともできる。このとき、抽出を効率よく高めるため、n−ヘキサンなどを用いて脂溶性成分等を除去することが好ましい。
上記の抽出方法などにより抽出された消臭性組成物は、その形態については特に限定はなく、エバポレーターやスプレードライ法を用いて、抽出液を濃縮することにより抽出物を調製したり、溶媒を蒸発させた粉末などの固体状にしたりすることができる。
抽出された消臭性組成物には、消臭成分として、没食子酸(ガーリック酸)、ガロイルグルコース、アストラガリンなどが含有されている。ここで、没食子酸、ガロイルグルコースは、消臭作用が強く、特に窒素化合物に対して顕著な消臭効果を示す。し尿臭や体臭など生物由来の臭いは、アンモニア等の無機窒素化合物やアミン類などの有機窒素化合物によるものが多いため、生物由来の窒素化合物が生じる臭いの消臭用途に好適に用いることができる。ペンタガロイルグルコースなどのガロイルグルコースやアストラガリンは、繊維構造物へ一旦担持すると洗剤等洗浄効果の高い物質によっても繊維から外すことが難しいので、好適な消臭組成物といえる。更に、ガロイルグルコースは、抗菌性も有しているため、微生物の増殖に伴う悪臭の発生を抑制することができる。また、アストラガリンも良好な消臭作用を有しており、窒素化合物に対しても消臭効果を示す。
以上より、没食子酸、ガロイルグルコース、アストラガリンのうち少なくとも一種を含む消臭性組成物は良好な消臭効果を示すため、好適に用いることができる。
上記の消臭性組成物は、例えば、溶媒に添加して消臭効果の高い消臭剤として用いることができる。このような消臭剤は、消臭する対象に、例えば、スプレーなどにより噴霧することにより用いることができる。
消臭性組成物を添加する溶媒として、消臭性組成物による消臭作用を阻害しない範囲で、水、アルコールなど各種溶媒を用いることができる。
また、この消臭剤には、消臭性組成物による消臭作用を阻害しない任意成分を、必要に応じて含有させることができる。例えば、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、色素などを含有させることができる。
液状の消臭剤を、例えば、スポンジ様多孔質材料に含浸させ、消臭成分を徐放させて用いることもできる。また、粉末成形した錠剤やマイクロカプセルなど種々の形態で用いることもできる。このような消臭剤は、トイレ、台所、冷蔵庫、居室、自動車などの消臭に好適に用いることができる。
消臭性組成物は、繊維構造物に担持して、消臭具として用いることができる。ここで、消臭具として、パンツ、シャツなどの下着、おむつ、ナプキン、パットなどの吸収部材、シートカバー、トイレカバーなどのトイレタリー製品、ペット用品、マスクや白衣などの一般医療材、シーツなどの寝装具、介護用品などを挙げることができ、消臭用途、特に生体由来の窒素化合物の消臭用途に広く用いることができる。本発明の消臭性組成物は、植物由来の天然成分であるため、肌に対する刺激が少なく、肌に直接接触する繊維構造物に特に好適に用いることができる。
消臭具が備えた繊維構造物は、例えば、マスクのガーゼ部分などが相当し、消臭性組成物を担持できる布、不織布、天然繊維や合成繊維の繊維塊などである。
消臭性組成物の繊維構造物への担持方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、消臭性組成物を含有させた溶液を繊維構造物に含浸、乾燥させて担持させる方法を用いることができる。その他、バインダー樹脂を用いる方法、マイクロカプセルを繊維表面に固着させる方法などが挙げられる。また、抽出液を用いる場合には、抽出プロセスの中で担持を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
シャクヤクの花弁から熱水によって固液抽出された消臭性組成物の消臭効果を確認した。
消臭性組成物の抽出方法と消臭性組成物を担持した試験布の調製方法を以下に示す。純水500ml中にシャクヤクの花弁粉末を10gとガーゼ(20g、25cm×200cm)を浸漬し、オートクレーブで2気圧、121℃の条件下で20分間、シャクヤク成分を固液抽出しながら、同時に抽出された成分をガーゼに吸着させた。そのまま一晩放置してオートクレーブ内の温度を室温に戻し、流水でガーゼを十分に洗浄後、更にガーゼの洗浄と脱水を5回以上繰り返して吸着成分を除去した。ガーゼを自然乾燥させ、試験布として25cm×20cmに裁断したものを使用した。また,対照試験布として純水中にシャクヤク花弁粉末を入れずに、同様の処理を行ったガーゼを用いた。
臭い溶液の調製は以下の方法で行った。臭い溶液として、アンモニア及びジメチルアミンを用いた。アンモニア臭い溶液は、25%アンモニアを超純水により体積比で10倍に希釈したものを用い、試験布に200μl添加した。ジメチルアミン臭い溶液は、50%ジメチルアミンを超純水により体積比で10倍に希釈したものを用い、試験布に100μl添加した。
各臭い物質に対する消臭性組成物の消臭作用の検定は以下のように行った。臭い溶液が染み込んだ試験布をテドラーバッグに入れ投入口をシーラーで塞いぎ、続いてテドラーバッグのガスサンプル出し入れ口から注射筒を用いて1リットルの空気を注入し、以後経時的にテドラーバッグ内の空気(100ml)をガス検知管に通しながら注射筒で抜き取り,テドラーバッグ内の空気100ml中に含まれる臭い物質の濃度を経時的に測定した。
図1に各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図1(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図1(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。それぞれ、対照試験布を用いた場合の濃度の経時変化(図中controlと記載)と比較した。図1(A)に示すように、アンモニアの初期濃度は数千ppmであったが、試験開始後10分で濃度が2ppm以下となり、アンモニアに対して強い消臭作用があることが確認された。また、図1(B)に示すように、ジメチルアミンの初期濃度は約50ppmであったが、試験開始後10分で濃度が2ppm以下となり、ジメチルアミンに対しても強い消臭作用があることが確認された。更に、嗅覚試験を行ったが、アンモニア臭やアミン臭はほとんど感じられず、窒素化合物であるアンモニアおよびジメチルアミンに対する消臭効果が確認された。
(実施例2)
シャクヤクの花弁から酢酸エチルにより抽出された消臭性組成物の消臭効果を確認した。
消臭性組成物の抽出方法を以下に示す。シャクヤクの花弁粉末50gに超純水1500mLを加え、オートクレーブ(121℃、10分)により固液抽出を行った。その後、得られた抽出液を遠心分離機(6000rpm、15分、4℃)で遠心後、上清をロ紙で濾過して、溶媒抽出物を分離した。次いで、分液漏斗に溶媒抽出物1260mLと、等量のn−ヘキサンを入れ、約100回撹拌後、下層の抗菌成分を含む水層1246mLを分離し、脂溶性成分等を除去した。その後、得られた水層に、等量のクロロホルムを加えて約100回撹拌後、上層側の抗菌成分を含む水層1124mLを分離した。次いで、得られた水層に、等量の酢酸エチルを加えて約100回撹拌後、上層側の酢酸エチル層を抽出し、エバポレーターで乾燥固化した。その後、超純水7.2mLで再溶解後、凍結乾燥することにより約3.8gの酢酸エチル抽出粉末を得た。
消臭性組成物を担持した試験ロ紙の調製方法を以下に示す。特級メタノール10mlに酢酸エチル抽出粉末10mgを溶解し0.1%溶液を調製した。ロ紙(No.1、φ110mm)を扇形に16分割し(1枚あたり0.05〜0.06g)、0.1%酢酸エチル抽出溶液を50μlずつ2回に分けてロ紙全面に1ml染み込ませた。そして、クリーンベンチ内で風乾を15分行い,暗下で18時間放置して作製した。単位面積あたりに消臭性組成物が吸着している量は、1mg(168μg/cm2)である。コントロールロ紙はメタノールを1ml染み込ませ同様の処理を行い作製した。
臭い溶液の調製は以下の方法で行った。臭い溶液として、アンモニア及びジメチルアミンを用いた。アンモニア臭い溶液は、25%アンモニアを超純水により重量比で10倍に希釈したものを0.71g秤量し、超純水を加えて全体の重量を7.48gとした。更にこの溶液を超純水により体積比で10倍に希釈し、濃度が2.37%となったものを用い、試験ロ紙に10〜100μl添加した。ジメチルアミン臭い溶液は、50%ジメチルアミンを超純水により重量比で10倍に希釈したものを用い、試験ロ紙に10〜100μl添加した。
消臭の検定法は、実施例1と同様である。
図2に各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図2(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図2(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。図2(B)の濃度は測定値に補正係数0.9を乗じた値を用いた。それぞれ、コントロールロ紙を用いた場合の濃度の経時変化と比較した。図2(A)および図2(B)に示すように、アンモニア濃度、ジメチルアミン濃度はともにコントロールロ紙の場合の半分以下となっており、酢酸エチルにより抽出された消臭性組成物もアンモニアおよびジメチルアミンに対する消臭効果を有することが確認された。
(実施例3)
シャクヤクの花弁から抽出された消臭性組成物の主要成分である没食子酸、ペンタガロイルグルコースおよびアストラガリンの消臭効果を確認した。
没食子酸、ペンタガロイルグルコースおよびアストラガリンを担持した試験ロ紙の調製方法を以下に示す。まず、特級メタノールに各精製票品粉末を溶解し、実施例2で用いた形状と同様のロ紙に、各溶液を500μlずつ2回に分けてロ紙全面に1ml染み込ませた。そして、クリーンベンチ内で風乾を15分行い、暗下で18時間放置して作製した。コントロールロ紙はメタノールを1ml染み込ませ同様の処理を行い作製した。試験ロ紙が担持する各票品の量は、1mg(168μg/cm2)、0.3mg(50.0μg/cm2)、0.1mg(16.8μg/cm2)の3水準とした。
臭い溶液の調製および消臭の検定法は、実施例2と同様である。
図3に没食子酸による各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図3(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図3(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。図3(B)の濃度は測定値に補正係数0.9を乗じた値を用いた。それぞれ、コントロールロ紙を用いた場合の濃度の経時変化と比較した。図3(A)および図3(B)に示すように、担持した没食子酸の量が増大するにつれて、アンモニア濃度、ジメチルアミン濃度はともに大きく低減した。これにより、没食子酸はアンモニアおよびジメチルアミンに対する強い消臭効果を有することが確認された。
図4にペンタガロイルグルコースによる各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図4(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図4(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。図4(B)の濃度は測定値に補正係数0.9を乗じた値を用いた。それぞれ、コントロールロ紙を用いた場合の濃度の経時変化と比較した。図4(A)および図4(B)に示すように、担持したペンタガロイルグルコースの量が増大するにつれて、アンモニア濃度、ジメチルアミン濃度はともに低減した。これにより、ペンタガロイルグルコースはアンモニアおよびジメチルアミンに対する強い消臭効果を有することが確認された。
図5にアストラガリンによる各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図5(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図5(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。図5(B)の濃度は測定値に補正係数0.9を乗じた値を用いた。それぞれ、コントロールロ紙を用いた場合の濃度の経時変化と比較した。図5(A)に示すように、試験開始から30分以降では、コントロールロ紙に比べてアンモニア濃度が低減した。また、図5(B)に示すように、担持するアストラガリンの量を1mgにした場合には、コントロールロ紙に比べてジメチルアミン濃度が低減した。これにより、アストラガリンはアンモニアおよびジメチルアミンに対する消臭効果を有することが確認された。
[最良の実施形態の効果]
(1)本発明の消臭性組成物、特にシャクヤクの花弁および/または葉から抽出された消臭性組成物は、高い消臭作用を有しており、各種消臭用途に好適に用いることができる。シャクヤクの花弁および/または葉などから抽出される抽出物のうち、没食子酸、ペンタガロイルグルコースおよびアストラガリンに良好な消臭作用が認められることが判明した。没食子酸は、消臭作用が強く、特に窒素化合物に対して顕著な消臭作用を示す。ペンタガロイルグルコースは、没食子酸と同様に強い消臭作用があるだけでなく、抗菌性も有しているため、微生物の増殖に伴う悪臭の発生を抑制することができる。また、アストラガリンも良好な消臭作用を有しており、窒素化合物に対しても消臭作用を示す。これにより、没食子酸、ペンタガロイルグルコース、アストラガリンのうち少なくとも一種を含む消臭性組成物は良好な消臭作用を示すため、好適に用いることができる。ペンタガロイルグルコースなどのガロイルグルコースやアストラガリンは、繊維構造物へ一端担持すると洗剤等洗浄効果の高い物質によっても繊維から外すことが難しいので、好適な消臭組成物といえる。
(2)シャクヤクの花弁、葉には、根や茎などの他の部位よりも消臭成分が多く含まれているため、消臭性組成物を効率的に抽出することができる。
(3)し尿臭や体臭など生物由来の臭いは、アンモニア等の無機窒素化合物やアミン類などの有機窒素化合物によるものが多い。消臭性組成物が窒素化合物に対して消臭作用を有しているため、生物由来の窒素化合物が生じる臭いの消臭用途に好適に用いることができる。
(4)本発明の消臭性組成物は、消臭剤に含有させることにより、消臭作用が強い消臭剤として好適に用いることができる。また、本発明の消臭性組成物は優れた消臭効果を有するので、繊維構造物に担持して消臭具として好適に用いることができる。更に、本発明の消臭性組成物は、植物由来の天然成分であるため、肌に対する刺激が少なく、肌に直接接触する繊維構造物に特に好適に用いることができる。
[その他の実施形態]
本発明の消臭性組成物の用途は、上記に限定されるものではなく、消臭作用が要求される様々な用途に用いることができる。例えば、液状の消臭剤を消臭したい物に塗布して用いることもできる。
実施例1における各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図1(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図1(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。 実施例2における各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図2(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図2(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。 没食子酸による各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図3(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図3(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。 ペンタガロイルグルコースによる各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図4(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図4(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。 アストラガリンによる各臭い物質の濃度の経時変化を示す。図5(A)は、アンモニア濃度の経時変化であり、図5(B)は、ジメチルアミン濃度の経時変化である。

Claims (6)

  1. ボタン属に属する植物から抽出され、消臭作用を有することを特徴とする消臭性組成物。
  2. 前記植物は、シャクヤクで、その花弁および/または葉から抽出されたことを特徴とする請求項1に記載の消臭性組成物。
  3. 没食子酸、ガロイルグルコースおよびアストラガリンのうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消臭性組成物。
  4. 窒素化合物に対して消臭作用を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の消臭性組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の消臭性組成物を含有することを特徴とする消臭剤。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の消臭性組成物を担持した繊維構造物を備えたことを特徴とする消臭具。
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