JP5806571B2 - 薄葉紙 - Google Patents

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Description

本発明は、比較的低坪量の薄い紙である薄葉紙に関し、特に、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、吸収性コアを被覆するコアラップシートとして好適な薄葉紙に関する。
従来、パルプ繊維を含む紙に、水解性を付与する等の目的で、セルロースの誘導体であるカルボキシメチルセルロース(以下、CMCともいう)を含有させることが知られている。例えば特許文献1には、紙おしぼり等の拭い用紙の含有成分として、湿潤紙力増強剤と共に、エーテル化度が0.20〜0.65の水不溶性の繊維状CMCを用いることが記載されている。また特許文献2には、水膨潤性バインダーを含有する水解紙の製造方法が記載されており、該水膨潤性バインダーとして、置換度0.30〜0.60程度の繊維状CMC又はその塩を用いることが記載されている。
また特許文献3には、使い捨ておむつ等の衛生用品に用いられるシート状物の抗菌性を高める目的で、該シート状物の含有成分として、少なくとも一部が抗菌性金属イオンで置換されている水不溶性のCMCからなる抗菌剤を用いることが記載されており、この抗菌剤としてのCMCとして、置換度が0.4〜1.0のCMCを用いることも記載されている。また特許文献4には、パルプ繊維のゼータ電位を特定範囲に調整して、紙力増強剤等の抄紙薬品の効果を最大限に発揮させる目的で、パルプ繊維からなるスラリーに置換度0.3〜0.6のCMCを添加することが記載されている。
特開平7−216781号公報 特開2005−194635号公報 特開平11−1895号公報 特開2001−262498号公報
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品には、液保持性の吸収体を具備するものがあり、該吸収体として、木材パルプや高吸水性樹脂等を含む吸収性コアと、該吸収性コアの外面を被覆するコアラップシートとを含んで構成されているものが知られている。コアラップシートは、吸収体の製造時には木材パルプや高吸水性樹脂等の吸収体形成材料を受けるためのシートとして働き、製造後には吸収性コアを包んで形状化する役割などを果たす。コアラップシートとしては、従来、薄葉紙、不織布等の透水性シートが用いられている。
コアラップシートには、製造時に破れが生じない程度のシート強度と、使用時に液を素早く透過・拡散させ、コアラップシートの下方に配置された吸収性コアに速やかに吸収させる高い液透過性及び液拡散性が要求されるが、コアラップシートのシート強度と液透過性及び液拡散性とは二律背反の関係にあり、両者をバランス良く両立させることは難しいのが現状である。また、吸収体の薄型化が要望される中で、これを構成するコアラップシートにも低坪量化が要望されているところ、コアラップシートの低坪量化はシート強度の低下を招くおそれがあるため、現状のコアラップシートの構成では低坪量化は困難である。
従って本発明の課題は、強度特性が良好で液透過性及び液拡散性に優れた薄葉紙を提供することにある。
本発明者らは、薄葉紙の液透過性及び液拡散性の指標として、JIS P8141に規定する、紙のクレム法による吸水度試験方法に準じて得られるクレム吸水量に着目し、薄葉紙における強度とクレム吸水量との関係について種々検討した結果、薄葉紙に含有される繊維状物として、フィブリル化が進行したパルプ繊維とレーヨン繊維とを併用し、且つ薄葉紙の含有成分として、湿潤紙力増強剤とエーテル化度が特定範囲にある低置換CMCとを含有させることにより、薄葉紙の強度(引張強度)及びクレム吸水量が共に大きく向上することを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、パルプ繊維及びレーヨン繊維を含む繊維状物と、エーテル化度0.2〜0.6のカルボキシメチルセルロース又はその塩と、湿潤紙力増強剤とを含有し、坪量が10〜30g/m2、クレープ率が5〜30%である薄葉紙を提供することにより、前記課題を解決したものである。
また本発明は、前記薄葉紙を用いた吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、強度特性が良好で液透過性及び液拡散性に優れた薄葉紙が提供される。
図1は、液透過時間の測定方法の説明図である。
以下、本発明の薄葉紙について詳細に説明する。本発明の薄葉紙は、繊維状物を主体とする繊維シート、即ち、繊維状物の含有率が50質量%以上、好ましくは60質量%以上の繊維シートであり、且つ繊維状物としてパルプ繊維及びレーヨン繊維を含んでいる。
本発明で用いるパルプ繊維としては、公知のパルプ繊維を特に制限無く用いることができ、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維;藁、竹、ケナフ、麻等の非木材パルプ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのパルプ繊維の中でも、特にNBKPは、これを用いて製造される紙の強度が高いため、本発明で好ましく用いられる。本発明で用いるNBKPとしては、この種の紙において通常用いられるNBKPを特に制限無く用いることができる。NBKPとして、パルプの漂白に塩素化合物を使用しないECF(エレメンタリー・クロリンフリー)漂白パルプやTCF(トータル・クロリンフリー)漂白パルプを使用しても良い。
本発明で用いるパルプ繊維のフリーネスは、300〜700ml、特に400〜700ml、とりわけ500〜680mlの範囲にあることが好ましい。フリーネスは、JIS P8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、パルプ繊維の叩解(水の存在下でパルプ繊維を機械的に叩き、磨砕する処理)の度合いを示す値である。パルプ繊維の叩解は、パルプ繊維を分散させた紙料(スラリー)に対して、ビーター、ディスクリファイナー等の公知の叩解機を用いて常法に従って実施することができる。通常、パルプ繊維のフリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強く、叩解による繊維の損傷が大きくてフィブリル化が進行している。フリーネスが前記範囲にあるパルプ繊維、特にNBKPは、フィブリル化が進行しているため繊維どうしが絡み合い易く、そのため、低坪量化あるいは液透過性及び液拡散性の向上の観点等から薄葉紙の低坪量化(低密度化)を図った場合に、繊維状物の繊維間結合点の数が減少しても、各繊維間結合の強度は、フリーネスが700mlを超え相対的にフィブリル化が進行していないNBKPに比して高い。一方、フリーネスが300ml未満の場合は、繊維の絡み合いによる強度改善効果は飽和しており、また、繊維の切断が促進され、透過時間が遅くなるおそれがある。従って、フリーネスが300〜700mlであるパルプ繊維(NBKP)を含有する薄葉紙は、良好な強度特性(引張強度)及び液透過性を有し得る。
本発明では、繊維状物として、パルプ繊維に加えてレーヨン繊維を用いる。本発明者らの知見によれば、フィブリル化が進行したパルプ繊維(フリーネスが300〜700mlの範囲にあるパルプ繊維)とレーヨン繊維とを併用することにより、薄葉紙の強度特性(引張強度)が大きく向上すると共に、液透過性及び液拡散性の指標となるクレム吸水量も大きく向上する。その理由は、レーヨン繊維はNBKP等の通常のパルプ繊維に比して、再生繊維のため、水素結合が低く、断面形状の違いから嵩高であるため、その嵩高なレーヨン繊維を薄葉紙に含有させることにより、当該薄葉紙は、比較的大きな空隙が多数形成された高空隙な構造をとるようになり、斯かる高空隙な構造が、特にクレム吸水量の向上に大きく寄与すると推察される。また、高空隙となることにより液透過性が良くなる一方、フィブリル化が進行したパルプ繊維は、主として、薄葉紙の強度特性の向上に寄与すると推察される。
レーヨン繊維には、繊維断面形状(繊維の延びる方向に直交する方向の断面の形状)が異なる種々のものがあり、例えば、円形状、Y字形状、中空扁平形状、リボン扁平形状等の繊維断面形状を有するレーヨン繊維がある。本発明では、繊維断面形状を問わず種々のレーヨン繊維を用いることができるが、特に、繊維断面形状が円形状又はY字形状であるレーヨン繊維は、それ自体が嵩高いため薄葉紙に前記高空隙な構造を付与し易く、また強度特性の低下も招き難いため、本発明で好ましく用いられる。繊維断面形状が円形状のレーヨン繊維としては、例えば、コロナ SB(2.2dtex×5mm)、コロナ SB(5.6dtex×5mm)(以上、ダイワボウレーヨン(株)製)等の市販品が挙げられ、繊維断面形状がY字形状のレーヨン繊維としては、例えば、コロナ SBA(1.9dtex×5mm)、コロナ SBA(7.8dtex×8mm)(以上、ダイワボウレーヨン(株)製)等の市販品が挙げられる。
本発明で用いるレーヨン繊維は、レーヨン繊維を用いることによる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、繊度が0.8〜20dtex、繊維長が1〜20mmのものが好ましく、特に、繊度が1.0〜15dtex、繊維長が2〜15mmのものが好ましく、とりわけ、繊度が1.5〜8.0dtex、繊維長が3〜10mmのものが好ましい。
本発明の薄葉紙において、パルプ繊維とレーヨン繊維との含有比率(薄葉紙中の全繊維状物に占める両繊維の質量基準での割合)は、質量基準でパルプ繊維/レーヨン繊維=95/5〜50/50が好ましく、90/10〜70/30が更に好ましい。前記含有比率を超えてレーヨン繊維が薄葉紙中に過剰に存在すると、紙力強度が低下するおそれがあるため好ましくない。パルプ繊維の含有率は、薄葉紙中、好ましくは60〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。また、レーヨン繊維の含有率は、薄葉紙中、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
本発明の薄葉紙においては、繊維状物として、前述したパルプ繊維及びレーヨン繊維に加えて、更に他の繊維を用いることもできる。本発明で用いる他の繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維;パルプ繊維をアルカリ処理したマーセル化パルプ、パルプ繊維の分子内及び/又は分子間を架橋剤により架橋した架橋パルプ(例えば、HBAとして知られている化学的に架橋されたセルロース繊維)等の改質セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。但し、パルプ繊維及びレーヨン繊維の併用による効果(強度及びクレム吸水量の向上)をより確実に得られるようにする観点から、パルプ繊維及びレーヨン繊維以外の他の繊維の含有率は、薄葉紙中10質量%以下とすることが好ましく、0質量%、即ち、繊維状物としてはパルプ繊維及びレーヨン繊維のみを用いることが更に好ましい。
本発明の薄葉紙は、前述したパルプ繊維、レーヨン繊維等の繊維状物に加えて、エーテル化度0.2〜0.6のカルボキシメチルセルロース(以下、低置換CMCともいう)又はその塩を含有する。低置換CMCの塩としては、低置換CMCのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、本発明では低置換CMCのナトリウム塩が主に用いられる。また、本発明で用いられる低置換CMC及びその塩は、粉末状でも繊維状でも構わない。
CMCは、木材パルプ、リンターパルプ等を原料とし、モノクロル酢酸等を反応させて合成されたセルロース誘導体であり、セルロースの水酸基の水素原子の一部をカルボキシメチル基で置換したものである。CMCの機能的性質は、エーテル化度(セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度)によるところが大きく、一般に、エーテル化度が0.6を超える高置換CMC(エーテル化度0.6〜1.5程度)は水に溶解するが、エーテル化度が0.6以下の低置換CMC(エーテル化度0.2〜0.6程度)は水に難溶又は不溶であり、低置換CMCを水中に投入すると吸水・膨潤してゲル化し、その膨潤状態を維持する。
紙の含有成分としてのCMCに関し、従来、高置換CMCは乾燥紙力増強剤として使用され、低置換CMCは、特許文献1及び2に記載されているように、紙の湿潤強度を低下させて紙に水解性を付与する目的で使用されてきた。本発明者らは、低置換CMCの水解性付与以外の有効性について種々検討した結果、低置換CMCは、JIS K7223(1996)に準拠して測定される遠心保持量が高置換CMCに比して大きいことを知見し、更に検討した結果、繊維状物としてパルプ繊維及びレーヨン繊維を含む薄葉紙における含有成分として用いた場合、低置換CMCは、高置換CMCに比して、薄葉紙の強度特性(特に乾燥引張強度)及びクレム吸水量(液拡散性)の向上効果が大きく、また、曲げ剛性値の低下効果も大きいことを知見した。薄葉紙の曲げ剛性値の低下は、薄葉紙の柔軟性の向上を意味するところ、特に薄葉紙が、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において木材パルプや高吸水性樹脂等を含む吸収性コアの外面を被覆するコアラップシートとして用いられる場合には、当該薄葉紙の柔軟性は高いことが望ましい。
本発明で用いる低置換CMCのエーテル化度は、前述した低置換CMCによる効果を最大限発揮させる観点から、好ましくは0.2〜0.6、更に好ましくは0.25〜0.5である。エーテル化度が0.2未満の低置換CMCは、クレム吸水量の低下を招くおそれがあるため、本発明では好ましくない。エーテル化度は、次のようにして灰化測定法を用いて測定される。即ち、試料(無水物)約0.7gを精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボ中に入れ、600℃で充分に灰化させた。冷却した後、これを500mlビーカーに移し、水約250ml、更に0.05モル/l硫酸35mlを加えて30分間煮沸する。これを冷却した後、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1モル/l水酸化カリウムで逆滴定して、次式により算出した。
エーテル化度=162×A/(10000−80×A)
ここで、Aは試料1g中の結合アルカリに消費された0.05モル/l硫酸のml数である。
低置換CMCの含有率は、薄葉紙の全繊維状物の乾燥質量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%である。低置換CMCの含有率が少なすぎると、低置換CMCを使用する意義が薄れ、低置換CMCの含有率が多すぎると、薄葉紙が硬くなるおそれがある。
本発明の薄葉紙は、低置換CMCに加えて湿潤紙力増強剤を含有する。低置換CMCを含有する薄葉紙を吸収性物品におけるコアラップシートとして用いた場合において、その薄葉紙に尿等の体液が接触すると、薄葉紙に含有されている低置換CMCが体液を吸収・膨潤することに起因して、薄葉紙が吸収性物品の使用中に破れたりよれたりする等の不都合が生じるおそれがある。そこで、低置換CMCに加えて湿潤紙力増強剤を薄葉紙の含有成分として用いることにより、薄葉紙の湿潤強度(特に湿潤引張強度)が向上するため、低置換CMCを用いることによる前記不都合を回避することが可能となる。また、湿潤紙力増強剤を使用することによる他の効果として、特に薄葉紙を吸収性物品におけるコアラップシートとして用いた場合において、吸収性物品の着用者の体圧による薄葉紙(コアラップシート)の圧縮応力を緩和する効果が挙げられ、更に、薄葉紙(コアラップシート)の目詰まり(薄葉紙に含まれる繊維状物間の空隙率の低下)によるウエットバック量を低下させる効果が挙げられる。これらの効果は、吸収性物品の着用者の肌への優しさに寄与する。
本発明で用いる湿潤紙力増強剤としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、メチロール化ポリアミド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの湿潤紙力増強剤の中でも、特にPAEは、これを用いて製造される紙の湿潤紙力強度が高いため、本発明で好ましく用いられる。
湿潤紙力増強剤の含有率は、薄葉紙の全繊維状物の乾燥質量に対して、好ましくは0.1〜2.0質量%、更に好ましくは0.5〜1.0質量%である。湿潤紙力増強剤の含有率が少なすぎると、湿潤紙力増強剤を使用する意義が薄れ、湿潤紙力増強剤の含有率が多すぎると、薄葉紙の硬化(風合いの低下)の他、薄葉紙の製造時におけるヤンキードライヤへの紙の張り付きやメッシュドラムへの紙力増強剤の付着等による、薄葉紙の地合の低下を招くおそれがある。
本発明の薄葉紙は、前述した各成分(パルプ繊維、レーヨン繊維、低置換CMC、湿潤紙力増強剤)に加えて、更に乾燥紙力増強剤を含有していても良い。ここでいう乾燥紙力増強剤は、低置換CMC及びその塩以外の乾燥紙力増強剤である(本発明で用いる低置換CMC及びその塩は、乾燥紙力増強剤としての機能も有している)。本発明で用いる乾燥紙力増強剤としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、高置換CMC(エーテル化度が0.6を超えるCMC)及びその塩、ポリアクリルアミド系樹脂及びその塩、カチオン化デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。高置換CMCあるいはポリアクリルアミド系樹脂の塩については、前述した低置換CMCの塩と同義である。ポリアクリルアミド系樹脂としては、例えば、カチオン性又はアニオン性ポリアクリルアミド(PAM)が挙げられる。これらの乾燥紙力増強剤の中でも、特に高置換CMCは、紙力強度を向上させるため、有効である。
乾燥紙力増強剤の含有率は、湿潤紙力増強剤と同様の観点から、薄葉紙の全繊維状物の乾燥質量に対して、好ましくは0.01〜2.0質量%、更に好ましくは0.05〜1.0質量%である。
本発明の薄葉紙は、前述した、繊維状物(パルプ繊維、レーヨン繊維)、低置換CMC並びに湿潤及び乾燥紙力増強剤以外の他の成分を含んでいても良い。他の成分としては、例えば、タルク等の填料、染料、色顔料、抗菌剤、pH調整剤、歩留り向上剤、耐水化剤、消泡剤等の一般的に抄紙用原材料や添加物として使用されているものが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の薄葉紙は、公知の湿式抄紙法によって製造することができる。湿式抄紙法は、繊維状物の水分散液からなる紙料(スラリー)を調製する紙料調製工程と、紙料から繊維状物を抄いて繊維ウエブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程とを有するものである。抄紙工程は、通常、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等に分けられ、順次実施される。前述した低置換CMC、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等の添加剤は、通常、紙料調整工程において紙料に添加される。通常、低置換CMC、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤の順で紙料に添加するが、本発明における添加剤の添加順序はこれに制限されず、添加順序をこれとは逆にしても良く、各添加剤を同時に添加しても良い。湿式抄紙法は、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機又は丸網抄紙機等の抄紙機を用いて常法に従って実施することができる。本発明の薄葉紙は、通常、単層構造であり、湿式抄紙法で得られた1枚の繊維ウエブから構成される。
前記紙料調製工程において、紙料に低置換CMCを添加する場合、該紙料に高い剪断力を加えながら低置換CMCを添加することが好ましい。紙料に高い剪断力を加えない、通常の攪拌条件で低置換CMCを添加すると、特に、低置換CMCとして繊維状のものを用いた場合、添加された繊維状の低置換CMCは、紙料中においても添加前と同様に、繊維が絡まり束ねられた繊維束の状態を維持し易いため、パルプ繊維等の繊維状物や水との接着面積が少なくなり、低置換CMCの添加効果が十分に得られないおそれがある。これに対し、紙料に高い剪断力を加えながら繊維状の低置換CMCを添加すると、添加前の繊維束の状態から繊維状の低置換CMCが解きほぐされて紙料中に分散するため、低置換CMCの繊維状物や水との接着面積が多くなり、低置換CMCの添加効果が十分に得られるようになる。紙料に高い剪断力を加える方法としては、例えば、パルパー、離解機、叩解機等を用いて紙料を攪拌する方法が挙げられる。
また、このように、紙料に高い剪断力を加えながら繊維状の低置換CMCを該紙料に添加した場合、前記抄紙工程の前までに、添加された繊維状の低置換CMCを高度に膨潤させることが好ましい。ここで、高度に膨潤された状態とは、繊維状の低置換CMCの膨潤度が70〜100%である状態を意味する。紙料中において、繊維状の低置換CMCの膨潤度が斯かる範囲にあると、低置換CMCの比重が水に近くなるため、低置換CMCあるいはそれに吸着されたパルプ繊維等の繊維状物が紙料中に均一分散され易く、結果として薄葉紙の地合が良好となる。また、このような高膨潤度の繊維状の低置換CMCのうち、パルプ繊維等の繊維状物どうしの交点に存しているものは、前記抄紙工程において繊維ウエブのプレス等により潰されて接着面積が増加するため、薄葉紙の紙力強度の向上に寄与し、該交点以外の部分に存しているものは、薄葉紙の柔軟性の向上に寄与する。繊維状の低置換CMCを高度に膨潤させる方法としては、例えば、繊維状CMCの1質量%水溶液を調製して該繊維状CMCに水を十分に浸漬させ膨潤させた後、高剪断を加えながら攪拌しているパルパー中のパルプスラリーに該繊維状CMCを添加する方法が挙げられる。膨潤度は、次のようにして測定する。即ち、繊維状CMCをメッシュ袋に1g入れて1時間水に浸漬した後、遠心脱水機(700rpm×10分)で脱水後に測定した重量を膨潤度100%の値とし、測定するサンプルを同条件で脱水後の重量を、前記膨潤度100%の値で除して百部率で表した値をそのサンプルの膨潤度とする。
本発明の薄葉紙は、厚みの薄い吸収体のコアラップシートに適したものとする等の観点から、坪量を比較的低く設定しており、具体的には、坪量は10〜30g/m2であり、好ましくは12〜28g/m2、更に好ましくは15〜25g/m2である。坪量がこのように低いと紙力の低下が懸念されるが、本発明では、前述した薄葉紙の構成の採用により斯かる懸念を払拭している。薄葉紙の坪量が10g/m2未満では、紙力が著しく低下するおそれがあり、また、薄葉紙の坪量が30g/m2超では、薄葉紙が硬くなるおそれがある。
薄葉紙の坪量は、次のようにして測定される。JIS P8111の条件にてサンプル(薄葉紙)の調湿を行った後、サンプルから10cm四方(面積100cm2)の測定片を切り出し、該測定片の重量を少数点以下2桁の天秤にて測定し、その測定値を面積で除して該測定片の坪量を算出する。サンプルから切り出した10枚の測定片について、前記手順に従って坪量を算出し、それらの平均値をサンプルの坪量とする。
本発明の薄葉紙は、クレープ(ちりめん状のシワ)を有しており、そのクレープ率が5〜30%に設定されている。本発明の薄葉紙におけるクレープは、ドライヤパートにおけるヤンキードライヤ等から乾燥状態の繊維ウエブ(薄葉紙)をドクターナイフ等で剥離する際に生じる、ドライクレープであることが好ましい。クレープ率は、次のようにして測定される。
<クレープ率の測定方法>
測定対象の薄葉紙から長さ方向(薄葉紙の製造時の搬送方向、MD)に200mm、幅方向(MDに直交する方向、CD)に100mmの矩形形状を切り出してサンプルとする。この矩形形状のサンプルを10分間水中に浸漬した直後のMDの長さCを測定し、次式によりクレープ率を算出する。 クレープ率(%)={(C−200)/200}×100
例えば、10分間浸漬後のMDの長さCが220mmであった場合、前記式により算出される当該薄葉紙のクレープ率は10%である。
クレープを有する薄葉紙は、クレープを有しない薄葉紙に比して液透過性が高く、また、クレープ率が高くなるほど液透過性が高まる。但し、クレープ率が高くなると、強度特性(引張強度)は低下する傾向がある。本発明においては、斯かる知見に基づき、液透過性と強度特性とのバランスの観点から、薄葉紙のクレープ率を5〜30%、好ましくは5〜20%、更に好ましくは7〜15%としている。
前述した構成を有する本発明の薄葉紙の製造時の搬送方向(Machine Direction、略してMD)の乾燥引張強度は、好ましくは800cN/25mm以上、更に好ましくは800〜1500cN/25mmであり、MDに直交する方向(Cross machine Direction、略してCD)の乾燥引張強度は、好ましくは150cN/25mm以上、更に好ましくは150〜500cN/25mmである。また、本発明の薄葉紙のMDの湿潤引張強度は、好ましくは150cN/25mm以上、更に好ましくは150〜500cN/25mmであり、CDの湿潤引張強度は、好ましくは90cN/25mm以上、更に好ましくは90〜200cN/25mmである。乾燥引張強度及び湿潤引張強度がそれぞれ斯かる範囲にある薄葉紙は、実用上十分な強度を有しており、例えば該薄葉紙を、使い捨ておむつ等の吸収性物品における吸収性コアを被覆するコアラップシートに適用した場合には、吸収性物品の製造時及び使用時にコアラップシート(薄葉紙)が破れる等の不都合を起こし難い。乾燥引張強度及び湿潤引張強度はそれぞれ次のようにして測定される。
<乾燥引張強度の測定方法>
測定対象シート(薄葉紙)を室温23℃±2℃、相対湿度50%RH±2%の環境下で12時間放置して一定状態になるよう調湿する。調湿後のシートから、MDに150mm、CDに25mmの寸法の長方形形状を切り出し、この切り出された長方形形状をサンプルとする。このサンプルを、そのMDが引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1kN)のチャックに無張力で取り付ける。チャック間距離は100mmとする。サンプルを300mm/分の引張速度で引っ張り、サンプルが破断するまでの最大強度を測定する。測定は5回行い、これらの平均値をMDの乾燥引張強度とする。また、CDの乾燥引張強度は、調湿後のシートから、CDに150mm、MDに25mmの寸法の長方形形状を切り出してこれをサンプルとし、このサンプルを、そのCDが引張方向となるように引張試験機のチャックに無張力で取り付け、前記と同様の手順により、CDの乾燥引張強度を求める。
<湿潤引張強度の測定方法>
前記<乾燥引張強度の測定方法>と同様の手順で測定対象シート(薄葉紙)のサンプルを用意する。このサンプルを、そのMDが引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1kN)のチャックに無張力で取り付け、筆先が水で湿らされた筆の該筆先により、サンプルの一面に引張方向の全長に亘って約10mmの幅で水を塗布してサンプルを湿潤状態とした後、サンプルを300mm/分の引張速度で引っ張り、サンプルが破断するまでの最大強度を測定する。測定は5回行い、これらの平均値をMDの湿潤引張強度とする。また、CDの乾燥引張強度は、調湿後のシートから、CDに150mm、MDに25mmの寸法の長方形形状を切り出してこれをサンプルとし、このサンプルを、そのCDが引張方向となるように引張試験機のチャックに無張力で取り付け、前記と同様の手順により、CDの湿潤引張強度を求める。
また、本発明の薄葉紙のクレム吸水量は、好ましくは0.2g/30sec・15mm以上、更に好ましくは0.2〜0.3g/30sec・15mmである。薄葉紙のクレム吸水量が斯かる範囲にあることは、その内部に高空隙な構造が形成されていることによるところが大きく、その高空隙な構造の形成は、レーヨン繊維及び低置換CMCの使用によるところが大きい。クレム吸水量が斯かる範囲にある薄葉紙は、実用上十分な液拡散性を有しており、例えば該薄葉紙を、使い捨ておむつ等の吸収性物品における吸収性コアを被覆するコアラップシートに適用した場合には、尿等の体液をコアラップシートの下方に配置された吸収性コアに速やかに吸収させることが可能となり、液吸収性が向上する。クレム吸水量は、JIS P8141に規定する、紙のクレム法による吸水度試験方法に準じ、次のようにして測定される。
<クレム吸水量の測定方法>
測定対象シート(薄葉紙)を室温23℃±2℃、相対湿度50%RH±2%の環境下で12時間放置して一定状態になるよう調湿する。調湿後のシートから、MDに150mm、CDに15mmの寸法の長方形形状を切り出し、この切り出された長方形形状をサンプルとする。サンプルの一方の短辺から長手方向内方に5mm離間した位置に、該短辺と平行な直線(標線)を鉛筆で引く。そして、サンプルの長辺が垂直になるように該サンプルを電子天秤の下部に吊り下げ、この吊り下げ状態を保持したままで該サンプルを前記標線まで素早く測定液(生理食塩水)中に入れる。尚、サンプルは、前記標線(鉛筆で引いた直線)が前記測定液に近くなるように吊り下げる。そして、サンプルを測定液中に入れてから30秒後の該サンプルの重量増加分を電子天秤で測定し、その測定値をクレム吸水量(g/30sec.15mm)とする。クレム吸水量が多いほど高評価となる。尚、電子天秤には、市販の電子天秤データ取り込みソフト(商品名 RsCom Ver2.40:(株)エー・アンド・デイ社製)がインストールされたパーソナルコンピュータが電気的に接続されており、これによりサンプルの重量変化を記録することができる。
また、本発明の薄葉紙の液透過時間は、好ましくは0.5〜6秒、更に好ましくは1〜5秒である。液透過時間は、液透過速度の指標となるものであり、液透過時間が短いほど液透過速度が速いとみなされる。液透過時間が0.5秒未満では、液透過速度が速すぎて液拡散性の効果が十分に発現されないおそれがある。液透過時間が前記範囲にある薄葉紙は、液透過性に優れており、例えば該薄葉紙を、使い捨ておむつ等の吸収性物品における吸収性コアを被覆するコアラップシートに適用した場合には、尿等の排泄液を素早く透過させて吸収性コアに速やかに吸収させることが可能となり、吸収性物品の防漏性の向上が期待できる。液透過時間は、次のようにして測定される。
<液透過時間の測定方法>
図1に示すように、上下端が開口している内径35mmの2本の円筒91,92を、両円筒91,92の軸を致させて上下に配し、8cm四方の測定対象シートS(薄葉紙)を上下の円筒91,92間に挟み込む。このとき、上側の円筒91の下端及び下側の円筒92の上端に設けられた環状のフランジ部にクリップ93を嵌合させ、上下の円筒91,92を連結させることが好ましい。符号94は、円筒91,92の内径と同径同形状の貫通孔を有するゴム製等のパッキンである。このように、上下の円筒91,92で測定対象シートS(薄葉紙)を挟持固定した状態で、上側の円筒91内に、図1中符合Wで示す生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9質量%の水溶液)を40g供給する。供給された生理食塩水は、測定対象シートS(薄葉紙)を透過して下側の円筒92内に移行する。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水が下側の円筒92内に完全に移行するまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
また、本発明の薄葉紙の曲げ剛性値は、好ましくは20〜60cN、更に好ましくは30〜50cNである。曲げ剛性値が高いほど、当該薄葉紙は硬く変形し難いことを示す。本発明の薄葉紙の曲げ剛性値が斯かる範囲にあることは、低置換CMCの使用によるところが大きく、曲げ剛性値が斯かる範囲にあることにより、本発明の薄葉紙は柔軟性が高く曲げ易いという特性を有する。曲げ剛性値が斯かる範囲にあり柔軟性が高い薄葉紙は、特に、使い捨ておむつ等の吸収性物品における吸収性コアを被覆するコアラップシートとして有用である。曲げ剛性値は、次のようにして測定される。
<曲げ剛性値の測定方法>
JIS L1096(一般織物試験方法)に規定された剛軟性測定法に適合した(株)大栄科学精器製作所製:ハンドロメーター試験機を使用する。スロット間を20mmに調整した試料台上に、200mm×200mmの矩形形状の試験片(薄葉紙)のMD方向に該試験片の長手方向中央がスロット間の中心に位置するようにして、水平に配置する。試験片の四隅を粘着テープで試料台に固定する。試料台の表面から7mm下方の位置(最下位置)まで下降するように調整したブレードを、試験片の上方から一定速度:200mm/minで下降させ、ブレードで該試験片を押圧したときの指示計(荷重計)が示す最高値(cN)を読み取る。測定は5回行い、その平均値を算出して曲げ剛性値とする。測定は室温23±2℃、相対湿度50%RH±5%で実施する。
本発明の薄葉紙は、強度特性(引張強度)が良好で液透過性及び液拡散性に優れ、更には柔軟性にも優れており、そのような特長が活かされる種々の用途に好適である。特に、本発明の薄葉紙は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、液保持性の吸収性コアを被覆するコアラップシートとして好適であり、排泄液が、尿等の比較的低粘性の場合のみならず、軟便等の比較的高粘性の場合であっても、排泄液を素早く透過・拡散させて吸収性コアに吸収させることができ、吸収性物品の防漏性の向上に寄与し得る。
本発明の薄葉紙を用いた本発明の吸収性物品の一例として、吸収性コア及びこれを被覆するコアラップシートを含んで構成される吸収性物品であって、該コアラップシートが、前述した本発明の薄葉紙であるものが挙げられる。より具体的には、本発明の吸収性物品は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する液不透過性ないし撥水性の裏面シート、及びこれら両シート間に配置された液保持性の吸収体を具備し、該吸収体が、前記吸収性コア及び前記コアラップシート(本発明の薄葉紙)を含んで構成されている。前記コアラップシート(本発明の薄葉紙)は、少なくとも前記吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面を被覆することが好ましい。尚、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。前記表面シート、前記裏面シート及び前記吸収性コアとしては、それぞれ、この種の吸収性物品において通常用いられているものを特に制限無く用いることができる。本発明の吸収性物品は、展開型あるいはパンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等に適用できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
NBKP(Cariboo Pulp and Paper Company製、商品名「Cariboo」)を水中に均一に分散させて、繊維濃度2質量%のスラリーを調製し、このスラリーを叩解機にかけて、NBKPのフリーネスを650mlに調整した後、このスラリーにレーヨン繊維を、パルプ繊維(NBKP)とレーヨン繊維との比が80/20になるよう投入し、更に、低置換CMC(粉末状)をスラリー中の全繊維の乾燥質量に対して0.2質量%投入して、十分攪拌した。更に、このスラリーを希釈しながら、湿潤紙力増強剤としてPAE(星光PMC株式会社製、商品名「WS4030」)を、スラリー中の全繊維の乾燥質量に対して0.78質量%投入し、各成分が均一になるように十分に撹拌し、固形分濃度0.2質量%のスラリーに調整した。こうして得られたスラリーを、ワイヤー目開き径90μm(166メッシュ)の金網抄紙ワイヤー上に散布し、金網抄紙ワイヤー上に紙層を形成させ、サクションボックスを用いて6ml/(cm2・sec)の速度で該紙層を脱水した後、該紙層をドライヤで乾燥させ、乾燥面からドクターブレードで紙層をはがしながら、ドライヤと巻き取りの速比をつけてクレープを付与した。こうして得られた単層構造の薄葉紙(クレープ紙)を実施例1のサンプルとした。
〔実施例2〜5及び比較例1〜3〕
組成等を下記表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして単層構造の薄葉紙(クレープ紙)、それらを実施例2〜5及び比較例1〜3のサンプルとした。尚、繊維状の低置換CMCを用いた場合、前述したように、紙料調製工程において紙料に高い剪断力を加えながら繊維状の低置換CMCを添加する共に、抄紙工程の前までに、添加された繊維状の低置換CMCの膨潤度が70〜100%となるようにした。下記表1中、繊維状物の欄における数値(質量%)は、薄葉紙中の全繊維状物に占める当該繊維状物の割合(質量基準)を意味し、繊維状物以外の成分の欄における数値(質量%)は、薄葉紙中の繊維状物に対する当該成分の割合(質量基準)を意味する。また、下記表1中の各成分の詳細は次の通り。
・パルプ繊維No.1:フリーネス650mlのNBKP。
・パルプ繊維No.2:フリーネス740ml(未叩解)のNBKP。
・パルプ繊維No.3:フリーネス500mlのNBKP。
・レーヨン繊維No.1:(ダイワボウレーヨン株式会社製 商品名「コロナ SBA」、繊度1.9dtex、繊維長5mm、繊維断面形状はY字形状」)。
・レーヨン繊維No.2:(ダイワボウレーヨン株式会社製 商品名「コロナ SBA」、繊度7.8dtex、繊維長8mm、繊維断面形状はY字形状」)。
・レーヨン繊維No.3:(ダイワボウレーヨン株式会社製 商品名「コロナ SB」、繊度2.2dtex、繊維長5mm、繊維断面形状は円形状」)。
・改質セルロース繊維:(米国ウェアーハウザー社製 商品名「HBA」)。
・低置換CMC(粉末状):(日本製紙ケミカル株式会社製 商品名「サンローズSLD−F1」、エーテル化度0.28、平均粒径50〜60μm)。
・低置換CMC(繊維状):(ニチリン化学工業株式会社製 商品名「キッコレートLD−A」、エーテル化度0.45、平均繊維長1.36mm)。
・高置換CMC:(第一工業製薬株式会社製 商品名「セロゲンWS−C」、エーテル化度0.65)。
・湿潤紙力増強剤:PAE(星光PMC株式会社製、商品名「WS4030」)。
・CMC以外の乾燥紙力増強剤:PVA(クラレ株式会社製、商品名「VPB107−1」)。
Figure 0005806571
〔評価〕
実施例及び比較例の各サンプル(薄葉紙)について、乾燥引張強度、湿潤引張強度、クレム吸水量、液透過時間、曲げ剛性値を前記方法によって測定した。それらの結果を下記表2に示す。
Figure 0005806571
表2に示す通り、実施例1〜5の薄葉紙は、十分な引張強度を有していることから、強度特性が良好であり、また、液透過時間が短く、クレム吸水量が高いことから、液透過性及び液拡散性に優れ、更には、曲げ剛性値が低いことから、柔軟性が高く曲げ易いものであることがわかる。それに対して、比較例1と3の薄葉紙は、クレム吸水量が低く且つ曲げ剛性値が高いことから、実施例1〜5の薄葉紙に比べて、液透過性及び液拡散性並びに柔軟性に劣るものであることがわかる。また、比較例2の薄葉紙は、実施例1〜5の薄葉紙に比べて、強度特性が低い薄葉紙であることがわかる。強度特性が良好で液透過性及び液拡散性並びに柔軟性に優れた薄葉紙を得るためには、本発明のように、パルプ繊維及び湿潤紙力増強剤に加えて、レーヨン繊維及び低置換CMCを必須成分とすることが重要であることが明らかである。

Claims (6)

  1. パルプ繊維及びレーヨン繊維を含む繊維状物と、エーテル化度0.2〜0.6のカルボキシメチルセルロース又はその塩と、湿潤紙力増強剤とを含有し、坪量が10〜30g/m2、クレープ率が5〜30%である薄葉紙。
  2. 前記パルプ繊維のフリーネスが300〜700mlである請求項1記載の薄葉紙。
  3. 前記レーヨン繊維の繊維断面形状が円形状又はY字形状である請求項1又は2記載の薄葉紙。
  4. 前記レーヨン繊維の繊度が0.8〜6dtex、繊維長が1〜20mmである請求項1〜3の何れか一項に記載の薄葉紙。
  5. 前記パルプ繊維と前記レーヨン繊維との含有比率が質量基準でパルプ繊維/レーヨン繊維=95/5〜50/50である請求項1〜4の何れか一項に記載の薄葉紙。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の薄葉紙を用いた吸収性物品。
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