JP2016168336A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
従って、おむつ等の着用者や周辺の家族、介護者の衛生面や介護施設や病院等における労働環境を快適にし、さらに来客等も気持ちよく迎えるためにも、悪臭に対する発生抑制性能は吸収性物品にとって欠くことができない。このような悪臭発生の抑制に関する技術がこれまでいくつか提案されてきた(例えば、特許文献1〜3など)。
尿による腐敗臭は多種多様な臭いの複合臭からなる。排泄間もない初期の尿臭自体は、体調や個人差はあるものの通常は不快な臭いを発するものでなく、菌の作用によって不快な腐敗臭を発するようになると考えられている。例えば、介護施設や病院、在宅の介護等において、おむつ等の着用者の入浴の機会が少ない場合や陰部の清拭が十分でない場合、肌常在菌や便由来の大腸菌などの腸内細菌が着用者の肌や表面シートに残っている場合などはこれらの細菌が尿に作用する。具体的には、菌と尿とが接触すると、菌由来の酵素が尿中に含有される尿素やタンパク質、グルクロン酸抱合体等の臭いの前駆体を分解し、p−クレゾール等の臭い成分が液中に発生することとなる。この臭い成分が揮発して尿の腐敗臭として感じる。このようなp−クレゾール等の臭い成分の抑制には、肌常在菌や腸内細菌の増殖を抑制する生物学的な対応が有効である。
本発明は、上記の点に鑑み、高い消臭性能と着用者の肌への刺激の低減との両立を実現する吸収性物品に関する。
表面シート1は、肌触りが良く液透過性の部材からなる。例えば、親水性のエアスルー不織布などが挙げられる。裏面シート2は、吸収体3の非肌当接面側で液漏れを防ぐ観点から、液難透過性の素材からなる。例えば、液不透過性の多孔性フィルム等を用いて形成されたものなどが挙げられる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有することが好ましい。該液難透過性とは、液を透過させにくい性質を意味し、防水性、撥水性及び液不透過性を含む。
このように本実施形態の吸収体3は、上層吸収部31と下層吸収部32との2層構造である。
本発明においては、吸収体は、図2に示す実施形態の2層構造に限らず、1層からなるものでも、3層以上からなるものでもよい。1層からなる場合の吸収体の上部とは、該吸収体の厚みの上部側の半分を意味する。3層以上である場合は、最も肌面側にある吸収部が吸収体全体の上部となる。また、前述の貫通孔がないものであってもよく、貫通孔がある場合でも、その数や形状は物品の使用目的等により適宜変更できる。ここで、製品から分析する場合は、表面シートを除去し、表面シート下のコアラップシートまたは吸収性コアの上部側の半分を「上部」する。
(1)HMパターン
溶剤、コールドスプレーなどにより各材料を分解し、カーボンシート、印刷用ブラックトナー粉をかけて、HMパターンを着色する。
(2)製品中の生物学的消臭剤(後述の各消臭・抗菌剤)が含まれている箇所の特定
X−Glucuronide試薬(β−グルクロニダーゼ活性検出反応試薬)200mmpを細菌に含ませた人尿を分解した各材料に入れる。
36℃環境下に保存し、6時間経過後、生物学的消臭剤が存在しないなら青く染色され、生物学的消臭剤があるところは染色されない。
(3)含まれている剤の特定
菌剤の種類にもよるが、蛍光X線による金属原子の分析、ESCA等の通常用いられる方法により元素の濃度や化学状態を分析する。
物理的消臭剤が活性炭である場合には、含有坪量はヨウ素吸着法を利用して測定する。薄葉紙を湿式分解し、既知量のヨウ素溶液中に浸し、活性炭にヨウ素を吸着させ、吸着しないで残ったヨウ素量をチオ硫酸ナトリウムで滴定して求めることで、活性炭が吸着したヨウ素量を求め、活性炭量とヨウ素吸着量との検量線から、薄葉紙中の活性炭の坪量を換算して求める。
また、物理的消臭剤が銀担持ポリマー粒子である場合には、含有坪量は予め粒子の金属とポリマー量の比率が分かっている場合には、薄葉紙に含まれる金属量から銀担持ポリマー粒子の坪量を換算して求める。尚、薄葉紙に含まれる金属の量は、薄葉紙を湿式分解し、ICP発光分析装置で金属の量を測定して求める。
また、物理的消臭剤がアルミノ珪酸塩のような無機物の場合は、薄葉紙を焼成し、灰分から換算して求める。
有機系抗菌剤の具体例としては、ピロクトンオラミン[1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリドンモノエタノールアミン塩](商品名:オクトピロックス)、オレイン酸K、1-ペンタスルホン酸Na、1-デカンスルホン酸Na、ブチルナフタレンスルホン酸Na、ドデシル硫酸Na、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、およびヘキサデシル硫酸Na等の陰イオン界面活性剤、セチルリン酸ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等の陽イオン界面活性剤、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロカルバン、トリクロサン、ハロカルバン及びパラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
これらの抗菌性物質は単独で用いても、又は2種以上を混合して用いてもよい。特に、抗菌効果と吸収性能の観点から、ピロクトンオラミン、セチルリン酸ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウム塩型の界面活性剤が好ましく、とりわけ、ピロクトンオラミン、セチルリン酸ベンザルコニウムが好ましい。
特に、大環状ケトン、グルクロン酸より誘導されるラクトン化合物であるD−グルカロ−1,4−ラクトンや、アセグラトン、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸等のD−グルカロ−1,4−ラクトン類縁体;リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール等のリゾリン脂質;バイカリン等の生薬成分より見出された天然のグルクロン酸抱合体;オウゴン、ゴバイシ、チョウジ、クチナシ、シコン、シャクヤク、エンメイソウ、カミツレ、ツボクサ、コンフリー、アマチャ、カンゾウ、センブリ、冬虫夏草、チンピ、イラクサ、ハマメリス等のβ−グルクロニダーゼ阻害作用を有する植物若しくは菌類又はその抽出物が挙げられる。とりわけ、8−シクロヘキサデセン−1−オン(Symrise社製品名;グロバノン)、D−グルクロン酸6,3−ラクトン(グルクロノラクトン)が好ましい。
上述のとおり、生物学的消臭剤の尿等への分散及び溶解の観点から、生物学的消臭剤は、吸収体3の表面シート1側の上部において構成繊維の空間に強固に保持されすぎないことが好ましい。生物学的消臭剤を吸収体3の上部への含有させる方法は、吸収体の上部を構成する吸水性ポリマー、親水性繊維、コアラップシートなどに生物学的消臭剤を付着、保持させることなどがある。
また、生物学的消臭剤の含有量は、使用する剤により、抗菌効果と肌へ刺激を与える強さは異なるため一概に決められないが、効果が高いピロクトンオラミン、セチルリン酸ベンザルコニウムを使用した場合、吸収体3の上部の質量に対して、殺菌作用の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい。また、その上限は、尿等の透過性を阻害しない観点、生物学的消臭剤による肌への刺激を抑える観点から、5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
具体的には、吸収体3の前後端部(縁)36の封止手段8としては、例えば、図3(A)や(B)に示されるようなものが挙げられる。図3(A)の吸収体3の端部断面に示されるように、ホットメルト接着剤を吸収体3の前後端部(縁)36及びその近傍に塗工してなる封止手段81がある。また、図3(B)の吸収体3の端部断面に示されるように、吸収体3の前後端部(縁)36及びその近傍を強圧縮により、親水性繊維5A等の構成繊維を圧縮固化して樹脂化し、一体化してなる封止手段82などがある。
一方、吸収体3の両側端部(縁)37の封止手段8としては、例えば、図3(A)に示した封止手段81と同様のものを用いることができる(図3(C)参照)。またこれ以外に、両側端部(縁)37の封止手段8としては、図2に示すように撥水性のサイドシート4による封止手段がある。具体的には、サイドシート4が、吸収体3の側縁より幅方向内側で表面シート1と接合され、さらに吸収体3の側縁を覆って液難透過性の裏面シート2と接合されることで形成される封止手段である(なお、図2ではサイドシート4と吸収体側縁近傍の表面シート1と裏面シート2を接合するホットメルト接着剤は省略されて、記入していない。)。サイドシート4が吸収体3の側縁を覆うことで、後述するような、着用者の横向きに等の姿勢での体圧による液の染み出し及びそれによる生物学的消臭剤の肌への接触を防止できる。さらに、図3(A)の封止手段81と併用しても良い。撥水性シートは、スパンボンド法により作られた不織布やスパンボンド不織布間にメルトブローン層を積層したスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド不織布が好ましい。特に、繊維密度が高いことによる液の滲み出し防止効果の大きいスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド不織布が好ましい。
まず液の流れとして、矢印101のように排泄された尿等は、表面シート1から透過されて吸収体3に到着すると、前述のとおり吸収体3の上部にある生物学的消臭剤を取り込みながら、吸収保持される。その後、時間の経過とともに、排泄量や排泄回数などによって、生物学的消臭剤を含む尿等が矢印102のように吸収体3の前後端部36及び両側端部37へと拡散する。これは、特に、臥位になる機会の多い要介護者などに尿とりパッド10が使用される場合に顕著である。第1に、要介護者の場合、一般的には排尿速度が健常者に比べて早くないことが影響する。すなわち、排尿速度が遅いことで尿等が表面シート1上を流れ漏れるよりも、一旦吸収体3内部に入って生物学的消臭剤を取り込んでから吸収体3内部で拡散することが多い。第2に、身体的機能の低下等により横になる時間が長いと、仰向けや横向きの状態が長くなることが影響する。すなわち、仰向けの状態で背側Rの端部36に液が寄りやすく、横向きの状態で側部37に液が寄りやすい。そのため、なおさら液は前後端部36や両側端部37に集まりやすい。その結果、前後端部36や両側端部37において、該端部での容量を越えて液が集まると、吸収体3の外へと滲み出し、生物学的消臭剤の肌への接触となってしまう。
これに対しては、第1に、吸収体3内の下部(下層吸収性コア52)に集積する尿等は、新たな生物学的消臭剤との接触なしに、または該接触が抑えられて、親水性繊維5Aや吸水性ポリマー5Bをフィルターにして徐々に生物学的消臭剤の濃度を適度に低下させながら拡散する。この濃度低下は肌に触れたときの刺激低減にもつながり得るもので、前述した生物学的消臭剤の配置による作用と言える。第2に、前述の封止手段81が吸収体3の縁を封止しているので、前後端部36及び両側端部37に集まった尿等の外部への染み出しは封じられ、生物学的消臭剤の肌との接触を物理的に阻止する。
このように、生物学的消臭剤の前述の特定配置と封止手段81の配置とにより、尿とりパッド10においては、着用者の肌への刺激の低減が図られる。しかも、細菌を含む尿等は、表面シート1からの液透過経路で確実に生物学的消臭剤を取り込んでいるので、長時間の装着でも高い消臭能が発揮される。また、ホットメルト接着剤による封止手段81は、揮発する臭い成分の外部への拡散を抑制できる。
しかし、尿とりパッド10において、封止手段8、例えばストライプ状ホットメルト接着剤塗工や吸収体端部圧縮、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド不織布による被覆を用いると、該封止手段の配設部分において、通気性が抑制されることとなる。十分な、通気状態にない吸収体では、酸素の供給が不足するために好気性であり悪臭の主な原因である大腸菌等の細菌の増殖が抑制される。
すなわち、生物学的消臭剤の吸収体上部配置により排泄液が吸収体上部を通って吸収体を拡散し、吸収されるので、確実に排泄液に生物学的消臭剤が存在するようにでき、細菌の発生を抑制し、悪臭の発生を予防できる。これに、封止手段を吸収体端部及び両側端部に設けることにより、生物学的消臭剤を含む体液を吸収体端部から滲み出すことを防止して、肌への刺激を低減する。さらに、排泄液が吸収体端部に到達して吸収体端部が細菌が発生しやすい環境になっても、封止手段により細菌が増殖に必要な酸素供給を阻害することにより悪臭発生を防止できる。
また、配置される線状ホットメルト部96の合計幅の、吸収体3の幅に対する比は、生物学的消臭剤の滲み出し防止の観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましい。その上限は、この部分での剛性の高まりを抑え柔らかさと通気性を確保する観点から、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましい。
また、線状ホットメルト部96の肌面36A上にある部分96Aの長さは、端部近傍の吸収体から表面材への尿等の滲み出し防止の観点から、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、20mm以上が更に好ましい。その上限は、塗工部の硬化及び排尿部近傍になるほど表面シートを尿等の液が流れる可能性があるので吸収性能の観点から、150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、70mm以下が更に好ましい。
このように線状ホットメルト部97が、幅方向に複数本、間欠的に配されることで、尿等及び該尿等に含まれる生物学的消臭剤を段階的に封止する。このとき、尿等の幅方向への拡散過程で、両側端部37近傍の形状の異なる上層吸収部31及び下層吸収部32の液吸収力を活用して尿等を段階的に吸収保持する。これにより、両側端部37及びその近傍での、液吸収容量の局所的な飽和状態を回避して、液戻りや滲み出し圧力を緩和することができる。また、前記の間欠配置により完全に封止しないことで、前述した細菌の増殖抑制とのバランスを保ちつつ、通気口を適度に確保し、吸収体3全体の吸収性能を活用するための、尿等の適度な内部拡散を可能にする。
また、配置される線状ホットメルト部97の幅は、生物学的消臭剤の滲み出し防止の観点から、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、1.0mm以上がさらに好ましい。その上限は、この部分での剛性の高まりを抑え柔らかさと通気性を確保する観点から、4.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.0mm以下がさらに好ましい。
すなわち、被覆層におけるホットメルト接着剤が塗布された部分と塗布されていない部分とから、それぞれ同面積のサンプルを切り出し、両サンプルの質量差を測定し、その質量差をサンプル面積で除して算出する。
吸収体3の前後端部36及びその近傍において、上層吸収部31及び下層吸収部32を合わせて上下方向から、一対のプレスロールで1Pa以上の圧力をかけて強圧縮する。これにより、この部分の繊維等が樹脂化、一体化され、繊維間の網目空間が塞がれる。その結果、この部分での尿等の浸透ができなくなり、端部からの生物学的消臭剤の滲み出しが防止される。この強圧縮は、吸収体3の前後端部36の全域を一律になされてもよく、幅方向に間欠的になされてもよい。ただし、吸収体3の前後端部36幅方向に間欠的に強圧縮を施すと、明確な凹凸形状が形成されるため、装着感が損なわれるため、全域を一律に加工するのが好ましい。
吸水性ポリマー5B表面への生物学的消臭剤の付着は、上層コアラップシート61への含有配置に代えて、またはこれと組み合わせてなされてもよい。
尿等へ分散または溶解した生物学的消臭剤は、吸収体上部に存在する生物学的消臭剤と接触して活性度を弱められた細菌に対して効果を発揮する程度であり、肌の刺激に対しては、低減する効果として働く。
この組み合わせにおいて、肌への刺激は、物理的消臭剤については、金属イオンの溶出を防止すれば問題ない。化学的消臭剤については、肌に刺激を与える可能性がある場合は、肌に影響のない範囲の添加量において使用するようにする。すなわち、上記の組み合わせにより、それぞれの消臭剤を単独で用いる場合よりも各添加量を抑えて優れた消臭効果を得ることができる。
また、効果的に消臭された尿等は、吸収体3の最下層から徐々に吸収保持されていくので、前後端部36及び両側端部37への拡散速度を遅らせることができる。また、その拡散過程では、吸収体3の下層から移動して前後端部36及び両側端部37へ到着するまでの間に、親水性繊維5Aや吸水性ポリマー5Bによって尿中の生物学的消臭剤の濃度が低下する。このことが、前述のとおり、肌に触れたときの刺激低減にもつながる。
吸水性ポリマー5Bとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることがでる。吸水性ポリマーは、自重の20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
また、サイドシート4に配される弾性部材41には、この種の物品に用いられる通常の弾性部材を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、もしくはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。具体的に糸ゴムについては前述したような繊度のものが用いられる。
液透過性の表面シート、液難透過性の裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に介在配置された液保持性の吸収体を有し、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘って配される方向を長手方向、該長手方向と直交する方向を横方向とする吸収性物品であって、前記吸収体の、厚み方向における少なくとも前記表面シート側の上部に生物学的消臭剤が配されており、該吸収体には、その平面方向における、少なくとも長手方向の前後端部及び両側端部に封止手段が配設されている吸収性物品。
前記封止手段は、前記吸収体の平面視において、前記吸収体の前後端部より内側の肌面側から該前後端部を越えて外側まで延在して配置されている前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記封止手段は、前記吸収体の前後端部において、該吸収体の幅方向に複数を間欠的に配置されている前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記吸収体は吸収性コアと吸収体の最上面をなすコアラップシートとを有し、前記生物学的消臭剤が前記コアラップシートに含有されている前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記吸収体は吸水性ポリマーを含有しており、前記生物学的消臭剤が前記吸水性ポリマーの表面に付着している前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記吸収体は吸収性コアと吸収体の最上面をなすコアラップシートとを有し、該コアラップシートに、前記生物学的消臭剤に加えて、化学的消臭剤及び物理的消臭剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が含有されている前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記生物学的消臭剤は、有機系抗菌剤及び酵素阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記吸収体は吸収性コアと吸収体の最上面をなすコアラップシートとを有し、前記吸収性コアには、排尿部近傍に厚み方向に貫通する溝部が配設されている前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記生物学的消臭剤として、セチルリン酸ベンザルコニウムを含む前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記吸収体が上層吸収部と下層吸収部とを有し、該上層吸収部が上層コアラップシートを備えており、前記生物学的消臭剤がピロクトンオラミン又はセチルリン酸ベンザルコニウムであり、
前記生物学的消臭剤の含有量は、前記上層コアラップシートの質量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、その上限は、5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<11>
前記生物学的消臭剤がピロクトンオラミン又はセチルリン酸ベンザルコニウムであり、該生物学的消臭剤の含有量は、前記吸収体の上部の質量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、その上限は、5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記吸収体が上層吸収部と下層吸収部とを有し、該上層吸収部と下層吸収部とで両側端部の外周形状が相違しており、該上層吸収部及び下層吸収部の縁を塞ぐように前記封止手段を配設する前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記吸収体の両側端部が直線形状でなく、吸収体の幅方向に凹凸を有し、その凹凸に沿って封止手段81を配設する前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<14>
前記封止手段として、前記吸収体の平面視において、該吸収体の前後端部より内側近傍の肌面から該前後端部を越えて外側まで延在する線状ホットメルト部を幅方向に複数、間欠的に配置されている前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記線状ホットメルト部の幅方向における配置ピッチ(M1)は、各線状ホットメルト部の幅中央位置の間の長さとしてみると、7.0mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましく、5.0mm以下が更に好ましく、その下限は、この部分での剛性の高まりを抑え柔らかさと通気性を確保する観点から、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい、前記<14>に記載の吸収性物品。
<16>
前記線状ホットメルト部の合計幅の、前記吸収体の幅に対する比は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、その上限は、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましい、前記<14>又は<15>に記載の吸収性物品。
<17>
前記線状ホットメルト部の長さは、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、50mm以上が更に好ましく、その上限は、200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、100mm以下が更に好ましい、前記<14>〜<16>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<18>
前記線状ホットメルト部の、前記吸収体の肌面上にある部分の長さは、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、20mm以上が更に好ましく、その上限は、150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、70mm以下が更に好ましい、前記<14>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品。
図1に示す2層構造の吸収体を有する吸収性物品の試料S1を次の方法により作製した。
(1)まず、有機系抗菌剤であるピロクトンオラミンをエタノールに対して10wt%溶解させた溶液を、パルプ坪量16g/m2で抄き上げてプレスロールにより脱水された吸収紙に、スプレーにより吹き付け、ドライヤーで乾燥、クレープ加工を行って生物学的消臭剤を含ませた吸収紙(上層コアラップシート)を作製した。その際、ピロクトンオラミンの坪量0.32g/m2となるようにした。また、上記パルプ坪量の吸収紙でピロクトンオラミンを含有しないものを中間コアラップシート及び下層コアラップシートとして作製した。
(2)次いで、ラジアタパイン等比較的繊維系の大きいパルプを用いたパルプシートと、日本触媒株式会社製「アクアリックCA」(商品名)、SDPグローバル株式会社製「サンウェット」、「アクアパール」(商品名)等の吸水性ポリマーを用いて、パルプシートを粉砕機により粉砕して、メッシュ網上へ吸引した。パルプシートは粉砕され、解繊されたフラッフパルプとなり、メッシュ網上へ積繊された。フラッフパルプが吸引される途中に、ダクトを設けて、吸水性ポリマーを散布した。すると、フラッフパルプと吸水性ポリマーは絡まり、混合状態でメッシュ網上に積繊された。ただし、比重はフラッフパルプに対して吸水性ポリマーのほうが重いため、先に吸水性ポリマーが積繊される傾向にある。そのため、ダクト位置や形状により厚み方向に均一にフラッフパルプと吸水性ポリマーが混合されるように調節した。この方法で上層吸収性コアをパルプ165g/m2と吸水性ポリマー70g/m2、下層吸収性コアをパルプ230g/m2と吸水性ポリマー70g/m2を作製した。
(3)上層吸収性コア、下層吸収性コアをそれぞれ幅90mm、長さ125mmに切り取り、下層吸収部は15g/m2の吸収紙(中間コアラップシート及び下層コアラップシート)で下層吸収性コアの上下面を包み、上層吸収部は、上層吸収性コア上面に上記生物学的消臭剤を含ませた吸収紙(上層コアラップシート)を重ね、下面には15g/m2の吸収紙を重ねて作成した。各吸収紙の吸収性コアに重なる面には、スチレン系ホットメルトで幅20mmのスパイラルパターンで20g/m2を25mmピッチで塗工しておいた。
(4)三菱樹脂株式会社製の透湿フィルム「KTF」(商品名)坪量37g/m2の上にスチレン系ホットメルトを幅1mmに40g/m2を10mm間隔で塗工し、下層吸収部を重ねた。下層吸収部の上面にスチレン系ホットメルトで幅20mmのスパイラルパターンで20g/m2を25mmピッチで塗工して上層吸収部を重ねた。さらに上層吸収部の上面にスチレン系ホットメルトで幅20mmのスパイラルパターンで20g/m2を25mmピッチで塗工して親水化処理したポリエステル/ポリエチレン芯鞘構成の繊維を用いてエアスルー法で作成した20g/m2の表面シートを重ねて試料を作製した。サイズ幅90mm、長さ125mmに切り出して、評価用サンプル(試料S1)を作成した。
有機系抗菌剤であるピロクトンオラミンを上層吸収部の吸水性ポリマーの表面に吸水性ポリマーに対して質量比0.1%付着させ、上層吸収性コアの上面に重ねる吸収紙(上層コアラップシート)に生物学的消臭剤を含まない吸収紙を使用した以外は、実施例1と同様にして試料S2を得た。付着は、ピロクトンオラミンをエタノールに10質量%溶解した溶液を吸水性ポリマーに添加して十分な撹拌後、真空乾燥してエタノールを乾燥させた。付着量は、吸水性ポリマーに対して0.1質量%とした。
吸収体全体(上層吸収部及び下層吸収部)の吸水性ポリマーにピロクトンオラミンを付着させた以外は、実施例2と同様にして試料S3を得た。付着量は、吸水性ポリマーに対して0.1質量%とした。
実施例2の有機系抗菌剤ピロクトンオラミンに代えて、セチルリン酸ベンザルコニウムを用い、吸水性ポリマーの表面への有機系抗菌剤の付着量を吸水性ポリマーに対して重量比0.36%とした以外は、実施例2と同様にして試料S4を得た。
実施例2と同様の吸収体において、さらに上層吸収性コア上面に重ねる吸収紙(上層コアラップシート)に物理的消臭剤として無機多孔質粒子である亜鉛担持アルミノケイ酸塩を0.8g/m2含ませた以外は、実施例2と同様にして試料S5を得た。
実施例2の有機系抗菌剤ピロクトンオラミンのかわりに酵素阻害剤であるグロバノンを吸水性ポリマーに対して質量比1.5%含有させた以外は、実施例2と同様にして試料S6を得た。
実施例3と同様の吸収体において、上層吸収性コアの上面に重ねる上層コアラップシートとして、パルプ坪量16g/m2で抄き上げてプレスロールにより脱水された吸収紙に、さらに酵素阻害剤であるグロバノンをエタノールに2.0%溶解させた溶液を単位面積当たり(m2)、4.0g(上層コアラップシートに対する酵素阻害剤濃度0.5wt%)で滴下して作製したものを用いた以外は、実施例3と同様にして試料S7を得た。
実施例2と同様の吸収体において、上層吸収部ではなく、下層吸収部の吸水性ポリマーにピロクトンオラミンを付着させて試料C1を得た。付着量は、吸水性ポリマーに対して0.1質量%とした。
実施例1の試料S1で、ピロクトンオラミンを含有させないものを試料C2とした。
上記の各試料について、次の方法により、使用済みのものと同程度の臭いとなるように調製した。
(1)表面シート(各試料で用いたものと同様のもので別途作製したもの。)を水で濡らし、硬く絞る。この表面シートで肛門部周辺を清拭して、腸内細菌を採取した。拭き取った後の表面シートを数mlの人尿と一緒に袋にいれ、36℃環境下で12時間保持して細菌の増殖をおこなった。
(2)(1)の表面シート入りの人尿と100mlの人尿とを併せてビーカに投入した。
(3)前記ビーカ内の尿を各試料の最上面から50ml投入し、密閉容器に入れて36℃環境下で1時間保存した。また、これとは別に、各試料について、上記(1)〜(3)の工程を経て6時間保存したものを用意した。
(4)1時間保存したものと6時間保存したものについて、各試料の有する吸収体をそれぞれ長手方向3分割した中央部分で幅方向2分の1の部分を切り出した。次いで、環境省が定めた6段階臭気強度表示法に準ずる次の6段階評価に沿って、5名のモニターに臭気評価させた。
評価基準は次のとおりであり、上記5人のモニターによる評価結果平均したものは表1に示す通りであった。
0:においが無い。
1:においが有る。
2:尿特有のにおいがわかる。
3:尿特有のにおいが楽にわかる。
4:尿特有のにおいが強くわかる。
5:尿特有のにおいが激しくわかる。
臭いの基準の3を超えると硫黄臭が混じり腐敗を感じさせる臭いとなる。
花王株式会社製の尿とりパッド「リリーフ モレ安心パッド 一晩中ぐっすり」(商品名)から吸収体と取り外し、実施例1の試料S1で用いた2層構造の吸収体を組み込んだ。その際、吸収体3の封止手段として、図4(A−1)及び(B−1)に示す、前後端部36に対する塗工パターン91と両側端部37に対する塗工パターン92でホットメルト接着剤を塗工した。これにより、実施例8〜14の試料S8〜S14を得た。
実施例8においては、ストライプ・コータを用い、エンド塗工パターン91及びサイド塗工パターン92について、コート幅2.5mm、ピッチ3mmで塗工を行った。
実施例9においては、コート幅2.0mmとした以外は、実施例8と同様に行った。
実施例10においては、コート幅1.5mmとした以外は、実施例8と同様に行った。
実施例11においては、コート幅1.0mmとした以外は、実施例8と同様に行った。
実施例12においては、エンド塗工パターン91及びサイド塗工パターン92についてスパイラル塗工とし、密度を35g/m2とした。
実施例13においては、密度を40g/m2とした以外は、実施例12と同様に行った。
実施例14においては、密度を45g/m2とした以外は、実施例12と同様に行った。
実施例8における試料S7について、封止手段を設けないものとし、試料C3を得た。
(比較例4)
実施例8における試料S7について、封止手段を間欠塗工ではなく、幅方向に連続して全面塗工したものとし、試料C4を得た。
各試料(評価用サンプル)の表面シートの中央に生理食塩水150mlを注入し、10分放置後直径10cmより大きいJIS P 3801に規定される5種Cのろ紙10枚の重量を測定してサンプル表面シート上に重ね、幅10cm、長さ5cmのアクリル板をさらに上に重ね、アクリル板のうえに2.25kgの重りを置き2分加圧した。アクリル板を置く位置は、アクリル板の長さ方向の端部が吸収体後端部近傍に重なるように置き、ろ紙はアクリル板の中心とほぼ重なる位置に置く。加圧2分後のろ紙重量と測定前のろ紙重量差を生物学的消臭剤の肌への接触量とする。
JIS−P8117に準拠したガーレ式通気度測定器にて面積645mm2を空気100mlが通過する時間を通気度として測定した。測定サンプルは、坪量16g/m2の吸収紙を16枚重ね、さらにその上に表面シートと上面コアラップシートを重ねて作成した。
2 裏面シート
3 吸収体
31 上層吸収部
32 下層吸収部
5 吸収性コア
51 上層吸収性コア
52 下層吸収性コア
56 前後端部
57 両側端部
6 コアラップシート
61 上層コアラップシート
62 中間コアラップシート
63 下層コアラップシート
7 生物学的消臭剤
8 封止手段
81 (ホットメルトによる)封止手段
82 (強圧縮による)封止手段
91 エンド塗工パターン
92 サイド塗工パターン
96,97 線状ホットメルト部
10 尿とりパッド
Claims (8)
- 液透過性の表面シート、液難透過性の裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に介在配置された液保持性の吸収体を有し、着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘って配される方向を長手方向、該長手方向と直交する方向を横方向とする吸収性物品であって、前記吸収体の、厚み方向における少なくとも前記表面シート側の上部に生物学的消臭剤が配されており、該吸収体には、その平面方向における、少なくとも長手方向の前後端部及び両側端部に封止手段が配設されている吸収性物品。
- 前記封止手段は、前記吸収体の平面視において、前記吸収体の前後端部より内側の肌面側から該前後端部を越えて外側まで延在して配置されている請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記封止手段は、前記吸収体の前後端部において、該吸収体の幅方向に複数を間欠的に配置されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は吸収性コアと吸収体の最上面をなすコアラップシートとを有し、前記生物学的消臭剤が前記コアラップシートに含有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は吸水性ポリマーを含有しており、前記生物学的消臭剤が前記吸水性ポリマーの表面に付着している請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は吸収性コアと吸収体の最上面をなすコアラップシートとを有し、該コアラップシートに、前記生物学的消臭剤に加えて、化学的消臭剤及び物理的消臭剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が含有されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記生物学的消臭剤は、有機系抗菌剤及び酵素阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体は吸収性コアと吸収体の最上面をなすコアラップシートとを有し、前記吸収性コアには、股下部に厚み方向に貫通する溝部が配設されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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