JP4597226B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。
一般に、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品は、使用後に排泄物の付着面が内側となるように丸め若しくは折り畳み、サニタリーボックスやおむつ保管容器等の密閉性の高い保管容器に入れて一時保管し、容器内の貯留量がある程度に達したらゴミ袋に入れて廃棄するといった使用形態がとられている。使用後の吸収性物品からは排泄物の強い臭気が発生し、使用者に不快感をもたらす。特に、保管容器内には使用済みの吸収性物品がある程度の期間(我が国の場合、吸収性物品は燃えるゴミとなるため、少なくとも燃えるゴミの回収間隔、例えば1日、2日)保管されるため、保管容器内には強い臭気が充満しており、保管容器の開閉時に使用者に強い不快感をもたらす。このため、使用後の排泄物の臭気を抑制するべく、ゼオライトを含む消臭シートをトップシートの内側に配置すること(特許文献1)や、吸収体を包むクレープ紙に消臭剤を含有させること(特許文献2)等が提案されている。
特開2001−046423号公報 特開2000−350745号公報
しかしながら、これら先行技術においては、保管容器内において使用済みの吸収性物品から放出され、容器内に充満した臭気に対しては消臭効果が乏しいという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、保管容器内に充満した臭気に対しても効果的に消臭効果を発揮しうる吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記液不透過性シートの裏面を覆う外装シートと、前記液不透過性シートと前記外装シートとの間に設けられた、臭気との接触により消臭効果を発揮するシート状消臭部材とを備えた、吸収性物品であって、
前記外装シートのうち前記消臭部材における消臭機能を有する部分の少なくとも一部と重なる被覆部分の周縁全体に、又は周縁の一部を除く部分にミシン目が設けられており、このミシン目を切り離して前記被覆部分を捲ることにより前記消臭部材が外部に露出するように構成されている、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本発明では、使用後にミシン目を切り離し、少なくとも一部が消臭部材における消臭機能を有する部分と重なる被覆部分を捲ることにより、消臭部材を外部に露出させることができる。よって、この状態で保管容器に入れることにより、消臭部材が保管容器内に充満した臭気と直に接触するようになるため、より効果的に消臭を図ることができる。
<請求項2記載の発明>
前記消臭部材は、シート基材にインクによる印刷を施してなる印刷シートであり、且つ前記シート基材に、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子がインクを接着手段として接着されてなるものである、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子は、液体で濡れた状態になると細孔が液体で満たされてしまい、臭気分子を取り込めなくなる。よって、従来のように、排泄物の液分の移動経路及び吸収保持部に消臭粒子を設けても、使用量の割には使用後の消臭効果が乏しくなってしまう。これに対して、液不透過性シートの裏面側に消臭粒子が位置すると、消臭粒子の細孔が排泄物の液分により満たされてしまうことがないため、使用後であっても十分な消臭効果が発揮される。なお、消臭粒子の細孔にインクの溶剤等が入ったとしても、インクが乾燥した後には細孔が復活(賦活化)するため、インクの影響による消臭効果の低減は殆ど無い。また、このような消臭部材は、既存設備を用いて容易に製造することができるという利点もある。
<請求項3記載の発明>
前記消臭粒子は、平均粒径が0.1〜10μmで、前記印刷シートの消臭粒子を有する部分における単位面積当たりの消臭粒子含有量が0.01g/m2以上である、請求項2記載の吸収性物品。
(作用効果)
上記印刷シートからなる消臭部材を採用する場合、このような平均粒径の消臭粒子を印刷シートに十分に密に含有させるのが好ましい。なお、本発明における平均粒径とは、JIS K 1474−2007に規定されるメジアン径を意味する。
<請求項4記載の発明>
前記シート基材が、通気性を有する繊維集合体である、請求項2又は3記載の吸収性物品。
(作用効果)
上記印刷シートからなる消臭部材を採用する場合、印刷シートのシート基材が通気性を有する繊維集合体であると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから臭気と消臭粒子との接触確率が向上する。本発明の消臭粒子は物理吸着によるものであるため、消臭効率を向上させるためには、シート基材はこのような特性を有しているのが好ましい。
<請求項5記載の発明>
股間部と、股間部の後側に延在する背側部分と、股間部の前側に延在する腹側部分とを有し、前記液不透過性シート及び外装シートが前記背側部分から股間部を通り腹側部分までを覆うように設けられるとともに、表面シートが内側になるとともに腹側部分が内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定する固定手段が背側部分に設けられている使い捨ておむつであって、少なくとも前記背側部分に前記消臭部材が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
吸収性物品の中でも特に使い捨ておむつは、廃棄時には表面シートが内側になるとともに腹側部分が内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定され廃棄される形態が広く採用されている。このような廃棄形態においては、表面シートに付着した排泄物や吸収体により吸収した排泄物から発生する臭気は背側部分を通り外部に放出される。よって、本発明の印刷シートを臭気の通り道である背側部分に設けることによって、より効果的に消臭効果が発揮される。また、丸めた若しくは折り畳んだ廃棄形態において、消臭粒子を有する消臭部材がより外側に近く位置するため、例えば保管容器内の臭気等、当該物品の外部に存在する臭気に対しても消臭効果が効果的に発揮される利点もある。
<請求項6記載の発明>
前記ミシン目は、前記被覆部分の周縁の一部がその外側に対する連続部分として残りつつ、それ以外の部分がジグザグ状又は螺旋状に切り離されるように形成されるとともに、切り離した部分の先端部に前記固定手段が設けられている、請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
消臭部材を露出するためのミシン目を、このような構造とすることによって、消臭部材を露出させることができるだけでなく、ミシン目により切り離して形成される長尺部分を、丸めた又は折り畳んだ使用済み物品の周囲に巻き付けて固定手段により止着することにより丸めた又は折り畳んだ状態で固定することができるようになる。従って、従来のような長尺状の後処理テープを設けることなしに、物品を丸め若しくは折り畳んだ状態で固定して廃棄することができ、それと同時に消臭部材を露出させることができるため、物品の使用後の処理が簡便になる。
<請求項7記載の発明>
前記ミシン目として、前記被覆部分の周縁のウエスト側端部がそのウエスト側の部分に対する連続部分として残りつつ、それ以外の部分が第1の切り起し部分として切り起されるように形成された第1のミシン目と、この第1の切り起し部分内で、股間側端部がその股間側の部分に対する連続部分として残りつつ、そのウエスト側の部分が第2の切り起し部分として切り起されるように形成された第2のミシン目とを有するとともに、
前記第2の切り起し部分に前記固定手段が設けられている、請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
消臭部材を露出するためのミシン目を、このような構造とすることによって、第1及び第2のミシン目を切り離して、第1及び第2の切り起し部分を捲り起すことにより、消臭部材を露出させることができるだけでなく、外装シート12から延出する第1の切り起し部分及びこれから延出する第2の切り起し部分からなる長尺部分を、丸めた又は折り畳んだ使用済み物品の周囲に巻き付けて固定手段により止着することにより丸めた又は折り畳んだ状態で固定することができるようになる。従って、従来のような長尺状の後処理テープを設けることなしに、物品を丸め若しくは折り畳んだ状態で固定して廃棄することができ、それと同時に消臭部材を露出させることができるため、物品の使用後の処理が簡便になる。
以上のとおり、本発明によれば、保管容器内に充満した臭気に対しても効果的に消臭効果を発揮しうる吸収性物品となる、等の利点がもたらされる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図10は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。このパンツ型使い捨ておむつは、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シートの内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、本発明の本体部に相当するものである。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立するバリヤーカフス60を示している。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
バリヤーカフス60を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11とバリヤーカフス60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及びバリヤーカフス60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態のバリヤーカフス60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、バリヤーカフス60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。バリヤーカフス60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通り表面シート30の側部表面まで延在し且つこの表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示のように、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
バリヤーカフス60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
バリヤーカフス60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成されたバリヤーカフス60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍においてバリヤーカフス60が幅方向外側に開くように起立するため、バリヤーカフス60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
バリヤーカフス60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、バリヤーカフス60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側においてバリヤーカフスを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する腹側部分Fと、股間部から背側に延在する背側部分Bとを有し、これら腹側部分Fの両側部と背側部分Bの両側部とが接合されて、図8及び図9に示すように、装着者の胴を通すための胴開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における腹側部分のウエスト端縁から背側部分のウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が腹側部分F及び背側部分Bをそれぞれ意味する。
外装シート12は、胴開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴周り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲として定まる中間部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト側端部」Wと「胴周り下部」Uとに分けることができる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト側端部Wは15〜40mm、胴周り下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図10に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることもできるが、図17に示すように、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めるのが好ましい。
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体20のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
シート基材12S,12Hとしては、シート基材であれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインを製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、背側部分B及び腹側部分Fのウエスト端部(上端部)Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17,18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18のうち、胴周り下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性伸縮部材17,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えばウエスト側端部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、腹側部分F及び背側部分Bの胴周り下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材15,19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、腹側部分F及び背側部分Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
中間部Lの細長状弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
なお、図示のように、胴回り下部U及び中間部Lの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがないため好ましい。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。もちろん細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、胴回り下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
また、細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
(後処理テープ)
外装シート12の背側部分Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けられている。後処理テープ70は、おむつを表面シート30が内側になるとともに腹側部分Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は基端部が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この固定部よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が接着剤(図中には点模様で示されている)により剥離可能に固定(仮固定)されている。後処理テープ70は、廃棄時には、おむつを表面シート30が内側になるとともに腹側部分Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつの背側部分Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
図示しないが、所謂テープ式使い捨ておむつは、身体にあてがった状態で、背側部分の両側部から突出する止着テープを腹側外面に止着することにより装着を行い、使用後は、止着テープを一旦腹側外面から取り外しした後に、腹側部分と背側部分とを重ねて腹側部分が内側となるように股間部側から丸め若しくは折り畳み、しかる後、背側部分の両側部の止着テープを丸めた若しくは折り畳んだおむつの両側から回しこみ外面に固定する。よって、テープ式使い捨ておむつの場合にはこの止着テープが固定手段となる。
なお、後処理テープ70等の固定手段は、腹側部分Fに設けてもよく、背側部分Bと腹側部分Fの両方に設けてもよい。
(印刷シート)
液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。図示例の印刷シート25は、腹側部分F及び背側部分Bに個別に設けられているが、腹側部分Fから股間部を通り背側部分Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましいが、不織布を用いる場合は平滑性が高く印刷しやすいもの、紙を用いる場合は強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。印刷シート25のシート基材が通気性を有する繊維集合体であると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから後述する消臭粒子と臭気との接触確率が向上し、消臭効率が向上するため好ましい。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、後述するように印刷シート25に消臭機能を持たせる場合には十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅25Xは吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さ25Yは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
(シート状消臭部材)
液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、臭気との接触により消臭効果を発揮するシート状消臭部材が設けられる。このシート状消臭部材としては、上記印刷シート25とは別の専用部材、例えば平坦な袋内や2枚のシート間に消臭粒子等の消臭剤を封入したものや、消臭機能を有する物質をシート状に形成したもの、あるいは不織布の原料樹脂に消臭粒子等の消臭剤を混合したもの等を用いることもできる。しかし、液不透過性シート11と外装シート12との間には、印刷によりデザインの施された印刷シート25を設けることが従来から行われているため、この印刷シート25に消臭部材としての機能を併せ持たせるのが好ましい。図示例もこの形態を採用するものであり、印刷シート25は印刷が施されたシートであるだけでなく、シート状消臭部材でもある。
印刷シート25に消臭機能を付加する手法としては、種々考えられるが、印刷シート25のシート基材に、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子を、インクを接着手段として接着するのが好ましい。印刷シート25のうち消臭粒子が付着する部分が消臭機能を有する部分となる。印刷シート25が設けられた部位は液不透過性シート11の裏面側に位置するため、使用後(吸収後)であっても消臭粒子の細孔が排泄物の液分により満たされてしまうことがなく、使用量に見合った消臭効果が発揮される。なお、消臭粒子の細孔にインクの溶剤等が入ったとしても、インクが乾燥した後には細孔が復活(賦活化)するため、インクの影響による消臭効果の低減は殆ど無い。また、後述する製造方法からも判るとおり、既存設備を用いて容易に製造することができるという利点もある。
消臭粒子としては、多孔質の細孔で臭気分子を物理吸着(表面吸着)するものであれば、物理吸着のみを行うものでも化学吸着機能を併せ持つものでも特に限定されないが、インクにより接着し易いように、また異物感をもたらさないように、平均粒径(JIS K 1474−2007に規定されるメジアン径)が通常0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1.5〜3.0μmのものを用いる。平均粒径が小さ過ぎると取り扱いが困難となり、平均粒径が大き過ぎると表面積の減少により消臭効果が低下する。ゼオライトのような多孔質粒子の細孔径は、表面積の観点から、通常1〜10オングストローム、特に3〜10オングストロームであるのが好ましい。細孔径が大き過ぎると表面積減少により効果が低下し、小さすぎると分子径の大きな臭気発生物質の吸着能が低下する。同様に、嵩密度/真密度は0.1〜0.3程度が好ましい。このような多孔質消臭粒子は、特に吸収性物品の廃棄時に問題となる臭気成分、具体的にはアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸等の吸着性能に優れる点で好ましい。また、上記のような消臭粒子を用いる場合、印刷シートの消臭粒子を有する部分における単位面積当たりの消臭粒子含有量が0.01g/m2以上、特に0.05〜0.5g/m2程度であるのが好ましい。
消臭粒子の構成物質は活性炭、ゼオライト等、公知の多孔質粒子を用いることができる。ゼオライトとしては、天然および合成ゼオライトのどちらも用いることができるが、コストおよび入手安定性の観点から合成ゼオライトが好ましい。ゼオライトは、三次元骨格構造をもつアルミノシリケートであり、一般式M2/n0・・Na2O・Al23・2.5SiO2・xH2Oで表されるものを好適に用いることができる。式中のxは結晶水の数を表す整数である。Mは陽イオンであり、陽イオンMとしては、銀イオンおよび亜鉛イオンを含むものが好適である。他の陽イオンの種類としては、アルカリ金属( ナトリウムイオン、カリウムイオン) 、アルカリ土類金属( カルシウムイオン、マグネシウムイオン) 、アンモニウムイオンなどが挙げられる。上式中のnは陽イオンの原子価である。ゼオライトの具体例としては、例えばA型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、T型ゼオライト、高シリカゼオライトなどが挙げられ、消臭効果が優れるという点でA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびY型ゼオライトが好ましく、なかでもA型ゼオライトが特に好ましい。
吸収性物品には衛生的であることが求められるため、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)も好適である。このようなゼオライト粒子の市販品としては(株)シナネンゼオミック社のゼオミック(登録商標)を例示することができる。また銀イオンを含む消臭粒子は、硫化水素やメチルメルカプタン等の硫黄系の臭気成分を化学吸着することができ、より優れた消臭効果が発揮される。
消臭粒子に銀イオンが含有されている場合、湿度、太陽光、蛍光、Noxなどで黄色く変色するおそれがある。よって、消臭粒子として、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子を用いる場合、次の(イ)〜(ハ)の少なくとも一つの構成を採用するのが好ましい。
(イ)印刷シート25における単位面積当たりの銀イオンの含有量を0.3mg/m2以下に抑える。これにより、変色の程度を抑えることができる。
(ロ)消臭粒子の接着手段としてのインクに黄色のインクを用いる。これにより、変色を目立ち難くすることができる。
(ハ)印刷シート25のシート基材のJIS K7105に規定される全光線透過率が50%以下、特に40%以下とし、液不透過性シート11側面にのみ消臭粒子を付着させる。これにより、変色が製品外面からは目立ち難くなる。(ハ)の場合は、シートの目付けや地合いの調整により全光線透過率を低く抑えてもよいが、白色その他のインクを全面に印刷(下地印刷)することで全光線透過率を下げてもよい。
消臭部材たる印刷シート25は、図示例のように少なくとも背側部分Bに設けられているのが好ましい。本例の使い捨ておむつでは、背側部分Bに後処理テープ70が設けられており、廃棄時には前述のように表面シート30が内側になるとともに腹側部分Fが内側となるように丸めた若しくは折り畳んだ状態で固定される。このような廃棄形態では、表面シート30に付着した排泄物や吸収体56により吸収した排泄物から発生する臭気は背側部分Bを通り外部に放出される過程で、背側部分Bに設けられた印刷シート25と接触するため、より効果的に消臭効果が発揮される。また、丸めた若しくは折り畳んだ廃棄形態において、消臭粒子を有する印刷シート25がより外側に近く位置するため、外部に存在する臭気に対しても消臭効果が効果的に発揮される利点もある。従って、消臭粒子を含有する印刷シート25は後処理テープ70等の固定手段と同じ側に設けられるのが好ましく、図示例とは逆に腹側部分Fに固定手段が設けられている場合には、印刷シート25も腹側部分Fに設けられているのが好ましい。
印刷シート(消臭部材)25は、その表面側に位置するシートである液不透過性シート11、及び裏面側に位置するシートである外装シート12に対してそれぞれ接着されている。図中の符号25Bは接着剤の塗布部分を示している。これらシート11,12に対する接着形態は適宜定めれば良いが、液不透過性シート11に対しては印刷シート25の少なくとも一部が離間して空間を形成するように、接着面積が印刷シート25の面積の0〜70%程度、特に0〜20%程度となるように間欠的に接着するのが好ましい。具体的には、接着剤の塗布部分25Bを縞状(複数条平行に設ける形態、図6形態では横縞状)や格子状等にして非塗布部分25Uを形成する。このように、印刷シート25とその吸収体56側に位置する液不透過性シート11との間に非塗布部分を設けることで、液不透過性シート11と印刷シート25との間に一時的に臭気を保持する空間を形成し、液不透過性シート11側からの臭気を効率良く印刷シート25に接触させることができるようになり、消臭効果を高めることが可能となる。なお、接着剤の塗布部分25Bには、カーテンスプレー、サミットスプレー、スパイラルスプレー等の塗布方式を用い、互いに交差する多数の繊維状あるいは糸状の接着剤により実質的に面状の塗布パターンを形成するのが好ましい。このような接着剤の塗布パターンは、接着面積が広いために接着強度に優れるとともに、繊維状あるいは糸状の接着剤同士の間は通気が妨げられないため、物品の通気性が大きく低下することがない。このような塗布パターンにおける接着剤の塗布目付けは、通常2〜8g/m2程度であり、繊維状あるいは糸状の接着剤1本の太さは0.02〜1mm程度である。
一方、外装シート12に対しては印刷シートがほぼ密着するように、接着面積が印刷シート25の面積の80〜100%程度と成るように密に接着するのが好ましい。印刷シート25とその外面側に位置する外装シート12とを密に接着することで、当該物品の外部に存在する臭気に対しても消臭効果が効果的に発揮される。従って、外装シート12と印刷シート25との接着においても、カーテンスプレー、サミットスプレー、スパイラルスプレー等の塗布方式が好適である。ただし、外装シート12のうち後述する被覆部分13と重なる部分に関しては、印刷シート(消臭部材)25とに対しては剥離可能に接着するか又は非接着(図示例)とし、被覆部分13と重ならない部分に対しては容易に剥離できないように強く接着するのが好ましい。
他方、上記印刷シートからなる消臭部材を採用する場合、おむつの製造に際して、印刷シート25のインクが乾燥する前にインク付着面に消臭粒子を散布することも可能であるが、付着効率や付着力が不十分になり易く、連続製造には不向きである。よって、消臭粒子を混合したインクを用いて印刷シート25のシート基材に印刷を施し、得られた印刷シート25を液不透過性シート11と外装シート12との間における所定部位に設ける手法を提案する。単なるデザイン印刷を施しただけの(消臭粒子を含まない)印刷シートを液不透過性シート11と外装シート12との間に設けることは従来から行われているため、その際のデザイン用インクあるいはデザインとは別の専用インクに消臭粒子を混合することによって、デザインを犠牲にすることなく、既存の設備を用いて極めて容易に製造することができる。
この場合、消臭粒子を混合したインクを用いて印刷シート25の基材の表裏少なくとも一方の面にデザイン印刷を兼ねた消臭印刷を施しても良く、また、印刷シート25の基材の表裏少なくとも一方の面にデザイン印刷を施すとともに、このデザインの印刷インクとは別のインク(色は透明または半透明であることが好ましい)に消臭粒子を混合したものを用いて印刷シート25の基材の表裏少なくとも一方の面に消臭印刷を施しても良い。もちろん両者を組み合わせても良い。前者の場合、デザイン(柄等)印刷の形態により消臭粒子の含有部位や量が制約を受けるが、後者の場合にはそのような制約が無い。デザイン印刷は、物品外部からのデザインの視認性を向上するため、印刷シート25の外装シート12側面に施すのが好ましい。一方、消臭粒子を含むインクによる消臭印刷は、液不透過性シート11側面に施すと、液不透過性シート11側からの臭気が効率よく消臭粒子と接触することができ、また消臭粒子を含むインクによる印刷とデザイン印刷とが干渉し合い、消臭効果やデザインの表現性を妨げることが無いため好ましい。しかし、逆に消臭粒子を含むインクによる消臭印刷を外装シート12側面に施すと、物品外部に存在する臭気に対する消臭効果がより一層のものとなるため好ましい。従って、消臭粒子を含むインクによる消臭印刷は、印刷シート25の両面に施してもよい。図10に、後者の場合におけるデザイン印刷部分25d及び消臭粒子含有インクによる印刷部分25z(以下、単に消臭粒子印刷部分ともいう)の組み合わせ例を示した。図10(a)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分25dを設けるとともに、表面(液不透過性シート11側面)の全体に消臭粒子印刷部分25zを設けたものであり、図10(b)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分25dを設けるとともに、表面(液不透過性シート11側面)に消臭粒子印刷部分25zを横縞状に設けたものであり、図10(c)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分を25d設けるとともに、表面(液不透過性シート11側面)に消臭粒子印刷部分25zを格子状に設けたものである。また、図10(d)及び(e)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分25dを設けるとともに、同じ面におけるデザイン印刷部分25d以外の部分(図示例では周縁部)に消臭粒子印刷部分25zを設けたものである。特に図10(b)や図10(c)の例のように、デザイン印刷部分25dと重なるように消臭粒子印刷部分25zを特定のパターンで設ける場合においては、消臭粒子を混合するインクは透明または半透明であることが好ましい。
(消臭部材露出用のミシン目)
特徴的には、外装シート12のうち印刷シート(消臭部材)25の略全体と重なる矩形状の被覆部分13の周縁全体に周方向に沿うミシン目12Mが設けられており、このミシン目12Mを切り離して被覆部分13を捲り取り去ることにより印刷シート(消臭部材)25が外部に露出するように構成されている。
被覆部分12Mは印刷シート(消臭部材)25の一部と重なるだけでも良い。また、被覆部分13の全体が印刷シート(消臭部材)25と重なる部位に位置していても、被覆部分13の一部又は全部が印刷シート(消臭部材)25と重なる領域から食み出していても良い。
被覆部分13の寸法・形状は特に限定されないが、被覆部分13を捲ったときに消臭部材たる印刷シート25がより広く露出するのが好ましい。また、被覆部分13を捲ったときに印刷シート25の周縁が露出すると見栄えが悪いため、被覆部分13の周縁は印刷シート25の周縁の内側に位置しているのが好ましい。具体的には、被覆部分13の幅13Xは印刷シート(消臭部材)25の幅25Xの幅の50%以上であるのが好ましく、被覆部分13の長さ13Yは印刷シート(消臭部材)25の長さ25Yの50%以上であり、被覆部分13が印刷シート25の面積の50%以上を含むのが好ましい。また、被覆部分13の形状は印刷シート25と略同じ形状であることが好ましく、印刷シート25が矩形である図示例の形態では被覆部分13の形状も矩形であるのが好ましいが、印刷シート(消臭部材)25の形状と合わせる必要は必ずしも無く、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状としても良く、若しくはデザイン印刷の周囲に沿う形状等としても良い。
図示のように、被覆部分13全体を外装シート12から取り去る形態において、後処理テープ70を設ける場合には、後処理テープ70の基端部を被覆部分13以外の部分、例えば被覆部分13のウエスト側近傍に固定するのが好ましい。
かくして構成された使い捨ておむつにおいては、図5に示すように、使用後にミシン目12Mを切り離して被覆部分13を取り去ることにより、消臭部材たる印刷シート25を外部に露出させることができる。よって、この状態で保管容器に入れることにより、印刷シート(消臭部材)25が保管容器内に充満した臭気と直に接触するようになるため、より効果的に消臭を図ることができる。
他方、上記例では被覆部分13全体が取り去られるように、被覆部分13の周縁全体にミシン目12Mが設けられているが、被覆部分13の周縁の一部は切り残し部としてミシン目を設けずにおき、被覆部分13を捲ったときに被覆部分13が外装シート12から分離しないように構成すると、細かなゴミが発生しないため好ましい。この形態において、後処理テープ70を設ける場合には、後処理テープ70の基端部を被覆部分13にミシン目12M近傍に、あるいはミシン目12Mと隣接して固定すると、後処理テープ70を剥離する動作に引き続きミシン目12Mを切り離すことができるようになるため好ましい。また、被覆部分13が長尺状の後処理テープの一部のように機能するため、従来のように後処理テープ70を長尺状に形成する必要が無く(三つ折りではなく二つ折りも好適に採用することができ)、また、物品を丸め若しくは折り畳んだ状態で固定すると同時に消臭部材を露出させることができるため、物品の使用後の処理が簡便になる。さらに、特にこの形態においては、被覆部分13の大きさと形状を、印刷シート(消臭部材)25とほぼ同じにあるいは印刷シート(消臭部材)25の全体を含むようにして、かつ液不透過性シート11と印刷シート25とを剥離可能に接着あるいは接着面積が印刷シート25の面積の0〜20%程度となるように接着し、外装シート12と印刷シート25とを強く接着するようにすれば、被覆部分13を捲ったときに被覆部分13と一緒に印刷シート25も捲れるようになるため、外部の臭気に対する消臭効果がより一層のものとなる。
また、消臭効果を高めるためには、消臭部材たる印刷シート25及び被覆部分13の面積は大きい方が望ましいが、上記例のように被覆部分13全体が取り去られる形態において被覆部分13の面積が大きくなると、後処理テープ70を設ける部位が減り、後処理テープ70の位置が不適切になることによる装着感の悪化や、後処理の困難化をもたらすおそれがある。
そこで、図11及び図12に示す形態も提案する。すなわち、同図に示す例は、ミシン目12Mが、被覆部分13の周縁の一部がその外側に対する連続部分13rとして残りつつ、それ以外の部分がジグザグ状に切り離されるように形成されるとともに、切り離した部分の先端部に後処理テープ70が設けられているものである。より詳細には、矩形状の被覆部分13のうち連続部分13rとなる部位と反対側の縁(図示例ではウエスト側縁)に沿って先端部ミシン目121が形成され、その両端から連続部分側にそれぞれ延在する(図示例では被覆部分の両側縁に沿って延在する)ように一対の側部ミシン目122が設けられ、各側部ミシン目122から対向する側部ミシン目に向かって延在する横ミシン目123が連続部分13rとなる部位側から先端部ミシン目121側に向って所定の間隔で平行且つ互い違いに形成され、先端部ミシン目121とこれに隣接する横ミシン目123との間の部分に、これらミシン目と平行に後処理テープ70が設けられている。
かくして構成されたミシン目121〜123を切り離すと、消臭部材たる印刷シート25を露出させることができるだけでなく、図12中に二点鎖線で示すように、被覆部分13をジグザグ状の長尺部分13Zとして外装シート12から突出し、この長尺部分13Zを、丸めた又は折り畳んだ使用済み物品の周囲に巻き付けるとともに、後処理テープ70を展開してその接着剤面を丸めた又は折り畳んだ状態の物品の外面に止着し、固定することができる。
なお、図示例では、ジグザグ状の長尺部分13Zが形成されるが、螺旋状の長尺部分が形成されるようなミシン目パターンを採用することもできる。
また、より安定した固定を可能にする形態として、図13及び図14に示す形態も提案する。すなわち、同図に示す例は、ミシン目12Mとして、被覆部分13の周縁のウエスト側端部がそのウエスト側の部分に対する連続部分131rとして残りつつ、それ以外の部分が第1の切り起し部分131として切り起されるように略U字状に形成された第1のミシン目131Mと、この第1の切り起し部分131内で、股間側端部がその股間側の部分に対する連続部分132rとして残りつつ、そのウエスト側の部分が第2の切り起し部分132として切り起されるように略逆U字状に形成された第2のミシン目132Mとを有するとともに、第2の切り起し部分132に後処理テープ70が設けられているものである。
この場合、第1及び第2のミシン目131M,132Mを切り離して、図14に二点鎖線で示すように、第1及び第2の切り起し部分131,132を捲り起すことにより、消臭部材たる印刷シート25を露出させることができるだけでなく、外装シート12から延出する第1の切り起し部分131及びこれから延出する第2の切り起し部分132からなる長尺部分13Qを、丸めた又は折り畳んだ使用済み物品の周囲に巻き付けるとともに、後処理テープ70を展開してその接着剤面を丸めた又は折り畳んだ状態の物品の外面に止着し、固定することができる。
これら図11〜図14に示す例においては、従来のような長尺状の後処理テープを設けることなしに、物品を丸め若しくは折り畳んだ状態で固定して廃棄することができ、それと同時に消臭部材を露出させることができるため、物品の使用後の処理が簡便になる。従って、物品外面に対する固定手段としては、図示例のような折り畳み式の後処理テープ70に代えて、他の固定手段、例えばメカニカルファスナー(面ファスナー)のフックテープや、粘着剤を長尺部分の先端部に直に設けることもできる。なお、フックテープや粘着剤を長尺部分の先端部に直に設ける場合は、外装シート12の外面側に設けても良いが、印刷シート25側に設けても良い。また、ミシン目を切り離した後に残る連続部分は後処理テープ70と外装シート12とを繋ぐ付根部分となり、使用済み物品を丸めた又は折り畳んだ状態固定したときに強い力が加わるものである。よって、外装シート12のうちミシン目を切り離した後に残る連続部分及びその近傍の部分を含む領域12Vにおける内側層12Hと外側層12Sとの接着を周囲よりも強くするのが好ましく、そのためには接着剤の塗布量を局所的に増量するのが好ましいが、接着剤の種類を変えても良い。
他方、外装シート12は製品外面を構成するものであるため、スパンボンド不織布等の比較的に強度の高い素材が好適であるが、強度の高い素材を用いた場合にミシン目12Mを一重で構成すると切り離しが困難となるおそれがある。よって、図15に示すように、隣接するミシン目12Mのカットcの位置及びタイtの位置がずれるようにミシン目を複数平行に設けてなる、いわゆる二重ミシン目や三重ミシン目を採用するのが好ましい。またその場合、外側(被覆部分13の中央側と反対側)のミシン目12Mにおけるカットピッチを内側(被覆部分13の中央側)の12Mものより長くするのが好ましい。
また、前述した弾性伸縮部材15,19,16,18の切断形態、すなわち内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態を採用する場合には、上記ミシン目12M、特に前後方向に延在するものを加工する際、ミシン目のカットを利用して細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の一部又は全部を切断することもできる。
(外装シート分割構造)
上述の例では、腹側部分Fから背側部分Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
本発明は、上記例のようなパンツ型使い捨ておむつに好適なものであるが、テープ式の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、吸収パッド等にも適用できるものである。
パンツ型使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の3−3断面図である。 図1の4−4断面図である。 図1の5−5断面図である。 パンツ型使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツ型使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。 製品状態の正面図である。 製品状態の背面図である。 各種印刷形態を示す印刷シートの平面図である。 他のパンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図11の6−6断面図である。 別のパンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図13の6−6断面図である。 ミシン目の拡大平面図である。
符号の説明
11…液不透過性シート、12…外装シート、12M…ミシン目、12r…折り返し部分、20…通気性補強シート、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート。

Claims (7)

  1. 液透過性表面シートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記液不透過性シートの裏面を覆う外装シートと、前記液不透過性シートと前記外装シートとの間に設けられた、臭気との接触により消臭効果を発揮するシート状消臭部材とを備えた、吸収性物品であって、
    前記外装シートのうち前記消臭部材における消臭機能を有する部分の少なくとも一部と重なる被覆部分の周縁全体に、又は周縁の一部を除く部分にミシン目が設けられており、このミシン目を切り離して前記被覆部分を捲ることにより前記消臭部材が外部に露出するように構成されている、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記消臭部材は、シート基材にインクによる印刷を施してなる印刷シートであり、且つ前記シート基材に、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子がインクを接着手段として接着されてなるものである、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記消臭粒子は、平均粒径が0.1〜10μmで、前記印刷シートの消臭粒子を有する部分における単位面積当たりの消臭粒子含有量が0.01g/m2以上である、請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記シート基材が、通気性を有する繊維集合体である、請求項2又は3記載の吸収性物品。
  5. 股間部と、股間部の後側に延在する背側部分と、股間部の前側に延在する腹側部分とを有し、前記液不透過性シート及び外装シートが前記背側部分から股間部を通り腹側部分までを覆うように設けられるとともに、表面シートが内側になるとともに腹側部分が内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定する固定手段が背側部分に設けられている使い捨ておむつであって、少なくとも前記背側部分に前記消臭部材が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記ミシン目は、前記被覆部分の周縁の一部がその外側に対する連続部分として残りつつ、それ以外の部分がジグザグ状又は螺旋状に切り離されるように形成されるとともに、切り離した部分の先端部に前記固定手段が設けられている、請求項5記載の吸収性物品。
  7. 前記ミシン目として、前記被覆部分の周縁のウエスト側端部がそのウエスト側の部分に対する連続部分として残りつつ、それ以外の部分が第1の切り起し部分として切り起されるように形成された第1のミシン目と、この第1の切り起し部分内で、股間側端部がその股間側の部分に対する連続部分として残りつつ、そのウエスト側の部分が第2の切り起し部分として切り起されるように形成された第2のミシン目とを有するとともに、
    前記第2の切り起し部分に前記固定手段が設けられている、請求項5記載の吸収性物品。
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