JP5596379B2 - パンツタイプ使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
一般的なパンツタイプ使い捨ておむつでは、前身頃の両側部と後身頃の両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されるとともに、装着者の胴を通すためのウエスト開口部及び脚を通すための左右一対の脚開口部がそれぞれ形成されており、また、前身頃及び後身頃のウエスト端部には胴回り方向に伸縮するウエスト部弾性伸縮部材が取り付けられている。ウエスト部弾性伸縮部材は装着者のウエストに対してウエスト開口部をフィットさせる役割を担うものである。
おむつのウエスト端部のフィット性は、おむつのずり落ちを防止することはもちろん、ウエスト開口部を介した排泄物の漏れを防止する点でも非常に重要である。このような観点から、ウエスト端部の縦方向幅を大きく拡張したもの(特許文献1)や、前身頃のウエスト端部を湾曲状にしたもの(特許文献2)も提案されている。
特開2006−43015号公報 特開2006−43068号公報 特開2003−305083号公報
しかし、これらのものは、装着者の体型や、満腹・空腹等のウエスト周りの変化に応じて、ウエストのフィット性を変えることができないという問題点を有していた。
そこで、本発明の主たる課題は、必要に応じてウエストのフィット性を変更可能とすることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃の両側部と後身頃の両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されるとともに、装着者の胴を通すためのウエスト開口部及び脚を通すための左右一対の脚開口部がそれぞれ形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方の身頃における胴回り部の内面又は外面に、身頃の幅方向両端部間にわたり連続し、且つ身頃を上側に拡張する帯状のウエスト拡張部が設けられており、
このウエスト拡張部は、幅方向両端部が身頃の両側部に対して接合されるとともに、これら幅方向両端部間に位置する本体部が身頃に対して非固定又は剥離可能に固定されており、且つこの本体部が幅方向に弾性伸縮するように構成されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、上述のようなウエスト拡張部を設けることにより、必要に応じて、ウエスト拡張部の本体部を両端部に対して引き上げる、或いは元に戻すことによって、装着者のウエストに対するフィット性を変更することができる。したがって、例えば、前身頃にウエスト拡張部を設けることによって、体型又は満腹により、装着者の腹囲が大きかったり、お腹が丸く張り出していたりする場合、ウエスト拡張部を引き上げてお腹を包むように拡張し、腹側におけるウエストに対するフィット性を向上することができる。また、例えば、後身頃にウエスト拡張部を設けることにより、臀部の膨らみが大きく、後身頃の幅方向中央部が両脇よりもずり落ちてしまうような場合に、ウエスト拡張部を引き上げて、背側におけるウエストに対するフィット性を向上することができる。さらに、その結果、ウエスト開口部を介した排泄物の漏れ防止効果も向上する。
<請求項2記載の発明>
前記ウエスト拡張部は、幅方向に沿う折り目により蛇腹状をなすように厚み方向に折り畳まれた状態で、その幅方向両端部では厚み方向全体が前記身頃の両側部に対して接合され、これら幅方向両端部間に位置する本体部では折り畳み部分が展開可能とされている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
ウエスト拡張部をこのような蛇腹状とすることにより、非拡張時の寸法をコンパクトにしつつ、拡張時の寸法を十分に大きくすることができるだけでなく、本体部がドーム状に拡張するため、ウエスト周りへのフィット性、特に丸いお腹の膨らみに対するフィット性に極めて優れるようになる。
<請求項3記載の発明>
前記ウエスト拡張部は、前記折り畳まれた状態で最も外側に位置する端部がウエスト側を向くように折り畳まれている、請求項2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように折り畳まれたウエスト拡張部は、引き上げて拡張したとき、先端部が肌面に沿う(肌に面的にフィットする)ようになり、装着感が悪化し難いだけでなく、隙間が発生し難く、元にも戻り難いため、好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記前身頃及び後身頃を構成する外装シートと、この外装シートの内面に取り付けられた内装体とを備えており、
前記内装体は、表面シートと、不透液性バックシートと、これらの間に介在された吸収要素とを有するものであり、
前記外装シートは、前記ウエスト拡張部を有する身頃に前記ウエスト開口部から股間側に折り返された折り返し部分を有しており、前記ウエスト拡張部はこの折り返し部分により形成されており、
前記身頃の両側部に対する前記ウエスト拡張部の両端部の接合は、前記サイドシール部の接合と一体的になされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような構造とすることにより、上述した特徴的な本発明のおむつを簡素且つ容易に製造することができる。
<請求項5記載の発明>
前記ウエスト拡張部は、前記前身頃の外面に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
前述したとおり、前身頃にウエスト拡張部を設けることによって、体型又は満腹により、装着者の腹囲が大きかったり、お腹が丸く張り出していたりする場合、ウエスト拡張部の本体部を引き上げてお腹を包むように拡張し、腹側におけるウエストに対するフィット性を向上することができる。特にこの際、本発明の拡張部は幅方向両端部が身頃に固定されており、その間の本体部がお腹の膨らみに沿って弧状に当接するため、乳幼児のように丸く張り出したお腹に対して優れたフィット性を発揮する。
また、お腹は膨らむ部分であるため、前身頃の内面にウエスト拡張部を設けると、ウエスト拡張部を拡張しないときにウエストの違和感が強くなるおそれがある。また、ウエスト拡張部は外面にあると、拡張の際に掴んで引き上げ易いという利点もある。よって、ウエスト拡張部は外面に設けるのが好ましい。
<請求項6記載の発明>
前記ウエスト拡張部は、前記後身頃の内面に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
前述したとおり、後身頃にウエスト拡張部を設けることにより、臀部の膨らみが大きく、後身頃の幅方向中央部が両脇よりもずり落ちてしまうような場合などに、ウエスト拡張部を引き上げて、背側におけるウエストに対するフィット性を向上することができる。
また、装着者のウエストのうち背側には凹部があり、この凹部と後身頃との隙間から漏れが発生することがある。よって、後身頃にウエスト拡張部を設ける場合、後身頃の内面に設けるのが好ましい。これにより、ウエスト拡張部は非拡張時においては後身頃と肌との隙間を埋める役割を担い、拡張時には後身頃よりも肌側に密着するようになり、背側におけるフィット性がより一層向上する。
以上のとおり、本発明によれば、必要に応じてウエストのフィット性を変更できるようになる、等の利点がもたらされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の3−3断面図である。 図1の4−4断面図である。 図1の5−5断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。 サイドシール部の縦断面図である。 ウエスト拡張部を拡張しない装着状態の側面図である。 ウエスト拡張部を拡張した装着状態の側面図である。 ウエスト拡張部を拡張した装着状態の正面図である。 ウエスト拡張部を別体とした形態の図1の5−5断面図である。 後身頃の内面にウエスト拡張部を設けた形態の内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図14の5−5断面図である。 後身頃の内面にウエスト拡張部を設けた形態のサイドシール部の縦断面図である。 後身頃の内面にウエスト拡張部を設けた形態の斜視図である。 後身頃の内面にウエスト拡張部を設けた形態の、ウエスト拡張部を拡張した装着状態の側面図である。 後身頃の内面にウエスト拡張部を設けた形態の、ウエスト拡張部を拡張した装着状態の正面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図10は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シートの内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。
なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向、換言すれば縦方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、不透液性バックシート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立するバリヤーカフス60を示している。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
バリヤーカフス60を設ける場合、表面シート30の両側部は、不透液性バックシート11とバリヤーカフス60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、不透液性バックシート11及びバリヤーカフス60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(不透液性バックシート)
不透液性バックシート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。不透液性バックシート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、不透液性バックシート11として用いることができる。
不透液性バックシート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、不透液性バックシート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態のバリヤーカフス60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、バリヤーカフス60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。バリヤーカフス60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通り表面シート30の側部表面まで延在し且つこの表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示のように、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
バリヤーカフス60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
バリヤーカフス60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、不透液性バックシート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成されたバリヤーカフス60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍においてバリヤーカフス60が幅方向外側に開くように起立するため、バリヤーカフス60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
バリヤーカフス60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、バリヤーカフス60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側においてバリヤーカフスを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fと、股間部から背側に延在する後身頃Bとを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されるとともに、図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。なお、前身頃F及び後身頃Bとは、後述のウエスト拡張部を除いた部分を意味する。また、股間部とは、後述のウエスト拡張部を拡張せずにおむつを展開した状態における、前身頃Fのウエスト端縁から後身頃Fのウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
外装シート12は、ウエスト開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴周り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲として定まる中間部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト端部」Wと「胴周り下部」Uとに分けることができる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト端部Wは15〜40mm、胴周り下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト端部W上までを被覆するように延在されている。
シート基材12S,12Hとしては、シート基材であれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインを製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト端部(上端部)Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17,18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18のうち、胴周り下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性伸縮部材17,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えばウエスト端部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、前身頃F及び後身頃Bの胴周り下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材15,19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
中間部Lの細長状弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
なお、図示のように、胴回り下部U及び中間部Lの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがないため好ましい。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。もちろん細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、胴回り下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
また、細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
(後処理テープ)
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100を表面シート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
廃棄時には、おむつ100を表面シート30が内側になるとともに前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつ100の後身頃Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
後処理テープ70等の固定手段は、前身頃Fに設けてもよく、後身頃Bと前身頃Fの両方に設けてもよい。
(印刷シート)
不透液性バックシート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。外装シート12を省略し、印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅は吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、デザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
(外装シート分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における不透液性バックシートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
(ウエスト拡張部)
特徴的には、前身頃Fの胴周り部Tの内面に、前身頃Fの幅方向両端部間にわたり連続する帯状のウエスト拡張部80が設けられている。ウエスト拡張部80は、幅方向両端部81が図9に斜線部分で示されるように身頃の両側部に対して接合され、これら幅方向両端部81間に位置する本体部82が図5に示されるように身頃に対して非固定又は剥離可能に固定されており、且つこの本体部82が幅方向に弾性伸縮するように構成されているものであり、必要に応じて、ウエスト拡張部80の本体部82を両端部81に対して引き上げる、或いは元に戻すことによって、装着者のウエストに対するフィット性を変更できるようになっている。
例えば、通常の体型又は通常の腹囲のときには図8及び図10に示すようにウエスト拡張部80を拡張せずに使用する。そして、体型又は満腹により、装着者の腹囲が大きかったり、お腹が丸く張り出していたりするときには、図11及び図12に示すように、ウエスト拡張部80の本体部82を引き上げてお腹を包むように拡張し、腹側におけるウエストに対するフィット性を向上することができる。特にこの際、本発明のウエスト拡張部80は幅方向両端部81が身頃Fに固定されており、その間の本体部82がお腹の膨らみに沿って弧状に当接するため、乳幼児のように丸く張り出したお腹に対して優れたフィット性を発揮する。さらに、その結果、ウエスト開口部WOを介した排泄物の漏れ防止効果も向上する。また、お腹は膨らむ部分であるため、前身頃Fの内面にウエスト拡張部80を設けると、ウエスト拡張部80を拡張しないときにウエストの違和感が強くなるおそれがある。また、ウエスト拡張部80は外面にあると、拡張の際に掴んで引き上げ易いという利点もある。よって、前身頃Fにウエスト拡張部80を設ける場合、図示例のように前身頃Fの外面に設けるのが好ましい。
ウエスト拡張部80を設ける部位は適宜定めることができ、ウエスト端部Wから胴周り下部Uにわたるように設けることもできるが、図示例のように、ウエスト端部Wの縦方向範囲内に収まるように設けるのが好ましい。
ウエスト拡張部80の形成手法は適宜定めることができるが、外装シート12の前身頃F(ウエスト拡張部80を有する身頃)の前後方向長さを延長し、その延長部分をウエスト開口部WOからおむつ外側に折り返して折り返し部分を設け、この折り返し部分により形成すると、簡素且つ容易に製造することができるため好ましい。図示例では、外装シート12における外側シート基材12Sの内側折り返し部分12rを内側シート基材12Hのウエスト側の縁よりも、ウエスト拡張部80の分だけ突出するように形成し、この突出部分をおむつ外側に折り返すことにより、ウエスト拡張部80が形成されている。
ウエスト拡張部80は、図13に示すように、外装シート12とは別体で形成した帯状部材を取り付けることにより形成することもでき、その場合、ウエスト拡張部80の本体部82は図示例のように外装シート12に連結し、外装シート12から連続する部分として形成する他、外装シート12に連結せずに、外装シート12から独立した自由部分とすることもできる。
ウエスト拡張部80は、折り畳まれていない一重の状態で取り付けられていても良いが、図示例のように、幅方向に沿う折り目により蛇腹状をなすように厚み方向に折り畳んだ状態で、その幅方向両端部81では厚み方向全体を前身頃Fの両側部に対して接合し、これらの間に位置する本体部82では折り畳み部分を展開可能とすると、図11及び図12に示すように、本体部82がドーム状に拡張し、ウエスト周りへのフィット性、特に丸いお腹の膨らみに対するフィット性に極めて優れるようになるため好ましい。もちろん、非拡張時の寸法をコンパクトにしつつ、拡張時の寸法を十分に大きくすることができる、という利点ももたらされる。なお、展開可能とは、折り重なる部分相互を非固定とする他、剥離可能に固定することも含む意味である。また、蛇腹状とは、折り目が複数となる形態だけでなく、図示例のように折り目が一つとなる二つ折りの形態も含むものである。
折り畳み方は、特に限定されないが、図示例のように、折り畳んだ状態で最も外側に位置する端部83の先端がウエスト側を向く形態が好ましい。このように折り畳まれたウエスト拡張部80は、図11及び図12に示すように、引き上げて拡張したとき、先端部83が肌面に沿う(肌に面的にフィットする)ようになり、装着感が悪化し難いだけでなく、隙間が発生し難く、元にも戻り難い。
ウエスト拡張部80の両端部81の身頃への接合は、サイドシール部12Aとは別に接着剤又は溶着により行っても良いが、図示例のようにサイドシール部12Aの接合と一体的に(換言すれば同時に)行うと、簡素且つ容易に製造することができるため好ましい。
ウエスト拡張部80の本体部82を幅方向に弾性伸縮可能とするためには、ウエスト拡張部80を伸縮性不織布等の弾性素材により形成する他、細長状(糸状、紐状、帯状等)や、網状、シート状等の拡張部弾性伸縮部材84を幅方向に伸長した状態で、ウエスト拡張部80を構成するシート、例えば図示例の場合は表裏一対のシート12S間にホットメルト接着剤等により固定することによって形成することができる。前者は、ウエスト拡張部80を別体とする場合に好適であり、後者は図示例のように外装シート12を延長してウエスト拡張部80を形成する場合はもちろん、ウエスト拡張部80を別体とする場合にも好適である。
図示例のように、ウエスト拡張部80を構成するシート12Sに拡張部弾性伸縮部材84を固定する場合、折り畳み状態のウエスト拡張部80のうち少なくとも最も外側に位置する部分83の先端部には拡張部弾性伸縮部材84を設けるのが好ましく、各折り目間の部分にも拡張部弾性伸縮部材84を設けるとより好ましい。拡張部弾性伸縮部材84の素材、太さ、本数、間隔、伸長率は、ウエスト部弾性伸縮部材17,18と同様とすることができる。
(その他)
図14〜図17に示すように、ウエスト拡張部80を後身頃Bの内面に設けるのも好ましい形態である。後身頃Bにウエスト拡張部80を設けることにより、臀部の膨らみが大きく、後身頃Bの幅方向中央部が両脇よりもずり落ちてしまうような場合などに、図18及び図19に示すように、ウエスト拡張部80を引き上げて、背側におけるウエストに対するフィット性を向上することができる。また、図示例のように、ウエスト拡張部80が後身頃Bの内面に設けられていると、ウエスト拡張部80が非拡張時においては後身頃Bと肌との隙間を埋める役割を担い、拡張時には後身頃Bよりも肌側に密着するようになり、背側におけるフィット性がより一層向上するため好ましい。なお、この後身頃Bの内面にウエスト拡張部80を設ける形態は、形成位置以外は、前述の前身頃F外面にウエスト拡張部80を設ける形態と同様の構成を採用することができる。
さらに、これらの例と異なり、ウエスト拡張部80を前身頃Fの内面に設けたり、後身頃Bの外面に設けたり、前身頃F及び後身頃Bの両方に設けたりすることも、もちろん可能である。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
11…不透液性バックシート、12…外装シート、12r…折り返し部分、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、70…後処理テープ、80…ウエスト拡張部、84…拡張部弾性伸縮部材。

Claims (6)

  1. 前身頃の両側部と後身頃の両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されるとともに、装着者の胴を通すためのウエスト開口部及び脚を通すための左右一対の脚開口部がそれぞれ形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
    前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方の身頃における胴回り部の内面又は外面に、身頃の幅方向両端部間にわたり連続し、且つ身頃を上側に拡張する帯状のウエスト拡張部が設けられており、
    このウエスト拡張部は、幅方向両端部が身頃の両側部に対して接合されるとともに、これら幅方向両端部間に位置する本体部が身頃に対して非固定又は剥離可能に固定されており、且つこの本体部が幅方向に弾性伸縮するように構成されている、
    ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
  2. 前記ウエスト拡張部は、幅方向に沿う折り目により蛇腹状をなすように厚み方向に折り畳まれた状態で、その幅方向両端部では厚み方向全体が前記身頃の両側部に対して接合され、これら幅方向両端部間に位置する本体部では折り畳み部分が展開可能とされている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  3. 前記ウエスト拡張部は、前記折り畳まれた状態で最も外側に位置する端部がウエスト側を向くように折り畳まれている、請求項2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  4. 前記前身頃及び後身頃を構成する外装シートと、この外装シートの内面に取り付けられた内装体とを備えており、
    前記内装体は、表面シートと、不透液性バックシートと、これらの間に介在された吸収要素とを有するものであり、
    前記外装シートは、前記ウエスト拡張部を有する身頃に前記ウエスト開口部から股間側に折り返された折り返し部分を有しており、前記ウエスト拡張部はこの折り返し部分により形成されており、
    前記身頃の両側部に対する前記ウエスト拡張部の両端部の接合は、前記サイドシール部の接合と一体的になされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  5. 前記ウエスト拡張部は、前記前身頃の外面に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  6. 前記ウエスト拡張部は、前記後身頃の内面に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
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