JP4187871B2 - ボール用皮革様シート - Google Patents
ボール用皮革様シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP4187871B2 JP4187871B2 JP13116399A JP13116399A JP4187871B2 JP 4187871 B2 JP4187871 B2 JP 4187871B2 JP 13116399 A JP13116399 A JP 13116399A JP 13116399 A JP13116399 A JP 13116399A JP 4187871 B2 JP4187871 B2 JP 4187871B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- porous
- leather
- fiber
- sheet
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、十分な機械強度を有し、吸汗性を有していることによるノンスリップ性に優れたボール用皮革様シートに関し、特にバスケットボール用やアメリカンフットボール用、ラグビー用、バレーボール用、野球用等に好適なボール用皮革様シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボール用の素材として、これまで数多くの皮革様シートが天然皮革の代替として提案されてきた。ボール用素材にはノンスリップ性が要求されるものが多いが、ノンスリップ性を有する皮革様シートを得る方法として、例えば、特公平7―30285号公報には、分子中に水酸基を有するポリウレタン樹脂、分子中に水酸基を有する液状ゴム、無機または有機充填剤、及びイソシアネートプレポリマーを配合した被膜用組成物をシート表面にコートする方法が、また実開昭63−197475公報には、不織布にゴム弾性を示す樹脂を含浸固化させ、そしてその中間層にてスライスする方法が、さらに特開昭63−152483号公報には、ゴム系素材にゼラチンを混入して加熱し発泡成形した後、その成形物の表面スキン層の一部を取り除き、そして表面のゼラチンを熱水にて除去して表面を多孔構造とする方法が、それぞれ提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の樹脂、充填剤、被膜用組成物をシート表面にコートする方法では、コートされる面は、手に発生する汗をある程度は吸収するものの、その吸収限度を超えるとその性能を発揮できないため、長時間の連続使用には適していない。また汗を吸収した樹脂等は、可塑化され当初の触感と異なるものとなり、連続使用に向かない。また、上記の不織布にゴム弾性を示す樹脂を含浸固化させてその中間層にてスライスする方法では、表面強度が低く、特にバスケットボール等のハードな使用には耐えない。さらに、上記の多孔構造を有する表面層をつくる方法では、これも機械強度が不足しており、使用に適さない。
【0004】
本発明の目的は、アメリカンフットボールやバスケットボール、ラグビーボール等の汗や雨水などの水分によるスリップを防止し、かつハンドリング性に優れ、十分な機械的強度を有するボール用皮革様シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するために本発明者らは研究を行い、その結果、十分な機械的強度を有し、汗や雨水等の水分を表面より吸収することでノンスリップ性を発揮し、かつハンドリング性に優れ、十分な機械的強度を有するボール用皮革様シートを提供することにある。すなわち、本発明は、繊維絡合体と該絡合体空間に存在する多孔質弾性体および浸透剤からなる多孔質基体層とその表面に形成された多孔質表面層からなり、該多孔質表面層の表面には、該多孔質表面層の内部に存在する気孔と連通し、さらに該多孔質基体層内の気孔や空間とも通じている平均直径5〜100μmのミクロホールが300〜10,000個/cm2存在しており、かつ該ミクロホールの内部には浸透剤が存在していることを特徴とするボール用皮革様シートである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される基体層としては、3次元絡合不織布の内部に弾性樹脂が含浸され、これが不織布内部に多孔質状態で存在しているものであり、かつ皮革様シートとして良好な厚みや風合いを有するシートであれば特に限定されるものではない。
【0007】
また、不織布を構成する繊維は特に限定されるものではなく、公知のセルロース系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維等が単独または混合使用される。しかし、より天然皮革に近い柔軟な風合いを実現できる0.3デニール以下、特に0.1デニール以下の極細繊維が好ましく用いられる。
このような極細繊維は、極細繊維発生型繊維から得られ、この極細繊維発生型繊維は、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマーを複合紡糸または混合紡糸し、この繊維から該ポリマーの少なくとも一成分を抽出除去又は分解除去、あるいは構成ポリマーの界面でポリマーを分割剥離することにより得られる。その代表的な繊維の形態はいわゆる海島型繊維と呼ばれるものであり、海成分ポリマーを抽出除去又は分解除去することにより極細繊維束が得られる。
【0008】
このような繊維の島成分ポリマーとしては、溶融紡糸可能で、強度等の繊維物性を十分に発揮するポリマーであって、紡糸条件下で海成分ポリマーより溶融粘度が大きく、かつ表面張力が大きいポリマーが好ましく、例えば6−ナイロン、66−ナイロン等のポリアミド系ポリマー、およびこれを主体とする共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、およびこれを主体とする共重合体等が好適に用いられる。
また海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶融粘度が低く、島成分との溶解性、分解性を異にし、海成分の溶解、除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解性が大きく、島成分との相溶性の小さいポリマーが好ましい。例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリスチレン、変性ポリエステルなどが好適に用いられる。
【0009】
繊度0.3デニール以下の極細繊維を好適に発生させる極細繊維発生型繊維、すなわち海島繊維の好適な海島体積比率は海/島=30/70〜70/30の範囲である。海成分が30%未満では溶剤または分解剤などで溶解または分解除去する成分が少なすぎて柔軟性が十分発現できず、海成分が70%を越える場合は、溶解または分解除去後の島成分からなる繊維の絶対量が少なく皮革様シートとしての充分な物性が確保できず、また溶解または分解除去する成分が多いことは生産性の観点からも不適切である。
【0010】
本発明を構成する3次元絡合不織布は、上記繊維を延伸し、捲縮を付与し、数cm長にカット後、カードで解繊し、ウェッバーを通してウェッブを形成し、得られた繊維ウェッブを所望の重さ、厚さに積層し、次いで、ニードルパンチ方法や高速水流絡合方法等の従来公知の絡合方法により得られる。
【0011】
このようにして得られた不織布に、次に高分子弾性体の溶液または分散液を含浸し、スポンジ状に凝固させる。高分子弾性体としては従来から皮革様シートの製造に用いられている弾性体樹脂が好適に用いられる。すなわち、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ゴム系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、およびこれらの共重合、これらの混合物等が好適である。これらの樹脂は水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液として前記不織布に含浸した後、湿式凝固等を行うことによりスポンジ状に凝固する。含浸させた高分子弾性体を多孔質状(スポンジ状)にすることにより、天然皮革に類似した物性および風合いが得られるとともに、ノンスリップ性の点においても優れたものとなる。
【0012】
該繊維絡合不織布に含浸する弾性重合体の代表例としては、例えば、平均分子量500〜3,000のポリエステルジオ−ル、ポリエ−テルジオ−ル、ポリエステルエ−テルジオ−ル、ポリラクトンジオ−ル、ポリカ−ボネ−トジオ−ルなどから選ばれた少なくとも1種類のポリマ−ジオ−ルと、トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−トなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系の有機ジイソシアネ−トなどから選ばれた少なくとも1種の有機ジイソシアネ−トと、ジオ−ル、ジアミン、ヒドロキシアミン、ヒドラジン、ヒドラジドなどの活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物から選ばれた少なくとも1種類の鎖伸長剤とを所定のモル比で反応させて得たポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンは、必要に応じて、合成ゴム、ポリエステルエラストマ−、ポリ塩化ビニルなどの重合体を添加して得た重合体組成物として使用することもできる。
【0013】
繊維として、上記の極細繊維発生型繊維を使用している場合には、高分子弾性体溶液または分散液を含浸凝固した繊維質基体の段階で、または含浸凝固させる前の不織布の段階で、極細繊維発生型繊維の一成分、好適には海成分ポリマーの溶剤または分解剤で処理して該成分を溶解または分解除去することにより0.3デニール以下の極細繊維を発生させる。また極細繊維発生型繊維がポリマー間で剥離可能な複数のポリマーから形成されている場合には、繊維を化学的処理または物理的処理することにより、繊維を構成しているポリマーの界面で剥離させ極細化する方法を用いることもできる。これにより極細繊維と高分子弾性体からなる皮革様基体を得る。
【0014】
該皮革様基体の厚みは用途に応じて任意に選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは0.6mm〜3mmである。また極細繊維と高分子弾性体との量比としては、重量比で35/65〜65/35が好ましい。この範囲を外れると繊維と弾性重合体とのバランスが悪くなり、製品としての充実感や柔軟性が得られなくなる。
【0015】
該基体層の表面に多孔質表面層を形成する方法としては、基体上に一定のクリアランスを持って片面に弾性高分子樹脂溶液を塗布し、塗布した弾性高分子樹脂の貧溶剤中で凝固させることにより弾性高分子樹脂層を多孔質化する方法が好ましいが、不織布に含浸した弾性高分子樹脂溶液と表面に塗布した弾性高分子樹脂溶液を同時に凝固させても構わない。
【0016】
上記多孔質表面層を形成する弾性高分子樹脂としては、弾性、ソフト性、耐摩耗性、多孔層の形成の容易さより、ポリウレタンが好適に用いられる。該ポリウレタンとしては、平均分子量500〜3,000のポリエステルジオ−ル、ポリエ−テルジオ−ル、ポリエステルエ−テルジオ−ル、ポリラクトンジオ−ル、ポリカ−ボネ−トジオ−ルなどから選ばれた少なくとも1種類のポリマ−ジオ−ルと、トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−トなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系の有機ジイソシアネ−トなどから選ばれた少なくとも1種の有機ジイソシアネ−トと、ジオ−ル、ジアミン、ヒドロキシアミン、ヒドラジン、ヒドラジドなどの活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物から選ばれた少なくとも1種類の鎖伸長剤とを所定のモル比で反応させて得られたものが用いられる。耐加水分解性、弾性などの点で、ポリテトラメチレングリコールで代表されるポリエーテル系のポリマージオールを使用したものが好ましく用いられる。
【0017】
塗布する弾性高分子樹脂溶液には、着色剤、耐光剤、分散剤などの添加剤が目的に応じて添加される。また、多孔質の形状を制御するために凝固調節剤を必要に応じて選択し、単独あるいは数種を組み合わせて添加する。
【0018】
弾性高分子溶液を基体層上に塗布した後、ポリウレタンの貧溶剤中で凝固し、多孔質層を形成する。該貧溶剤としては、水が好ましく用いられるが、多孔質の形状を制御する意味で、水に例えばジメチルホルムアミド等の弾性高分子樹脂の良溶剤を混合して用いても良い。
【0019】
本発明の多孔質表面層に吸水性に寄与するミクロホールを形成する方法は、上記の方法により得られた多孔質表面層表面に、該多孔質表面層を形成する弾性高分子の良溶剤をグラビアロール等を用いて点状に塗布し、乾燥する前にしばらく放置することで多孔質表面層の一部の最表面の樹脂を溶解することで得られる。
【0020】
ミクロホールの大きさ(直径)及び数は、溶剤の種類、付着量、付着面積、付着点数、放置時間によりコントロール可能である。すなわち、溶剤中の良溶剤の比率が高いほど、付着量が多いほど、付着面積が大きいほど、放置時間が長いほど大きなホールが形成される。また溶剤の付着点数が多いほどミクロホールの数は増加する。
該ミクロホールの孔径は5〜100μm、孔数は300〜10,000個/cm2の範囲が必要である。孔径が5μmまたは孔数が300個/cm2に満たないものは、十分な水分の吸収が出来ず、孔径が100μmまたは孔数が10,000個/cm2を超えるものは、穴が大きすぎる或いは多すぎるために肉眼で識別されて外観を損ない、また表面物性を低下させるので好ましくない。特に孔径が100μmを越えるミクロホールが存在すると外観を損なうこととなるため、本発明においては100μmを越えるミクロホールは実質的に存在していないのが好ましい。
【0021】
溶剤の付着方法としては、スクリーンでの塗布、スプレーでの吹き付け等が可能であるが、工程そのもの、付着量、放置時間等のコントロールが容易であることより、グラビアロールによる塗布が好ましく用いられる。このように、溶剤を表面に付与する方法を用いることにより、表面に形成されるミクロホールの大部分が、多孔質表面層の内部に存在する気孔と連通し、さらに基体層内の気孔や空間とも通じることとなる。なおミクロホールの直径及び数については、電子顕微鏡で表面の写真を10点撮影し、500μm四方の範囲内のミクロホールの直径及び数を測定し、相加平均を取る方法により測定される。
【0022】
本発明において、表面層から水の吸収を促進させるために、浸透剤を表面層及び基体層に付与する。物理的には、表面多孔層のミクロホールから、表面に付着した水分を吸収するわけであるが、多孔層及び基体層に浸透剤を付与することで、表面からの水分の吸収が促進され、さらに表面多孔層から基体層への移動も促進され、皮革様シート全体で水分を吸収することが可能となる。このことで、連続長時間にわたり汗等の水分でボールの表面が滑ることが防止出来ることになる。
【0023】
本発明に用いる浸透剤としては、ポリオキシアルキレンエーテル系、アルキルスルホコハク酸エステル系、アルキルリン酸エステル系、酸エステル塩系、第四級アンモニウム系、変性シリコーン系等の一般的な浸透剤が用いられる。なかでもポリオキシエチレンアルキルエーテル系、アルキルスルホコハク酸エステル系等の浸透剤が好ましく、容易に水により洗い流されないためには、その分子量は300以上が好ましい。そして存在させる浸透剤の量としては、1〜
10g/m2が好ましい。また浸透剤の付与方法としては、表面多孔層と基体層の両方に付与することを考えると浸透剤水溶液中へ皮革様シートを含浸させる方法が最適である。
【0024】
本発明のボール用皮革様シートは、表面にあるミクロホールと内含された浸透剤の働きで、使用中に手から出る汗等の水分をすばやく吸収することで、初期の触感、ノンスリップ性を維持出来る機能を有し、とりわけ、バスケットボール用、アメリカンフットボール用、ラグビー用、バレーボール用、野球用として好適である。
【0025】
【実施例】
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り重量に関するものである。
【0026】
実施例1
島成分が6−ナイロンであって、海成分が高流動性低密度ポリエチレン(海成分/島成分比率=50/50)からなる海島型混合紡糸繊維を溶融紡糸した。得られた繊維を延伸、クリンプ、カットして、3.5デニール、カット長さ51mmのステープルを得た。このステープルをカードに通し、クロスラッパー方式によりウエッブとし積層した。次に針に1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて980P/cm2の針刺し密度でニードルパンチして目付450g/m2の不織布を得た。この不織布を加熱乾燥、プレスして表面を平滑にした後に16%のポリエーテル系ポリウレタンのジメチルホルムアミド(DMFと略す)溶液を含浸し、DMF水溶液で凝固し、湯洗、熱トルエンで繊維中のポリエチレンを抽出除去し、6−ナイロンの極細繊維と多孔質状のポリウレタンからなる人工皮革用基体を得た。
【0027】
この人工皮革基体の表面にポリテトラメチレンエーテルを主体とするポリオールからなるポリウレタンの20%DMF溶液を400g/m2塗布し、水中で凝固して多孔表面層を形成した。
この多孔表面層の表面にDMFを150メッシュのグラビアロールで塗布し、3分間放置後、乾燥し、ミクロホールを形成した。さらに、茶の顔料を含むエーテル系ポリウレタンインクで着色し、バスケットボール用シボの型押しを行った。ついで平均分子量400のポリオキシエチレンオクチルエーテル型浸透剤の1%水溶液を含液率60%で含浸付与した。付着量は4g/m2であった。
得られた皮革様シートは、表面に平均孔径40μm、孔数約1600個/cm2のミクロホールを有し、その多くは、内部の気孔に連通していた。孔径100μmを越えるようなミクロホールは殆ど見当たらなかった。この皮革様シートは、良好な吸汗性能によるノンスリップ性を発揮できるバスケットボール用に好適な皮革様シートであった。この皮革様シートを用いてバスケットボールを作製し、温度及び湿度の高い条件下でバスケットボールの試合に使用したところ、長期間使用しても、スリップ性に変化なかった。
【0028】
実施例2
実施例1において、多孔質表面層を形成後に表面にDMFを120メッシュのグラビアロールで塗布し、3分間放置後、乾燥し、ミクロホールを形成した。さらに茶の顔料を含むエーテル系ポリウレタンインクで着色し、バスケットボールシボの型押しを行った。ついで平均分子量400のポリオキシエチレンオクチルエーテル型浸透剤の1%水溶液を含液率60%で含浸付与した。付着量は4.2g/m2であった。
得られた皮革様シートは、表面に平均孔径50μm、孔数約1,000個/cm2のミクロホールを有し、孔径100μmを越えるようなミクロホールは殆ど見当たらなかった。また表面のミクロホールの大多数は内部の気孔に連通していた。この皮革様シートは、良好な吸汗性能によるノンスリップ性を発揮できるバスケットボール用に好適な皮革様シートであった。
【0029】
比較例1
実施例1において、多孔質表面層を形成後に表面にDMFを55メッシュのグラビアロールで塗布し、5分間放置後、乾燥し、ミクロホールを形成した。さらに、茶の顔料を含むエーテル系ポリウレタンインクで着色し、バスケットボールシボの型押しを行った。
得られた皮革様シートは、表面に平均孔径140μm、孔数約800個/cm2のミクロホールを有し、良好な吸汗性能を発揮できたが、肉眼で明瞭にミクロホールが確認でき、商品価値の低いものであった。
【0030】
比較例2
実施例1において、多孔質表面層を形成後に表面にDMFを140メッシュのグラビアロールで塗布し、2分間放置後、乾燥し、ミクロホールを形成した。さらに、茶の顔料を含むエーテル系ポリウレタンインクで着色し、バスケットボールシボの型押しを行った。得られた皮革様シートは、表面に平均孔径50μm、孔数約1200個/cm2のミクロホールを有するが、浸透剤を含有していないために十分な吸汗性能を発揮できず、この皮革様シートで造られたバスケットボールは、十分なノンスリップ性を有しないものであった。
【0031】
比較例3
実施例1において、多孔質表面層を形成後に表面にDMFを200メッシュのグラビアロールで塗布し、1分間放置後、乾燥し、ミクロホールを形成した。さらに、茶の顔料を含むエーテル系ポリウレタンインクで着色し、バスケットボールシボの型押しを行った。得られた皮革様シートは、表面に平均孔径10μm、孔数約100個/cm2のミクロホールしかないため、十分な吸汗性能を発揮できず、この皮革様シートで造られたバスケットボールは、十分なノンスリップ性を有しないものであった。
Claims (1)
- 繊維絡合体と該絡合体空間に存在する多孔質弾性体および浸透剤からなる多孔質基体層とその表面に形成された多孔質表面層からなり、該多孔質表面層の表面には、該多孔質表面層の内部に存在する気孔と連通し、さらに該多孔質基体層内の気孔や空間とも通じている平均直径5〜100μmのミクロホールが300〜10,000個/cm2存在しており、かつ該ミクロホールの内部には浸透剤が存在していることを特徴とするボール用皮革様シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13116399A JP4187871B2 (ja) | 1999-05-12 | 1999-05-12 | ボール用皮革様シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13116399A JP4187871B2 (ja) | 1999-05-12 | 1999-05-12 | ボール用皮革様シート |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000328465A JP2000328465A (ja) | 2000-11-28 |
JP2000328465A5 JP2000328465A5 (ja) | 2005-10-27 |
JP4187871B2 true JP4187871B2 (ja) | 2008-11-26 |
Family
ID=15051488
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13116399A Expired - Fee Related JP4187871B2 (ja) | 1999-05-12 | 1999-05-12 | ボール用皮革様シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4187871B2 (ja) |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4675004B2 (ja) * | 2001-08-08 | 2011-04-20 | 株式会社モルテン | 球技用ボールのための人工皮革パネル |
KR101055234B1 (ko) | 2003-03-18 | 2011-08-08 | 데이진 고도레 가부시키가이샤 | 볼용 표피재 및 볼 |
US7258909B2 (en) * | 2003-03-19 | 2007-08-21 | Kuraray Co., Ltd. | Leather-like sheet for balls |
KR101158135B1 (ko) * | 2004-04-09 | 2012-06-19 | 가부시키가이샤 구라레 | 쿠션성, 논슬립성이 뛰어난 시트상 물질 |
WO2005097269A1 (ja) * | 2004-04-09 | 2005-10-20 | Kuraray Co., Ltd. | ボール |
WO2007119478A1 (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-25 | Kuraray Co., Ltd. | ウェット状態でのハンドリング性に優れた複合シートおよびゲームボール |
EP2042648B1 (en) | 2006-06-27 | 2012-08-15 | Kuraray Co., Ltd. | Leather-like sheet and method of producing leather-like sheet |
JP5047752B2 (ja) * | 2007-10-12 | 2012-10-10 | パナソニック株式会社 | 断熱箱体製造用パレット |
WO2009125758A1 (ja) | 2008-04-10 | 2009-10-15 | 株式会社クラレ | グリップ性に優れた皮革様シートおよびそれを用いた人工皮革製品 |
JP5226407B2 (ja) * | 2008-07-15 | 2013-07-03 | 帝人コードレ株式会社 | グリップ性の優れるボール用人工皮革の製造方法 |
JP5443067B2 (ja) * | 2009-06-11 | 2014-03-19 | 帝人コードレ株式会社 | ボール用表皮材 |
JP5202466B2 (ja) * | 2009-07-27 | 2013-06-05 | 帝人コードレ株式会社 | 野球ボール用表皮材 |
JP2012139453A (ja) * | 2011-01-05 | 2012-07-26 | Molten Corp | ボール |
-
1999
- 1999-05-12 JP JP13116399A patent/JP4187871B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000328465A (ja) | 2000-11-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4956538B2 (ja) | 皮革様シート及び皮革様シートの製造方法 | |
JP5452477B2 (ja) | グリップ性に優れた皮革様シートおよびそれを用いた人工皮革製品 | |
JP4187871B2 (ja) | ボール用皮革様シート | |
KR101152038B1 (ko) | 인공피혁용 기재, 인공피혁 및 인공피혁용 기재의제조방법 | |
WO2005097268A1 (ja) | クッション性、ノンスリップ性に優れたシート状物 | |
EP1445371A2 (en) | Stretchable leather-like sheet substrate and process for producing same | |
JP2004211258A (ja) | 意匠形成用皮革様シート | |
TW200424397A (en) | Leather-like sheet for balls | |
JP4060770B2 (ja) | 気体充填型スポーツ用ボール | |
JP6122769B2 (ja) | 人工皮革及びその人工皮革を表皮に用いたボール | |
JP2004300656A (ja) | ボール用皮革様シート | |
JP3939378B2 (ja) | 立毛シート及びその製造方法 | |
JP3441298B2 (ja) | 銀面を有する皮革様シート及びその製造方法 | |
JP2007002342A (ja) | 機能性皮革様シート | |
JP4048160B2 (ja) | 皮革様シート状物およびその製造方法 | |
JP3742215B2 (ja) | 人工皮革基体 | |
JP5060859B2 (ja) | ボール | |
JP2004011041A (ja) | 手袋用に適した皮革様シート | |
JP2002363868A (ja) | 皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP2001192976A (ja) | 人工皮革用基材およびその製造方法 | |
JP2007204863A (ja) | ヌバック調人工皮革の製造方法 | |
JP4498824B2 (ja) | 皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP2007297726A (ja) | 皮革様シート | |
JP2003301382A (ja) | 皮革様シート | |
JPH108382A (ja) | 透気性の良好な皮革様シート及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050822 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050822 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080422 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080612 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080819 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080910 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |