JP3145253B2 - ヌバック調人工皮革の製造方法 - Google Patents

ヌバック調人工皮革の製造方法

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JP3145253B2
JP3145253B2 JP22018494A JP22018494A JP3145253B2 JP 3145253 B2 JP3145253 B2 JP 3145253B2 JP 22018494 A JP22018494 A JP 22018494A JP 22018494 A JP22018494 A JP 22018494A JP 3145253 B2 JP3145253 B2 JP 3145253B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヌバック調人工皮革の
製造法に関し、更に詳しくは、2段階にわたる繊維の極
細化処理を必要とせず、しかもゴムライクな外観及び風
合いを解消して、表面ヌバック感に優れ、特に、風合い
がソフトで、表面発色性、耐挫屈性(表面の耐折れしわ
性)等の表面特性に優れたヌバック調の人工皮革を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から立毛外観を有する人工皮革を製
造する方法として、例えば、織物、編物、不織布等の繊
維集合体に高分子重合体を含浸、凝固させた後、これら
の表面を研磨する方法が行われている。
【0003】また、人工皮革の外観をコントロールする
ために、立毛繊維長を変えたり、繊維集合体の見掛け密
度を規制したり、弾性重合体の含浸量を増やしたり、バ
フ条件をコントロールすることなどが一般に行われてい
る。
【0004】しかし、これらの方法では、立毛繊維長が
長くなり、スエードあるいはベロア調人工皮革としては
良好な外観が得られるが、繊維長の短いヌバック調とし
て品位のある外観を持った人工皮革を得ることは出来な
い。
【0005】この問題を解消するために、立毛繊維長を
短くする方法として、例えば、特開平3−161576
号公報には、表層部の複合繊維から極細繊維を発現させ
た後、高分子弾性体を付与して、凝固させる第一段階の
工程と、主として、内部層の複合繊維を極細化する第二
段階の工程とからなる方法が提案されている。
【0006】しかし、この方法では、複合繊維を極細化
する工程が2段階になり、工程数が増えて操作が煩雑に
なるうえ、繊維を極細化した後に、高分子弾性体を付与
するため、高分子弾性体が最表面層で極細繊維に強固に
接合して、外観及び風合いがゴムライクになってしまう
と言う問題がある。
【0007】一方、特公昭61−32432号公報にお
いては、スエード調シートの表面に、弾性重合体の溶剤
であって、かつ繊維の非溶剤である液体を付与し、弾性
重合体の一部を溶解又は膨潤させた後、再固化させ、そ
の後で起毛または整毛することが提案されている。しか
し、この方法は、立毛表面の毛足が長い繊維立毛スエー
ドにおいて、立毛シートの表面毛羽の脱落を防止するこ
とを目的とするものであり、本発明のようなヌバック調
人工皮革の製造方法とは、まったく別異のものである。
【0008】更に、特公昭63―5518号公報には、
基材シート物の表面に、少なくとも2層の非多孔質層を
塗布により形成して、表面性能、柔軟性、ドレープ性、
色調などを改善することが記載されている。しかし、こ
のような塗布による方法では、バッフィング処理によ
り、毛足が短く、表面繊維密度が高くて、立毛状態の均
質性に優れたヌバック調人工皮革を得ることができず、
更に、非多孔質層を形成すると、通気性が悪くなり、皮
革の内側が蒸れるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、2
段階にわたる繊維の極細化処理を必要とせず、しかもゴ
ムライクな外観及び風合いを解消して、表面ヌバック感
に優れ、特に、風合いがソフトで、表面発色性、耐挫屈
性などの表面特性に優れたヌバック調の人工皮革を製造
する方法を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明によれば、少なくとも、(a)2
種以上の高分子重合体から成る極細化可能な複合繊維か
らウェブを形成し、(b)該ウェブの厚さ方向に、50
0〜3000本/cm2 のバーブ貫通パンチング本数で
ニードルパンチングを施して、絡合繊維質基材を作成
し、(c)該絡合繊維質基材に第一の弾性重合体を含浸
させ、該基材の厚さの60〜90%まで圧縮スクイーズ
し、(d)その直後、圧縮が回復する前に、第二の弾性
重合体を付与し、圧縮を回復させながら含浸させ、該基
材の厚さの70〜95%まで圧縮スクイーズして、該第
一及び第二の弾性重合体を凝固させ、(e)その後、該
絡合繊維質基材を構成する複合繊維を極細化し、(f)
しかる後、該絡合繊維質基材の非立毛表面に該第二の弾
性重合体の溶剤を含む液体を付与して、該第二の弾性重
合体の一部を溶解又は膨潤させた後、該液体を除去して
固化させ、(g)該絡合繊維質基材の溶剤含有液体処理
面にバフィング処理を施すことを特徴とするヌバック調
人工皮革の製造方法が提供される。
【0011】本発明方法において、極細化可能な複合繊
維としては、互いに性質の異なる2種以上の高分子重合
体から、複合紡糸、混合紡糸等により形成した複合繊維
であって、少なくとも1種の高分子重合体の溶解除去、
あるいは物理的、化学的作用による割裂で極細化できる
ものが用いられる。
【0012】特に、溶剤溶解性の異なる2種以上の高分
子重合体から成る複合繊維(例えば、海島型複合繊維)
を用い、そのうちの少なくとも1種の高分子重合体を溶
解除去して、極細化するのが好ましい。
【0013】本発明方法において、極細繊維を形成する
高分子重合体の具体的な例としては、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステルが挙げられる。
【0014】また、これらの極細繊維形成高分子重合体
と共に、溶解除去成分、結合成分として用いられる性質
(例えば、溶剤溶解性)の異なる高分子重合体として
は、上記ポリアミド、ポリエステルに加えて、ポリエチ
レン、アクリル酸ビニルや酢酸ビニルなどのビニル化合
物を共重合させた共重合ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、高分子量ポリエチレングリコール、ポリスチレン、
アクリル酸ビニルや酢酸ビニルなどのビニル化合物を共
重合させた共重合ポリスチレン、ポリアクリレート等を
挙げることができる。
【0015】更に、物理的、化学的作用による割裂で極
細化させる場合の高分子重合体の組合せとしては、ナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド
と、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステルとの組合せが挙げられる。
【0016】かかる複合繊維を、公知のカード、ランダ
ムウェッバー、クロスレーヤー等にかけて、ウェブを形
成する。
【0017】このようにして得たウェブに、ウェブの厚
さ方向に対して、500〜3000本/cm2 、好まし
くは、800〜2000本/cm2 のバーブ貫通パンチ
ング本数でニードルパンチングを施して、絡合繊維質基
材を作成する。バーブ貫通パンチング本数が500本/
cm2 未満では、絡合繊維質基材の絡合が不十分となっ
て、強度不足となり、出来上がった基材のチョークマー
ク性も不十分で、ヌバック調外観の劣ったものとなる。
また、3000本/cm2 よりも多くなると、絡合繊維
質基材がニードルパンチングを過剰に受けて、損傷が大
きくなり、基材にへたりが発生し、強度も低下するため
好ましくない。
【0018】ここで、バーブ貫通パンチング本数とは、
少なくとも一つのバーブを有するニードルを使用し、ニ
ードルの第一バーブがウェブの厚さ方向に貫通する深さ
でパンチングを行った時の打ち込み本数を、1cm2
たりの値に換算した数値である。
【0019】本発明方法においては、このようにニード
ルパンチングを施して作成した絡合繊維質基材に、第一
の弾性重合体を含浸させ、該基材の厚さの60〜90%
まで圧縮スクイーズし、その直後、圧縮が回復する前
に、第二の弾性重合体を付与し、圧縮を回復させながら
含浸させ、該基材の厚さの70〜95%まで圧縮スクイ
ーズして、該第一及び第二の弾性重合体を凝固させる。
【0020】第一及び第二の弾性重合体としては、ポリ
ウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリ
ウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸樹
脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチ
レン・ブタジエンエラストマー等が挙げられるが、中で
も、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマ
ー、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー等のポリウ
レタン系エラストマーが好ましい。これらのポリウレタ
ン系エラストマーは、平均分子量500〜4000のポ
リエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリ
エステル・エーテルグリコール、ポリカプロラクトング
リコール、ポリカーボネートグリコール等から選ばれ
た、少なくとも1種のポリマーグリコールと、4、4′
―ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシ
アネート等の有機ジイソシアネートと、低分子グリコー
ル、ジアミン、ヒドラジン、又は有機酸ヒドラジッド、
アミノ酸ヒドラジッド等のヒドラジン誘導体から選ばれ
た鎖伸長剤とを反応させて得られたものである。
【0021】第一の弾性重合体と第二の弾性重合体は、
同一の弾性重合体であってもよいが、それぞれ別異の弾
性重合体を用いるのが好ましい。特に、第一の弾性重合
体は、凝固性が良好であり、風合いがソフトなヌバック
調皮革シートを経済的に製造することができることか
ら、ポリオキシエチレン鎖を含有しないか、あるいは5
%以下のポリオキシエチレン鎖を重合体中に含有するポ
リウレタンエラストマーであることが好ましく、更に、
内部まで着色するうえで、有機顔料及び/又は無機顔料
を含有していることが好ましい。
【0022】また、第二の弾性重合体は、皮革シートの
表面層の染着性、耐光堅牢度を向上させるうえで、ポリ
オキシエチレン鎖を重合体中に5〜30%含有するポリ
ウレタンエラストマー又は脂環族及び/若しくは脂肪族
イソシアネートからなるポリウレタンエラストマーであ
ることが好ましい。前者の場合、ポリオキシエチレン鎖
が5%未満では、十分な染着性が得られず、30%を越
えると、湿潤膨潤が大きくなり過ぎる。
【0023】また、前記各弾性重合体を絡合繊維質基材
中に含浸させるには、通常、該弾性重合体を有機溶剤溶
液又は分散液(水性エマルジョンを含む)の形で絡合繊
維質基材に含浸させるが、その濃度は、第一の弾性重合
体については、7〜20%が好ましく、更に好ましく
は、10〜18%であり、第二の弾性重合体について
は、第一の弾性重合体の濃度よりも5%以下高い濃度が
好ましい。この組み合わせにより、ヌバック調人工皮革
としてのよりソフトな風合いが得られ、しかも、ヌバッ
ク調表面の緻密性、繊維立毛密度を高めることができ、
表面発色性、耐挫屈性のより優れたヌバック調人工皮革
を得ることが可能となる。
【0024】本発明方法においては、前記第一の弾性重
合体を絡合繊維質基材中に含浸させた後、基材厚さの6
0〜90%に圧縮スクイーズし、その直後、圧縮が回復
する前に、前記第二の弾性重合体を付与し、圧縮を回復
させながら含浸させ、該基材の厚さの70〜95%まで
圧縮スクイーズすることが必要である。
【0025】このように処理することにより、絡合繊維
質基材下層の繊維に対する第一の弾性重合体の比率が、
繊維:第一の弾性重合体=90:10〜50:50とな
って、人工皮革としてソフトな風合いを維持し、表面か
ら約0.1〜0.5mmの表面層の繊維に対する第二の
弾性重合体の比率が、繊維:第二の弾性体=75:25
〜40:60の範囲内で、下層よりも緻密に構成され、
外観の優れたヌバック調表面を得ることができる。
【0026】第一の弾性重合体を絡合繊維質基材中に含
浸させた後、基材厚さの60%未満に圧縮スクイーズし
たのでは、安定してスクイーズすることが難しく、90
%を越える程度の圧縮スクイーズでは、その後で処理す
る第二の弾性重合体の含浸量が少なくなって、表面に第
一の弾性重合体が混在し、染色による発色性に斑が生じ
て、表面ヌバック感が劣ったものとなり、さらには、耐
挫屈性も劣ったものとなる。また、第一の弾性重合体を
含浸させて圧縮スクイーズし、その圧縮が回復した後で
第二の弾性重合体を含浸させたのでは、上記と同様に、
第二の弾性重合体の含浸量が少なくなるばかりでなく、
含浸が不均一になるので不適当である。
【0027】更に、第二の弾性重合体を含浸させた後の
圧縮スクイーズが、基材厚さの70%未満になると、該
第二の弾性重合体の含浸量が少なくなり、表面ヌバック
感、染色発色性、耐挫屈性が劣ったものとなるため不適
当であり、95%を越えると、表面層に付着する第二の
弾性重合体の量が多すぎて、後でバフ加工した場合に、
均一なヌバック調表面とするのが困難となり、風合いも
硬くなる。
【0028】次いで、含浸させた弾性重合体を、絡合繊
維質基材中で凝固させる。弾性重合体を凝固させるため
の具体的方法としては、公知の湿式凝固法、乾式凝固法
のいずれによっても良い。また、該絡合繊維質基材中の
弾性重合体の凝固状態は、多孔質状に凝固しているのが
好ましい。
【0029】絡合繊維質基材に、弾性重合体を含浸、凝
固させた後、少なくとも1種の高分子重合体の溶解除
去、あるいは物理的、化学的作用による割裂等の公知の
方法で複合繊維を極細化する。特に、本発明方法におい
ては、溶剤溶解性の異なる2種以上の高分子重合体から
成る複合繊維を用い、そのうちの少なくとも1種の高分
子重合体を溶解除去して、極細化するのが好ましい。
【0030】例えば、ポリエステル又はポリアミドを島
成分に、ビニル系ポリマーを海成分にした海島型複合繊
維では、海成分の溶解除去剤として、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、トリクロロエタン、テトラク
ロロエタンなどが用いられる。また、ポリエステルとポ
リアミドとを極細化できるように配列した複合繊維にお
いて、一方の成分を溶解除去するか、あるいは膨潤させ
て割裂させる場合には、ポリエステルの溶解除去剤又は
膨潤剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ水溶液が用いられ、ポリアミドの溶解
除去剤又は膨潤剤として、例えば、アルカリ金属塩又は
アルカリ土類金属塩の低級アルコール溶液や、ギ酸、硫
酸、塩酸などの酸が用いられる。
【0031】極細化処理後の絡合繊維質基材を構成する
極細繊維の平均繊度は、均質で質感のある表面外観を得
るうえで、0.4デニール以下が好ましく、特に好まし
くは、0.001〜0.2デニールである。
【0032】このようにして作成した極細繊維から成る
絡合繊維質基材の非立毛表面、即ち、起毛処理を施して
いない表面を、そのまま第二の弾性重合体の溶剤を含む
液体で処理する。起毛処理後にこのような液体で処理す
ると、最終的に得られるシートの表面の風合が硬くな
り、表面の立毛状態が不均質になって、本発明の目的と
するヌバック調人工皮革が得られない。
【0033】第二の弾性重合体の溶剤を含む液体として
は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ヂオキサン
等の弾性重合体の良溶媒又はこれらに水、アルコール、
メチルエチルケトン、前記第二の弾性重合体を一部混合
したものが好ましく用いられる。これらの第二の弾性重
合体の溶剤を含む液体は、前記第二の弾性重合体の一部
を溶解又は膨潤させる必要があることから、該溶剤を、
少なくとも50%以上、好ましくは70%以上含有する
ことが望ましい。
【0034】第二の弾性重合体の溶剤を含む液体を、極
細化された絡合繊維質基材の表面に付与する方法は、特
に限定されず、例えば、グラビアコーター、スプレーコ
ーターによる塗布、あるいは離形紙等の支持体の表面に
該液体を塗布しておき、乾燥する前に絡合繊維質基材の
表面と接触一体化させて、該液体を転写する方法などが
挙げられる。この工程においては、グラビアロール等に
よって、基材を軽くニップしながら、該液体の付与を行
うことが好ましい。
【0035】次いで、第二の弾性重合体の溶剤を含む液
体を除去し、第二の弾性重合体を固化させるために、脱
液体処理を行う。この脱液体処理方法としては、熱風乾
燥機を使用する乾式法や、水等の液体中に浸漬させる湿
式法等が挙げられるが、乾式法が前記の第二の弾性重合
体を含む液体の使用量を少なくでき、繊維の固定化効果
が大きいことから好ましい。この液体の付与、脱液体処
理は、少なくとも2〜6回繰り返すことが好ましく、回
数が多い程、均質性は向上するが、6回を越えると表面
が固くなる傾向が認められる。また、絡合繊維質基材の
非立毛表面への液体の付与量は、1回につき、10〜6
0g/m2 であることが好ましい。液体付与量が10g
/m2 より少ないと、表面立毛繊維長が長くなって、目
的とするヌバック調人工皮革が得られ難くなり、60g
/m2 を超えると表面が固くなったり、脱液体に時間が
掛かるようになる。
【0036】この液体付与処理及び脱液体処理により、
第二の弾性重合体が溶解又は膨潤した後、再固化して、
絡合繊維質基材の表面における極細繊維と弾性重合体の
結合を高めて繊維を押さえ込み、後述するバッフィング
処理によって、シャープなチョークマーク性を有し、毛
足が短く、立毛状態が均質である、優れた表面ヌバック
感を有する人工皮革を製造することが可能となる。
【0037】次いで、上記のように処理した絡合繊維質
基材の表面にバフィング処理を施すが、このバフィング
処理前に、表面をスムースまたは小柄のエンボスロー
ル、カレンダーロール、平板プレス等で処理してもよ
い。バフィングは、サンドペーパー、ブラシ、砥石等を
用いて、常法により行うことができる。但し、あまり目
の粗いものを使用してバフィングを行ったり、長時間バ
フィングを行ったりすると、処理面が荒れて、目的とす
るヌバック調の人工皮革を得ることができなくなるの
で、注意しなければならない。サンドペーパーを用いる
場合は、研磨粒子を240メッシュ以上、好ましくは4
00メッシュ以上の細かいものとするのが望ましい。
【0038】このようにバッフィング処理を施した後、
染色を行って、任意の色に着色し、必要に応じて、柔軟
剤、撥水剤、ヌメリ剤などで処理することができる。
【0039】
【作用】本発明方法では、500〜3000本/cm2
のバーブ貫通パンチング本数でニードルパンチングを施
して、繊維を十分に絡合させているため、強度が十分
で、チョークマーク性に優れ、損傷やへたりのない絡合
繊維質基材が得られる。
【0040】また、第一の弾性重合体を含浸させ、該基
材の厚さの60〜90%まで圧縮スクイーズし、その直
後、圧縮が回復する前に、第二の弾性重合体を付与し、
圧縮を回復させながら含浸させ、該基材の厚さの70〜
95%まで圧縮スクイーズして、該第一及び第二の弾性
重合体を凝固させせることにより、弾性重合体と繊維の
構造が最適化され、バフィング処理した際、毛足が短
く、表面繊維密度が高く、立毛状態の均質性に優れたヌ
バック調人工皮革が得られる。更に、弾性重合体の含
浸、圧縮スクイーズを2段階に分けて行うため、該基材
の表面層と下層とをそれぞれ最適な特性に設定すること
ができ、例えば、該基材の下層を人工皮革にソフトな風
合いを与えるのに適した構成とし、表面層を染着性、耐
光堅牢性、耐挫屈性等に優れ、均一なヌバック調表面を
与えるのに適した構成とすることが可能となる。
【0041】更に、極細化処理を施した後、基材の非立
毛表面を、第二の弾性重合体の溶剤を含む液体で処理す
るから、該処理面における極細繊維と弾性重合体の結合
を高めて繊維を押さえ込むことができ、上記各要件と相
俟って、バッフィング処理により、表面ヌバック感に優
れたヌバック調人工皮革を製造することが可能となる。
【0042】また、本発明方法では、複合繊維の極細化
は1段階で行われ、2段階にわたる極細化処理を必要と
しない。
【0043】しかも、絡合繊維質基材に弾性重合体を含
浸、凝固させた後で、複合繊維を極細化するから、繊維
を極細化した後に、弾性重合体を付与するために生ずる
従来技術の問題点、即ち、弾性重合体が最表面層で極細
繊維に強固に接合して、外観及び風合いがゴムライクに
なってしまうと言う欠点を、完全に解消することができ
る。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0045】[実施例1〜3、比較例1〜2]ナイロン
6とポリオキシエチレンエーテル変性低密度ポリエチレ
ンとを配合比50:50でチップブレンドし、混合紡糸
により繊度6デニール、繊維長51mmの複合繊維を得
た。得られた複合繊維をカードとクロスレーヤーによっ
て、ウェブにした。このウェブに、3バーブのニードル
を装着したニードルロッカーを用い、表1に示すバーブ
貫通パンチング本数でニードルパンチングを行い、15
0℃の熱風オーブン中で4分間加熱した後、冷却プレス
ロールでニップし、見掛密度0.30g/cm3 、厚さ
1.87mm、目付560g/m2 の絡合繊維基質材を
作成した。
【0046】次に、分子量1400のポリブチレンアジ
ペートと分子量2050のポリテトラメチレンエーテル
グリコール、4、4′―ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、エチレングリコールを反応させて得た、イソシア
ネートにもとずく窒素含有量が4.2%のポリウレタン
エラストマー(第一の弾性重合体)のジメチルホルムア
ミド溶液(濃度15%)を調製し、これに着色用の茶色
トナーを添加した。
【0047】この溶液に、上記のプレスした絡合繊維質
基材を浸漬して、ポリウレタンエラストマー溶液を含浸
させ、厚さ0.2mmのスェーデン鋼で作成したドクタ
ーブレードと金属回転ロールとの間で繊維質基材の厚さ
の70%まで圧縮スクイーズした。
【0048】次いで、繊維質基材の圧縮が回復する前
に、上記第一の弾性重合体と同じポリウレタンエラスト
マーの17%ジメチルホルムアミド溶液を脱泡して供給
し、圧縮を回復させながら第二の弾性重合体として含浸
させ、上記と同様にして、繊維質基材の厚さの80%ま
で圧縮スクイーズした。
【0049】その後、10%ジメチルホルムアミド水溶
液中に浸漬して、ポリウレタンエラストマーを凝固させ
た。次いで、40℃の温水中で十分洗浄し、120℃の
熱風オーブン中で乾燥して、繊維とポリウレタンエラス
トマーとの比が75:25の弾性重合体含浸基材を得
た。
【0050】次いで、80℃のトルエン中でこの基材に
ディップとニップを繰り返して、ポリエチレンを溶解除
去し、複合繊維の極細化を行った。その後、90℃の温
水中で基材に含まれているトルエンを共沸除去し、11
0℃の熱風乾燥機中で繊維の平衡水分率以下に乾燥し
た。得られたナイロン6極細繊維の平均繊度は、0.0
3デニールであった。
【0051】その後、基材の表面に、グラビアコーター
を用いて、ジメチルホルムアミドを約20g/m2 塗布
し、120℃の熱風乾燥機中で乾燥した後、該表面に、
400メッシュのサンドペーパーを装着したバフ機でバ
フィング処理を施した。
【0052】バッフィング処理を施した繊維質基材を、
含金染料(カヤカランブラウン2GL200)を基材重
量に対して10%含有する浴比1/20の水溶液中で染
色し、タンニン酸でフィックス処理した。
【0053】かくして得られたシートの特性は、表1に
示す通りであり、バーブパンチング本数が500〜30
00本/cm2 の場合(実施例1〜3)に、表面発色
性、耐挫屈性に優れた、良好な風合い、外観のヌバック
調シートが得られた。一方、バーブパンチング本数が5
00本/cm2 未満の場合(比較例1)は、強度不足で
屈曲耐久性が劣ると共に、表面ヌバック感も劣り、30
00本/cm2 を越える場合(比較例2)は、ニードル
パンチングによる損傷が大きくなってへたりが発生し、
更に、ニードルパンチング本数をこれ以上多くしても、
表面ヌバック感はほとんど変わらず、生産効率が劣った
ものとなった。
【0054】
【表1】
【0055】なお表1において、◎は極めて良好、○は
良好、×は不良であることを示す。
【0056】[実施例4〜7、比較例3〜6]ナイロン
6とメルトインデックスが20のポリエチレンとを5
0:50の組成で2台のエクストルーダからそれぞれ溶
融押出し、複合紡糸口金により、48分割に張り合わさ
れた繊度4.8デニール、繊維長51mmの中空分割型
複合繊維を得た。得られた複合繊維をカードとクロスレ
ーヤーにかけて、ウェブを作成した。このウェブに、3
バーブのニードルを装着したニードルロッカーを用い、
バーブ貫通パンチング本数2200本/cm2 でニード
ルパンチングを行い、150℃の熱風オーブン中で4分
間加熱した後、冷却プレスロールでニップし、見掛密度
0.32g/cm3 、厚さ1.75mm、目付560g
/m2 の絡合繊維基質材を得た。
【0057】次に、分子量2050のポリテトラメチレ
ンエーテルグリコール、4、4′―ジフェニルメタンジ
イソシアネート、エチレングリコールを反応させて得
た、イソシアネートにもとずく窒素含有量が4.0%の
ポリウレタンエラストマー(第一の弾性重合体)のジメ
チルホルムアミド溶液(濃度13%)を調製し、これに
着色用の青色トナーを添加した。
【0058】この溶液に、上記のプレスした絡合繊維質
基材を浸漬して、ポリウレタンエラストマー溶液を含浸
させ、厚さ0.2mmのスェーデン鋼で作成したドクタ
ーブレードと金属回転ロールとの間で、表2に示すよう
に、繊維質基材の厚さに対するスクイーズ率を変更し
て、圧縮スクイーズした。
【0059】次いで、繊維質基材の圧縮が回復する前
に、分子量2050のポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、分子量1540のポリエチレングリコール、
4、4′―ジフェニルメタンジイソシアネート、エチレ
ングリコールを反応させて得た、イソシアネートにもと
ずく窒素含有量が4.0%で、ポリエチレングリコール
含有量が15%であるポリウレタンエラストマー(第二
の弾性重合体)のジメチルホルムアミド溶液(濃度15
%)を脱泡して供給し、圧縮を回復させながら含浸さ
せ、上記ドクターブレードと金属回転ロールとの間で、
表2に示すように、繊維質基材の厚さに対するスクイー
ズ率を変更して、圧縮スクイーズした。
【0060】その後、10%ジメチルホルムアミド水溶
液中に浸漬して、ポリウレタンエラストマーを凝固させ
た。次いで、40℃の温水中で十分洗浄し、120℃の
熱風オーブン中で乾燥して、弾性重合体含浸基材を得
た。
【0061】次いで、80℃のトルエン中でこの基材に
ディップとニップを繰り返して、ポリエチレンを溶解除
去し、複合繊維の極細化を行った。その後、90℃の温
水中で基材に含まれているトルエンを共沸除去し、11
0℃の熱風乾燥機中で繊維の平衡水分率以下に乾燥し
た。得られたナイロン6極細繊維の平均繊度は、0.1
デニールであった。
【0062】その後、基材の表面に、グラビアコーター
を用いて、ジメチルホルムアミドを約20g/m2 塗布
し、120℃の熱風乾燥機中で乾燥した後、該表面に、
600メッシュのサンドペーパーを装着したバフ機でバ
フィング処理を施した。
【0063】バッフィング処理を施した繊維質基材を、
含金染料(カヤカランネービー2GL200)を基材重
量に対して15%含有する浴比1/20の水溶液中で染
色し、タンニン酸でフィックス処理した。
【0064】かくして得られたシートの特性は、表2に
示す通りであり、第一の弾性重合体含浸後の圧縮スクイ
ーズを基材厚さの60〜90%にし、第二の弾性重合体
含浸後の圧縮スクイーズを基材厚さの70〜95%にし
た場合(実施例4〜7)に、表面発色性、耐挫屈性に優
れた、良好な風合い、外観のヌバック調シートが得られ
た。一方、第一の弾性重合体含浸後の圧縮スクイーズを
基材厚さの60%未満にした場合(比較例3)は、スク
イーズの際にしわが発生し易かった。第一の弾性重合体
含浸後の圧縮スクイーズを基材厚さの90%を越えるよ
うにした場合(比較例4)及び第二の弾性重合体含浸後
の圧縮スクイーズを基材厚さの70%未満にした場合
(比較例5)は、第二の弾性重合体の含浸量が少なくな
って、表面に第一の弾性重合体が混在し、染色による発
色性に斑が生じて、ヌバック調外観が劣ったものとな
り、さらには、耐挫屈性も劣ったものとなった。更に、
第二の弾性重合体含浸後の圧縮スクイーズを基材厚さの
95%を越える程度にした場合(比較例6)は、表面層
に付着する第二の弾性重合体の量が多すぎて、後でバフ
加工した場合に、均一なヌバック調表面とするのが困難
となり、風合いも硬かった。
【0065】
【表2】
【0066】なお表2において、◎は極めて良好、○は
良好、×は不良であることを示す。
【0067】[比較例7]実施例7において、第一の弾
性重合体溶液を含浸させ、圧縮スクイーズして、繊維質
基材の圧縮が回復した後で、第二の弾性重合体溶液を含
浸させた以外は、実施例7と同じ条件で処理を行った。
得られたシートは、第二の弾性重合体の含浸量が少なく
なって、表面に第一の弾性重合体が混在し、染色による
発色性に斑が生じて、ヌバック調外観が劣ったものとな
り、さらには、耐挫屈性も劣ったものとなった。
【0068】[実施例8]実施例7で第二の弾性重合体
として用いたポリウレタンエラストマーの代わりに、分
子量2050のポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、分子量1540のポリエチレングリコール、4、
4′―ジフェニルメタンジイソシアネート、p,p′―
ジアミノシクロヘキシルメタンを反応させて得た、イソ
シアネートにもとずく窒素含有量が4.0%で、ポリエ
チレングリコール含有量が15%であるポリウレタンエ
ラストマーのジメチルホルムアミド溶液(濃度15%)
を用い、その他の条件は実施例7と同様にして処理を行
った。得られたシートは、表面発色性、耐挫屈性に優
れ、良好なヌバック調外観を呈し、特に耐光堅牢性に優
れていた。
【0069】[比較例8]実施例7において、極細化処
理後の基材をジメチルホルムアミドをグラビアロール塗
布しなかった以外は、実施例7と同じ条件で処理を行っ
た。得られたシートは、表面立毛繊維長が長く、シャー
プなチョークマーク性に欠け、ヌバック調の外観は得ら
れず、むしろスエード調の外観を呈していた。
【0070】[比較例9]実施例7において、極細化処
理後の基材の表面にバフィング処理を施した後で、ジメ
チルホルムアミドをグラビアロール塗布したが、表面の
風合が硬くなり、立毛状態が不均質となって、良好なヌ
バック調シートは得られなかった。
【0071】[実施例9〜14]ナイロン6とポリオキ
シエチレンエーテル変性低密度ポリエチレンとを配合比
50:50でチップブレンドし、混合紡糸により繊度6
デニール、繊維長51mmの複合繊維を得た。得られた
複合繊維をカードとクロスレーヤーによって、ウェブに
した。このウェブに、3バーブのニードルを装着したニ
ードルロッカーを用い、バーブ貫通パンチング本数18
00本/cm2 でニードルパンチングを行い、150℃
の熱風オーブン中で4分間加熱した後、冷却プレスロー
ルでニップし、見掛密度0.30g/cm3 、厚さ1.
87mm、目付560g/m2 の絡合繊維基質材を作成
した。
【0072】次に、分子量1800のポリヘキサメチレ
ンカーボネートと分子量2050のポリテトラメチレン
エーテルグリコール、4、4′―ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、エチレングリコールを反応させて得た、
イソシアネートにもとずく窒素含有量が4.2%のポリ
ウレタンエラストマー(第一の弾性重合体)のジメチル
ホルムアミド溶液(濃度は表3に示すように変更)を調
製し、これに着色用の茶色トナーを添加した。
【0073】この溶液に、上記のプレスした絡合繊維質
基材を浸漬して、ポリウレタンエラストマー溶液を含浸
させ、厚さ0.2mmのスェーデン鋼で作成したドクタ
ーブレードと金属回転ロールとの間で繊維質基材の厚さ
の70%まで圧縮スクイーズした。
【0074】次いで、繊維質基材の圧縮が回復する前
に、分子量2050のポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、分子量1540のポリエチレングリコール、
4、4′―ジフェニルメタンジイソシアネート、エチレ
ングリコールを反応させて得た、イソシアネートにもと
ずく窒素含有量が4.0%で、ポリエチレングリコール
含有量が15%であるポリウレタンエラストマー(第二
の弾性重合体)のジメチルホルムアミド溶液(濃度は表
3に示すように変更)を脱泡して供給し、圧縮を回復さ
せながら含浸させ、上記ドクターブレードと金属回転ロ
ールとの間で、繊維質基材の厚さの90%まで圧縮スク
イーズした。
【0075】その後、10%ジメチルホルムアミド水溶
液中に浸漬して、ポリウレタンエラストマーを凝固させ
た。次いで、40℃の温水中で十分洗浄し、120℃の
熱風オーブン中で乾燥して、弾性重合体含浸基材を得
た。
【0076】次いで、80℃のトルエン中でこの基材に
ディップとニップを繰り返して、ポリエチレンを溶解除
去し、複合繊維の極細化を行った。その後、90℃の温
水中で基材に含まれているトルエンを共沸除去し、11
0℃の熱風乾燥機中で繊維の平衡水分率以下に乾燥し
た。得られたナイロン6極細繊維の平均繊度は、0.0
3デニールであった。
【0077】その後、基材の表面に、グラビアコーター
を用いて、ジメチルホルムアミドを約20g/m2 塗布
し、120℃の熱風乾燥機中で乾燥した後、該表面に、
600メッシュのサンドペーパーを装着したバフ機でバ
フィング処理を施した。
【0078】バッフィング処理を施した繊維質基材を、
含金染料(カヤカランブラウン2GL200)を基材重
量に対して15%含有する浴比1/20の水溶液中で染
色し、タンニン酸でフィックス処理した。
【0079】かくして得られたシートの特性は、表3に
示す通りであり、第一の弾性重合体の溶液濃度が7〜2
0%であり、第二の弾性重合体の溶液濃度が第一の弾性
重合体のそれよりも5%以下高い場合(実施例10〜1
2)は、表面発色性、耐挫屈性に優れた、良好な風合
い、外観のヌバック調シートが得られたが、第一の弾性
重合体の溶液濃度が低くなると(実施例9)、立毛が長
くなり、表面ヌバック感がやや劣る傾向が認められた。
また、両弾性重合体の溶液濃度の差0である場合(実施
例13)は、耐挫屈性の改善効果があまり大きくなく、
濃度差が5%を越えると(実施例14)、粘度が高くな
りすぎた場合、ピンホール等の欠点が生じやすく風合い
がやや硬くなる傾向が認められた。
【0080】
【表3】
【0081】なお、表3において、◎は極めて良好、○
は良好、△はやや不良であるが実用上問題ないことを示
す。
【0082】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、2段階にわ
たる繊維の極細化処理を必要とせず、しかもゴムライク
な外観及び風合いを解消して、表面ヌバック感に優れ、
特に、風合いがソフトで、表面発色性、耐挫屈性などの
表面特性に優れたヌバック調人工皮革を製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、(a)2種以上の高分子重
    合体から成る極細化可能な複合繊維からウェブを形成
    し、(b)該ウェブの厚さ方向に、500〜3000本
    /cm2 のバーブ貫通パンチング本数でニードルパンチ
    ングを施して、絡合繊維質基材を作成し、(c)該絡合
    繊維質基材に第一の弾性重合体を含浸させ、該基材の厚
    さの60〜90%まで圧縮スクイーズし、(d)その直
    後、圧縮が回復する前に、第二の弾性重合体を付与し、
    圧縮を回復させながら含浸させ、該基材の厚さの70〜
    95%まで圧縮スクイーズして、該第一及び第二の弾性
    重合体を凝固させ、(e)その後、該絡合繊維質基材を
    構成する複合繊維を極細化し、(f)しかる後、該絡合
    繊維質基材の非立毛表面に該第二の弾性重合体の溶剤を
    含む液体を付与して、該第二の弾性重合体の一部を溶解
    又は膨潤させた後、該液体を除去して固化させ、(g)
    該絡合繊維質基材の溶剤含有液体処理面にバフィング処
    理を施すことを特徴とするヌバック調人工皮革の製造
    法。
  2. 【請求項2】 第一の弾性重合体が、ポリオキシエチレ
    ン鎖を含有しないか、あるいは5%以下のポリオキシエ
    チレン鎖を重合体中に含有するポリウレタンエラストマ
    ーであり、有機顔料及び/又は無機顔料を含有している
    請求項1記載のヌバック調人工皮革の製造法。
  3. 【請求項3】 第二の弾性重合体が、ポリオキシエチレ
    ン鎖を重合体中に5〜30%含有するポリウレタンエラ
    ストマーである請求項1又は2記載のヌバック調人工皮
    革の製造法。
  4. 【請求項4】 第二の弾性重合体が、脂環族及び/又は
    脂肪族イソシアネートからなるポリウレタンエラストマ
    ーである請求項1又は2記載のヌバック調人工皮革の製
    造法。
  5. 【請求項5】 第一の弾性重合体を、濃度7〜20%の
    溶液又は分散液で含浸させ、第二の弾性重合体を、該第
    一の弾性重合体の溶液又は分散液の濃度よりも5%以下
    高い濃度の溶液又は分散液で含浸させる請求項1〜4の
    いずれか1項に記載のヌバック調人工皮革の製造法。
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