JP3126566B2 - ヌバック調人工皮革の製造法 - Google Patents

ヌバック調人工皮革の製造法

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JP3126566B2
JP3126566B2 JP05274264A JP27426493A JP3126566B2 JP 3126566 B2 JP3126566 B2 JP 3126566B2 JP 05274264 A JP05274264 A JP 05274264A JP 27426493 A JP27426493 A JP 27426493A JP 3126566 B2 JP3126566 B2 JP 3126566B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヌバック調人工皮革の
製造法に関し、更に詳しくは、2段階にわたる繊維の極
細化処理を必要とせず、しかもゴムライクな外観及び風
合いを解消して、表面が平滑、柔軟で、シャープなチョ
ークマーク性を有し、毛足が短く、繊維立毛密度が高
く、均質性に優れたヌバック調の人工皮革を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から立毛外観を有する人工皮革を製
造する方法として、例えば、織物、編物、不織布等の繊
維集合体に高分子重合体を含浸、凝固させた後、これら
の表面を研磨する方法が行われている。
【0003】また、人工皮革の外観をコントロールする
ために、繊維集合体の見掛け密度を規制したり、弾性重
合体の含浸量を増やしたり、バフ条件をコントロールす
ることなどが一般に行われている。
【0004】しかし、これらの方法では、立毛繊維長が
長くなり、スエードあるいはベロア調人工皮革としては
良好な外観が得られるが、繊維長の短いヌバック調とし
て品位のある外観を持った人工皮革を得ることは出来な
い。
【0005】この問題を解消するために、立毛繊維長を
短くする方法として、例えば、特開平3−161576
号公報には、表層部の複合繊維から極細繊維を発現させ
た後、高分子弾性体を付与して、凝固させる第一段階の
工程と、主として、内部層の複合繊維を極細化する第二
段階の工程とからなる方法が提案されている。
【0006】しかし、この方法では、複合繊維を極細化
する工程が2段階になり、工程数が増えて操作が煩雑に
なるうえ、繊維を極細化した後に、高分子弾性体を付与
するため、高分子弾性体が最表面層で極細繊維に強固に
接合して、外観及び風合いがゴムライクになってしまう
と言う問題がある。
【0007】一方、特公昭61−32432号公報にお
いては、スエード調シートの表面に、弾性重合体の溶剤
であってかつ繊維の非溶剤である液体を付与し、弾性重
合体の一部を溶解又は膨潤させた後、再固化させ、その
後で起毛または整毛することが提案されている。しか
し、この方法は、立毛表面の毛足が長い繊維立毛スエー
ドにおいて、立毛シートの表面毛羽の脱落を防止するこ
とを目的とするものであって、本発明のようなヌバック
調人工皮革の製造方法とは、まったく別異のものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、2
段階にわたる繊維の極細化処理を必要とせず、しかもゴ
ムライクな外観及び風合いを解消して、表面が平滑、柔
軟で、シャープなチョークマーク性を有し、毛足が短
く、繊維立毛密度が高く、立毛状態が均質である、良好
なヌバック調の人工皮革を製造する方法を提供すること
を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明によれば、少なくとも、(a)2
種以上の高分子重合体から成る極細化可能な複合繊維か
らウェブを形成し、(b)該ウェブの厚さ方向に、50
0〜3000本/cm2 のバーブ貫通パンチング本数で
ニードルパンチングを施して、絡合繊維質基材を作成
し、(c)該絡合繊維質基材に弾性重合体を含浸させ、
該基材の厚さの60〜90%までスクイーズして凝固さ
せ、(d)その後、該絡合繊維質基材を構成する複合繊
維を極細化し、(e)しかる後、該絡合繊維質基材の非
立毛表面に弾性重合体の溶剤を含む液体を付与して、該
弾性重合体の一部を溶解又は膨潤させた後、該液体を除
去して固化させ、(f)該絡合繊維質基材の溶剤含有液
体処理面にバフィング処理を施すことを特徴とするヌバ
ック調人工皮革の製造法が提供される。
【0010】本発明方法において、極細化可能な複合繊
維としては、互いに性質の異なる2種以上の高分子重合
体から、複合紡糸、混合紡糸等により形成した複合繊維
であって、少なくとも1種の高分子重合体の溶解除去、
あるいは物理的、化学的作用による割裂で極細化できる
ものが用いられる。
【0011】特に、溶剤溶解性の異なる2種以上の高分
子重合体から成る複合繊維を用い、そのうちの少なくと
も1種の高分子重合体を溶解除去して、極細化するのが
好ましい。
【0012】本発明方法において、極細繊維を形成する
高分子重合体の具体的な例としては、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステルが挙げられる。
【0013】また、これらの極細繊維形成高分子重合体
と共に、溶解除去成分、結合成分として用いられる性質
(例えば、溶剤溶解性)の異なる高分子重合体として
は、上記ポリアミド、ポリエステルに加えて、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、高分子量ポリエチレングリコー
ル、ポリスチレン、ポリアクリレート等を挙げることが
できる。
【0014】かかる複合繊維を、公知のカード、ランダ
ムウェッバー、クロスレーヤー等にかけて、ウェブを形
成する。
【0015】このようにして得たウェブに、ウェブの厚
さ方向に対して、500〜3000本/cm2 、好まし
くは、800〜2000本/cm2 のバーブ貫通パンチ
ング本数でニードルパンチングを施して、絡合繊維質基
材を作成する。バーブ貫通パンチング本数が500本/
cm2 未満では、絡合繊維質基材の絡合が不十分となっ
て、強度不足となり、出来上がった基材のチョークマー
ク性も不十分となる。また、3000本/cm2 よりも
多くなると、絡合繊維質基材がニードルパンチングを過
剰に受けて、損傷が大きくなり、基材にへたりが発生す
るため好ましくない。
【0016】ここで、バーブ貫通パンチング本数とは、
少なくとも一つのバーブを有するニードルを使用し、最
先端に位置するバーブがウェブの厚さ方向に貫通する深
さでパンチングを行った時の打ち込み本数を、1cm2
当たりの値に換算した数値である。
【0017】このようにニードルパンチングを施して作
成した絡合繊維質基材に、弾性重合体を含浸、凝固させ
る。
【0018】絡合繊維質基材に含浸、凝固させる弾性重
合体としては、ポリウレタンエラストマー、ポリウレア
エラストマー、ポリウレタン・ポリウレアエラストマ
ー、ポリアクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエ
ンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマー等
が挙げられるが、中でも、ポリウレタンエラストマー、
ポリウレアエラストマー、ポリウレタン・ポリウレアエ
ラストマー等のポリウレタン系エラストマーが好まし
い。これらのポリウレタン系エラストマーは、平均分子
量500〜4000のポリエーテルグリコール、ポリエ
ステルグリコール、ポリエステル・エーテルグリコー
ル、ポリカプロラクトングリコール、ポリカーボネート
グリコール等から選ばれた、少なくとも1種のポリマー
グリコールと、4、4′―ジフェニルメタンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、イソフォロンジイソシアネート等の有機ジイソシア
ネートと、低分子グリコール、ジアミン、ヒドラジン、
又は有機酸ヒドラジッド、アミノ酸ヒドラジッド等のヒ
ドラジン誘導体から選ばれた鎖伸長剤とを反応させて得
られたものである。
【0019】また、前記弾性重合体を絡合繊維質基材中
に含浸させるには、通常、該弾性重合体を有機溶剤溶液
又は分散液(水性エマルジョンを含む)の形で絡合繊維
質基材に含浸させるが、その濃度は、ヌバック調人工皮
革としてのソフト性、ヌバック調表面の緻密性、繊維立
毛密度等の点で、8〜20%が好ましく、特に12〜1
8%が好ましい。濃度が低すぎると、風合いはソフトに
なるが、表面の立毛感が粗くなり、ヌバック調の外観が
得られ難くなる。一方、濃度が高すぎると、外観は緻密
性が向上して、立毛もヌバック調の毛足の短いものに近
づくが、風合いが固くなる。
【0020】このようにして、弾性重合体を絡合繊維質
基材中に含浸させた後、基材厚さの60〜90%にスク
イーズすることが必要である。基材表面で弾性重合体が
連続層を形成すると、十分な表面立毛繊維密度が得られ
ず、厚み斑の影響を受けて均質なヌバック調人工皮革が
得られないことは言うまでもないが、例え連続層を形成
しなくても、スクイーズ率が基材厚さの90%を超える
と、最終的に得られるシートは毛足が長くなって、本発
明の目的とするヌバック調人工皮革は得られない。一
方、スクイーズ率が基材厚さの60%未満では、基材中
に含まれる弾性重合体の量が少なく、毛足が長くなっ
て、不均一なものとなってしまう。本発明においては、
特に、基材厚さの65〜85%にスクイーズすることが
好ましく、この範囲に近いほど、毛足が短くなり、表面
繊維密度が高くなり、立毛状態の均質性が優れたものと
なる。
【0021】次いで、含浸させた弾性重合体を、絡合繊
維質基材中で凝固させる。弾性重合体を凝固させるため
の具体的方法としては、公知の湿式凝固法、乾式凝固法
のいずれによっても良い。また、該絡合繊維質基材中の
弾性重合体の凝固状態は、多孔質状に凝固しているのが
好ましい。
【0022】絡合繊維質基材に、弾性重合体を含浸、凝
固させた後、少なくとも1種の高分子重合体の溶解除
去、あるいは物理的、化学的作用による割裂等の公知の
方法で複合繊維を極細化する。特に、本発明方法におい
ては、溶剤溶解性の異なる2種以上の高分子重合体から
成る複合繊維を用い、そのうちの少なくとも1種の高分
子重合体を溶解除去して、極細化するのが好ましい。
【0023】溶解除去する高分子重合体がポリアミドで
ある場合は、溶解除去剤として、アルカリ金属又はアル
カリ土類金属と低級アルコールの混合液、ギ酸等が用い
られ、ポリエステルの場合は、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ水溶液が、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリアクリレート等の場合は、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等が用いられる。
【0024】極細化処理後の絡合繊維質基材を構成する
極細繊維の平均繊度は、均質で質感のある表面外観を得
るうえで、0.2デニール以下が好ましく、特に好まし
くは、0.1デニール以下である。
【0025】このようにして作成した極細繊維から成る
絡合繊維質基材の非立毛表面、即ち、起毛処理を施して
いない表面を、そのまま弾性重合体の溶剤を含む液体で
処理する。起毛処理後にこのような液体で処理すると、
最終的に得られるシートの立毛繊維長が長くなり、表面
の立毛状態が不均質になって、本発明の目的とするヌバ
ック調人工皮革が得られない。
【0026】弾性重合体の溶剤を含む液体としては、ジ
メチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、テトラヒドロフラン等の弾性重合体の良
溶媒又はこれらに水、アルコール、メチルエチルケト
ン、前記の弾性重合体を一部混合したものが好ましく用
いられる。これらの弾性重合体の溶剤を含む液体は、前
記弾性重合体の一部を溶解又は膨潤させる必要があるこ
とから、弾性重合体の溶剤を、少なくとも50%以上、
好ましくは70%以上含有することが望ましい。
【0027】弾性重合体の溶剤を含む液体を、極細化さ
れた絡合繊維質基材の表面に付与する方法は、特に限定
されず、例えば、グラビアコーター、スプレーコーター
による塗布、あるいは離形紙等の支持体の表面に弾性重
合体の溶剤を含む液体を塗布しておき、乾燥する前に絡
合繊維質基材の表面と接触一体化させて、該液体を転写
する方法などが挙げられる。この工程においては、グラ
ビアロール等によって、基材を軽くニップしながら、該
液体の付与を行うことが好ましい。
【0028】次いで、弾性重合体の溶剤を含む液体を除
去し、弾性重合体を固化させるために、脱液体処理を行
う。この脱液体処理方法としては、熱風乾燥機を使用す
る乾式法や、水等の液体中に浸漬させる湿式法等が挙げ
られるが、乾式法が前記の弾性重合体を含む液体の使用
量を少なくできることから好ましい。この液体の付与、
脱液体処理は、少なくとも2〜6回繰り返すことが好ま
しく、回数が多い程、均質性は向上するが、6回を越え
ると表面が固くなる傾向が認められる。また、絡合繊維
質基材の非立毛表面への液体の付与量は、1回につき、
5〜55g/m 2 であることが好ましい。液体付与量が
5g/m2 より少ないと、表面立毛繊維長が長くなっ
て、目的とするヌバック調人工皮革が得られ難くなり、
55g/m 2 を超えると表面が固くなったり、脱液体に
時間が掛かるようになる。
【0029】この液体付与処理及び脱液体処理により、
弾性重合体が溶解又は膨潤した後、再固化して、絡合繊
維質基材の表面における極細繊維と弾性重合体の結合を
高めて繊維を押さえ込み、後述するバッフィング処理に
よって、シャープなチョークマーク性を有し、毛足が短
く、立毛状態が均質である、優れたヌバック調の人工皮
革を製造することが可能となる。
【0030】次いで、上記のように処理した絡合繊維質
基材の表面にバフィング処理を施すが、このバフィング
処理前に、表面をスムースまたは小柄のエンボスロー
ル、カレンダーロール、平板プレス等で処理してもよ
い。バフィングは、サンドペーパー、ブラシ、砥石等を
用いて、常法により行うことができる。但し、あまり目
の粗いものを使用してバフィングを行ったり、長時間バ
フィングを行ったりすると、処理面が荒れて、目的とす
るヌバック調の人工皮革を得ることができなくなるの
で、注意しなければならない。
【0031】
【作用】本発明方法では、500〜3000本/cm2
のバーブ貫通パンチング本数でニードルパンチングを施
して、繊維を十分に絡合させているため、強度が十分
で、チョークマーク性に優れ、損傷やへたりのない基材
が得られる。
【0032】また、絡合繊維質基材に弾性重合体を含浸
させ、該基材の厚さの60〜90%までスクイーズして
凝固させることにより、弾性重合体と繊維の構造が最適
化され、バフィング処理した際、毛足が短く、表面繊維
密度が高く、立毛状態の均質性に優れたヌバック調人工
皮革が得られる。
【0033】更に、極細化処理を施した後、基材の非立
毛表面を、弾性重合体の溶剤を含む液体で処理するか
ら、該処理面における極細繊維と弾性重合体の結合を高
めて繊維を押さえ込むことができ、上記各要件とあいま
って、バッフィング処理により、表面が平滑、柔軟で、
シャープなチョークマーク性を有し、毛足が短く、表面
繊維密度が高く、立毛状態が均質である、優れたヌバッ
ク調の人工皮革を製造することが可能となる。
【0034】また、本発明方法では、複合繊維の極細化
は1段階で行われ、2段階にわたる極細化処理を必要と
しない。
【0035】しかも、絡合繊維質基材に弾性重合体を含
浸、凝固させた後で、複合繊維を極細化するから、繊維
を極細化した後に、弾性重合体を付与するために生ずる
従来技術の問題点、即ち、弾性重合体が最表面層で極細
繊維に強固に接合して、外観及び風合いがゴムライクに
なってしまうと言う欠点を、完全に解消することができ
る。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0037】[実施例1〜3、比較例1〜2]ナイロン
6とポリオキシエチレンエーテル変性低密度ポリエチレ
ンとを配合比50:50でチップブレンドし、混合紡糸
により繊度7デニール、繊維長51mmの複合繊維を得
た。得られた複合繊維をカードとクロスレーヤーによっ
て、ウェブにした後、バーブ貫通パンチング本数120
0本/cm2 でニードルパンチングを行い、560g/
2 の絡合繊維基質材を作成した。
【0038】この絡合繊維質基材を、150℃の熱風オ
ーブン中で予備加熱した後、90℃の加熱ロールで、見
掛け密度が0.3g/cm3 、厚さが1.87mmとな
るようにプレスした。
【0039】次に、分子量1800のポリブチレンアジ
ペートと分子量2050のポリテトラメチレンエーテル
グリコール、4、4′―ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、エチレングリコールを反応させて得た、イソシア
ネートにもとずく窒素含有量が4.5%のポリウレタン
エラストマーのジメチルホルムアミド溶液(濃度15
%)を、上記プレスした絡合繊維質基材に含浸させ、回
転平滑ロール上に導き、スェーデン鋼で作成したドクタ
ーブレードで押さえながら、表1に示すように基材厚さ
に対するスクイーズ率を変更してスクイーズした。その
後、10%ジメチルホルムアミド水溶液中に浸漬して、
凝固させた。次いで、40℃の温水中で十分洗浄し、1
20℃の熱風オーブン中で乾燥して、繊維とポリウレタ
ンエラストマーとの比がそれぞれ、88:12、86:
14、81:19、76:24、75:25の弾性重合
体含浸基材を得た。
【0040】次いで、80℃のトルエン中でこの基材に
ディップとニップを繰り返して、ポリエチレンを溶解除
去し、複合繊維の極細化を行った。その後、90℃の温
水中で基材に含まれているトルエンを共沸除去し、12
0℃の熱風乾燥機中で乾燥した。得られた極細繊維の平
均繊度は、0.01デニールであった。
【0041】その後、基材の表面に、200メッシュの
グラビアコーターを用いて、ジメチルホルムアミドを9
g/m2 の割合で塗布し、乾熱乾燥する操作を6回繰り
返した後、該表面に、400メッシュのサンドペーパー
で軽くバフィング処理を施した。
【0042】かくして得られたシートの特性は、表1に
示す通りであり、スクイーズ率が60〜90%の場合
(実施例1〜3)に、良好なヌバック調のシートが得ら
れた。
【0043】
【表1】
【0044】なお表1において、◎は極めて良好、○は
良好、△はやや不良、×は不良であることを示す。
【0045】[実施例4]ポリエチレンテレフタレート
と低密度ポリエチレンとを50:50の組成で2台のエ
クストルーダからそれぞれ溶融押出し、複合紡糸口金に
より、48分割に張り合わされた繊度4デニール、繊維
長51mmの中空分割型複合繊維を得た。得られた複合
繊維をカードとクロスレーヤーにかけて、ウェブを作成
し、バーブ貫通パンチング本数2000本/cm2 でニ
ードルパンチングを行い、560g/m2 の絡合繊維質
基材を作成した。
【0046】この絡合繊維質基材を、150℃の熱風オ
ーブン中で予備加熱した後、90℃の加熱ロールで、見
掛け密度が0.32g/cm3 、厚さが1.75mmと
なるようにプレスした。
【0047】次に、分子量2050のポリテトラメチレ
ンエーテルグリコール、4、4′―ジフェニルメタンジ
イソシアネート、エチレングリコールを反応させて得
た、イソシアネートにもとずく窒素含有量が4.5%の
ポリウレタンエラストマーのジメチルホルムアミド溶液
(濃度13%)を、上記プレスした絡合繊維質基材に含
浸させ、ドクターブレードで押さえながら、基材厚さの
70%までスクイーズした。スクイーズ後の基材を10
%ジメチルホルムアミド水溶液中に浸漬して、凝固させ
た。この後、40℃の温水中で十分洗浄し、繊維とポリ
ウレタンエラストマーとの比が78:21の弾性重合体
含浸基材を得た。
【0048】次いで、80℃のトルエン中で処理して、
ポリエチレンを溶解除去し、複合繊維の極細化を行っ
た。その後、90℃の熱水中で基材に含まれているトル
エンを共沸除去し、120℃の熱風乾燥機中で乾燥し
た。得られた極細繊維の平均繊度は、0.08デニール
であった。
【0049】次いで、基材の表面に、200メッシュの
グラビアコーターを用いて、上記ポリウレタンエラスト
マーを5%含むジメチルホルムアミド溶液を9g/m2
の割合で塗布し、乾熱乾燥する操作を2回繰り返した
後、該表面に、400メッシュのサンドペーパーで軽く
バフィング処理を施した。
【0050】かくして得られたシートは、表面が非常に
滑らかで柔らかく、立毛繊維長が短く、繊維立毛密度が
高く、シャープなチョークマーク性を有し、立毛状態が
均質なヌバック調のシートであった。
【0051】[比較例3]実施例2において、極細化処
理後の基材の表面にジメチルホルムアミドを塗布しなか
った以外は、実施例2と同じ条件で処理を行った。得ら
れたシートは、表面立毛繊維長が長く、シャープなチョ
ークマーク性に欠け、ヌバック調の外観は得られず、む
しろスエード調の外観を呈していた。
【0052】[比較例4]実施例2において、極細化処
理後の基材の表面にバフィング処理を施した後で、ジメ
チルホルムアミドを塗布したが、立毛繊維長が長くな
り、立毛状態が不均質となって、良好なヌバック調シー
トは得られなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、2段階にわ
たる極細化処理を必要とせずに、ゴムライクな外観及び
風合いを解消して、表面が平滑、柔軟で、シャープなチ
ョークマーク性を有し、毛足が短く、繊維立毛密度が高
く、立毛状態が均質である、良好なヌバック調の人工皮
革を製造することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、(a)2種以上の高分子重
    合体から成る極細化可能な複合繊維からウェブを形成
    し、(b)該ウェブの厚さ方向に、500〜3000本
    /cm2 のバーブ貫通パンチング本数でニードルパンチ
    ングを施して、絡合繊維質基材を作成し、(c)該絡合
    繊維質基材に弾性重合体を含浸させ、該基材の厚さの6
    0〜90%までスクイーズして凝固させ、(d)その
    後、該絡合繊維質基材を構成する複合繊維を極細化し、
    (e)しかる後、該絡合繊維質基材の非立毛表面に弾性
    重合体の溶剤を含む液体を付与して、該弾性重合体の一
    部を溶解又は膨潤させた後、該液体を除去して固化さ
    せ、(f)該絡合繊維質基材の溶剤含有液体処理面にバ
    フィング処理を施すことを特徴とするヌバック調人工皮
    革の製造法。
  2. 【請求項2】 溶剤溶解性の異なる2種以上の高分子重
    合体から成る複合繊維から、少なくとも1種の高分子重
    合体を溶解除去して、極細化する請求項1記載のヌバッ
    ク調人工皮革の製造法。
  3. 【請求項3】 極細繊維の平均繊度が、0.2デニール
    以下である請求項1又は2記載のヌバック調人工皮革の
    製造法。
  4. 【請求項4】 絡合繊維質基材の非立毛表面への弾性重
    合体の溶剤を含む液体の付与量が、5〜55g/m2
    ある請求項1、2又は3記載のヌバック調人工皮革の製
    造法。
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