JP3455639B2 - スエード調人工皮革の製造方法 - Google Patents

スエード調人工皮革の製造方法

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JP3455639B2 JP32527796A JP32527796A JP3455639B2 JP 3455639 B2 JP3455639 B2 JP 3455639B2 JP 32527796 A JP32527796 A JP 32527796A JP 32527796 A JP32527796 A JP 32527796A JP 3455639 B2 JP3455639 B2 JP 3455639B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スエード調人工皮
革の製造方法に関するものである。更に詳しくは、極細
繊維を用いたスエード調人工皮革の製造方法において、
人工皮革表面が緻密であり、ニードルパンチによる針穴
等の欠点のない人工皮革の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】スエード調人工皮革は、その高級感から
衣料用、特に婦人向け衣料として用途展開が期待されて
いる。このようなスエード調人工皮革の製造方法として
は、従来、数多くの方法が提案されている。例えば、特
公昭59ー27418号には、抽出により極細化される
多成分繊維とゴム弾性重合体とからなる含浸絡合不織布
を、ゴム弾性重合体を膨潤、収縮させる溶剤で多成分繊
維の分散媒成分を溶解除去し、極細繊維化したのち、表
面をバフ掛けすることによりスエード調人工皮革を得る
方法が記載されている。しかしながら、この方法によっ
て得られる人工皮革は、不織布作成時のニードルパンチ
による針穴の欠点や粗密斑によって、立毛後、特に染色
後に目むけや針穴等の欠点が目立つものとなってしま
う。
【0003】また、特公昭61ー32432号では、繊
維質材料と弾性重合体とからなり立毛処理したスエード
調シートの表面に弾性重合体の溶剤を塗布し、弾性重合
体を再固化する方法が記載されている。しかしながら、
この方法は立毛シートの表面立毛繊維を脱落させないた
め弾性重合体で締め付けることが目的であり、表面針穴
等の欠点のないスエード調人工皮革を得る方法について
は、何等記載されていない。
【0004】更に、特開平7ー126985号には、2
種類以上の高分子重合体から成る極細化可能な複合繊維
を用いてウエブを作成し、該ウェブに弾性重合体を含浸
させ、得られた基材を60〜90%までスクイーズし
て、凝固後、複合繊維を極細化し、該基材の非立毛面に
弾性重合体の溶剤を含む溶液を付与して、弾性重合体の
一部を溶解または膨潤させた後、固化し、該液体処理面
をバフィング処理してヌバック調人工皮革を得る方法が
記載されている。しかしながら、この方法は、立毛繊維
の毛足を短くする点では効果があるが、人工皮革表面の
ニードルパンチによる針穴の欠点等を解決するものでは
ない。
【0005】このように、従来の方法から得られるスエ
ード調人工皮革は、表面の高級感に劣り、不十分なもの
であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決し、ハンドバック、婦人パンプス等
の高級婦人衣料に用いることのできる表面外観の優れた
スエード調人工皮革を提供することを目的としたもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記(A)〜(E) (A)0.2デニール以下に極細化可能な複合繊維を不
織布化する不織布工程、(B)該不織布にポリウレタン
溶液を含浸し、次いでポリウレタンを固化して基材とす
る含浸・固化工程、(C)該基材から不織布を構成する
複合繊維の一方の成分を抽出し、抽出基材とする抽出工
程、(D)該抽出基材の表面にポリウレタン溶液または
ポリウレタンの溶剤を塗布する抽出基材固定化工程、
(E)該塗布面を研磨する立毛工程、の工程からなるス
エード調人工皮革の製造方法において、(C)抽出工程
で得られた抽出基材の長さ/巾の値が、(A)不織布工
程で得られた不織布の長さ/巾の値に対して下記式
(I)
【0008】
【数2】
【0009】[ここで、LaおよびWaは、不織布工程
(A)で得られた不織布の長さおよび巾であり、 Lc
およびWcは抽出工程(C)で得られた抽出基材の長さ
および巾である。]を満足する範囲の値となるように変
形させ、次いで抽出基材固定化工程(D)によってその
変形状態を固定することを特徴とするスエード調人工皮
革の製造方法である。
【0010】以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の不織布工程(A)で用いられる0.2デニール
以下に極細化可能な複合繊維としては、抽出成分と非抽
出成分とからなるものであれば特に規定はないが、例え
ば、抽出成分としては、ポリオレフィンが挙げられる。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン等が挙げられるが、汎用性、
コスト面からポリエチレンが好ましい。特に、溶剤に対
する溶解性が高い点で、密度0.93g/cm3以下の
ポリエチレンを用いることが好ましい。非抽出成分とし
ては、ポリアミド、ポリエステルが挙げられる。ポリア
ミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン6,6、
ナイロン6,10、ナイロン12等が挙げられる。ポリ
エステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。複合
繊維として好ましい組み合わせとしては、ポリオレフィ
ンとポリアミドとの組み合わせであり、特に好ましい組
み合わせとしてはポリエチレンとナイロン6との組み合
わせである。上記複合繊維の形態としては特に規定はな
いが、たとえば溶割型、海島型等が挙げられ、海島型で
あることが好ましい。
【0011】上記複合繊維を不織布化する方法として
は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、複
合繊維を原綿とし、カード、ランダムウエーバー、クロ
スレーヤー等によりウエブ化し、得られたウエブにニー
ドルパンチを行って不織布化する。該ニードルパンチ
は、不織布の厚さ方向に対して行い、500〜3000
本/cm2、好ましくは800〜2000本/cm2
す。ニードルパンチが500本/cm2未満の場合、得
られた不織布の絡合状態が充分でなく、3000本/c
2より多いと不織布を構成する繊維の損傷と得られた
不織布の表面凹凸が大きくなりすぎるので好ましくな
い。本発明に用いられるニードル針は、針折れと絡合効
率とから適宜選択されるべきであるが、一般的にはバー
ブ数が1〜9のものを好ましく用いることができる。
【0012】また、得られた不織布の密度は、0.25
〜0.40g/cm3の範囲であることが好ましい。
【0013】次いで、上記不織布工程(A)で得られた
不織布にポリウレタン溶液を含浸し、次いでポリウレタ
ンを固化して基材とする(含浸・固化工程(B))。上
記不織布は、ポリウレタン含浸を行う前に加熱ゾーンで
加熱し、金属ロールでニップして固定化したしたものに
下記ポリウレタンを含浸、凝固することが好ましい。
【0014】ここで用いられるポリウレタンのポリオー
ル成分としては、例えばポリエーテルタイプ、ポリエス
テルタイプ、ポリカーボネートタイプ等が挙げられ、イ
ソシアネート成分としては、例えばジフェニルメタンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート等が挙げられる。本発明に用いられ
るポリウレタンとしては、用途に応じてこれらすべての
組み合わせから選択して使用することができる。例え
ば、物性および耐トルエン性の面から考えるとジフェニ
ルメタンジイソシアネート系ポリウレタンを用いること
が好ましい。また、ポリオキシエチレンエーテル成分を
含まないポリウレタンとポリオキシエチレンエーテル成
分を含有するポリウレタンを適宜混合して用いることも
できる。上記ポリオキシエチレンエーテル成分は、ポリ
マー重量当たり、1〜30%含有させることによって、
得られた基材の染色性が良好となり、濃色に染色するこ
とができる。更に、本発明で用いられるポリウレタンの
100%モジュラスは、40〜110kg/cm2の範
囲を満足するものであることが好ましい。ここで、ポリ
ウレタンの100%モジュラスが40kg/cm2より
低い場合には耐溶剤性が低下し、110kg/cm2
越える場合には得られる人工皮革の風合が硬くなり好ま
しくない。
【0015】上記ポリウレタンは、一般にジメチルホル
ムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキサイド、テトラヒドロフラン等の
有機極性溶媒に溶解して付与される。また、これらの有
機極性溶媒には、水、アルコール、メチルエチルケトン
等を混合して用いることができる。ポリウレタン含浸量
は、不織布に対してポリウレタン固形分で20〜50%
であることが好ましい。ポリウレタン含浸量が、20%
より少ないと得られる人工皮革がペーパーライクなもの
となり、しなやかさが不足し、50%より多いと得られ
る人工皮革がゴムライクで固いものとなる。
【0016】更に、ポリウレタン含浸後、不織布表面に
付着した余分なポリウレタン樹脂を除去するため、基材
厚さの70%程度にスクイーズすることが好ましい。
【0017】次いで、含浸せしめたポリウレタンを凝固
させる。凝固方法としては、得られた人工皮革がソフト
となることから湿式凝固法を用いることが好ましい。
【0018】抽出工程(C)としては、得られた基材か
ら不織布を構成する複合繊維の一方の成分を抽出して、
複合繊維を極細化し、抽出基材とする。ここで用いられ
る抽出溶剤としては、例えばポリオレフィンを溶解し
て、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンを溶解し
ないものであれば特に限定されない。具体的には、トル
エン、キシレン、トリクレン等の汎用溶剤が挙げられ、
回収の面からトルエンが好ましい。また、トルエンを用
いる場合、80℃以上のトルエンを用いることが特に好
ましい。
【0019】ここで本発明の特徴は、該抽出基材の長さ
/巾の値が、不織布工程(A)で得られた不織布の長さ
/巾の値に対して下記式(I)
【0020】
【数3】
【0021】[ここで、LaおよびWaは、不織布工程
(A)で得られた不織布の長さおよび巾であり、 Lc
およびWcは抽出工程(C)で得られた抽出基材の長さ
および巾である。]を満足する範囲の値となるように変
形させることを特徴とする。このように変形させること
によって抽出基材表面のニードル針穴が変形し、目立ち
にくくなる。
【0022】変形方法としては、得られた抽出基材に長
さ方向のテンションをかけることによって達成される。
抽出基材にかけるテンションの大きさは、用いる抽出基
材を構成する不織布の目付、ポリウレタンの100%モ
ジュラス、ポリウレタンの含浸濃度等によっても異なる
ので適宜選択して行う。変形を行う時期としては、抽出
基材固定化工程(D)の前に行うことが好ましく、抽出
工程(C)において抽出と同時に行うのが特に好まし
い。
【0023】ここで、式(I)の値が1.4より小さい
と抽出基材の針穴がそれ程変形せず、研磨立毛後、特に
染色後に針穴が隠されず品位の劣ったものとなる。ま
た、式(I)の値が1.8より大きと針穴はほとんど縦
に伸ばされて見えなくなるが、逆に抽出基材に縦皺が入
り外観が悪くなる。
【0024】式(I)の値を1.4〜1.8とすること
により、針穴欠点が減少する要因としては以下のことが
考えられる。抽出工程を経ることによって抽出溶剤によ
りポリウレタンがある程度膨潤しているため、抽出基材
の長さ方向にテンションをかけた場合、縦方向に伸長さ
れ、横方向は収縮し、それによって抽出基材の針穴が変
形され、針穴の形状が円形から線状になるためと考えら
れる。また、複合繊維の極細化により極細繊維とポリウ
レタンとの接着が解除され、縦方向に配向され針穴を覆
うように隠蔽することも考えられる。
【0025】次いで、抽出基材からの溶剤の分離方法
は、湿式法、乾式法等が採用できる。その後、上記変形
された抽出基材は乾燥され、抽出基材固定化工程(D)
が施される。これは、抽出基材の変形状態を固定化する
ために必要な工程である。この抽出基材固定化工程
(D)がないと変形された針穴は、立毛工程では維持さ
れていても、染色等の後工程で再びもとの形状に戻って
しまう。
【0026】ここで、抽出基材固定化工程(D)におい
ては、得られた抽出基材の表面にポリウレタン溶液また
はポリウレタンの溶剤を塗布する。抽出基材の固定化
は、得られた抽出基材表面に、更にポリウレタン溶液を
塗布しコート層を設けて固化する方法、あるいは、得ら
れた抽出基材表面にポリウレタンの溶剤を塗布し、該抽
出基材表面のポリウレタンを溶解、再固化せしめる方法
によって行うことができる。ポリウレタン溶液として
は、上記含浸工程(B)で用いられるものと同様のもの
を用いることができる。ポリウレタンの溶剤としては、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等が挙げら
れる。
【0027】塗布方法としては、グラビアロール、グラ
ビアコーター、スプレー等を用いて行うことができる
が、グラビアロールを用いて抽出基材をニップしながら
行うことが好ましい。
【0028】また、抽出基材表面へのポリウレタン溶液
またはポリウレタンの溶剤の塗布量は、基材表面の極細
繊維とポリウレタンとを固定するために必要な量であれ
ばよいが、10〜60g/m2であることが好ましい。
【0029】得られた固定化基材は、該塗布面を研磨す
ることにより立毛化する(立毛工程(E))。研磨方法
としては、従来公知の方法が用いられるが、例えば、研
磨ペーパー等が用いられる。研磨ペーパーを用いる場合
には、所望の立毛の長さによってメッシュの大きさを選
択する。例えば、短い立毛を望む場合は、メッシュの細
かいものを選択し、長い立毛を望む場合は、メッシュの
粗いものを選択する。通常、150〜800メッシュの
サンドぺーパーを用いて、用途や必要に応じて1〜3回
研磨する。
【0030】固定化基材は、上記立毛工程(E)を施す
前あるいは後にスライスして用いることができる。スラ
イスすることによって上記工程によって得られるスェー
ド調人工皮革表面の両面を利用することが可能となり好
ましい。
【0031】また、スライス面は、繊維が切断されてい
るため、繊維が脱落し、表面ががさついて商品価値が低
下する。そのため、スライス面にポリウレタン溶液を塗
布し、繊維とポリウレタンとを固定化する必要がある。
これは繊維とポリウレタンとを固定し、その後の染色工
程や揉み工程で形態変化が起こらないようにするためで
あり、ポリウレタン溶液のスライス面への塗布量は、そ
の目的を達成する範囲でできるだけ少ない方がよい。
【0032】上記(A)〜(E)工程から得られたスェ
ード調人工皮革は、さらに目的に応じて染色処理、柔軟
剤および/または撥水剤処理、揉み処理等を施すことが
できる。
【0033】染色処理については、例えば、繊維がポリ
アミドの場合、含金染料を主体に酸性染料を併用して8
0℃以上で染色することができる。繊維がポリエステル
の場合、分散染料を用いて、高圧染色することができ
る。染色方法としては、例えば、サーキュラー法、ジッ
ガー法、ウインス法、パッドジック法等が挙げられる
が、人工皮革の用途、ロットサイズによって適宜選択さ
れる。人工皮革表面の染色の均一性、安定性等からサー
キュラー法を用いることが好ましい。
【0034】揉み処理は、例えばタンブラーと呼ばれる
柔軟加工機を用いて行うことができる。タンブラーを用
いた揉み処理は、加温状態、具体的には50〜130℃
で行うことが好ましい。また、この方法による揉み処理
は、人工皮革の長さ方向および巾方向にテンションがか
からないので得られた人工皮革の風合いが非常にソフト
なものとなる。更に、揉み処理を行うことにより、抽出
工程後の変形のためにかけられたテンションによって基
材の縦方向に蓄積されている緊張状態を解除することが
できる。また、染色処理後の乾燥と揉み処理とを同時に
行うため、人工皮革の長さ方向に空気流によって搬送す
る方法を用いることができる。この方法を用いると得ら
れた人工皮革の縦方向の物性を上げることができるので
好ましい。揉み処理後には適宜人工皮革表面にブラシを
かけ、整毛等を施すことが好ましい。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
【0036】[実施例1]ナイロン6のチップと密度
0.915g/cm3のポリエチレンとのチップを5
0:50の比率で溶融混合紡糸し、延伸、捲縮、カット
を行い、カット長51mmの原綿を作った。カードおよ
びクロスレイヤーで積層し、3バーブのニードル針で1
400本/cm2の針密度でニードルパンチして、目付
570g/m2、厚さ2.5mmの不織布を作成した。
この不織布を150℃の乾燥機で加熱し、90℃の金属
ロールで冷却ニップし、固定化した。得られた不織布
は、目付565g/m2、厚さ1.75mm、密度0.
33g/cm3、長さ250m、巾1.52m、長さ
(La)/巾(Wa)164であった。(不織布工程
(A))
【0037】次いで、該不織布にポリウレタン溶液を含
浸した。用いたポリウレタン溶液は、100%伸長モジ
ュラス70kg/cm2のポリウレタンを用い、ポリウ
レタン14%、ポリオキシエチレンエーテル7%、凝固
調整剤を含むジメチルホルムアミド(以下、「DMF」
という。)溶液である。含浸量は、900g/m2であ
り、基材表面を該基材厚さの70%にスクイーズして、
余分なポリウレタン樹脂を除去した後、濃度10%のD
MF溶液の水バスで凝固し、140℃で乾燥した。(含
浸工程(B))
【0038】得られた基材を、80℃のトルエンでディ
ップ、ニップを繰り返し、ポリエチレンを抽出した。抽
出と同時に基材巾全体に対して5〜10Kgのテンショ
ンをかけて変形し、その後、乾燥した。抽出基材の目付
は440g/m2、長さ310m、巾1.18m、長さ
(Lb)/巾(Wb)263であった。(抽出工程
(C))式(I)の値は、1.60であった。
【0039】変形された抽出基材の表面に、200メッ
シュのグラビアロールを用いてポリウレタンDMF溶液
を2ロール塗布した。(抽出基材固定化工程(D))
【0040】乾燥後、該塗布面を320メッシュのサン
ドペーパーで研磨し、表面に緻密な極細ナイロン繊維が
立毛したスェード調人工皮革を得た。(立毛工程
(E))
【0041】該人工皮革を長さ方向に表面から0.45
mmのところでスライスした。スライス面にDMFとメ
チルエチルケトン(以下、「MEK」という。)との混
合溶液(DMF/ MEK=70/30)を200メッ
シュのグラビアロールで1ロール塗布した。
【0042】更に、該人工皮革を含金染料を用いてワイ
ン色に染色た。得られた人工皮革の表面は緻密で、針穴
にもとずく欠点がなく品位のあるものであった。しかし
ながら、ややぺーパーライクであったため、タンブラー
揉み機で130℃、30分揉み処理を行った。得られた
スェード調人工皮革は、表面が緻密で針穴による欠点は
なく品位の高いものであり、さらに、柔軟で、しなやか
であり、ヌメリ感、チョークマーク性とも良好であっ
た。
【0043】該人工皮革を裁断し、ジャケットとして仕
上げて着用したところ、軽さ、柔らかさ、品のある外観
とも優れたものであった。
【0044】[実施例2]ナイロン6のチップと密度
0.915g/cm3のポリエチレンとのチップを5
0:50の比率で溶融混合紡糸し、延伸、捲縮、カット
を行い、カット長51mmの原綿を作った。カードおよ
びクロスレイヤーで積層し、3バーブのニードル針で1
400本/cm2の針密度でニードルパンチして、目付
575g/m2、厚さ2.5mmの不織布を作成した。
この不織布を150℃の乾燥機で加熱し、90℃の金属
ロールで冷却ニップし、固定化した。得られた不織布
は、目付567g/m2、厚さ1.90mm、密度0.
30g/cm3、長さ251m、巾1.52m、長さ
(La)/巾(Wa)165であった。(不織布工程
(A))
【0045】次いで、該不織布にポリウレタン溶液を含
浸した。用いたポリウレタン溶液は、100%伸長モジ
ュラス110kg/cm2のポリウレタンであって、ポ
リウレタン10%、ポリオキシエチレンエーテル7%、
凝固調整剤を含むジメチルホルムアミド(以下、「DM
F」という。)溶液である。含浸量は、920g/m2
であり、基材表面を該基材厚さの70%にスクイーズし
て、余分なポリウレタン樹脂を除去した後、濃度10%
のDMF溶液の水バスで凝固し、140℃で乾燥した。
(含浸工程(B))
【0046】得られた基材を、80℃のトルエンでディ
ップ、ニップを繰り返し、ポリエチレンを抽出し、抽出
と同時に基材巾全体に対して5〜10Kgのテンション
をかけて変形し、その後、乾燥した。抽出基材の目付は
420g/m2、長さ290m、巾1.25m、長さ
(Lb)/巾(Wb)232であった。(抽出工程
(C))式(I)の値は、1.41であった。
【0047】変形された抽出基材の表面に、200メッ
シュのグラビアロールを用いてポリウレタンDMF溶液
を2ロール塗布した。(抽出基材固定化工程(D))
【0048】乾燥後、該塗布面を320メッシュのサン
ドペーパーで研磨し、更に、400メッシュのサンドペ
ーパーで研磨した。表面に緻密な極細ナイロン繊維が立
毛したスェード調人工皮革を得た。(立毛工程(E))
【0049】得られた人工皮革を含金染料を用いて青色
に染色した。得られた人工皮革の表面は緻密で、針穴に
もとずく欠点がなく品位のあるものであった。しかしな
がら、ややぺーパーライクであったため、タンブラー揉
み機で130℃、30分揉み処理を行った。得られたス
ェード調人工皮革は、表面が緻密で針穴による欠点はな
く品位の高いものであり、さらに、柔軟で、しなやかで
あり、ヌメリ感、チョークマーク性とも良好であった。
該人工皮革を裁断し、ハンドバックとして仕上げたとこ
ろ、高級感に優れたものであった。
【0050】[比較例1]ナイロン6のチップと密度
0.915g/cm3のポリエチレンとのチップを5
0:50の比率で溶融混合紡糸し、延伸、捲縮、カット
を行い、カット長51mmの原綿を作った。カードおよ
びクロスレイヤーで積層し、3バーブのニードル針で1
400本/cm2の針密度でニードルパンチして、目付
650g/m2、厚さ3.5mmの不織布を作成した。
この不織布を150℃の乾燥機で加熱し、90℃の金属
ロールで冷却ニップし、固定化した。得られた不織布
は、目付655g/m2、厚さ2.30mm、密度0.
28g/cm3、長さ200m、巾1.52m、長さ
(La)/巾(Wa)132であった。(不織布工程
(A))
【0051】次いで、該不織布にポリウレタン溶液を含
浸した。用いたポリウレタン溶液は、100%伸長モジ
ュラス110kg/cm2のポリウレタンであって、ポ
リウレタン10%、ポリオキシエチレンエーテル7%、
凝固調整剤を含むジメチルホルムアミド(以下、「DM
F」という。)溶液である。含浸量は、1300g/m
2であり、基材表面を該基材厚さの70%にスクイーズ
して、余分なポリウレタン樹脂を除去した後、濃度10
%のDMF溶液の水バスで凝固し、140℃で乾燥し
た。(含浸工程(B))
【0052】得られた基材を、80℃のトルエンでディ
ップ、ニップを繰り返し、ポリエチレンを抽出し、抽出
と同時に基材巾全体に対して5〜10Kgのテンション
をかけて変形し、その後、乾燥した。抽出基材の目付は
520g/m2、長さ220m、巾1.38m、長さ
(Lb)/巾(Wb)159であった。(抽出工程
(C))式(I)の値は、1.20であった。
【0053】変形された抽出基材の表面に、200メッ
シュのグラビアロールを用いてポリウレタンDMF溶液
を2ロール塗布した。(抽出基材固定化工程(D))
【0054】乾燥後、該塗布面を320メッシュのサン
ドペーパーで研磨し、更に、600メッシュのサンドペ
ーパーで研磨した。表面に緻密な極細ナイロン繊維が立
毛したスェード調人工皮革をえた。(立毛工程(E))
【0055】得られた人工皮革を含金染料を用いてブラ
ウン色に染色した。得られたスェード調人工皮革は、表
面のヌメリ感、チョークマーク性は良いが、針穴にもと
ずく欠点が見えるため品位の低いものであった。
【0056】[比較例2]ナイロン6のチップと密度
0.915g/cm3のポリエチレンとのチップを5
0:50の比率で溶融混合紡糸し、延伸、捲縮、カット
を行い、カット長51mmの原綿を作った。カードおよ
びクロスレイヤーで積層し、3バーブのニードル針で1
000本/cm2の針密度でニードルパンチして、目付
560g/m2、厚さ2.8mmの不織布を作成した。
この不織布を150℃の乾燥機で加熱し、90℃の金属
ロールで冷却ニップし、固定化した。得られた不織布
は、目付567g/m2、厚さ1.90mm、密度0.
30g/cm3、長さ255m、巾1.54m、長さ
(La)/巾(Wa)166であった。(不織布工程
(A))
【0057】次いで、該不織布にポリウレタン溶液を含
浸した。用いたポリウレタン溶液は、100%伸長モジ
ュラス270kg/cm2のポリウレタンであって、ポ
リウレタン15%、ポリオキシエチレンエーテル7%、
凝固調整剤を含むジメチルホルムアミド(以下、「DM
F」という。)溶液である。含浸量は、985g/m2
であり、基材表面を該基材厚さの80%にスクイーズし
て、余分なポリウレタン樹脂を除去した後、濃度10%
のDMF溶液の水バスで凝固し、140℃で乾燥した。
(含浸工程(B))
【0058】得られた基材を、80℃のトルエンでディ
ップ、ニップを繰り返し、ポリエチレンを抽出し、抽出
と同時に基材巾全体に対して5〜10Kgのテンション
をかけて変形し、その後、乾燥した。抽出基材の目付は
450g/m2、長さ260m、巾1.41m、長さ
(Lb)/巾(Wb)184であった。(抽出工程
(C))式(I)の値は、1.11であった。
【0059】変形された抽出基材の表面に、200メッ
シュのグラビアロールを用いてポリウレタンDMF溶液
を2ロール塗布した。(抽出基材固定化工程(D))
【0060】乾燥後、該塗布面を320メッシュのサン
ドペーパーで研磨し、更に、600メッシュのサンドペ
ーパーで研磨した。表面に緻密な極細ナイロン繊維が立
毛したスェード調人工皮革を得た。(立毛工程(E))
【0061】得られた人工皮革を含金染料を用いて黒色
に染色した。得られたスェード調人工皮革は、表面のヌ
メリ感、チョークマーク性は良いが、針穴にもとずく欠
点が見えるため品位の低いものであった。
【0062】[比較例3]ナイロン6のチップと密度
0.915g/cm3のポリエチレンとのチップを5
0:50の比率で溶融混合紡糸し、延伸、捲縮、カット
を行い、カット長51mmの原綿を作った。カードおよ
びクロスレイヤーで積層し、3バーブのニードル針で1
400本/cm2の針密度でニードルパンチして、目付
567g/m2、厚さ2.8mmの不織布を作成した。
この不織布を150℃の乾燥機で加熱し、90℃の金属
ロールで冷却ニップし、固定化した。得られた不織布
は、目付570g/m2、厚さ1.75mm、長さ30
m、巾1.52m、長さ(La)/巾(Wa)19.7
であった。(不織布工程(A))
【0063】次いで、該不織布にポリウレタン溶液を含
浸した。用いたポリウレタン溶液は、100%伸長モジ
ュラス65kg/cm2のポリウレタンであって、ポリ
ウレタン12%、ポリオキシエチレンエーテル7%、凝
固調整剤を含むジメチルホルムアミド(以下、「DM
F」という。)溶液である。含浸量は、920g/m2
であり、基材表面を該基材厚さの70%にスクイーズし
て、余分なポリウレタン樹脂を除去した後、濃度10%
のDMF溶液の水バスで凝固し、140℃で乾燥した。
(含浸工程(B))
【0064】得られた基材を、80℃のトルエンでディ
ップ、ニップを繰り返し、ポリエチレンを抽出し、乾燥
した。抽出基材の目付は400g/m2、長さ40m、
巾1.05m、長さ(Lb)/巾(Wb)38.1であ
った。(抽出工程(C))式(I)の値は、1.93で
あった。
【0065】変形された抽出基材の表面には、収縮皺が
発生していた。該抽出基材表面に、200メッシュのグ
ラビアロールを用いてポリウレタンDMF溶液を2ロー
ル塗布したがこの皺は消えなかった。(コーティング工
程(D))
【0066】乾燥後、該塗布面を320メッシュのサン
ドペーパーで研磨し、更に、180メッシュのサンドペ
ーパーで研磨し、スェード調人工皮革を得た。(立毛工
程(E))
【0067】得られた人工皮革を長さ方向にスライス
し、スライス面にDMF/水が90/10の割合の溶液
を塗布し、固定化した後、含金染料を用いてブラウン色
に染色した。得られたスェード調人工皮革は、表面の針
穴にもとずく欠点は見えないが、皺跡があり、見栄えが
悪く、品位の劣ったものであった。
【0068】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明方法によれば、
極細繊維を用いたスェード調人工皮革において、該人工
皮革表面が緻密であり、ニードルパンチによる針穴等の
欠点のない高級感あふれたスェード調人工皮革を得るこ
とができ、衣料用、特に高級婦人向け衣料としての用途
展開が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)〜(E) (A)0.2デニール以下に極細化可能な複合繊維を不
    織布化する不織布工程、(B)該不織布にポリウレタン
    溶液を含浸し、次いでポリウレタンを固化して基材とす
    る含浸・固化工程、(C)該基材から不織布を構成する
    複合繊維の一方の成分を抽出し、抽出基材とする抽出工
    程、(D)該抽出基材の表面にポリウレタン溶液または
    ポリウレタンの溶剤を塗布する抽出基材固定化工程、
    (E)該塗布面を研磨する立毛工程、の工程からなるス
    エード調人工皮革の製造方法において、(C)抽出工程
    で得られた抽出基材の長さ/巾の値が、(A)不織布工
    程で得られた不織布の長さ/巾の値に対して下記式
    (I) 【数1】 [ここで、LaおよびWaは、不織布工程(A)で得ら
    れた不織布の長さおよび巾であり、 LcおよびWcは
    抽出工程(C)で得られた抽出基材の長さおよび巾であ
    る。]を満足する範囲の値となるように変形させ、次い
    で抽出基材固化工程(D)によってその変形状態を固定
    することを特徴とするスエード調人工皮革の製造方法。
  2. 【請求項2】 変形を抽出工程(C)において行う請求
    項1記載のスエード調人工皮革の製造方法。
  3. 【請求項3】 不織布工程(A)で得られた不織布の密
    度が0.25〜0.40g/cm3を満足する範囲の値
    である請求項1記載のスエード調人工皮革の製造方法。
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