JP3361976B2 - ヌバック調人工皮革 - Google Patents

ヌバック調人工皮革

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JP3361976B2 JP28830597A JP28830597A JP3361976B2 JP 3361976 B2 JP3361976 B2 JP 3361976B2 JP 28830597 A JP28830597 A JP 28830597A JP 28830597 A JP28830597 A JP 28830597A JP 3361976 B2 JP3361976 B2 JP 3361976B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、天然皮革における
高級ヌバック外観の特徴である、短く、均一かつ緻密な
立毛外観、そこから得られるシャープなライティング効
果およびサラッとしながらも吸い付くようなヌメリ感を
有するヌバック調人工皮革に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、毛足の長い立毛を有するスエード
調の人工皮革および毛足の極めて短い立毛を有するヌバ
ック調の人工皮革について、様々な提案がなされ非常に
多彩な商品が開発されてきた。近年、その中でも特にヌ
バック調人工皮革について、極細繊維を用いた立毛を有
するものの提案が活発に行われている。例えば、特公昭
62−42076号公報には、極細繊維からなる立毛を
有するシート状物の製造方法において、立毛を有する基
材に樹脂を含浸または塗布して立毛を固定し、次いで立
毛面をカレンダーロールでプレスすることによって立毛
を毛羽伏せして密着させた後、起毛面をバフイングする
方法が記載されている。また、特公昭62−42075
号公報には、極細繊維からなる立毛を有するシート状物
の製造方法において、その立毛面をカレンダーロールで
プレスすることによって立毛を毛羽伏せして密着し、次
いでその基材に樹脂を含浸または塗布した後、起毛面を
バフイングする方法が記載されている。特開昭63−5
0580公報には、単繊度0.3de以下の極細繊維絡
合不織布に弾性重合体を含有した繊維質シートに弾性重
合体を塗布し、必要によりエンボシングし、バフイング
を行った後、10%以上の面積収縮を付与することによ
り、立毛部と銀面との混在した表面とする方法が記載さ
れている。特開平3−161576号公報には、まず極
細可能な複合繊維からなる不織布の表層のみを極細繊維
化し、次いでその不織布に弾性樹脂を含浸、凝固した
後、不織布内部の繊維を溶剤等で溶解抽出処理して極細
化し、その最表面を起毛する方法が記載されている。ま
た、特開平4−136280号公報には、繊維集合体に
弾性重合体を主体とした重合体を含有し繊維質シートと
なし、該表面に非繊維状で平均粒径10μ以下かつ見か
け密度0.1〜0.3g/cm3のコラーゲン粉末とポ
リウレタンを主体とした重合体との組成液を塗布し、エ
ンボス加工し、次いで塗布面を起毛処理する方法が記載
されている。さらに、特開平7−133592号公報に
は、極細繊維および/または極細繊維束からなる絡合不
織布と、その絡合空間に存在する弾性重合体の緻密な発
泡体とからなる表面平滑な繊維質基体層の表面に、基体
層の極細繊維と連続する極細立毛を形成した後、その立
毛面に弾性重合体を主体とした樹脂を塗布し、その立毛
と混在一体化した多孔質層を形成し、さらに起毛処理す
ることにより極細立毛の一部をシート表面に露出させる
方法が記載されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような従来の方法
を用いて得られるヌバック調人工皮革は、毛足が短いも
のや毛足の長すぎるもの等各種あるが、その立毛繊維を
観察すると一本一本がランダムに絡みあっているかロー
プ状となっている。また、極細繊維束を使用しているも
のについても、その多くはロープ状に絡み合い、スエー
ド調の人工皮革は得られるものの、天然皮革のもつシャ
ープなライティング効果と、サラッとしながらも吸い付
くようなヌメリ感を持つ毛足の短い本格的なヌバック調
人工皮革は、未だ得られていない。そこで、本願は、従
来の人工皮革では持ち得なかった天然皮革ヌバックのも
つ高級感、すなわちシャープなライティング効果とサラ
ッとしながらも吸い付くようなヌメリ感を併せもつヌバ
ック調人工皮革皮を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはか
かる目的を達成するため鋭意研究を行った結果、人工皮
革の表面層に立毛繊維束を多数存在させることが、天然
皮革ヌバックのもつ高級感、すなわちシャープなライテ
ィング効果と、サラッとしながらも吸い付くようなヌメ
リ感を併せもった表面層を形成することとなるという知
見を得て本発明に到達した。 【0005】すなわち、本発明は、ヌバック調人工皮革
において、下記(1)〜(3) (1)該人工皮革を構成する不織布が、単繊度0.2d
e以下の極細繊維束からなること、(2)該人工皮革の
少なくとも一方の表面に存在する立毛状極細繊維束の長
さXと巾Yとの関係が、下記式(a) 0.3≦X/Y≦8.0 ・・・(a) を満足する範囲にあること、(3)該立毛状極細繊維束
が400〜3000本/cm2を満足する範囲にあるこ
と、を満たすことを特徴とするヌバック調人工皮革であ
る。 【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のヌバック調人工皮革は、(1)該人工皮革を構成
する不織布が単繊度0.2de以下の極細繊維束からな
るものである。極細繊維を形成する高分子重合体として
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリ
アミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステルが挙げられる。極細繊維
の単繊度は、0.2de以下であり、好ましくは、0.
1de以下である。なお、単繊度は平均単繊度であれば
よい。該極細繊維は、束状になっていることが必要であ
り、一つの束に極細繊維が好ましくは、10本から10
00本、更に好ましくは、20本から700本含まれて
いることが好ましい。更に、極細繊維には、例えば、シ
リコン樹脂、高級脂肪酸等の添加剤が含有されているこ
とが好ましく、その含有量は、0.1〜5%であること
が好ましい。 【0007】また、本発明のヌバック調人工皮革は、
(2)該人工皮革の少なくとも一方の表面に存在する立
毛状極細繊維束の長さXと巾Yとの関係が、上記式
(a)を満足する範囲にあり、好ましくは0.5≦X/
Y≦7.0の範囲にあること、(3)該立毛状極細繊維
束が400〜3000本/cm2を満足する範囲にあ
り、好ましくは600〜2500本/cm2を満足する
範囲にあること、を満たすことが必要である。 【0008】ここで、立毛状極細繊維束の長さXと巾Y
との関係は、ヌバック調人工皮革の少なくとも一方の表
面を電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた拡大写真
をもとに求めることができる。立毛状極細繊維束の長さ
Xは、立毛状極細繊維束に対して立毛状極細繊維が少な
くとも5%ある部分の繊維の根元から繊維の先までの直
線距離でなく、最長部分の平均実測値をいい、立毛状極
細繊維束の巾Yは、立毛状極細繊維束に対して立毛状極
細繊維が少なくとも5%ある最大部分の平均巾をいうも
のとする。X/Yの値が、0.3未満である場合にはヌ
メリタッチが発現されず、表層の樹脂のタッチが強調さ
れたものとなり、目的とする効果が得られない。また、
X/Yの値が、8.0を越える場合には、立毛状極細繊
維束が絡み合っている状態となり表面がざらつき、目的
とする効果が得られない。すなわちX/Yの値が、式
(a)を満足する範囲にあるときはじめて、立毛状極細
繊維束が平行に並んだ凹凸を指で感知することにより、
天然皮革のようなヌメリタッチを感じることができると
推測される。 【0009】さらに、この立毛状極細繊維束が400〜
3000本/cm2を満足することが必要であるが、こ
の範囲に満たすことによって、均一なライティング効果
が得られる。この値が、400本/cm2未満の場合に
は、ライティング効果が乏しくなる。一方、3000本
/cm2を越える場合には、実質的に立毛状極細繊維束
の根元を固定するために表層に塗布する樹脂量が少なく
なり、立毛状極細繊維束を固定する力が弱くなるため、
バフィングを行った後の立毛状極細繊維束の長さにバラ
ツキが生じ、表面外観が粗となるという欠点が生じる。 【0010】本発明のヌバック調人工皮革の製造方法
は、従来公知の方法により製造することができる。ここ
で、本発明のヌバック調人工皮革の製造方法を具体的に
説明する。単繊度20de以下、好ましくは1de〜1
0deの極細繊維束形成性繊維を用いて不織布を作成す
る。ここで、極細繊維束形成性繊維とは、後に溶剤処理
あるいは溶割処理等することによって極細化した後の単
繊度を0.2de以下とすることができる繊維をいう。
該極細繊維束形成性繊維としては、例えば、多成分の高
分子重合体からなる複合繊維が挙げられ、複合繊維の形
態としては、例えば、海島型、貼り合わせ型等が挙げら
れるが、海島型を用いることが好ましい。用いられる高
分子重合体の種類としては、上記ポリアミド、ポリエス
テルのほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、高分子量
ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリアクリレ
ート等を挙げることができる。 【0011】海島型複合繊維である極細繊維束形成性繊
維を、従来公知のカード、ランダムウェッバー、クロス
レーヤー等にかけてウェブを形成する。得られたウェブ
の厚さ方向に対して、好ましくは500〜3000本/
cm2、特に好ましくは、800〜2000本/cm2
バーブ貫通パンチング本数でニードルパンチングを施
し、極細繊維束形成性繊維を絡合させ、不織布を作成す
る。バーブ貫通パンチング本数が500本/cm2未満
では、不織布の絡合が不十分となり強度不足となり、そ
れを用いて作成されたヌバック調人工皮革のライティン
グ効果も不十分となるため好ましくない。また、バーブ
貫通パンチング本数が3000本/cm2よりも多くな
ると、ニードルパンチングを過剰に受け、絡合繊維の損
傷が大きくなり、不織布にへたりが発生するため好まし
くない。ここで、バーブ貫通パンチング本数とは、使用
するニードルとして少なくとも1つのバーブを有するも
のを使用し、最先端に位置するバーブがウェブの厚さ方
向に貫通する深さでパンチングを行った時の打ち込み本
数を1cm2当たりの値に換算した数値をいう。ニード
ルパンチングを施すことにより不織布を構成する繊維の
並び方を不織布の厚さ方向にそろえることが好ましい。
絡合方法としては、その他高圧水流を用いる方法、ある
いは、ニードルパンチングと高圧水流を用いる方法とを
併用する方法等を用いることができる。得られた不織布
を加熱処理し、複合繊維の海成分を軟化させた後、カレ
ンダーロール等で加圧処理し、厚さ、見かけ密度および
面平滑性の調整を行なうことが好ましい。この調整は、
目的とする人工皮革の用途により任意に設定できるが、
例えば不織布の厚さは、0.5〜3.0mm、見かけ密
度0.25〜0.45g/cm3、フラット面とするこ
とが好ましい。この場合、加熱されたカレンダーロール
で加圧することにより、加熱処理と加圧処理とを同時に
行うことができるので特に好ましい。 【0012】このようにして得られた不織布に高分子弾
性重合体の溶液または分散液を含浸付与し、凝固させ、
基材を作成する。ここで用いられる高分子弾性重合体と
しては、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラス
トマー、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリ
アクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラス
トマー、スチレン・ブタジエンエラストマー等が挙げら
れるが、なかでもポリウレタンエラストマー、ポリウレ
アポリウレアエラストマー、ポリウレタン・ポリウレア
エラストマー等のポリウレタン系が好ましい。これらポ
リウレタン系エラストマーは、平均分子量500〜40
00のポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコー
ル、ポリエステル・エーテルグリコール、ポリカプロラ
クトングリコール、ポリカーボネートグリコール等から
選ばれた、一種または二種以上のポリマーグリコール
と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キ
シリレジンイソシアネート、トリレジンイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフ
ォロンジイソシアネート等の有機ジイソシアネートと、
低分子グリコール、ジアミン、ヒドラジン、又は有機酸
ヒドラジッド、アミノ酸ヒドラジッド等のヒドラジン誘
導体等から選ばれた鎖伸長剤とを反応させて得られたも
のである。 【0013】また前記高分子弾性重合体を不織布中に含
浸させるためには、通常、該高分子弾性重合体を有機溶
剤溶液または分散液(水性エマルジョンを含む)の形で
不織布に含浸させる。ここで、高分子弾性重合体の溶剤
を含む溶液としては、ジメチルホルムアミド、ジエチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフ
ラン等の高分子弾性重合体の良溶媒からなる溶液、これ
らに水、アルコール、メチルエチルケトン等を混合した
溶液、または、これらに更に高分子弾性重合体を混合し
た溶液等が好ましく用いられる。これらの高分子弾性重
合体の溶剤を含む溶液は、前記高分子弾性重合体の一部
を溶解、または、膨潤させる必要があることから、高分
子弾性重合体の溶剤を少なくとも50%以上、好ましく
は70%以上含有することが好ましい。含浸させる高分
子弾性重合体の濃度は、ヌバック調人工皮革としてのソ
フト性、ヌバック調人工皮革表面の緻密性、繊維立毛密
度等の点から、8〜20%であることが好ましく、12
〜18%であること特に好ましい。濃度が8%より低い
と、風合いはソフトになるが表面の立毛感が粗くなり、
ヌバック調の外観が得られ難くなる。一方、濃度20%
より高いと、外観は緻密性が向上し、立毛もヌバック調
の毛足の短いものに近づくが、風合いが固くなるという
欠点がある。含浸させる高分子弾性重合体は、不織布の
重量に対して15%〜45%範囲で選定することが好ま
しい。 【0014】得られた基材は、基材厚さの60〜95
%、更には、65〜90%にスクイーズすることが好ま
しい。スクイーズ率が60%未満では、基材中に含まれ
る高分子弾性重合体の量が少なく、得られたヌバック調
人工皮革の毛足が長くなり、不均一なものとなり、スク
イーズ率が95%を越える場合には、最終的に得られる
シート表面が樹脂ライクなものとなり、本発明の目的と
するヌバック調人工皮革を得ることが困難となる。スク
イーズ率を上記範囲とすることにより、得られたヌバッ
ク調人工皮革の立毛密度が高く、立毛状態の均質性が優
れたものが得られる。 【0015】次いで、含浸させた高分子弾性重合体を、
基材中で凝固させる。高分子弾性重合体を凝固させる方
法としては、公知の湿式凝固法、乾式凝固法のいずれに
よっても良いが、該基材中の高分子弾性重合体の凝固状
態は、多孔質状に凝固しているのが好ましい。また、該
基材の表面に、含浸させた高分子弾性重合体と同種また
は異種の高分子弾性重合体の薄い被覆層を設けてもよ
い。ここで、適宜加圧処理を行うことができる。その
後、基材を構成する複合繊維の少なくとも一種の高分子
重合体を溶解、抽出除去し、極細繊維束とする。不織布
を構成する繊維として、複合繊維を用いることにより、
該複合繊維を極細化すると同時に極細繊維束となるとい
う製造工程上の有利さから、不織布を構成する繊維とし
て、複合繊維を用いることが好ましい。溶解除去する高
分子重合体がポリアミドである場合には、溶解除去剤と
して、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と低級アル
コールとの混合液、蟻酸等を用いることができ、ポリエ
ステルの場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等のアルカリ水溶液を用いることができ、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリアクリレート等の場合には、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等を用いることができる。 【0016】その後、該極細化された基材の表面に高分
子弾性重合体の溶剤を含む溶液を、付与する。この方法
は、従来公知の方法であれば特に限定されず、例えば、
グラビアコーター、スプレーコータによる塗布などが挙
げられる。この工程においては、グラビアロール等によ
って基材を軽くニップしながら、該溶液の付与を行うこ
とが好ましい。次いで、高分子弾性重合体の溶剤を含む
溶液を除去し、高分子弾性重合体を固化させるために、
脱溶液処理を行う。該脱溶液処理方法としては、熱風乾
燥機を使用する乾式法や、水等の液体中に浸漬させる湿
式法等が挙げられるが、乾式法を用いることが前記の高
分子弾性重合体の溶剤を含む液体の使用料を少なくでき
ることから好ましい。該溶液付与、脱溶液処理は、少な
くとも2〜6回繰り返すことが好ましく、回数が多い
程、最終的に得られるヌバック調人工皮革表面の均質性
は向上するが、6回を越えると該表面が固くなる傾向が
認められ、好ましくない。また、基材の非立毛表面への
溶液の付与量は、5〜100g/m2であることが好ま
しい。溶液付与量が5g/m2より少ないと、最終的に
得られるヌバック調人工皮革表面の立毛繊維が長くな
り、目的とするヌバック調人工皮革が得られ難くなる。
一方、100g/m2を超えると最終的に得られるヌバ
ック調人工皮革表面が固くなり、脱溶剤に長時間かかる
ようになる。 【0017】極細化処理され、更に高分子弾性重合体の
溶剤を含む溶液を付与された基材の表面にバフイング処
理を施すことにより、立毛表面を形成する。バフイング
処理は、サンドペーパー、サンドクロス、サンドネッ
ト、サンドロール、ブラシ、砥石、針布等を用いて行う
ことができるが、ヌバック調の非常に短い立毛を得るた
めには、サンドペーパーを用いることのが好ましい。さ
らに、用いるサンドペーパーは、目の細かいものを用い
ることが好ましく、更に軽くバフイングすることが好ま
しい。目の粗いものを用いて、強くバフイングすると表
面が荒れて、目的とするヌバック調の外観を得ることが
できなくなる。バフイング処理を行った表面に、高分子
弾性重合体の溶剤を含む溶液を塗布することは、最終的
に得られるヌバック調人工皮革の表面の立毛繊維量が少
なく、表面の立毛状態が不均質なものとなり、かつ、表
面の立毛密度が低くなるためこのましくない。 【0018】さらに、本発明のヌバック調人工皮革の製
造方法では、必要に応じて、任意の段階で通常用いられ
る染色加工、揉み処理等による風合い加工、その他、柔
軟剤、撥水剤等の機能性付与剤を処理することによる仕
上げ加工を施すことができる。また、染色加工において
は、拡布状で染色することが好ましい。 【0019】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。また、実施例中における%、部、比率は、断りのな
い限り重量によるものである。 【0020】〔実施例1〕島成分であるナイロン−6、
海成分である低密度ポリエチレン、そして添加剤である
シリコーンを、50/49.5/0.5の割合で混合
し、混合紡糸した。得られた繊維は、繊度5.0de、
カット長51mmであった。これをカードとクロスレイ
ヤーを用いてウェブとし、ニードルパンチングを200
0本/cm2実施し、次いで150℃の熱風チャンバー
で加熱処理し、基体が冷える前に30℃のカレンダーロ
ールでプレスし、目付け約560g/m2、厚さ1.9
mm、見かけ密度0.30g/cm3の絡合繊維不織布
を得た。 【0021】次に、分子量1800のポリブチレンアジ
ペート、分子量2050のポリテトラメチレンエーテル
グリコール、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、エチレングリコールを反応させて得たポリウレタン
エラストマーであって、イソシアナートに基づく窒素含
有量が、4.5%であるポリウレタンエラストマーのジ
メチルホルムアミド溶液(濃度15%)を、先に得た絡
合繊維質不織布に含浸し、更に15%のDMF水溶液中
に浸漬し凝固させた後、40℃の温水中で十分洗浄し、
135℃の熱風チャンバーで乾燥して、弾性重合体含浸
基材を得た。 【0022】この基材を80℃のトルエン中でディップ
とニップを繰り返してポリエチレン成分を溶解除去し、
複合繊維の極細化を行った。その後、90℃の温水中で
基材に含まれているトルエンを共沸除去し、120℃の
熱風チャンバーで乾燥した。ここで得られた極細繊維の
平均単繊度は、0.005de、立毛状極細繊維束の中
の極細繊維は約500本であった。その後、基材表面
に、200メッシュのグラビアコーターを用いて、ジメ
チルホルムアミドを9g/m2の割合で塗布し、乾熱乾
燥する操作を4回繰り返した。 【0023】得られた基材の表面に、600メッシュの
サンドペーパーで非常に軽いバフイングを4回実施し、
立毛表面を形成した後、下記の条件で染色を行った。 染色条件 浴比 1:30 染料 10%owf 染料配合 ・Lanasyn Yellow S-2GL (SANDOZ 製) 7 ・Kayalax Brown GR (日本化薬(株)製) 3 ・Lanasyn Red S-G (SANDOZ 製) 2 【0024】染色乾燥した後、柔軟剤もしくは撥水剤の
付与、揉み加工などの仕上げ加工を必要に応じて行うこ
とによって、非常に高級感のある外観、すなわちシャー
プなライティング効果と、サラッとしながらも吸い付く
ようなヌメリ感をもつヌバック調人工皮革得ることがで
きた。得られたヌバック調人工皮革のX/Yは2.0〜
6.5、立毛状極細繊維束の割合は、800本/cm2
であった。 【0025】〔実施例2〕実施例1と同様の組成で混合
紡糸し、得られたフィラメントを空気イジェクターで引
き取り、金網上に積層ウエブを作ったのち、ニードルパ
ンチングを500本/cm2実施した。次いで、150
℃の熱風チャンバーで加熱処理し、基体が冷える前に3
0℃のカレンダーロールでプレスし、目付け約300g
/m2、厚さ1.0mm、見かけ密度0.30g/cm3
の絡合繊維不織布を得た。 【0026】次に、実施例1と同様な加工を施し分子量
1800のポリブチレンアジペートと分子量2050の
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、4,4−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、エチレングリコールを
反応させて得たポリウレタンエラストマーであって、か
つイソシアナートに基づく窒素含有量が4.5%である
ポリウレタンエラストマーのジメチルホルムアミド溶液
(濃度15%)を、先に得た絡合繊維質不織布に含浸
し、更に15%のDMF水溶液中に浸漬し凝固させた
後、40℃の温水中で十分洗浄し、135℃の熱風チャ
ンバーで乾燥して、弾性重合体含浸基材を得た。 【0027】次に、分子量1800のポリブチレンアジ
ペート、分子量2050のポリテトラメチレンエーテル
グリコール、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、エチレングリコールを反応させて得たポリウレタン
エラストマーであって、かつイソシアナートに基づく窒
素含有量が、4.5%であるポリウレタンエラストマー
のジメチルホルムアミド溶液(濃度15%)を、先に得
た絡合繊維質不織布に含浸し、15%のDMF水溶液中
に浸漬し凝固させた後、40℃の温水中で十分洗浄し、
135℃の熱風チャンバーで乾燥して、弾性重合体含浸
基材を得た。 【0028】この基材を80℃のトルエン中でディプと
ニップを繰り返してポリエチレン成分を溶解除去し、複
合繊維の極細化を行った。その後、90℃の温水中で基
材に含まれているトルエンを共沸除去し、120℃の熱
風チャンバーで乾燥した。ここで得られた極細繊維の平
均単繊度は、0.004de、立毛状極細繊維束の中の
極細繊維は約500本であった。但し、一部サラミ状な
っているものもあった。その後、基材表面に200メッ
シュのグラビアコーターを用いて、ジメチルホルムアミ
ドを9g/m2の割合で塗布し、乾熱乾燥する操作を4
回繰り返した。 【0029】このようにして得られた基材の表面に、8
00メッシュのサンドペーパーで非常に軽いバフイング
を3回実施し、立毛表面を形成し、染色、乾燥した後、
柔軟剤もしくは撥水剤の付与、揉み加工などの仕上げ加
工を必要に応じて行うことによって、非常に高級感のあ
る外観、すなわちシャープなライティング効果とサラッ
としながらも吸い付くようなヌメリ感を有し、軽量なヌ
バック調人工皮革を得ることができた。得られたヌバッ
ク調人工皮革のX/Yは0.6〜5.5、立毛状極細繊
維束の割合は、1200本/cm2であった。 【0030】〔比較例1〕島成分であるナイロン−6、
海成分である低密度ポリエチレンを50/50で混合
し、混合紡糸を行った。得られた繊維は、繊度5.0d
e、カット長51mmであった。実施例1と同様な加工
を実施した。不織布の見掛け密度は0.30g/cm3
であった。ここで得られたヌバック調人工皮革の極細繊
維の平均単繊度は、0.003de、立毛状極細繊維束
の中の極細繊維は約600本、X/Yは1.0〜7.
0、立毛状極細繊維束の割合は310本/cm2であっ
た。得られた人工皮革は、ヌバック調の短い毛足は得ら
れたものの、そのライティング効果はシャープさに欠け
たものとなり、ヌメリタッチも劣るものであり、立毛状
極細繊維束は捻れ絡まったものが多かった。 【0031】〔比較例2〕島成分であるナイロン−6、
海成分である低密度ポリエチレンを50/50で混合
し、混合紡糸を行った。得られた繊維は、繊度5.0d
e、カット長51mmであった。極細化された表面基材
の表面に溶液を付与せず、かつ、目の粗い120メッシ
ュのサンドペーパーを用いて2回バフィングする以外
は、実施例1と同様な加工を実施した。不織布の見掛け
密度は0.30g/cm3であった。ここで得られた極
細繊維の平均単繊度は、0.003de、立毛状極細繊
維束の中の極細繊維は約600本、X/Yは9.0〜2
5.0、立毛状極細繊維束の割合は600本/cm2
あった。得られた人工皮革表面は、毛足が長く、捻れた
ものとなり、表面にはやや凹凸があるものの、ヌメリタ
ッチに乏しく、ざらつくものだった。 【0032】 【発明の効果】本発明のヌバック調人工皮革は、天然皮
革に類似した短く、均一かつ緻密な立毛外観を有するも
のであり、かつ、そのような立毛外観を有することによ
り該ヌバック調人工皮革表面にシャープなライティング
効果と、サラッとしながらも吸い付くようなヌメリ感を
有した高品位なヌバック調人工皮革である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明における立毛状極細繊維束のモデル図で
ある。 【符号の説明】 X:人工皮革の少なくとも一方の表面に存在する立毛状
極細繊維束の長さ(μm) Y:人工皮革の少なくとも一方の表面に存在する立毛状
極細繊維束の巾(μm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/00 - 3/18

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ヌバック調人工皮革において、下記
    (1)〜(3) (1)該人工皮革を構成する不織布が、単繊度0.2d
    e以下の極細繊維束からなること、(2)該人工皮革の
    少なくとも一方の表面に存在する立毛状極細繊維束の長
    さXと巾Yとの関係が、下記式(a) 0.3≦X/Y≦8.0 ・・・(a) を満足する範囲にあること、(3)該立毛状極細繊維束
    が400〜3000本/cm2を満足する範囲にあるこ
    と、を満たすことを特徴とするヌバック調人工皮革。
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