JP4005364B2 - 皮革様シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、伸び止め性が良好でありながら、ソフト性と挫掘性のバランスに優れた新規な皮革様シート状物とその製造方法に関するものである。特に本発明は家具や靴用途に適する皮革様シート状物とその製造方法に関するものである。
従来の技術
近年皮革様シート状物は、使用する繊維の極細繊維化、含浸樹脂の凝固および仕上げ加工などの技術改良が進み、その結果としてソフト性、実用耐久性およびスエード・ヌバック調外観品位などにおいて品質の向上が見られ、衣料、家具およびシューズなどの広い用途に使用されている。しかし、良質の天然皮革と同等のソフトで腰のある風合いに関しては、まだ不十分である。
天然皮革と類似の風合いを有するシート状物を得るために、別々に作った2枚の異なるシート層を張り合わせる方法が、特公昭62−15673号公報や特公昭62−38474号公報などに開示されているが、得られたシート状物は表裏の差異こそ発現するものの、全体がソフトであれば腰が無く、腰の強さがあればハードなものとなり、天然皮革のようなソフトで腰のあるシート状物は、これらの方法では得られなかった。また、これらの方法はシート状物を構成している樹脂や繊維などの成分を溶剤により溶解して接着するため、処理液を非膜状に塗布しない場合には硬くなりすぎるという問題があった。さらに、接着面に処理液による溶解成分が少ない場合、例えば繊維が多く樹脂含浸量が少ないシート状物を樹脂成分を溶解して接着させる場合などに、充分な接着力が確保しにくいという問題があった。
一方、ソフトな基材を生産した場合、加工工程中の張力により基材が無理に伸ばされる結果、風合い、挫掘性が悪くなり、天然皮革のようなソフトで折り曲げしわが繊細で丸みをもって変形される性質が得られないといった問題があった。
それを解決するために、中間層に補強材として織物のスクリムやゴム等のエラストマーシートを挿入することがある。しかし、スクリムを使用した場合、強度的には増すが織り方向による異方性が出るため天然皮革のような丸みが出なくなったり、エラストマーシートを使用した場合には、天然皮革のように大きく折り曲げた際の反発弾性が小さくならず、反発弾性が大きいという問題があった。
特に家具等の部品使用面積の大きい用途では、裁断歩留まりを向上させるため、より幅の広いシート状物が要求されてきている。しかし、シート状物の幅は各工程の機械設備により制約され、従来の設備がハードな基材を生産する前提で設計されているため、ソフトな基材の生産時には長さ方向の張力により、長さが伸長し幅が収縮するため、幅の狭い製品しか生産できない。広幅製品を生産するためには、品質上の問題を解決することに加えて、設備の広幅化や低張力化等の改造に多くの投資が必要であった。そのため、ソフトな基材でありながら品質を低下させず、工程途中での幅の収縮を抑える製造方法が強く要求されていた。
発明が解決しようとする課題
本発明は、上記従来技術の有する問題点を鑑みなされたもので、その目的は、天然皮革のように伸び止め性が良好でありながら、ソフト性と挫掘性が両立してバランスしており、折り曲げしわが繊細で丸みをもって変形される皮革様シート状物およびその製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らの研究によれば、前記本発明の目的は、下記(a)〜(e)の要件を特徴とする皮革様シート状物によって達成されることが見出された。
(a)極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)、
(b)繊維集合体(2)から主として構成されるかあるいは、繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)、
(c)該シート層(1)と該シート層(2)とは、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着され、
(d)該接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)は、それぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に接合状態もしくは非接合状態で存在し、さらに
(e)該接着層においては、高分子弾性体(B)は、少なくとも該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在している。
また、本発明者らの研究によれば、前記本発明による皮革様シート状物は、下記製造方法によって得ることができることが見出された。
すなわち、本発明によれば、溶剤溶解性の異なる少なくとも2種の重合体混合物からなる海島型繊維の繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1’)と、繊維集合体(2)から主として構成されるかあるいは、繊維集合体(2)とその繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)とを高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着した後、海島型繊維の島成分および高分子弾性体は溶解しないが、海島型繊維の海成分は溶解する溶剤で処理し、海成分を溶解除去せしめ海島型繊維を極細繊維化することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法が提供される。
発明の実施の形態
以下、本発明の皮革様シート状物およびその製造方法についてさらに詳細に説明する。
本発明の皮革様シート状物は、概略的にはシート層(1)とシート層(2)とから形成され、これら2つの層は、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着した構造を有している。
本発明のシート層(1)は、極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成され、好ましくは緻密に絡合した3次元絡合不織布の繊維間空隙に高分子弾性重合体を主体とした樹脂が含有されたものである。
ここで極細繊維とは、0.5dtex以下好ましくは0.1dtex以下の極細繊維や、あるいは0.5dtex以下好ましくは0.1dtex以下の極細繊維が束として集合している極細集束繊維のことである。例えば具体的には、(i)単独で0.5dtex以下の極細繊維に紡糸した繊維、(ii)溶剤溶解性の異なる2成分以上の重合体組成物から複合紡糸法または混合紡糸法などにより海島型繊維として紡糸して得た多成分繊維の少なくとも一成分を除去し極細化した繊維、または交互張り合わせ断面を有する複合繊維を分割し極細化した繊維等である。さらに後に処理する高分子弾性体(B)などとの非接合構造をとるために、あらかじめシリコーンまたはポリビニルアルコールなどの糊剤を繊維表面に処理してあってもよい。また、溶剤溶解性の異なる2成分以上の重合体組成物の好ましい組み合わせとしては、不溶解成分としてポリエステルを選定したときには易溶解成分としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン類が、不溶解成分としてポリアミドを選定した時には易溶解成分としてポリエステル類、ポリオレフィン類が好ましく選定される。
これらの繊維を用いて繊維集合体を得るには、例えば公知のカード、レーヤー、ニードルロッカー、流体絡合装置などを用い、交絡繊維密度の高い緻密に絡合した3次元絡合不織布とすることが好ましい。
本発明のシート層(1)において繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)は、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタンウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、合成ゴム、天然ゴムまたはポリアクリル酸樹脂、などであるが、中でもポリウレタン系エラストマーが好ましい。例えばポリウレタン系エラストマーの具体例として下記のように、ポリオールと有機ジイソシアネートとを低分子鎖伸長剤とともに反応させて得たものである。すなわち、分子量500〜4000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペートなどのポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−5−イソシアネート、メチルシクロヘキシルイソシアネート、などの有機ジイソシアネートとを、エチレングリコール、ブチレングリコール、キシリレングリコール、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキシルアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジン、アミノ酸ヒドラジッド、ジカルボン酸ヒドラジットなどの低分子鎖伸長剤などとともに反応させて得たものである。好ましい高分子弾性体(A)の硬さはその弾性体(A)単独でフィルムとした場合、そのフィルムの100%伸長応力で示して100〜3000N/cm、さらに好ましくは300〜1500N/cm、最も好ましくは400〜1000N/cmの範囲にあるものである。
これらの高分子弾性体(A)を繊維集合体に存在させるには、例えば有機溶剤溶液、水性分散液などとして繊維集合体に処理し、従来公知の湿式凝固法、または乾式凝固法などにより繊維集合体に凝固させる。また、処理液には高分子弾性体(A)の弾性度を損なわない範囲で多孔調整剤、着色剤などの任意の配合剤を添加しても構わない。これら高分子弾性体(A)の繊維集合体への付着量により、シート状物のソフト性と反発弾性が調整されるので、繊維集合体に対して高分子弾性体が重量で好ましくは10〜120%、さらに好ましくは25〜80%の範囲である。
また、シート層(1)の皮革様シート状物の外側となる表面(シート層(2)が接着される表面の反対の面)に、従来公知の方法によって、例えば高分子弾性体からなる銀面層や、極細繊維の立毛層を形成させてもよい。銀面層の高分子弾性体は、多孔質あるいは非多孔質のいずれでも、またそれらの単独層、複数の組み合わされた層のいづれが形成されていてもよい。銀面層や立毛層の形成は、高分子弾性体(B)よりなる接着層による接着工程の前後いずれで行ってもよい。
また本発明の皮革様シート状物のシート層(1)の厚さと密度は以下に述べる構成からなることが好ましい。まず厚さt(mm)は0.2以上1.5以下が好ましく、0.3以上1.3以下がさらに好ましい。厚さが上記値より小さい場合薄すぎ強度不足、あるいは実質の加工が困難となる傾向にある。上記値より大きい場合厚すぎ風合いが硬く用途が制限される傾向にある。さらに、シート層(1)の見掛密度ρ(g/cm)は0.20以上0.48以下が好ましく、0.25以上0.45以下がさらに好ましい。シート層(1)の見掛密度が上記値より小さい場合、風合いはソフトであるが腰が無く、また強度も不足する傾向にある。上記値より大きい場合は風合いが硬くなる傾向にある。
次に本発明の皮革様シート状物のシート層(2)について説明する。シート層(2)は、繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(e)とから構成される。シート層(2)の繊維集合体(2)を構成する繊維は通常繊維でもよく、例えば綿、麻、ウール等の天然繊維;レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン等の化学繊維;これらの混紡糸等があげられる。また、繊維は3次元絡合不織布以外の編物等の布帛でもよい。また、高分子弾性体(C)との非接合構造を得るために、シリコーンまたはポリビニルアルコールなどの糊剤をあらかじめ繊維表面に処理したり、シート層(1)と(2)の接着後に海成分が除去可能な海島型繊維を用いることも好ましい。また、高分子弾性体(C)を主体とした樹脂を含浸していることも好ましく、繊維集合体(2)に対して好ましい高分子弾性体は、重量で2〜120%、さらに好ましくは10〜80%の範囲である。さらにシート層(2)はシート層(1)と同様に、極細繊維からなる繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)からなることも好ましい。この高分子弾性体(C)にはシート層(1)で用いられる前記の高分子弾性体(A)と同様のものが用いられる。
また、シート層(2)の皮革様シート状物の外側となる表面(シート層(1)が接着される表面の反対の面)に、シート層(1)と同じく、従来公知の方法によって、例えば高分子弾性体からなる銀面層や、極細繊維の立毛層を形成させてもよい。
シート層(2)の厚さと密度は以下に述べる構成からなることが好ましい。まず厚さt(mm)は0.2以上2.5以下が好ましく、0.3以上2.0以下がさらに好ましい。厚さが上記値より小さい場合薄すぎ強度不足、あるいは実質の加工が困難となる傾向にある。上記値より大きい場合厚すぎ風合いが硬く用途が制限される傾向にある。さらに、シート層(2)の見掛密度ρ(g/cm)は0.20以上0.48以下が好ましく、0.23以上0.45以下がさらに好ましい。シート層(2)の見掛密度が上記値より小さい場合、風合いはソフトであるが腰が無く、また強度も不足する傾向にある。上記値より大きい場合は風合いが硬くなる傾向にある。
またシート層(1)とシート層(2)の厚さと密度は下記式(1)〜(6)を同時に満足する関係にあることが好ましい。
0.20≦ρ≦0.48 …(1)
0.20≦ρ≦0.48 …(2)
0.5≦ρ/ρ≦2.4 …(3)
0.2≦t≦1.5 …(4)
0.2≦t≦2.5 …(5)
0.4≦(t+t)≦4.0 …(6)
前記式中、式(1)、(2)、(4)および(5)は、前記したように、シート層(1)およびシート層(2)のそれぞれの厚さtおよびt(mm)と、見掛密度ρおよびρ(g/cm)を表している。
さらに式(6)は、シート層(1)の厚さt(mm)とシート層(2)の厚さt(mm)の合計(t+t)を表しており、その合計は0.4以上4.0以下が好ましく、0.4以上3.6以下がさらに好ましい。(t+t)が0.4未満では薄すぎ強度が不足し張り合わせ加工が困難となる傾向にあり、また4.0を超える場合、厚すぎ風合いが硬く用途が制限される傾向にある。さらに式(3)はシート層(1)の見掛密度ρ(g/cm)とシート層(2)の見掛密度ρ(g/cm)の比ρ/ρを表し、この比の値は0.50以上2.4以下が好ましく、1.00以上2.0以下が、さらには1.05以上2.00以下が特に好ましい。ρ/ρが0.50未満や、2.4を超える場合には低密度側の緻密感が減少し、しわも大きくなる傾向にあり、密度差が大きいため違和感を生じ易い。
また、シート層(1)および(2)は、それぞれ厚いシートを作成しておきそれを2層以上にスライスしたものでもよく、同じ厚いシートからスライスして得たシートをシート層(1)および(2)として使用してもよい。一般に、厚さ1mm以下の薄い不織布は強度が小さいため、工程通過性が低く、ラインスピードも上げられないため、生産性が低い。このため、厚いシートを作り、スライスにより求める厚さのシート層(1)または(2)を得るのは好ましい方法である。
シート層(1)とシート層(2)とは高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着されるが、シート層(1)とシート層(2)を接着するには、例えば高分子弾性体(B)の有機溶剤溶液あるいは水性分散液などを、一方のシート層の表面に塗布した後、他方のシート層と張り合わせればよい。塗布液には接着を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。また、塗布量は基材への浸透度にもよるが乾燥重量で20g/m以上500g/m以下が好ましい。
この接着層を形成する高分子弾性体(B)は、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、合成ゴムまたはポリ酢酸ビニル樹脂などの弾性体を用いることができるが、これらの中で本発明の皮革様シート状物の用途からポリウレタン樹脂が最も好ましい。ポリウレタン樹脂は具体例として下記に説明するように、ポリオールと有機ジイソシアネートとを、低分子鎖伸長剤とともに反応させて得られたものである。すなわち、分子量500〜4000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペートなどのポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−5−イソシアネート、メチルシクロヘキシルイソシアネート、などの有機ジイソシアネートとを、エチレングリコール、ブチレングリコール、キシリレングリコール、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキシルアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジン、アミノ酸ヒドラジッド、ジカルボン酸ヒドラジットなどの低分子鎖伸長剤とともに反応させて得たものである。さらには接着強度および耐溶剤性を改良するために有機イソシアネートとしてトリメチロールプロパンにトリレンジイソシアネート、あるいはジフェニルメタンジイソシアネートなどを付加させた多官能イソシアネートを用い架橋型ポリウレタン樹脂とすることが好ましい。この場合には、未架橋状態でいずれかのシート層に塗布し、シート層(1)と(2)を張り合わせた後、架橋が終了するまでエージングを行い、接着を終了させる。また、エージングを短縮するために塗布液に各種触媒を添加してもよい。
本発明における接着層とは、高分子弾性体(B)のみからなる層のことだけではなく、シート層(1)および(2)の空隙の一部に高分子弾性体(B)が存在することにより、接着に関与しないシート層の他の部分よりも、高密度となっている層のことをさす。さらに本発明では、シート層(1)とシート層(2)が接して接触層はあるが、高分子弾性体(B)のみからなる層は存在しないことも好ましい。この高分子弾性体(B)よりなる接着層の平均厚さは0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましい。またこの高分子弾性体(B)はそれを単独でフィルムとした場合の物性は、100%伸長応力が200N/cm以上3000N/cm以下であることが好ましい。また、塗布液が空気等の低密度物質を含有していることが好ましく、その場合には塗布液をそのままシートに成形した場合の見掛密度が0.5g/cm以上0.8g/cm以下であることが好ましい。これらの特性値が下限未満の場合、接着強度が不足するなど問題を生じやすい。一方上限を超える場合風合いが硬くなる傾向にある。
本発明の接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)のそれぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に接合状態もしくは非接合状態で存在し、さらに該接着層においては、高分子弾性体(B)は、少なくとも該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在している。
前述したように本発明では、接着層において、高分子弾性体(B)は、シート層(1)を構成する繊維とは実質的に非接合状態で存在していることが必要である。一方シート層(2)を構成する繊維と高分子弾性体(B)は接合状態または非接合状態いずれでもよいが、非接合状態で存在することが好ましい。
高分子弾性体(B)層の高分子弾性体(B)と繊維とが実質的に非接合状態とは、一本一本の極細繊維あるいは通常繊維が高分子弾性体(B)と接触していないか、たとえ接触はしていても接着はしていない繊維が、シート断面において全繊維の少なくとも50%以上、好ましくは80%、さらに好ましくは95%以上である状態をさす。さらに、シート層の繊維の一部として極細繊維束が使用されている場合、接着層の高分子弾性体(B)中に極細繊維束が侵入してはいるが、該極細繊維束の内部空隙には高分子弾性体(B)が存在しておらず、極細繊維束内部の極細単繊維には高分子重合体が接触していないことが好ましい。
この構造は例えば、次の方法により達成される。すなわち、繊維が極細繊維化可能な海島繊維であるシート層(1)を作成し、高分子弾性体(B)よりなる接着層によってシート層を接着し、ついで繊維を構成する極細繊維島成分およびシート層と高分子弾性体(B)層の高分子弾性体をともに溶解せず、繊維の海成分を選択的に溶解する溶剤で処理し、海島型繊維の海成分を除去する。この方法により、高分子弾性体(B)よりなる接着層において高分子弾性体(B)が、シート層の高分子弾性体(A)または(C)とは接合状態にあるが、海島型繊維の外周にあった海成分が溶解除去された結果、高分子弾性体(B)と島成分の極細繊維とは非接合状態となる構造が形成される。この場合には、シート層においても高分子弾性体(A)と島成分の極細繊維とは非接合となり、風合いが向上する。
さらに該シート層(2)が、シート層(1)と同じく、溶剤溶解性の異なる少なくとも2種の重合体組成物からなる海島型繊維の繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されていることが好ましい。この場合には、シート層(1)および(2)の島成分の極細繊維は、高分子弾性体(A)、(B)および(C)のいずれとも非接合状態になるため、皮革様シート状物の全ての高分子弾性体が極細繊維と非接合となる構造が形成される。
他に繊維には非接合状態で、高分子弾性体には接合状態とする方法としては、高分子弾性体を付与する前に、高分子弾性体と繊維との接着を妨げるシリコーン系などの柔軟撥水剤等を繊維表面に処理する方法や、高分子弾性体に接着した後に、繊維表面と高分子弾性体の間の物質を除去する方法などを取ることができる。除去される該物質としては、例えばあらかじめ繊維表面をポリビニルアルコールで処理した場合のポリビニルアルコールや、前述の繊維に海島繊維を用いた場合の海成分などがあげられる。
また、接着層の高分子弾性体(B)は、界面においてシート層(1)の高分子弾性体(A)、およびシート層(2)が樹脂含浸している場合のシート層(2)の高分子弾性体(C)と接合していることが、シート層(1)とシート層(2)の層間接着力を増す上で好ましい。
次に本発明の皮革様シート状物の好ましい態様は下記(I)および(II)のシート状物である。
(I)(a)極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)、
(b)極細繊維からなる繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)、
(c)該シート層(1)と該シート層(2)とは、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着され、
(d)該接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)は、それぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在し、さらに
(e)該接着層においては、高分子弾性体(B)は、該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在しかつ該シート層(2)中の高分子弾性体(C)とも界面で接着して存在している、
ことを特徴とする皮革様シート状物。
(II)(a)極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)、
(b)極細繊維からなる繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)、
(c)該シート層(1)と該シート層(2)とは、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着され、
(d)該接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)は、それぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に接合状態で存在し、さらに
(e)該接着層においては、高分子弾性体(B)は、少なくとも該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在しかつ該シート層(2)中の高分子弾性体(C)と界面で接着して存在している、
ことを特徴とする皮革様シート状物。
本発明の皮革様シート状物は、レザーライク指数が0.5以上2.0以下であることが好ましい。ここでいうレザーライク指数とは後述測定法に従って曲げ硬さ(RB)、曲げ圧縮力(P3)、反発弾性度(ER)を測定し次式により計算した値で示すものである。
レザーライク指数=曲げ圧縮力(P3)/(曲げ硬さ(RB)×反発弾性度(ER))
レザーライク指数の意味はこの数値が大きい程ソフト性に富み曲げ圧縮力(腰の強さ)が大きく、反発弾性が小さい性格を表しており、レザーライク指数が大きいことは天然皮革の性格により近いことを意味するものである。
レザーライク指数を大きくするには曲げ硬さ(RB)および反発弾性度(ER)を小さくし、曲げ圧縮力(P3)を大きくすればよい。例えば本発明のシート状物で曲げ硬さ(RB)を小さくするためには、高分子弾性体(A)とシート層(1)の繊維および高分子弾性体(C)とシート層(2)の繊維とが非接合状態で存在すること、接着層の高分子弾性体(B)がシート層(1)とシート層(2)の間に中間層として介在することにより、一方、曲げ圧縮力(P3)を大きくするためには、シート層(1)およびシート層(2)の見掛密度を上記適性範囲に設定したり、接着層の厚さや樹脂のモジュラスを上記適性値に設定したりすることが好ましい。また、反発弾性度を小さくするためには、シート層(1)中の高分子弾性体(A)と繊維集合体および/またはシート層(2)中の高分子弾性体(C)と繊維とが非接合構造をなしていることが好ましい。
さらに本発明の皮革様シート状物を靴用途などに使用しようとする場合には、シート状物表面の剥離強力が20N/cm以上であることが好ましく、さらに25N/cm以上が望ましい。この剥離強力は、2.5cm×9.0cm試験片の表同士をポリウレタン接着剤で貼り合わせた後、剥離試験したときの剥離力を1cm幅当たりに換算した値である。これを満足した剥離強力を得るには、シート層巾の繊維の厚さ方向の絡合繊維密度を十分に上げることが大切で、例えばニードルパンチングまたは流体絡合法などにより有効な絡合繊維密度とすることにより達成される。また、高分子弾性体(B)によるシート層(1)とシート層(2)との層間接着力を高めることも大切で、例えば接着層の高分子弾性体(B)をシート層(1)およびシート層(2)中に浸透させればよい。
この皮革様シート状物の表面は、さらに従来公知の方法により表面を起毛させたり、銀面層を付与させてもよく、染色等を行ってもよい。これらは工程のどの段階で行ってもよいが、張力による基材の変形を避けたい場合には、接着層による接着後に行えばよい。例えば、起毛する場合は最終工程にてバフ掛けし、染色することがソフトなシートと微細な立毛を保護するために好ましく、銀面構造をとる場合には、シート層の表面に高分子弾性体を含浸処理する際に多孔質の高分子弾性体層を付与するか、および/または最終工程で非多孔質の高分子弾性体層を塗布することが、効率的である。しかし、これらの手法に限定されるものではなく、順序を変更しても、他のエンボス、揉み等の工程をさらに組み合わせてもよい。
かくして得られる皮革様シート状物は、天然皮革のように伸び止め性が良好でありながら、ソフト性と挫掘性が両立してバランスしており、折り曲げしわが繊細で丸みをもって変形される皮革様シート状物であり、特に家具や靴用途に適した皮革様シート状物である。また、本発明の方法は、ソフトな基材でありながら品質を低下させず、工程途中での幅の収縮を抑える製造方法である。
発明の効果
本発明は、繊維集合体を含むシート層(1)とシート層(2)を高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着することによって、接着層が皮革様シート状物の中間に介在し、シートの曲げ変形に対して接着層が中間層の役割を果たし、接着層が存在せず繊維集合体と高分子弾性体のみからなるシート状物と対比して小変形の際の曲げ硬さ(RB)、反発弾性度(ER)を大きくせず、引張応力、大変形の際の曲げ圧縮力(P3)を大きくすることができ、レザーライク指数の大きい、より革らしい特性を有した皮革様シート状物を得ることができる。
ここで中間層とは、シートを曲げ変形させたときシート内には曲げ変形にたいして伸長変形(外側に湾曲する部分)も圧縮変形(内側に圧縮される部分)も生じない層が材料力学的に存在するが、ここで言う中間層とはこの層を意味する。
曲げ硬さは、シートの曲げ断面において中間層からの距離とその位置における応力との積の積分値で表されるので、この中間層となる位置の近くに高モジュラス、高密度の層が存在しても小変形の際の曲げ硬さ(RB)は損なわれない。
一方、曲げ変形を大きくし強くシートを折り曲げ圧縮したときの力、大変形の際の曲げ圧縮力(P3)は密度に比例して高くなるので、シート層よりも高密度の接着層が中間層として存在することにより、天然皮革のもつソフトで腰の強さのある性格により近いレザーライク性を有するものを得ることを可能とした。
さらに接着層の高分子弾性体(B)は、シート層(1)の中に侵入しているが、シート層(1)の繊維とは非接合構造をなしている構造であるため、ソフト性、接着強度を維持した皮革様シート状物をうることを可能にした。
またこの接着層が存在しているため、上述のソフトで挫掘性に優れている点に加えて、接着以降の工程において、工程張力による長さ方向の伸びや幅方向の収縮を抑えることができるようになった。
実施例
次に本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各測定値は、次の方法により測定されものである。
1)厚さ
加圧面は平滑な、直径10mmの円形で、その圧荷重が11.8kPa(120gf/cm)の測定器を使用した以外は、JIS K 6505法に準じて測定した。
2)目付
目付は、JIS K 6505法により求めた重量から、1mあたりに換算し求めた。単位はg/m
3)密度
上記厚さ、目付の測定値より見掛の密度を算出した。
4)5%応力(伸長荷重)、20%応力(伸長荷重)、引張強度、伸長応力
JIS K 6505法によった。
5)曲げ硬さ(RB)
2.5cm×9.0cmの試験片を端部から2.0cmの位置で固定具に把持する。試料他端より2.0cmの位置で、曲率半径2cm、90度に曲げたときの反発力を測定し、この値を試験片の幅1cm当たりに換算して曲げ硬さ(単位;N/cm)とした。
6)曲げ圧縮力(P3)
2.5cm×9.0cmの試験片を中央で2つ折りにし恒速圧縮試験器に装着する。圧縮試験器のヘッドを1cm/minで降ろし試験片を曲げ圧縮変形させ厚さの3倍の間隙まで圧縮したときの圧縮力を幅1cmに換算して曲げ圧縮力(単位;N/cm)とした。
7)反発弾性度(ER)
幅1cm×長さ9cmの試験片を2つ折りにし49.03N/cmの荷重をかけ1時間おいた後荷重を取り除き30秒後に開いた角度(開角度θ)を測定し、次式により求めた。
反発弾性度=(θ/180)×100
8)レザーライク指数
上記の曲げ硬さ(RB)、曲げ圧縮力(P3)、反発弾性度(ER)の測定値より下記式にて求めた。
レザーライク指数=P3/(RB×ER)
9)剥離強力(シート状物表面の剥離強力)
幅2.5cm×長さ9.0cm試験片の表面側に、同じサイズの平織り布を裏打ちしたPVCシートを接着剤(広野化学工業(株)製ユーロック420に日本ポリウレタン(株)製コロネートLを2wt%添加したもの)を用いて貼り合せ、剥離試験したときの剥離力を1cm幅当たりに換算した値で示した。
10)接着層の平均厚さ
走査型電子顕微鏡で断面を撮影した写真から5点を測定し、その平均値を接着層の平均厚さとした。
11)高分子弾性体と繊維との接合/非接合
走査型電子顕微鏡で断面を撮影し、繊維と高分子弾性体の間の空隙を観察した。基材中の高分子弾性体(A)、高分子弾性体(C)、または接着層の高分子弾性体(B)と繊維との接合状態を観察した。高分子弾性体が繊維の周囲全てに密着している状態を接合状態とした。一部が接していても周囲の空隙面積が該繊維の断面積より大きい場合は非接合状態とした。
12)極細繊維束内における高分子弾性体の存在の有無
繊維が極細繊維が収束してなる極細繊維束からなる場合には、走査型電子顕微鏡で断面を撮影し、極細繊維束内における高分子弾性体の存在の有無を観察した。極細繊維束内とは、1本の極細化される前の繊維から生じた多数の極細繊維の最外周の極細繊維に囲まれた空間をさす。極細繊維化される前の繊維の存在が識別できず、極細繊維の周囲に高分子弾性体が存在している場合には、極細繊維束内に高分子弾性体が存在するとみなした。
参考例1(未抽出のシート(1)の作成)
ナイロン−6と低密度ポリエチレンを50:50の割合で混合紡糸し、60℃の温水浴中で3倍に延伸し、機械捲縮を与え、カットし4.4dtex、51mmの繊維を得た。これにカード、クロスレーヤーおよびニードルパンチング処理を行い、ウェブ目付が412g/mのニードルパンチウェブを得た。ついでこれを140℃に設定した熱風乾燥機内のチャンバーで3分間加熱した後、35℃の冷却ロール間を通し、表1に示す厚さの不織布(1)を作成した。ウェブ目付、厚さ、見掛密度を表1に示した。
次に、100%伸長応力が780N/cmのポリエーテル・エステルポリウレタン樹脂(高分子重合体(A)または高分子弾性体(C)に相当する)のジメチルホルムアミド溶液(樹脂濃度15%)100部、親水性凝固調整剤(松本油脂(株)製、FG−10)0.5部、疎水性凝固調整剤(松本油脂(株)製、FG−12)0.5部からなる含浸液を調製した。ついで不織布(1)を上記の含浸液に浸漬し、余分な含浸液をスクイズして除去し、40℃の15%ジメチルホルムアミド水溶液中で湿式凝固させた。これを水洗、乾燥し含浸基材(1)を得た。乾燥後の含浸樹脂量を表1に併せて示した。
この含浸基材(1)を厚さの1/2の位置でスライスし、2枚のシートとした。以下、これを未抽出のシート(1)とする。
参考データとして、このシート(1)の抽出後の物性を測定した。すなわち、まず接着剤で張り合わせていない未抽出のシート(1)を、85℃のトルエンに浸漬しシート厚さの60%の間隙でニップする、含浸−ニップ工程を繰り返し、ポリエチレンを抽出除去した。これを90℃の熱水中に導き、トルエンを除去し、最後に乾燥した。このシート(1)の抽出後の目付、厚さ、見掛密度を表1に併記した。抽出後の最終目付は165g/mであった。
参考例2(未抽出のシート(2)の作成)
ウェブ目付が294g/mである以外は参考例1と同様の処理を行い、スライスされた未抽出のシート(2)を得た。不織布のウェブ目付、厚さおよび見掛密度、含浸基材の乾燥後の含浸樹脂量、を表1に併せて示した。
また、参考データとして、シート(2)の抽出後の目付、厚さ、見掛密度を、参考例1と同様に求め、表1に併記した。抽出後の最終目付は132g/mであった。
参考例3(未抽出のシート(3)の作成)
ウェブ目付が572g/mである以外は参考例1と同様の処理を行い、スライスされた未抽出のシート(3)を得た。不織布のウェブ目付、厚さおよび見掛密度、含浸基材の乾燥後の含浸樹脂量、を表1に併せて示した。
また、参考データとして、シート(3)の抽出後の目付、厚さ、見掛密度を、参考例1と同様に求め、表1に併記した。抽出後の最終目付は200g/mであった。
参考例4(未抽出のシート(4)の作成)
スライスを行わない以外は参考例1と同様に処理を行い、未抽出のシート(4)を得た。不織布のウェブ目付、厚さおよび見掛密度、含浸基材の乾燥後の含浸樹脂量、を表1に併せて示した。
また、参考データとして、シート(4)の抽出後の目付、厚さ、見掛密度を、参考例1と同様に求め、表1に併記した。抽出後の最終目付は330g/mであった。
Figure 0004005364
参考例5(銀面付きである、未抽出のシート(5)の作成)
100%伸長応力が1080N/cmのポリエーテル・ポリエステルウレタン樹脂のジメチルホルムアミド溶液(樹脂濃度20%)100部、親水性凝固調整剤(松本油脂(株)製、FG−10)0.5部、疎水性凝固調整剤(松本油脂(株)製、FG−12)0.5部からなる液を調製し、脱泡して気泡のないコート液を得た。
参考例1で作成した不織布(1)を、参考例(1)で調製した含浸液に浸漬し、余分な含浸液をスクイズして除去し、その上に上記のコート液をウエットで300g/mになるようにコーティングを行い、40℃の15%ジメチルホルムアミド水溶液中で湿式凝固させた。これを水洗、乾燥し銀付き層を持つ含浸基材(5)を得た。
これを厚さの1/2の位置でスライスし、上層、下層の2枚のシートとした。以下これらを、未抽出のシート(5)上層、シート(5)下層とする。
参考データとして、このシート(5)上層、シート(5)下層の抽出後の物性を測定した。すなわち、まず接着剤で張り合わせていない未抽出シートを、85℃のトルエンに浸漬しシート厚さの60%の間隙でニップする、含浸−ニップ工程を繰り返し、ポリエチレンを抽出除去した。これを90℃の熱水中に導きトルエンを除去し、最後に乾燥させた。このシート(5)上層、シート(5)下層の抽出後の厚さ、重さ、見掛密度をそれぞれ表2に併記した。
参考例6(銀面付きである、未抽出のシート(6)の作成)
スライスを行わない以外は参考例5と同様に処理を行った。樹脂含浸前の不織布厚さ、密度、含浸樹脂量、を表2に併せて示す。
そして、参考例5の銀付層を持つ含浸基材(5)を、スライスせずにそのまま未抽出のシート(6)とした。
参考データとして、このシートをそのままの状態で抽出を行った、抽出後の厚さ、重さ、見掛密度を表2に併記した。
Figure 0004005364
参考例7(未抽出のシート(7)の作成)
ウェブ目付が420g/mである以外は参考例1と同様の処理を行い、スライスされた未抽出のシート(7)を得た。不織布のウェブ目付、厚さおよび見掛密度、含浸基材の乾燥後の含浸樹脂量、を表3に併せて示した。
また、参考データとして、シート(7)の抽出後の目付、厚さ、見掛密度を、参考例1と同様に求め、表3に併記した。抽出後の最終目付は188g/mであった。
参考例8(シート(8)の作成)
一方、第1成分としてポリエチレンテレフタレート、第2成分としてナイロン−6とし16分割歯車型の断面を有する剥離分割型複合繊維を溶融紡糸し、40℃の温水中で2.0倍延伸、機械捲縮を与え、カットし、3.3dtex、45mm、温水収縮率9.5%の熱収縮剥離分割型複合繊維を得た。両成分の容積比率は50:50であり、両成分は互いに相手成分によって16分割されている。これをカード、クロスレイヤー、ニードルパンチング、高圧水流交絡処理を行い286g/mのウェブを得た。さらにこのウェブを75℃の温水槽の中に20秒間浸漬させてポリエチレンテレフタレート繊維を収縮させて面積を21%収縮させ、110℃の熱風乾燥機で乾燥させて表3に示す厚さの不織布(8)を得た。
次いで、100%伸長応力が1030N/cmのポリエーテル・エステルポリウレタン樹脂(高分子弾性体(A)または高分子弾性体(C)に相当する)のジメチルホルムアミド溶液(樹脂濃度10%)100部、親水性凝固調整剤(松本油脂(株)製、FG−10)0.5部、疎水性凝固調整剤(松本油脂(株)製、FG−12)0.5部からなる含浸液を調製した。ついで不織布(8)を上記の含浸液に浸漬し、余分な含浸液をスクイズして除去し、40℃の15%ジメチルホルムアミド水溶液中で湿式凝固させた。これを水洗、乾燥し含浸基材(8)を得た。乾燥後の含浸樹脂量を表3に併せて示した。
この含浸基材(8)を厚さの1/2の位置でスライスし、2枚のシートとした。以下、これをシート(8)とする。
Figure 0004005364
実施例1
ポリウレタン樹脂(高分子弾性体(B)に相当する)を主体とする接着剤としてクリスボンTA−290(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度45%)50部、クリスボンTA−265(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度65%)50部、コロネート2094(日本ポリウレタン(株)製の架橋剤)12部、クリスボンアクセル−T(大日本インキ(株)製の触媒)3部、メチルエチルケトン20部である接着剤組成物(1)を調整した。この接着剤組成物(1)を離形紙上に塗布、乾燥、エージングを同様に行ったフィルムで測定した見掛密度は1.15g/cm、100%伸長応力は294N/cmであった。
次に参考例1のスライスした未抽出のシート(1)2枚を用い、一方のシートのスライス面に接着剤組成物(1)をウエットで200g/mになるように塗布し、ついでもう一方のシートのスライス面と合わさるように重ね合わせ、スライス前のシート2枚の厚さ合計の85%の間隙のニップロール間を通し張り合わせ、ロール状に巻き取った状態で60℃、48時間エージングを行った。
高分子弾性体(B)層の平均厚さを測定したところ、0.06mmであった。
ついでこのシートを85℃のトルエンに浸漬しシート厚さの60%の間隙でニップする、含浸−ニップ工程を繰り返し、繊維中のポリエチレンを抽出除去した。これを90℃の熱水中に導きトルエンを除去し、最後に乾燥させた。得られたシートは、抽出前のシートに対し幅収縮が3%以下、タテ伸びは2%以下で張力に対する抵抗力が大きく、生産安定性が優れていた。
さらに得られたシートの一面にジメチルホルムアミドを200メッシュのグラビアロールで塗布、乾燥させた後、400メッシュのエメリーペーパーをつけた研磨機でバフィングし、立毛基材を作成、この立毛基材を液流染色機を用いて染色した。
得られたシートはソフトで挫掘性がなく、レザーライク指数が高く、また表面は微細な立毛を有しライテイング効果も優れており、天然皮革のヌバックに近似したものであった。
また、電子顕微鏡にて観察したところ、高分子弾性体(B)がシート層(1)およびシート層(2)の中に侵入しているとともに、高分子弾性体(B)を含む全ての高分子弾性体と、シート層(1)およびシート層(2)を構成する繊維とは実質的に非接合であった。かつ極細繊維束は高分子弾性体(B)層中には侵入しているが、極細繊維束の内部空隙には高分子弾性体(B)を含む全ての高分子弾性体が存在していなかった。また、高分子弾性体(B)とシート層を構成する高分子弾性体とは接合していた。
表4に得られたシートの特性値を示した。
実施例2、3
参考例1の未抽出のシート(1)2枚を用いる替わりに、参考例2または参考例3のスライスした未抽出のシート(2)2枚または未抽出のシート(3)2枚を用いる以外は、実施例1と同様に処理を行った。
電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。
得られたシートの特性値を表4に併せて示した。
比較例1
参考例1のスライスした未抽出のシート(1)2枚を接着して用いる替わりに、参考例4のスライスを行わない未抽出のシート(4)1枚を用い、実施例1と同様に抽出、立毛、染色処理を行った。
得られたシートの特性値を表4に併せて示した。
実施例1に比較して、抽出工程でのタテ伸びが6%、幅収縮が10%で形態変化が大きく、柔軟性には富むものの腰がなく挫掘性もおとりレザーライク性の値も劣っていた。
Figure 0004005364
実施例4
ポリウレタン樹脂(高分子弾性体(B)に相当する)を主体とする接着剤としてクリスボンTA−290(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度45%)30部、クリスボンTA−265(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度65%)30部、クリスボンNB−765(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度30%)40部、コロネート2094(日本ポリウレタン(株)製の架橋剤)10部、クリスボンアクセル−T(大日本インキ(株)製の触媒)3部、メチルエチルケトン20部である接着剤組成物(2)を調整した。この接着剤組成物(2)を離形紙上に塗布、乾燥、エージングを同様に行ったフィルムで測定した100%伸長応力は588N/cmであった。
次に参考例3の未抽出のシート(3)を上層に、参考例4の未抽出のシート(4)を下層に用い、上記の接着剤組成物(2)を用いる以外は、実施例1と同様に張り合わせ、抽出、立毛、染色処理を行った。
電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。
得られたシートは挫掘性が無く、レザーライク指数も高く、靴用素材として優れたものであった。表5に得られたシートの特性値を示した。
実施例5
ポリウレタン樹脂(高分子重合体(B)に相当する)を主体とする接着剤としてクリスボンTA−290(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度45%)15部、クリスボンTA−265(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度65%)15部、クリスボンNB−765(大日本インキ(株)製のポリウレタン樹脂、濃度30%)80部、コロネート2094(日本ポリウレタン(株)製の架橋剤)8部、クリスボンアクセル−T(大日本インキ(株)製の触媒)3部、メチルエチルケトン20部である接着剤組成物(3)を調整した。この接着剤組成物(3)を離形紙上に塗布、乾燥、エージングを同様に行ったフィルムで測定した100%伸長応力は883N/cmであった。
次に参考例3の未抽出のシート(3)を上層に、参考例4の未抽出のシート(4)を下層に用い、上記の接着剤組成物(3)を用いる以外は、実施例1と同様に張り合わせ、抽出、立毛、染色処理を行った。
電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。
得られたシートは挫掘性が無く、レザーライク指数も高く、靴用素材として優れたものであった。表5に得られたシートの特性値を示した。
実施例6
参考例1の未抽出のシート(1)2枚を用いる替わりに、参考例3の未抽出のシート(3)を表面に、参考例2の未抽出のシート(2)を裏面に用いること以外は、実施例1と同様に処理を行った。高分子弾性体(B)層の平均厚さは0.08mmで得られたシートの表面は緻密なヌバック調の外観をもち、かつ柔軟性に優れたもので皮革様シート状物として、靴、家具などに適していた。電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。得られた特性を表5に併せて示した。
実施例7
通常の接着剤組成物(1)の替わりに、接着剤組成物中にエアホーマーを用い空気を吹き込むと同時に高速撹拌を行い気泡を含んだ接着剤を作成し、これを用いること以外は、実施例6と同様に処理を行った。高分子弾性体(B)層の平均厚さは0.10mmであり、この気泡を含んだ接着剤のみを成形したシートで測定した見掛密度は0.6g/cmであった。電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。得られたシートの特性を表5に併せて示した。
実施例8
参考例3の未抽出のシート(3)をそのまま表面に用いる替わりに、参考例3のシートを100℃に加熱したプレスロールで処理し、厚さ0.45mm、基材密度0.44g/cmのシートを作成、これを表面に用いる以外は実施例6と同様に処理を行った。得られたものはやや表面硬さがあるが挫掘性がなく靴素材として優れていた。電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。得られたシートの特性を表5に併せて示した。
Figure 0004005364
実施例9
参考例1のスライスした未抽出のシート(1)2枚を用いる替わりに、参考例5のスライスした未抽出のシート(5)2枚を用いる以外は、実施例1と同様に接着、抽出処理を行った。
得られたシートは抽出工程での幅収縮が3%以下、縦伸びは2%以下で張力に対する抵抗力が大きく生産の安定性に優れていた。
さらに得られたシートのコーティング層を持つ面にエンボス加工などによりシボ柄を付与した後、200メッシュのグラビアロールで、100%伸長応力が392N/cmのポリウレタン樹脂を用いて表面を仕上げた後、柔軟剤を付与し、もみ加工を行った。
電子顕微鏡にて観察したところ、各シート層を構成する各高分子弾性体、各繊維間の関係は実施例1と同様であった。
得られた銀付き調シートは、ソフトで挫掘感がなくレザーライク指数が高く、また折り曲げ時の表面に現れるシワが非常に緻密で微細な小ジワとなり天然皮革の高級銀付きに近似したものとなった。このシートの特性値を表6に併せて示した。
比較例2
参考例5のスライスした未抽出のシート(5)2枚を接着して用いる替わりに、参考例6のスライスを行わない未抽出のシート(6)1枚を用い、実施例9と同様に抽出以降の処理を行った。樹脂含浸前の不織布厚さ、密度、含浸樹脂量、抽出後の厚さ、重さ、見掛密度を表1に併せて示す。最終的に得られたシートの特性値を表6に併記した。
得られた銀付き調シートは、実施例9に比較し抽出工程での幅収縮は10%以上、縦伸びも7%と形態変化が大きく、柔軟性には富むものの腰がなく、挫掘性も劣りレザーライク指数の値も劣っていた。また、折り曲げ時の表面におけるシワも大きく銀付き調シートとしては劣っていた。このシートの特性値を表6に併せて示した。
実施例10
参考例8で得られたシート(8)(シート層(2)に相当する)のスライス面に、実施例1で使用したものと同じ組成の接着剤組成物(1)をウェットで230g/mになるように塗布し、参考例7で得られた未抽出のシート(7)(シート層(1)に相当する)のスライス面と合わさるように重ね合わせて、実施例1と同様の貼り合わせ加工を行った。このときの接着層の平均厚さは0.07mmであった。ついで、この基材を実施例1と同様に85℃のトルエンを用いポリエチレンを抽出除去した。得られた基材は抽出工程での幅収縮が3%以下、縦伸びは2%以下で張力に対する抵抗力が大きく生産の安定度が優れていた。
さらに得られたシートのシート層(1)に相当する(未抽出のシート(7))の表面にジメチルホルムアミドを200メッシュのグラビアロールで塗布、乾燥させた後、400メッシュのエメリーペーパーをつけた研磨機でバフィングし、立毛基材を作成、この立毛基材を液流染色機を用いて染色した。
得られたシートは、ソフトで挫掘感がなくレザーライク指数が高く、また表面は微細な立毛を有しライティング効果も優れており、天然皮革のヌバックに近似したものとなった。
また、電子顕微鏡にて観察したところ、高分子弾性体(B)がシート層(1)およびシート層(2)の中に侵入しているとともに、高分子弾性体(A)および高分子弾性体(B)と、シート層(1)を構成する繊維とは実質的に非接合であった。かつシート層(1)を構成する極細繊維束は高分子弾性体(B)層中には侵入しているが、極細繊維束の内部空隙には高分子弾性体(A)および高分子弾性体(B)は存在していなかった。また、高分子弾性体(B)と各シート層を構成する高分子弾性体とは接合していた。
表6に得られたシートの特性値を示した。
Figure 0004005364
発明の効果
本発明により、天然皮革のようにソフト性と挫掘性が両立してバランスしており、折り曲げしわが繊細で丸みをもって変形される皮革様シート状物が得られる。また、本発明の製造方法によれば製造工程での幅収縮が抑えられるため、広幅製品を生産しやすい。

Claims (18)

  1. (a)極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)、
    (b)繊維集合体(2)から主として構成されるかあるいは、繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)、
    (c)該シート層(1)と該シート層(2)とは、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着され、
    (d)該接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)は、それぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に接合状態もしくは非接合状態で存在し、さらに
    (e)該接着層においては、高分子弾性体(B)は、少なくとも該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在している、
    ことを特徴とする皮革様シート状物。
  2. シート層(1)において、極細繊維が極細繊維束として存在しており、シート層(1)の界面において接着層中に該極細繊維束が侵入して存在しかつ、該極細繊維束の内部空隙には接着層成分の高分子弾性体(B)が実質的に存在していない請求項1記載の皮革様シート状物。
  3. 接着層は、シート層(1)の界面において高分子弾性体(A)と接合している請求項1記載の皮革様シート状物。
  4. シート層(2)が、繊維集合体(2)とその繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成される請求項1記載の皮革様シート状物。
  5. シート層(2)は、極細繊維より構成され、その繊維間空隙に高分子弾性体(C)が存在する請求項4記載の皮革様シート状物。
  6. 接着層は、シート層(2)の界面において高分子弾性体(C)と接合している請求項4記載の皮革様シート状物。
  7. 接着層の高分子弾性体(B)が、シート層(2)の界面においてシート層(2)を構成する繊維とは実質的に非接合である請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮革様シート状物。
  8. シート層(1)の見掛密度ρ(g/cm)と厚さt(mm)、およびシート層(2)の見掛密度ρ(g/cm)と厚さt(mm)が下記式(1)〜(6)を同時に満足する請求項1記載の皮革様シート状物。
    0.20≦ρ≦0.48 …(1)
    0.20≦ρ≦0.48 …(2)
    0.5≦ρ/ρ≦2.4 …(3)
    0.2≦t≦1.5 …(4)
    0.2≦t≦2.5 …(5)
    0.4≦(t+t)≦4.0 …(6)
  9. 接着層はその平均厚さが0.01mm以上0.5mm以下である請求項1記載の皮革様シート状物。
  10. 接着層の高分子弾性体(B)は、その弾性体単独で形成されたフィルムの100%伸長応力が200N/cm以上3000N/cm以下である請求項1記載の皮革様シート状物。
  11. レザーライク指数が0.5以上2.0以下である請求項8記載の皮革様シート状物。
  12. シート状物表面の剥離強力が20N/cm以上である請求項1記載の皮革様シート状物。
  13. (a)極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)、
    (b)極細繊維からなる繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)、
    (c)該シート層(1)と該シート層(2)とは、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着され、
    (d)該接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)は、それぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在し、さらに
    (e)該接着層においては、高分子弾性体(B)は、該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在しかつ該シート層(2)中の高分子弾性体(C)とも界面で接着して存在している、
    ことを特徴とする皮革様シート状物。
  14. (a)極細繊維からなる繊維集合体(1)と該繊維集合体(1)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)、
    (b)極細繊維からなる繊維集合体(2)と該繊維集合体(2)の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)、
    (c)該シート層(1)と該シート層(2)とは、高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着され、
    (d)該接着層においては、該シート層(1)および該シート層(2)は、それぞれ界面においてそれぞれの繊維が接着層に侵入しているが、シート層(1)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に非接合状態で存在しかつシート層(2)の繊維は高分子弾性体(B)と実質的に接合状態で存在し、さらに
    (e)該接着層においては、高分子弾性体(B)は、少なくとも該シート層(1)中の高分子弾性体(A)と界面で接着して存在しかつ該シート層(2)中の高分子弾性体(C)と界面で接着して存在している、
    ことを特徴とする皮革様シート状物。
  15. 溶剤溶解性の異なる少なくとも2種の重合体混合物からなる海島型繊維の繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1’)と、繊維集合体(2)から主として構成されるかあるいは繊維集合体(2)とその繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成されるシート層(2)とを高分子弾性体(B)よりなる接着層を介して接着した後、海島型繊維の島成分および高分子弾性体は溶解しないが、海島型繊維の海成分は溶解する溶剤で処理し、海成分を溶解除去せしめ、海島型繊維を極細繊維化することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  16. 該シート層(2)は、極細繊維から構成されその繊維間空隙に高分子弾性体(C)が存在する請求項15記載の皮革様シート状物の製造方法。
  17. 該シート層(2)が、溶剤溶解性の異なる少なくとも2種の重合体混合物からなる海島型繊維の繊維より構成されその繊維間空隙に高分子弾性体(C)が存在する請求項15記載の皮革様シート状物の製造方法。
  18. 請求項1、13または14記載の皮革様シート状物を使用した人工皮革。
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