JP2003193375A - ストレッチ性人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

ストレッチ性人工皮革およびその製造方法

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JP2003193375A
JP2003193375A JP2001387177A JP2001387177A JP2003193375A JP 2003193375 A JP2003193375 A JP 2003193375A JP 2001387177 A JP2001387177 A JP 2001387177A JP 2001387177 A JP2001387177 A JP 2001387177A JP 2003193375 A JP2003193375 A JP 2003193375A
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artificial leather
polyamide
fabric sheet
stretchable artificial
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JP2001387177A
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Shunichi Shinohara
俊一 篠原
Yasuyoshi Horiguchi
泰義 堀口
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、折り曲げ皺がなく、柔軟で伸長回復
性を有するストレッチ性人工皮革およびその製造方法を
提供せんとすることものである。 【解決手段】本発明のストレッチ性人工皮革は、ポリア
ミド繊維、および、膨潤剤に対する溶解性および/また
は膨潤性が該ポリアミドとは異なる単糸繊度0.2dt
ex以下のポリエステル繊維が交絡してなる高分子弾性
体含有不織布シートであって、該繊維シートの繊維密度
が0.250〜0.350g/cm3 の範囲内にあり、
かつ、該不織布シートの伸長回復率が70%以上である
ことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合い、伸長回復
性、にすぐれた人工皮革に関するものである。さらに詳
しくは、長繊維からなる不織布を使用した風合い、伸長
回復性に優れたストレッチ性人工皮革およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】人工皮革の製造方法として、短繊維をウ
ェッブとしニードルパンチ、水流交絡により絡合させた
繊維シートを使用しポリウレタンを付与して人工皮革と
するのが基本となっている。
【0003】一般に不織布は繊維が面配向であるため、
樹脂加工により接着された後では折り曲げにたいし変形
が局部に集中し挫屈、骨立ちを生じる。これを防止する
ためには不織布構成繊維をできるだけ厚み方向に移動さ
せる必要があり、これまでニードルパンチや水流交絡の
アクションにより繊維を厚み方向に移動させ3次元の繊
維配列にすることが容易な短繊維が人工皮革として使用
されてきた。
【0004】一方スパンボンドのごとき連続フィラメン
トの不織布で人工皮革を製造する試みとして 割繊型複
合繊維の連続フィラメントからなるシートに高圧水流処
理を施し細繊維化と厚み方向への繊維の移動による交洛
を進める方法(特開平02−182962号公報)、芯
鞘型繊維で同様に高圧水流処理を施し交洛させる方法
(特公平01−47585号公報)が提案されている。
また、割繊型長繊維不織布ウェッブを融着後高圧水流で
分割、割繊し嵩高の不織布を得る方法(特開平05−1
86954号公報、特開平04−300351号公報)
が提案されているが、これらの方法によると、繊維の細
繊度化により、柔軟性は改善できるが、厚み方向への繊
維の移動が十分でなく、繊維が緊張状態にあるため折り
曲げ変形に対し、変形の集中が生じ、骨立ちがさけられ
ず、摩耗に対しても弱いものしか得られなかった。
【0005】ポリアミドとポリエステルからなるフィブ
リル型複合繊維の不織布にフェノール、ベンジルアルコ
ールなどの水溶液、乳化水溶で不織布を処理し、ポリア
ミドを収縮させるとともにフィブリル化させ、表層部が
実質的にポリエステルとする方法(特開昭56−490
77号公報)(特開昭54−105201号公報)が提
案されており、この方法によれば、立毛密度アップや、
はり、腰の改善ができるとしている。
【0006】また、はくり型複合繊維からなるスパンボ
ンドにニードリリングを施し、一部繊維を切断した後、
高圧水流処理、剥離分割処理をした後、熱収縮させて、
繊維束が厚み方向に配向した、折り曲げ皺のないきめ細
かい人工皮革用長繊維不織布(特開平2000−273
769号公報、特開平2000−110060号公報)
が提案されている。
【0007】これらの方法では、不織布の収縮による緻
密化が図られ、折り曲げ時の折れ皺のない腰のある人工
皮革基布が得られるが、長繊維で不織布を構成した場合
には、繊維に捲縮がないため、伸長変形に対し、余裕が
無く、柔軟性、回復性に問題があった。
【0008】人工皮革の製造方法としては、短繊維不織
布が使用されており、工程が長く、生産性もあがらなか
った。連続フィラメントを使用した長繊維不織布を基布
とする人工皮革の展開について、上記のごとく種々提案
されているが折り曲げ皺、柔軟性、伸長時の回復性、の
すべてを満足する技術はなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、折り曲げ皺がなく、柔軟で伸長回復
性を有するストレッチ性人工皮革およびその製造方法を
提供せんとすることものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のストレッチ性人工皮革は、ポリ
アミド繊維、および、膨潤剤に対する溶解性および/ま
たは膨潤性が該ポリアミドとは異なる単糸繊度0.3d
tex以下のポリエステル繊維が交絡してなる高分子弾
性体含有不織布シートであって、該繊維シートの繊維密
度が0.250〜0.350g/cm3 の範囲内にあ
り、かつ、該不織布シートの伸長回復率が70%以上で
あることを特徴とするものである。
【0011】かかるストレッチ性人工皮革の製造方法
は、ポリアミドと、膨潤剤に対する溶解性および/また
は膨潤性が該ポリアミドのそれとは異なるポリエステル
を、それぞれ溶融して、分割型複合口金に供給して紡糸
して、該ポリアミドを30〜70wt%の範囲内で含有
する分割型複合繊維を形成した後、延伸し、次いで該延
伸糸をコンベアー上に捕集するか、または、カードかラ
ンダムウェバーに通して、ウエブを形成した後、このウ
エブに交絡処理を施して不織布シートを形成した後、該
不織布シートを該ポリアミドの膨潤剤を含有する処理液
に浸漬した後、熱水中に浸漬して、該不織布シートを少
なくとも10%面積収縮させた後、該分割型複合繊維を
分割すると同時に、単糸繊度0.3dtex以下のポリ
エステル繊維を含む不織布シートとし、かつ、該不織布
シートの繊維密度を0.25〜0.350g/cm3
範囲に調整した後、該不織布シートに高分子弾性体を付
与することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、かかる課題、つまり折
り曲げ皺がなく、柔軟で伸長回復性を有するストレッチ
性人工皮革について、鋭意検討し、不織布シート(基
布)そのものの緻密さと、該不織布シートを構成する繊
維が繊維束を形成し、この繊維束構成繊維のうち緊張状
態にある細繊維と、緊張状態にある繊維を取り巻く弛緩
状態にある細繊維とで構成し、かつ、該緊張状態にある
繊維の伸長抵抗は、弛緩状態にある繊維の伸長抵抗より
も低い値を有するもので構成してみたところ、柔軟性が
保証される上に、弛緩状態にある繊維が緊張状態になる
伸長までは十分に回復性を発揮することを見出し、本発
明を完成したものである。
【0013】さらに、本発明においては、かかる不織布
シートに高分子弾性体を付与し、該繊維束からなる繊維
構造体を接着固定することによって、より一層伸長回復
性を強化することができるとともに、耐洗濯性、耐摩耗
性が向上し、衣料用、家具用、工業資材用人工皮革とし
て好適に使用することができるものを提供することがで
きたものである。
【0014】また、かかる高分子弾性体を付与した後、
バッフィングすると、伸長回復性を有するスエード調人
工皮革を提供することができ、さらに、その表面に高分
子弾性体の膜を、コーティング付与したり、転写付与す
ることにより、伸長回復性と柔軟性に優れた銀付き人工
皮革を提供することもできる。
【0015】本発明で用いるポリアミド繊維としては、
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・10などの通
常のポリアミドを素材とする繊維を使用することがで
き、かかるポリアミドの溶剤、膨潤剤と溶解、膨潤性を
異にするポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートおよびこれらの共重合体を素材とす
る繊維を使用することができる。かかるポリエステル繊
維としては、人工皮革としての外観、風合いを得るため
に、分割後の単糸繊度としては、0.3dtex以下、
好ましくは0.2dtex以下という極細繊維であるこ
とが必要である。かかる極細ポリエステル繊維の単糸の
太さは、細ければ細いほど、その外観や風合いの優れた
ものを提供することができるが、不織布シートとしての
物性や伸長抵抗性の上から細くとも0.01dtex以
上であるのが好ましい。
【0016】かかるポリエステル極細繊維は、前記ポリ
アミド繊維のポリアミドと上述ポリエステルとからなる
割繊型複合繊維から作られる。つまり、かかる割繊型複
合繊維は該ポリアミドと、該ポリアミドと該ポリエステ
ルを別々に溶融した後、割繊型複合口金に合流させて吐
出することにより製造されるものである。かかる割繊型
複合繊維の繊度と分割数は、柔軟な風合いや外観の上か
ら選択して決定するのが好ましい。
【0017】本発明の人工皮革を構成する不織布シート
は、繊維密度が0.250〜0.350g/cm3 の範
囲内にあること、好ましくは0.275〜0.325g
/cm3 の範囲内にあることが必要である。かかる繊維
密度は、不織布シートとしての物性や風合い、外観の上
から、さらには伸長回復性の上から決定される。
【0018】かかる不織布シートは、前記割繊型複合口
金の紡糸孔より吐出された繊維を、エアーサッカーで吸
引、延伸し、その延伸繊維をコンベアーの上で捕集し、
繊維ウェッブを形成した後、この繊維ウェッブを、高圧
水流で処理して、交絡と同時に該割繊型複合繊維の少な
くとも一部を分割分繊させて製造される。かかる交絡処
理としては、ニードルパンチであっても良いし、交絡処
理に替えて加熱処理して分割分繊させて製造することも
できる。ここでいう加熱処理としては、たとえば熱エン
ボスのような接着処理を兼ねた手段を使用してもよい。
かくして得られる不織布シートは、伸長回復率が70
%以上であることが必須である。すなわち、本発明の人
工皮革の特徴は、この伸長回復性を有するところにあ
る。かかる伸長回復性としては、該伸長回復率が、70
%以上、好ましくは75〜150%、さらに好ましくは
80〜100%であるのが、第一には布帛特性の上か
ら、さらには製造コストの上から選択される。
【0019】かかる伸長回復性は、前記ポリエステル繊
維の単糸繊度、不織布シートの繊維密度の他にも、分割
分繊後のポリアミド繊維の単糸の太さにも関係があり、
かかる分割分繊後のポリアミド繊維の単糸の太さは、少
なくとも該極細ポリエステル繊維より太いという条件を
満たすことが好ましく、具体的には、ポリアミド繊維の
単糸の太さは該極細ポリエステル繊維の太さに対して、
好ましくは1.1〜10倍、さらに好ましくは1.5〜
8倍であることが不織布シートの収縮性を好都合に達成
する上から、また人工皮革後の布帛の伸縮性の上からよ
い。具体的には、好ましくは2.0dtex以下、さら
に好ましくは0.1〜1.5dtexの範囲内であるの
がよい。
【0020】また、かかる伸長回復性は、前記割繊型複
合繊維を構成するポリエステル繊維、つまり極細ポリエ
ステル繊維とポリアミド繊維の比率、つまり複合比率に
よって大きく変動するものである。すなわち、本発明の
人工皮革においては、これを構成する不織布シートにお
ける該複合繊維中のポリアミド成分の比率は、30〜7
0重量%、好ましくは55〜65重量%の範囲にあるこ
とが重要である。
【0021】かかるポリアミド成分の比率が30重量%
未満の少ない範囲にある場合には、該不織布シートの収
縮が小さすぎて、繊維密度が上がらない上に、高分子弾
性体を付与した後の人工皮革における伸長に対する抵
抗、つまり伸長抵抗性が十分でなく、結局、十分な伸長
回復性を付与することができず、繊維そのものの拘束力
も小さいものとなってしまい、耐摩耗性が不足した不織
布シートを提供することとなる。
【0022】一方ポリアミド成分の比率が70重量%を
越えると、該不織布シートの収縮が大きすぎてしまい、
粗硬な不織布シートを与え、さらには伸長性回復性が失
われる上に、高分子弾性体を付与することすら困難なシ
ートとなってしまう。
【0023】本発明の人工皮革は、次のようなプロセス
で製造される。すなわち、ポリアミドと、膨潤剤に対す
る溶解性および/または膨潤性が該ポリアミドのそれと
は異なるポリエステルを、それぞれ溶融して、分割型複
合口金に供給して紡糸して、該ポリアミドを30〜70
wt%の範囲内で含有する分割型複合繊維を形成した
後、延伸する。次いで、この延伸糸をコンベアー上に捕
集するか、または、カードかランダムウェバーに通し
て、ウエブを形成した後、このウエブに交絡処理を施し
て不織布シートを形成する。かかる不織布シートを該ポ
リアミドの膨潤剤を含有する処理液に浸漬した後、熱水
中に浸漬することにより、該不織布シートを少なくとも
10%面積収縮させた後、該分割型複合繊維を分割分繊
すると同時に、単糸繊度0.2dtex以下のポリエス
テル繊維を含む不織布シートとすると同時に、該不織布
シートの繊維密度を0.25〜0.350g/cm3
範囲に調整する。かかる面積収縮・分割分繊処理の後、
該不織布シートに高分子弾性体を付与することによって
本発明の人工皮革は製造される。
【0024】かかる本発明の人工皮革において、膨潤剤
とはポリアミドの膨潤剤を意味するものであり、かかる
膨潤剤としては、ベンジルアルコール、フェニルエチル
アルコール、フェノールなどの溶剤を使用することがで
きる。かかる膨潤剤は、水溶液の形または該膨潤剤に界
面活性剤を配合して乳化させた水分散液の形で使用する
ことができる。かかる膨潤剤を含む処理液に該割繊型複
合繊維を浸漬し、その後熱水に浸漬して、ポリアミド成
分を収縮させると同時に該ポリアミド成分と該ポリエス
テル成分とを分割分繊する。このときの処理条件として
は、膨潤剤の濃度、熱水処理温度、時間など調整して、
該ポリアミド成分を収縮させて、該不織布シートの面積
にして、少なくとも10%面積収縮させることができる
条件を選択する必要がある。かかる面積収縮が10%未
満である場合は、不織布シートとしての収縮が小さすぎ
て、大きな空隙を有し、かつ、折れ皺が発生する不織布
シートとなり、緻密な不織布シートを提供することがで
きず、結局、ボリューム感のある人工皮革を提供するこ
とができない。かかる不織布シートの面積収縮率は、好
ましくは10%〜50%、さらに好ましくは15%〜3
0%の範囲内にある場合において、適度な弾性回復性を
有する人工皮革を提供することができる。かかる面積収
縮率が50%を越えると、風合いが粗硬不織布シートと
なる。
【0025】なお、本発明の人工皮革は、長繊維使いで
も、また、短繊維使いでも、いずれの不織布シートであ
ってもよく、後者の場合には、該分割型複合繊維を延伸
した後に、38〜76mmにカットしてステープル化した
ものを、カードかランダムウェバーに通して、ウエブを
形成し、このウエブに交絡処理を施して不織布シートを
形成すればよい。
【0026】なお、ここでいう延伸糸は、紡糸後直接エ
アーサッカーにより延伸する方法が好ましく使用され
る。また、交絡処理としては、ニードルパンチングの他
に高圧水流またはエンボス処理でも差し支えない。
【0027】本発明の人工皮革は、かかる不織布シート
に高分子弾性体を付与するが、具体的には該高分子弾性
体の溶液またはエマルジョンを付与して人工皮革とす
る。この場合、該高分子弾性体の付与に先立ち、高分子
弾性体の溶剤には不溶で、高分子弾性体の非溶媒に可溶
な高分子を付与し、高分子弾性体と繊維の接着を調整す
るのが、人工皮革としての柔軟性、強力などの物理特性
を改善する上で好ましい。
【0028】かかる高分子弾性体としては、アクリルニ
トリルブタジェン共重合体、スチレンブタジェン共重合
体、ネオプレン、ポリシロキサン、ポリエチレンアジペ
ート、ポヂエチレンアジペート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリカプロラクトンなどのポリエステルジオール、
ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオ
ールとジイソシネートを反応させたプレポリマーをグリ
コールまたはジアミンを用いて鎖伸長させて得られたポ
リウレタンなどを使用することができるが、耐久性、柔
軟性の上でポリウレタンが好ましく使用される。
【0029】かかる高分子弾性体の量は、接着防止剤と
して高分子弾性体の付与に先立って付与した高分子弾性
体の量によって変更されるが、繊維重量に対して20〜
60重量%、好ましくは30〜50重量%の範囲内にあ
るのがよい。かかる高分子弾性体の量が、20重量%未
満のときは、高分子弾性体による接着力不足により、繰
り返し変形に対する接着破壊が生じ易く、耐久性に劣る
ものとなる。一方、60重量%を越える場合には、ゴム
ライクな粗硬な風合いのものとなり、適度な弾性回復性
を有する人工皮革を提供することができない。
【0030】本発明の人工皮革は、かかる高分子弾性体
付与後は、スライス、バフィングなどの処理をして、表
面を整えた後、染色、コーティングなどの処理をして、
伸長、圧縮に対する回復性の良好で柔軟な人工皮革を提
供することができる。なお、バフィングすることによ
り、特に表面の極細繊維によって優美なスエード調人工
皮革を提供することができる。
【0031】本発明の人工皮革は、長繊維と短繊維とに
拘わらず、不織布を構成している繊維が、緊張状態にあ
る繊維成分と弛緩状態にある繊維成分とからできている
ため、 緊張状態でストレートな繊維のみからなる不織
布におけるような、折り曲げ変形で挫屈を生じる欠点が
解消する。また、弛緩状態にある繊維成分は、初期の変
形に対して抵抗を小さくする作用を有するので、柔軟性
に優れ、さらに緊張状態にある繊維成分に、変形からの
回復機能を付与し、伸長回復性や圧縮回復性の優れた性
質を付与することができるのである。
【0032】かくして得られる本発明の人工皮革は、そ
の伸長回復率が70%以上という優れたストレッチ性を
有するという従来にない特徴を有するものである。
【0033】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0034】なお、各測定値は以下の方法で測定した。
【0035】繊維密度:1m2 のサンプルを切り取り、
その重量を測る。OZAKI MFG社製厚さ計 PE
ACOCK MODELHで厚みを計量して算出する。
【0036】繊維の収縮率:ベンジルアルコールを界面
活性剤で乳化させた液中に浸漬した後、熱水
処理し、長さ方向の長さの変化ΔLを元の長さで除し
て算出する。
【0037】伸長回復率:JIS L 1096 A法
に基づいて測定する。
【0038】耐摩耗性 :JIS L 1096E法記
載のマルチンデール試験条件にて2万回摩
擦し、表面のピリングを評価し、5級を変化無しとし1
級をピリング大とした。
【0039】実施例1 硫酸で測定した中の極限粘度2.63のナイロン6チッ
プと0−クロロフェノル中の極限粘度0.65のポリエ
チレンテレフタレートチップをエクストルダーにて、別
々に溶融した後、重量割合で、ナイロン2に対してポリ
エチレンテレフタレートを1の割合で、8分割の分割型
複合紡糸口金に供給し、1.3g/分・孔の速度で吐出
させて溶融紡糸した。
【0040】なお、口金孔数は4,000孔/mで、こ
のフィラメント群はこのまま矩形のエアーサッカーにて
0.4MPa、紡速4,000m/分で牽引した後、気
流制御して52m/分で、駆動するコンベアー上に捕集
した。この複合繊維の繊度は2.9dtexで、目付は
100g/m2 であった。
【0041】このウェッブを180℃に加熱した一対の
カレンダーロールにて仮接着した後、そのシート両表面
を、水圧6MPaの柱状流により交絡処理を施し複合繊
維からなる長繊維不織布を得た。不織布の繊維密度は
0.220g/cm3 であった。
【0042】この不織布に、ベンジルアルコール30重
量%、ノニルフェノールエチレンオキサイド1.2重量
%を、水68.8重量%中で攪拌し乳化させた液中に浸
漬し、次いで95℃の熱水中で5分間処理して、収縮・
分割分繊処理した後、ついて100℃の熱風乾燥機にて
乾燥した。
【0043】この収縮・分割分繊処理により、該不織布
シートの面積は25%収縮し、厚みは10%増加し、繊
維密度0.264g/cm3 の不織布シートを得た。
【0044】なお、かかる収縮・分割分繊処理でのナイ
ロン6糸の収縮率は28.8%であり、ポリエチレンテ
レフタレト糸はー7%と自発伸張し、両者の収縮差は3
5,8%であった。
【0045】また、収縮・分割分繊処理後のポエチレン
テレフタレート繊維の単糸繊度は0.12dtex、ナ
イロン繊維の単糸繊度は0.27dtexであった。
【0046】かかる不織布シートに、日本合成(株)製
ポリビニルアルコールGL-05の水溶液を付与し、固形分
付量を対繊維30重量%とした。次いで、ポリテトラメ
チレングリコールをジフェニルメタン44’ジイソシア
ネートを反応させたプレポリマーを、メチレンビスアニ
リンで鎖伸長反応させて得たDMF25重量%での粘度
が、19,000ポイズのポリウレタンの15重量%DM
F溶液に浸漬し、固形分付量が35重量%ととなるよう
に絞液し、35℃の水中で凝固させた後、90℃の熱水
中で、該ポリビニルアルコールを除去し、乾燥して人工
皮革を得た。
【0047】この人工皮革は、伸長回復性ならびに圧縮
回復性に優れると同時に皮革様の風合いを持つものであ
り、このままでもセーム皮として使用することができる
ものであった。
【0048】かくして得られた人工皮革を240メッシ
ュのサンドペーパーを用いてバフ機で900m/分の速
度で、両面を研削し、極細繊維の立毛形成と厚みを0.
5mmに仕上げた。
【0049】こうして得られた人工皮革生機を、液流染
色機に投入し、分散染料、均染剤、酢酸、酢酸ソーダー
を配合した液中で、120℃、45分間染色し、脱水水
洗し、還元洗浄、水洗し、次いで、酸性染料で染色し、
着色人工皮革を得た。
【0050】この得られた人工皮革製品は、優美な立毛
を有し、風合い、ボリューム感を有すると共に、優れた
ストレッチ性を有するものであった。
【0051】比較例1 実施例1に基づいて得た長繊維不織布(繊維密度0.2
20g/cm3 )を、前記収縮・分割分繊処理すること
なく、実施例1と同様のポリビニルアルコール付与、ポ
リウレタン付与、バフィング、染色などの処理をして着
色人工皮革状のもの得た。
【0052】この製品はボリューム感に欠ける上に、ス
トレッチ性もない貧弱なものであった。
【0053】比較例2 長繊維不織布の繊維成分であるナイロン6の構成比率を
20重量%ととする他は、実施例1と同様の方法で人工
皮革をつくった。
【0054】得られた人工皮革製品は、ボリューム感、
ストレッチ性において比較例1より若干改良されている
が、実施例1の人工皮革と比較すると、全く不十分な製
品であった。
【0055】比較例3 またナイロン6の構成比率を80重量%ととする他は、
実施例1と同様の方法で人工皮革をつくった。
【0056】この例における収縮・分割分繊処理後の不
織布シートの繊維密度は0.45g/cm3 であり、そ
の後のポリビニルアルコール付与、ポリウレタン付与な
どの樹脂加工が極めて困難となったほか、風合いの粗硬
な板状のものであった。
【0057】比較例4 実施例1において、ナイロン6の収縮・分割分繊処理
後、ポリビニルアルコールを付与し、10重量%の濃度
のポリウレタン溶液を付与して、ポリウレタンの固形分
付量を15重量%となるよう調整し、バフィング、染色
をする他は、実施例1と同様の方法で人工皮革をつくっ
た。
【0058】この人工皮革製品は、風合いはソフトであ
ったが、繰り返し伸長での残留歪みが大きく、耐摩耗性
も弱く、実施例1の人工皮革と比較すると、全く不十分
な製品であった。
【0059】比較例5 ポリビニルアルコールの付与なしで、ポリウレタンの濃
度を20重量%ととして 、固形分付量を60重量%と
する他は、実施例1と同様の方法で人工皮革をつくっ
た。
【0060】この人工皮革製品では、耐摩耗性やクリー
プなどの改善はできたものの、風合いが粗硬なもので、
実施例1の人工皮革と比較すると、不十分な製品であっ
た。
【0061】以上の実施例1と比較例1〜5を表1にま
とめた。
【0062】
【表1】
【0063】実施例2 実施例1と同じナイロン6およびポエチレンテレフタレ
ートのチップを、エクストルーダーで、別々に溶融した
のち、3:1の比率で16分割の分割型複合紡糸口金に
供給し、1500m/分の速度で紡糸し、次いで、この
未延伸糸を引き揃え、45万dtexとして、95℃の
液浴中で3.5倍に延伸し、クリンパーで捲縮を付与し
た後、カッターで51mmにカットした。得られたステ
ープルは、繊度3.5dtex(分割後のPET単糸繊
度0.05dtex、ナイロンの分割後の単糸繊度0.
15dtex)捲縮数12山/インチであった。
【0064】該ステープルを開綿機にて、開綿、開繊し
た後、カード、クロスラッパーにて85g/m2 のウェ
ッブを作り、引き続き水圧5MPaの柱状流により交絡
処理を両面より行い、目付100g/m2 の不織布を得
た。この不織布の繊維密度は0.185g/cm3 であ
った。
【0065】この不織布を実施例1と同様に収縮・分割
分繊処理を行い、繊維密度0.300g/cm3 のシー
トとし、続いて、ポリビニルアルコール付与処理、ポリ
ウレタン付与処理をした。ポリウレタン付量は対繊維
で、32重量%である人工皮革を得た。この人工皮革を
バフィング、染色をして、着色人工皮革を得た。
【0066】この短繊維不織布からなる人工皮革は、柔
軟性、ヴォリューム感に冨み、優れたストレッチ性を有
するものであった。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、ストレッチ性に優れた
人工皮革を安価に提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 9/10 Fターム(参考) 4F055 AA02 BA12 CA18 DA07 EA04 EA05 EA24 EA36 FA18 GA02 HA04 HA19 HA22 4L031 AA18 AA20 AB34 BA33 DA00 DA11 4L047 AA21 AA23 AA27 AB02 AB07 BA04 BA23 BA24 CA19 CB10 CC01 CC16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド繊維、および、膨潤剤に対す
    る溶解性および/または膨潤性が該ポリアミドとは異な
    る単糸繊度0.3dtex以下のポリエステル繊維が交
    絡してなる高分子弾性体含有不織布シートであって、該
    繊維シートの繊維密度が0.250〜0.350g/c
    3 の範囲内にあり、かつ、該不織布シートの伸長回復
    率が70%以上であることを特徴とするストレッチ性人
    工皮革。
  2. 【請求項2】 該ポリアミド繊維とポリエステル繊維の
    比率が30〜70wt%の範囲内にあることを特徴とす
    る請求項1記載のストレッチ性人工皮革。
  3. 【請求項3】 該不織布シートに対する該高分子弾性体
    の含有量が、該不織布シートの繊維重量に対し20〜6
    0wt%の範囲内であることを特徴とする請求項1また
    は2記載のストレッチ性人工皮革。
  4. 【請求項4】 該ポリアミド繊維の単糸繊度が2.0d
    tex以下であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載のストレッチ性人工皮革。
  5. 【請求項5】 該ポリアミド繊維および該ポリエステル
    繊維の少なくとも一方が、長繊維であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のストレッチ性人工皮
    革。
  6. 【請求項6】 該ポリアミド繊維および該ポリエステル
    繊維の少なくとも一方が、短繊維であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のストレッチ性人工皮
    革。
  7. 【請求項7】 ポリアミドと、膨潤剤に対する溶解性お
    よび/または膨潤性が該ポリアミドのそれとは異なるポ
    リエステルを、それぞれ溶融して、分割型複合口金に供
    給して紡糸して、該ポリアミドを30〜70wt%の範
    囲内で含有する分割型複合繊維を形成した後、延伸し、
    次いで該延伸糸をコンベアー上に捕集するか、または、
    カードかランダムウェバーに通して、ウエブを形成した
    後、このウエブに交絡処理を施して不織布シートを形成
    した後、該不織布シートを該ポリアミドの膨潤剤を含有
    する処理液に浸漬した後、熱水中に浸漬して、該不織布
    シートを少なくとも10%面積収縮させた後、該分割型
    複合繊維を分割分繊すると同時に、単糸繊度0.3dt
    ex以下のポリエステル繊維を含む不織布シートとし、
    かつ、該不織布シートの繊維密度を0.25〜0.35
    0g/cm3 の範囲に調整した後、該不織布シートに高
    分子弾性体を付与することを特徴とするストレッチ性人
    工皮革の製造方法。
  8. 【請求項8】 該延伸が、紡糸後直接エアーサッカーに
    より延伸されるものである請求項7記載のストレッチ性
    人工皮革の製造方法。
  9. 【請求項9】 該延伸糸が、38〜76mmにカットされ
    たステープルである請求項7または8記載のストレッチ
    性人工皮革の製造方法。
  10. 【請求項10】 該交絡処理が、高圧水流またはエンボ
    スによるものである請求項7〜9のいずれかに記載のス
    トレッチ性人工皮革の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083498A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Toray Ind Inc 芯鞘複合フィラメント糸、それを用いた布帛、中空繊維布帛及びその製造方法。
KR101190924B1 (ko) * 2009-06-29 2012-10-12 코오롱인더스트리 주식회사 인공피혁 및 그 제조방법

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