JP4114338B2 - 伸縮性に優れた人工皮革及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特異外観を有する伸縮性に優れた人工皮革及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、伸縮性に優れた人工皮革を得る製造方法としては、特開昭48−18579号公報に記載のごとく、非弾性繊維とポリウレタンを主体とする弾性繊維を混繊または積層した不織布構造体とする方法、また特公昭40−2792号公報、特開昭61−41742号公報、特公平1−41742号公報、特開平5−339863号公報においては、極細非弾性繊維とポリウレタンを主体とする極細弾性繊維が単独または同一の島成分とした複合繊維を用いて不織布構造体とし、複合繊維中の海成分を除去して極細非弾性繊維と極細弾性繊維からなる構造体とした後、弾性繊維の一部を溶解または膠着する方法が開示されている。
【0003】
何れの技術にせよ極細弾性繊維が必須であり、そのために着色し難く、加熱により極細弾性繊維が極細非弾性繊維と接着して風合いが硬くなり、表面外観もプレーンな物しか得られない。
【0004】
また、特開昭62−110990号公報、特開平7−145569号公報には、収縮率と結晶化度の異なるポリエステル繊維を混繊または積層して不織布として、弾性ポリマーの溶液を付与する方法が記載されているが、柔軟性や平滑性を得るには効果があるが、収縮率の高い繊維によって絡合体が固定され十分な伸縮性を得ることは困難であり、表面外観もプレーンな物しか得られない。
【0005】
また特願平11−106843号公報には、極細繊維からなる不織布にポリウレタンを付与したシートを用い、液流染色機で熱水処理し、染色温度+30℃の乾熱処理し、その後、染色する方法が開示されているが、それなりの伸縮性は得られるものの、これまた表面外観もプレーンな物しか得られない。
【0006】
一方、表面を異外観とする皺加工としては、例えば、液流染色機に詰め込む生機の量を通常よりも極端に多く投入し、湿熱高温中に停留する時間を長くし、皺を発現する方法があるが、皺の状態が大まかであり伸縮性を兼ね備えた製品を得るのは困難であった。
【0007】
以上の如く、これまでの技術は繊維の特性を活用した伸縮性付与技術であり、そのために伸縮性は得られても、製品表面はプレーンな外観しか得られず、微細な皺と凹凸が醸し出すカジュアルライクな人工皮革は、未だ開発されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の伸縮性を有したプレーンな表面外観ではなく、伸縮性を有しながら微細な挫屈構造によるスジ状の皺模様が醸し出すカジュアルライクな人工皮革を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ついに本発明に到達したものである。
【0010】
本発明の骨子は次の通りである。
【0011】
すなわち、本発明の人工皮革は、極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートにおいて、該シートの長さ方向に微細な挫屈構造が付与され、幅方向に実質的にスジ状の皺模様を有し、かつ、少なくとも長さ方向の伸長率が10%以上、伸長回復率が85%以上であることを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革であり、また、本発明の人工皮革の製造方法は、極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートを50℃以上、180℃以下で加温しつつ、挫屈数が5山/in以上となるように長さ方向に連続して詰め込み、挫屈形成させた後、取り出すことを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0013】
本発明の人工皮革は、従来の弾性繊維や伸縮性織物などを組み合わせた伸縮性の付与された人工皮革とは異なり、その特徴は、極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートの長さ方向に微細な挫屈構造が付与され、幅方向に実質的にスジ状の皺模様を有し、かつ、少なくとも長さ方向の伸長率が10%以上、伸長回復率が85%以上であることを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革である。
【0014】
本発明に用いられる極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体形成ポリマーとしては、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはその共重合体類、ポリプロプレンテレフタレートまたはその共重合体類、ポリ乳酸またはその共重合体類などが挙げられる。
【0015】
中でも、伸縮性、柔軟性および立毛性状の観点から、特にポリプロピレンテレフタレート及びその共重合体類が好ましく用いられる。ポリプロプレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。だだし、20モル%、より好ましくは10%以下の割合で、他のエステル結合の形成可能な共重合成分を含むものであってもよい。
【0016】
なお、この場合、共重合可能な化合物としては、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
【0017】
また、ポリプロプレンテレフタレートの極限粘度は、0.5以上1.2以下であることが好ましい。0.5未満では紡糸時の繊度ムラや糸切れが発生し易く、1.2を越えると溶融粘度が高すぎて紡糸性が低下する。より好ましいPPTの極限粘度としては、0.8以上1.0以下である。
【0018】
また、その断面形状しては、特にバイメタル型、一成分が露出した偏心型などが伸縮性を発現する上で好ましく用いられる。これらのポリマーに耐光剤、顔料、艶消し剤、制電剤、難燃剤などの添加剤を含有せしめたものであってもよい。
【0019】
これらの極細繊維は、直接紡糸した単繊維であっても良く、または多成分系の複合繊維から得られたものであっても良い。複合繊維の場合は、前述した繊維形成性ポリマーと溶剤溶解性の異なるポリマーを組み合わせ、少なくとも一成分を溶解除去方法あるいは物理的、機械的に剥離、分割可能なポリマーとを組み合わせる方法など適宜選択して用いることができる。
【0020】
極細繊維の太さとしては、極細繊維の微細な挫屈構造形成性や最終製品の表面タッチ、柔軟性などの観点からして1.1dtex以下、好ましくは0.55dtex以下、より好ましくは0.11dtex以下が良い。これら繊維の断面形状は特に限定されるものではない。
【0021】
本発明でいう極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートとは、極細繊維及び/または極細繊維束が短繊維や長繊維から形成された不織布、織物または編み物などの構造体に高分子弾性体が付与されたもの全てを示唆するものである。
【0022】
最終製品の表面外観を高級化するには、このシートの少なくとも一面に立毛を形成したもの或いは銀面を形成したものが好ましい。立毛形成方法としては、特に限定するものではなく、例えば、立毛調の人工皮革の製造方法で常用されているサンドペーパによる表面研削、針布を用いた起毛処理などを用いれば簡単に形成することが出来る。また、銀付形成方法についても特に限定するものではなく、例えば、銀付人工皮革の製造方法で常用されているグラビアコーター、ナイフコーターなどで平滑化したシート表面に樹脂を塗布し、乾式または湿式方式にて凝固させることにより得ることが可能である。
【0023】
例えば、不織布構造であれば、上記の単繊維または複合繊維の短繊維をカード・クロスラッパー或いはランダムウェッバーなどを用いてウェブを形成し、ニードルパンチ、ウオータージエットパンチあるいはこれらの組み合わせなどを用いて絡合処理を施し、必要に応じて収縮処理や糊剤付与及び極細化処理などを組み合わせ加工し、この絡合体に高分子弾性体を付与し、乾式または湿式方式にて高分子弾性体を凝固することにより、本発明に使用する極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートが得られる。
【0024】
高分子弾性体としては、ポリウレタン弾性体、アクリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンなどの合成ゴムなどが挙げられ、最終製品の人工皮革の柔軟性、風合などの観点から、ポリウレタン弾性体が好ましく用いられる。
【0025】
ポリウレタン弾性体としては、平均分子量500から3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも一種類のポリマージオールを含んだものが良く、中でも製品の強力、耐摩耗など長期耐久性の観点からポリカーボネートジオールを30重量%以上90重量%以下含むポリマージオールからなるポリウレタンが特に好ましい。30重量%未満では、後述する加温下での微細のクリンプ形成性が低くなり、かつ、製品物性の耐久性が不十分、90重量%を越えると製品風合いが硬くなり好ましくない場合がある。
【0026】
更に必要に応じて、上記の高分子弾性体に着色剤、酸化防止剤、制電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤を高分子弾性体中に配合させたてものであっても良い。
【0027】
高分子弾性体の付量としては、極細繊維の形態、絡合体の構造などにより一概には言えないが、製品風合、物性などを勘案すると対繊維あたり5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%ものがよい。5重量%未満の場合は伸縮性、柔軟性は良くても、伸長回復率および製品の耐久性が低下し、70重量%を越えると後述する加熱下での微細のクリンプ形成性が低くなり、伸長率が低下しやすい。
【0028】
本発明に用いる高分子弾性体を付与したシートは、目付しては400g/m2 以下、好ましくは100〜300g/m2 が良い。厚みとしては2mm以下、好ましくは1mm以下が良い。この範囲を逸脱すると微細な挫屈構造、スジ状の皺模様が形成され難く、伸長率が低下しやすい。また、下限としてはシート形成可能な目付、厚みが限界となるが、両者とも低すぎると風合いがペーパーライクになり、挫屈感が強すぎて好ましくない場合もあり、目安としては目付60g/m2 、厚み0.2mm程度である。
【0029】
上記のシートは、シートの厚み方向に貫通し、面方向に非連続な穴開け加工が施されたものであっても本発明の効果を損ねるものではなく、むしろ伸縮性を更に高めるのに好ましい場合がある。その穴形態としては、丸、菱形、三角、楕円型など特に限定するものではない。
【0030】
本発明は、上記のシートを用いて、例えば、繊維に捲縮を付与するために使用されているクリンパー装置の金属製ニップロールを広幅化し、ニップロールが回転しながらシートを挟み込みながら押出し、ロール出口の隙間が調整可能なスタッフィングボックスに送り込み、スタッフィングボックス出口の圧力を所定の圧力に調整し、連続的に挫屈せしめたシートを排出させる。または、回転ドラムの表面に張力コントロールしたシートを乗せて移送し、回転ドラムの頂点近傍で固定した平板の先端を、所定の圧力で押さえ、シートの表裏にずり応力を生じさせつつ、所定の隙間に連続的に押し込む方法なども推奨できる。
【0031】
このような方法を用いることにより、シートの長さ方向に微細な挫屈構造が付与され、幅方向に実質的にスジ状の皺模様を形成することが可能となる。
【0032】
ここで言う長さ方向に微細な挫屈構造とは、シートの長さ方向にW型の山谷を有する捲縮状態が付与された構造であり、この挫屈を形成する山部分或いは谷部分は、シートの横方向に必ずしも連続した状態ではなく、不規則な長さで途切れた状態も混在した構造を示唆するものである。
【0033】
また、シートの横方向に実質的にスジ状の皺模様とは、上記の挫屈加工処理されたシートの表面を見て、横方向に谷部分で形成された凹部分が連続または非連続に、直線状や湾曲状のスジが形成する模様を示唆するものである。
【0034】
本発明の人工皮革は、上記の異外観な表面品を持ちながら、少なくとも長さ方向の伸長率が10%以上、伸長回復率が85%以上であることを特徴とする人工皮革であり。この伸縮性に関わる伸長率、伸長回復率を付与いるには、上記の挫屈形成の方法において、連続して押し込むシートを加温しておくことが重要である。
【0035】
加温方法としては、乾熱または湿熱中での非接触加熱、加熱ロールの表面に接触させて加熱する方法或いは金属製ニツプロールで挟み込む直前で熱水を浸透させる方法などを用いることが可能であり、シート構造により適宜選択すればよい。 本発明の人工皮革を得るには、上記のシートを50℃以上、180℃以下、好ましくは80℃〜150℃にするのが良い。50℃未満となると微細なクリンプが付与し難く、また挫屈形成した構造のセット性が低下する。一方、180℃を越えると高分子弾性体の長期耐久性が低下しやすく、セット性が高くなり、風合いが硬くなりやすい。
【0036】
伸縮性を高めるには、挫屈形成されたシートの挫屈数が重要であり、荷重を掛けずフリーの状態で挫屈処理したシートを平面に置き、長さ方向のインチ当たりの挫屈数を測定する。シートの目付、厚みなど性状により異なり、一概には限定できないが、目安としては5山/in以上、好ましくは10山/in以上が良い。挫屈数が5山/in未満では十分な伸縮性が得難い。挫屈数が多いほど好ましいが、この種の挫屈形成は装置的機構からして限界があり、40山/in程度が上限である。
【0037】
製品の風合い、表面タッチ、機能性などを付与するために、加工シートに柔軟剤、制電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤、撥水剤などを予め含ませておいても良い。
【0038】
また、上記の挫屈構造形成装置に供するシートは、予め染色されたものであってもよく、挫屈構造形成した後に染色されても本発明の効果を損ねるものではなく、最終製品の付加価値を高めるのに好ましい。
【0039】
以上の如く、本発明の伸縮性を有する人工皮革は、従来のプレーンな表面外観と異なり、立毛調或いは銀面調の人工皮革として、製品外観としては極めて変化に富んだ伸縮性に優れたものとなる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を実施例にて詳細に説明する。
【0041】
実施例における伸長率および伸長回復率は、以下に示す方法で測定したものである。
<極限粘度>
オルソクロロフェノール10mlに対し、試料0.1gを溶解し、温度25℃において、オストワルド粘度計を用いて測定したものである。
<伸長率>
5cm×約30cmのサンプルを長さ方向、幅方向にそれぞれ3枚ずつ採取し、定速伸長型引張試験機を用い、つかみ間隔を20cmとし、引張速度20cm/minで1.8kgまで引き伸ばし、その時のつかみ間隔を測り、次の式により伸長率(%)を求め、3枚の平均値を表す。
【0042】
伸長率(%)=(L1−L)/L×100
L :つかみ間隔
L1:1.8kgまで引き伸ばしたときのつかみ間隔
<伸長回復率>
5cm×約30cmのサンプルを長さ方向、幅方向にそれぞれ3枚ずつ採取し、定速伸長型引張試験機を用い、つかみ間隔を20cmとし、次に上記の方法で別に求めた伸長率の80%まで伸ばして、1分間放置した後、同じ速度で元の位置まで戻し3分間放置する。この動作を5回繰り返した後に、サンプルの重さと同等の荷重まで引き伸ばしたときの伸びを5回繰り返し伸長後の残留伸びとし、次の式により伸長回復率(%)を求め、3枚の平均値を表す。
【0043】
伸長回復率(%)=(L2−L3)/L2×100
L2:伸長率の80%の伸びに相当するチャート上の長さ
L3:5回繰り返し伸長後の残留伸びに相当するチャート上の長さ
実施例1
海島型の高分子相互配列体繊維として、島成分が極限粘度が0.71ポリエチレンテレフタレート、海成分がポリスチレで、島/海成分比率=60/40重量%、カット長51mm、複合繊度3.5dtex、島数36本の捲縮が付与されたステープルを準備した。
【0044】
このステープルをカード・クロスラッパに通し、ウェブを形成し、ニードルパンチを施しフェルト加工した。次いで、このフェルトを沸騰水中で収縮処理し、熱風乾燥した。この収縮フェルトにポリビニールアルコールを付与し、乾燥した後、トリクロロエチレンで海成分を溶解除去し、乾燥した。しかる後、この極細化処理されたシートにDMFで希釈したポリエステル・ポリエーテル系ポリウレタン溶液を対極細繊維当たり28部になるように付与し、湿式凝固させた後、湯洗して乾燥した。
【0045】
このシートを厚み方向に約1/2に半裁(スライス裁断)した後、サンドペーパーで非半裁面を起毛処理し、目付170g/m2 の生機を得た。
【0046】
この生機をサーキュラー染色機を用い、125℃で分散染料でブラウン系に染色し、仕上げ剤を付与し乾燥処理を行った。しかる後、Microcreper装置(U.S.A MICREX Corporation製)を用いて、加工速度0.5m/分でこの染色反を約100℃に加温しつつ、長さ方向にクリンパーボックスに詰め込み、押さえ圧を調整し微細な挫屈形成処理を行った。排出された加工反は、幅方向に実質的に並列したスジ状の皺を有し、該皺が長さ方向に挫屈数が12山/inの微細な挫屈した凹凸を形成した異外観な立毛調の人工皮革を得た。
【0047】
かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長回復率を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。
実施例2
実施例1の高分子相互配列体繊維の島成分として、1,3プロパンジオールを用いた極限粘度が0.89のポリプロピレンテレフタレートを用いた以外は、実施例1と同条件で加工処理を行い、実質的に並列したスジ状の皺を有し、該皺が長さ方向に挫屈数が12山/inの微細な挫屈した凹凸を形成した異外観な立毛調の人工皮革を得た。
【0048】
かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長回復率を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。
実施例3
実施例2において、高分子弾性体としてポリマージオールが分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオールと、分子量2000のネオペンチルアジペートジオールの70:30重量%の混合物、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニールメタンジイソシアネート、鎖伸長剤としてメチレンビスアニリンを用いて重合されたポリウレタンをDMFで希釈した溶液を用いた以外は、実施例2と同条件で加工した。排出された加工反は、幅方向に実質的に並列したスジ状の皺を有し、該皺が長さ方向に挫屈数が12山/inの微細な挫屈した凹凸を形成した異外観な立毛調の人工皮革を得た。
【0049】
かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長回復率を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。
比較例1
実施例1の生機をサーキュラー染色機を用い、125℃で分散染料でブラウン系に染色し、仕上げ剤を付与し、乾燥処理を行い、製品表面が均一に見える立毛調の人工皮革を得た。
【0050】
かくして得られた人工皮革の伸長率、伸長回復率を測定したところ、下記の表1に示す通りであった。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明の人工皮革は、伸縮性に優れ、かつ、従来の均一な表面外観とは異なり、幅方向に実質的に並列したスジ状の皺を有し、該皺が長さ方向に微細な挫屈した凹凸を形成した異外観な立毛調または銀付調の人工皮革を与える。
Claims (10)
- 極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートにおいて、該シートの長さ方向に微細な挫屈構造が付与され、幅方向に実質的にスジ状の皺模様を有し、かつ、少なくとも長さ方向の伸長率が10%以上、伸長回復率が85%以上であることを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革。
- シートが少なくとも一面に立毛もしくは銀面を有したものであることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性に優れた人工皮革。
- 極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体を形成するポリマーが、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはその共重合体類、ポリプロピレンテレフタレートまたはその共重合体類、ポリ乳酸またはその共重合体類からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮性に優れた人工皮革。
- 極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体を形成するポリマーがポリプロピレンテレフタレート及びその共重合体類からなることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮性に優れた人工皮革。
- 高分子弾性体がポリカーボネートジオールを30重量%以上90重量%以下含むポリマージオールからなることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の伸縮性に優れた人工皮革。
- 極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体に高分子弾性体が付与されたシートを50℃以上、180℃以下で加温しつつ、挫屈数が5山/in以上となるように長さ方向に連続して詰め込み、挫屈形成させた後、取り出すことを特徴とする伸縮性に優れた人工皮革の製造方法。
- シートが少なくとも一面に立毛を有したもの用いたことを特徴とする請求項6に記載の伸縮性に優れた人工皮革の製造方法。
- シートが少なくとも一面に銀面を有したものを用いたことを特徴とする請求項7に記載の伸縮性に優れた人工皮革の製造方法。
- 極細繊維及び/または極細繊維束の絡合体を形成するポリマーとして、ポリプロピレンテレフタレート及びその共重合体類を用いたことを特徴とする請求項6、7または8に記載の伸縮性に優れた人工皮革の製造方法。
- 高分子弾性体がポリカーボネートジオールを30重量%以上90重量%以下含むポリマージオーを用いたことを特徴とする請求項6、7、8または9に記載の伸縮性に優れた人工皮革の製造方法。
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