JP2007002350A - 皮革様シート - Google Patents

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豪 山崎
Yoshiaki Yasuda
佳明 安田
Shoji Meguro
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Yoshihiro Tanba
善博 丹波
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Abstract

【課題】 カーシート、インテリア、スポーツシューズ等に耐えうる機械的物性を持ち、軽量で柔軟なスエード調皮革様シート基体を提供する。
【解決手段】0.5デシテックス以下の極細繊維ウェブと織編物とが一体に絡合してなる絡合シートの内部に高分子弾性体が含有されてなる皮革様シートにおいて、該織編物が5個以上の中空部を有する単繊維繊度6デシテックス以下の中空繊維から構成されていることを特徴とする皮革様シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、外観が極めて良好でかつ機械的物性に優れ、軽量で柔軟な皮革様シートに関するものである。
皮革様シートの各分野で、機械的諸物性に優れ、軽量で柔軟な製品が求められている。従来から、海成分が溶出可能な海島構造の多成分繊維、例えば海成分がポリエチレンからなる海島構造の繊維を用いて不織布とし、それを用いて皮革様シートとすることは公知である。かかる海島構造繊維は最終製品となるまでのいずれかの工程で海成分を除去して繊維を極細化し極細繊維を得る。このような製品は極細繊維特有の風合いと良好なスエード外観を有し、市場での一定の評価を得ている。しかし極細繊維化時のシートとしての厚み減少による密度の上昇は避け難く、軽量化性能を兼ね備えたものではなかった。
また異種の繊維を目的にあわせて混合し、絡合不織布とすることは従来から行われている方法である。2種類以上のウェブ、シート類を積層および、または混合して絡合させた交絡体およびこれらの交絡体に高分子弾性体溶液を含浸、凝固する方法がある(例えば、特許文献1を参照。)。これらは皮革ライクで機械的物性に優れているものもあるが、良好なスエード外観及び軽量化性能を兼ね備えたものではなかった。
また、ウェブのみから構成される皮革様シートは、柔軟性と機械物性を同時に満足することができないため、従来の柔軟化技術に加えて種々の強力向上手段が試みられている。その1つとして、不織布を織編物で補強する方法が提案されている。
例えば、長さが10mm以下の海島構造短繊維よりなるシートの間に編織物類をはさみ、それに高速流体処理を施して皮革様シートを製造する方法(特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、織編物の損傷がなく、高密度で短ナップのスエードを得るために有効な手段であるが、使用されている繊維の繊維長が極めて短いため、単繊維が非常に抜けやすく摩耗強力が低下し易い。
また、不織ウェブの間あるいは片面に強撚糸の編織物を重ねニードルパンチする方法も公知(例えば、特許文献3を参照。)である。しかしながら、機械物性の補強効果はあるものの、強撚糸編織物を構成する強撚糸により風合が硬くなる傾向や、密度が高く重くなり易い。
また、衣料製品などに軽量、保温性等の観点からポリエステル、ナイロンの中空繊維が一般的に用いられている。皮革様シートの分野においては、中空繊維を用いた軽量で通気性の良好な合成皮革が知られている(例えば、特許文献4、特許文献5を参照。)。また微小中空粒子を混合して軽量化と保温性の向上をはかった合成皮革がある(例えば、特許文献6参照)。これらのように中空構造を持つ繊維を皮革様シートに用い軽量化を図る技術は公知であるが、スエードとしての外観が不十分なものであり、また軽量性と必要な機械物性を有するものであっても近年強く要求される柔軟性および表面の外観に関しては不十分であり、これらすべてを併せもつものではなかった。
特公昭48−11925号公報(第2頁) 特公昭60−29775号公報 特公平4−1113号公報 特開昭47−28104号公報(第2頁) 特開昭50−5502号公報(第1頁) 特開平1−292188号公報(第2頁)
皮革様シートの各分野では一般的に0.5〜1.3mmの厚みの基体が用いられている。この厚みの範囲のなかでより軽く、機械的物性に優れた、柔軟な製品が求められており、特にスエード調皮革様シートにおいて機械的物性に優れていることと、軽量で柔軟なスエード感に優れていることとは裏腹の関係にあり、これらすべてを満足する皮革様シート基体は未だ開発されていない。
このように皮革様シートの各分野では、高級感の向上が求められ、その中でも、外観の高級感と軽量性能はもっとも強く望まれているものである。その一方で、用途に応じた機械的物性と製品としての軽くて、優れた外観を併せもつことが極めて重要となる。
その課題解決の方策として、抽出等で極細化可能な多成分繊維からなる、例えば海島構造繊維シートから抽出等で除去する成分の比率を増加させる方法が知られているが、製造工程でのテンションやプレス処理によって厚みが低下し、軽量化出来ず、機械的物性も不足することとなる。また、皮革様シート製品の繊維量自体を減ずる方法では、軽量化は出来るが、諸物性が不足する問題点がある。
また、中空繊維の嵩高さを利用して皮革様シートにこれらの中空繊維を用いて基体とする方法は、確かに軽量化は達成出来るが、繊維中に中空部を形成させるため、必然的に繊維デシテックスが大きくなり表面の平滑性に欠け、特にスエード用途としての外観が確保し難く、また風合いも柔軟となり難い。
本発明の目的は、このような問題を解決し、外観が極めて良好でかつ機械的物性に優れ、軽量で柔軟なスエード調皮革様シートを提供することにある。
前述の目的を達成するために本発明者らは鋭意研究を行い、本発明に至った。すなわち本発明は、以下
1. 0.5デシテックス以下の極細繊維ウェブと織編物とが一体に絡合してなる絡合シートの内部に高分子弾性体が含有されてなる皮革様シートにおいて、該織編物が5個以上の中空部を有する単繊維繊度6デシテックス以下の中空繊維から構成されていることを特徴とする皮革様シート
2. 中空繊維が下記式を満足する請求項1に記載の皮革様シート。
25≦(s×m/S)×100≦65
(s/S)×100≦5
(但しs:中空繊維の断面における中空部1個あたりの平均面積、m:中空繊維の断面における中空部の個数、S:中空繊維の断面における最外周で囲まれた面積))
3. 1.または2.に記載の皮革様シートの極細繊維ウェブ表面を起毛して得られるスエード調皮革様シート
4 以下の工程を(1)(2)(3)(4)または(1)(2)(4)(3)の順で行うことを特徴とする皮革様シートの製造方法。
(1)5個以上の中空部を有する単繊維繊度6デシテックス以下の中空繊維を発生させる中空繊維発生型繊維から織編物を製造する工程と0.5デシテックス以下の極細繊維を発生させる極細発生型繊維から繊維ウェブを製造する工程
(2)織編物と繊維ウェブを絡合一体化して絡合シートを製造する工程
(3)絡合シートの内部に高分子弾性体を付与する工程
(4)中空繊維発生型繊維を中空繊維とする工程と極細繊維発生型繊維を極細化する工程
5. 中空繊維発生型繊維および極細発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなる4.に記載の皮革様シートの製造方法。
6. 水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールである5.に記載の皮革様シートの製造方法。
7. 4.〜6.に記載の皮革様シートの極細繊維ウェブ表面側を起毛処理するスエード調皮革様シートの製造方法
である。
本発明によればカーシート、インテリア、スポーツシューズ等の用途に耐えうる機械的物性を持ち、軽量で柔軟なスエード調皮革様シート基体が得られるものである。
本発明における繊維の横断面に5個以上の中空部を有する繊維は、2種のポリマーを所定の混合比で混合して、同一溶融系で溶融し紡糸する方法、または島成分を構成するポリマーと海成分ポリマーとを、別々の溶融系で溶融し、紡糸頭部で接合−分割を複数回繰り返して両者の混合系を形成して紡糸する方法、あるいは両者を紡糸口金構造で繊維形状を規定して合流させて紡糸する方法等で得られる中空繊維発生型繊維、すなわち海島型繊維から、島成分を除去することにより得られる。本発明においては、2種のポリマーを所定の混合比で混合して、同一溶融系で溶融し紡糸するチップブレンド方法では、除去すべき島成分単位が細い直径となり、除去しにくく、また、島状態の径、島間距離が不規則になり、島間の小さい部分は島除去後の中空部と中空部が接近した状態になり、その部分が潰れて扁平化、または破壊されやすく、中空としての効果が得られ難くなる。従って、本発明においては別々の溶融系で溶融し、紡糸頭部で接合−分割を複数回繰り返して両者の混合系を形成して紡糸する方法、あるいは両者を紡糸口金構造で繊維形状を規定して合流させて紡糸する方法が中空部となる島径、島間距離が均一になりやすい点で適している。
本発明の中空繊維の横断面中に占める島成分(中空発生部)の総面積比率(s×m/S)は25≦(s×m/S)×100≦65であることが好ましい。
この様な中空繊維を得るためには中空部発生型繊維形態を持つ複合繊維を製造する必要がある。中空部発生型繊維の形態は一般的に海島型の複合繊維とすることが多く、極細繊維を得る方法としては、海成分が溶出可能な海島構造の繊維とし、その後海成分を抽出除去して極細繊維を得る方法が用いられている。本発明の中空部発生型繊維の形態は、この方法で島成分が溶出可能な海島型の繊維とし、その後島成分を抽出除去して中空部を有する繊維とするが、島成分が連続相状の海成分に囲まれているため、島成分の除去が困難な状態となるので特に島成分ポリマーの選択には構成する海成分ポリマーとの溶解性、分解性に注意を払うことが重要である。
本発明の中空部発生型繊維の島成分(中空部発生)ポリマーとしては、海成分ポリマーよりも溶融粘度が高く、海成分との溶解性、分解性を異にし、島成分ポリマーの溶解、除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解性が大きく、海成分ポリマーとの相溶性の小さいポリマーが好ましいが、特に海島型繊維から島成分を除去するにあたり、島成分ポリマーの除去に用いられる溶剤または分解剤への溶解性が大きいものを選択することが必要である。例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリスチレン、変性ポリエステル、水可溶性のポリエステル共重合体、水溶性かつ熱可塑性の変性ポリビニルアルコールなどが好適に用いられる。
中でも環境に配慮する点で、水溶性高分子成分を用いることが好ましい。そして、エチレン単位を5〜10モル%含有し、重合度が200〜500、鹸化度が90〜99モル%である水溶性かつ熱可塑性の変性ポリビニルアルコールは、50〜100℃の熱水に容易に溶解する性質があり、品質上のみならず環境に配慮したプロセス設計の面からも特に好ましい。
また、中空部を有する繊維を構成するポリマーとしては、溶融紡糸時に繊維形成能があり、中空部を発生させるための溶剤または分解剤などで溶解または分解除去されない成分、例えばポリエチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタレート等で代表されるポリエステル系ポリマー、およびこれを主体とする共重合体、6−ナイロン、66−ナイロン等で代表されるポリアミド系ポリマー、およびこれを主体とする共重合体等が適しているが、上記島成分が水溶性高分子成分を用いることが好ましいことから、中空部を有する繊維を構成するポリマーとしては水難溶性高分子成分であることが好ましい。これらのポリマーは、単一ポリマーのみならず、2成分以上の混合物としたものでもよく、顔料粒子、紫外線吸収剤等の公知の各種添加剤を含むものであってもよい。
本発明では、繊維の横断面における中空部1個の占める面積(s)が中空繊維断面の外周で囲まれた面積(S)に対して、(s/S)×100≦5であることが好ましく、5以下とすることで島部除去工程のテンション、プレス処理工程によって繊維断面の中空部分の潰れ難くなり、また製品でも屈曲や圧縮時の中空部の潰れ、変形がおき難い傾向がある。また繊維中の1個の島部分(中空部分)の面積が少なすぎると、中空部を発生させる島成分を除去する際のテンション、プレス工程によって、島成分を除去したにもかかわらず、中空部が潰れてなくなり易いため、2以上が好ましい。
また繊度6デシテックス以下の中空繊維の横断面中に占める島成分(中空発生部)の総面積比率(s×m/S)は25≦(s×m/S)×100≦65であることが好ましい。また、65以下の場合は島部除去後の中空間の壁の厚みが厚くなるため、工程のテンション、プレス処理工程によって繊維断面の中空部分が潰れ難くなり、基体の密度が上がり難く軽量な皮革様シートが得られ易い。
特に島部分の太さとしては、2.5〜8.0μmの範囲が島成分除去後の中空部を有する繊維の形状安定性の点で好ましい。
本発明では下式を両立することにより製品としての使用時の屈曲により、中空部が潰れて扁平化、または破壊したりすることなく、軽量性能をだし、形状の回復性に優れた性能を持つことができる点で特に好ましい。
中空繊維が下記式を満足する請求項1に記載の皮革様シート。
25≦(s×m/S)×100≦65
(s/S)×100≦5
(但しs:中空繊維の断面における中空部1個あたりの平均面積、m:中空繊維の断面における中空部の個数、S:中空繊維の断面における最外周で囲まれた面積)すなわち、1本の繊維に同じ(s×m/S)が25の総中空率を持つ繊維であっても中空部が1個(繊維断面中1個の中空率(s/S)が25%)である場合と、3個(繊維断面中1個の中空率(s/S)が8.3%)である場合、5個(繊維断面中1個の中空率(s/S)が5%)である場合、10個(繊維断面中1個の中空率(s/S)が2.5%)である場合では、使用時の屈曲による中空部の扁平化、または破壊度が大きく異なり、中空部1個あたりの面積(s/S)を5%以下で分散させることで、屈曲時の中空部の扁平化、破裂が極度に減少し回復性能に優れたものとなる。
また1個の中空部分が繊維中に占める面積が少なすぎると、屈曲時の角度が大きくなった時、中空部が潰れてしまい、また軽量性能を維持するため中空部数を多くすると繊維物性の低下を招く。また、中空部が5個以上であることが重要である。中空部が5個に満たない場合には、軽量性と中空部の潰れ防止の両立が困難である。そして中空部が50個を超えると極度に繊維物性が低下する傾向にある。従って、一個の中空率(s/S)は好ましくは1〜4%であり、繊維中の中空部数は5個以上である必要があり、50個以下にすることが好ましい。
本発明に使用する織編物の中空繊維の繊度は6デシテックス以下である必要があり、好ましくは4デシテックス以下である。皮革様シートなどの繊維質シート製品では、一般的に繊維の太さが細いほど地合いがよく柔軟な製品が得られるが、本発明の中空繊維においても6デシテックスを超える場合には基体の風合いが硬くゴワゴワとした触感が強調され適当でない。また太さが細すぎると基体中の繊維が過密充填になるので、中空繊維は本発明の軽量化を達成する点で2.0デシテックス以上が好ましい。
本発明の織編物に使用する中空繊維はフィラメント(長繊維)の形態を有しているのが繊維化工程性の点で好ましく、したがって織編物を構成している糸としてはマルチフィラメント糸が好ましい。マルチフィラメント糸の太さとしては、織編物用糸使いとして目的により適宜変更可能であるが、30デニール〜300デニールがひとつの目安となるが50〜150デシテックスの範囲が好ましい。
このような糸番手の糸をマルチフィラメント糸とする場合には、1本辺りのフィラメント数は6〜100本の範囲で設定する。フィラメント数を多くすることで糸自体が柔らかくなる傾向があるが、糸物性は低下してしまい、また後述する貫通処理工程の際に糸が損傷し易くなる傾向も見られるので、目的とする風合いや物性との兼ね合いにおいて適宜設定する。また、糸を構成するフィラメントとして、前記した極細繊維発生型の複合繊維を用いて、貫通工程の後の何れかの段階でこれを極細化することで、マルチフィラメント糸をさらに多くのフィラメント数からなるフィラメント糸とすることができるので、貫通工程時の糸損傷を極力回避しつつ皮革様シートとして風合いが良好なものを得ることもできるので好ましい方法の1つである。
織編物の目付は、目的に応じて適宜設定可能であるが、中空化処理後において20〜200g/mの範囲であることが望ましく、最も好適には50〜150g/mの範囲である。目付が20g/m未満になると織編物としての形態が極めてルーズになり、目ずれ等布帛の安定性に欠ける。また、目付が200g/mを超えると織編物組織が密になり、不織布繊維の貫通が不充分でウェブの絡合化およびウェブと織編物の高絡合化が進まず不離一体化したシート状物を作るのが困難になる。織編物の種類については、経編、トリコット編で代表される緯編、レース編及びそれらの編み方を基本とした各種の編物、あるいは平織、綾織、朱子織及びそれらの織り方を基本とした各種の織物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これら織物のうち、好ましいものとしては、経糸、緯糸の撚数を100〜900T/mにした糸を用いたものがよく、特に好ましいものとしては経糸、緯糸ともに撚数を400〜900T/mとした糸を用いた織物である。撚数を上記範囲にすることで糸が軟らかく嵩高となる傾向がある。そして、風合い、柔軟化および絡合化の点で700T/m以下が好ましい。一方、撚数が100T/m以上とすることで織工程通過性が良好となる。
また織物を構成する経糸と緯糸の両方か、経糸と緯糸のいずれか一方を本発明を阻害しない範囲で異種のマルチフィラメントを双糸にして撚糸して用いてもよい。異種の双糸に使用するマルチフイラメントを構成する重合体としては特に限定されないが、PET、ポリトリメチレンテレフタレート、PBT、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系などの繊維形成能を有する重合体が好適である。この中でも強度保持のためのPET、ナイロン6、伸縮性能付与のポリウレタン系等は加工した製品の風合、及び実用性能の点から特に望ましい。
また形状としては単品フイラメント、極細繊維発生型繊維等特に限定されないが、風合いの柔軟化の点で極細繊維発生型繊維が好ましい。
本発明の極細繊維ウェブを構成する繊維の単繊度は0.5デシテックス以下の極細繊維であることが必要である。0.5デシテックスを超えるとシート状物の柔軟な風合いが失われる傾向がある。シート状物、特に皮革様シートとしての性能、すなわち柔軟性、触感、外観品位、強力特性などを高めるために0.0003〜0.5デシテックスが好ましく採用される。より好ましくは0.003〜0.2デシテックス、更に好ましくは0.007〜0.1デシテックスの範囲である。
本発明のウェブを構成する繊維は、織編物絡合一体化する前の状態において、極細繊維または極細化可能な繊維(以下、極細繊維発生型繊維と称することもある。)等特に限定されないが、極細繊維の場合には、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという)、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系などの繊維形成能を有する重合体が好適である。この中でもPET、PBT、ナイロン6、ナイロン66等は加工した製品の風合及び実用性能の点から特に望ましい。そして、これら重合体は融点が160℃以上であることが好ましく、160℃未満の場合には、形態安定性が劣り、実用性の点から好ましくない。
また、ウェブを製造する繊維が、海島型繊維で代表されるような極細繊維発生型繊維からなる場合、そして該極細繊維発生型繊維を構成する一部の重合体を除去することによって極細繊維化する場合、被除去(抽出)成分として、例えばポリスチレン及びその共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)、共重合ポリエステル並びに共重合ポリアミド等の溶剤除去可能なポリマーの1種または2種以上を用いることができるが、本発明においては、環境汚染、溶解除去時の収縮特性等を総合的に考慮すれば、極細繊維発生型繊維の除去(抽出)成分を水溶性高分子成分とし、極細成分を水難溶性高分子成分からなることが好ましく、該水溶性高分子成分が熱溶融性を有しかつ熱水溶解可能なPVAを用いるのがより好ましい。さらに、水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性PVAであることがより好ましい。
PVAで代表される水溶性高分子成分は溶解除去前の極細化可能な繊維中に占めるの質量比率として5〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。熱溶融性を有し熱水溶解可能なPVAについては後で詳述する。
本発明の繊維ウェブ工程では、極細繊維発生型繊維が好ましく用いられる。極細繊維発生型繊維は、例えばチップブレンド方式や複合紡糸方式で代表される方法を用いて得られる相溶性の異なる異種ポリマーからなる海島型断面繊維や多層積層型断面繊維等から海成分ポリマーや被除去ポリマーを除去して得る方法、2種以上の相溶性の低い重合体が隣接してなる易分割型複合繊維を物理的または化学的に処理して界面で剥離分割させて極細繊維とする方法等により極細繊維あるいは極細繊維束が得られるような繊維を言う。極細繊維発生型繊維の繊度としては、1〜6デシテックスが繊維ウェブ工程通過性の点で好ましい。
本発明には、上記したように極細化可能な繊維が好適に用いられるが、それ以外に紡糸延伸することにより直接に極細繊維そのものを得る方法により製造したものも用いることができる。
本発明の繊維ウェブ工程としては、スパンボンド、メルトブロー、抄紙法、その他カードとクロスラッパーを組み合わせた方法など種々用いることが可能である。そして、本発明の皮革様シート基材を製造するには、カードクロスラッパー、ランダムウェバー等を用いて繊維ウェブを形成する方法が好ましい。
また、極細繊維ウェブに対する織編物の質量割合は50%以下であることが好ましく、より好適には10〜50%である。ウェブに対する織編物類の質量割合が50%以下にすることで、皮革様シート特にスエード調皮革様シートとしたときの外観および風合が良好となる。また、引裂き強度で代表される機械的物性に優れる点で10%以上であることが好ましい。
得られた繊維ウェブと織編物の絡合方法としては、繊維ウェブの間または片面もしくは両面に織編物を積層し、ニードルパンチにより絡合させる。このときウェブを織編物と積層する前にあらかじめ低密度のニードルパンチにより初期絡合を行う方法もあるが、本発明の繊維ウェブは、ニードルパンチで初期絡合を施さず織編物と積層した状態で、ニードルパンチで絡合させるのが、繊維ウェブを予備絡合することによる不織布目付け斑の発生(繊維ウェブの絡合が不十分なため、織編物と積層するまでの工程での不織布の伸びが大きくなることで、繊維ウェブの目付斑が発生)が起こり難い点、初期絡合していないことで繊維ウェブ内の繊維は自由度が多い状態となることから、繊維ウェブ内の繊維を織編物の経糸間および緯糸間の空間にニードルのバーブによって移動させ易く、さらに織編物と繊維ウェブを不離一体の絡合構造にし易いため充実感のある絡合シートにし易いことから繊維ウェブと織編物からなる不離一体の絡合シートが得られる点で特に好ましい。
本発明の繊維ウェブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合する具体的な条件としては、ニードル針のバーブが繊維ウェブ表面まで貫通するような条件でかつニードルパンチ数が400〜5000パンチ/cmであることが天然皮革様の充実感を得る点で好ましく1000〜3000パンチ/cmであることがより好ましい。
次に本発明の極細繊維発生型繊維および中空繊維発生型繊維に好適に用いられるPVAについて詳述する。本発明に好適に用いられるPVAとしては、粘度平均重合度(以下、単に重合度と略記する)が200〜500のものが好ましく、中でも230〜470の範囲が好ましく、250〜450が特に好ましい。重合度が200以上の場合には溶融粘度が低すぎることなく、安定な複合化が得られ易い。重合度が500以下とすることで溶融粘度が高すぎることなく、紡糸ノズルからポリマーを安定的に吐出することが可能になる。さらに、重合度500以下のいわゆる低重合度PVAを用いることにより、熱水で溶解するときに溶解速度が速くなるという利点が有る。
ここで言うPVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められるものである。
P=([η]10/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
本発明のPVAのけん化度は90〜99.99モル%であることが好ましく、93〜99.98モル%がより好ましく、94〜99.97モル%がさらに好ましく、96〜99.96モル%が特に好ましい。けん化度が90モル%以上の場合には、PVAの熱安定性が良好で熱分解やゲル化が起こり難く安定的に溶融紡糸を行うことが可能であり、生分解性も向上し、更に後述する共重合モノマーの種類によってはPVAの水溶性が向上し、本発明の中空繊維発生型繊維あるいは極細繊維発生型繊維に好適に用いることができる。一方、けん化度が99.99モル%よりも大きいPVAは安定に製造することができ難い。
本発明で使用されるPVAは生分解性を有しており、活性汚泥処理あるいは土壌に埋めておくと分解されて水と二酸化炭素になる。PVAを溶解した後のPVA含有廃液の処理には活性汚泥法が好ましい。該PVA水溶液を活性汚泥で連続処理すると2日間から1ヶ月の間で分解される。また、本発明に用いるPVAは燃焼熱が低く、焼却炉に対する負荷が小さいので、PVAを溶解した排水を乾燥させてPVAを焼却処理してもよい。
本発明に用いられるPVAの融点(Tm)は160〜230℃が好ましく、170〜227℃がより好ましく、175〜224℃がさらに好ましく、180〜220℃が特に好ましい。融点が160℃以上の場合にはPVAの結晶性が向上し繊維強度が高くなると同時に、PVAの熱安定性が向上し、繊維化が容易となる。一方、融点が230℃以下とすることで溶融紡糸温度を高くすることなく紡糸温度がPVAの分解温度に近づかないことからPVA繊維を安定に製造することができない。
PVAの融点は、DSCを用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
PVAは、ビニルエステル単位を主体として有するポリマーをけん化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを容易に得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
本発明で使用されるPVAは、ホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性の観点からは、共重合単位を導入した変性PVAを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、共重合性、溶融紡糸性および繊維の水溶性の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類が好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に1〜20モル%存在していることが好ましく、さらに4〜15モル%が好ましく、6〜13モル%が特に好ましい。さらに、α−オレフィンがエチレンである場合には、繊維物性が高くなることから、特にエチレン単位が4〜15モル%、より好ましくは6〜13モル%導入された変性PVAを使用する場合である。
本発明で使用されるPVAは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、a、a’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’ーアゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、nープロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
本発明の繊維ウェブと織編物の糸を構成する繊維が極細繊維発生型繊維および中空繊維発生型繊維からなる場合、公知の方法によって極細化、中空化する必要がある。そして、極細繊維発生型繊維および中空繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなる場合は、水溶液により水溶性高分子成分を抽出除去して極細繊維および中空繊維とする必要がある。抽出除去方法は、特に限定することはないが、熱水処理が好ましく用いられる。処理温度は85〜100℃、より好ましくは90〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理する方法が好ましく用いられる。
本発明の皮革様シートは、前述の極細繊維化および中空繊維化の前または後の工程で、高分子弾性体を絡合シートの絡合空間に付与することが皮革様の風合および充実感と機械的物性の向上の点で必要である。高分子弾性体としては、皮革様シートに用いられる公知のものが用いられ特に限定はされないが、風合いや充実感の点でポリウレタンおよび/またはアクリルが好ましく用いられる。付与方法に関しては、特に限定されないが、高分子弾性体とシート状物を構成する繊維(極細繊維発生型繊維あるいは中空繊維発生型繊維の場合には極細化後あるいは中空化後の繊維)の質量比は、充実感および機械的物性保持の点で5/95〜30/70であることが好ましい。
さらに、本発明の皮革様シートは、公知の方法で、極細繊維ウェブの表面側を起毛処理し、さらに染色処理を行うことによってスエード調皮革様シートとすることができる。起毛方法としてはサンドペーパーや針布等を用いたバフィング処理を行う方法等公知の方法を用いることができる。また、高分子弾性体を皮革様シートに含浸する際あるいはその後に、その表面に公知の方法によって表皮層を形成し、エンボス加工、柔軟化処理、染色処理などを行うことによって銀付調、または半銀付調皮革様シートとすることもできる。得られたスエード調皮革様シートまたは銀付調皮革様シートの厚みは、使用目的によっても異なるが、一般的に0.4〜3.0mmにすることが好ましい。得られるスエード調皮革様シートの見かけ密度は0、3〜0.4g/cmと軽量性能と天然皮革様の柔軟で充実感のある風合と機械物性を有しており、衣料用、靴用、さらにはカーシート、インテリア用素材として特に好適なものである。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。以下の実施例および比較例において密度の測定、機械物性その他の評価は以下の方法に従った。
[マーチンデール法の摩耗減量の測定]
JIS L 1096(6.17.5E法 マーチンデール法)にて測定。押圧荷重12kPa(gf/cm)、摩耗回数5万回、測定数4回の平均値で表す。
[皮革様シートの剥離強力測定方法]
表面を削った巾2.5cmのゴム板に接着剤を均一に塗布し、100℃2分熱処理した後、たて方向23cm、巾2.5cmの試験片を貼り合わせる。貼り合わせた試験片を2〜4kg/cm圧力でプレスし、室温にて1昼夜放置する。貼り合わせた試験片のゴム板先端部を一方のチャックに、サンプル先端部を他方のチャックに挟む。引張試験機にて速度100mm/分でゴム板とサンプル接着部分の剥離強力を測定、記録する。得られたSS曲線から剥離強力の平坦な部分の平均値を求める。試験片3個の平均値で表す。
[皮革様シートの引裂強力測定方法]
たて10cm×よこ4cmの試験片を切り取り、短辺の中央に辺と直角に5cmの切れ目をいれ、各舌片をチャックに挟み引張試験機で100mm/分の速度で引裂く。引裂最大荷重を求め、あらかじめ求めた試験片の厚みで除し試験片3個の平均値で表す。
[密度の測定]
皮革様シートの単位面積あたりの質量(g/cm)を厚み(cm)で除した数字を密度(g/cm)とする。
[織編物繊維の断面における中空部の占める面積の測定方法]
電子顕微鏡にて基体中の織編物の多孔中空孔繊維の横断面を2000倍で撮影し、コンピュータに取り込んだ画像を画像解析用ソフトで解析し、前記したような方法で繊維断面積全体に対する中空部の面積の比を計算で求めた。
[水溶性熱可塑生ポリビニルアルコールの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cmとなるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
得られたエチレン変性PVAのけん化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.03質量部であった。また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをd6−DMSOに溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5でけん化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置してけん化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。該精製PVAの1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を5000MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ1.50モル%および83%であった。さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であった。
[ステープルの製造]
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等質量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸8モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が64島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、550ホール)を用い、海成分/島成分比率=30/70の比率、口金温度250℃で吐出し紡糸した。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸した。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型繊維(極細繊維発生型繊維)を、捲縮機で捲縮を付与し51mmにカットしてステープル化した。この海島型繊維ステープルは単繊度4.13デシテックス、強度3.2cN/dtex、伸度40%と良好であった。
[織編物の製造]
上記PVAを島成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを海成分とし、島成分が15島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、24ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した(海島比=6:4(質量比))。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、84デシテックス−24フィラメントの中空繊維発生型繊維のマルチフィラメント繊維を得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この中空繊維発生型繊維を撚り数630T/mにし、平織物(目付100g/m)を作製した。
上記スクリムの上にカード、クラスラッパー工程を経て形成したステープルを繊維ウェブとした状態で積層し、次いでニードルのバーブ深さ40μmのシングルバーブが植えられたボードを使用して繊維ウェブ側から、針深度14mm、50P/cm2で平織物を構成する糸糸間の空間に繊維ウェブの繊維を突き抜かし、その後繊維ウェブ側から針深度9mmで1200P/cm2のニードルパンチを行いその後針深度5mmで平織物側から600P/cm2のニードルパンチ処理をした。得られた絡合シートを190℃の乾熱処理後160℃の加熱ロールでプレスして厚さ85%にし、表面の平滑な厚み1.6mm、目付290g/m2、密度0.28の絡合シートを得た。
その後に13%のポリウレタンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸し、DMF水溶液中に浸漬して凝固、湯洗した後、基体を95℃の温水で30分間液流染色機で処理し繊維中のPVAを抽出除去し、厚み1.1mm、目付290g/m2、密度0.263の中空部を有するポリエステル織物繊維とポリエステル極細繊維ウェブとが一体絡合し、かつポリウレタンバインダーにより形態が保持されてなる皮革様シートを得た。
この繊維質シートの極細繊維面側に200メッシュのグラビアロールを使用して、DMFとシクロヘキサノンの50対50混合溶剤を18g/m塗布し、乾燥した。この混合溶剤塗布面を粒度400番のサンドペーパーでバフィングを行い、表面の繊維を起毛して、極細繊維立毛が形成されたスエード調皮革様シートを得た。次に高圧液流染色機を用いて濃い茶色の分散染料により130℃の温水で60分間染色し温水洗浄後、還元処理、酸化処理、中和処理後さらに温水洗浄した後乾燥することによって、面が平滑で優美な外観であり、かつ柔軟性に富み、軽量なスエード調皮革様シートを得た。
該スエード調皮革様シートの繊維とポリウレタンの質量比を測定したところ35/75であった。またこの基体中の繊維の中空部を有するポリエステル織物繊維は15の中空部を有し、中空繊維の横断面中に占める島成分(中空発生部)の総面積比率(s×m/S)×100は40であり、1個の中空率(s/S)×100は2.5であった。
この基体の厚みは1.0mm、密度0.32と非常に軽く、また剥離強力は9.0kg/2.5cm、引裂強力は5kgあり、また表面強度もマーチンデール5万回後の摩耗減量が45mgと非常に強く、軽く、柔軟なものであり、カーシート、インテリア用およびスポーツシューズ用として極めて優れたものであった。
実施例1の織物の中空部発生型繊維の島数を64個とする以外は実施例1と同様の操作を行い皮革様シートを得、さらにスエード調皮革様シートを得た。このスエード調皮革様シートの中空部を有するポリエステル繊維は64個の中空部を有し、中空繊維の断面中に占める島成分(中空発生部)の総面積比率(s×m/S)は40であり1個の中空率(s/S)は0.6%であった。
またこの基体の厚みは0.95mm密度0.33と軽く、また表面のラィティングおよび表面のタッチも良好であったが、剥離強力5.0kg/2.5cm、引裂強力3kgと強度面で実施例1に比べ若干劣るものであった。
比較例1
実施例1の平織物の中空部発生型繊維の島数を3個とする以外は実施例1と同様の操作を行い皮革様シート得、さらにスエード調皮革様シートを得た。理論上この皮革様シートおよびスエード調皮革様シート内部の平織物の中空部を有するポリエステル繊維は3個の中空部を有し、中空繊維の横断面中に占める島成分(中空発生部)の総面積比率(s×m/S)は40%、1個の中空率(s/S)は13.3%になるが、PVA抽出後のテンション、プレス等の工程で潰れや、変形が生じ、実際の基体中の平織物の中空繊維の横断面中に占める島成分(中空発生部)の総面積比率(s×m/S)は20%、1個の中空率(s/S)は6,7%と低くなっていた。
またこのスエード調皮革様シートは0.8mmで密度0.4、また剥離離強力9.0kg/2.5cm、あり、表面強度もマーチンデール5万回で45mgと非常に強いものであつたが、軽量性、柔軟性に乏しいものであった。

Claims (7)

  1. 0.5デシテックス以下の極細繊維ウェブと織編物とが一体に絡合してなる絡合シートの内部に高分子弾性体が含有されてなる皮革様シートにおいて、該織編物が5個以上の中空部を有する単繊維繊度6デシテックス以下の中空繊維から構成されていることを特徴とする皮革様シート。
  2. 中空繊維が下記式を満足する請求項1に記載の皮革様シート。
    25≦(s×m/S)×100≦65
    (s/S)×100≦5
    (但しs:中空繊維の断面における中空部1個あたりの平均面積、m:中空繊維の断面における中空部の個数、S:中空繊維の断面における最外周で囲まれた面積)
  3. 請求項1または2に記載の皮革様シートの極細繊維ウェブ表面を起毛して得られるスエード調皮革様シート。
  4. 以下の工程を(1)(2)(3)(4)または(1)(2)(4)(3)の順で行うことを特徴とする皮革様シートの製造方法。
    (1)5個以上の中空部を有する単繊維繊度6デシテックス以下の中空繊維を発生させる中空繊維発生型繊維から織編物を製造する工程と0.5デシテックス以下の極細繊維を発生させる極細発生型繊維から繊維ウェブを製造する工程
    (2)織編物と繊維ウェブを絡合一体化して絡合シートを製造する工程
    (3)絡合シートの内部に高分子弾性体を付与する工程
    (4)中空繊維発生型繊維を中空繊維とする工程と極細繊維発生型繊維を極細化する工程
  5. 中空繊維発生型繊維および極細発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなる請求項4に記載の皮革様シートの製造方法。
  6. 水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールである請求項5に記載の皮革様シートの製造方法。
  7. 請求項4〜6に記載の皮革様シートの極細繊維ウェブ表面側を起毛処理するスエード調皮革様シートの製造方法。
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