JP2006187976A - シート状物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 不織布と織編物をニードルパンチにより絡合一体化させるシート状物の製造方法において、天然皮革調の風合いを有し、機械的性能に優れたシート状物の製造方法を提供することにある
【解決手段】 ウエッブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合するに際し、以下の関係式を満たす条件下でニードルパンチを施すことを特徴とするシート状物の製造方法。
A/B≧2
ただし、A=織編物を構成する糸間の空間距離。
B=ニードルパンチに使用するニードルのバーブの深さ。
【選択図】なし
【解決手段】 ウエッブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合するに際し、以下の関係式を満たす条件下でニードルパンチを施すことを特徴とするシート状物の製造方法。
A/B≧2
ただし、A=織編物を構成する糸間の空間距離。
B=ニードルパンチに使用するニードルのバーブの深さ。
【選択図】なし
Description
本発明は、ウエッブと織編物とが一体構造となったシート状物の製造方法に関するものである。特に本発明のシート状物は、高強力および低伸度並びにと充実感および柔軟性を兼ね備えたスエード調人工皮革の製造に好適に利用される。
従来から人工皮革は、天然皮革に類似した柔軟性と機械的性能を得るために、極細繊維と高分子弾性体から主として構成されており、その具体的製造法についても種々の方法が提案されてきている。
それらの一般的な製造方法では、柔軟性と機械的性能を同時に満足することができないため、従来の柔軟化技術に加えて種々の強力特性の向上手段が試みられている。その1つとして、不織布を織編物で補強する方法が提案されている。
それらの一般的な製造方法では、柔軟性と機械的性能を同時に満足することができないため、従来の柔軟化技術に加えて種々の強力特性の向上手段が試みられている。その1つとして、不織布を織編物で補強する方法が提案されている。
たとえば、長さが10mm以下の海島構造繊維よりなるシートの間に織編物類をはさみ、それに高速流体処理を施して皮革様シートを製造する方法(特許文献1参照)が提案されている。しかし、この方法は、織編物の損傷がなく、高密度で短毛すなわち、ヌバック調のスエードを得るためにはそれなりの効果があるが、使用されている繊維の繊維長が極めて短いため、単繊維が抜けやすく摩耗強力が低下しやすくなる場合がある。
また、不織ウエッブの間あるいは片面に織編物を重ねニードルパンチする方法も公知であるが、従来の公知技術では、織編物を用いた場合、ニードル針のバーブに織編物の糸がひっかかりやすく、ニードルパンチの条件によって織編物を構成する糸の損傷が大きくなることによって補強効果が低下し、十分な期待効果が得られない場合もある。そして、製品の充実感、外観(特に立毛形成の場合)および品位などを向上させるためには、繊維絡合度を高める必要があるが、絡合度を高めるためにニードルパンチ数を高めると織編物を構成する糸の損傷がそれだけ大きくなり、織編物の強度低下をきたし、補強効果が低下することとなる。さらに織編物の損傷により生じた織編物からの切断繊維の端が不織布表面に露出した場合には、極細繊維の間に太い織編物構成繊維が存在することとなるため、特にスエード調人工皮革の外観上の低下をきたす。
またその対策として、長さ20mm以上で、かつ繊度0.8デニール以下もしくは、0.8デニール以下に極細化可能な繊維から構成される不織ウエッブと1000〜4000T/mの強撚糸織編物を重ねて不離一体となる如くニードルパンチにより強固に絡合せしめる方法(特許文献2参照)が提案されている。この方法では織編物を構成する糸が強撚を与えられていることから、糸が一体性の強い棒状の構成を維持する力が強く、構成する単繊度がニードルのバーブに引っかかっても、織編物を構成する糸の損傷を防止し、機械的強力を保持するには効果はあるが、強撚糸織編物を構成する強撚糸の硬さが影響し、天然皮革のような柔軟性からは離れたものになりやすい傾向がある。
またニードルパンチ処理時の織編物を構成する糸の損傷を避ける方法として織編物を構成する糸の直径をニードルパンチに使用されるニードルのスロートデブスの2倍以上にする(特許文献3参照)ことが提案されている。この方法は、ニードルバーブが糸に与える損傷の軽減方法であり、前記文献記載の織編物を構成する糸が強撚を与えられ、糸が一体性の強い棒状の構成を維持する力が強い強撚糸の時に効果が期待されるが、その場合に天然皮革のような柔軟性からは離れたものになるという同様の問題を有する。つまり、柔軟な天然皮革の風合と機械的性能の両者を満足させるものはいまだ実現されていないのが現状である。
本発明は、上記問題を解決し、ウエッブと織編物をニードルパンチにより絡合一体化させるシート状物の製造方法において、天然皮革調の風合いを有し、機械的性能に優れたシート状物の製造方法を提供することにある。
上記課題を達成する本発明のシート状物の製造方法は次の通りである。
すなわち、本発明は、ウエッブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合するに際し、以下の関係式を満たす条件下でニードルパンチを施すことを特徴とするシート状物の製造方法である。
A/B≧2
ただし、A=織編物を構成する糸間の空間距離。
B=ニードルパンチに使用するニードルのバーブの深さ。
また、ウエッブを構成する繊維および織編物の糸を構成する繊維が0.5デシテックス以下の極細繊維または単繊度0.5デシテックス以下に極細化可能な極細繊維発生型繊維であることが好ましく、該極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなることが好ましく、さらに、水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
また、ウエッブを予備的絡合しない状態で織編物と重ねてニードルパンチを施し絡合するシート状物の製造方法であることが好ましい。
そして、上記いずれかの製造方法により得られたシート状物に高分子弾性体を含有させてなる人工皮革基材の製造方法であり、該人工皮革基材を起毛処理してなるスエード調人工皮革の製造方法である。
すなわち、本発明は、ウエッブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合するに際し、以下の関係式を満たす条件下でニードルパンチを施すことを特徴とするシート状物の製造方法である。
A/B≧2
ただし、A=織編物を構成する糸間の空間距離。
B=ニードルパンチに使用するニードルのバーブの深さ。
また、ウエッブを構成する繊維および織編物の糸を構成する繊維が0.5デシテックス以下の極細繊維または単繊度0.5デシテックス以下に極細化可能な極細繊維発生型繊維であることが好ましく、該極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなることが好ましく、さらに、水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
また、ウエッブを予備的絡合しない状態で織編物と重ねてニードルパンチを施し絡合するシート状物の製造方法であることが好ましい。
そして、上記いずれかの製造方法により得られたシート状物に高分子弾性体を含有させてなる人工皮革基材の製造方法であり、該人工皮革基材を起毛処理してなるスエード調人工皮革の製造方法である。
本発明のシート状物の製造方法は、柔軟で充実感を兼ね備えた天然皮革の風合と機械的性能の両者を満足するシート状物を製造することができ、該シートを用いた人工皮革基材、さらにはスエード調人工皮革に好適なシートを製造することができる。
以下本発明について本発明を達成するための具体的な手段の一例として詳細に述べる。
ますウエッブを形成したあと、このウエッブと織編物を重ねてニードルパンチし、ウエッブ自体の絡合と、ウエッブ及び織編物の絡合を十分高めて不離一体構造を形成する。このニードルパンチにおいて使用する針のバーブの深さ(B)が、織編物を構成する糸間の空間距離(A)に対してA/B≧2の関係式を満足する必要がある。
なおここで使用するバーブ深さ(B)とはバーブの先端から谷の最深部までの長さを意味するものであり、スロートデプスという場合もある。またバーブの深さ(B)は未使用の針における摩耗の全くない状態での平均値を意味する。
ますウエッブを形成したあと、このウエッブと織編物を重ねてニードルパンチし、ウエッブ自体の絡合と、ウエッブ及び織編物の絡合を十分高めて不離一体構造を形成する。このニードルパンチにおいて使用する針のバーブの深さ(B)が、織編物を構成する糸間の空間距離(A)に対してA/B≧2の関係式を満足する必要がある。
なおここで使用するバーブ深さ(B)とはバーブの先端から谷の最深部までの長さを意味するものであり、スロートデプスという場合もある。またバーブの深さ(B)は未使用の針における摩耗の全くない状態での平均値を意味する。
ここでいう織編物を構成する糸間の空間距離(A)とは、織物の場合には糸の経糸間および緯糸間の空間距離を意味し、糸の経糸間および緯糸間の空間距離とは織物を構成する糸条の織物中で2本の隣り合う経糸の間の空間距離と2本の隣り合う緯糸の間の空間距離を実測した値の平均値であって該糸条を構成する個々の単繊度、集束した糸本数および織密度や目付けその他加工条件等より算出した計算値を意味するものではない。
この実測値は織物をサンプリングし、走査型顕微鏡により80倍に写真撮影を行い、空間距離を測定するものであって、また画像で長く見える部分と、短く見える部分とそれ以外の任意の8点、計10点の長さを測定した平均と、画像上の500μmスケールとの長さを比較して求めたものである。
また本発明でいう経糸間および緯糸間の空間距離とは、経糸間および緯糸間の空間距離の平均値を指すものであり、各々の空間距離が本発明範囲内であることが特に好ましい。
この実測値は織物をサンプリングし、走査型顕微鏡により80倍に写真撮影を行い、空間距離を測定するものであって、また画像で長く見える部分と、短く見える部分とそれ以外の任意の8点、計10点の長さを測定した平均と、画像上の500μmスケールとの長さを比較して求めたものである。
また本発明でいう経糸間および緯糸間の空間距離とは、経糸間および緯糸間の空間距離の平均値を指すものであり、各々の空間距離が本発明範囲内であることが特に好ましい。
さらに詳述すると、経糸間の空間距離とは、経糸の側端からその隣に位置する経糸の側端までの空間の前述の方法で得られる平均距離をいうものであり、緯糸の場合も同様に緯糸の側端からその隣に位置する経糸の側端までの空間の前述の方法で得られる平均距離をいうものである。なお、織物を構成する経糸と緯糸の両方か、経糸と緯糸のいずれか一方が2本またはそれ以上の本数を引き揃えて用いられている、いわゆる引き揃え糸である場合には、その引き揃え糸で構成される糸の側端とその隣に位置する引き揃え糸で構成される糸の側端までの空間の距離をいうものであり、引き揃えられた一本の糸内部における糸同士の糸間の空間距離をいうものではない。
本発明によって得られるシート状物を人工皮革基材として用いる場合は、織物の目付を20〜200g/m2にすることが望ましく、より好ましくは50〜150g/m2の範囲である。目付が20g/m2未満になると織編物としての形態がルーズになり表面に重ねたり、中間部に挿入する際に、シワが発生し均一に広げることが困難になる。またあまりに薄すぎて、繊維ウエッブを構成する繊維あるいは繊維束を織編物の厚み方向に固定し難い状態になり、ウエッブ自身、さらには織編物との絡合が十分となり難く、シート状物としての機械的物性および充実感が低下する傾向にあるため、織編物を挿入する価値が認められなくなる。また200g/m2を超える目付量になると、織編組織が密になり、織編物を構成する糸間の空間距離(A)が狭くなる傾向があるので、本発明の重要な用件であるニードルパンチにおいて使用する針のバーブの深さ(B)が、織編物を構成する糸間の空間距離(A)に対してA/B≧2の関係式を満たさなくなる傾向がある。さらにはウエッブを構成する繊維あるいは繊維束の貫通、充填が生じ難い傾向があり、ウエッブを構成する繊維あるいは繊維束を織編物類に十分に絡合することができず、一体化した構造をとることも困難となり易い。さらには織編物の糸を構成する繊維の切断が顕著に増加する傾向がある。
本発明のシート状物とは、ウエッブを構成する繊維同士がその形態を維持しながら絡み合って不織布となっているばかりでなく、織編物を構成する繊維の一部と交絡して、互の繊維が絡合一体化しており、その時点のウェッブからなる不織布と織編物の層間剥離強力は8kg/2.5cm以上であることが好ましく、より好ましくは10〜25kg/2.5cmである。両者の層間剥離強力8kg/2,5cm未満の場合は両者の一体感が得られ難くこのようなシート状物を人工皮革基材としても、一体感のないペーパーライクな風合いになり易く、また、ウエッブから構成される不織布と織編物の、工程中での形態変化の差によるシワの発生を招き、さらに人工皮革基材として実用上十分な強力が得られ難い。
織編物とウエッブをニードルパンチで絡合一体化した構造体にするには、この織編組織の内部にウエッブを構成する繊維あるいは繊維束が埋入できる織編物組織の空隙、織編物を構成する糸間の空間距離、例えば織物の場合には織物を構成する経糸間および緯糸間の空間距離を適正に保持していることが必要であり、またその保持している経糸間および緯糸間の空間距離と、絡合のために使用するニードルのバーブ深さとが深く関与していることを見出した。すなわち、織編物を構成する経糸および緯糸の太さは、撚糸前の原糸本数、単繊度が同じであっても、撚数によって変わるものであり、積層するウエッブ目付、得られる積層構造物の外観、風合いを損なわない範囲で適宜に決定すればよく、織編物を構成する経糸間および緯糸間の空間距離が、織編物とウエッブとの効果的な絡合および、織編物を構成する糸の損傷を少なくするのに重要である。
つまり、織編物を構成する経糸間および緯糸間の空間距離(A)が大きくなれば、ニードルパンチに使用するニードルバーブの深さ(B)を大きくし、織編物組織の空隙隔にウエッブの繊維束を多く、かつ効率的に埋入することが可能である。しかしながら、バーブ深さ(B)が小さいとウエッブの貫通量が不十分で絡合化が進まず逆に織編物の糸を構成する繊維を切断する頻度が増加する傾向がある。そして不離一体化した構造物を製造するのが困難になる。
また織編物を構成する経糸間および緯糸間の空間距離(A)が小さくなれば、ニードルパンチに使用するニードルのバーブ深さ(B)を小さくし織編物組織の空隔に応じたウエッブの繊維束を埋入することが重要であり、バーブ深さ(B)を大きくするとバーブで持ち込まれた状態のウエッブを構成する繊維あるいは繊維束が、織編物を構成する糸間を通過する時、織編物を構成する糸でバーブ中に持ち込まれた状態の繊維がはじき出され、バーブ中のウエッブを構成する繊維が織編物を構成する繊維あるいは糸に置換される。そしてバーブに、織編物を構成する糸が引っ掛かかり、織編物を構成する糸の損傷、あるいは織編物を構成する糸を構成する繊維の損傷によって、織編物の強度低下を来たすとともに繊維の切断端が表面に露出することによる外観品位の著しい低下を生じる傾向がある。
また織編物を構成する経糸間および緯糸間の空間距離(A)が小さくなれば、ニードルパンチに使用するニードルのバーブ深さ(B)を小さくし織編物組織の空隔に応じたウエッブの繊維束を埋入することが重要であり、バーブ深さ(B)を大きくするとバーブで持ち込まれた状態のウエッブを構成する繊維あるいは繊維束が、織編物を構成する糸間を通過する時、織編物を構成する糸でバーブ中に持ち込まれた状態の繊維がはじき出され、バーブ中のウエッブを構成する繊維が織編物を構成する繊維あるいは糸に置換される。そしてバーブに、織編物を構成する糸が引っ掛かかり、織編物を構成する糸の損傷、あるいは織編物を構成する糸を構成する繊維の損傷によって、織編物の強度低下を来たすとともに繊維の切断端が表面に露出することによる外観品位の著しい低下を生じる傾向がある。
本発明に用いるニードルバーブ深さ(B)以外の部分の形状は、キックアップの有無等特に限定されないが、針1本当たりのバーブの数は1個、すなわちシングルバーブを用いることが均一で表面が平滑なシートを得るのに好ましい。
織編物を構成する糸の損傷がなく、効果的に絡合を高めるには、織編物を構成する糸間の空間距離(A)にあったバーブ深さ(B)の針を用いることが必要であり、A/B≧2の関係式を満足していることが重要である。
A/Bが2未満ではニードルが織編物組織の空間を貫通する時の糸のおよびそれを構成する繊維の損傷が大きく、織編物の強度低下を来たし、切断端が表面に露出して外観品位の著しい低下を生じる。
またA/Bが2以上でも、あまりにも糸間の空間距離より、バーブ深さ(B)が小さいと、糸の損傷は起きないが織編物とウエッブの絡合が進み難く不離一体化した絡合体が得られ難いことから、好ましくは2≦A/B≦4である。
織編物を構成する糸の損傷がなく、効果的に絡合を高めるには、織編物を構成する糸間の空間距離(A)にあったバーブ深さ(B)の針を用いることが必要であり、A/B≧2の関係式を満足していることが重要である。
A/Bが2未満ではニードルが織編物組織の空間を貫通する時の糸のおよびそれを構成する繊維の損傷が大きく、織編物の強度低下を来たし、切断端が表面に露出して外観品位の著しい低下を生じる。
またA/Bが2以上でも、あまりにも糸間の空間距離より、バーブ深さ(B)が小さいと、糸の損傷は起きないが織編物とウエッブの絡合が進み難く不離一体化した絡合体が得られ難いことから、好ましくは2≦A/B≦4である。
一般的にバーブ深さ(B)は30μm以上が実際的であろうから空間距離(A)は60μm以上に設計するのが好ましい。またニードルのバーブの深さ(B)が大きいと、バーブに持ち込まれるウエッブの繊維量も多くなり、ウエッブ表面の凹凸の激しいものになる。バーブで小量ずつ持ち込むのが仕上がり面が平滑になることからバーブ深さ(B)は一般的に100μmまでのものが好ましく70μmまでのものがより好ましく使用される。つまり織編物の糸間の空間距離(A)は60μm〜400μmが好ましく、より好ましくは70μm〜280μmであり、さらに好ましくは80μm〜210μmであり最も好ましくは90μm〜180μmである。
このように織編物を構成する糸の損傷の防止および織編物とウエッブとを十分に絡合させることの理由から、織編物を構成する糸間の空間距離(A)に合ったニードル針のバーブ深さ(B)を選択する必要があり、本発明のA/B≧2であることの関係式を満足していることが重要である。
このように織編物を構成する糸の損傷の防止および織編物とウエッブとを十分に絡合させることの理由から、織編物を構成する糸間の空間距離(A)に合ったニードル針のバーブ深さ(B)を選択する必要があり、本発明のA/B≧2であることの関係式を満足していることが重要である。
本発明のシート状物を人工皮革基材の製造に利用する場合、ウエッブを構成する繊維は、単繊度は0.5デシテックス以下の極細繊維または単繊度0.5デシテックス以下に極細化可能な極細繊維発生型繊維であることが望ましく、単繊度が0.5デシテックスを超えるとシート状物の柔軟な風合いが失われる傾向がある。シート状物、特に人工皮革としての性能、すなわち柔軟性、触感、外観品位、強力特性などを高めるために0.0003〜0.5デシテックスが好ましく採用される。より好ましくは0.003〜0.2デシテックス、更に好ましくは0.007〜0.1デシテックスの範囲である。
ウエッブを構成する繊維は、極細繊維または極細化可能な極細繊維発生型繊維等特に限定されないが、極細繊維の場合には、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという)、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系などの繊維形成能を有する重合体が好適である。この中でもPET、PBT、ナイロン6、ナイロン66等は加工した製品の風合及び実用性能の点から特に望ましい。そして、これら重合体は融点が160℃以上であることが好ましく、160℃未満の場合には、形態安定性が劣り、実用性の点から好ましくない。
また、ウエッブを製造する繊維が、海島型繊維で代表されるような極細繊維発生型繊維からなる場合、該複合繊維を構成する一部の重合体を除去することによって極細繊維化することから、被除去成分として、例えばポリスチレン及びその共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の溶剤除去可能なポリマーの1種または2種以上を用いることができるが、本発明においては、環境汚染、溶解除去時の収縮特性等を総合的に考慮すれば、極細化可能な繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなることが好ましく、該水溶性高分子成分が熱溶融性を有しかつ熱水溶解可能なPVAを用いるのがより好ましい。さらに、水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性PVAであることがより好ましい。
さらに、このような変性PVAを溶解除去する際に大きな収縮を生じさせることで、本発明の織編物を構成する糸間距離(A)をA/B≧2と広くして糸の損傷を抑えながら絡合一体化処理した後、収縮させることにより、シート状物およびそれを用いた人工皮革基材の高密度化が非常に効率的に達成され、ドレープ性や風合い等が天然皮革に最も酷似したものとなるとともに機械物性にも優れたシート状物および人工皮革基材となる。PVAで代表される水溶性高分子成分は溶解除去前の極細化可能な繊維中に占めるの質量比率として5〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。熱溶融性を有し熱水溶解可能なPVAについては後で詳述する。
さらに、このような変性PVAを溶解除去する際に大きな収縮を生じさせることで、本発明の織編物を構成する糸間距離(A)をA/B≧2と広くして糸の損傷を抑えながら絡合一体化処理した後、収縮させることにより、シート状物およびそれを用いた人工皮革基材の高密度化が非常に効率的に達成され、ドレープ性や風合い等が天然皮革に最も酷似したものとなるとともに機械物性にも優れたシート状物および人工皮革基材となる。PVAで代表される水溶性高分子成分は溶解除去前の極細化可能な繊維中に占めるの質量比率として5〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。熱溶融性を有し熱水溶解可能なPVAについては後で詳述する。
本発明のウエッブに好適な繊維としては、極細繊維発生型繊維が好ましく用いられる。極細繊維発生型繊維とは、前述の通りであり、例えば、チップブレンド方式や複合紡糸方式で代表される方法を用いて得られる相溶性の異なる異種ポリマーからなる海島型断面繊維や多層積層型断面繊維等から海成分ポリマーや被除去ポリマーを除去して得る方法、2種以上の相溶性の低い重合体が隣接してなる易分割型複合繊維を物理的または化学的に処理して界面で剥離分割させて極細繊維とする方法等により極細繊維あるいは極細繊維束が得られるような繊維を言う。極細化可能な繊維の繊度としては、1〜6デシテックスがウエッブ工程通過性の点で好ましい。
本発明には、上記したように極細繊維発生型繊維が好適に用いられるが、それ以外に紡糸延伸することにより直接に極細繊維そのものを得る方法により製造したものも用いることができる。
本発明には、上記したように極細繊維発生型繊維が好適に用いられるが、それ以外に紡糸延伸することにより直接に極細繊維そのものを得る方法により製造したものも用いることができる。
織編物を構成する糸を構成する繊維に用いられる重合体としては、特に限定されないが、PET、ポリトリメチレンテレフタレート、PBT、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系などの繊維形成能を有する重合体が好適である。この中でもPET、PBT、ナイロン6、ナイロン66等は加工した製品の風合及び実用性能の点から特に望ましい。これらの重合体は、ウエッブを構成する重合体と同様の理由により融点が160℃以上のものが好ましい。
また、本発明において、海島型断面繊維や多層積層型断面繊維のように複合繊維を構成する一部の重合体を除去することによって極細繊維化されるものを織編物用原料繊維として用いるのが好ましく、前記ウエッブを構成する繊維と同様に、熱溶融性を有しかつ熱水溶解可能な変性PVAを用いることが前述のとおり、このような変性PVAを溶解除去する際に大きな収縮が生じシート状物およびそれを用いた人工皮革の高密度化が達成され、ドレープ性や風合い等が天然皮革に最も酷似したものとなり、機械物性も優れることからより好ましい。
この織編物の糸を構成する繊維の単繊維繊度は収縮処理前で8デシテックス以下であることが好ましく。より好ましくは2デシテックス以下、さらに好ましくは、収縮後かつPVA溶解除去後において、不織布を構成する極細繊維の繊度と同等レベルの0.0003〜0.5デシテックスの範囲である。ウエッブを構成する極細繊維の繊度と同等レベルにすることにより人工皮革としたときの外観、審美性は飛躍的に向上する。
この織編物の糸を構成する繊維の単繊維繊度は収縮処理前で8デシテックス以下であることが好ましく。より好ましくは2デシテックス以下、さらに好ましくは、収縮後かつPVA溶解除去後において、不織布を構成する極細繊維の繊度と同等レベルの0.0003〜0.5デシテックスの範囲である。ウエッブを構成する極細繊維の繊度と同等レベルにすることにより人工皮革としたときの外観、審美性は飛躍的に向上する。
このような複合繊維の断面形状としては、水溶性高分子成分を海成分として、水難溶性高分子成分を島成分とする海島型や水溶性高分子成分と水難溶性高分子成分とが多層積層状態で貼り合わされたような多層積層型等が挙げられる。PVAとの複合によりなぜ高密度布帛が得られるのかについては現時点で明確ではないが、PVAの溶解に至る際に生じる強い収縮応力により高密度に至ると推定される。この高密度化は繊維中のPVA複合比率が高いほど強く発現される傾向にある。複合断面としては、上記海島型、多層積層型のほかに、芯鞘断面等も適用可能である。PVA溶解除去前の織編物中に占めるPVAの質量比率としては5〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。
本発明の織編物に好適な繊維としては、極細繊維化可能な繊維が用いられる。極細化可能な繊維の単繊維繊度としては、1〜5デシテックスの範囲が好ましい。また、このような原料繊維はフィラメント(長繊維)の形態を有しているのが繊維化工程性の点で好ましく、したがって織編物を構成している糸としてはマルチフィラメント糸が好ましい。マルチフィラメント糸の太さとしては、織編物用糸の本数によって適宜変更可能であるが、30デニール〜300デニールがひとつの目安となるが50〜150デシテックスの範囲が好ましい。
織編物の目付は、目的に応じて適宜設定可能であるが、極細処理後においても20〜200g/m2 の範囲であることが望ましく、最も好適には50〜150g/m2 の範囲である。目付が20g/m2 未満になると織編物としての形態が極めてルーズになり、目ずれ等布帛の安定性に欠ける。また、目付が200g/m2を超えると織編物組織が密になり、不織布繊維の貫通が不充分でウエッブの絡合化およびウエッブと織編物の高絡合化が進まず不離一体化したシート状物を作るのが困難になる。織編物の種類については、経編、トリコット編で代表される緯編、レース編及びそれらの編み方を基本とした各種の編物、あるいは平織、綾織、朱子織及びそれらの織り方を基本とした各種の織物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これら織物のうち、好ましいものとしては、経糸、緯糸の撚数を100〜700T/mにした糸を用いたものがよく、特に好ましいものとしては経糸、緯糸ともに撚数を400〜700T/mとした糸を用いた織物である。撚数が高過ぎると糸が硬くなる傾向があり、風合い、柔軟化および絡合化の点で700T/m以下が好ましい。一方、撚数が100T/m未満の場合には織工程通過性不良となり易い。
また、ウエッブに対する織編物の質量割合は50%以下であることが好ましく、より好適には10〜50%である。ウエッブに対する織編物類の質量割合が50%を超えると、外観および審美性並びに柔軟な風合に劣る傾向がある。また、引裂き強度で代表される機械的物性に優れる点で10%以上であることが好ましい。
本発明の繊維ウエッブの形成手段としては、スパンボンド、メルトブロー、抄紙法、その他カードとクロスラッパーを組み合わせた方法など種々用いることが可能である。そして、本発明のシート状物により人工皮革基材を製造するには、カードクロスラッパー、ランダムウエッブ等を用いて繊維ウエッブを形成する方法が好ましい。
得られたウエッブと織編物の絡合方法としては、ウエッブの間または片面もしくは両面に織編物を積層し、ニードルパンチにより絡合させる。このときウエッブを織編物と積層する前にあらかじめ低密度のニードルパンチにより初期絡合を行う方法もあるが、ウエッブの絡合が不十分なため、織編物と積層するまでの工程でのウエッブの伸びが大きくなることで、ウエッブの目付斑が発生し、シート状物および人工皮革基材としての品位を低下させる。また初期絡合されたウエッブ内の繊維は自由度が少なくなることから、ウエッブ内の繊維を本発明の織編物の糸空間、例えば、経糸間および緯糸間の空間にニードルのバーブによって移動させ難く、さらに、織編物とウエッブを不離一体の絡合構造にし難いため充実感のある絡合体にするのは困難である。以上から本発明のウエッブは、ニードルパンチで初期絡合を施さず織編物と積層した状態で、ニードルパンチで絡合させるのが、ウエッブを予備絡合することによる不織布の斑の発生防止およびウエッブと織編物からなる不離一体のシート状物が得られる点で特に好ましい。
次に本発明のウエッブおよび織編物に好適に用いられるPVAについて詳述する。本発明のウエッブおよび織編物を構成する繊維に用いられるPVAとしては、粘度平均重合度(以下、単に重合度と略記する)が200〜500のものが好ましく、中でも230〜470の範囲が好ましく、250〜450が特に好ましい。重合度が200未満の場合には溶融粘度が低すぎて、安定な複合化が得られ難い。重合度が500を超えると溶融粘度が高すぎて、紡糸ノズルからポリマーを吐出することが困難となる。重合度500以下のいわゆる低重合度PVAを用いることにより、熱水で溶解するときに溶解速度が速くなるという利点が有る。
ここで言うPVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められるものである。
P=([η]103/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
P=([η]103/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
本発明のPVAのけん化度は90〜99.99モル%であることが好ましく、93〜99.98モル%がより好ましく、94〜99.97モル%がさらに好ましく、96〜99.96モル%が特に好ましい。けん化度が90モル%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な溶融紡糸を行うことができないのみならず、生分解性が低下し、更に後述する共重合モノマーの種類によってはPVAの水溶性が低下し、本発明の複合繊維を得ることができない場合がある。一方、けん化度が99.99モル%よりも大きいPVAは安定に製造することができ難い。
本発明で使用されるPVAは生分解性を有しており、活性汚泥処理あるいは土壌に埋めておくと分解されて水と二酸化炭素になる。PVAを溶解した後のPVA含有廃液の処理には活性汚泥法が好ましい。該PVA水溶液を活性汚泥で連続処理すると2日間から1ヶ月の間で分解される。また、本発明に用いるPVAは燃焼熱が低く、焼却炉に対する負荷が小さいので、PVAを溶解した排水を乾燥させてPVAを焼却処理してもよい。
本発明に用いられるPVAの融点(Tm)は160〜230℃が好ましく、170〜227℃がより好ましく、175〜224℃がさらに好ましく、180〜220℃が特に好ましい。融点が160℃未満の場合にはPVAの結晶性が低下し繊維強度が低くなると同時に、PVAの熱安定性が悪くなり、繊維化できない場合がある。一方、融点が230℃を越えると溶融紡糸温度が高くなり紡糸温度とPVAの分解温度が近づくためにPVA繊維を安定に製造することができない。
PVAの融点は、DSCを用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
PVAは、ビニルエステル単位を主体として有するポリマーをけん化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを容易に得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
本発明で使用されるPVAは、ホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性の観点からは、共重合単位を導入した変性PVAを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、共重合性、溶融紡糸性および繊維の水溶性の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類が好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に1〜20モル%存在していることが好ましく、さらに4〜15モル%が好ましく、6〜13モル%が特に好ましい。さらに、α−オレフィンがエチレンである場合には、繊維物性が高くなることから、特にエチレン単位が4〜15モル%、より好ましくは6〜13モル%導入された変性PVAを使用する場合である。
本発明で使用されるPVAは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、a、a’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’ーアゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、nープロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
本発明のウエッブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合する具体的な条件としては、ニードル針のバーブが不織布表面まで貫通するような条件でかつニードルパンチ数が400〜5000パンチ/cm2であることが天然皮革様の充実感を得る点で好ましく、1000〜3000パンチ/cm2であることがより好ましい。
得られたシート状物の厚みは、使用目的によっても異なるが、人工皮革として一般的に0.4〜3.0mmであることが好ましく、見かけ密度は充実感、ドレープ性、優れた機械的物性をもたらす点で0.45〜0.8g/cm3であることが好ましい。
得られたシート状物の厚みは、使用目的によっても異なるが、人工皮革として一般的に0.4〜3.0mmであることが好ましく、見かけ密度は充実感、ドレープ性、優れた機械的物性をもたらす点で0.45〜0.8g/cm3であることが好ましい。
本発明のウエブと織編物の糸を構成する繊維が極細繊維発生型繊維からなる場合、公知の方法によって極細化する必要がある。そして、極細化可能な繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなる場合は、水溶液により水溶性高分子成分を抽出除去する必要がある。さらに水溶性高分子成分が、炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールである場合、けん化度は熱安定性および易水溶性の点で94〜99.97モル%が好ましく、96〜99.96モル%がより好ましい。
本発明のシート状物を人工皮革基材とする場合、前述の極細繊維化の前または後の工程で、高分子弾性体をシート状物の絡合空間に付与することが皮革様の風合および充実感と機械的物性の向上の点で好ましく用いられる。高分子弾性体としては、人工皮革に用いられる公知のものが用いられ特に限定はされないが、風合いや充実感の点でポリウレタンおよび/またはアクリルが好ましく用いられる。付与方法に関しては、特に限定されないが、高分子弾性体とシート状物を構成する繊維(極細化可能な繊維の場合には極細化後の繊維)の質量比は、充実感および機械的物性保持の点で5/95〜45/55であることが好ましい。
さらに、本発明の人工皮革基材は、公知の方法で、表面を起毛処理し、染色処理を行うことによってスエード調人工皮革とすることができる。得られたスエード調人工皮革は、柔軟で充実感に富み、審美で均一な表面をもちかつ、高強力低伸度の物性を兼ね備えたものである。
さらに、本発明の人工皮革基材は、公知の方法で、表面を起毛処理し、染色処理を行うことによってスエード調人工皮革とすることができる。得られたスエード調人工皮革は、柔軟で充実感に富み、審美で均一な表面をもちかつ、高強力低伸度の物性を兼ね備えたものである。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
[織編物の糸糸間の空間距離]
織編物をサンプリングして、走査型顕微鏡により80倍に写真撮影を行い、
経糸間の画像で長く見える部分と、短く見える部分とそれ以外の任意の8点、計10点の長さを測定した平均値と、画像上の500μmスケールとの長さ比率から算出した経糸間値と、緯糸間の画像で長く見える部分と、短く見える部分とそれ以外の任意の8点、計10点の長さを測定した平均値と、画像上の500μmスケールとの長さ比率から算出した緯糸間値を平均した値である。
なお、経糸間の距離とは経糸の側端からその隣に位置する経糸の側端までの空間の距離をいい、緯糸間の空間距離とは緯糸の側端からその隣に位置する経糸の側端までの空間の距離をいう。
[不織布の層間剥離強力測定法]
不織布をたて方向(シート長さ方向)に23cm、巾2.5cm切り取り、厚さのほぼ真ん中にカミソリ刃等で切れ目を入れ、長さ約10cmを手で剥離させる。剥離部分の両端をチャックで挟み、引張試験機で引張速度100mm/分で剥離強力を測定、記録する。得られたSS曲線から剥離強力の平坦な部分の平均値を求める。試験片3個の平均値で表す。
[人工皮革基材の目付]
得られた人工皮革基材を10cm角に切り取り、その質量Wを電子天秤(メトラー社:AE160)で測定し、W/0.1により坪量(g/m2)を求めた。
織編物をサンプリングして、走査型顕微鏡により80倍に写真撮影を行い、
経糸間の画像で長く見える部分と、短く見える部分とそれ以外の任意の8点、計10点の長さを測定した平均値と、画像上の500μmスケールとの長さ比率から算出した経糸間値と、緯糸間の画像で長く見える部分と、短く見える部分とそれ以外の任意の8点、計10点の長さを測定した平均値と、画像上の500μmスケールとの長さ比率から算出した緯糸間値を平均した値である。
なお、経糸間の距離とは経糸の側端からその隣に位置する経糸の側端までの空間の距離をいい、緯糸間の空間距離とは緯糸の側端からその隣に位置する経糸の側端までの空間の距離をいう。
[不織布の層間剥離強力測定法]
不織布をたて方向(シート長さ方向)に23cm、巾2.5cm切り取り、厚さのほぼ真ん中にカミソリ刃等で切れ目を入れ、長さ約10cmを手で剥離させる。剥離部分の両端をチャックで挟み、引張試験機で引張速度100mm/分で剥離強力を測定、記録する。得られたSS曲線から剥離強力の平坦な部分の平均値を求める。試験片3個の平均値で表す。
[人工皮革基材の目付]
得られた人工皮革基材を10cm角に切り取り、その質量Wを電子天秤(メトラー社:AE160)で測定し、W/0.1により坪量(g/m2)を求めた。
[実施例1]
[水溶性熱可塑生ポリビニルアルコールの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
[水溶性熱可塑生ポリビニルアルコールの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
得られたエチレン変性PVAのけん化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.03質量部であった。また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをd6−DMSOに溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5でけん化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置してけん化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。該精製PVAの1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を5000MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ1.50モル%および83%であった。さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であった。
[原綿の製造]
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等質量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸8モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、550ホール)を用い、海成分/島成分比率=30/70の比率、口金温度250℃で吐出し紡糸した。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸した。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を、捲縮機で捲縮を付与し51mmにカットしてステープル化した。この海島型複合繊維ステープルは単繊度4.13デシテックス、強度3.2cN/dtex、伸度40%と良好であった。
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等質量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸8モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、550ホール)を用い、海成分/島成分比率=30/70の比率、口金温度250℃で吐出し紡糸した。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸した。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を、捲縮機で捲縮を付与し51mmにカットしてステープル化した。この海島型複合繊維ステープルは単繊度4.13デシテックス、強度3.2cN/dtex、伸度40%と良好であった。
[織編物の製造]
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、24ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した(海島比=4:6(質量比))。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、110デシテックス−36フィラメントの海島型複合マルチフィラメント繊維を得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を撚り数630T/mにし、平織物(織密度96×82本/inch、目付90g/m2、糸間の空間距離の実測値A=102μm)を作製した。
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、24ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した(海島比=4:6(質量比))。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、110デシテックス−36フィラメントの海島型複合マルチフィラメント繊維を得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を撚り数630T/mにし、平織物(織密度96×82本/inch、目付90g/m2、糸間の空間距離の実測値A=102μm)を作製した。
上記スクリムの上にカード、クラスラッパー工程を経て形成した繊維ウエッブを積層し、次いでニードルのバーブ深さ(B)=40μm(A/B=2.55)のシングルバーブが植えられたボードを使用してウエッブ側から、針深度14mm、50P/cm2で平織物を構成する糸間の空間にウエッブの繊維を突き抜かし、その後針深度7mmで平織物側から1000P/cm2、ウエッブ側から1300P/cm2のニードルパンチを行い、目付重量450g/m2、見かけ密度0.22g/cm3のシート状物を得た。
使用した平織物はバーブによる損傷、ひっかかりが全くなく、不織布ウエッブと織編物の層間剥離強力25kg/2.5cmと高く不離一体構造となっていた。また層間剥離強力測定時に平織物の損傷は認められなかった。
得られたシート状物は平滑で均一な表面をもち、引張強力タテ42kg/2.5cm、ヨコ65kg/2.5cm、引張伸度タテ65%、ヨコ48%と強力特性、形態維持特性をもったものであった。
使用した平織物はバーブによる損傷、ひっかかりが全くなく、不織布ウエッブと織編物の層間剥離強力25kg/2.5cmと高く不離一体構造となっていた。また層間剥離強力測定時に平織物の損傷は認められなかった。
得られたシート状物は平滑で均一な表面をもち、引張強力タテ42kg/2.5cm、ヨコ65kg/2.5cm、引張伸度タテ65%、ヨコ48%と強力特性、形態維持特性をもったものであった。
[実施例2]
上記1実施例1においてニードルバーブ深さ(B)=30μm(A/B=3.4)に変更した以外は同一条件で処理してシート状物を得た。
こうして得られたシー状物も実施例1とほぼ同様に目付重量450g/m2、見かけ密度0.22g/cm3のシート状物であり、使用した平織物はバーブによる損傷、ひっかかりが全くなく、不織布ウエッブと織編物の層間剥離強力23kg/2.5cmと高く不離一体構造となっていた。また層間剥離強力測定時に平織物の損傷は認められなかった。
得られたシート状物は平滑で均一な表面をもち、引張強力タテ43Kg/2.5cm、ヨコ64kg/2.5cm、引張伸度タテ63%、ヨコ50%と強力特性、形態維持特性をもったものであった。
上記1実施例1においてニードルバーブ深さ(B)=30μm(A/B=3.4)に変更した以外は同一条件で処理してシート状物を得た。
こうして得られたシー状物も実施例1とほぼ同様に目付重量450g/m2、見かけ密度0.22g/cm3のシート状物であり、使用した平織物はバーブによる損傷、ひっかかりが全くなく、不織布ウエッブと織編物の層間剥離強力23kg/2.5cmと高く不離一体構造となっていた。また層間剥離強力測定時に平織物の損傷は認められなかった。
得られたシート状物は平滑で均一な表面をもち、引張強力タテ43Kg/2.5cm、ヨコ64kg/2.5cm、引張伸度タテ63%、ヨコ50%と強力特性、形態維持特性をもったものであった。
[比較例1]
上記実施例1においてニードルバーブ深さD=68.4μm(A/D=1.5)に変更した以外は同一条件で加工してシート状物を得た。
使用した平織物はバーブに平織物を構成する糸ひっかかり、平織物を構成する糸糸間の空間を突き抜ける繊維量も少なく、不織布ウエッブと織編物の層間剥離強力も6kg/2.5cmと低く、充実感のないものであった。また層間剥離の測定時に平織物の損傷が確認された。
得られたシート状物の目付は440g/m2で、ウエッブ側面は平滑で均一な表面であったが、引張強力タテ32kg/2.5cm、ヨコ43kg/2.5cm、引張伸度タテ102%、ヨコ78%と強力特性、形態維持特性ともに劣るものであった。
上記実施例1においてニードルバーブ深さD=68.4μm(A/D=1.5)に変更した以外は同一条件で加工してシート状物を得た。
使用した平織物はバーブに平織物を構成する糸ひっかかり、平織物を構成する糸糸間の空間を突き抜ける繊維量も少なく、不織布ウエッブと織編物の層間剥離強力も6kg/2.5cmと低く、充実感のないものであった。また層間剥離の測定時に平織物の損傷が確認された。
得られたシート状物の目付は440g/m2で、ウエッブ側面は平滑で均一な表面であったが、引張強力タテ32kg/2.5cm、ヨコ43kg/2.5cm、引張伸度タテ102%、ヨコ78%と強力特性、形態維持特性ともに劣るものであった。
[参考例1]
実施例1で得られたシート状物を200℃の熱風中で収縮処理し、その後連続して、金属プレスロールで見かけ密度を0.65(目付650g/m2)に加工し、ウレタン含浸液としてポリエーテル系水系ポリウレタンエマルジョン40%液(日華化学社製「エバファノ−ルAP−12」)を不織布シートに含浸後ピックアップ率65%になるようにマングルで絞り付着量を合わせた。その後連続的にピンテンター乾燥機で150℃、7分間加熱乾燥した。このシートをさらに熱水90℃中に浸漬絞液を繰り返し海成分のPVAを除去し乾燥後、織物からなる面と反対側の面をサンドペーパーで研削し起毛した。この起毛シートをグレー色になるように分散染料を用い130℃で1時間液流染色し、仕上げ加工して厚さ9mm、目付560g/m2、引張強力タテ51kg/2.5cm、ヨコ49kg/2.5cm、引張伸度タテ70%、ヨコ65%と強力特性、形態維持特性をもったものであった。このスエード調人工皮革を得た。
得られた人工皮革は、柔軟で充実感に富み、審美で均一な表面をもちかつ、高強力低伸度の物性を兼ねそなえているものであった。
実施例1で得られたシート状物を200℃の熱風中で収縮処理し、その後連続して、金属プレスロールで見かけ密度を0.65(目付650g/m2)に加工し、ウレタン含浸液としてポリエーテル系水系ポリウレタンエマルジョン40%液(日華化学社製「エバファノ−ルAP−12」)を不織布シートに含浸後ピックアップ率65%になるようにマングルで絞り付着量を合わせた。その後連続的にピンテンター乾燥機で150℃、7分間加熱乾燥した。このシートをさらに熱水90℃中に浸漬絞液を繰り返し海成分のPVAを除去し乾燥後、織物からなる面と反対側の面をサンドペーパーで研削し起毛した。この起毛シートをグレー色になるように分散染料を用い130℃で1時間液流染色し、仕上げ加工して厚さ9mm、目付560g/m2、引張強力タテ51kg/2.5cm、ヨコ49kg/2.5cm、引張伸度タテ70%、ヨコ65%と強力特性、形態維持特性をもったものであった。このスエード調人工皮革を得た。
得られた人工皮革は、柔軟で充実感に富み、審美で均一な表面をもちかつ、高強力低伸度の物性を兼ねそなえているものであった。
[参考例2]
比較例1で得られたシート状物を参考例1と同様の処理を行い、スエード調人工皮革を得た。
得られた皮革状物は厚み9mm、目付は547g/m2で、引張強力タテ38Kg/2.5cm、ヨコ32kg/2.5cm、引張伸度タテ107%、ヨコ102%と強力特性、形態維持特性ともに劣るものであった。
比較例1で得られたシート状物を参考例1と同様の処理を行い、スエード調人工皮革を得た。
得られた皮革状物は厚み9mm、目付は547g/m2で、引張強力タテ38Kg/2.5cm、ヨコ32kg/2.5cm、引張伸度タテ107%、ヨコ102%と強力特性、形態維持特性ともに劣るものであった。
Claims (7)
- ウエッブと織編物を重ねてニードルパンチを施し絡合するに際し、以下の関係式を満たす条件下でニードルパンチを施すことを特徴とするシート状物の製造方法。
A/B≧2
ただし、A=織編物を構成する糸間の空間距離。
B=ニードルパンチに使用するニードルのバーブの深さ。 - ウエッブを構成する繊維および織編物の糸を構成する繊維が0.5デシテックス以下の極細繊維または単繊度0.5デシテックス以下に極細化可能な極細繊維発生型繊維である請求項1に記載のシート状物の製造方法。
- 極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなる請求項2に記載のシート状物の製造方法。
- 水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールである請求項3に記載のシート状物の製造方法。
- ウエッブを予備的絡合しない状態で織編物と重ねてニードルパンチを施し絡合することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のシート状物の製造方法。
- 請求項1〜5いずれか1項に記載の製造方法により得られたシート状物に高分子弾性体を含有させてなる人工皮革基材の製造方法。
- 請求項6の人工皮革基材を起毛処理してなるスエード調人工皮革の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005002411A JP2006187976A (ja) | 2005-01-07 | 2005-01-07 | シート状物の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112227075A (zh) * | 2020-09-10 | 2021-01-15 | 江苏华峰超纤材料有限公司 | 一种用于自然纹理pu合成革的复合无纺布及其制备方法 |
WO2023204085A1 (ja) * | 2022-04-20 | 2023-10-26 | 旭化成株式会社 | 人工皮革、及びそれを含む車両内装用表皮材 |
-
2005
- 2005-01-07 JP JP2005002411A patent/JP2006187976A/ja not_active Withdrawn
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CN112227075A (zh) * | 2020-09-10 | 2021-01-15 | 江苏华峰超纤材料有限公司 | 一种用于自然纹理pu合成革的复合无纺布及其制备方法 |
CN112227075B (zh) * | 2020-09-10 | 2023-06-30 | 江苏华峰超纤材料有限公司 | 一种用于自然纹理pu合成革的复合无纺布及其制备方法 |
WO2023204085A1 (ja) * | 2022-04-20 | 2023-10-26 | 旭化成株式会社 | 人工皮革、及びそれを含む車両内装用表皮材 |
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