JP3484598B2 - 立毛シートの製造方法 - Google Patents

立毛シートの製造方法

Info

Publication number
JP3484598B2
JP3484598B2 JP8812197A JP8812197A JP3484598B2 JP 3484598 B2 JP3484598 B2 JP 3484598B2 JP 8812197 A JP8812197 A JP 8812197A JP 8812197 A JP8812197 A JP 8812197A JP 3484598 B2 JP3484598 B2 JP 3484598B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
napped
fiber
producing
napped sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8812197A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10280282A (ja
Inventor
弘通 飯島
幸二 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP8812197A priority Critical patent/JP3484598B2/ja
Publication of JPH10280282A publication Critical patent/JPH10280282A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3484598B2 publication Critical patent/JP3484598B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緻密性、短立毛
性、平滑性および柔軟性に優れた立毛シートの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】極細繊維と高分子弾性体とからなる立毛
シートにおいて、表面の立毛長を短くし、緻密化する技
術としては、例えば、特開平7−126986号公報に
は、極細繊維と弾性重合体とからなるシートをスライス
し、そのスライス面に弾性重合体の溶剤を含む溶液をコ
ーティングし、凝固後、付与面をバフィングする方法、
また特開平7−126985号公報には、極細繊維シー
トに高分子弾性体を含浸した後、基材の表面から厚み方
向の高分子弾性体の一部をスクイーズし、凝固させた
後、バフィングする方法などが提案されている。
【0003】しかし、これらの方法は、シートの厚み方
向への溶液の浸透度合い制御やシート厚みが変化した場
合のスクイーズ量コントロールが難しく、緻密性は向上
するが研削量により立毛長斑が生じ易く、かつ極細繊維
と高分子弾性体との接着力が高まるため、立毛長は短く
することが可能であるが、反面製品の風合い硬化を招く
といった課題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、緻密性、短立毛性および柔軟
性を兼ね備えた立毛シートの製造方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、ついに本発明に到達
したものである。本発明の骨子は次の通りである。
【0006】本発明の目的は、極細繊維絡合体に高分子
弾性体が付与されたシートを起毛処理して立毛シートを
製造する方法において、極細繊維絡合体に高分子弾性体
を付与し、該高分子弾性体を実質的に固化させた後、該
高分子弾性体の膨潤剤に浸漬し、さらに圧縮し、次いで
該膨潤剤を水系溶媒で除去した後、少なくとも片面を起
毛処理することにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0008】本発明に用いられる極細繊維絡合体は、直
紡極細糸あるいは少なくとも1成分を溶解除去可能な複
合繊維などから得られるものであり、その繊維の断面形
状は特に限定するものではない。極細繊維の太さは平均
繊維直径が0.1μm〜5μmが好ましい。0.1μm
未満では発色性が得難く、5μmを越えると風合い、タ
ッチが低下し好ましくない。
【0009】極細繊維を構成するポリマーは、溶融紡糸
可能なポリエチレンタレフタレートおよびその共重合体
類、ポリアミドおよびその共重合体類、ポリブチレンタ
レフタレートおよびその共重合体類などから選ばれた少
なくとも1種類のポリマーである。
【0010】複合繊維の場合、上記の極細繊維のポリマ
ーと溶剤溶解性を異にする、あるいは熱処理、機械的処
理により剥離分割可能な繊維形成性ポリマーであればよ
い。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピ
レンおよびその共重合体類、ポリビニールアルコールな
どが挙げられる。これらの中から極細繊維の断面形成
性、紡糸性、延伸性などを考慮して組み合わせればよ
い。
【0011】極細繊維もしくは複合繊維のシート化は、
例えば、極細繊維を15mm以下に短繊維化し、抄紙法
によりウエブを形成し、ウォータージエットパンチによ
り絡合体とする。あるいはメルトブロー法により長繊維
の絡合体を形成する。または、さらにこのシートにニー
ドルパンチ、ウォータージエットパンチなどを施し絡合
体とする方法が挙げられる。一方、複合繊維の場合は、
短繊維化し、カード・クロスラッパー、ランダムウエッ
バーもしくはメルトブロー法など常法によりウエブを作
り、その後ニードルパンチを施し、複合繊維のシートを
形成し、溶剤、熱処理あるいは機械的処理により極細化
することなどにより達成される。
【0012】本発明においては、これらの繊維絡合体に
高分子弾性体を付与するが、高分子弾性体を付与する前
に収縮熱処理、ヒートプレス、ウエットプレスなどで繊
維絡合体の高密度化あるいはポリビニールアルコールな
どの糊剤による形態固定化などの工程を組み合わせるこ
とは製品品位を高めるのに好ましいものである。
【0013】繊維絡合体の構造としては、上記の極細繊
維の三次元絡合構造が一般的に用いられるが、製品厚み
の薄地化に伴い、その展開アイティムによっては強力が
低く、使用不可能な場合が生ずる。この課題解決のため
の好ましい実施態様としては、極細繊維絡合体と、織物
および/または編み物とが絡合一体化した構造が特に好
ましい。
【0014】この構造形成は、上記の極細繊維もしくは
複合繊維のウエブを、織物および/または編み物に積層
し、ニードルパンチ、ウォータージエットパンチあるい
はこれらの組み合わせにより絡合一体化するものであ
る。積層方法としては、ウエブの両面もしくは片面に、
織物もしくは編み物を積層し、絡合処理する方法あるい
は片面に積層し、絡合処理した後、さらに該絡合体を複
数重ねて再度絡合処理し、後工程でスライスする方法な
どが用いられる。
【0015】織物もしくは編み物を構成する糸種として
は、フィラメントヤーン、紡績糸、フィラメントと短繊
維の混紡糸などを用いることができるが、特に限定され
るものではない。また織物もしくは編み物の種類として
は、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編
およびそれらの編み方を基本とした各種編み物、あるい
は平織、綾織、朱子織およびそれらの織り方を基本とし
た各種織物などいずれも採用することができ、特に限定
されるものではない。
【0016】糸種によっては、ニードルパンチで極細繊
維もしくは複合繊維のウエブと、織物もしくは編み物と
の絡合を強固にする場合、織物もしくは編み物を構成す
る糸種が切断され易いことがあり、これを防止する手段
としては、これらの糸種が強撚糸であることが好まし
い。
【0017】強撚糸の撚り数としては500T/m以
上、4500T/m以下が好ましく、より好ましくは1
500T/m以上、最も好ましくは2000T/m以上
である。500T/m未満では糸を構成する単糸同士の
絞まりが不十分であるため、ニードルにひっ掛かり、損
傷し易く、また撚り数が多すぎても繊維が硬くなりす
ぎ、製品風合柔軟化の点から好ましくなくなるので40
00T/m以下がよい。
【0018】織物もしくは編み物は上記の強撚糸を少な
くとも一部に用いたものがよく、特に好ましいものとし
ては、全てが強撚糸を使用したものが、高強力を発揮す
るのに良い。また、これらの強撚糸がポリビニールアル
コール系、アクリル系の糊剤が付与されたものであって
もよい。
【0019】織物もしくは編み物を構成する繊維は、ポ
リエステル類、ポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンおよびそれらの共重合体類が用いられる。中でも
ポリエステル類、ポリアミド類およびそれらの共重合体
類を単独または複合して用いることが好ましく、アルカ
リ減量処理が可能で製品風合い調整が発揮でき易いポリ
エステル類およびそれらの共重合体類を用いることがよ
り好ましい。
【0020】製品風合いをより柔軟化させるには、織物
もしくは編み物を構成する繊維は、少なくとも1成分が
溶解除去可能、あるいは熱処理、機械的処理により剥
離、分割可能な複合繊維と絡合一体化されたものであ
り、高分子弾性体を付与する前に極細化されたものであ
ることが好ましい。その複合繊維の断面形状は特に限定
するものではない。
【0021】織物もしくは編み物を構成する単糸の平均
繊維直径は、1μm〜30μmのものが好ましく、より
好ましくは2μm〜15μm、構成糸で30μm〜15
0μmの箕のが好ましく、より好ましくは50μm〜1
20μmの範囲のものである。単糸が1μm未満となる
と製品柔軟化には好ましいが強力が出に難くなり、30
μmを越えると逆の傾向が発生する。また構成糸が30
μm未満となるとウエブとの積層時にシワが入り易く、
150μmを越えるとウエブとの絡合一体化不足となっ
て剥離し易くなり好ましくない。
【0022】本発明においては、これらの繊維絡合体に
高分子弾性体を付与する。本発明に用いられる高分子弾
性体としては、ポリウレタンエラストマー、アクリロニ
トリル・ブタジエンラバー、ブタジエンラバー、天然ゴ
ム、ポリ塩化ビニール、ポリアミドなどが挙げられる。
中でも本発明プロセスにおける加工性および最終製品品
位などの観点から、ポリウレタンエラストマーが好まし
く、平均分子量が500〜3000のポリエステルジオ
ール系、ポリエーテルジオール系、ポリカーボネートジ
オール系を単独もしくは組み合わせ用いたものがよい。
さらに後述するアルカリ減量処理を行う場合は、ポリエ
ーテルジオール系、ポリカーボネートジオール系が特に
好ましく用いられる。
【0023】本発明は、繊維絡合体にこれらの高分子弾
性体を含浸またはコーティングして付与し、弾性体の溶
剤を除去し実質的に固化する。実質的に固化するとは、
溶剤の一部が高分子弾性体中に残存している状態であっ
ても、シートを半分の厚さに圧縮し解放した時に高分子
弾性体が溶剤とともに絞り出されない状態をさす。高分
子弾性体の付与に際して、該弾性体中に必要に応じて着
色剤、酸化防止剤、制電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固
調整剤などの添加剤を配合してもよい。かくして得た繊
維絡合体と高分子弾性体からなるシートを続いて該高分
子弾性体の膨潤剤を含む溶液中に浸漬するとともに圧縮
処理を施すものである。
【0024】膨潤剤としては、水と親和性の良い溶剤で
あって、この溶剤を水で希釈したものが好ましい。この
際の溶液濃度としては、高分子弾性体を溶解せず膨潤さ
せる濃度であって、かつ、該シートをこの膨潤剤で処理
した後、1/2の厚さに圧縮し解放した後、元の厚さに
対し90%以下となる程度の効果を有するのが好まし
い。かかる溶剤の具体例としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイドな
どであり、膨潤剤としてはかかる溶剤を水で適宜希釈し
て得られる。この膨潤剤の濃度は用いる高分子弾性体に
より異なり、一概にはいえないが、一つの目安として
は、60%以上が好ましく、80%以上がより好まし
い。60%未満ではシートの厚み減少率が低く、緻密化
不足となりやすく、また膨潤剤濃度が余りにも高いと高
分子弾性体が溶解し、形態安定性が低下し好ましくな
い。かかる膨潤剤への該シートの浸漬時間および圧縮比
率は、高分子弾性体の種類、付量などを考慮し適宜調整
すればよい。
【0025】本発明のポイントは、膨潤剤溶液をシート
にグラビアコーター、スプレーコーターによる塗布ある
いは離形紙表面に膨潤剤溶液を塗布したものをシートに
転写し、その後シートをニップし、熱風乾燥処理するも
のとは異なり、シート自体を膨潤剤溶液中に浸漬し、浸
漬浴槽内または浸漬上がりに圧縮ニップし、次いで膨潤
剤を水系溶媒で除去した後、熱風乾燥するものである。
【0026】前者の方法は表面層近辺の高分子弾性体の
みが溶解もしくは膨潤し、熱風乾燥処理により膨潤剤濃
度が高まり、高分子弾性体が溶解し、繊維絡合体の繊維
間空隙に浸透し、乾式皮膜化し、繊維と高分子弾性体と
の接着が強固になり、風合い硬化をもたらし、かつ立毛
処理のわずかな程度のずれやシート厚みが変動しただけ
で立毛長および密度が大きく変化し易く、その品質制御
に難点があった。
【0027】しかしながら、本発明法は、シート全体の
高分子弾性体を膨潤させるため、繊維絡合体の厚み方向
の密度が均一化し易く、かつ水系溶媒中で膨潤剤を除去
し固化するため、高分子弾性体が繊維間空隙に浸透し難
く、かつ湿式皮膜化させるため、従来の欠点を大きく解
消することができるものである。
【0028】次いで、上記の加工を行った後、該シート
の少なくとも片面を起毛処理する。シート構造で繊維絡
合体と、織物もしくは編み物とを絡合一体化したもので
ある場合は、繊維絡合体面を起毛処理するが、織物もし
くは編み物が表層近辺にある場合は、該織物もしくは編
み物に損傷を与えない程度に軽く擦過処理してもよい。
【0029】本発明の効果を高めるには、この立毛シー
トに物理的揉み加工を施すことが好ましい。物理的揉み
加工は、ジッカー方式やサーモゾル方式ではなく、サー
キュラーあるいはタンブラーなどを組み合わせた加工で
あり、このような仕上げ処理を施すことにより、緻密で
短立毛化された、風合い柔軟な立毛シートが得られる。
【0030】本発明の効果をさらに高めるには、極細繊
維としてポリエステルあるいはその共重合体を用い、本
発明プロセスのシートを起毛処理する前または後で極細
繊維絡合体をアルカリ減量処理を施すことが好ましい。
【0031】減量率は使用する極細繊維の太さとの兼ね
合いで3〜30重量%とすることが好ましく、より好ま
しくは5〜20重量%、さらに好ましくは8〜15%の
範囲で調整するのがよい。3重量%未満であると更なる
柔軟性を要求される分野には十分でなく、30重量%を
越えると極細繊維の強力が低下し好ましくない。アルカ
リ減量としてはカセーソーダの熱水、温水、もしくはカ
セーソーダの糊剤を付与した後、スチーミングする方法
など適宜選択可能である。かかる処理条件設定に当たっ
てのアルカリ濃度、処理時間は、高分子弾性体の劣化を
加味しながら適宜設定する必要がある。高分子弾性体の
劣化が懸念される場合は、アルカリ濃度は低めがよい
し、心配のない場合はより高濃度、高温で処理してもよ
い。
【0032】アルカリ減量処理を行う場合、繊維絡合構
造が極細繊維不織布と織物もしくは編み物と絡合一体化
されたものである場合は、極細繊維およびもしくは織物
もしくは編み物を減量処理すると絡合一体化シートの風
合いを柔軟化させることが可能である。この場合、極細
繊維、織物もしくは編み物は両者とも、あるいは一方が
アルカリ可溶性ポリマー、すなわちポリエステルもしく
はその共重合で形成されていることである。このように
アルカリ減量処理により風合いのみならず、極細繊維同
士の開繊性を高め、かつ平滑性が向上し、タッチの改善
効果をより高めることが可能となるものである。
【0033】アルカリ減量処理に際して、高分子弾性体
の劣化が生じる場合がある。高分子弾性体がポリウレタ
ンエラストマーの場合は、アルカリ濃度が低いときは、
ポリエステル系あるいはポリエステル・ポリエーテルジ
オール系でもよいが、アルカリ濃度を上げて減量率を高
めようとする場合は、ポリエーテル系、ポリカーボネー
ト系もしくはこれらの併用系が好ましい。
【0034】以上の如く本発明の製造方法は、従来技術
の問題点であった立毛シートの緻密化、短立毛化を図る
が故の風合い硬化を解消し、更に前記の好ましい実施態
様により、一層の柔軟化と平滑性が改良された立毛シー
トを得ることを可能としたものである。
【0035】
【実施例】以下に、本発明を実施例にて詳細に説明する
が、本発明の有効性や権利の範囲はこれによって限定、
制約をうけるものではない。むしろ次の応用、発展をも
たらすものである。
【0036】実施例1 島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリス
チレン、島/海比率=55/45重量%、島数36島、
複合繊維デニール約4d、カット長約51mm、ケン縮
数約12山/inとした高分子相互配列体繊維のステープ
ルを用い、このステープルをカード・クロスラッパーで
ウエブとし、ニードルパンチして目付570g/m2
フェルトを作り、これらのフェルトを収縮と同時にポリ
ビニールアルコールを繊維あたり20部となるように含
浸付与し、乾燥した。このシートをトリクロールエチレ
ン中で浸漬、圧搾し脱海した後、乾燥した。次いで、ポ
リエステル−ポリエーテル系ポリウレタンを対島繊維当
たり約30部となるように含浸し、湿式凝固した。その
後、温水中でDMFおよびポリビニールアルコールを除
去し乾燥し、ポリエチレンテレフタレートの極細繊維シ
ートの交絡体にポリウレタンが付与されたシートを得
た。
【0037】次いで、ジメチルホルムアミドの85重量
%水溶液中に浸漬すると共に厚みの約半分のクリアラン
スで圧縮し、その後、水中に浸漬し溶剤除去を行い、乾
燥した。得られたシートをスライスし、非スライス面を
サンドペーパーで起毛処理を行った。
【0038】かくして得られたシートは、緻密で立毛繊
維が短く、平滑性に優れたライティング効果を有する立
毛シートであった。
【0039】実施例2 実施例1で得られた立毛シートをサーキュラー染色機に
投入し、揉み加工と同時に分散染料で茶色に染色した。
【0040】かくして得られたシートは、実施例1より
柔軟性のある緻密で立毛繊維が短く、平滑性に優れたラ
イティング効果を有する立毛シートであった。
【0041】実施例3 実施例1と同じ高分子相互配列体繊維のステープルを用
いたウエブをポリエチレンテレフタレートの75D−7
2f、撚り数200T/mの生糸仮撚糸使いの平織物
(目付70g/m2 )に積層し、軽くニードルパンチを
行った後、収縮と同時にポリビニールアルコールを繊維
あたり10部となるように含浸付与し、乾燥した。この
シートをトリクロールエチレン中で浸漬、圧搾し脱海し
た後、乾燥した。次いで、両面にウオータージェットパ
ンチを施し、絡合と同時にポリビニールアルコールを除
去し、乾燥した。このシートにポリエステル−ポリエー
テル系ポリウレタンを対島繊維当たり約20部となるよ
うに含浸し、湿式凝固した。その後、温水中でDMFを
除去し乾燥し、ポリエチレンテレフタレートからなる極
細繊維ウエブと織物とが絡合一体化した繊維絡合体にポ
リウレタンが付与されたシートを得た。
【0042】次いで、ジメチルホルムアミドの80重量
%水溶液中に浸漬すると共に厚みの約半分のクリアラン
スで圧縮し、その後、水中に浸漬し溶剤除去を行い、乾
燥した。得られたシートの非織物面を実施例1と同様に
サンドペーパーで起毛処理し、実施例2と同様に揉み、
染色加工を行った。
【0043】かくして得られたシートは、緻密で立毛繊
維が短く、平滑性、ライティング効果を有する強力が改
善された立毛シートであった。
【0044】実施例4 島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリス
チレン、島/海比率=30/70重量%、島数36島、
複合繊維デニール約4.5d、カット長約51mm、ケ
ン縮数約12山/inとした高分子相互配列体繊維のステ
ープルを用い、このステープルをカード・クロスラッパ
ーでウェブとし、ポリエチレンテレフタレートの75D
−72f、撚り数2500T/mの生糸の強撚糸使いの
平織物(目付80g/m2 )の間に積層し、ニードルパ
ンチを行いフェルトを作り、このフェルトを収縮と同時
にポリビニールアルコールを繊維あたり10部となるよ
うに含浸付与し、乾燥した。このシートをトリクロール
エチレン中で浸漬、圧搾し脱海した後、乾燥した。次い
で、ポリエステル−ポリエーテル系ポリウレタンを対島
繊維当たり約25部となるように含浸し、湿式凝固し
た。その後、温水中でDMFおよびポリビニールアルコ
ールを除去し、乾燥し、ポリエチレンテレフタレートの
極細繊維ウエブが強撚平織物と絡合一体化した繊維絡合
体にポリウレタンが付与されたシートを得た。次いで、
ジメチルホルムアミドの85重量%水溶液中に浸漬する
と共に厚みの約半分のクリアランスで圧縮し、その後、
水中に浸漬し溶剤除去を行い、乾燥した。このシートを
スライスし、スライス面をサンドペーパーで起毛処理
し、実施例2と同様に揉み、染色加工を行った。
【0045】かくして得られたシートは、緻密で立毛繊
維が短く、平滑性、ライティング効果、高強力に優れた
立毛シートであった。
【0046】実施例5 島成分がナイロン6、海成分がポリスチレン、島/海比
率=30/70重量%、島数36島、複合繊維デニール
約4.5d、カット長約51mm、ケン縮数約12山/
inとした高分子相互配列体繊維のステープルを用い、こ
のステープルをカード・クロスラッパーでウエブとし、
実施例4で用いて強撚糸使いの平織物の間に積層し、ニ
ードルパンチを行いフェルトを作り、このフェルトを実
施例4と同様に収縮、ポリビニールアルコール付与、脱
海処理、ポリウレタン付与処理を行い、ナイロン6の極
細繊維束がポリエチレンテレフタレートからなる強撚平
織物と絡合一体化した繊維絡合体にポリウレタンが付与
されたシートを得た。次いで、実施例4と同様にジメチ
ルホルムアミド水溶液での処理、スライス加工、起毛処
理を行い、サーキュラーで揉み加工し、含金染料で黒色
に染色した。
【0047】かくして得られたシートは、緻密で立毛繊
維が短く、平滑性、ライティング効果、高強力に優れた
立毛シートであった。
【0048】実施例6 島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分がポリス
チレン、島/海比率=30/70重量%、島数36島、
複合繊維デニール約4.5d、カット長約51mm、ケ
ン縮数約12山/inとした高分子相互配列体繊維のステ
ープルを用い、このステープルをカード・クロスラッパ
ーでウエブとし、ナイロン6の65D−94f、撚り数
2500T/mの強撚糸使いの平織物(目付56g/m
2 )の間に積層し、ニードルパンチを行いフェルトを作
り、このフェルトを実施例4と同様に収縮、ポリビニー
ルアルコール付与、脱海処理、ポリウレタン付与処理を
行い、ポリエチレンテレフタレートの極細繊維束がナイ
ロン6の強撚平織物と絡合一体化した繊維絡合体にポリ
ウレタンが付与されたシートを得た。次いで、実施例4
と同様にジメチルホルムアミド水溶液での処理、スライ
ス加工、起毛処理、サーキュラーでの揉み加工し染色し
た。
【0049】かくして得られたシートは、緻密で立毛繊
維が短く、平滑性、ライティング効果、高強力に優れた
立毛シートであった。
【0050】実施例7 実施例5で作成したサンドペーパーで起毛処理したシー
トを用い、サーキュラー染色機に投入し、強撚織物を約
10%アルカリ減量処理を行った後、実施例5と同様に
染色した。
【0051】かくして得られたシートは、実施例5より
も風合い柔軟性が高く、緻密で短立毛長な平滑性に優れ
た立毛シートであった。
【0052】実施例8 実施例6で作成したサンドペーパーで起毛処理したシー
トを用い、サーキュラー染色機に投入し、極細繊維を約
12%アルカリ減量処理を行った後、実施例2と同様に
染色した。
【0053】かくして得られたシートは、実施例6より
も風合い柔軟性が高く、緻密で短立毛長な平滑性に優れ
た立毛シートであった。
【0054】実施例9 実施例4で作成したサンドペーパーで起毛処理したシー
トを用い、サーキュラー染色機に投入し、極細繊維と強
撚織物とで約15%アルカリ減量処理を行った後、実施
例2と同様に染色した。
【0055】かくして得られたシートは、実施例4、
5、6、7、8よりも風合い柔軟性が極めて高く、短立
毛でありながら立毛の開繊性が良く、緻密、平滑性に優
れた立毛シートであった。
【0056】実施例10 実施例1で用いた高分子相互配列体繊維のステープルを
用い、このステープルをカード・クロスラッパーでウエ
ブとし、島成分がポリエチレンテレフタレート、海成分
がポリスチレン、島/海比率=80/20重量%、島数
16島の高分子相互配列体繊維からなる90D−18
f、撚り数2000T/mの強撚糸使いの平織物の間に
積層し、ニードルパンチを行いフェルトを作り、このフ
ェルトを収縮と同時にポリビニールアルコールを繊維あ
たり10部となるように含浸付与し、乾燥した。このシ
ートをトリクロールエチレン中で浸漬、圧搾し脱海した
後、乾燥した。次いで、ポリエステル−ポリエーテル系
ポリウレタンを対島繊維当たり約30部となるように含
浸し、湿式凝固した。その後、温水中でDMFおよびポ
リビニールアルコールを除去し乾燥し、ポリエチレンテ
レフタレートの極細繊維ウエブと極細繊維からなる強撚
平織物とが交絡一体化された繊維絡合体にポリウレタン
が付与されたシートを得た。
【0057】次いで、ジメチルホルムアミドの85重量
%水溶液中に浸漬すると共に厚みの約半分のクリアラン
スで圧縮し、その後、水中に浸漬し溶剤除去を行い、乾
燥した。得られたシートをスライスし、スライス面をサ
ンドペーパーで起毛処理を行った。
【0058】かくして得られたシートは、柔軟性のある
緻密で立毛長が短く、平滑性に優れたライティング効果
を有する立毛シートであった。
【0059】実施例11 実施例4のトリクロールエチレンで脱海したシートに分
子量1500のポリエーテル系ポリウレタンを対島繊維
当たり約25部となるように含浸し、湿式凝固した。そ
の後、温水中でDMFおよびポリビニールアルコールを
除去し乾燥し、ポリエチレンテレフタレートからなる極
細繊維ウエブと織物とが絡合一体化した繊維絡合体にポ
リウレタンが付与されたシートを作成した。
【0060】次いで、実施例4と同様にジメチルホルム
アミド水溶液処理、スライス、起毛処理し、その後、サ
ーキュラー染色機に投入し、約15%のアルカリ減量処
理を行い、実施例2と同様に染色した。
【0061】かくして得られたシートは風合い柔軟性、
緻密性、短立毛性および平滑性は実施例9と類似したも
のであったが、耐摩耗性が良く、高強力に優れた立毛シ
ートであった。
【0062】比較例1 実施例1の繊維交絡体にポリウレタンが付与されたシー
トを用い、ジメチルホルムアミドの85重量%水溶液中
に浸漬すると共に厚みの約半分のクリアランスで圧縮
し、その後、熱風乾燥機で溶剤除去し、乾燥した。次い
で、シートをスライスし、実施例1と同様にサンドペー
パーで起毛処理を行った。
【0063】かくして得られたシートは、実施例1より
も短立毛長ではあるが立毛の開繊性が悪く、ザラツキ感
のある風合が極めて硬い立毛シートであった。
【0064】比較例2 実施例1でポリウレタンを付与した後、ジメチルホルム
アミド水溶液処理を行わないシートをスライスし、実施
例1と同様に起毛処理を行った。
【0065】かくして得られたシートは、実施例1より
も立毛が長く、緻密性、平滑性が劣る立毛シートであっ
た。
【0066】比較例3 実施例4でポリウレタンを付与した後、ジメチルホルム
アミド水溶液処理を行わないシートをスライスし、その
スライス面を実施例4と同様に起毛処理し、揉み、染色
加工を行った。
【0067】かくして得られたシートは、実施例4より
も立毛が長く、緻密性、平滑性が劣る立毛シートであっ
た。
【0068】
【発明の効果】本発明の製造方法は、従来技術の問題点
であった立毛シートの緻密化、短立毛化を図るが故の風
合い硬化が解消でき、さらに前記の好ましい実施態様に
より、一層の柔軟化と製品強力が改良された立毛シート
を製造することができる。
【0069】また、極細繊維の太さが変化しても本発明
の製法を用いることにより、立毛繊維の緻密性、立毛
長、強力、風合いなどを調整することができ、製品外観
としてスエード調、さらには繊細かつ優美なヌバック調
品位を得ることができる。従って、本発明の製法で得ら
れる製品は衣料は勿論のこと、靴、鞄、帽子、手袋、椅
子、カーシートなど資材類としても好適に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/00 - 3/18 D04H 1/40 - 1/42 D06M 11/38 D06C 11/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極細繊維絡合体に高分子弾性体が付与され
    たシートを起毛処理して立毛シートを製造する方法にお
    いて、極細繊維絡合体に高分子弾性体を付与し、該高分
    子弾性体を実質的に固化させた後、該高分子弾性体の膨
    潤剤に浸漬し、さらに圧縮し、次いで該膨潤剤を水系溶
    媒で除去した後、少なくとも片面を起毛処理することを
    特徴とする立毛シートの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1で得られた立毛シートを物理的揉
    み加工することを特徴とする請求項1に記載の立毛シー
    トの製造方法。
  3. 【請求項3】極細繊維絡合体として、極細繊維不織布
    と、織物および/または編み物とを絡合一体化したもの
    を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の立
    毛シートの製造方法。
  4. 【請求項4】前記織物または編み物の構成糸の少なくと
    も一部が500T/m以上、4500T/m以下の強撚
    糸より構成されてなることを特徴とする請求項3に記載
    の立毛シートの製造方法。
  5. 【請求項5】前記極細繊維不織布が、ポリエステルおよ
    び/またはその共重合体からなり、少なくとも片面を起
    毛処理する前または後に3〜30重量%のアルカリ減量
    処理を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の
    立毛シートの製造方法。
  6. 【請求項6】織物および/または編み物がポリエステル
    および/またはその共重合体からなり、少なくとも片面
    を起毛処理する前または後に3〜30重量%のアルカリ
    減量を行い、物理的揉み加工を行うことを特徴とする
    求項3〜5のいずれかに記載の立毛シートの製造方法。
  7. 【請求項7】前記織物または編み物が極細化可能な複合
    繊維を用いることを特徴とする請求項3〜6のいずれか
    に記載の立毛シートの製造方法。
  8. 【請求項8】高分子弾性体がエーテル系および/または
    ポリカーボネート系ポリウレタンを用いたことを特徴と
    する請求項1〜7のいずれかに記載の立毛シートの製造
    方法。
JP8812197A 1997-04-07 1997-04-07 立毛シートの製造方法 Expired - Fee Related JP3484598B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8812197A JP3484598B2 (ja) 1997-04-07 1997-04-07 立毛シートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8812197A JP3484598B2 (ja) 1997-04-07 1997-04-07 立毛シートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10280282A JPH10280282A (ja) 1998-10-20
JP3484598B2 true JP3484598B2 (ja) 2004-01-06

Family

ID=13934082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8812197A Expired - Fee Related JP3484598B2 (ja) 1997-04-07 1997-04-07 立毛シートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3484598B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4569023B2 (ja) * 2001-03-27 2010-10-27 東レ株式会社 立毛人工皮革の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10280282A (ja) 1998-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8202600B2 (en) Artificial leather, base to be used in the leather, and processes for production of both
EP0953674B1 (en) process for the production of nubuck-type artificial leather
JP2004092005A (ja) 伸縮性積層布およびその製造方法
TW201802322A (zh) 絨毛狀人工皮革及其製造方法
JP4066572B2 (ja) 耐摩耗性に優れた立毛シートの製造方法
JP3428425B2 (ja) 人工皮革
JP3484598B2 (ja) 立毛シートの製造方法
JP3997592B2 (ja) 人工皮革およびその製造方法
JPH0633577B2 (ja) 銀摺り調皮革状物の製造法
JP3709676B2 (ja) 立毛シートの製造方法
JP3430852B2 (ja) 立毛シートの製造方法
KR100313569B1 (ko) 고밀도 부직포의 제조방법
JP3008414B2 (ja) 立毛繊維シートおよびその製造方法
KR100337990B1 (ko) 누박조인공피혁의제조방법
WO2024009907A1 (ja) 立毛人工皮革及びその製造方法
KR100221604B1 (ko) 멀티톤 인공피혁
JP3409554B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
TW201925573A (zh) 絨毛人工皮革
JPH10273885A (ja) 繊維立毛シート状物およびその製造方法
JP7455072B2 (ja) 立毛調人工皮革
KR100339197B1 (ko) 인공피혁의제조방법
JPS6157433B2 (ja)
KR100231325B1 (ko) 누박조 인공피혁의 제조방법
KR100263040B1 (ko) 인공피혁 및 그의 제조방법
JP2786866B2 (ja) 皮革様シートの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071024

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees