JP3409554B2 - 皮革様シート状物およびその製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物およびその製造方法

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JP3409554B2 JP35269995A JP35269995A JP3409554B2 JP 3409554 B2 JP3409554 B2 JP 3409554B2 JP 35269995 A JP35269995 A JP 35269995A JP 35269995 A JP35269995 A JP 35269995A JP 3409554 B2 JP3409554 B2 JP 3409554B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は従来にない、柔軟で
しっとりした触感を有する皮革様シート状物およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】皮革様シート状物としては織編物または
不織布の基材表面に、被覆層として高分子弾性体等を塗
布または転写してフィルム状の連続膜を形成したものが
知られているが、これらは風合い、柔軟性に関しては、
硬くて、フィルムライクであり、外観、タッチに関して
は自然感がなく、プラスチックライクであり、通気性、
透湿性に関しても不十分であるといった問題点があっ
た。
【0003】上記問題点のうち、風合いを柔軟化する方
法としては表面の被覆層を構成する膜に柔軟な素材を用
いるという方法が知られているが、そのような膜は擦過
に弱く、耐久性が低いという問題があった。また、高分
子弾性体の微多孔構造膜を用いることにより、ある程度
の柔軟性は得られるが、まだまだ満足のいくものではな
く、また風合いがゴムライクになるという欠点があっ
た。さらに、外観、タッチを改良する方法としては、表
面層を形成した後エンボス加工したり、皮シボ様の凹凸
を有する離型紙上で製膜したのち、基材上に転写する方
法が知られている。これらはいずれも天然皮革の凹凸を
真似しようとするものであるが、所詮規則的で人工的な
外観しか得られなかった。さらに製膜の際に微粒子を混
合することにより、シート表面にランダムな凹凸を形成
する方法が知られているが、この手法もある程度の効果
はあるものの、やはり人工的でプラスチックライクな外
観しか得られなかった。通気性、透湿性を改善する方法
としては被覆層を微多孔構造とする方法、被覆層に親水
性物質を付与する方法等が知られている。これらの方法
により、通気性、透湿性はある程度改善されるものの、
被覆層により、基材の通気性、透湿性が損なわれるた
め、満足しうる性能のものは得られていなかった。
【0004】なお、特開平6ー33577号公報には表
面に弾性重合体と立毛の混在した皮革用シートを得る方
法が示唆されている。この方法は、繊維質シートの表面
に弾性重合体を付与し、次いで繊維の表面の重合体を少
なくとも1部を残した状態で立毛を形成するまでバフィ
ングし、しかる後該繊維質シートに収縮を付与するもの
であるため、得られるシート状物は、銀面の表面にバフ
ィングによる毛羽と基材の収縮による細かな折れ皺を有
するヌバック調のものであり、平滑でスムースな表面の
ものではなく、さらに付け加えるなら、該ヌバック調の
皮革用シート状物は低収縮率の弾性重合体と高収縮率の
繊維を複合させるため、残留歪が生じ、ドライクリーニ
ングなどにより表面に凹凸を生じるという問題点がある
ものであった。
【0005】以上述べたように従来の問題点を根本的に
解決する手段はなく、ましてやそれらを同時に解決する
手段はいままで存在しなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点に鑑み、柔軟性、風合いに優れ、自然な外
観としっとりしたタッチを有し、従来品に比べて平滑で
スムースな表面を有する上に、通気性、透湿性に非常に
優れた皮革様シート状物およびその製造方法を提供せん
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために次のような手段を採用する。すなわち、
本発明の皮革様シート状物は、基材の少なくとも片側に
被覆層を有するシート状物であって、該被覆層がミクロ
ジョイント構造からなり、かつ、該ジョイント構造の少
なくとも1部から毛羽あるいは立毛状の繊維が露出して
なることを特徴とするものであり・・・・・また、かか
る皮革様シート状物の製造方法は、繊維を含む基材の、
少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製
造方法において、基材の少なくとも片側に連続膜を形
成した後、該連続膜を化学的および/または機械的に微
少に分割し、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる
ことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、上記技術の問題点に鑑
み、鋭意検討したところ、これらの問題点は、いずれも
基材の表面をフィルム状の均一な連続膜が覆っているこ
とに起因することを究明し、該被覆層を特定な構造形態
のものにしたところ、見事に従来品に比べて柔軟性、風
合い、外観はもとより通気性、透湿性に非常に優れた皮
革様シート状物を提供することに成功したものである。
【0009】本発明でいうミクロジョイント構造とは、
微小なユニット膜とミクロジョイント部からなるもので
ある。◎これに反し、従来の銀付き人工皮革では基材表
面を連続したフィルム状もしくは膜状物で被覆し、シー
ト状物に皮革様の外観を与えていた。
【0010】すなわち、このような従来のものに反し、
本発明のミクロジョイント構造とは、図1のごとく、微
小ユニット膜が集合したものであって、ユニット膜間に
ミクロジョイント部を有することにより、従来では得ら
れなかった銀面の耐擦過性、柔軟性、タッチ、ひいては
極めてナチュラルな外観を併せ持つ新規な皮膚感覚調人
工皮革となさしめたものである。
【0011】ここでいうユニット膜とは独立した膜状の
ものであって、基材表面を被覆あるいは基材と一体化し
たものである。また、ここでいうミクロジョイント部と
は、ユニット膜とユニット膜の間に存在し、自由に屈曲
しうる機能を有するものである。
【0012】本発明のユニット膜の大きさは特に制限は
ないが、品位の点で、一見したところあたかも1つの連
続膜のように見えるほうが好ましいので、面積は0.1
平方センチメートル以下が好ましく、0.01平方セン
チメートル以下が最も好ましい。また品位の点でも折れ
皺を細かくするという点で小さい方が好ましい。したが
って衣料用に用いる場合はできるだけ小さくした方がよ
いが、靴などに用いる場合は必ずしも0.1平方センチ
メートル以下でなくともよい。このユニット膜とユニッ
ト膜は完全に分離した状態であっても、一部が繋がった
状態であってもよい。
【0013】た、図1のごとく大きさ、形状の異なる
ものが含まれていてもよいし、図2のごとく同一形状の
ものの集合体であってもかまわない。
【0014】ユニット膜を構成する物質としては特に制
限はないが、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリアミノ酸、
ポリアミノ酸ポリウレタン共重合体、シリコーン樹脂な
どを用いることができるが、風合いを柔軟にする点で弾
性高分子重合体、特にポリウレタンが好ましい。ポリウ
レタンの種類としては特に制限はなく、例えばポリエー
テル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系ウレタン
を用いることができる。
【0015】また、必要に応じて架橋剤を加えることは
シート状物の耐久性を向上し、またミクロジョイント構
造を形成しやすくなるため好ましい。また、基材との接
着性、耐擦過性、外観等の特性を満足するためにユニッ
ト膜を多層構造とするは好ましい。また必要に応じて、
コラーゲンやフィブロインなどの蛋白質、酸化防止剤や
紫外線吸収剤などの耐候剤、顔料、染料、難燃剤、撥水
剤等を含むことができる。
【0016】本発明のミクロジョイント部は、基材の屈
曲に対して追随し、基材の柔軟性を損なわない性質を有
するものである。具体的には、ユニット膜よりも柔軟な
物質でユニット膜同士を一部結ぶものでもよいし、ユニ
ット膜と同じ素材で基材との接着が弱かったり、基材と
接着していない部分が一部存在していてもよいし、単に
空隙が存在するだけでも構わない。さらに本発明では、
ミクロジョイント部から毛羽あるいは立毛状の繊維が露
出していることが、表面タッチを改善する上で必要であ
る。このことにより、表面に毛羽またはうぶ毛が生じ、
触ったときに心地よいタッチを得ることができるのであ
る。このようなタッチは従来の銀付き、スエード、ヌバ
ックいずれとも異なり、天然皮革にもない独特のもの
で、あえていうなら、皮膚のようなタッチである。かか
ミクロジョイントの大きさは特に制限されるものでは
ないが、表面の品位の点からは好ましくは0.1mm以下
が好ましく、0.01mm以下が最も好ましい。一方、柔
軟性の点からは膜の厚さの1/3以上の大きさが好まし
く、さらに好ましくは膜の厚さ以上が好ましく、最も好
ましくは膜の厚さの2倍以上が好ましい。
【0017】したがって、基材や膜の材質、厚さ、目標
とする柔軟性等により、適宜選択する必要がある。全体
に対するミクロジョイント部の面積の割合としては1〜
30%が好ましい。1%以下であれば本発明の効果が得
られず、30%以上であれば品位や表面の耐久性が低下
する。
【0018】
【0019】該繊維の長さは特に制限はなく、膜厚より
も長い場合は表面を触っただけで効果があるのに対し、
短い場合はシート状物が屈曲したときのみ効果があらわ
れる。いずれの場合も心地よいタッチが得られ、目的に
応じて適宜選択することができる。該立毛状の繊維の太
さは0.5d以下が好ましい。0.5d以下であること
により毛倒れがスムーズになり、よりなめらかで心地よ
い感触が得られる。
【0020】また、本発明の目的を達成するのに、ユニ
ット膜の厚さは、特に制限はないが、10μm以下であ
ることが好ましい。ユニット膜が薄いほど柔軟で通気性
が高く、また自然な外観を得ることができる。このよう
なミクロジョイント構造を形成するにあたっては、本発
明の効果を阻害しない範囲内において特に制限はない。
【0021】すなわち、基材表面にミクロジョイント構
造を有する被覆層を1段階で形成してもよいし、いった
んミクロジョイント構造を有する被覆層を形成した後
に、基材上に転写してもかまわない。あるいは以下に例
示するようにいったん連続膜を形成した後にミクロジョ
イント化する方法により比較的容易に形成することがで
きる。
【0022】まず、連続膜を形成する方法としては、本
発明の目的を満足するものであれば、乾式法、湿式法い
ずれの方法でもかまわない。また、基材の表面に直接塗
布する方法、基材と膜を別々に形成した後に両者を張り
合わせる方法どちらでもかまわない。
【0023】基材の表面に直接塗布する方法としては、
リバースロールコーティング、ナイフコーティング、グ
ラビアコーティング、スリットコーティング、スプレー
等を用いることができる。また基材と膜を別々に形成し
た後に両者を張り合わせる方法としては、フィルムを単
独で形成した後に基材と一体化する方法や、離型紙上に
膜を形成した後に基材上に転写する方法を採用すること
ができる。
【0024】該連続膜をミクロジョイント化するにあた
って、機械的に分割する方法としては、乾燥状態での揉
み加工、液中での揉み加工、擦過処理等を用いることが
できる。
【0025】ミクロジョイント処理の前に、熱処理や薬
品で結晶化したり、製膜の際に架橋剤を加えたり、ある
いは分割処理を冷却下で行うことは分割を容易にするた
めに好ましい。
【0026】溶解による除去する方法としては特に制限
はないが、例えば製膜時に、後で除去可能な成分を混合
し被覆層形成後に除去する方法を採用することができ
る。また、例えばアルカリ性水溶液中で加熱しながら揉
み加工することにより比較的容易にミクロジョイントを
形成せしめることができる。
【0027】本発明で用いられる基材は、以下に例示す
るが、それ以外でも本発明の目的を達成しうるものであ
れば材質、構造に特に制限はない。たとえば構造として
は、不織布、織物、編物あるいはこれらの複合したも
の、さらにこれら基材にバインダーとなる樹脂を付与し
たものを用いることができる。かかる基材にバインダー
を付与するか否かは、重視する特性如何で、適宜選択す
ることができる。たとえば形態安定性や質感を重視する
場合はバインダーを付与することができる。
【0028】かかるバインダーとしては特に制限はない
が、例えばポリウレタン等の高分子弾性体、あるいはポ
リアクリル酸エステル樹脂、シリコーン樹脂、等を溶液
あるいはエマルジョンの状態で付与することができる。
通気性や柔軟性を重視する場合はバインダーを付与しな
い方が望ましい。
【0029】特に、本発明の、ミクロジョイント構造を
有する銀面は、ユニット膜とユニット膜の間に空隙を有
することにより、従来の連続膜の銀面に比較して極めて
柔軟かつ通気性が高いという特徴を有しており、バイン
ダーを含有しない基材と組み合わせることにより、柔軟
で通気性に優れた皮革様シート状物を得ることができ
る。
【0030】上述の不織布としては特に制限はなく、短
繊維不織布、長繊維不織布いずれでもかまわない。ま
た、製造方法もスパンボンド、メルトブロー、フラッシ
ュ紡糸、ニードルパンチ、水流交絡、抄紙法等、適宜採
用することができる。また、織物としては組織、密度に
制限はなく、平織や綾織等適宜採用することができる。
該織物を構成する織糸の糸加工についても特に制限はな
く、仮撚り加工、捲縮加工、無撚り、甘撚りから強撚ま
で目的に応じた織糸を適宜選択することができる。編物
についても同様である。
【0031】かかる基材を構成する材質としては、ナイ
ロン6、ナイロン6、6等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、共重合成分を含むポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリロ
ニトリル、綿等を単独あるいは混合して用いることがで
きる。
【0032】また、かかる基材を構成する繊維の形態と
しては通常の丸断面の他に、中空断面、三角型やY型の
異型断面、あるいは2種類以上のポリマーの複合糸、海
島型繊維、ブレンド糸などを目的に応じて適宜選択する
ことができる。繊維の形成方法については特に制限はな
く、通常の紡糸・延伸工程を採用することもできるし、
スーパードロー法、あるいは2種類以上の成分を紡糸し
た後に剥離して分割する方法などを採用することができ
る。特に溶解性の異なる2種類以上のポリマーをあわせ
て紡糸した後に少なくとも1成分を溶解除去する方法を
用いると、繊維と繊維の間に空間ができるので、柔軟性
に優れたシート状物を得ることができる。このような場
合の除去成分としては例えば、ポリエチレン、ポリスチ
レン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリ
エステル等を用いることができる。
【0033】また、基材が0.2d以下の極細繊維およ
び/または極細繊維束からなり、該極細繊維の交絡点間
距離が200μm以下であることは本発明の目的を達成
する上で好ましい。すなわち、繊維の太さが0.2d以
下であり、交絡点間距離が200μm以下であることに
より、ユニット膜およびミクロジョイントが細かく均一
に発生し、表面外観や柔軟性が著しく向上するのであ
る。さらに、繊維の太さが0.2d以下であることによ
り、基材表面の平滑性が向上し、また、交絡点間距離が
200μm以下であるということは極細繊維が緻密に絡
みあった構造であり、ユニット膜を補強する効果があ
る。その結果、ユニット膜を薄くすることができ、柔軟
性、通気性、透湿性に優れた皮革様シート状物を得るこ
とができるのである。
【0034】なお、ここでいう交絡点間距離とは、次の
方法で求めた値のことであり、繊維の交絡の緻密さを示
す1つの尺度として値が小さい程、交絡が緻密であるこ
とを示すものである。
【0035】図1は、被覆層における構成繊維を表面側
から観察したときの構成繊維の拡大模式図である。構成
繊維をf 1、f 2、f 3……とし、そのうち任意の2本
の繊維f 1、f 2が交絡する点をa1とし、a1で上に
なっている繊維f 2が他の繊維の下になる形で交差して
いる点までたどっていき、その交差した点をa2(f2
とf 3の交絡点)とする。同様にa3、a4、a5……
とする。次にこうして求めた交絡点の間の距離直線水平
距離a1a2、a2a3、a3a4……を測定し、これ
ら多数の測定値の平均値を求め、これを繊維交絡点間距
離とする。
【0036】さらに上記基材が0.2d以下の極細繊維
および/または極細繊維束と織編物からなり、該極細繊
維の交絡点間距離が200μm以下であり、該極細繊維
および/または極細繊維束と該織編物が一体となってい
ることは、シート状物の柔軟性および形態安定性の点で
好ましい。
【0037】従来の皮革様シート状物の場合、表面の被
覆層によりある程度、形態安定性が付与されている場合
があった。本発明の被覆層の場合、従来の被覆層に比べ
て形態安定性に劣る場合があるが、織編物と一体化した
基材と組み合わせることにより、特に湿潤時の形態安定
性が向上し、湿潤状態で揉み加工を施すことができる。
その結果として柔軟性が大幅に向上するのである。さら
に、形態安定性が向上することにより衣料および資材用
素材として特性の優れたものとなることはいうまでもな
い。
【0038】ここでいう織編物の種類としては、本発明
の目的を満足するものであれば特に制限はない。
【0039】用いる繊維としては、綿等の天然繊維、レ
ーヨンなどの半合成繊維、ポリアミド、ポリエチレンテ
レフタレート等の合成繊維を目的に応じて適宜選択する
ことができる。
【0040】また、糸の形態としては通常の丸断面の他
に中空断面、三角型やY型の異型断面、あるいは2種類
以上のポリマーの複合糸、海島型繊維、ブレンド糸など
を目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】糸加工についても特に制限はなく、仮撚り
加工糸、捲縮糸、無撚り、甘撚りから強撚まで目的に応
じて適宜選択することができる。
【0042】織物としては組織、密度に制限はなく、平
織や綾織等適宜採用することができる。編物についても
同様である。
【0043】また該極細繊維および/または極細繊維束
と該織編物を一体化する方法についても特に制限はない
が、例示するなら、接着剤等で張合せる方法、ニードル
パンチまたは高圧柱状水流により絡合する方法などを採
用することができる。特にバインダーを使用せずに繊維
の絡合で一体化した基材を用いることにより、柔軟性、
通気性に優れたシート状物を得ることができる。該織編
物は基材の内部に存在しても、被覆層のない側の表面に
存在してもいずれでもよい。
【0044】
【実施例】以下、本発明を具体的に実施例を用いて説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 0.4デニールのポリエチレンテレフタレート繊維に捲
縮を付与した後51mmに切断しカードおよびクロスラッ
パーを用いてウェブとし、さらにニードルパンチを施
し、不織布を得た。ポリエチレンアジペートとポリブチ
レンアジペートとの混合ジオールと、p,p’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネートとを反応させて得られたの
プレポリマーをエチレングリコールで鎖伸長して得られ
たポリウレタンDMF−トルエン混合溶媒にて希釈し、
10%溶液とした。該不織布に該ポリウレタンDMF溶
液を含浸し、ポリウレタン付き量を不織布重量に対して
35%とした後に、ポリウレタンを湿式にて凝固し、直
ちにプレス、乾燥して基材とした。該基材上にさきほど
と同じポリウレタンをナイフコーターで塗布し、乾燥
後、180℃の加熱エンボスロールにてプレスした。そ
れを95℃10g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉
み加工した。
【0045】得られたものを十分に水洗後、120℃に
て分散染料で染色を施した。表面は平均面積約0.07
平方ミリメートルのユニット膜がミクロジョイント構造
を形成していた。ミクロジョイント部の全体に対する割
合は約15%であった。
【0046】得られた皮革様シート状物は自然な外観と
柔軟性を有しするものであった。 比較例1 水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工を行わない以外
は、実施例1と同じ工程により、皮革様シート状物を得
た。
【0047】得られたシート状物の表面はポリウレタン
の連続した膜で覆われており、ユニット膜もミクロジョ
イント部も存在しなかった。該シート状物の風合いは実
施例1のシート状物に比較して硬く、タッチ、外観もプ
ラスチックライクであった。 実施例2 ポリスチレンを海成分として50部、極細成分としてナ
イロン6が50部からなる割合で1フィラメント中に極
細繊維成分が多数含まれる形態の混合紡糸繊維の4.0
デニール、51mmのステープルを用いてカード、クロ
スラッパーを通してウェブを形成し、しかる後ニードル
パンチを施し、不織布を作った。この不織布の密度は約
450g/平方mであった。
【0048】この不織布に孔径1.0mmの穴が0.4
mmのピッチで並んでいるノズルから130kg/平方セ
ンチメートルの圧力で水流を表裏3回ずつ噴射した。
【0049】次に該不織布を130℃に熱した鏡面ロー
ルにて1/3の厚さになるようにプレスした。実施例1
で用いたポリウレタンをDMF−トルエン混合溶媒にて
希釈し、25%溶液とした。これに架橋剤として三官能
イソシアネートおよびカーボンブラックを加えてたもの
を先ほどの不織布に100g/平方メートルの塗布量に
なるようにグラビアコーターにて塗布し、乾燥した。そ
の後、塗布面を180℃の加熱エンボスロールにてプレ
した。
【0050】次にトリクロルエチレン中にて浸漬、絞液
を繰り返してポリスチレンを完全に除去した後に乾燥を
行った。さらに零下10℃中で揉み加工を行い、表面に
微細な亀裂を形成した。該亀裂からは不織布の繊維が表
面に露出しており、その平均太さは約0.01デニール
であった。しかるのち、酸性染料にて95℃で黒色に染
色した。
【0051】表面は平均面積約0.02平方センチメー
トルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成してい
た。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約19%
であった。該シート状物のポリウレタン層を溶剤により
除去し、繊維の交絡点間距離を測定したところ、約12
0μmであった。
【0052】得られた皮革様シート状物は自然な外観と
柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりした良好
なものであった。 実施例3 実施例1で用いたポリウレタンの替わりにポリカーボネ
ート系ポリウレタンとポリエステル系ポリウレタンを1
0:1の割合で混合したものを用いたほかは、ポリスチ
レンの除去まで全く同じ工程を通してシート状物を得
た。該シート状物を95℃50g/lの水酸化ナトリウ
ム水溶液中で15分間処理することによりポリエステル
系ポリウレタン部分の一部を溶解除去し、表面に微細な
亀裂を形成せしめた。しかるのち、酸性染料にて95℃
で黒色に染色した。
【0053】表面は平均面積約0.03平方センチメー
トルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成してい
た。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約11%
であった。
【0054】得られた皮革様シート状物は自然な外観と
柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりした良好
なものであった。 実施例4 実施例2で用いたウェブをニードルパンチする際に、縦
横とも75デニールのナイロン糸で織った平織物と重ね
てニードルパンチを行った。それ以外は染色まで実施例
2と全く同じ工程を通してシート状物を得た。該シート
状物を液流染色機にて95℃5g/lの水酸化ナトリウ
ム水溶液中で揉み加工し、さらに80℃の温水中で揉み
加工を行った。表面は平均面積約0.005平方センチ
メートルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成し
ていた。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約8
%であった。
【0055】得られた皮革様シート状物は自然な外観と
柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりした良好
なものであった。また揉み加工の前後でもシート状物の
寸法変化は3%以下で、表面品位の低下もみられなかっ
た。 比較例2 水酸化ナトリウム水溶液による処理と温水中での揉み加
工をしない以外は実施例4と同じウエブ、平織物を用
い、同じ処理を行いシート状物を得た。
【0056】得られたシート状物の被覆層は連続した1
枚のフィルム状の形状をしており、実施例4で得られた
シート状物と比較して、風合いは硬く、外観、タッチは
人工的なプラスチックライクなものであった。 比較例3 水酸化ナトリウム水溶液による処理をしない以外は実施
例4と同じウエブ、平織物を用い、同じ処理を行いシー
ト状物を得た。
【0057】得られたシート状物の被覆層は連続した1
枚のフィルム状の形状をしており、比較例2で得られた
シート状物よりは柔軟ではあるものの、実施例4で得ら
れたシート状物と比較して風合いは硬く、外観、タッチ
は人工的なプラスチックライクなものであった。
【0058】
【発明の効果】本発明の皮革様シート状物の効果につい
て、以下詳述する。◎まず、第一の効果は、高い耐擦過
性と柔軟性を両立せしめた点である。すなわち、耐擦過
性についてはユニット膜を硬くして、耐久性を向上せし
めると同時に、シート状物の屈曲に対してはミクロジョ
イント部が曲がることにより、柔軟性を得ることができ
るのである。
【0059】第二の効果は、しっとりしたタッチおよび
ナチュラルな外観である。すなわち、ユニット膜とミク
ロジョイント部が混在するため、従来の均一でプラスチ
ックライクなものではなく、しっとりした、自然なタッ
チ、外観が得られる。
【0060】第三の効果は、高い通気性、透湿性であ
る。すなわち、ユニット膜とユニット膜の間に間隙があ
るため、空気や水蒸気などの気体が極めて容易に通過で
きる機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミクロジョイント構造の1例の模式図
である。
【図2】本発明のミクロジョイント構造の他の1例の模
式図である。
【図3】本発明のミクロジョイント構造の1例の模式図
である。
【図4】本発明のミクロジョイント構造の1例のミクロ
ジョイント部における繊維の形状を示す顕微鏡写真図
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−48604(JP,A) 特開 平4−100985(JP,A) 特開 昭52−57303(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/00 - 3/18

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の少なくとも片側に被覆層を有するシ
    ート状物であって、該被覆層がミクロジョイント構造か
    らなり、かつ、該ジョイント構造の少なくとも1部から
    毛羽あるいは立毛状の繊維が露出していることを特徴と
    する皮革様シート状物。
  2. 【請求項2】該ミクロジョイント構造のジョイント部が
    表面の1〜30%を占めていることを特徴とする請求項
    1記載の皮革様シート状物。
  3. 【請求項3】毛羽あるいは立毛状の繊維の太さが0.
    5d以下であることを特徴とする請求項1または2記載
    の皮革様シート状物。
  4. 【請求項4】該基材が、内部に実質的にバインダーを含
    まずに、繊維の絡合のみから形成されていることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート状
    物。
  5. 【請求項5】該基材が、0.2d以下の極細繊維および
    /または極細繊維束からなり、該極細繊維の絡合の交絡
    点間距離が200ミクロン以下であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物。
  6. 【請求項6】該基材が、0.2d以下の極細繊維および
    /または極細繊維束と織編物とが交絡一体化したもので
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    皮革様シート状物。
  7. 【請求項7】該被覆層の厚みが、10μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の皮革様
    シート状物。
  8. 【請求項8】繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆
    層を有する皮革様シート状物の製造方法において、
    材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を
    化学的および/または機械的に微少に分割し、毛羽ある
    いは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする皮革
    様シート状物の製造方法。
  9. 【請求項9】連続膜を分割せしめる工程が、アルカリ
    性水溶液処理であることを特徴とする請求項記載の皮
    革様シート状物の製造方法。
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