JP2022034525A - 人工皮革基材、立毛人工皮革及び人工皮革基材の製造方法 - Google Patents

人工皮革基材、立毛人工皮革及び人工皮革基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022034525000001
【課題】優れたストレッチ性と優れた外観とを兼ね備えた立毛人工皮革を提供すること。
【解決手段】熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層と、熱可塑性エラストマー層の片面又は両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する極細繊維の非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体であって、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されており、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%である人工皮革基材を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ストレッチ性に優れた立毛人工皮革に関する。
従来、不織布の内部にポリウレタンを含浸付与した人工皮革基材の表面をスエード調やヌバック調に立毛処理した立毛人工皮革や、人工皮革基材の表面にポリウレタン層を積層した銀付人工皮革が知られている。このような人工皮革は、衣料,靴,家具,カーシート,雑貨製品等の素材として広く用いられている。このような人工皮革には、衣料用途における着用感,資材用途における成形加工性,縫製の容易性,仕立て栄え等の観点から、ストレッチ性が求められることがある。
下記特許文献1は、平均単繊維直径が0.1~10μmの極細繊維及び多孔化した弾性重合体から構成されてなる基材層と、基材層の少なくとも片面に形成された樹脂層と、からなる銀付人工皮革であって、基材層が極細繊維からなる繊維束が互いに絡まった構造を有しており、基材層の樹脂層に接する側の面の、厚み方向に垂直な断面において、基材の極細繊維が捲縮を有する銀付人工皮革を開示する。そして、特許文献1は、このような銀付人工皮革が、高い剥離強力と高い伸長率と高い伸長回復率とを保持することを開示する。
また、下記特許文献2は、単繊維繊度1.1dtex以下の極細繊維を含む繊維交絡体と高分子弾性体とで構成され、かつ、表面が立毛された人工皮革であって、極細繊維は、0.05~0.40(dl/g)の固有粘度差を有する2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合された潜在捲縮発現性ポリエステル複合繊維である、ストレッチ性に優れた人工皮革を開示する。
また、下記特許文献3は、固有粘度(IV)差のある2種類以上のポリエチレンテレフタレート系重合体から形成されたサイドバイサイド型または偏心芯鞘型の複合繊維を含んでなる糸を含む織編物と、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維とからなり、自己乳化型ポリウレタンを含有する、ストレッチ性に優れたシート状物を開示する。
また、下記特許文献4は、JISL 1096(1999)8.14.1 A法に記載された方法で測定されるタテ方向の強力伸度曲線で、(1)伸度5%における強力F5%が0.1~10N/2.5cmであり、(2)伸度20%における強力F20%と上記F5%の関係において、F20%/F5%が5以上である、伸縮性を有する人工皮革である、ストレッチ性に優れたシート状物を開示する。
また、下記特許文献5は、弾性ポリマーからなる繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊維が混在した絡合不織布を有する皮革様シートにおいて、該弾性ポリマーからなる繊維が部分的に多孔質状態であり、さらに、該弾性ポリマーからなる繊維同士が部分的に融着していることを特徴とする皮革様シート開示する。
特開2018-003181号公報 特開2003-286663号公報 特開2009-7730号公報 特開2013-194327号公報 特開2005-9064号公報
上述のように、従来、ストレッチ性を改善させた人工皮革は提案されていた。しかしながら、何れも、ストレッチ性が充分でなかった。また、例えば、上記引用文献5は、弾性ポリマーからなる繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊維が混在した絡合不織布を有する皮革様シートを開示する。その皮革様シートは、弾性ポリマーからなる繊維を形成するための繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊維を形成するための繊維を所望の比率で混綿した後、それをカードで解繊し、ウェバーを通してウェブを形成する工程を経て製造される。そのような製造方法により製造された皮革様シートは、弾性ポリマーからなる繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊維とは均質に混在する。
この場合、弾性ポリマーからなる繊維同士が形成する網目構造が疎になることにより、広い範囲に渡るエラストマー弾性のネットワークが形成されにくく、伸長回復率や伸長回復率の繰り返し保持率が不充分になりやすかった。また、上記引用文献5に開示された皮革様シートにおいては、弾性ポリマーからなる繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊維が均一に混在しているために、立毛人工皮革を形成する繊維立毛面に弾性ポリマーからなる繊維が表出しやすくなる。弾性ポリマーからなる繊維は、立毛人工皮革にストレッチ性を付与する作用を有する一方、繊維立毛面の外観を粗くするために、ライティング性(手書き性)の高い高級感のある立毛外観が得られにくいという問題があった。
本発明は上述した問題を解決した、優れたストレッチ性と優れた立毛外観とを兼ね備えた立毛人工皮革を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層と、熱可塑性エラストマー層の片面又は両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する極細繊維の非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体であって、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されており、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%である人工皮革基材である。
ここで、非弾性繊維とは、エラストマー弾性を発現する分子構造を含まない樹脂からなり、伸長力を解放しても繊維が伸び切ったままになる塑性変形する繊維を意味する。なお、エラストマー弾性とは、分子間が架橋または疑似架橋による網目構造を形成し、伸長力を解放したときに回復する弾性を意味する。
このような人工皮革基材及びそれを含む立毛人工皮革においては、熱可塑性エラストマー層と非弾性繊維層とが均質に混在しておらず、層状に分離している。そのために、熱可塑性エラストマーが密になり、長いネットワークを形成する、熱可塑性エラストマー繊維が部分融着した層や弾性の高い膜状の熱可塑性エラストマーの層を形成させやすい。その結果、人工皮革基材や立毛人工皮革を伸長した後、伸長力を解放したときに熱可塑性エラストマーが元の安定な状態に戻ろうとするエラストマー弾性による高い回復力が発現する。また、伸長を繰返したときにも元の安定な状態に戻ろうとするエラストマー弾性による高い回復力により、繰り返し伸長したときにも高い回復率を保持するようになる。
また、熱可塑性エラストマー層に非弾性繊維層を形成する非弾性繊維の一部が貫通して熱可塑性エラストマー層と非弾性繊維層とが一体化されていることにより、伸縮するときに非弾性繊維層と熱可塑性エラストマー層とが一体的に伸縮する。そのために、伸縮時の抵抗が分散される。また、熱可塑性エラストマー層と非弾性繊維層とが層状に分離しており、極細繊維の非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層を繊維立毛面に配することにより、繊維立毛面に熱可塑性エラストマーが表出しにくくなり、ライティング性の高い高級感のある立毛外観が得られやすくなる。その結果、優れたストレッチ性と優れた立毛外観とを兼ね備えた立毛人工皮革が得られる。
熱可塑性エラストマー層は、熱可塑性エラストマーの繊維が融着していなくても、部分融着してネットワークを形成した繊維層であっても、膜状の熱可塑性エラストマーを含む層であってもよい。何れの層であっても、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維層を形成する非弾性繊維の一部に厚さ方向に貫通されて一体化されている。
また、非弾性繊維は、平均繊維長100mm以下の短繊維であることが、伸縮するときの抵抗が小さくなって伸長率が高くなりやすい点から好ましい。
また、人工皮革基材は、内部に含浸付与された水系ポリウレタンをさらに含むことが、形態安定性が向上し、機械的特性にも優れ、また、高い充実感を保持しやすい点から好ましい。
また、非弾性繊維は、ポリエステル系繊維であることが高い堅牢度を有する立毛人工皮革が得られやすい点から好ましい。
また、非弾性繊維層は、熱可塑性エラストマー層の両面に配されていることが、染色した場合、表面及び裏面を互いに同じ色目にしやすいこと、さらには熱可塑性エラストマーを工程処理中の熱で融着させる場合でも、ロールなどに接着して工程通過性を損なわせにくい点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、上述した何れかの人工皮革基材の非弾性繊維層の表面を立毛処理してなる立毛人工皮革である。このような立毛人工皮革は、ストレッチ性と優れた立毛外観とを兼ね備える。
また、本発明の他の一局面は、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための、第1の極細繊維発生型繊維から形成された第1の繊維ウェブを準備する工程と、非弾性繊維を形成するための、第2の極細繊維発生型繊維から形成された第2の繊維ウェブを準備する工程と、第1の繊維ウェブの片面又は両面に第2の繊維ウェブを積層して積層ウェブを形成する工程と、積層ウェブを三次元絡合処理することにより、第1の繊維ウェブに第2の極細繊維発生型繊維の一部を貫通させて第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとを一体化させた絡合繊維シートを形成する工程と、絡合繊維シートを熱収縮させて熱収縮繊維シートを形成する工程と、熱収縮繊維シートを形成する第1の極細繊維発生型繊維及び第2の極細繊維発生型繊維を極細繊維化処理することにより、熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維との繊維絡合体を形成させる工程と、繊維絡合体を形成する熱可塑性エラストマー繊維を軟化または溶融させることにより、熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、それを溶融融着させた膜を形成させる工程と、を備える、人工皮革基材の製造方法である。このような製造方法によれば、熱可塑性エラストマー層に非弾性繊維層を形成する非弾性繊維の一部が貫通して一体化された、上述したような人工皮革基材を容易に製造することができる。
また、このような人工皮革基材の製造方法においては、熱収縮繊維シートまたは繊維絡合体に、ポリウレタン水系エマルジョンを含浸させた後、乾燥させることにより水系ポリウレタンを内部に含浸付与させる工程をさらに備えることが、人工皮革基材の形態安定性を向上させ、また、充実感を向上させる点から好ましい。
本発明によれば、優れたストレッチ性と優れた外観とを兼ね備えた立毛人工皮革が得られる。
図1は、実施形態の両面に非弾性繊維層2,3を備えた人工皮革基材10の厚さ方向の断面の模式説明図である。 図2は、実施形態の片面に非弾性繊維層2を備えた人工皮革基材20の厚さ方向の断面の模式説明図である。 図3は、熱可塑性エラストマーの繊維が部分融着した状態を説明するための説明図である。 図4は、実施例1で得られた人工皮革基材の厚さ方向の断面の40倍の走査型電子顕微鏡(SEM)の写真である。 図5は、実施例5で得られた人工皮革基材の厚さ方向の断面の40倍の走査型電子顕微鏡(SEM)の写真である
以下、本発明に係る人工皮革基材及び立毛人工皮革の実施形態を図面及び製造方法を参照しながら詳しく説明する。
本実施形態の人工皮革基材は、熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層と、熱可塑性エラストマー層の片面又は両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体であって、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されており、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%である人工皮革基材である。また、本実施形態の立毛人工皮革は、そのような人工皮革基材の非弾性繊維層の表面を立毛処理されたものである。
図1は実施形態の、熱可塑性エラストマー層1の両面に非弾性繊維層2,3が配された人工皮革基材を用いて製造された立毛人工皮革10の断面の模式図、図2は実施形態の、熱可塑性エラストマー層1の片面に非弾性繊維層2が配された人工皮革基材を用いて製造された立毛人工皮革20の断面の模式図である。
図1を参照すれば、立毛人工皮革10は、熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層1と、熱可塑性エラストマー層1の両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する非弾性繊維の極細繊維の絡合体を主体とする、非弾性繊維層2及び非弾性繊維層3と、の積層体を含む。そして、熱可塑性エラストマー層1は、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維を厚さ方向に貫通させたパンチ痕Pを含む。パンチ痕Pには、厚さ方向に貫通した非弾性繊維が存在する。そして、厚さ方向に貫通する一部の非弾性繊維は熱可塑性エラストマー層1に非弾性繊維層2及び非弾性繊維層3を一体化して固定する。
また、立毛人工皮革10の厚さ方向の断面においては、立毛人工皮革10の全厚に対して、熱可塑性エラストマー層1の厚さ割合が5~50%である。そして、立毛人工皮革10の一面の非弾性繊維層2の表面においては、表層の非弾性繊維が立毛処理された繊維立毛面Nが形成されている。
また、図2を参照すれば、立毛人工皮革20は、熱可塑性エラストマー層1と、熱可塑性エラストマー層1の片面に配された非弾性繊維層2と、の積層体を含む。そして、熱可塑性エラストマー層1は、非弾性繊維層2を形成する一部の非弾性繊維を厚さ方向に貫通させたパンチ痕Pを備える。パンチ痕Pには、厚さ方向に貫通した非弾性繊維が存在する。そして、厚さ方向に貫通する一部の非弾性繊維は熱可塑性エラストマー層1に非弾性繊維層2を一体化して固定する。また、立毛人工皮革20の厚さ方向の断面においては、立毛人工皮革20の全厚に対して、熱可塑性エラストマー層1の厚さ割合が5~50%である。そして、立毛人工皮革20の一面の非弾性繊維層2の表面においては、表層の非弾性繊維が立毛処理された繊維立毛面Nが形成されている。
以下、本実施形態の人工皮革基材及び立毛人工皮革を好ましい製造方法の一例に沿ってさらに詳しく説明する。
本実施形態の人工皮革基材及びそれを用いた立毛人工皮革は、例えば、次のような各工程を備える製造方法により製造することができる。
工程(1):熱可塑性エラストマー繊維を形成するための、第1の極細繊維発生型繊維から形成された第1の繊維ウェブを準備する工程。
工程(2):非弾性繊維を形成するための、第2の極細繊維発生型繊維から形成された第2の繊維ウェブを準備する工程。
工程(3):第1の繊維ウェブの片面又は両面に第2の繊維ウェブを積層して積層ウェブを形成する工程。
工程(4):積層ウェブを三次元絡合処理することにより、第1の繊維ウェブに第2の極細繊維発生型繊維の一部を貫通させて第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとを一体化させた絡合繊維シートを形成する工程。
工程(5):絡合繊維シートを熱収縮させて熱収縮繊維シートを形成する工程。
工程(6):熱収縮繊維シートを形成する、第1の極細繊維発生型繊維及び第2の極細繊維発生型繊維を、それぞれ極細繊維化処理することにより、熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維との繊維絡合体を形成させることにより人工皮革基材を形成する工程。
工程(7):人工皮革基材を形成する非弾性繊維層の表層を立毛処理して繊維立毛面を形成させることにより立毛人工皮革を形成させる工程。
工程(8):任意に、人工皮革基材を形成する熱可塑性エラストマー繊維を軟化または溶融させることにより、熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、それを溶融融着させた膜を形成させる工程。
(1)熱可塑性エラストマー繊維を形成するための、第1の極細繊維発生型繊維から形成された第1の繊維ウェブを準備する工程
本実施形態の人工皮革基材の製造においては、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための、第1の極細繊維発生型繊維から形成された第1の繊維ウェブを準備する。
第1の繊維ウェブの製造方法としては、例えば、いわゆるスパンボンド法を用いて熱可塑性エラストマー繊維を形成するための第1の極細繊維発生型繊維(以下、単に第1の極細繊維発生型繊維とも称する)を溶融紡糸し、これをカットせずにネット上に捕集して連続繊維の長繊維のウェブを形成する方法や、第1の極細繊維発生型繊維を溶融紡糸法を用いて紡糸し、延伸した後、さらに必要に応じて捲縮を付与し、さらにカットし、カットされた原綿をカード機に通してウェブ化するような方法が挙げられる。
第1の極細繊維発生型繊維は、紡糸後に化学的な後処理または物理的な後処理を施すことにより、繊度の小さい熱可塑性エラストマー繊維を形成させる繊維である。極細繊維発生型繊維の具体例としては、例えば、海島型複合繊維や剥離分割型複合繊維等が挙げられる。第1の極細繊維発生型繊維が海島型複合繊維の場合、繊維断面において、マトリクスとなる海成分中に、島成分として熱可塑性エラストマーが分散されており、海成分を除去することにより、繊維束状の熱可塑性エラストマー繊維を発生させる。また、剥離分割型複合繊維は、外周に複数の異なる樹脂が交互に配置されて花弁形状や重畳形状を形成しており、物理的処理により複数の異なる樹脂が剥離することにより分割されて束状の熱可塑性エラストマー繊維を発生させる。
第1の極細繊維発生型繊維に化学的な後処理または物理的な後処理を施して、熱可塑性エラストマー繊維を形成することによれば、熱可塑性エラストマー繊維の繊度を低く調整することができる。このような場合には、後述するような熱可塑性エラストマー繊維の部分融着の度合いや、膜の融着度合いを調整しやすくなり、また、熱可塑性エラストマー繊維がわずかに表面に露出したとしても、外観を損ないにくい点から好ましい。熱可塑性エラストマー繊維は人工皮革基材の繊維立毛面に実質的に表出しないために、優れた風合いを保持させるための低い繊度が必ずしも求められるものではない。そのために、第1の極細繊維発生型繊維を経ずに、熱可塑性エラストマー繊維を直接紡糸してもよい。また、繊維の形態の第1の繊維ウェブを用いる代わりに、熱可塑性エラストマーのフィルムやシートを用いて製造してもよい。
本実施形態では、代表例として、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための第1の極細繊維発生型繊維として、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための海島型複合繊維(以下、第1の海島型複合繊維とも称する)を用いる方法について詳しく説明する。
なお、熱可塑性エラストマー繊維及びそれを形成するための第1の極細繊維発生型繊維は長繊維(フィラメント)であっても短繊維(ステープル)であってもよい。長繊維は、平均繊維長が100mm以上であり、好ましくは、200mm以上、さらには、スパンボンド法により製造され、連続的に紡糸された、例えば、数m、さらには、数百m、とくには数km以上の繊維長である連続繊維であってもよい。熱可塑性エラストマー繊維が長繊維である場合には、エラストマー繊維が融着していなくともエラストマー弾性の長いネットワークを形成し、伸長力を解放したときに、もとの形状までより回復しやすくなる点からとくに好ましい。
本実施形態においては、代表例として、熱可塑性エラストマーを島成分として用いた第1の海島型複合繊維を含む、第1の繊維ウェブを製造する方法について詳しく説明する。
熱可塑性エラストマー繊維を形成するための第1の海島型複合繊維は、島成分が熱可塑性エラストマーを含み、後の適当な段階で海成分を抽出または分解させて除去することにより、繊維束状の熱可塑性エラストマー繊維を形成させる繊維である。
熱可塑性エラストマーとは常温ではエラストマー弾性を示し、加熱により可塑性を示す弾性体であり、熱可塑性樹脂と同様に加熱による成形加工が可能な弾性体である。
熱可塑性エラストマー(TPE)の具体例としては、例えば、ポリスチレン系TPE,アクリル系TPE,ポリエステル系TPE,ポリオレフィン系TPE,ポリアミド系TPE,ポリウレタン系TPE等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリスチレン系TPEの市販品の例としては、例えば、(株)クラレ製の商品名セプトン(登録商標)や商品名ハイブラー(登録商標),クラレプラスチックス(株)の商品名アーネストン(登録商標)、旭化成(株)製の商品名タフテック(登録商標),JSR(株)製の商品名JSR SIS(登録商標)等が挙げられる。また、アクリル系TPEの市販品の例としては、例えば、(株)クラレ製の商品名クラリティ(登録商標)等が挙げられる。また、ポリエステル系TPEの市販品の例としては、例えば、東洋紡(株)製の商品名ペルプレン(登録商標),東レ・デュポン(株)製のハイトレル(登録商標),三菱化学(株)製のプリマロイ(登録商標)等が挙げられる。また、ポリオレフィン系TPEの市販品としては、三井化学(株)製の商品名ミラストマー(登録商標),JSR株式会社の商品名DYNARON(登録商標)等が挙げられる。また、ポリアミド系TPEの市販品の例としては、宇部興産(株)製のUBESTA(登録商標)等が挙げられる。
結晶性を有する熱可塑性エラストマーの融点としては、後に熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させたり、膜を形成させたりしやすくするために、非弾性繊維を形成する樹脂よりも融点が30℃以上、さらには40℃以上低いことが好ましい。熱可塑性エラストマーの融点が非弾性繊維を形成する樹脂の融点に近すぎる場合には、熱可塑性エラストマーのみを選択的に軟化又は溶融させて熱可塑性エラストマーの長いネットワークを形成させにくくなり、また、非弾性繊維が軟化したりして繊維立毛面の優れた風合いに影響を与える懸念がある。具体的には、例えば、人工皮革の製造に一般的に用いられるPETのようなポリエステル繊維を非弾性繊維として選択した場合には、熱可塑性エラストマーの融点は、90~220℃、さらには、110~210℃の範囲であることが好ましい。
熱可塑性エラストマーには、必要に応じてカーボンブラック等の顔料,染料,フィラー,防カビ剤および酸化防止剤,紫外線吸収剤や光安定剤などの耐光剤,難燃剤等の添加剤を配合してもよい。
一方、第1の海島型複合繊維の形成に用いられる海成分の熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,エチレンプロピレン共重合体,エチレン酢酸ビニル共重合体,スチレンエチレン共重合体,スチレンアクリル共重合体,などが挙げられる。
第1の海島型複合繊維の海成分と島成分との質量割合は特に限定されないが、例えば、海成分:島成分=5:95~80:20の範囲であることが好ましい。
第1の海島型複合繊維のウェブは、具体的には、多数のノズル孔が所定のパターンで配置された複合紡糸用口金を用いて、海島型複合繊維の溶融ストランドを紡糸ノズルから所定の吐出速度で連続的に吐出させ、高速気流を用いて冷却しながら延伸させてコンベヤベルト状の移動式のネット上に堆積させるようなスパンボンド法により長繊維のウェブを製造することができる。また、別の方法としては、第1の海島型複合繊維の長繊維を紡糸した後、捲縮した後、カットされたステープルの原綿をカーディングして短繊維のウェブを形成してもよい。また、ウェブは形態安定性を付与されるために熱プレスされてもよい。
熱可塑性エラストマー繊維が海島型複合繊維から形成される場合、例えば、5~200本、さらには10~50本、とくには10~30本の極細繊維が繊維束を形成することが好ましい。
また、第1の海島型複合繊維のウェブ中の第1の海島型複合繊維は、後に極細繊維化処理されることにより、第1の海島型複合繊維よりも低い繊度を有する熱可塑性エラストマー繊維に変換される。
なお、第1の海島型複合繊維の強度が高すぎる場合には、後述するニードルパンチングの際に第1の海島型複合繊維が切断されず、非弾性繊維層の表面に露出しやすくなる懸念がある。そのために、第1の海島型複合繊維はニードルパンチングの際に適度に切断される強度であることが好ましい。具体的には、第1の海島型複合繊維の引張強度は、1.0cN/dtex以下、さらには、0.9cN/dtex以下であることが好ましい。
(2)非弾性繊維を形成するための、第2の極細繊維発生型繊維から形成された第2の繊維ウェブを準備する工程。
本実施形態の人工皮革基材の製造においては、非弾性繊維を形成するための、第2の極細繊維発生型繊維から形成された第2の繊維ウェブを準備する工程を備える。
非弾性繊維を形成するための第2の極細繊維発生型繊維(以下、単に第2の極細繊維発生型繊維とも称する)から形成された第2の繊維ウェブの製造方法としては、例えば、第2の極細繊維発生型繊維を溶融紡糸法を用いて紡糸し、延伸した後、さらに必要に応じてクリンプを付与し、カットした原綿をカード機に通してウェブ化するような方法や、スパンボンド法を用いて、第2の極細繊維発生型繊維を溶融紡糸法を用いて紡糸し、これを切断せずにネット上に捕集して連続繊維の長繊維のウェブを形成する方法が挙げられる。
第2の極細繊維発生型繊維は、短繊維でも長繊維でもよいが、熱可塑性エラストマー層に対して伸縮の自由度が高く、立毛したときの立毛感にも優れる人工皮革基材が得られやすい点から、短繊維の極細繊維発生型繊維であることが特に好ましい。本実施形態においては、非弾性繊維を形成するための第2の極細繊維発生型繊維として、非弾性繊維を形成するための第2の海島型複合繊維(以下、単に第2の海島型複合繊維とも称する)を用いて短繊維ウェブを製造する場合について、代表例として詳しく説明する。
第2の海島型複合繊維は、後の適当な段階で海成分を抽出または分解させて除去されることにより、島成分である非弾性繊維からなる極細繊維を繊維束状に形成させる。
非弾性繊維を形成するための樹脂としては、次のような樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位との共重合体であるポリエチレンテレフタレート(PET),テレフタル酸単位と1,4-ブタンジオール単位との共重合体であるポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT),ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂,または,それらの変性体等の変性ポリエステル系樹脂;ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂または,それらの変性体等の変性ポリアミド系樹脂等が挙げられる。また、これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、変性体とは、樹脂の溶融粘度や融点や結晶性を調整する目的で、主たるポリマー形成単位の一部を他の少量のモノマー単位で置換したポリマーを意味する。例えば、ポリエステルを変性する少量のモノマー単位としては、例えば、イソフタル酸,フタル酸,5-ナトリウムスルホイソフタル酸等の非対称型芳香族カルボン酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、エチレングリコール,ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,シクロヘキサンジメタノール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール等のジオール類等が挙げられる。これらのモノマー単位をポリエステルに導入することにより、ポリエステルの溶融粘度や融点や結晶性を調整することができる。
非弾性繊維を形成するための樹脂には、必要に応じてカーボンブラック等の顔料,染料,フィラー,防カビ剤および酸化防止剤,紫外線吸収剤や光安定剤などの耐光剤,難燃剤等の添加剤が配合されてもよい。
一方、海成分の熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,エチレンプロピレン共重合体,エチレン酢酸ビニル共重合体,スチレンエチレン共重合体,スチレンアクリル共重合体,などが挙げられる。これらの中では、湿熱処理や熱水処理で収縮し易い点から、水溶性を有するポリビニルアルコール系樹脂、特にエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
第2の海島型複合繊維の海成分と島成分との質量割合も特に限定されないが、海成分:島成分=5:95~80:20の範囲であることが好ましい。
第2の海島型複合繊維のウェブは、例えば、次のようにして製造される。多数のノズル孔が、所定のパターンで配置された複合紡糸用口金を用いて、第2の海島型複合繊維を溶融紡糸法を用いて紡糸し、延伸した後、さらに必要に応じてクリンプを付与し、カットする。そして、カットされた第2の海島型複合繊維の原綿をカード機に通してウェブ化するような方法が挙げられる。また、必要に応じて、ウェブに形態安定性を付与するために熱プレスしてもよい。
非弾性繊維が第2の海島型複合繊維から形成される場合、とくに限定されないが、例えば、5~200本、さらには10~50本、とくには10~30本の極細繊維が繊維束を形成することが好ましい。
ウェブ中の第2の海島型複合繊維は、後に極細繊維化処理されることにより、0.5dtex以下の平均繊度を有する極細繊維である非弾性繊維に変換される。
非弾性繊維の平均繊維長はとくに限定されず、100mm以下の短繊維(ステープル)であっても、100mm超、さらには、200mm以上の長繊維(フィラメント)、とくには、スパンボンド法により紡糸から連続的にウェブまで製造された、例えば、数m、さらには、数百m、とくには数km以上の繊維長を有する連続繊維であってもよい。熱可塑性エラストマー層に対して伸縮の自由度が高く、立毛したときの立毛感にも優れる人工皮革基材が得られやすい点からは、40~75mmの短繊維であることがとくに好ましい。また、非弾性繊維は紡糸後に延伸を行ったものであることが、機械的特性に優れた人工皮革基材が得られる点から好ましい。
(3)第1の繊維ウェブの片面又は両面に第2の繊維ウェブを積層して積層ウェブを形成する工程。
次に、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための第1の繊維ウェブと非弾性繊維を形成するための第2の繊維ウェブとを重ねて積層することにより積層ウェブを形成する。
積層ウェブの製造方法としては、例えば、第1の繊維ウェブの片面又は両面に第2の繊維ウェブを配するように、クロスラッパーを用いて4~100枚程度を積み重ねるクロスラッピングが挙げられる。また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、織物,編物、その他のウェブ等を重ねてもよい。
なお、クロスラッピングの際には、ニードルパンチの際にニードルの針が折れたり損傷したりすることを防止するために、繊維の表面に、あるいは繊維ウェブの表面に針折れ防止油剤や帯電防止油剤等を付与することが好ましい。
第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとの割合は特に限定されず、最終的に得られる人工皮革基材において、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%になるような割合になるように調整される。一例としては、第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブ(第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブ)との質量割合が、10/90~90/10、さらには、15/85~85/15になるような割合であることが好ましい。
(4)積層ウェブを三次元絡合処理することにより、第1の繊維ウェブに第2の極細繊維発生型繊維の一部を貫通させて第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとを一体化させた絡合繊維シートを形成する工程。
次に、積層ウェブを形成する、第1の繊維ウェブの第1の極細繊維発生型繊維と、第2の繊維ウェブの第2の極細繊維発生型繊維とを絡合させることにより絡合繊維シートを形成する。絡合繊維シートは、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いて、積層ウェブに絡合処理を施すことにより形成される。本実施形態では、ニードルパンチによる絡合処理について代表例として詳しく説明する。
積層ウェブに針折れ防止油剤,帯電防止油剤,絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与する。その後、ニードルパンチ等の繊維絡合処理により三次元的に第1の極細繊維発生型繊維と第2の極細繊維発生型繊維とを絡合させる。
ニードルパンチ処理においては、例えば、片面又は両面から、同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが積層ウェブを貫通する条件でニードルパンチを行う。また、このとき、第1の極細繊維発生型繊維を主体とする層と第2の極細繊維発生型繊維を主体とする層と、の積層構造が保持されるようにニードルパンチを行う。このようにニードルパンチを行うことにより、第1の極細繊維発生型繊維を主体とする層と、第1の極細繊維発生型繊維を主体とする層と、の積層体であって、第1の繊維ウェブに第2の極細繊維発生型繊維の一部が貫通して第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとが一体化した絡合繊維シートが形成される。
第1の極細繊維発生型繊維を主体とする層と第2の極細繊維発生型繊維を主体とする層との積層構造が保持されるようにニードルパンチを行うことにより、熱可塑性エラストマー層と非弾性繊維層とが均質に混在しておらず、第1の極細繊維発生型繊維を主体とする層と第2の極細繊維発生型繊維を主体とする層とを有する人工皮革基材を製造することができる。
ニードルパンチのパンチング密度は積層ウェブの目付や繊維密度にもよるが、1000~3000パンチ(P)/cm2、さらには、1200~2500P/cm2であることが、適度に繊維が絡合されて高いストレッチ性が維持され、また、高い機械的特性も維持される点から好ましい。
このようにして製造される第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとが一体化した絡合繊維シートの目付は、特に限定されないが、100~1000g/m3、さらには、200~900g/m3であることが、高い機械的特性と高いストレッチ性とを兼ね備えた人工皮革基材を得ることができる点から好ましい。
(5)絡合繊維シートを熱収縮させて熱収縮繊維シートを形成する工程。
次に、絡合繊維シートを熱収縮させることにより、絡合繊維シートの繊維密度を高める。熱収縮処理の具体例としては、例えば、絡合繊維シートを水蒸気に連続的に接触させる方法や、絡合繊維シートに水を付与した後、加熱エアーや赤外線などの電磁波で水を加熱する方法等が挙げられる。また、熱収縮処理により緻密化された絡合繊維シートをさらに緻密化するとともに形態を固定化したり、表面を平滑化したりすることを目的として、必要に応じて、さらに熱プレス処理を行ってもよい。
熱収縮処理工程における絡合繊維シートの目付の変化としては、熱収縮処理前の目付に比べて、1.1倍(質量比)以上、さらには、1.3倍以上で、2倍以下、さらには1.6倍以下であることが好ましい。
このようにして製造される熱収縮繊維シートの目付は、特に限定されないが、200~2000g/m2、さらには、400~1800g/m2であることが、機械的特性とストレッチ性とのバランスに優れた人工皮革基材を得ることができる点から好ましい。
(6-1)熱収縮繊維シートを形成する、第1の極細繊維発生型繊維及び第2の極細繊維発生型繊維を、それぞれ極細繊維化処理することにより、熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維との繊維絡合体を形成させることにより人工皮革基材を形成する工程。
本工程では、熱収縮繊維シートを形成する、第1の極細繊維発生型繊維及び第2の極細繊維発生型繊維をそれぞれ極細繊維化処理することにより、熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維との繊維絡合体を含む人工皮革基材を形成させる。本実施形態では、第1の極細繊維発生型繊維が第1の海島型複合繊維、第2の極細繊維発生型繊維が第2の海島型複合繊維である場合について、代表例として詳しく説明する。
熱収縮繊維シートに含まれる第1の極細繊維発生型繊維を主体とする層の第1の海島型複合繊維から、海成分を熱水や溶剤等で抽出または分解除去することにより繊維束状の熱可塑性エラストマー繊維を主体とする層が形成される。また、熱収縮繊維シートに含まれる第2の極細繊維発生型繊維を主体とする層の第2の海島型複合繊維から、海成分を熱水や溶剤等で抽出または分解除去することにより、繊維束状の0.5dtex以下の平均繊度を有する非弾性繊維を主体とする層が形成される。その結果、熱可塑性エラストマー繊維を主体とする熱可塑性エラストマー層と、0.5dtex未満の平均繊度を有する非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体が形成される。
例えば、水溶性のポリビニルアルコール系樹脂を海成分に用いた海島型複合繊維の場合においては、60~98℃程度に加熱された、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等でディップニップ処理を繰り返すことにより、海成分である水溶性のポリビニルアルコール系樹脂が除去される。
熱可塑性エラストマー繊維の繊度は特に限定されないが、0.01~1.0dtex、さらには、0.05~0.8dtexの平均繊度を有することが、後の工程で、絡合処理で熱可塑性エラストマー繊維のごく一部が表面へ露出した場合でも、外観を損なわず、また、熱可塑性エラストマー繊維を軟化または溶融させることにより、エラストマー弾性の長いネットワークを形成するような、熱可塑性エラストマーを部分融着させて繊維層を形成したり、熱可塑性エラストマーの膜を形成させたりしやすい点から好ましい。
また、非弾性繊維は、0.5dtex以下の平均繊度を有する極細繊維であり、0.01~0.5dtex、さらには、0.02~0.4dtexの平均繊度を有することが好ましい。このような極細繊維である非弾性繊維は、ライティング性(手書き性)の高い高級感のある優れた立毛感を発現する繊維立毛面を形成させる。
また、非弾性繊維は、例えば、5~200本、さらには10~50本、とくには10~30本の極細繊維が繊維束を形成して存在していることが、細かな繊維の立毛感をより発現させる繊維立毛面を形成させる点から好ましい。
このようにして形成される繊維絡合体の目付は、特に限定されないが、例えば、100~1000g/m2、さらには、200~600g/m2であることが好ましい。
このようにして、熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層と、熱可塑性エラストマー層の片面又は両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体であって、熱可塑性エラストマー層が、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されている繊維絡合体を含む人工皮革基材が形成される。
(6-2)熱収縮繊維シートまたは繊維絡合体に、高分子弾性体を含浸付与させる工程。
本実施形態の人工皮革基材の製造においては、人工皮革基材に形態安定性を付与し、また、その充実感を高めるために、工程(5)で得られた熱収縮繊維シートまたは工程(6-1)で得られた繊維絡合体の内部に、任意に高分子弾性体を含浸付与する工程を備えてもよい。
なお、工程(5)で得られた熱収縮繊維シートに高分子弾性体を含浸付与した場合、高分子弾性体が付与された後に、工程(6-1)において第1の極細繊維発生型繊維及び第2の極細繊維発生型繊維に極細繊維化処理されるために、形成される熱可塑性エラストマー繊維及び非弾性繊維が含浸付与された高分子弾性体で拘束されず、ストレッチ性のより高い人工皮革基材が得られる点から好ましい。
含浸付与される高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン,アクリル系弾性体,ポリアミド系弾性体,ポリエステルエラストマー等のポリエステル系弾性体,ポリスチレン系弾性体,ポリオレフィン系弾性体等が挙げられる。
含浸付与される高分子弾性体の含有割合は、得られる人工皮革基材中に、2~50質量%、さらには、5~30質量%、とくには、10~20質量%であることが、形態安定性及び充実感に優れるとともに、ストレッチ性にも優れる人工皮革基材が得られる点から好ましい。含浸付与される高分子弾性体の含有割合が低すぎる場合には、形態安定性が低下したり、繊維が素抜けしやすくなることによりストレッチ性が低下したりする傾向がある。また、高分子弾性体の含有割合が高すぎる場合には、ゴムライクな風合いになったり、ストレッチ性が低下したりする傾向がある。
高分子弾性体の中では、ポリウレタンが、柔軟性と充実感に優れる点からとくに好ましい。また、含浸付与されるポリウレタンとしては、水系エマルジョンとして調製される水系ポリウレタンや、N, N-ジメチルホルムアミド(DMF)を含む有機溶媒に溶解されて溶液として調製される溶剤系ポリウレタンが挙げられる。
溶剤系ポリウレタンを含浸付与する方法としては、工程(5)で得られた熱収縮繊維シートまたは工程(6-1)で得られた熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維との繊維絡合体に、溶剤系ポリウレタンの溶液を含浸させた後、湿式凝固させることにより、スポンジ状ポリウレタンを付与する方法が挙げられる。このような方法を用いた場合、人工皮革基材中に弾性に優れた溶剤系ポリウレタンを付与することができる。なお、溶剤系ポリウレタンは非弾性繊維を強く拘束しにくい。そのために、例えば、得られる人工皮革基材中に20質量%以上含有させても、高いストレッチ性と高い機械的特性とを兼ね備えた人工皮革基材が得られやすい。
また、水系ポリウレタンを含浸付与する方法としては、工程(5)で得られた熱収縮繊維シートまたは工程(6-1)で得られた熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維との繊維絡合体に、水系ポリウレタンのエマルジョンを含浸させた後、乾燥させることにより、水系ポリウレタンを付与する方法も挙げられる。このような方法を用いた場合、溶剤使用量を削減できる。なお、水系ポリウレタンは非弾性繊維を拘束しやすく、配合割合を高くしすぎた場合にはストレッチ性が低下しやすくなる。そのために、水系ポリウレタンの含有割合としては、得られる人工皮革基材中に20質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の人工皮革基材の製造においては、限定されるものではないが、比較的短時間で処理でき、不必要な張力を極力少なくできるために高いストレッチ性が得られ、環境への負荷が小さい点から、水系ポリウレタンがとくに好ましい。また、熱可塑性エラストマーが溶剤系ポリウレタンを溶解する有機溶剤に溶解しやすい場合でも、熱可塑性エラストマーを溶解させない点から水系ポリウレタンの使用が好ましい。
水系ポリウレタンは、エマルジョンやディスパーションとして調製される。また、水系ポリウレタンは、耐水性、耐摩耗性及び耐加水分解性を向上させる目的で、架橋されていてもよい。水系ポリウレタンを架橋させるための架橋剤は、水系ポリウレタンに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、また水系ポリウレタンの分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤であってもよい。架橋剤としては、イソシアネート基,オキサゾリン基,カルボジイミド基,エポキシ基,メラミン樹脂,およびシラノール基などを有する化合物が挙げられる。
水系ポリウレタンの含有割合は、得られる人工皮革基材中の8~15質量%であることが、形態安定性及び充実感に優れるとともに、ストレッチ性にもとくに優れる人工皮革基材が得られる点から好ましい。
工程(5)で得られた熱収縮繊維シートまたは工程(6-1)で得られた繊維絡合体に高分子弾性体を含浸付与する方法としては、例えば水系ポリウレタンのエマルジョンを用いる場合、水系ポリウレタンのエマルジョンで満たされた浴中に熱収縮繊維シートまたは不織布を浸した後、プレスロール等で所定の含浸状態になるように絞るという処理を1回又は複数回行うディップニップ法が好ましく用いられる。また、その他の方法として、バーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、コンマコーティング法、スプレーコーティング法等を用いてもよい。
水系ポリウレタンを工程(5)で得られた熱収縮繊維シートまたは工程(6-1)で得られた繊維絡合体に、水系ポリウレタンのエマルジョンやディスパーションを含浸し、乾燥凝固させる乾式法により凝固させることにより、水系ポリウレタンを含浸付与することができる。なお、凝固させた水系ポリウレタンを架橋させるために、乾燥後にさらに熱処理してキュア処理を行うことも好ましい。
高分子弾性体には、必要に応じてカーボンブラック等の顔料,染料,防カビ剤および酸化防止剤,紫外線吸収剤や光安定剤などの耐光剤,難燃剤,浸透剤や滑剤,シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤,撥水剤,粘度調整剤,帯電防止剤等の界面活性剤,シリコーン等の消泡剤,セルロース等の充填剤,凝固調整剤,シリカや酸化チタン等の無機粒子等を含有させてもよい。
(6-3)人工皮革基材の仕上げ工程
また、人工皮革基材の製造においては、工程(6-1)または工程(6-2)で得られた人工皮革基材に、さらに任意に厚み調整等の仕上げ処理を施す工程を備えてもよい。具体的には、人工皮革基材を、厚さ方向に垂直な方向に複数枚にスライスしたり、表面を研削したりすることにより、厚さ調節や平滑化する仕上げをしてもよい。なお、人工皮革基材が、熱可塑性エラストマー層の両面に非弾性繊維層が積層された積層体を含む場合、熱可塑性エラストマー層においてスライスすることによれば、熱可塑性エラストマー層の片面に非弾性繊維層が積層された積層体を含む2枚の人工皮革基材が得られる。
(7)人工皮革基材の非弾性繊維層の表面を立毛処理する工程。
そして、人工皮革基材の製造においては、熱可塑性エラストマー層に積層された非弾性繊維層の表面を立毛処理することにより、繊維立毛面が形成される。本実施形態の人工皮革基材は、立毛処理をして形成される繊維立毛面の立毛感に優れる。
立毛処理においては、人工皮革基材の表層を、サンドペーパーなどを用いてバフィング処理して立毛処理することにより、スエード調やヌバック調の風合いが得られる。また、立毛処理に加えて、必要に応じて、揉み柔軟化処理、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等の仕上げ処理が施されてもよい。
(8)任意に、人工皮革基材に含まれる繊維絡合体を形成する熱可塑性エラストマー繊維を軟化または溶融させることにより、熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、それを溶融融着させた膜を形成させる工程。
上述のようにして製造された人工皮革基材は、熱可塑性エラストマー層を形成する熱可塑性エラストマー繊維を含む。このような熱可塑性エラストマー繊維は、上述のように熱可塑性を有するために、加熱して軟化または溶融させることにより、図3に示すように熱可塑性エラストマー繊維1aが交点xで部分融着したり、溶融融着させたりした膜を形成する。このようにして熱可塑性エラストマー繊維同士を交点で部分融着させたり、溶融融着させて膜を形成させたりすることにより、熱可塑性エラストマーのエラストマー弾性による伸縮力を向上させ、伸長を繰返したときにも戻りやすくなる。なお、溶融融着した膜は、融着時に空気を巻き込むことがあるために、空隙を含んでもよい。
人工皮革基材に含まれる熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、熱可塑性エラストマー繊維を溶融融着させた膜を形成させる方法としては、熱可塑性エラストマー繊維が軟化または溶融する温度に人工皮革基材を加熱し、必要に応じて、プレスするような方法が挙げられる。また、そのような方法としては、上述した立毛人工皮革を製造するいずれかの工程において付与される熱及び圧力により実現されてもよい。
具体的には、人工皮革基材を高温染色する工程において、染色と同時に行ってもよい。例えば、非弾性繊維がポリエステル繊維である場合、熱可塑性エラストマーが軟化または溶融する温度で分散染料を用いて高温高圧染色することにより、染色と同時に、熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、溶融融着させた膜を形成させてもよい。
人工皮革基材の染色法は、分散染料を用いた高温高圧染色に限られず、非弾性繊維の種類に応じて適宜選択される。具体的には、例えば、分散染料、反応染料、酸性染料、金属錯塩染料、硫化染料、硫化建染染料などを主体とした染料を繊維の種類に応じて適宜選択し、パッダー、ジッガー、サーキュラー、ウィンスなど繊維の染色に通常用いられる公知の染色機を使用して行われる。
また、例えば、上述した(6-1)の極細繊維化処理において、海島型複合繊維から海成分を除去する場合に用いる温水中でのディップニップ処理において付与される熱と圧力により、熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、溶融融着させた膜を形成させてもよい。
以上のような工程により製造される本実施形態の人工皮革基材または立毛人工皮革は、上述のように、熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層と、熱可塑性エラストマー層の片面又は両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体であって、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されており、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%である。
ここで、熱可塑性エラストマー層中の熱可塑性エラストマーの割合としては、50質量%以上、さらには60質量%以上、とくには80質量%以上であることが、とくに密なネットワークを形成した熱可塑性エラストマー繊維が部分融着した層や、弾性の高い膜状の熱可塑性エラストマーの層が形成されやすい点から好ましい。また、非弾性繊維層中の非弾性繊維の割合としては、50質量%以上、さらには60質量%以上、とくには80質量%以上であることが、立毛人工皮革の繊維立毛面に熱可塑性エラストマーがとくに表出しにくくなり、とくにライティング性の高い高級感のある立毛外観が得られやすい点から好ましい。
本実施形態の人工皮革基材は、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維が厚さ方向に貫通して非弾性繊維層と一体化されており、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%である。非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されていること、及び、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%であることは、後述する実施例に示すように、人工皮革基材またはそれを用いて製造された立毛人工皮革の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡で撮影し、その撮影画像から特定することができる。
そして、本実施形態の人工皮革基材は、厚さ方向の断面において、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%であり、好ましくは、10~40%である。熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が50%を超える場合には生産性が低下し、また、繊維立毛面に熱可塑性エラストマーが表出しやすくなって高級感のある立毛外観が得られにくくなる。また、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5%未満である場合には、ストレッチ性が得られにくくなる。
また、本実施形態で得られる人工皮革基材または立毛人工皮革の見掛け密度としては、0.25~0.80g/cm、さらには、0.30~0.60g/cm、であることが、機械的特性と高いストレッチ性とにとくに優れる人工皮革が得られる点から好ましい。
本実施形態で得られる人工皮革基材及び立毛人工皮革は、優れたストレッチ性と優れた立毛外観とを兼ね備える。立毛人工皮革のストレッチ性としては、荷重1kgを5分間付加したときの平均伸長率が20%以上、さらには30%以上、とくには40%以上であることが、ストレッチ性に優れた人工皮革基材または立毛人工皮革になる点から好ましい。なお、荷重1kgを5分間付加したときの平均伸長率は、製造ラインの方向に沿う方向に相当するタテ方向及びタテ方向に直交するヨコ方向の伸長率の平均を意味する。
熱可塑性エラストマー層と極細繊維の非弾性繊維とを絡合させた繊維絡合体において、熱可塑性エラストマー層は、非弾性繊維を一定の伸びの範囲で留める作用も有する。このような人工皮革基材または立毛人工皮革は、繰返し伸長後のストレッチ性の持続性にも優れている。具体的には、例えば、後述するように測定される20回伸長後の平均伸長率が30%以上で平均伸長回復率が70%以上、さらには、20回伸長後の平均伸長率が30%以上で平均伸長回復率が80%以上の人工皮革基材を実現できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例の内容により何ら限定されるものではない。
はじめに本実施例で用いた評価方法を以下にまとめて説明する。
〈厚さ方向の断面における熱可塑性エラストマー層の厚さ割合〉
立毛人工皮革の厚さ方向の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を40倍で撮影した。そして、繊維立毛面の焦点の合った立毛繊維の一番上から一番下までの距離を測定したものを全厚とし、SEM写真から立毛人工皮革の全厚及び熱可塑性エラストマー層の厚さを測定し、その厚さの割合を測定した。厚さの割合は、断面のヨコ方向に均等な間隔で選んだ5点において厚さの割合を測定し、その5点の厚さの割合の平均値を算出した。
〈平均繊度〉
平均繊度は以下のように測定した。立毛人工皮革の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を3000倍で撮影した。そして、SEM写真から繊維の断面をランダムに10個選んで断面積を測定し、その断面積の平均値を算出した。そして、断面積の平均値を各樹脂の密度を用いて平均繊度に換算した。
〈メルトフローレート〉
JIS K7210に準じた230℃、21.18Nの条件でメルトフローレートを測定した。
〈水系ポリウレタン含有割合〉
積層された第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとの合計重量Xを算出し、各重量から、得られた絡合繊維シート中に含まれる熱可塑性エラストマー繊維と非弾性繊維の目付けを算出し、その合計の目付けW(g/m2)を算出した。次に、水系ポリウレタン液濃度Y(%)、不織布へ含浸した時のピックアップZ(%)としたとき、以下の式から水系ポリウレタンの割合を求めた。
水系ポリウレタン含有割合(%)=[X×Z/100×Y/100]/[X×Z/100×Y/100+W]×100
〈見掛け密度〉
JIS L1913に準じて、厚さ(mm)および目付け(g/cm)を測定し、これらの値から見掛け密度(g/cm)を算出した。
〈伸長率及び伸長回復率〉
伸長率は、定荷重で伸張した際の伸び率を示す。また、伸長回復率は、定荷重で伸張し、荷重を除いた後の回復率を示す。立毛人工皮革を2.5cm幅に切出し、長さ5cm間に3cm間隔の基準線を入れ、雰囲気温度22℃で1kgの重りをぶら下げて5分間保持した後の基準線が伸びた長さL1を測定し、以下の式で伸長率を測定した。測定は上記操作を繰り返したときの1回目及び20回目の結果を取得した。
・伸長率(%)=[L1(cm)-3(cm)]/3(cm)×100
また、重りを取り除いて5分間経過した後、基準線間の長さL2を測定し、以下の式で伸長回復率を測定した。
・伸長回復率(%)=[L1(cm)-L2(cm)]/[L1(cm)-3(cm)]×100
〈風合い〉
得られた立毛人工皮革を折り曲げて、腰や柔軟性の感触を以下の基準で判定した。なお、判定は上記〈伸長率及び伸長回復率〉の操作を繰り返したときの1回目及び20回目の結果を取得した。
A:充実感があり、ボキ折れすることなく、柔軟性に優れた風合いであった。
B:充実感に欠ける、ボキ折れする、硬い、のいずれか1つ以上に該当する風合いであった。
〈立毛感〉
目視及び触感により、得られた立毛人工皮革の外観を以下の基準で判定した。
A:繊維が細かくばらけた均一な長さを有し、やわらかくスムースな感触の繊維立毛面であった。
B:繊維が粗くばらけて不均一な長さを有し、粗い感触でライティング性のない繊維立毛面であった。
〈ストレッチ感〉
得られた立毛人工皮革を引っ張り、そのときの力の程度や戻りやすさの感触を以下の基準で判定した。なお判定は上記〈伸長率及び伸長回復率〉の操作を繰り返したときの1回目及び20回目の結果を取得した。
A:弱い力で伸びやすく、力を解放した後の伸びの戻りが早い。
B:弱い力で伸びにくく、力を解放した後の伸びの戻りが遅い、あるいは弱い力で伸びやすいが力を解放した後の伸びの戻りが遅い、あるいは弱い力で伸びにくく力を解放した後の伸びの戻りは早い、のいずれかに該当する。
〈引裂強力〉
人工皮革の原反から、たて10cm×よこ4cmの試験片を切りだした。そして、試験片の短辺の中央に、長辺に平行に5cmの切れ目を入れた。そして、引張試験機を用い、各切片を治具のチャックに挟み、10cm/minの引張速度でs-s曲線を測定した。原反の縦方向と縦方向に垂直な横方向について各試験片3個を測定し、それぞれ平均値を求めた。
[実施例1]
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂(PVA;海成分)と熱可塑性エラストマーA(島成分)とを、海成分/島成分が25/75(質量比)となるように260℃で溶融複合紡糸用口金(島数:12島/繊維)より吐出し、紡糸速度3700m/minで紡糸を行い、平均繊度2.69dtexの第1の海島型複合繊維を含む第1の繊維ウェブを得た。なお、熱可塑性エラストマーAは、ポリスチレン系TPEを主体とするクラレプラスチック(株)製のアーネストンCJ101である。
また、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂(PVA;海成分)と融点242℃で変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ-ト(島成分)とを、海成分/島成分が50/50(質量比)となるように260℃で溶融複合紡糸用口金(島数:12島/繊維)より吐出し、紡糸速度800m/minで第2の海島型複合繊維の紡糸を行った。次に、延伸し平均繊度7.7dtexの繊維を得た後、捲縮を付与した。そして、捲縮した繊維を51mmにカットし、カード機に通して第2の海島型複合繊維を含む第2の繊維ウェブを得た。
次に、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブ=3/3/2の質量比で積層し、積層ウェブを形成した。そして、積層ウェブに対して1バーブのニードルを用いて1840P/cm2のパンチング密度でニードルパンチ処理を行うことにより、目付け320g/m2の、第1の繊維ウェブと第2の繊維ウェブとを一体化させた絡合繊維シートを形成した。
次に、絡合繊維シートを110℃、23.5%RHの条件でスチーム処理した。そして、90~110℃のオーブン中で乾燥させた後、さらに、115℃で熱プレスすることにより、目付508g/m2、比重0.65g/cm3、厚み0.78mmの熱収縮処理された熱収縮繊維シートを得た。
次に、熱収縮繊維シートに、水系ポリウレタンのエマルジョン(固形分15%)をpick up50%で含浸させた。なお、水系ポリウレタンは、ポリカーボネート系無黄変ポリウレタンであった。さらにエマルジョンには、水系ポリウレタン100質量部に対してカルボジイミド系架橋剤1.5質量部と硫酸アンモニウム2.7部とを添加し、水系ポリウレタンの固形分が13%となるよう調整した。そして、エマルジョンを含浸させた熱収縮繊維シートを115℃、25%RH雰囲気下で乾燥処理し、さらに、150℃で乾燥処理した。
そして、水系ポリウレタンを付与された熱収縮繊維シートを、ディップニップ処理、及び高圧水流処理しながら95℃の熱水中に10分間浸漬することにより、第2の海島型複合繊維及び第2の海島型複合繊維の海成分であるPVAを溶解除去し、平均繊度0.2dtexのPETの極細繊維である非弾性繊維と、平均繊度0.16dtexの熱可塑性エラストマーAの繊維とを形成させた。そして、乾燥することにより人工皮革基材を得た。そして、人工皮革基材の裏面を♯120ペーパーで、主面を♯240、♯320ペーパーを用い、両面を研削することにより、繊維立毛面を形成させた。
そして、繊維立毛面を形成された人工皮革基材を、分散染料を用いて、120℃で高圧染色を行うことによりスエード調の繊維立毛面を有する立毛人工皮革を得た。得られた立毛人工皮革は、目付304g/m2、見掛け密度0.447g/cm3、厚み0.68mmであった。
そして、立毛人工皮革の厚み方向の断面のSEM写真を撮影した。40倍で撮影したときの画像を図4に示す。図4に示すように、立毛人工皮革の厚み方向の断面のSEM写真においては、熱可塑性エラストマーAの繊維がPVAを溶解除去したときの熱と染色したときの熱により溶融して繊維の形態を失った、膜状の熱可塑性エラストマー層を形成していた。また、SEM写真から、熱可塑性エラストマー層に非弾性繊維層を形成する一部の非弾性繊維がニードルパンチにより厚さ方向に貫通されて一体化されていることが確認できた。
そして、上記評価方法に従って立毛人工皮革の各種特性を評価した。以上の結果を下記表1に示す。
Figure 2022034525000002
[実施例2]
表1に示したように、実施例1において、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比3/3/2を質量比8/27/8に変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
表1に示したように、実施例1において、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比3/3/2を質量比3/2/2に変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
表1に示したように、実施例1において、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比3/3/2を質量比2/1/2に変更することにより、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合を変更した以外は同様にして立毛人工皮革を製造した。結果を表1に示す。
[実施例5]
表1に示したように、実施例1において、熱可塑性エラストマーAを熱可塑性エラストマーBに変更し、熱可塑性エラストマー繊維の繊度,第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比,及びニードルパンチのパンチ数を変更して熱可塑性エラストマー層の厚さ割合を変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。なお、熱可塑性エラストマーBは、ポリエステル系TPEである東洋紡(株)製のペルプレンP40B(融点180℃)である。立毛人工皮革の厚み方向の断面のSEM写真を40倍で撮影したときの画像を図5に示す。図5に示すように、立毛人工皮革の厚み方向の断面のSEM写真においては、熱可塑性エラストマーBの繊維が染色時の熱により部分融着した熱可塑性エラストマー層を形成していた。結果を表1に示す。
[実施例6]
表1に示したように、実施例1において、熱可塑性エラストマーAを熱可塑性エラストマーBに変更し、熱可塑性エラストマー繊維の繊度,第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比,及びニードルパンチのパンチ数を変更して熱可塑性エラストマー層の厚さ割合を変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例5で得られた人工皮革基材を熱可塑性エラストマー層を通過するように厚み方向に垂直な方向にスライスして、熱可塑性エラストマー層の片面のみに非弾性繊維層が積層された立毛人工皮革を得た以外は、実施例1と同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
表1に示したように、実施例2において、非弾性繊維の平均繊度を0.35dtexに変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例6において、繊維立毛面を形成された人工皮革基材を分散染料で染色する工程を省略した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。得られた立毛人工皮革は、厚み方向の断面のSEM写真において、熱可塑性エラストマーBの繊維が溶融も融着もしていない、熱可塑性エラストマー層を形成していた。結果を表1に示す。
[実施例10]
表1に示したように、実施例1において、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂(PVA;海成分)とナイロン6(島成分)とを、海成分/島成分が30/70(質量比)となるように260℃で溶融複合紡糸用口金(島数:12島/繊維)より吐出し、紡糸速度3700m/minで紡糸を行い、平均繊度2.25dtexの第2の海島型複合繊維を含む第2の繊維ウェブとし、また熱可塑性エラストマーAを熱可塑性エラストマーBに変更し、熱可塑性エラストマー繊維の繊度,第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比を変更して、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合を変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例10において、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比を変更した以外は同様にして立毛人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
表2に示したように、実施例1において、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ/第2の繊維ウェブの質量比3/3/2を質量比4/27/4に変更することにより、熱可塑性エラストマー層の厚さ割合を変更した以外は同様にして立毛人工皮革を製造した。しかし、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための第1の海島型複合繊維の強度が高すぎて、ニードルパンチを目的とするパンチ数にまで継続することができなかった。結果を下記表2に示す。
Figure 2022034525000003
[比較例2]
表2に示したように、実施例1において、第1の繊維ウェブのみで絡合繊維シートを形成した以外は同様にして立毛人工皮革を製造した。しかし、熱可塑性エラストマー繊維を形成するための第1の海島型複合繊維の強度が高すぎて、ニードルパンチの途中で繊維絡合体が破断した。結果を表2に示す。
[比較例3]
表2に示したように、実施例1において、第2の繊維ウェブのみで絡合繊維シートを形成した以外は同様にして立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例3と同様に、第2の繊維ウェブのみで絡合繊維シートを形成した以外は実施例1と同様にして高分子弾性体を含浸させた立毛人工皮革を製造した。
また、熱可塑性エラストマーBを用いた第1の繊維ウェブのみで、1バーブのニードルを用いて1380P/cm2のパンチング密度でニードルパンチ処理を行うことにより、熱可塑性エラストマーBのみからなる絡合繊維シートを形成した。なお、熱可塑性エラストマーBのみからなる絡合繊維シートには水系ポリウレタンを含浸させておらず、それ以外は海成分の抽出処理まで実施例1と同じ処理を行って製造された。熱可塑性エラストマーBのみからなる絡合繊維シートに120℃で線圧49kg/cmの熱プレス処理することにより、熱可塑性エラストマーBからなる繊維を融着させた。このようにして、見掛け密度0.54g/cmの熱可塑性エラストマーBのシートを製造した。
そして、上記第2の繊維ウェブのみの絡合繊維シートを用いた立毛人工皮革の立毛面に対する裏面に塗布量35g/mで接着剤を塗布し、接着剤に熱可塑性エラストマーBのシートを重ねて接着させてそれらを一体化した。なお、第2の繊維ウェブと第1の繊維ウェブとの質量比は、第2の繊維ウェブ/第1の繊維ウェブ=2/1となるように調整した。
このようにして、立毛面に対する裏面に熱可塑性エラストマーBのシートを裏貼りした立毛人工皮革を製造し、評価した。結果を表2に示す。
表1を参照すれば、本発明に係る実施例1~11で得られた立毛人工皮革は何れも優れたストレッチ性と優れた外観とを兼ね備えていた。一方、表2を参照すれば、熱可塑性エラストマー繊維の割合が多い比較例1及び熱可塑性エラストマー繊維のみの比較例2においては、絡合処理中に積層ウェブの原反が破断する程度に機械的強度が不足していた。また、非弾性繊維のウェブのみを用いた比較例3の立毛人工皮革は実質的にストレッチ性を示さなかった。また、第2の繊維ウェブのみの絡合繊維シートを用いた立毛人工皮革の裏面に、熱可塑性エラストマー層として、非弾性繊維層を形成する非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されていない、単に熱可塑性エラストマーBのシートを貼り合わせただけの比較例4の立毛人工皮革も伸長率及び伸長回復率が極めて低く、優れたストレッチ性を示さなかった。
1 熱可塑性エラストマー層
2,3 非弾性繊維層
10,20 立毛人工皮革
N 繊維立毛面
P パンチ痕

Claims (10)

  1. 熱可塑性エラストマーを主体とする熱可塑性エラストマー層と、前記熱可塑性エラストマー層の片面又は両面に配された、0.5dtex未満の平均繊度を有する非弾性繊維の絡合体を主体とする非弾性繊維層と、の積層体であって、
    前記熱可塑性エラストマー層は、前記非弾性繊維層を形成する一部の前記非弾性繊維に厚さ方向に貫通されて一体化されており、
    前記厚さ方向の断面において、前記熱可塑性エラストマー層の厚さ割合が5~50%であることを特徴とする人工皮革基材。
  2. 前記熱可塑性エラストマー層は、前記熱可塑性エラストマーの繊維が部分融着してなる層である請求項1に記載の人工皮革基材。
  3. 前記熱可塑性エラストマー層は、膜状の前記熱可塑性エラストマーを含む請求項1に記載の人工皮革基材。
  4. 前記非弾性繊維は、平均繊維長100mm以下の短繊維である請求項1~3の何れか1項に記載の人工皮革基材。
  5. 内部に含浸付与された水系ポリウレタンをさらに含む請求項1~4の何れか1項に記載の人工皮革基材。
  6. 前記非弾性繊維は、ポリエステル系繊維である請求項1~5の何れか1項に記載の人工皮革基材。
  7. 前記非弾性繊維層は、前記熱可塑性エラストマー層の両面に配されている請求項1~6の何れか1項に記載の人工皮革基材。
  8. 請求項1~7の何れか1項に記載の人工皮革基材の前記非弾性繊維層の表面を立毛処理してなることを特徴とする立毛人工皮革。
  9. 熱可塑性エラストマー繊維を形成するための、第1の極細繊維発生型繊維から形成された第1の繊維ウェブを準備する工程と、
    非弾性繊維を形成するための、第2の極細繊維発生型繊維から形成された第2の繊維ウェブを準備する工程と、
    前記第1の繊維ウェブの片面又は両面に前記第2の繊維ウェブを積層して積層ウェブを形成する工程と、
    前記積層ウェブを三次元絡合処理することにより、前記第1の繊維ウェブに前記第2の極細繊維発生型繊維の一部を貫通させて前記第1の繊維ウェブと前記第2の繊維ウェブとを一体化させた絡合繊維シートを形成する工程と、
    前記絡合繊維シートを熱収縮させて熱収縮繊維シートを形成する工程と、
    前記熱収縮繊維シートを形成する、前記第1の極細繊維発生型繊維及び前記第2の極細繊維発生型繊維を、それぞれ極細繊維化処理することにより、前記熱可塑性エラストマー繊維と前記非弾性繊維との繊維絡合体を形成させる工程と、
    前記繊維絡合体を形成する前記熱可塑性エラストマー繊維を軟化または溶融させることにより、前記熱可塑性エラストマー繊維を部分融着させる、または、前記熱可塑性エラストマー繊維を溶融融着させた膜を形成させる工程とを、備えることを特徴とする人工皮革基材の製造方法。
  10. 前記熱収縮繊維シートまたは前記繊維絡合体に、ポリウレタン水系エマルジョンを含浸させた後、乾燥させることにより水系ポリウレタンを内部に含浸付与させる工程をさらに備える請求項9に記載の人工皮革基材の製造方法。
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