JP2001131877A - 人工皮革基体 - Google Patents

人工皮革基体

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JP2001131877A JP31208799A JP31208799A JP2001131877A JP 2001131877 A JP2001131877 A JP 2001131877A JP 31208799 A JP31208799 A JP 31208799A JP 31208799 A JP31208799 A JP 31208799A JP 2001131877 A JP2001131877 A JP 2001131877A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スポーツシューズ等の用途に耐えうる機械的物
性を持ち、軽量で柔軟なスエード調人工皮革の基体を提
供する。 【解決手段】0.1デシテックス以下の極細繊維からな
る集束体の集束体断面内に中空部を有し、該繊維集束体
が三次元絡合されている不織布と高分子弾性体からなる
人工皮革基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外観が極めて良好でか
つ機械的物性に優れ、軽量で柔軟なスエード調人工皮革
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人工皮革の各分野で、機械的諸物性に優
れ、軽量で柔軟な製品が求められている。従来から、海
成分が溶出可能な海島構造の多成分繊維、例えば海成分
がポリエチレンからなる海島構造の繊維を用いて不織布
とし、それを用いて人工皮革とすることは公知である。
かかる海島構造繊維は最終製品となるまでのいずれかの
工程で海成分を除去して繊維を極細化し極細繊維を得
る。このような製品は極細繊維特有の風合いと良好なス
エード外観を有し、市場での一定の評価を得ている。し
かし極細繊維化時の厚み減少による比重の上昇は避け難
く、軽量化性能を兼ね備えたものではなかった。また異
種の繊維を目的にあわせて混合し、絡合不織布とするこ
とは従来から行われている方法である。2種類以上のウ
ェッブ、シート類を積層して絡合させた交絡体およびこ
れらの交絡体に高分子弾性体溶液を含浸、凝固する方法
について特公昭48−11925号公報に記載されてい
る。これらは皮革ライクで機械的物性に優れているもの
もあるが、良好なスエード外観及び軽量化性能を兼ね備
えたものではなかった。また、衣料製品などに軽量、保
温性等の観点からポリエステル、ナイロンの中空繊維が
一般的に用いられている。合成皮革、人工皮革の分野に
おいては、特開昭47−28104号公報および特開昭
50−5502号公報に、中空繊維を用いた軽量で通気
性の良好な合成皮革の記載がある。また微小中空粒子を
混合して軽量化と保温性の向上をはかった合成皮革につ
いて特開平1−292188号公報に記載されている。
このように、繊維を含めた中空構造を持つ物質を合成皮
革、人工皮革に用いる技術は公知であるが、これらは軽
量化性能はもっが、スエードとしての外観が不十分なも
のであり、また軽量化性能と必要な機械的性能をもつも
のであっても近年強く要求される柔軟性および表面の外
観に関しては不十分であり、これらすべてを併せもつも
のではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】人工皮革の各分野では
一般的に0.5〜1.3mmの厚みの基体が用いられて
いる。この厚みの範囲のなかでより軽く、機械的物性に
優れた、柔軟な製品が求められており、特にスエード調
人工皮革において機械的物性に優れていることと、軽量
で柔軟なスエード感に優れていることとは裏腹の関係に
あり、これらすべてを満足する人工皮革基体は未だ開発
されていない。このように人工皮革の各分野では、高級
感の向上が求められ、その中でも、外観の高級感と軽量
性能はもっとも強く望まれているものである。その一方
で、用途に応じた機械的物性、とくにスポーツ用の人工
皮革では、靴底ゴム部と人工皮革製品との剥離強力、運
動時に必要な引裂強力は最も重視されている特性であっ
て、この機械的物性と製品としての軽くて、優れた外観
を併せもつことが極めて重要となる。
【0004】その課題解決の方策として、抽出等で極細
化可能な多成分繊維からなる、例えば海島構造繊維シー
トから抽出等で除去する成分の比率を増加させる方法が
考えられるが、製造工程でのテンションやプレス処理に
よって厚みが低下し、軽量化出来ず、機械的物性も不足
することとなる。また、人工皮革製品の繊維量自体を減
ずる方法では軽量化は出来るが、諸物性が不足する問題
点がある。また、中空繊維のステープルの嵩高さを利用
して人工皮革にこれらの中空繊維を用いて基体とする方
法は、確かには軽量化は達成出来るが、繊維中に中空を
形成させるため、必然的に繊維デシテックスが大きくな
り表面の平滑性に欠け、特にスエード用途としての外観
が確保出来ず、また風合いも柔軟ではない。本発明の目
的は、このような問題を解決し、外観が極めて良好でか
つ機械的物性に優れ、軽量で柔軟なスエード調人工皮革
基体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに本発明者らは鋭意研究を行い、その結果、0.1デ
シテックス以下の極細繊維集束体の集束体断面内に中空
部を有し、該繊維を三次元絡合されている不織布を用い
ることで、外観が極めて良好でかつ軽量で柔軟なスエー
ド調人工皮革にすることができることを見いだした。
すなわち本発明は、0.1デシテックス以下の極
細繊維からなる集束体の集束体断面内に中空部を有し、
該繊維集束体が三次元絡合されている不織布と高分子弾
性体からなる人工皮革基体であり、好ましくは、該極細
繊維集束体の断面形状が下記式で表わされる中空率が6
〜20%の範囲である上記の人工皮革基体である。 中空率(%)=(A/B)×100 A=極細繊維集束体の内周に囲まれた空間部の面積 B=極細繊維集束体の外周に囲まれた部分の面積 さらに本発明の人工皮革基体は、以下の(1)〜(3)
の工程を順次行うことにより製造することができる。 (1)下記工程(3)により、0.1デシテックス以下
の極細繊維からなる集束体の断面中に中空部が存在する
こととなる極細繊維発生型繊維から不織布を製造する工
程、(2)上記不織布に高分子弾性体溶液または分散液
を含浸し、高分子弾性体を凝固させる工程、(3)極細
繊維発生型繊維から極細繊維集束体を発生させる処理を
行った後に、その極細繊維集束体断面に中空部を発生さ
せる処理を行い、極細繊維集束体断面に中空部を有する
極細繊維集束体を発生させる工程、
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いる、繊度0.1デシ
テックス以下の極細繊維からなる集束体の断面部に中空
部を存在させることが可能となる極細繊維発生型繊維
は、相溶性を有していない3種以上の熱可塑性ポリマー
を複合紡糸することにより得られる。その代表的な繊維
の形態はいわゆる芯鞘型繊維と呼ばれるものである。繊
維の鞘部分は2成分からなる海島構造を有し、芯部分は
繊維断面の中心部分にあっても、中心部からずれていて
もよく、また芯部分の形状は、繊維断面内である程度の
面積を形成していれば不定形であっても、円、楕円、四
角、三角等の幾何学的形態を有するものでもよい。
【0007】また、鞘部分は、相溶性を有していない2
種以上の熱可塑性ポリマーからなり、これらポリマーが
海島構造を形成している。その島成分を構成するポリマ
ーとしては、溶融紡糸可能で、十分に強度等の繊維物性
を発揮するポリマーであって、紡糸条件下で海成分ポリ
マーより溶融粘度が大きく、かつ表面張力が大きいポリ
マーが好ましく、例えば6−ナイロン、66−ナイロン
等のポリアミド系ポリマー、およびこれを主体とする共
重合体、ポリエチレンテレフタート、ポリブチレンテレ
フタレート等のポリエステル系ポリマー、およびこれを
主体とする共重合体等が好適に用いられる。海成分ポリ
マーとしては、島成分ポリマーよりも溶融粘度が低く、
島成分との溶解性、分解性を異にし、海成分の溶解除去
又は分解除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解
性が大きく(島成分ポリマーは海成分ポリマーの除去時
に実質的に溶解又は分解除去されない)、島成分との相
溶性の小さい成分が好ましい。例えばポリエチレン、変
性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性
ポリエステルなどが好適に用いられる。
【0008】本発明における繊度0.1デシテックス以
下の極細繊維を発生させる鞘部分の海島繊維の好適な海
島体積比率は海/島=30/70〜70/30の範囲で
ある。海成分が30%未満では溶剤または分解剤など
で、溶解または分解除去する成分が少なすぎて柔軟効果
が十分発揮できず、海成分が70%を超える比率では、
溶解または分解除去後の島成分からなる繊維の絶対量が
少なくなり皮革様シートとしての充分な物性が確保でき
ず、また溶解または分解除去する成分が多いことは生産
性の観点からも不適切である。
【0009】本発明における鞘部分を形成する海島構造
の海成分を溶解除去した後の好適な島成分の平均繊維太
さは0.1デシテックス以下、好ましくは0.05デシ
テックス以下である。一般的に太デシテックスの繊維絡
合体からなる不織布は繊維が抜けやすい傾向にあり、本
発明においても島の繊維太さが0.1デシテックスを超
える場合には、海成分除去後の極細繊維のぬけ現象が顕
著になり、基体の柔軟性が損なわれゴワゴワとした触感
となり、また、スエード調としての表面の美観に欠けた
ものになる。本発明でいう極細繊維の太さ(繊度)は、
極細繊維集束体の繊維軸方向に直角な断面を顕微鏡によ
り写真にとり、極細繊維集束体のトータルデシテックス
を顕微鏡写真から求めた該集束体構成極細繊維の本数で
割ることにより求められる。
【0010】芯部分を形成するポリマーとしては、鞘部
分を形成する海島構造の海成分の溶解除去又は分解除去
に用いられる溶剤または分解剤と溶解性又は分解性を異
にし(海成分除去時には、芯成分ポリマーは実質的に溶
解又は分解されない)、なおかつ、鞘部分を形成する海
島構造の島成分とも溶解性又は分解性を異にする(芯成
分除去時には、島成分ポリマーは実質的に溶解又は分解
されない)ポリマーであって、たとえば、希アルカリで
溶出可能な、または水可溶性のポリエステル共重合体、
水溶性かつ熱可塑性の変性ポリビニルアルコールなどが
好適に用いられる。
【0011】本発明の極細繊維発生型繊維から極細繊維
集束体断面に中空部を有する極細繊維集束体を発生させ
る際に、鞘部分を形成する海島構造部分の海成分のみを
まず溶解または分解除去した後、芯成分を溶解または分
解除去する。例えば、不織布に高分子弾性体溶液または
分散液を含浸し、高分子弾性体を凝固させた海島構造繊
維シートから海成分を抽出等で除去する際、製造工程で
のテンションやプレス処理によって厚みが低下し、軽量
化が出来ない。すなわち、極細繊維発生型繊維の海成分
除去時に、海成分の除去による繊維の痩の発生と、不織
布に含浸された高分子弾性体が膨潤軟化した状態で、テ
ンションやプレス処理工程を通るため厚みが低下するた
めである。
【0012】本発明は、本発明の極細繊維発生型繊維か
らの鞘部分の海島構造繊維部の海成分を抽出等で除去し
極細繊維を発生させる際に、その溶剤、薬剤等の影響を
受けることなく芯成分部分が耐え、製造工程のテンショ
ンやプレスによる厚み低下を軽減、緩和する働きをする
点にある。その後、鞘部分を形成する海島構造の海成分
の溶解除去又は分解除去に用いられる溶剤または分解剤
と異にし、なおかつ鞘部分を形成する海島構造の島成分
を実質的に溶解又は分解させることがなく、芯成分を溶
解または分解させる溶剤または分解剤で処理することに
より芯成分を除去することにより、鞘部分の島成分を残
し、繊度0.1デシテックス以下の極細繊維集束体断面
部に中空部が存在する極細繊維集束体を発生させること
ができる。
【0013】この芯成分の除去工程は、鞘部分の海成分
の除去後、基体中に残存する使用溶剤、分解剤を除去す
る時の湯洗または、染色前の湯通し及び染色後の洗い工
程で除去できるのが好ましい。例えば、エチレン単位を
5〜10モル%含有し、重合度が200〜500、鹸化
度が90〜99モル%である水溶性かつ熱可塑性の変性
ポリビニルアルコールは、50〜80℃の熱水に容易に
溶解するので特に好ましい。
【0014】本発明に用いる繊度0.1デシテックス以
下の極細繊維集束体断面部に中空部を存在させる極細繊
維発生型繊維の芯鞘型繊維の断面における中空部分を発
生させる芯部の面積率は7〜30%の範囲が好ましい。
芯部の面積率が7%未満では軽量化の効果が不十分であ
り、30%を超える場合は芯部除去工程のテンション、
プレス処理工程によって繊維断面の中空部分の潰れが顕
著になり、基体の比重が上がり軽量な基体が得られにく
い。一般に芯部分の太さとしては、0.3〜1.3デシ
テックスの範囲が芯成分除去後の中空部を有する極細繊
維収束体の形状安定性の点で好ましい。また、中空率は
極細繊維を発生させる鞘部分の海島繊維の海島体積比
率、極細繊維の太さ、極細繊維を構成するポリマーによ
って、芯部の除去時の形態維持性が異なるので、適宜組
み合わせをするのが好ましい。一般的に鞘部分の島比率
が少なく、またデニールが細いと中空部分の潰れが顕著
になる傾向にある。
【0015】このように、実際の極細繊維集束体断面部
に発性する中空率は、芯鞘繊維の芯部の面積率とは異な
るが、一般に6〜20%なるように調節するのが好まし
い。極細繊維集束体断面部に発性する中空率が6%未満
では、軽量化の効果が不十分であり、20%を超える場
合は、基体の表面の毛羽感が粗くなり、スエードとしで
の外観および機械的物性が劣ったものとなる。
【0016】本発明の芯鞘型多成分繊維の延伸処理にお
いては,延伸時の繊維膠着防止の点で鞘部の海成分ポリ
マーの軟化点以下の温度にて延伸することが好ましく、
より好ましくは海成分ポリマーの軟化温度より5〜10
℃低い温度である。ついで、この海島型多成分繊維は、
捲縮、乾燥、カットなどの処理工程を経て繊度2〜10
デシテックスの繊維とする。
【0017】芯鞘型多成分繊維を、カードで開繊し、ウ
ェバーを通してランダムウェブまたはクロスラップウエ
ブを形成し、得られた繊維ウェブを所望の重さ、厚さに
積層する。次いで、ニードルパンチ、高速流体流処理な
どの公知の方法で絡合処理を行って不織布とする。製品
の一体感や表面の平滑性を向上させる目的で複数のカー
ド、ラッパーを用いて、不織布とすることはさしつかえ
ない。なお本発明において、不織布を構成する繊維の一
部として、前記芯鞘型多成分繊維以外の繊維を本発明の
目的を損なわない範囲内でブレンドすることもできる。
【0018】本発明におけるニードルパンチのフェルト
針は公知のものが用いられるが、ウェッブの厚さ方向へ
の縫いつけを行うには繊維切れの起きにくい1バーブ針
が好適に用いられる。不織布の表面の比重を上げるため
には3バーブ、6バーブ、9バーブ等の多バーブの針が
使用できる。目的によってこれらの針を組み合わせて良
い。
【0019】ニードルパンチ工程におけるパンチ数は使
用する針の形状や、ウェッブの厚みにより異なるが、2
00〜2500パンチ/cm2の範囲で設定される。一
般的に極細繊維発生型繊維のニードルパンチにおいて
は、ニードルパンチ条件が強すぎる場合には極細繊維発
生型繊維の切断や繊維割れがおこり、絡合が向上せず、
またニードルパンチ条件が弱すぎる場合には厚み方向に
並ぶ繊維数の不足をまねき絡合が向上しない。
【0020】ニードルパンチされた不織布は次に表面を
平滑化し、厚みを規制するため、厚さ方向にプレスする
のが好ましい。プレスの方法は、複数の加熱ロール間を
通す方法、予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法等
従来公知の方法が利用でき、繊維中の海成分すなわちポ
リエチレンなどの低溶融粘度成分の溶融・圧着により、
より不織布の平滑化を達成することが出来る。なおこの
工程の際に、テンションやプレス等による工程の形態変
化を抑制する目的でポリビニルアルコールやデンプン、
樹脂エマルジョン等の接着剤を添加することは差し支え
ない。
【0021】面を平滑化した不織布は次に高分子弾性体
溶液または分散液を含浸し、スポンジ状に凝固させる。
高分子弾性体としては従来から皮革様シートの製造に用
いられている樹脂が好適に用いられる。すなわち、ポリ
ウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸
系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、および
これらの共重合、これらの混合物が好適である。これら
の樹脂は水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液として前
記不織布に含浸した後、湿式凝固等を行うことによりス
ポンジ状に凝固する。なお本発明において、繊維の鞘部
分の海成分を除去するに先立って、高分子弾性体を含浸
凝固させるのが中空部を有する極細繊維収束体の形状安
定化の点で好ましい。
【0022】高分子弾性体溶液または分散液を含浸凝固
した繊維質基体に、次に、芯成分ポリマーと鞘部分の島
成分ポリマーと含浸した高分子弾性体の非溶剤であり、
鞘部分の海成分ポリマーの溶剤または分解剤である液に
より該海成分を溶解または分解除去することにより芯成
分繊維の周辺に0.1デシテックス以下の極細繊維を発
生させ、次に極細繊維および高分子弾性体の非溶剤であ
り、芯成分繊維の溶剤または分解剤である液により芯成
分ポリマーを溶解または分解除去することにより0.1
デシテックス以下の極細芯繊維の集束体断面内に中空部
を有する繊維束と高分子弾性体からなる人工皮革基体を
得る。
【0023】次に、スエード調人工皮革を得る方法とし
ては,この人工皮革基体を必要により厚さ方向に複数枚
にスライスしたのち、その表面の少なくとも一面を起毛
処理して極細繊維を主体とした繊維立毛面を形成させ
る。繊維立毛面を形成させる方法は、サンドペーパーな
どによるバフィングなどによる公知の方法を用いる。次
に染色したスエード調繊維質基体に対して、もみ、柔軟
化処理、ブラッシングなどの仕上げ処理を行うことによ
り、優美な外観であり、かつ毛羽脱落のないスエード調
人工皮革の製品が得られる。本発明により、密度が0.
3g/cm3以下、剥離強力が8kg/2.5cm以
上、厚み1mmあたりの引裂強力が6kg以上という機
械物性に優れかつ軽量なスエード調人工皮革が得られ
る。
【0024】人工皮革基体の厚みは用途に応じて任意に
選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは
0.3mm〜3mm、特に好ましくは0.7mm〜1.
8mmの範囲である。また極細繊維と高分子弾性体との
量比としては、重量比で35/65〜65/35が好ま
しい。この範囲を外れると繊維と弾性重合体とのバラン
スが悪くなり、製品としての充実感や柔軟性が得られな
くなる。
【0025】本発明における人工皮革基体の密度として
は0.3g/cm3以下が好ましい。各分野において重
い、軽いは使用する人の相対的、感覚的な要素である
が、一般的な人工皮革の密度は0.35〜0.5g/c
3であり、密度0.3g/cm3以下の基体というの
は、明らかに従来の人工皮革基体の感覚から軽く感じる
範囲であって、本発明によれば人工皮革基体の密度を確
実に0.3g/cm3以下にすることが出来る。
【0026】また,本発明の人工皮革基体は銀付調人工
皮革の分野にも好適に利用できる。すなわち,この人工
皮革基体の表面に皮革様フィルムの接着や樹脂エマルジ
ョン,樹脂溶液,溶融樹脂のコート,グラビア,エンボ
ス,これらの組合わせ等の仕上げを行うことにより柔軟
で充実感のある銀付調人工皮革が得られる。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施を具体的に実施例で説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り重
量に関するものである。以下の実施例および比較例にお
いて中空率、比重の測定、機械的物性、その他の評価は
以下の方法に従った。
【0028】[人工皮革基体の引裂強力測定方法]縦1
0cm×横4cmの試験片を切り取り、短辺の中央に辺
と直角に5cmの切れ目をいれ、各舌片をチャックに挟
み引張試験機で100mm/分の速度で引裂く。引裂最
大荷重を求め、あらかじめ求めた試験片の厚みで除し試
験片3個の平均値で表す。
【0029】[密度の測定]人工皮革基体の単位面積あ
たりの重量(g/cm2)を厚み(cm)で除した数字
を密度(g/cm3)とする。なお厚みは、JISL1
096に準じて測定される。
【0030】[芯鞘複合繊維の芯鞘比率]複合繊維の芯鞘
の面積比率は電子顕微鏡にて糸断面を500倍の拡大写
真を撮影し、平均繊維直径および芯部の平均直径から比
率を算出する。 [極細繊維収束体の断面内の中空率]極細繊維収束体の収
束体断面内の中空率は電子顕微鏡にて製品の断面を50
0倍の拡大写真を撮影し、下記式にて中空率を算出す
る。 中空率(%)=(A/B)×100 A=極細繊維集束体の内周に囲まれた空間部の面積 B=極細繊維集束体の外周に囲まれた部分の面積
【0031】実施例1 2基のエクストルーダ溶融系で溶融したポリマー流を芯
鞘型複合紡糸紡糸装置を用いて、芯成分がエチレン単位
を7モル%含有し、重合度が300、鹸化度が97モル
%である水溶性かつ熱可塑性の変性ポリビニルアルコー
ルを、また鞘部分は、島成分が6−ナイロンであって、
海成分が高流動性低密度ポリエチレン(海成分/島成分
比率=40/60)からなる海島型繊維からなる芯鞘型
複合繊維を紡糸した。芯鞘複合繊維の芯鞘成分の比率は
芯/鞘=25/75であった。得られた糸を延伸、クリ
ンプ、カットし、3.5デシテックス、カット長さ51
mmのステープル繊維を得た。このステープル繊維をカ
ードに通し、クロスラッパー方式によりウエッブとし、
積層した。次に針に1箇所のバーブのついたフェルト針
を用いて980P/cm2の針刺し密度でニードルパン
チして目付450g/m2の不織布を得た。この不織布
を加熱乾燥、プレスして表面を平滑にした後に13%の
ポリウレタンのDMF溶液を含浸し、DMF水溶液で凝
固し、水洗、乾燥後、熱トルエンで鞘部分の海成分であ
るポリエチレンを抽出除去し、6−ナイロンの極細繊維
が芯成分の変性ポリビニールアルコールを覆い包んだ状
態の繊維と含浸したポリウレタンからなる基体を得た。
その後得られた基体を80℃の温水で30分間ウインス
染色機で処理し中空部を有する6ナイロンの極細繊維収
束体とポリウレタンからなる厚み1.2mm、目付31
0g/m2の人工皮革用基体を得た。
【0032】この繊維質基体の極細繊維束の断面を電子
顕微鏡で観察すると、中空率が17%で、極細繊維の平
均繊度は0.007デシテックスであった。この基体の
一面をバフィングして厚さ1.0mmに厚み合わせを行な
った後、他の面をエメリーバフ機で処理して極細繊維立
毛面を形成し、さらにIrgalan Brown 2BLN(Chiba Geig
y)を用いて、4%owfの濃度で染色した。仕上げをし
て得られたスエード調人工皮革は、引き裂き強力9kg
/2.5cmあり、比重は0.26で非常に強く、外
観、風合い,タッチ感共に良好で毛羽脱落のほとんどな
い軽いものであった。
【0033】比較例1 実施例1の繊維を、実施例1の鞘成分のみからなる混合
紡糸繊維に置き換え、かつ芯成分を除去する工程を省く
以外は実施例1と同様の操作を行い、スエード調人工皮
革を得た。このスエード調人工皮革は外観、風合い、タ
ッチ感共に良好で毛羽脱落のほとんどないものであった
が、極細繊維束の断面を電子顕微鏡で観察すると、中空
部が存在せず、引裂強力9kg/2.5cmあるが、密
度は0.39g/cm3であり、軽量性に欠けるもので
あった。
【0034】比較例2 2基のエクストルーダ溶融系で溶融したポリマー流を芯
鞘型複合紡糸紡糸装置を用いて、芯成分が、高流動性低
密度ポリエチレン、また鞘部分は、島成分が6−ナイロ
ンであって、海成分が高流動性低密度ポリエチレン(海
成分/島成分比率=40/60)からなる海島型繊維か
らなる芯鞘型複合繊維を紡糸した。芯鞘複合繊維の芯鞘
成分の比率は実施例1と同様に芯/鞘=25/75とし
た。実施例1と同様の操作で不織布化後、加熱乾燥、プ
レスして表面を平滑にした後に13%のポリウレタンの
DMF溶液を含浸し、DMF水溶液で凝固し、水洗後、
熱トルエンで芯部分および鞘部分の海成分であるポリエ
チレンを抽出除去した。得られた基体の極細繊維束の断
面を電子顕微鏡で観察すると、極細繊維束中に中空部分
が存在せず、引き裂き強力は8kg/2.5cmであ
り、また密度が0.36g/cm3で軽量性に欠けるも
のであった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、スポーツシューズ等の
用途に耐えうる機械的物性を持ち、軽量で柔軟なスエー
ド調人工皮革基体が得られるものである。また本発明に
より得られた人工皮革基体の表面層に皮革様フィルムの
接着や樹脂エマルジョン、樹脂溶液、溶融樹脂のコー
ト、グラビア、エンボス、等を組み合わせて仕上げを行
い銀付調人工皮革に仕上げることが出来る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.1デシテックス以下の極細繊維からな
    る集束体の集束体断面内に中空部を有し、該繊維集束体
    が三次元絡合されている不織布と高分子弾性体からなる
    人工皮革基体。
  2. 【請求項2】該極細繊維集束体の断面形状が下記式で表
    わされる中空率が6〜20%の範囲である請求項1記載
    の人工皮革基体。 中空率(%)=(A/B)×100 A=極細繊維集束体の内周に囲まれた空間部の面積 B=極細繊維集束体の外周に囲まれた部分の面積
  3. 【請求項3】以下の(1)〜(3)の工程 (1)下記工程(3)により、0.1デシテックス以下
    の極細繊維からなる集束体の断面中に中空部が存在する
    こととなる極細繊維発生型繊維から不織布を製造する工
    程、(2)上記不織布に高分子弾性体溶液または分散液
    を含浸し、高分子弾性体を凝固させる工程、(3)極細
    繊維発生型繊維から極細繊維集束体を発生させる処理を
    行った後に、その極細繊維集束体断面に中空部を発生さ
    せる処理を行い、極細繊維集束体断面に中空部を有する
    極細繊維集束体を発生させる工程、を順次行うことを特
    徴とする人工皮革基体の製造方法。
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