JP2001214377A - 皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

皮革様シートおよびその製造方法

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JP2001214377A
JP2001214377A JP2000027088A JP2000027088A JP2001214377A JP 2001214377 A JP2001214377 A JP 2001214377A JP 2000027088 A JP2000027088 A JP 2000027088A JP 2000027088 A JP2000027088 A JP 2000027088A JP 2001214377 A JP2001214377 A JP 2001214377A
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nonwoven fabric
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shrinkage
sheet
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Michinori Fujisawa
道憲 藤澤
Takeshi Yamazaki
豪 山崎
Norio Makiyama
法生 牧山
Yoshihiro Tanba
善博 丹波
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸縮性不織布として均一な伸長弾性、極めて
柔軟で反発感が少なくかつ充実感のある風合いを有する
皮革様シートを提供する。 【解決手段】弾性ポリマーからなる海成分中に非弾性ポ
リマーからなる島成分が分散して存在する複合繊維Aと
非弾性ポリマーからなる極細繊維束Bが三次元絡合した
不織布を主体とする皮革様シートであり、複合繊維Aが
形成する三次元絡合構造に対して極細繊維束Bが形成す
る三次元絡合構造が緩んだ状態であることを特徴とする
皮革様シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伸縮性および天然皮革
に酷似した風合いを有する皮革様シートに関するもので
ある。更に詳しくは、本発明は繰り返し伸長変形を行っ
ても、実質的に構造変形を生じない、すなわち伸縮性及
び繊維絡合性に優れ、かつ反発感がなく柔軟で充実感の
ある風合いを有している皮革様シートおよびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、弾性繊維から伸縮性に優れた絡合
不織布を得る方法として、ポリウレタンをフラッシュ紡
糸して得た短繊維を堆積し、自己膠着などの方法で繊維
交点を接着する方法や、あるいは特開昭52−8177
号公報に記載のごとく、スパンボンド方式により得られ
たポリウレタンの長繊維不織布などが知られている。し
かしこれらポリウレタンの不織布では、繊維自身の弾性
が強くかつ柔軟すぎるため、ニードルパンチングや流体
噴射方式など従来公知の絡合では十分な繊維絡合体を形
成することは困難である。また伸縮性がありかつ強いも
のとして、例えば特開昭48−18579号公報には、
弾性繊維5〜80重量%を非弾性繊維に混綿して得た不
織布が提案されている。しかしながら、弾性繊維は非弾
性繊維とは比較にならないくらい剛性及び伸長弾性挙動
が異なるため、繊維を十分に混綿しカード機で良好なウ
エブを得ること、さらには良好な結合を得ることは極め
て困難である。
【0003】また特開昭52−85575号公報には、
非弾性ポリマーと弾性ポリマーからなる複合繊維を用い
て絡合不織布をつくりその後各成分ポリマーに剥離する
方法が記載されているが、この方法では弾性ポリマーと
非弾性ポリマーが同じ状態で拘束されているため、構造
的にも十分な伸縮性を有することができない。特公昭4
0−2792号公報には、弾性ポリマーと非弾性ポリマ
ーからなる混合紡糸繊維を混綿して不織布とし、得られ
た不織布を構成している該繊維中の弾性ポリマーを溶解
させた後、この非弾性ポリマーを不織布内で再凝固させ
る方法が提案されている。この方法では良好な絡合性を
有する不織布が得られるが、不織布の伸縮性は非弾性ポ
リマーからなる繊維に支配されるため、十分な伸縮性を
有するものはない。
【0004】また抽出可能な海成分を有する極細繊維発
生型の弾性繊維を用いた例として、特公平1−4174
2号公報では複合繊維から一成分を除去して得られる極
細弾性繊維と非弾性繊維とが混綿された伸縮性不織布が
提案されている。この不織布は絡合性に優れたものであ
るが、弾性繊維のみからなる極細繊維束は極細弾性繊維
間の接着を生じやすいため極細繊維としての効果が得ら
れにくく、製品比重の高い堅い風合いのものしか得ら
ず、さらに、弾性繊維のみからなる極細繊維は収縮力が
低いため非弾性繊維と混綿した不織布の状態で収縮させ
ることは実際には困難であり期待する伸縮性を得ること
はできない。また特開昭61−201086号公報に
は、非弾性ポリマーからなる極細繊維と弾性ポリマーか
らなる極細繊維とが同一海成分中に存在する複合海島繊
維の不織布から海成分を除去して弾性ポリマーからなる
極細繊維を一部溶解してバインダーとするシート状物に
ついて記載されているが、弾性ポリマーが非弾性ポリマ
ーからなる極細繊維束を集束接着して比重が高くなりす
ぎ、極細繊維の柔軟な風合いが得られず、しかも、弾性
ポリマーが極細繊維であるために応力が小さくなり目的
とする伸縮性の高いものとはならない。
【0005】特開平5−339863号公報には、弾性
ポリマーからなる極細繊維束と非弾性ポリマーからなる
極細繊維束がサイドバイサイド構造をなす複合海島繊維
の不織布から海成分を除去して弾性ポリマーからなる極
細繊維束を一部溶解してバインダーとするシートについ
て記載されているが、弾性ポリマーからなる極細繊維束
中において集束接着が生じて比重が高くなりすぎるた
め、極細繊維の柔軟な風合いが得られず、しかも、かつ
弾性ポリマーが極細繊維であるために応力が小さくなり
目的とする伸縮性の高いものとはならない。
【0006】さらに、特開平5−339864号公報に
は、弾性ポリマーと非弾性ポリマーからなる極細繊維束
がサイドバイサイド構造をなす複合海島繊維の不織布か
ら海成分を除去して弾性ポリマーからなる極細繊維を一
部溶解してバインダーとするシートについて記載されて
おり、また特開昭60−31121号公報には、弾性ポ
リマーからなる芯成分と非弾性ポリマーからなる極細繊
維成分が海成分中に存在する鞘成分とからなる複合芯鞘
繊維の不織布から海成分を除去して得られるシートにつ
いて記載されており、さらには特開昭63−31806
7号公報には、弾性ポリマーからなる極細繊維束または
微細空間を有する繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊
維束または微細空間を有する繊維とが混在する不織布を
弾性ポリマー成分のみ収縮させるシートについて記載さ
れているが、これらの方法では伸縮性を持つ弾性ポリマ
ーが非弾性ポリマーによって構造的に拘束されているた
め、十分な伸縮性を有することができないばかりでな
く、弾性ポリマーが高密度でシート中に存在するため比
重が高くなりすぎ柔軟な風合いが得られない。
【0007】弾性繊維、収縮性非弾性繊維および非収縮
性非弾性繊維を混在させた例として、特開昭61−15
7632号公報には、弾性ポリマーからなる繊維束と非
弾性ポリマーからなる収縮性繊維、非弾性ポリマーから
なる非収縮性繊維とが混在する不織布を収縮処理して得
られるシートについて記載されているが、収縮処理によ
って収縮力の強い収縮性非弾性繊維が不織布構造内で収
縮した後に、収縮力の弱い弾性繊維束が不織布構造内で
緩んだ状態で存在する為、伸長後の回復性が不十分であ
るばかりでなく、また各非弾性繊維が太いうえに、弾性
繊維束内での接着や膠着を抑制できないのでシートとし
て柔軟な風合いが得られない。以上のごとく、現状では
加工性および風合いが良好で、伸縮性を有する皮革様シ
ートは得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来知られている不織
布の製造方法では、いずれも絡合性及び伸縮性を兼備
し、かつ反発感がなく柔軟で充実感のある風合いを有し
ている皮革様シートは得られなかった。本発明の目的
は、伸縮性不織布として均一な伸長弾性、極めて柔軟で
反発感が少なくかつ充実感のある風合いを有する皮革様
シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、弾性ポリマー
からなる海成分中に非弾性ポリマーからなる島成分が分
散して存在する複合繊維Aと非弾性ポリマーからなる極
細繊維束Bが三次元絡合した不織布を主体とする皮革様
シートであり、複合繊維Aが形成する三次元絡合構造よ
りも極細繊維束Bが形成する三次元絡合構造が弛緩した
状態にあることを特徴とする皮革様シートである。また
本発明は、弾性ポリマーからなる海成分中に非弾性ポリ
マーからなる収縮能を有する島成分が分散して存在する
高収縮性の複合繊維Aと非弾性ポリマーからなる島成分
を有する低収縮の極細繊維発生型繊維bを用いて絡合不
織布を作製する工程、該絡合不織布を収縮処理する工
程、該極細繊維発生型繊維bを極細繊維束Bに変成する
工程および表面を皮革様に仕上げる工程からなることを
特徴とする該皮革様シートの製造方法である。
【0010】すなわち、本発明で用いる高収縮性の複合
繊維Aは、弾性ポリマーからなる海成分中に非弾性ポリ
マーからなる収縮能を有する島成分が分散した構造の繊
維である。このような繊維を製造する方法としては、多
芯芯鞘繊維の紡糸方法において、芯成分が均一に分布す
るように配置した紡糸ノズルを用いて鞘成分に弾性ポリ
マーを供給し、芯成分に非弾性ポリマーを供給して紡糸
する方法、非弾性樹脂のチップと弾性樹脂のチップを混
合溶融して供給して紡糸する方法などがある。ここで、
弾性繊維成分が複合繊維Aの長さ方向に連続構造を有す
ると、伸長後の回復力がより大きなものとなり好まし
い。複合繊維Aの断面形状は、円形断面のほか、楕円
形、繭型等の異型断面であってもよく、また、中空繊維
であってもよい。いずれにしても収縮能を有する非弾性
極細繊維成分が弾性極細繊維成分中に分散した断面形状
の繊維であればよい。
【0011】該複合繊維A中の非弾性極細繊維成分と弾
性極細繊維成分の重量比率は95/5〜5/95が好ま
しく、より好ましくは85/15〜30/70である。
非弾性繊維成分が95%を越えると得られるシートは柔
軟性に欠け、弾性繊維の膠着が少なく繊維が素抜けを起
こし易く、一方5%未満になると風合いは柔軟ではあっ
ても、得られるシートは強度が低くゴムライクなものと
なる。また、島成分を構成する非弾性繊維の単繊維繊度
は0.5デシテックス以下が好ましく、特に好ましくは
0.1デシテックス以下、0.001デシテックス以上
である。単繊維繊度が0.5デシテックスを越えると反
発感が大きく風合いの硬いものとなる。複合繊維Aの断
面中に存在する非弾性極細繊維の本数(島本数)として
は、繊維横断面の顕微鏡写真で数えて15〜200本の
範囲が好ましい。本発明において、複合繊維Aを構成す
る島成分ポリマーである非弾性ポリマーは、不織布とさ
れる時点において高い収縮能を有している必要があり、
好ましくは、極細繊維発生型繊維bを構成する非弾性ポ
リマーからなる島成分ポリマーの収縮率の2倍以上であ
ることが極細繊維束Bを弛緩させ伸縮範囲を大きくする
点で好ましい。
【0012】本発明における弾性ポリマーとは、該ポリ
マーを繊維に形成し、この繊維を室温にて50%伸長し
た場合の1分後の伸長弾性回復率が50%以上であるポ
リマーを意味し、また非弾性ポリマーとは、同様にして
測定した伸長弾性回復率が50%以下または室温に於て
限界伸長率が50%に達しないポリマーを意味してい
る。
【0013】複合繊維Aの島成分に用いる非弾性ポリマ
ーは、例えばポリエチレンテレフタレートまたはそれを
主体とする共重合体、ポリブチレンテレフタレートまた
はそれを主体とする共重合体、脂肪族ポリエステルまた
はその共重合体等の可紡性ポリエステル類、ナイロン6
10、ナイロン612で代表される共重合ナイロン類、
その他の可紡性ポリアミド類等の収縮性を発生しうるポ
リマーが挙げられる。複合繊維Aの島成分に収縮能を付
与する方法としては、上記したような収縮能を有するポ
リマーを用いて得られた原糸を40〜60℃の低温浴中
で延伸し、その後50℃以下の低温で乾燥することによ
り収縮能をもった繊維とする方法が代表例として挙げら
れる。
【0014】また、複合繊維Aの海成分に用いる弾性ポ
リマーは、例えばポリエステルジオール、ポリエーテル
ジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリラクト
ンジオール、ポリカーボネートジオール、などの平均分
子量500〜3500のポリマージオールから選ばれた
少なくとも一種と有機ジイソシアネートと活性水素原子
を2個有する鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウレ
タン類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共役ジ
エン重合体あるいは共役ジエン重合体ブロックを分子中
に有するポリマー類、その他紡糸可能な上記したゴム弾
性挙動を示すポリマー類が挙げられる。複合繊維Aの太
さとしては、3〜6デシテックスの範囲が伸張時の回復
力を大きくする点で好ましい。
【0015】また、本発明で用いる低収縮の極細繊維発
生型繊維bは、非弾性ポリマーからなる島成分を有する
構造の繊維である。このような繊維を製造する方法とし
ては、多芯芯鞘繊維の紡糸ノズルを用いて紡糸する方
法、非弾性ポリマーと海成分ポリマーをチップで混合溶
融して紡糸する方法などがある。極細繊維発生型繊維b
の断面形状は、円形断面のほか、楕円形、繭型等の異型
断面であってもよく、また、中空繊維であってもよい。
いずれにしても海成分中に非弾性極細繊維成分が均一に
分散した断面形状であればよい。
【0016】極細繊維束Bを構成する極細繊維の単繊維
繊度は、0.5デシテックス以下が好ましく、特に好ま
しくは0.1デシテックス以下である。単繊維繊度が
0.5デシテックスを越えると反発感が大きく風合いの
硬いものとなる。
【0017】低収縮の極細繊維発生型繊維bの島成分に
用いる非弾性ポリマーとしては、たとえばポリエチレン
テレフタレートまたはそれを主体とする共重合体、ポリ
ブチレンテレフタレートまたはそれを主体とする共重合
体、脂肪族ポリエステルまたはその共重合体等の可紡性
ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン612、ナイロン12で代表されるナ
イロン類、その他の可紡性ポリアミド類、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフイ
ン類、アクリル系共重合体、ポリビニルアルコール等が
挙げられる。このようなポリマーを用いて得られた原糸
を80〜95℃の高温浴中で延伸し、その後100〜1
30℃で定長セット後、80〜100℃の乾燥をするこ
とにより低収縮能の繊維を得ることができる。
【0018】また、極細繊維発生型繊維bの海成分を構
成するポリマーは、島成分の非弾性ポリマーとは特定の
溶剤や分解剤に対する溶解性あるいは分解性を異にする
ポリマーであり、かつ熱成形温度範囲が重なっているも
ので、溶融状態において紡糸に要する時間内ではこれら
のポリマー間で紡糸に支障を生ずる反応や相互作用を及
ぼさないもの等が用いられる。例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン
酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレンアクリル
共重合体、スチレンエチレン共重合体、などのポリマー
から選ばれた少なくとも一種類のポリマーであり、海成
分ポリマーは、紡糸性、不織布製造工程における繊維の
割れ防止、極細化処理に用いる溶剤あるいは分解剤の選
択の容易さ等を考慮して適宜選定する。極細繊維発生型
繊維bの繊維横断面に存在する島成分の本数としては、
15〜1000本が好ましい。また海成分と島成分の重
量比としては30/70〜70/30の範囲が好まし
く、極細繊維発生型繊維bの島成分の太さとしては0.
1〜0.001デシテックスが好ましい。
【0019】得られた複合繊維A,極細繊維発生型繊維
bは従来公知の方法にて、延伸、熱固定、捲縮、カッ
ト、開繊などの処理工程を行って、原綿を作製する。か
かる原綿は混綿後にカードで解繊されウエーバでランダ
ムウェッブまたはクロスラップウェッブに形成される。
ウェッブは必要に応じて積層し、所望の重さにする。ウ
ェッブの重さは指向する用途により異なるが、一般的に
100〜3000g/m2の範囲が好ましい。この場合の
複合繊維Aと極細繊維発生型繊維bの混合比は、極細繊
維発生型繊維bから海成分を除去したときの繊維成分全
体における非弾性極細繊維成分と弾性繊維成分の比率で
95/5〜5/95、好ましくは85/15〜30/7
0の範囲であり、全体の非弾性極細繊維成分中における
複合繊維A中の非弾性極細繊維成分の比率は90/10
〜10/90、好ましくは80/20〜20/80の範
囲である。
【0020】極細繊維発生型繊維bから海成分を除去し
たときの全体における非弾性極細繊維成分の比率が95
%を越えると、得られるシートは柔軟性に欠け、弾性繊
維の膠着が少なく繊維が素抜けを起こし易くなり、一方
5%未満になると風合いは柔軟ではあっても、得られる
シートの強度が低くゴムライクなものとなる。さらに複
合繊維A中の非弾性繊維成分の比率が全非弾性繊維の9
0%を越える場合は得られたシートの比重が上昇し柔軟
性に欠けるものとなり目的とする伸縮性を得ることがで
きなくなり、一方10%未満の場合は得られたシートの
風合いは柔軟になるが複合繊維Aの収縮力が弱くなるた
め目的とする伸縮性が得られなくなる。なお不織布を製
造する際に、本発明の目的を損なわない範囲内で上記複
合繊維Aおよび極細繊維発生型繊維b以外の繊維を混合
してもよい。
【0021】ついで公知の手段にて繊維絡合処理を施し
て繊維絡合不織布を形成する。好ましい絡合処理はニー
ドルパンチング法または高圧水流噴射法である。ニード
ルパンチ条件は使用針の形状やウエッブの厚みで異なる
が、一般的に200〜2500パンチ/cm2の範囲で設
定される。ニードルパンチ条件が強すぎる場合には繊維
の絡合効果よりもむしろ繊維の切断が増加することにな
り、構造破壊を生じウェッブ面積の拡大を招き、得られ
たシートの引き裂き強力等の物性低下を招くことにな
る。また絡合が不十分な場合には得られたシートの剥離
強力等の物性低下とともに屈曲した際の折れシボの悪化
や充実感不足の原因となる。なお不織布を作成する際
に、本発明の目的を損なわないようなウェッブを上記ウ
ェッブ重ねたり、また得られる不織布に本発明の目的を
損なわない不織布や織編物を重ね合わせ一体化してもよ
い。
【0022】発明で得られる皮革様シートに十分な伸縮
挙動を付与し柔軟性を得るためには、繊維絡合不織布を
収縮させる必要がある。収縮の程度は、収縮処理前の不
織布の面積に対する収縮後の面積収縮率が10〜50%
程度である。この収縮処理では、高収縮の複合繊維Aの
島成分である非弾性繊維成分より海成分である弾性繊維
成分のほうがより大きく収縮する方が好ましいが、弾性
繊維成分が有する収縮力は収縮能を有する非弾性繊維成
分の収縮力より弱く、工程中でかかる張力に抗して充分
な収縮を得ることは実際には困難である。本発明におい
ては、複合繊維Aと極細繊維発生型繊維bを混綿して繊
維絡合不織布とした後で、不織布に収縮処理を施す。収
縮処理時において、複合繊維Aは島成分である非弾性繊
維成分の収縮により高収縮し、同時に海成分の弾性ポリ
マーと島成分の非弾性ポリマーの界面で部分的な剥離が
発生することで、非弾性繊維成分の伸度は収縮率に応じ
て上昇する。この収縮処理により、収縮率の低い極細繊
維発生型繊維bは繊維絡合不織布構造中で緩んだ状態と
なる。この収縮処理の後、極細繊維発生型繊維bの海成
分を除去して極細繊維束Bを発現させてシートとする。
【0023】シートを伸長させたときの構造変化は、複
合繊維A中の非弾性繊維成分および弾性繊維成分が有す
る高伸度と、繊維自身は低伸度の非弾性極細繊維束Bの
不織布構造中での弛緩により実現するとともに、伸長限
界での形態安定性を低伸度の極細繊維束Bにて実現し、
伸長させた不織布構造の回復は複合繊維A中の弾性繊維
成分の回復力により実現する。複合繊維A中の非弾性繊
維成分の収縮率が低い場合は、弾性繊維成分のみが収縮
する条件下で収縮処理をおこなっても非弾性繊維成分が
突っ張り状態になり、複合繊維Aは単繊維として高収縮
を起こさないが、本発明においては該複合繊維A中の非
弾性繊維成分が高収縮能を有するために、弾性繊維成分
を伴って安定した収縮性を得ることができる。
【0024】このように本発明においては、複合繊維A
が極細繊維発生型繊維bに比べて大きく収縮するため、
収縮処理後に極細繊維発生型繊維bの海成分を除去した
ときの極細繊維束Bは絡合不織布構造中で弛緩した状態
になり、目的とするシートの伸縮性と伸長限界での形態
安定性および柔軟性が得られる。したがって、繊維絡合
不織布の面積収縮率が10%未満の場合には目的とする
伸縮性が得られないし、50%を越える場合には、繊維
絡合不織布の見掛け比重が高くなりすぎるため柔軟な風
合いのシートが得られなくなる。
【0025】また、上記を満足する複合繊維Aの収縮率
は、後述する測定方法により測定される収縮率で10%
以上であり、好ましくは20%以上である。複合繊維A
の収縮率が10%未満の場合は、風合いはソフトである
が充実感の少ないものになるとともに、収縮処理後の繊
維絡合不織布構造中において極細繊維発生型繊維bが緊
張状態で存在することとなり所望の伸縮性を得ることが
困難となる。極細繊維発生型繊維bの収縮率は、複合繊
維Aの収縮率の50%以下であり、好ましくは30%以
下である。極細繊維発生型繊維bの収縮率が複合繊維A
の収縮率の50%を越える場合は、収縮処理後の繊維絡
合不織布構造中において極細繊維発生型繊維bが緊張状
態で存在することとなり、得られるシートの風合いが堅
くなるとともに所望の伸縮性を得ることが困難となる。
【0026】さらに、極細繊維発生型繊維bと混綿した
繊維絡合不織布の状態で複合繊維Aを収縮させること
は、単に繊維絡合不織布構造中での極細繊維発生型繊維
bの弛緩を生じさせるだけでなく、複合繊維Aは収縮前
の状態と比較して収縮量に応じて伸度が高くなるため、
得られるシートの伸度を高くする効果を有している。収
縮処理後の複合繊維Aの伸度は60%以上が好ましく、
特に好ましくは80%以上である。収縮処理後の複合繊
維Aの伸度が60%未満の場合には、シートとして所望
の伸縮性を得ることが出来ない。また極細繊維発生型繊
維bは収縮処理後の繊維絡合不織布構造中では弛緩状態
で存在しているため、収縮処理後の極細繊維発生型繊維
bの伸度がシートの伸縮性に及ぼす影響は極めて少ない
が、収縮処理後の極細繊維発生型繊維bの伸度が低すぎ
ると、得られたシートの風合いに悪影響を及ぼすため3
0%以上が好ましい。
【0027】次に、収縮処理後の繊維絡合不織布を、複
合繊維Aと極細繊維発生型繊維b中の極細繊維成分を溶
解または著しく膨潤させない溶剤または分解剤によって
処理することで極細繊維発生型繊維Bの海成分を除去し
て極細繊維束を発生させる。これにより天然皮革調の風
合いと柔軟性、表面外観、手触り性が達成されることと
なる。
【0028】最終の皮革様シートの態様の一つとして、
繊維絡合不織布にバインダー樹脂を含有させることも可
能である。バインダー樹脂を含有させることにより皮革
様シートの性質をかえることができる。従って付与され
るバインダー樹脂は弾性ポリマーでも非弾性ポリマーで
も、さらにこの両者の中間領域を占めるポリマーであっ
てもよい。しかし柔軟性と弾性が大きい人工皮革を希望
する場合は弾性ポリマーを用いるのが好ましい。バイン
ダー樹脂の含有量は、樹脂の弾性特性や目的とする最終
製品の風合いなどによって適宜増減するが、極細繊維成
分に対して5%以下が好ましい。バインダー樹脂の量が
多すぎると得られたシートの見掛け比重が高くなり、ペ
ーパーライクや堅い風合いとなったり、ゴム様の反発感
が強くなり伸縮性に劣るものとなる。
【0029】バインダー樹脂として用いられる弾性ポリ
マーの具体例としては、ポリエステル系ポリウレタン、
ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステルエーテル系
ポリウレタン、ポリラクトン系ポリウレタン、ポリカー
ボネート系ポリウレタン等のポリウレタン類、アクリル
酸またはアクリル酸エステルの重合体または共重合体
類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共役ジエン
重合体あるいは共役ジエン重合体ブロックを分子中に有
するポリマー類、スチレン−ブタジエン共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、酢酸ビニル重合体
またはその共重合体等のポリマーが挙げられる。弾性挙
動の小さい樹脂をバインダー樹脂として用いたい場合に
は、塩化ビニル重合体または共重合体の可塑化ポリマ
ー、ポリアミド類または変性ポリアミド類、エチレン−
酢酸ビニル共重合体等のポリマーが挙げられる。
【0030】これらのポリマーの内から1種または2種
以上を選び、不織布構成繊維を溶解または著しく膨潤さ
せない溶剤または分散剤に溶解あるいは分散させて、こ
の溶液を不織布に含浸させる。バインダー樹脂の溶液ま
たは分散液を不織布に含浸する順序は、(1)収縮処理
前の繊維絡合不織布に含浸する、(2)収縮処理後の繊
維絡合不織布に含浸する、(3)繊維絡合不織布を構成
する極細繊維発生型繊維bの海成分を除去した後に含浸
する、のいずれの順序で行ってもよいが、伸縮性と柔軟
性の腰のある風合いを得たい場合には、上記(2)の順
序によりバインダー樹脂を付与するのが好ましい。また
(3)の順序で行う場合には、極細繊維束Bをバインダ
ー樹脂により固定化しないため、バインダー樹脂含浸に
先立って水溶性樹脂などの仮固定樹脂を含浸しておくこ
とが好ましい。
【0031】繊維絡合不織布に含浸したバインダー樹脂
溶液または分散液からバインダー樹脂を凝固させる方法
としては、熱処理で凝固させる方法、熱水処理で凝固さ
せる方法、塩水溶液中で処理して凝固させる方法、非溶
剤または溶剤−非溶剤混合液中で処理して凝固させる方
法などがあるが、バインダー樹脂の特性に応じて適当な
凝固条件を採用すればよい。
【0032】バインダー樹脂を付与したあるいは付与し
ない繊維絡合不織布は、極細繊維発生型繊維bの海成分
の溶剤あるいは分解剤で処理することにより該海成分を
除去し極細繊維束Bに変成し繊維質基体とする。海成分
除去のための溶剤処理を行うと、多くの場合弾性ポリマ
ーは溶剤により膨潤され、溶剤の乾燥時に複合繊維Aと
複合繊維Aの繊維交絡部および複合繊維Aと極細繊維束
Bの繊維交絡部において部分的な膠着を生ずる。このよ
うな膠着を生じない場合には、他の適当な溶剤や膨潤剤
で処理してあるいは熱処理して弾性繊維成分を複合繊維
Aと複合繊維Aおよび複合繊維Aと極細繊維束Bの繊維
交絡部において部分的に膠着させるのが好ましい。この
膠着処理を行う際は、弾性繊維成分が溶解し非弾性極細
繊維束B内部に浸透し再凝固することにより非弾性極細
繊維束Bを結束一体化してしまうことは避けなければな
らない。弾性繊維成分により非弾性極細繊維束Bが結束
一体化されると繊維束が堅くなりシートの風合いが堅く
なると共に期待する伸縮性を得ることが困難となる。こ
のような弾性繊維成分間の部分的膠着または非弾性極細
繊維と弾性繊維成分間の部分的膠着により、シートの形
態安定性が向上して安定した伸縮性を得ることができ
る。
【0033】次に、本発明で得たシートの表面に銀面を
形成して銀面付きの皮革様シートとする場合には、前記
したようなバインダー樹脂などから選ばれるポリマーを
シート表面に塗布して造面・着色処理やエンボシング処
理が施される。またシートを熱板や熱ロールに圧着して
表面を溶融させて、銀面を形成することも可能である。
シートには必要に応じて柔軟剤処理、揉み処理、染色処
理、難燃化処理、撥水・防水処理、耐候・光安定化処理
が付与される。
【0034】
【実施例】次に本発明の実施を具体的に実施例で説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例中の部及び%は断わりのない限り重量に
関するものである。
【0035】また、延伸糸の収縮率、不織布の面積収縮
率、繊維の伸度、シートの見掛け密度、シートの引張強
度および引張伸度は、以下の方法にて測定を行った。 [延伸糸の収縮率の測定方法]延伸糸に1デシテックス
あたり0.0025gの荷重をかけた状態で、長さ方向
に10cm間隔の印を付ける。目的とする温度の温水中
に1デシテックスあたり0.005gの荷重をかけた状
態で20秒放置する。収縮後の印の間隔C(cm)は1
デシテックスあたり0.0025gの荷重をかけて測定
する。 延伸糸収縮率(%)=(10−C)/10×100
【0036】[不織布の面積収縮率の測定方法]収縮前
の不織布の縦・横の長さと、目的とする温水中に1分間
放置後の不織布の縦・横の長さを測定する。 不織布の面積収縮率(%)=(収縮前縦×収縮前横−収
縮後縦×収縮後横)/(収縮前縦×収縮前横)×100 [繊維の伸度]サンプルを90cmにカットし引張試験
機のチャック間を10cmにセットして挟み引張速度1
00mm/min、チャート速度100mm/nimの
速度での破断伸度を測定した。
【0037】[シートの見掛け密度]人工皮革体の単位
面積あたりの重量(g/cm2)を厚み(cm)で除し
た数字を見掛け密度とする。なお厚みは、JISL10
96に準じて測定する。 [シートの引張強度・引張伸度]縦16cm×横2.5
cmの試験片を引張試験機のチャック間を5cmにセッ
トして挟み引張速度25mm/min、チャート速度5
0mm/nimの速度での破断強力・伸度を測定した。
【0038】実施例1 多芯芯鞘37島型紡糸設備を用いて、鞘成分側押出機
(1)にポリエステル系ポリウレタンのチップを、芯成
分側押出機(2)に6,12−共重合ナイロンのチップ
を、吐出量比率を押出機(1):押出機(2)=60:
40にて溶融紡糸を行い10デシテックスの原糸を得
た。次にこの複合繊維を60℃の温浴中で2.5倍に延
伸し、捲縮を行い繊維長35mmに切断して繊度4デシテ
ックスの複合繊維Aのステープルを得た。ステープル作
成時に延伸後で採取した延伸糸の95℃の熱水中での収
縮率は30%であり、収縮後の伸度は96%であった。
またこの延伸糸の海成分であるポリウレタンを20℃の
ジメチルホルムアミド溶液で溶解除去後水洗風乾した
6,12ナイロン極細繊維の95℃の熱水中での収縮率
は30%と高収縮率であった。
【0039】また、6ナイロンのチップとポリエチレン
のチップを1:1の比率で混合したものを用いて溶融紡
糸を行い10デシテックスの原糸を得た。この原糸の断
面を観察すると、ポリエチレン海成分中に島成分6ナイ
ロンが約600島に分散している状態であった。次にこ
の複合繊維を95℃の温浴中で2.5倍に延伸し、捲縮
を行い繊維長51mmに切断して繊度4デシテックスの極
細繊維発生型繊維bのステープルを得た。ステープル作
成時に延伸後で採取した延伸糸の95℃の熱水中での収
縮率は1%であり、収縮後の伸度は67%であった。
【0040】ついで複合繊維Aと極細繊維発生型繊維b
のステープルを1:1で混綿し、クロスラップウェーバ
ーでウェッブを作製しウェッブの両面から交互に合計2
000パンチ/cm2のニードルパンチングを行い、目付
け約780g/m2の繊維絡合不織布をつくった。この繊
維絡合不織布を95℃の熱水にて面積で25%収縮させ
た。収縮処理した繊維絡合不織布を乾燥し、85℃の熱
トルエンにて繊維絡合不織布中のポリエチレンを除去し
た。このポリエチレン除去処理により複合繊維Aと複合
繊維Aの間でポリエステル系ポリウレタンの膠着、およ
び複合繊維Aのポリエステル系ポリウレタンと極細繊維
束Bの6,12ナイロン極細繊維間の膠着による接着点
を形成し、厚さ2.0mm、重さ780g/m2、見掛け比
重0.39g/cm3の繊維質基体を得た。この繊維質基
体を顕微鏡で観測したところ、複合繊維Aは緊張状態に
あるのに対して極細繊維束Bは弛緩状態にあることが認
められた。
【0041】該繊維質基体の厚みを二分割にスライス
し、スライス面をサンドペーパーにてバフィングして厚
さ0.8mmに厚みあわせを行い、他の面を120℃のフ
ラットロール面に接触させて平滑化処理した後、ポリウ
レタン20%水分散液をグラビアロールで塗布し、更に
ポリウレタン10%溶液をグラビアロールで塗布した。
そして、ポリウレタン塗布面を加熱エンボスロールでエ
ンボシングして銀付調皮革様シートとした。この皮革様
シートは表1に示す通りソフト性と充実感を合わせた風
合いを有し、伸縮性に優れ、靴甲皮用素材に適してい
た。表中、風合いの◎は超柔らかく感じたものを、○は
柔らかく感じたものを、×は硬く感じたものを表す。ま
た充実感の○はボキ折れ感のないものを、×はペーパー
ライク感を表す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例2 多芯芯鞘37島型紡糸設備を用いて、鞘成分側押出機
(1)にポリエステル系ポリウレタンのチップを、芯成
分側押出機(2)にポリエチレンテレフタレートのチッ
プを、吐出量比率を押出機(1):押出機(2)=6
0:40にて溶融紡糸を行い10デシテックスの原糸を
得た。次にこの複合繊維を60℃で2.5倍に延伸し、
捲縮を行い繊維長35mmに切断して繊度4デシテックス
の複合繊維Aのステープルを得た。ステープル作成時に
延伸後で採取した延伸糸の95℃の熱水中での収縮率は
50%であり、収縮後の伸度は102%であった。また
この延伸糸の海成分であるポリウレタンを20℃のジメ
チルホルムアミド溶液で溶解除去後水洗風乾したポリエ
チレンテレフタレート極細繊維の95℃の熱水中での収
縮率は50%と高収縮率であった。
【0044】また、ポリエチレンテレフタレートのチッ
プとポリエチレンのチップを1:1に混合したものを用
いて溶融紡糸を行い10デシテックスの原糸を得た。こ
の原糸の断面を観察すると、ポリエチレン海成分中に島
成分ポリエチレンテレフタレートが約800島に分散し
ている状態であった。次にこの複合繊維を95℃で2.
5倍に延伸し、捲縮を行い繊維長51mmに切断して繊度
4デシテックスの極細繊維発生型繊維bのステープルを
得た。ステープル作成時に延伸後で採取した延伸糸の9
5℃の熱水中での収縮率は5%であり、収縮後の伸度は
55%であった。
【0045】ついで複合繊維Aと極細繊維発生型繊維b
のステープルを1:1で混綿し、クロスラップウェーバ
ーでウェッブを作製しウェッブの両面から交互に合計2
000パンチ/cm2のニードルパンチングを行い、目付
け約570g/m2の繊維絡合不織布をつくった。この繊
維絡合不織布を95℃の熱水にて面積で45%収縮させ
た。
【0046】収縮処理した繊維絡合不織布を乾燥し、熱
トルエンにて繊維絡合不織布中のポリエチレンを除去し
た。このポリエチレン除去処理により複合繊維Aと複合
繊維Aの間でポリエステル系ポリウレタンの膠着、およ
び複合繊維Aのポリエステル系ポリウレタンと極細繊維
束Bのポリエチレンテレフタレート極細繊維間の膠着に
よる接着点を形成し、厚さ2.0mm、重さ780g/
m2、見掛け密度0.39g/cm3の繊維質基体を得た。
この繊維質基体を顕微鏡で観測したところ、複合繊維A
は緊張状態にあるのに対して極細繊維束Bは弛緩状態に
あることが認められた。
【0047】該繊維質基体の厚みを二分割にスライス
し、スライス面をサンドペーパーにてバフィングして厚
さ0.8mmに厚みあわせを行い、他の面を120℃のフ
ラットロール面に接触させて平滑化処理した後、ポリウ
レタン20%水分散液をグラビアロールで塗布し、更に
ポリウレタン10%溶液をグラビアロールで塗布した。
そして、ポリウレタン塗布面を加熱エンボスロールでエ
ンボシングして銀付調皮革様シートとした。この皮革様
シートは表1に示す通りソフト性と充実感を合わせた風
合いを有し、伸縮性に優れ、靴甲皮用素材に適してい
た。
【0048】比較例1 多芯芯鞘37島型紡糸設備を用いて、鞘成分側押出機
(a)にポリエステル系ポリウレタンのチップを、芯成
分側押出機(b)に6−ナイロンのチップを、吐出量比
率を押出機(a):押出機(b)=60:40にて溶融
紡糸を行い10デシテックスの原糸を得た。次にこの複
合繊維を95℃の温浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を行
い繊維長35mmに切断して繊度4デシテックスの複合繊
維Aのステープルを得た。ステープル作成時に延伸後で
採取した延伸糸の95℃の熱水中での収縮率は2%であ
り、収縮後の伸度は70%であった。
【0049】また、6−ナイロンのチップとポリエチレ
ンのチップを1:1に混合したものを用いて溶融紡糸を
行い10デシテックスの原糸を得た。この原糸の断面を
観察すると、ポリエチレン海成分中に島成分6−ナイロ
ンが約600島に分散している状態であった。次にこの
複合繊維を95℃の温浴中で2.5倍に延伸し、捲縮を
行い繊維長51mmに切断して繊度4デシテックスの極細
繊維発生型繊維bのステープルを得た。ステープル作成
時に延伸後で採取した延伸糸の95℃の熱水中での収縮
率は2%であり、収縮後の伸度は62%であった。
【0050】ついで複合繊維Aと極細繊維発生型繊維b
のステープルを1:1で混綿し、クロスラップウエーバ
ーでウエーブを作製しウエーブの両面から交互に合計2
000パンチ/cm2のニードルパンチングを行い、目付
け約1000g/m2の繊維絡合不織布をつくった。この
繊維絡合不織布を95℃の熱水にて面積で4%収縮させ
た。
【0051】収縮処理した繊維絡合不織布を乾燥し、熱
トルエンにて繊維絡合不織布中のポリエチレンを除去し
た。このポリエチレン除去処理により複合繊維Aと複合
繊維Aの間でポリエステル系ポリウレタンの膠着、およ
び複合繊維Aのポリエステル系ポリウレタンと極細繊維
束Bの6−ナイロン極細繊維間の膠着による接着点を形
成し、厚さ2.2mm、重さ780g/m2、見掛け比重
0.35g/cm3の繊維質基体を得た。この繊維質基体
を顕微鏡で観測したところ、複合繊維Aと極細繊維束B
の間で弛緩状態に差が見られなかった。
【0052】該繊維質基体の厚みを二分割にスライス
し、スライス面をサンドペーパーにてバフィングして厚
さ0.8mmに厚み合わせを行い、他の面を120℃のフ
ラットロール面に接触させて平滑化処理した後、ポリウ
レタン20%水分散液をグラビアロールで塗布し、更に
ポリウレタン10%溶液をグラビアロールで塗布した。
そして、ポリウレタン塗布面を加熱エンボスロールでエ
ンボシングして銀付調皮革様シートとした。この皮革様
シートは、表1に示す通り風合いはソフトであるが、充
実感と伸縮性に乏しく、折り曲げた際の挫屈の大きいも
のであった。
【0053】比較例2 多芯芯鞘37島型紡糸設備を用いて、鞘成分側押出機
(1)にポリエステル系ポリウレタンのチップを、芯成
分側押出機(2)に6,12−ナイロンのチップを、吐
出量比率を押出機(1):押出機(2)=40:60に
て溶融紡糸を行い10デシテックスの原糸を得た。次に
この複合繊維を70℃の温浴中で2.5倍に延伸し、捲
縮を行い繊維長35mmに切断して繊度4デシテックスの
複合繊維Aのステープルを得た。ステープル作成時に延
伸後で採取した延伸糸の95℃の熱水中での収縮率は2
0%であり、収縮後の伸度は90%であった。
【0054】ついで複合繊維Aのステープルを用いて、
クロスラップウェーバーでウェッブを作製しウエーブの
両面から交互に合計2000パンチ/cm2のニードルパ
ンチングを行い、目付け約510g/m2の繊維絡合不織
布をつくった。この繊維絡合不織布を95℃の熱水にて
面積で35%収縮させた。収縮処理した繊維絡合不織布
を乾燥し、熱トルエン中にて複合繊維Aと複合繊維Aの
間でポリエステル系ポリウレタンの膠着による接着点を
形成し、厚さ1.3mm、重さ780g/m2、見掛け密度
0.60g/cm3の繊維質基体を得た。
【0055】該繊維質基体の片面をサンドペーパーにて
バフィングして厚さ0.8mmに厚みあわせを行い、他の
面を120℃のフラットロール面に接触させて平滑化処
理した後、ポリウレタン20%水分散液をグラビアロー
ルで塗布し、更にポリウレタン10%溶液をグラビアロ
ールで塗布した。そして、ポリウレタン塗布面を加熱エ
ンボスロールでエンボシングして銀付調皮革様シートと
した。この皮革様シートは,表1に示す通り見掛け比重
が高いため、風合いがペーパライクで伸縮性が低いもの
となった。
【0056】
【発明の効果】本発明の皮革様シートは,構造上の伸長
変化が実質的に生じない伸長範囲で伸長応力が低く、伸
縮性があり、かつ風合いは柔軟かつ充実感に優れたもの
で、表面に銀面層を形成したものは特に靴甲皮用素材と
して好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹波 善博 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4F055 AA02 BA02 DA07 EA12 EA14 EA15 EA16 EA24 EA38 HA04 HA14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性ポリマーからなる海成分中に非弾性
    ポリマーからなる島成分が分散して存在する複合繊維A
    と非弾性ポリマーからなる極細繊維束Bが三次元絡合し
    た不織布を主体とする皮革様シートであり、複合繊維A
    が形成する三次元絡合構造よりも極細繊維束Bが形成す
    る三次元絡合構造が弛緩した状態にあることを特徴とす
    る皮革様シート。
  2. 【請求項2】 下記(1)から(4)の工程 (1)弾性ポリマーからなる海成分中に非弾性ポリマー
    からなる収縮能を有する島成分が分散して存在する高収
    縮の複合繊維Aと非弾性ポリマーからなる島成分を有す
    る低収縮の極細繊維発生型繊維bを用いて絡合不織布を
    作製する工程、 (2)該絡合不織布を収縮処理する工程、 (3)該極細繊維発生型繊維bを極細繊維束Bに変成す
    る工程、 (4)表面を皮革様に仕上げる工程、を順次行うことを
    特徴とする皮革様シートの製造方法。
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