JP2000239972A - 人工皮革基体 - Google Patents

人工皮革基体

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JP2000239972A
JP2000239972A JP11039468A JP3946899A JP2000239972A JP 2000239972 A JP2000239972 A JP 2000239972A JP 11039468 A JP11039468 A JP 11039468A JP 3946899 A JP3946899 A JP 3946899A JP 2000239972 A JP2000239972 A JP 2000239972A
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artificial leather
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denier
fibers
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Masaru Makimura
勝 牧村
Takeshi Yamazaki
豪 山崎
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スポーツシューズ等の過酷な使用条件に耐えう
る機械的物性を持ち、軽量で柔軟な人工皮革用基体を提
供する。 【解決手段】0.1デニール以下の極細繊維(A)およ
び5.0デニール以下で繊維断面に中空部を有し且つ中
空部の周囲壁の一部に欠損部を有している繊維(B)と
がA/Bが重量比で20/80〜80/20で三次元絡
合されている不織布と高分子弾性体からなる人工皮革用
基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スポーツシューズ等に
用いられる、機械的物性に優れ、軽量で柔軟な人工皮革
を構成する基体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スポーツシューズ等の分野では機械的諸
物性に優れ、軽量で柔軟な製品が求められている。従来
から、海成分が溶出可能な海島構造の多成分繊維、例え
ば海成分がポリエチレンからなる海島構造の繊維を用い
て不織布とし、それを用いてスポーツシューズ等の人工
皮革とすることは公知である。かかる海島構造繊維は最
終製品となるまでのいずれかの工程で海成分を除去して
繊維を極細化し極細繊維とする。このような製品は極細
繊維特有の風合いと外観を有し、市場で高い評価を得て
いる。また異種の繊維を目的にあわせて混合し、絡合不
織布とすることは従来から行われている方法である。例
えば2種類以上のウェッブ、シート類を積層して絡合さ
せた交絡体およびこれらの交絡体に高分子弾性体溶液を
含浸、凝固する方法が特公昭48−11925号公報に
記載されている。この方法により得られるシートは皮革
ライクで機械的物性に優れているが、軽量化性能を兼ね
備えたものではない。また、衣料製品などに軽量、保温
性等の観点からポリエステル、ナイロン等の中空繊維が
一般的に用いられている。また合成皮革や人工皮革の分
野においても、特開昭47−28104号公報や特開昭
50−5502号公報に、中空繊維を用いた軽量で通気
性の良好な合成皮革の記載がある。また特開平01−2
92188号公報には、微小中空粒子を混合して軽量化
と保温性の向上をはかった合成皮革について記載されて
いる。このように、繊維を含めた中空構造を持つ物質を
合成皮革や人工皮革に用いる技術は公知であるが、これ
らは軽量化性能は持つが、十分な機械的物性を有しなか
ったり、あるいは軽量化性能と必要な機械的物性を持つ
ものであっても、近年スポーツシューズ等に強く要求さ
れる柔軟性に関しては不十分であり、これらすべてを併
せ持つものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スポーツシューズ等の
分野では一般的に0.8〜1.3mmの厚みの人工皮革
基体が用いられている。この厚みの範囲のなかでより軽
く、機械的物性に優れた、柔軟な製品が求められてお
り、特に製品が柔軟かつ軽いことと機械的物性に優れて
いることは裏腹の関係にあり、これらすべてを満足する
人工皮革基体は未だ開発されていない。このように、ス
ポーツシューズ用の人工皮革には、高級感、着用感の向
上が求められ、その中でも、柔軟性と軽量性能はもっと
も強く望まれているものである。その一方で、激しい運
動に耐え得る機械的物性、とくに靴底ゴム部と人工皮革
製品との剥離強力、運動時に必要な引裂強力は、最も重
視されている必要性能であり、この機械的物性と製品の
柔軟性かつ軽いこととの両立が極めて重要となる。
【0004】その課題解決の方策として、抽出等で極細
化可能な多成分繊維からなる、例えば海島構造繊維シー
トから抽出等で除去する成分の比率を増加させる方法が
考えられるが、この方法では製造工程でのテンションや
プレス処理によって厚みが低下し、軽量化出来ず、機械
的物性も不足することとなる。また、人工皮革製品の繊
維量自体を減ずる方法も考えられるが、この方法の場合
には軽量化は出来るが、スポーツシューズとしての諸物
性が不足する問題点がある。また、中空繊維のステープ
ルの嵩高さを利用して人工皮革にこれらの中空繊維を用
いて基体とする方法を用いると確かに軽量化は達成出来
るが、中空構造を持つ繊維は、一般に中空構造を有する
がために曲げに対する抵抗力が強く曲げにくい、つまり
硬い繊維であるので、軽量であるわりには、風合いが柔
軟ではない。また、極細繊維発生型繊維と中空繊維を混
合した不織布を用いて物性を確保するため不織布製造工
程においてニードルパンチ条件を強化する方法は、極細
繊維発生型繊維がニードルパンチによってダメージを受
け、かえってスポーツシューズとしての人工皮革基体の
物性は向上しない。本発明の目的は、このような問題を
解決し、スポーツシューズ等に用いられる、機械的物性
に優れ、柔軟かつ軽量な人工皮革基体を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに本発明者らは研究を行い、その結果、極細繊維
(A)および中空部を有し且つ該中空部の周囲壁の一部
が欠損している繊維(B)の選択、A/Bの繊維比率の
最適化よってスポーツシューズ用等としての機械的物性
と柔軟性・軽量化の両立が可能であることを見いだし
た。すなわち本発明は、 0.1デニール以下の極細繊
維(A)、および5.0デニール以下で中空部を有し且
つ該中空部の周囲壁の一部が欠損している繊維(B)と
がA/Bが重量比で20/80〜80/20で三次元絡
合されている不織布と高分子弾性体からなる人工皮革基
体であり、好ましくは中空部の比率が10〜40%であ
り、中空部の周囲壁の一部が欠損した中空部を有する繊
維を使用した不織布を用いる人工皮革基体である。
【0006】また本発明における人工皮革基体は、以下
の(1)から(5)の工程を順次行うことにより得られ
る。 (1)0.1デニール以下の極細繊維(A)を発生する
極細繊維発生型繊維(a)ステープルと、5.0デニー
ル以下で中空部を有し且つ該中空部の周囲壁の一部が欠
損している繊維(B)あるいは該中空部を有する繊維
(B)を発生する中空繊維発生型繊維(b)のステープ
ルを混合し、カージングしてウェッブとする工程、
(2)ウェッブを積層し、ニードルパンチして不織布と
する工程、(3)ニードルパンチした不織布をプレスす
る工程、(4)高分子弾性体溶液または分散液を含浸
し、高分子弾性体を凝固させる工程、(5)極細繊維発
生型繊維(a)から極細繊維(A)および、繊維(b)
が用いられている場合には、繊維(b)から中空部の周
囲壁の一部が欠損している中空部を有する繊維(B)を
発生させる工程、以上のような手段により、スポーツシ
ューズ等に適し、機械的物性に優れ、柔軟かつ軽量な人
工皮革基体が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いる繊度0.1デニー
ル以下の極細繊維(A)を発生させる極細繊維発生型繊
維は、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマ
ーを複合紡糸または混合紡糸することにより得られる。
その代表的な繊維の形態はいわゆる海島型繊維と呼ばれ
るものである。繊維の島成分ポリマーとしては、溶融紡
糸可能で、強度等の繊維物性を十分に発揮するポリマー
であって、紡糸条件下で海成分ポリマーより溶融粘度が
大きく、かつ表面張力が大きいポリマーが好ましく、例
えば6−ナイロン、66−ナイロン等のポリアミド系ポ
リマー、およびこれを主体とする共重合体、ポリエチレ
ンテレフタート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステル系ポリマー、およびこれを主体とする共重合体
等が好適に用いられる。また海成分ポリマーとしては、
島成分ポリマーよりも溶融粘度が低く、島成分との溶解
性、分解性を異にし、海成分の溶解、除去に用いられる
溶剤または分解剤等への溶解性が大きく、島成分との相
溶性の小さいポリマーが好ましい。例えばポリエチレ
ン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、変性ポリエステルなどが好適に用いられる。
【0008】本発明における繊度0.1デニール以下の
極細繊維(A)を発生させる極細繊維発生型繊維、すな
わち海島繊維の好適な海島体積比率は海:島=30/7
0〜70/30の範囲である。海成分が30%未満では
溶剤または分解剤などで溶解または分解除去する成分が
少なすぎて柔軟性が十分発現できず、海成分が70%を
越える比率では、溶解または分解除去後の島成分からな
る繊維の絶対量が少なく皮革様シートとしての充分な物
性が確保できず、また溶解または分解除去する成分が多
いことは生産性の観点からも不適切である。
【0009】本発明における海成分を溶解除去した後の
好適な島成分の平均繊維デニールは0.1デニール以
下、好ましくは0.05デニール以下である。一般的に
太デニールの繊維絡合体からなる不織布は繊維が抜けや
すい傾向にあり、本発明においても島の繊維デニールが
0.1デニールを超える場合には、海成分除去後に極細
繊維の抜け現象が顕著になり、スポーツシューズ等に必
要なゴム部分との剥離強力は高くならない。また島の繊
維デニールが0.1デニールを超える場合には、基体の
柔軟性が損なわれゴワゴワとした触感となる。極細繊維
発生型繊維は、以下従来公知の方法によって、延伸、捲
縮、熱固定、カット等の処理を経て、ステープルとされ
る。
【0010】本発明を構成する、5.0デニール以下で
中空部を有し且つ該中空部の周囲壁の一部が欠損してい
る繊維(B)は、直線スリットの組み合わせ、L字型と
直線スリットの組み合わせ、その他スリットの変形また
は複合された紡糸孔を使用することにより直接紡糸する
ことで図1のような断面を有する繊維を得るか、2成分
からなり図2のような断面構造を有する複合繊維を得た
後、溶剤または分解剤などで1成分を溶解または分解除
去することで図3のような断面を有する繊維を得るか、
いずれかの方法で得られる。また、繊維断面に周囲壁の
一部が欠損した中空部を有する繊維(B)を構成するポ
リマーとしては、溶融紡糸などで繊維形成能があり、極
細繊維を(A)を発生させるための溶剤または分解剤など
で溶解または分解除去されない成分、例えば6−ナイロ
ン、66−ナイロン等のポリアミド系ポリマー、および
これを主体とする共重合体、ポリエチレンテレフター
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポ
リマー、およびこれを主体とする共重合体等が好適に用
いられる。なお(A)の島成分ポリマーと(B)繊維の
ポリマーは同一であっても、異なる種類であってもよ
い。さらに、図2のような断面構造を有する複合繊維に
おいて、溶解または分解除去される成分は、周囲壁の一
部が欠損した中空部を有する繊維を形成する成分と相溶
性が小さく、溶解性、分解性を異にし、溶剤または分解
剤等への溶解性が大きい成分が好ましい。具体的には、
極細繊維発生型繊維(a)の海成分に用いられるポリマ
ー、例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、変性ポリエステルなどが好適に
用いられる。
【0011】繊維(B)の形状は繊維断面で中空を形成
し、周囲壁の一部に欠損部を有しておれば、不定形であ
っても、馬蹄形であっても、三角、四角、円などの幾何
学的形態を有するものでもよい。中空の構造は繊維の長
手方向に連続して形成されているものが望ましく、繊維
中の中空率を確保し、本発明の軽量化を達成する点で好
ましい。また、周囲壁の一部に有する欠損部は、中空繊
維の持つ曲げ硬さを緩和する働きがあり、軽量、高強力
かつ柔軟な繊維を作り出すことが可能となる。欠損部の
幅よりも繊維中空部の最大部の幅の方が大きい場合が、
中空部が潰れにくい点から好ましい。欠損部の比率を以
下の式で表すこととするが、好適な比率は、10%〜4
0%である。この欠損率が、10%未満であると、繊維
が屈曲する際に、繊維に十分な自由度を与えることが出
来ないため、目的の柔軟性を得ることが出来ない。ま
た、欠損率が、40%を超えると、十分な中空部を確保
することが出来ないため、軽量性を確保できない。 欠損率(%)=C/(C+D) × 100 C:欠損部の直線距離 D:繊維断面周囲長 繊維(B)の繊度は5.0デニール以下である必要があ
り、好ましくは3.0デニール以下である。人工皮革な
どの繊維質シート製品では一般的に繊維のデニールが細
いほど地合いがよく柔軟な製品が得られるが、本発明に
おいても繊維(B)が5.0デニールを超える場合には
基体の風合いが硬くゴワゴワとした触感が強調され適当
でない。またデニールが細すぎると基体中の繊維が過密
充填になるので繊維(B)は本発明の軽量化を達成する点
で1.0デニール以上が好ましい。
【0012】本発明の繊維(B)の断面における中空部
の占める面積すなわち中空率は、以下の式で求めるが、
7〜50%の範囲が好ましい。中空率が7%未満では軽
量化の効果が不十分であり、一方、50%を超える中空
率では製造工程中のテンションや、プレス処理の繰り返
し、とくに海成分除去工程のテンション、プレス処理に
よって繊維断面の中空部分の潰れが顕著になり、基体の
比重が上がり軽量な基体が得られない。 [中空率の計算]繊維の横断面写真から欠損部を直線で
結んだ形状の中空部の断面積と、繊維外周内の断面積を
求め次式により算出する 中空率(%)=(中空部の断面積/繊維外周内の断面積)×
100
【0013】本発明における0.1デニール以下の極細
繊維(A)および5.0デニール以下で円周方向の一部
が欠損した中空部を有する繊維(B)のA/Bの重量比
は20/80〜80/20である。極細繊維(A)の重
量比が20%を下まわる場合には極細繊維の比率が低す
ぎてスポーツシューズ等に必要な基体の剥離強力が向上
せず、触感が硬くなり、適当でない。また80%を超え
る場合には基体の剥離強力は高く、触感は柔軟になる
が、製造工程中のテンションやプレス処理の繰り返し、
特に海成分除去工程のテンション、プレス処理によって
厚みが低下し軽量な基体が得られない。
【0014】繊維(a)と繊維(B)あるいは(b)と
の混合ステープルには例えばシリコンなどの油剤を付与
してもよい。その油剤の種類としては、繊維間の摩擦を
下げる効果のあるポリオルガノシロキサンや各種の変性
されたシリコン系の油剤、および繊維間をまとめ対金属
間の摩擦を下げる効果のある鉱物油系の油剤、その他帯
電防止剤等の公知の油剤を繊維の特質を考慮しながらブ
レンドして付与する。付与する工程としては各繊維の捲
縮前、捲縮後、両繊維の混綿時いずれでもよい。また繊
維(a)と繊維(B)に種類の異なる油剤を付与しても
よい。とくに極細繊維発生型繊維(a)はカード、ニー
ドル工程での巻き付きや繊維割れなどのトラブルが起き
やすく、したがって(a)繊維に摩擦係数を軽減する油
剤を重点的に付与するのが好ましい。ステープルは本発
明の範囲内の所定の比率に秤量し、ブレンダーなど公知
の方法で混綿、開繊する。続いて、極細繊維発生型繊維
(a)と(B)の混合されたステープルを公知の方法で
カード、ウェッバーを通してランダムウェッブまたはク
ロスラップウェッブとし、これらのウェッブを積層する
ことにより得ることができる。
【0015】製品の一体感や表面の平滑性を向上させる
目的で複数のカード、ラッパーを用いて、表面層から
(a)と(B)の混合比率を本発明の範囲内で段階的に
変えたウェッブを積層し、不織布となすことはさしつか
えない。この方法によれば極細繊維が最表面に多く分布
するような積層方法によって、より一層の表面の平滑な
人工皮革基体が得やすくなるため好ましい。
【0016】本発明におけるニードルパンチのフェルト
針は公知の物が用いられるが、ウェッブの厚さ方向への
縫いつけを行うには繊維切れの起きにくい1バーブ針が
好適に用いられる。また不織布の表面の比重を上げるた
めには3バーブ、6バーブ、9バーブ等の多バーブの針
が使用できる。目的によってこれらの針を組み合わせて
良い。
【0017】ニードルパンチ工程におけるパンチ数は使
用する針の形状や、ウェッブの厚みにより異なるが、2
00〜2500パンチ/cm2の範囲で設定される。一
般的に極細繊維発生型繊維のニードルパンチにおいて
は、ニードルパンチ条件が強すぎる場合には極細繊維発
生型繊維の切断や繊維割れがおこり、絡合が向上せず、
またニードルパンチ条件が弱すぎる場合には厚み方向に
並ぶ繊維数の不足を招き絡合が向上しない。
【0018】ニードルパンチされた不織布は次に表面を
平滑化し、厚みを規制するため、厚さ方向にプレスす
る。プレスの方法は、複数の加熱ロール間を通す方法、
予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法等の従来公知
の方法が利用でき、繊維(a)中の海成分すなわちポリ
エチレンなどの低溶融粘度成分の溶融・圧着により、よ
り不織布の平滑化を達成することが出来る。なおこの工
程の際に、テンションやプレス等による工程の形態変化
を抑制する目的でポリビニルアルコールやデンプン、樹
脂エマルジョン等の除去可能接着剤を付与することは差
し支えない。
【0019】面を平滑化した不織布は次に高分子弾性体
溶液または分散液を含浸し、スポンジ状に凝固させる。
高分子弾性体としては従来から皮革様シートの製造に用
いられている樹脂が好適に用いられる。すなわち、ポリ
ウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸
系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、および
これらの共重合、これらの混合物等が好適である。これ
らの樹脂は水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液として
前記不織布に含浸した後、湿式凝固等を行うことにより
スポンジ状に凝固する。
【0020】高分子弾性体溶液または分散液を含浸凝固
した繊維質基体は、次に、極細繊維(A)および高分子弾
性体の非溶剤であり、極細繊維発生型繊維(a)の海成
分の溶剤または分解剤である液により該海成分を溶解ま
たは分解除去することにより0.1デニール以下の極細
繊維(A)を発生させ、中空繊維(B)と高分子弾性体
からなる人工皮革基体を得る。同時に中空繊維が(b)
である場合には、(a)繊維の海成分除去と同時に又は
別々に、繊維(b)から中空部充填樹脂を除去して繊維
(b)を中空繊維(B)とする。本発明により、例え
ば、比重が0.3以下、剥離強力が12kg/2.5c
m以上、厚み1mmあたりの引裂強力が8kg以上とい
うスポーツシューズ等に好適な機械物性に優れかつ軽量
な基体が得られる。
【0021】人工皮革基体の厚みは用途に応じて任意に
選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは
0.3mm〜3mm、特に好ましくはスポーツ靴分野に
おいては0.7mm〜1.8mmの範囲である。また極
細繊維(A)と中空繊維(B)とからなる繊維質材料と
高分子弾性体との量比としては、重量比で35/65〜
65/35が好ましい。この範囲を外れると繊維と弾性
重合体とのバランスが悪くなり、製品としての充実感や
柔軟性が得られなくなる。
【0022】本発明における人工皮革基体の比重は0.
3以下が好ましい。スポーツ靴等の分野において重い、
軽いは使用する人の相対的、感覚的な要素であるが、従
来の一般的な人工皮革の比重は0.35〜0.5であ
り、比重0.3以下の基体においてはあきらかに従来の
人工皮革基体の感覚から軽く感じる範囲である。本発明
によれば人工皮革基体の比重を確実に0.3以下にする
ことが出来る。
【0023】以上のようにして本発明の人工皮革基体は
製造されるが、この基体は銀付人工皮革の製造に広く利
用することができる。すなわち、この人工皮革基体の表
面に皮革様フィルムの接着や樹脂エマルジョン、樹脂溶
液、溶融樹脂のコート、グラビア、エンボス、これらの
組み合わせ等の仕上げを行いスポーツシューズ等の人工
皮革製品となすことができる。
【0024】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%はことわりのない限り重量に関
するものである。以下の実施例および比較例において比
重の測定、機械的物性その他の評価は以下の方法に従っ
た。
【0025】[人工皮革基体の剥離強力測定方法]表面
を削った巾2.5cmのゴム板に接着剤を均一に塗布
し、100℃2分熱処理した後、たて方向23cm、巾
2.5cmの試験片を貼り合わせる。貼り合わせた試験
片を2〜4kg/cm2圧力でプレスし、室温にて1昼
夜放置する。貼りあわせた試験片のゴム板先端部を一方
のチャックに、サンプル先端部を他方のチャックに挟
む。引張試験機にて速度100mm/分でゴム板とサン
プル接着部分の剥離強力を測定、記録する。得られたS
S曲線から剥離強力の平坦な部分の平均値を求める。試
験片3個の平均値で表す。
【0026】[人工皮革基体の引裂強力測定方法]たて
10cm×よこ4cmの試験片を切り取り、短辺の中央
に辺と直角に5cmの切れ目をいれ、各舌片をチャック
に挟み引張試験機で100mm/分の速度で引裂く。引
裂最大荷重を求め、あらかじめ求めた試験片の厚みで除
し試験片3個の平均値で表す。
【0027】[比重の測定]人工皮革基体の単位面積あ
たりの重量(g/cm2)を厚み(cm)で除した数字
を比重(g/cm3)とする。
【0028】[触感の評価]任意に選出した複数人数に
より、人工皮革基体を握った触感を、靴用素材として柔
らかく感じたものを5、硬く感じたものを1として5段
階で評価する。
【0029】[極細繊維の平均デニール、島数] (1)複合繊維の平均デニールは電子顕微鏡にて糸断面
が円形となっている部分で、500倍の拡大写真を撮影
し、平均繊維直径からデニールを算出する。 (2)混合繊維の平均デニールはステープルのデニール
×島比率/島数 により求める。 (3)混合繊維の島数は繊維断面を電子顕微鏡にて50
0倍の拡大写真を撮影し断面の全島数を数える。
【0030】実施例1 2基のエクストルーダ溶融系で溶融したポリマー流を紡
糸頭部で合流させ、分割、統合を繰り返す静的混合方式
で混合流を形成し、溶融紡糸する多成分繊維の製造装置
を用いて、島成分が6−ナイロンであって、海成分が高
流動性低密度ポリエチレン(海成分/島成分比率=40
/60)からなる50島海島型繊維を紡糸した。得られ
た糸を延伸、クリンプ、カットして、3.5デニール、
カット長さ51mmのステープル(a−1)を得た。直
線スリットを組み合わせた紡糸孔を使用して、6−ナイ
ロンを直接紡糸にすることで図1のような円周方向に欠
損部を有する断面形状を有する繊維を紡糸した。得られ
た繊維を延伸、クリンプ、カットし、2デニール、カッ
ト長さ51mm、中空率18%、欠損率25%のステー
プル(B−1)を得た。この(B−1)と前記ステープ
ル(a−1)とを重量比で50/50秤量し、ブレンダ
ーで混綿し、混合ステープル(aB−1)を得た。ステ
ープル(aB−1)をカードに通し、クロスラッパー方
式によりウエッブとし、積層した。次に針に1箇所のバ
ーブのついたフェルト針を用いて980P/cm2の針
刺し密度でニードルパンチして目付450g/m2の不
織布を得た。この不織布にPVA10%溶液を含浸、搾
液した後加熱乾燥、プレスして表面を平滑にした後に1
3%のポリウレタンのDMF溶液を含浸し、DMF水溶
液で凝固し、湯洗、PVA除去し、熱トルエンでポリエ
チレンを抽出除去し、6−ナイロンの極細繊維と6−ナ
イロンの中空繊維とポリウレタンからなる人工皮革用基
体を得た。基体中の繊維のA/Bの重量比を測定したと
ころ37/63であった。またこの製品の極細繊維のデ
ニールを電子顕微鏡写真の直径から測定したところ0.
02デニールであった。またこの人工皮革基体の剥離強
力は10.0kg/2.5cmあり、比重は0.27
で、非常に強く、軽く、柔軟なものであり、スポーツシ
ューズ用として極めて優れたものであった。
【0031】比較例1 実施例1の(a−1)/(B−1)の混綿重量比を10
/90とし、以降は実施例1と同様の操作を行い人工皮
革基体を得た。この基体の比重は0.23であり、剥離
強力は12kg/2.5cmと高かったが、、基体の風
合いは、硬くゴワゴワとした触感が際だっていた。
【0032】比較例2 実施例1の(a−1)/(B−1)の混綿重量比を95
/5とし、以降は実施例1と同様の操作を行い人工皮革
基体を得た。この基体の風合いは非常に柔軟であった
が、剥離強力が8kg/2.5cmと低く、比重は0.
40と高かった。
【0033】実施例2 実施例1と同様の多成分繊維製造装置を用いて、島成分
がポリエステルであって、海成分が高流動性低密度ポリ
エチレン(海成分/島成分比率=50/50)からなる
25島の海島型繊維を紡糸した。得られた糸を延伸、ク
リンプ、カットし、3デニール、カット長さ51mmの
ステープル(a−2)を得た。また、6ナイロンと高流
動性低密度ポリエチレンからなる図2のような断面構造
を有する複合繊維(6ナイロン/ポリエチレン比率=7
0/30)を紡糸した。得られた繊維を延伸、クリン
プ、カットし、3デニール、カット長さ51mm、1成
分を溶解除去した後の中空率20%で、欠損率20%と
なるステープル(b−2)とを重量比で60/40混綿
し、シリコン油剤を付与して混合ステープル(ab−
2)を得た。ステープル(ab−2)をカードに通し、
クロスラッパー方式によりウエッブとし、積層した。次
に針に1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて18
00パンチ/cm2で目付480g/m2の不織布を得
た。この不織布を加熱後プレスして表面を平滑にした後
に13%のポリウレタンのDMF溶液を含浸し、DMF
水溶液で凝固し、湯洗し、トルエンで抽出しポリエステ
ルの極細繊維と6−ナイロンの図3ような馬蹄形の断面
構造を有する繊維とポリウレタンからなる人工皮革用基
体を得た。この基体のポリエステル極細繊維とナイロン
馬蹄形繊維の重量比を算出したところ52/48であっ
た。極細繊維のデニールを測定したところ0.04デニ
ールであった。この人工皮革基体の比重は表2に示すと
おり0.26と軽量で、剥離強力は12.5kg/2.
5cm、引裂強力は8kgあり非常に強く、柔軟で軽量
な人工皮革基体であった。
【0034】
【発明の効果】本発明によればスポーツシューズ等の用
途に耐えうる機械的物性を持ち、柔軟で軽量な人工皮革
基体が得られるものである。本発明により得られた人工
皮革基体の表面層に皮革様フィルムの接着や樹脂エマル
ジョン、樹脂溶液、溶融樹脂のコート、グラビア、エン
ボス、等を組み合わせて仕上げを行い靴等に仕上げるこ
とが出来る。この素材は運動時の過酷な使用条件下でも
靴底と素材部分の剥離や、破れが起こりにくく、なおか
つ軽量で、柔軟性も優れるため、特にスポーツシューズ
分野にその効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工皮革基体を構成する中空繊維の一
例の断面図
【図2】本発明の人工皮革基体の製造に用いられる中空
繊維発生型繊維の一例の断面図
【図3】図2で示す繊維から得られる中空繊維の断面図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1デニール以下の極細繊維(A)、
    および5.0デニール以下で中空部を有し且つ該中空部
    の周囲壁の一部が欠損している繊維(B)とがA/Bが
    重量比で20/80〜80/20で三次元絡合されてい
    る不織布と高分子弾性体からなる人工皮革基体。
  2. 【請求項2】 繊維(B)の断面形状で以下の式で表さ
    れる欠損率が、10%から40%である請求項1記載の
    人工皮革基体。 欠損率(%)=C/(C+D) × 100 C:欠損部の直線距離 D:繊維断面外側周囲長
  3. 【請求項3】 以下の(1)から(5)の工程を順次行
    うことを特徴とする人工皮革基体の製造方法。 (1)0.1デニール以下の極細繊維(A)を発生する
    極細繊維発生型繊維(a)ステープルと、5.0デニー
    ル以下で中空部を有し且つ該中空部の周囲壁の一部が欠
    損している繊維(B)あるいは該中空部を有する繊維
    (B)を発生する中空繊維発生型繊維(b)のステープ
    ルを混合し、カージングしてウェッブとする工程、
    (2)ウェッブを積層し、ニードルパンチして不織布と
    する工程、(3)ニードルパンチした不織布をプレスす
    る工程、(4)高分子弾性体溶液または分散液を含浸
    し、高分子弾性体を凝固させる工程、(5)極細繊維発
    生型繊維(a)から極細繊維(A)、および繊維(b)
    が用いられている場合には、繊維(b)から中空部の周
    囲壁の一部が欠損している中空部を有する繊維(B)を
    発生させる工程、
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102011326A (zh) * 2010-12-13 2011-04-13 禾欣可乐丽超纤皮(嘉兴)有限公司 超细纤维人工皮革基布的制备方法
CN102168345A (zh) * 2011-04-09 2011-08-31 浙江禾欣实业集团股份有限公司 复合超细纤维人工皮革基布的制备方法
CN102383315A (zh) * 2010-08-28 2012-03-21 禾欣可乐丽超纤皮(嘉兴)有限公司 超细纤维弹性基布的制备方法

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