JP2001214376A - ノンスリップ性を有する人工皮革及びその製造方法 - Google Patents

ノンスリップ性を有する人工皮革及びその製造方法

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JP2001214376A
JP2001214376A JP2000024849A JP2000024849A JP2001214376A JP 2001214376 A JP2001214376 A JP 2001214376A JP 2000024849 A JP2000024849 A JP 2000024849A JP 2000024849 A JP2000024849 A JP 2000024849A JP 2001214376 A JP2001214376 A JP 2001214376A
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artificial leather
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slip
fibers
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Masaru Makimura
勝 牧村
Hiroshi Hayashibara
広 林原
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ノンスリップ性を有する人工皮革であって、特
にスポーツ手袋、アメフトボール、バスケットボールな
どのボールに好適な人工皮革を提供する。 【解決手段】基体およびその表面に形成された立毛から
なり、かつ該基体表面には内部に連通する孔を有してい
る人工皮革において、該表面には、スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体またはその水素添加物で代表される
ノンスリップ性を付与する樹脂と極細繊維立毛が混在一
体化した部分と該樹脂が塗布されていない部分が混在し
ている人工皮革。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優美な外観とノンスリ
ップ性を有する皮革様シートに関し、特にスポーツ手
袋、アメリカンフットボール用やバスケットボール用の
ボールなどに好適な人工皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ノンスリップ性を有するシー
トを得る方法として種々の方法が提案されている。例え
ば特公平7ー30285号公報には、分子中に水酸基を
有するポリウレタン樹脂、分子中に水酸基を有する液状
ゴム、無機または有機系の充填材、およびイソシアネー
トプレポリマーを配合した被膜用組成物をシート表面に
コートする方法が、また実開昭63ー197475号公
報には、不織布にゴム弾性を示す樹脂を含浸固化させ、
そしてその中間層にてスライスする方法が、さらに特開
昭63ー152483号公報には、ゴム系素材にゼラチ
ンを混入して加熱発泡成形したのち、その成形品の表面
スキン層の一部を取り除き、そして表面のゼラチンを熱
水にて除去して表面を多孔構造とする方法が、それぞれ
提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の、分子中に水酸基を有するポリウレタン樹脂、分子中
に水酸基を含有する液状ゴム、無機または有機系の充填
剤、およびイソシアネートプレポリマーを配合した被膜
用組成物をシート表面にコートする方法では、コートさ
れる面は繊維と樹脂が混在する表面ではなく、したがっ
て得られるシートは透湿性が低く、ボールや手袋などに
使用された時に微妙なハンドリング性が得られない。さ
らに得られるノンスリップ性に関しても満足できるもの
ではない。また上記の、不織布にゴム弾性を示す樹脂を
含浸固化させてその中間層にてスライスする方法では、
繊維立毛が表面にあり、含浸させた樹脂の効果が十分に
発揮されない。さらに上記の、ゴム系素材にゼラチンを
混入して加熱発泡成形した成形品の表面スキン層の一部
を取り除きかつ表面のゼラチンを熱水にて除去して表面
を多孔構造とする方法の場合には、基体層が多孔質であ
るため、機械的強度が不足しており、ボールや手袋、靴
などのハードな使用には適さないものであった。
【0004】アメリカンフットボールやバスケットボー
ル等の種目に用いられるボールは、ノンスリップ性が要
求され、さらにそのようなボールを扱う手が汗等により
濡れている場合にも滑ることが少ないことが要求され
る。またゴルフ手袋や野球用手袋なども汗により滑るこ
とが少ないことが求められる。本発明の目的は、優美な
外観とノンスリップ性に優れ、かつ吸湿性を有し、ハン
ドリング性に優れ、しかも十分なる機械的強度を有する
人工皮革を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに本発明者らは鋭意研究を行い、その結果、優美な外
観とノンスリップ性に優れ、かつ吸湿性を有し、ハンド
リング性に優れ、しかも十分なる機械的強度を有する人
工皮革を得ることが可能であることを見出した。すなわ
ち本発明は、0.3デニール以下の極細繊維を主体とす
る繊維からなる三次元絡合不織布と高分子弾性体からな
る人工皮革において、その表面には、非連続状に存在す
る該極細繊維からなる立毛のみに覆われている部分
(X)と、該極細繊維立毛とノンスリップ性を付与する
樹脂が混在一体化している部分(Y)が存在しており、
かつ該表面に占める(Y)部分の面積割合が10〜80
%の範囲内であって、更にノンスリップ性を付与する樹
脂の塗布量が該表面1m2当たり2〜50gの範囲内で
あることを特徴とする人工皮革である。
【0006】また、本発明における人工皮革は、以下の
(1)から(8)の工程を順次行うか、または(4)と
(5)の工程の順序を逆転させる以外は(1)から
(8)の工程を順次行うことにより得られる。 (1)0.3デニール以下の極細繊維を発生する極細繊
維発生型繊維を主体とするステープルを、カードにかけ
てウェッブとする工程、(2)ウェッブを積層し、ニー
ドルパンチして不織布とする工程、(3)ニードルパン
チした不織布をプレスする工程、(4)高分子弾性体の
溶液または分散液を含浸し、高分子弾性体を凝固させる
工程、(5) 極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生
させ、人工皮革基体を得る工程、(6) 得られた基体
表面をサンドペーパーでバフィングして、該表面に立毛
を形成させる工程、(7) 染料を用いて染色する工程 (8) ノンスリップ性を付与する樹脂を上記したよう
な量および面積で塗布する工程
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いる繊度0.3デニー
ル以下の極細繊維(A)を発生させる極細繊維発生型繊
維は、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマ
ーを複合紡糸または混合紡糸することにより得られる。
その代表的な繊維の形態はいわゆる海島型断面繊維と呼
ばれるものである。このような海島型断面繊維の島成分
を構成するポリマーとしては、溶融紡糸可能で、強度等
の繊維物性を十分に発揮するポリマーであって、紡糸条
件下で海成分を構成するポリマーより溶融粘度が大き
く、かつ表面張力が大きいポリマーが好ましく、例えば
6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン等の
ポリアミド系ポリマー、およびこれを主体とする共重合
体、ポリエチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタ
レート等のポリエステル系ポリマー、およびこれを主体
とする共重合体等が好適に用いられる。また海成分を構
成するポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶融粘
度が低く、島成分との溶解性、分解性を異にし、海成分
の溶解、除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解
性が大きく、島成分ポリマーとの相溶性が小さいポリマ
ーが好ましい。例えばポリエチレン、変性ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリエステル
などが好適に用いられる。
【0008】本発明における繊度0.3デニール以下の
極細繊維(A)を発生させる極細繊維発生型繊維、すな
わち海島繊維の好適な海島体積比率は海:島=30/7
0〜70/30の範囲である。海成分が30%未満では
溶剤または分解剤などで溶解または分解除去する成分が
少なすぎて柔軟性が十分発現できず、海成分が70%を
越える比率では、溶解または分解除去後の島成分からな
る繊維の絶対量が少なく人工皮革としての充分な物性が
確保できず、また溶解または分解除去する成分が多いこ
とは生産性の観点からも不適切である。
【0009】本発明における海成分を溶解除去した後の
好適な島成分の平均繊維デニールは0.3デニール以
下、好ましくは0.1デニール以下、より好ましくは
0.05デニール以下である。島の繊維デニールが0.
3デニールを超える場合には、基体の柔軟性が損なわれ
ゴワゴワとした触感となる。特に0.1デニール以下の
場合には、高級感ある微細な立毛繊維に覆われたスエー
ド調のものとなる。極細繊維発生型繊維は、従来公知の
方法の例えば複合紡糸方法により、あるいは混合紡糸方
法によって紡糸した後、延伸、捲縮、熱固定、カット等
の処理を経て、太さ1〜8デシテックスのステープルと
される。
【0010】極細繊維発生型繊維のステープルには、例
えばシリコンなどの油剤を付与してもよい。その油剤の
種類としては、繊維間の摩擦を下げる効果のあるポリオ
ルガノシロキサンや各種の変性されたシリコン系の油
剤、および繊維間をまとめ対金属間の摩擦を下げる効果
のある鉱物油系の油剤、その他帯電防止剤等の公知の油
剤を繊維の特質を考慮しながらブレンドして付与する。
付与する工程としては、繊維の捲縮前、捲縮後、繊維の
混綿時いずれでもよい。また極細繊維発生型繊維に種類
の異なる油剤を付与してもよい。極細繊維発生型繊維の
場合には、カードやニードルパンチ工程での巻き付きや
繊維割れなどのトラブルが起きやすく、したがって繊維
に摩擦係数を軽減する油剤を重点的に付与するのが好ま
しい。続いて、極細繊維発生型繊維ステープルを公知の
方法でカード、ウェッバーを通してランダムウェッブま
たはクロスラップウェッブとし、そしてこれらのウェッ
ブは積層することにより所望の目付けを有すウェッブを
得ることができる。
【0011】本発明におけるニードルパンチのフェルト
針は公知の物が用いられるが、ウェッブの厚さ方向への
縫いつけを行うには繊維切れの起きにくい1バーブ針が
好適に用いられる。また不織布の表面の比重を上げるた
めには3バーブ、6バーブ、9バーブ等の多バーブの針
も使用できる。目的によってこれらの針を組み合わせて
も良い。
【0012】ニードルパンチ工程におけるパンチ数は使
用する針の形状や、ウェッブの厚みにより異なるが、2
00〜2500パンチ/cm2の範囲で設定される。一
般的に極細繊維発生型繊維のニードルパンチにおいて
は、ニードルパンチ条件が強すぎる場合には極細繊維発
生型繊維の切断や繊維割れがおこり、絡合が向上せず、
またニードルパンチ条件が弱すぎる場合には厚み方向に
並ぶ繊維数の不足をまねき絡合が向上しないし、美しい
毛羽密度の高い高級感あるスエード面が得られにくい。
【0013】ニードルパンチされた不織布は次に表面を
平滑化し、厚みを規制するため、厚さ方向にプレスす
る。プレスの方法は、複数の加熱ロール間を通す方法、
予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法等の従来公知
の方法が利用でき、極細繊維発生型繊維中の海成分、す
なわちポリエチレンなどの低溶融粘度成分の溶融・圧着
により、より不織布の平滑化を達成することが出来る。
なおこの工程の際に、テンションやプレス等による工程
の形態変化を抑制する目的でポリビニルアルコールやデ
ンプン、樹脂エマルジョン等の除去可能接着剤を付与す
ることは差し支えない。
【0014】面を平滑化した不織布に、次に高分子弾性
体の溶液または分散液を含浸し、スポンジ状に凝固させ
る。高分子弾性体としては従来から皮革様シートの製造
に用いられている樹脂が好適に用いられる。すなわち、
ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリ
ル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、お
よびこれらの共重合、これらの混合物等が好適である。
なかでもポリウレタン樹脂が天然皮革様の風合い、触感
等が得られることから好ましい。これらの樹脂を水系エ
マルジョンまたは有機溶剤溶液として前記不織布に含浸
した後、湿式凝固等を行うことによりスポンジ状に凝固
することができる。
【0015】高分子弾性体溶液または分散液を含浸凝固
した繊維質基体を、次に、極細繊維および高分子弾性体
の非溶剤であり、極細繊維発生型繊維の海成分の溶剤ま
たは分解剤である液で処理することにより、該海成分を
溶解または分解除去して0.3デニール以下の極細繊維
を発生させ、極細繊維と高分子弾性体からなる人工皮革
基体を得る。なお該海成分を溶解除去または分解除去す
る工程は、高分子弾性体溶液または分散液を含浸凝固さ
せる工程に先立って行うことも可能であるが、そのよう
な方法の場合には、極細繊維が高分子弾性体により固定
されるため、柔軟性の点で劣ることとなる。
【0016】人工皮革基体の厚みは用途に応じて任意に
選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは
0.3mm〜3mmである。また極細繊維を主体とする
繊維質材料と高分子弾性体との量比としては、重量比で
35/65〜65/35が好ましい。この範囲を外れる
と繊維と弾性重合体とのバランスが悪くなり、製品とし
ての充実感や柔軟性が得られなくなる。
【0017】基体層の表面に立毛を存在させる方法とし
ては、特に限定されないが、好ましくはサンドペーパー
などの研磨材にて表面を擦り、繊維を掘り起こす方法が
高級感のある天然皮革様の面感が得られるので好まし
い。立毛は、特に基体層にハンドリング性および表面塗
布樹脂を強固に接着させる点から必要である。
【0018】ノンスリップ性を付与する表面樹脂して
は、ブタジエン、イソプレン系等のゴム系ポリマー、ア
クリル系ポリマー、またその他の樹脂とのブロック共重
合ポリマー等の常温においてゴム状弾性を示す樹脂が好
ましく用いられる。特に好ましくは、ブタジエンやイソ
プレン等のジエン系モノマーの重合体ブロックとスチレ
ン系重合体ブロックからなるブロック共重合体あるいは
その水素付加物である。また、上記樹脂にポリテルペン
系樹脂、石油系炭化水素樹脂など公知の粘着樹脂を添加
しても良い。さらに、ゴム状弾性を示す樹脂に無機また
は有機の粒子や粉体等を添加することでノンスリップ性
を調整することも可能である。さらに滑り止め効果をさ
らに向上させるために、表面樹脂を付与するに先立っ
て、基体層の表面を賊型して面に凹凸を与えることが好
ましい。 また軟化剤、充墳剤、老化防止剤などを、
表面の摩擦抵抗が低下しない範囲であれば表面樹脂に添
加してもよい。
【0019】また、表面に水分が付着したときにもノン
スリップ性が低下しないように、水分を含んだ際にノン
スリップ性を発揮する化合物を添加することも好ましく
用いられる。そのような化合物としては、アビエチン酸
系化合物が挙げられ、特に軟化点が65〜80℃である
化合物が好ましい。具体的には、アビエチン酸、デヒド
ロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、パラス
トリン酸等の化合物及びこれら化合物の水素添加物等が
挙げられる。また、天然ロジン等の公知の滑り止め粉末
を使用しても良い。もちろんこれらを混合して用いても
よい。さらに、樹脂塗布部分と極細繊維立毛部分の濃度
さ・色差を出し、柄感を強調するために、樹脂に顔料・
染料を添加しても良い。
【0020】ノンスリップ性を付与する樹脂を塗布する
方法としては、特に限定されるものではないが、柄模様
を有するグラビアロールにて塗布する方法、スクリーン
捺染方式で塗布する方法等が好適に用いられる。一方、
ナイフコートなど表面に一定の厚みを持って全面にコー
トする方法、工程紙など基材に樹脂を全面塗布して製膜
し、接着層を介して基体層に接着する方法、押出機から
ダイを通じて基体層上に均一に押し出して表面全体に製
膜する方法等では、基体層表面に全面に塗布されている
ため、立毛繊維によるスエード調の外観および立毛部と
立毛と樹脂が混在一体化した部分による微妙なハンドリ
ング性が得られず、また連通孔による表面に付着した水
分の基体層内部への吸収効果も得られない。一方、例え
ばグラビアロール等でドット状にノンスリップ樹脂をい
わゆる非連続状に塗布する方法があるが、この方法の場
合には、極細繊維の立毛部分が連続して存在することに
なり、樹脂部分が立毛により覆い隠される程度が高くな
り、樹脂によるノンスリップ効果が減じられるため好ま
しくなく、したがってノンスリップ性樹脂を全面的塗布
ではないが連続して存在しているような塗布状態が本発
明において好ましい。
【0021】上述したように、ノンスリップ性を付与す
る樹脂は、例えば格子状、ハニカム状のように途切れる
ことなく、連続して塗布されているのが好ましく、本発
明でいう連続して塗布されているということは、塗布さ
れた部分が全面的に存在するのではないが、実質的に連
続していることを意味している。ノンスリップ性を付与
する樹脂を塗布する巾は、0.2mm以上が好ましく、
より好ましくは0.5mm以上である。0.2mm以上
あれば、立毛により樹脂の塗布部分が隠されることな
く、本来のノンスリップ性を十分発揮することが可能で
ある。本発明において、皮革様シートの表面の任意の1
cm四方を見た場合に常にノンスリップ性を付与する樹
脂が塗布された部分と塗布されていない部分が存在して
いるようなような塗布状態が好ましい。
【0022】ノンスリップ性を付与する樹脂の塗布量
は、人工皮革の塗布する面1m2当たり固形分で2〜5
0g、好ましくは、5〜20gである。2g/m2以下
では、十分なノンスリップ性を付与できず、また、50
g/m2以上ではタック感が有りすぎ、取り扱いが困難
となる。また、樹脂の塗布される面積は、塗布される全
表面積の10〜80%、好ましくは、30〜60%であ
る。10%未満の場合には、極細繊維立毛の影響が強く
出過ぎて、ノンスリップ感が不十分となる。また、80
%を越えると、極細繊維立毛部分が少なすぎ、吸水性、
透湿性、さらに外観的にも好ましくない。
【0023】また、樹脂が極細繊維と混在一体化するこ
とで、極細繊維そのものが有するノンスリップ性と樹脂
が有するノンスリップ性が相乗効果を発揮して、より好
ましいノンスリップ性を発揮することが出来る。また、
樹脂が極細繊維に支えられ、摩耗による脱落・樹脂層の
破壊が防止され、好ましいノンスリップ性の持続性が得
られる。なお、本発明において、ノンスリップ性を付与
するために塗布する樹脂は、人工皮革を染色仕上げした
後に塗布することが、染色斑を防ぐ点で好ましい。染色
に用いられる染料としては、極細繊維がナイロン系であ
る場合には、金属錯塩染料で代表される酸性染料が挙げ
られ、また極細繊維がポリエステル系である場合には分
散染料が用いられるが、これら以外の染料でもよい。
【0024】
【実施例】次に本発明の実施態様を実施例で具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中の部数及び%は、特に断わりの
ない限り重量に基づくものである。
【0025】実施例1 ナイロンとポリエチレンをチップで50/50の量率で
混合して、押し出し機にて島成分が6−ナイロンであっ
て、海成分が高流動性低密度ポリエチレン(海成分/島
成分比率=50/50)からなる600島の海島型繊維
を紡糸した。得られた糸を延伸、クリンプ、カットし
て、3.5デニール、カット長さ51mmのステープル
繊維を得た。該ステープル繊維をカードに通し、クロス
ラッパー方式によりウエッブとし、積層した。次に針に
1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて980P/
cm 2の針刺し密度でニードルパンチして目付450g
/m2の不織布を得た。この不織布を加熱後、プレスし
て表面を平滑にした後に13%のポリウレタンのジメチ
ルホルムアミド(以下、DMFと略す)溶液を含浸し、
DMF水溶液で凝固し、湯洗し、熱トルエンで繊維中の
海成分であるポリエチレンを抽出除去し、0.045デ
ニールの太さの6−ナイロンの極細繊維とポリウレタン
からなる人工皮革基体を得た。この人工皮革基体を厚さ
の中間で2分割し、分割面をサンドペーパーでバフィン
グして厚さを0.5mmとした後、凝固時の表面をエメ
リーバフ機で処理して立毛面を形成し、下記の2:1型
金属錯塩染料を用いてウィンスタイプの染色機にて浸染
染色した。 染料:ラニールブルーBW(住友化学)1.2% 均染剤:1% 染色後、ソーピング、水洗し、乾燥、整毛して厚さ0.
5mm、目付210g/m2のスエード調人工皮革を得
た。
【0026】ノンスリップ性を付与する樹脂として、ス
チレンーイソプレンブロック共重合ポリマーの水素添加
物(SEPS)[(株)クラレ製セプトン2043を3
0部、トルエン100部に溶解した液を調整し格子模様
のプリントロールにて、人工皮革基体の立毛面に30g
/m2の塗布量(固形分10g/m2)で塗布した。塗布
面を観察すると、樹脂層は平均巾1mmの直線からなる
格子状に塗布されており、かつ向かい合う直線との間に
は塗布されていない部分が幅約2mmで存在していた。
また、この人工皮革の厚さ方向の切断面を電子顕微鏡に
より観察すると、人工皮革基体の表面から内部さらに裏
面に至る孔が無数に存在していることが分かった。また
手袋に加工して実用テストしたところ表面タック感も良
好であり、水に濡れたときも若干スリップ気味になった
が、滑り止めの効果は失われなかった。また3カ月使用
しても表面樹脂の剥離はほとんど見られず、ノンスリッ
プ性の低下はなかった。さらに引張強度等の機械的性能
においても優れたものであった。
【0027】実施例2 上記実施例1の工程にてノンスリップ性を高める樹脂
に、さらに摩擦性を高めるために粘着付与剤(ポリテル
ペン系樹脂)及びロジンを該樹脂に対して各30%添加
して処理を行ったところ、表面タック感が良好で肌合い
も優れた人工皮革が得られた。またこの人工皮革を手袋
に使用したところ、実施例1のものより優れたノンスリ
ップ性を示した。
【0028】比較例1 上記実施例1において、スチレンーイソプレン共重合ポ
リマーの水素添加物を人工皮革基体表面に25g/m2
の塗布量で全面に塗布したところ、ノンスリップ性のあ
るシートが得られた。しかし、基体表面全体が樹脂で覆
われているため、雨水等で水が付着したとき、吸収され
ず樹脂表面に浮いた状態になり、ノンスリップ性が阻害
された。また、スエード感がまったくなく、外観的に商
品価値に劣る物であった。
【0029】比較例2 上記実施例2において、ノンスリップ樹脂をグラビアロ
ールを用いて巾 0.5mmの格子状に基体層上に固形
分で1g/m2の塗布量で塗布したものを使用してバイ
ク用の手袋を縫製した。樹脂の塗布量が少ないため、十
分なノンスリップ感が発揮されないものであった。
【0030】比較例3 上記実施例2において、ノンスリップ樹脂をグラビアロ
ールを用いて巾0.5mmの格子状に基体層上に固形分
で100g/m2の塗布量で塗布したものを使用してバ
イク用の手袋を縫製した。ノンスリップ性は十分であっ
たが、あまりに粘着性があり、手の開閉にも難が有り、
実用に適さないものであった。
【0031】比較例4 上記実施例2において、ノンスリップ樹脂をグラビアロ
ールを用いて巾0.5mmの格子状に基体層上に固形分
で5g/m2の塗布量で、基体表面積の5%に塗布した
ものを使用してバイク用の手袋を縫製した。ノンスリッ
プ性が不十分であり、実用に適さないものであった。
【0032】比較例5 上記実施例2において、ノンスリップ樹脂をグラビアロ
ールを用いて巾1mmの格子状に人工皮革基体に固形分
で30g/m2の塗布量で、基体表面積の95%に塗布
したものを使用してバイク用の手袋を縫製した。基体表
面のほぼ全体が樹脂で覆われているため、雨水等で水が
付着したとき、吸収されず樹脂表面に浮いた状態にな
り、ノンスリップ性が阻害された。また、スエード感が
ほとんどなく、外観的に商品価値に劣る物であった。
【0033】
【発明の効果】本発明により、乾いている場合はもちろ
んのこと、濡れている場合においてもノンスリップ性に
優れ、ハンドリング性に優れ、しかも十分なる機械的強
度を有し、さらに柄状になっている樹脂塗布部分と立毛
部分の濃度さ・色差、外観差による優美な外観を有する
人工皮革が得られた。本発明の人工皮革は、特にノンス
リップ性および機械的強度が要求されるスポーツ手袋、
アメリカンフットボール用やバスケットボール用のボー
ルなどに好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.3デニール以下の極細繊維を主体と
    する繊維からなる三次元絡合不織布と高分子弾性体から
    なる人工皮革において、その表面には、非連続状に存在
    する該極細繊維からなる立毛のみに覆われている部分
    (X)と、該極細繊維立毛とノンスリップ性を付与する
    樹脂が混在一体化している部分(Y)が存在しており、
    かつ該表面に占める(Y)部分の面積割合が10〜80
    %の範囲内であって、更にノンスリップ性を付与する樹
    脂の塗布量が該表面1m2当たり2〜50gの範囲内で
    あることを特徴とする人工皮革。
  2. 【請求項2】 (Y)部分が、巾0.2mm以上の模様
    状である請求項1に記載の人工皮革。
  3. 【請求項3】 以下の(1)から(8)の工程を順次行
    うか、または(4)と(5)の工程の順序を逆転させる
    以外は(1)から(8)の工程を順次行うことを特徴と
    する請求項1または2に記載の人工皮革の製造方法。 (1)0.3デニール以下の極細繊維を発生する極細繊
    維発生型繊維を主体とするステープルをカードにかけて
    ウェッブとする工程、(2)ウェッブを積層し、ニード
    ルパンチして不織布とする工程、(3)ニードルパンチ
    した不織布をプレスする工程、(4)高分子弾性体の溶
    液または分散液を含浸し、高分子弾性体を凝固させる工
    程、(5) 極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生さ
    せ、人工皮革基体を得る工程、(6) 得られた基体表
    面をサンドペーパーでバフィングして、該表面に立毛を
    形成させる工程、(7) 染料を用いて染色する工程 (8) ノンスリップ性を付与する樹脂を請求項1に記
    載したような量および面積で柄状に塗布する工程
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