JP2001293125A - スポーツ用手袋 - Google Patents

スポーツ用手袋

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JP2001293125A
JP2001293125A JP2000111656A JP2000111656A JP2001293125A JP 2001293125 A JP2001293125 A JP 2001293125A JP 2000111656 A JP2000111656 A JP 2000111656A JP 2000111656 A JP2000111656 A JP 2000111656A JP 2001293125 A JP2001293125 A JP 2001293125A
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JP2000111656A
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Mamiko Kadoya
眞実子 角屋
Yasuo Hashimoto
康男 橋本
Fumihiro Yamaguchi
史洋 山口
Akitoshi Onoda
明俊 小野田
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HASHISEN KK
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
HASHISEN KK
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優美な外観とノンスリップ性に優れ、かつ吸湿
性を有し、ハンドリング性に優れ、十分なる機械的強度
を有する上に、滑らかな表面タッチをも兼備したスポー
ツ用手袋を提供する。 【解決手段】シート状皮革を縫製してなるスポーツ用手
袋において、掌側及び指部分の掌側面の少なくとも一部
として、0.3デシテックス以下の極細繊維を主体とす
る繊維からなる三次元絡合不織布と高分子弾性体からな
る基体表面が、該極細繊維からなる立毛のみに覆われた
部分と該極細繊維立毛とノンスリップ性を付与する樹脂
が混在一体化した部分からなり、該樹脂には偏平微粒子
が混合されている人工皮革シートを使用するスポーツ用
手袋。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴルフ、水上スキー、野
球等に用いるスポーツ用手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、スポーツ用手袋としては、天
然皮革あるいは人工皮革などの人工素材が使用されてい
る。天然皮革の場合は、表面物性の問題でそのほとんど
が銀付き品であり、スエード調のものは比較的少なく、
ヌバック調のものは見られない。人工素材については、
近年0.5デシテックス以下の極細繊維または極細収束
繊維の繊維絡合体と高分子弾性体からなるスエード調人
工皮革がスポーツ用手袋として用いられ、天然皮革と同
様な外観、風合い、水洗い可能などの特徴があり、多く
使用されるようになった。スエード調の外観を有するス
ポーツ手袋用素材としては様々な提案がなされ、多くの
素材が生み出されてきた。
【0003】しかし、ノンスリップ性が付与されたスポ
ーツ手袋用素材としては、外観、物性、ハンドリング性
を同時に十分満足させうる素材はいまだ得られていな
い。古くから編織物製の手袋については、ゴム等の弾性
体を点状に付与するなどの改良が行われているが、皮革
様極細繊維立毛シート製のスポーツ手袋については、極
細繊維立毛による摩擦抵抗により編織物製のものに比べ
てある程度のグリップ製は確保されているものの、積極
的な改良はなされていなかった。
【0004】ノンスリップ性を有するシートを得る方法
として種々の方法が提案されている。例えば特公平7ー
30285号公報には、分子中に水酸基を有するポリウ
レタン樹脂、分子中に水酸基を有する液状ゴム、無機ま
たは有機系の充填材、およびイソシアネートプレポリマ
ーを配合した被膜用組成物をシート表面にコートする方
法が、また実開昭63ー197475号公報には、不織
布にゴム弾性を示す樹脂を含浸固化させ、そしてその中
間層にてスライスする方法が、さらに特開昭63ー15
2483号公報には、ゴム系素材にゼラチンを混入して
加熱発泡成形したのち、その成形品の表面スキン層の一
部を取り除き、そして表面のゼラチンを熱水にて除去し
て表面を多孔構造とする方法が、それぞれ提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の、分子中に水酸基を有するポリウレタン樹脂、分子中
に水酸基を含有する液状ゴム、無機または有機系の充填
剤、およびイソシアネートプレポリマーを配合した被膜
用組成物をシート表面にコートする方法では、コートさ
れる面は繊維と樹脂が混在する表面ではなく、したがっ
て得られるシートは透湿性が低く、スポーツ用手袋に使
用された時に微妙なハンドリング性が得られない。さら
に得られるノンスリップ性に関しても満足できるもので
はない。また上記の、不織布にゴム弾性を治す樹脂を含
浸固化させてその中間層にてスライスする方法では、繊
維立毛が表面にあり、含浸させた樹脂の効果が十分に発
揮されない。さらに上記の、ゴム系素材にゼラチンを混
入して加熱発泡成形した成形品の表面スキン層の一部を
取り除きかつ表面のゼラチンを熱水にて除去して表面を
多孔構造とする方法の場合には、基体層が多孔質である
ため、機械的強度が不足しており、スポーツ手袋のハー
ドな使用には適さないものであった。
【0006】スポーツ用手袋は、ノンスリップ性が要求
され、さらに水や汗等により濡れている場合にも滑るこ
とが少ないことが要求される。
【0007】これらの問題に対し、本発明者らはこれま
でにノンスリップ性を付与する樹脂を人工皮革表面に柄
塗布する技術を見出した(特開平9−250091号な
ど)が、この方法により作製した人工皮革は、優れたノ
ンスリップ性を有し実用性に優れる一方で、そのノンス
リップ性ゆえに表面タッチの滑らかさに乏しいという欠
点を有していた。
【0008】本発明の目的は、優美な外観とノンスリッ
プ性に優れ、かつ吸湿性を有し、ハンドリング性に優
れ、十分なる機械的強度を有する上に、滑らかな表面タ
ッチをも兼備したスポーツ用手袋を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに本発明者らは鋭意研究を行い、その結果、優美な外
観とノンスリップ性に優れ、かつ吸湿性を有し、ハンド
リング性に優れ、十分なる機械的強度を有する上に、滑
らかな表面タッチをも兼備したスポーツ用手袋を作製す
ることが可能であることを見出した。すなわち本発明
は、スポーツ用手袋の掌側の少なくとも一部および指部
分の掌側の少なくとも一部に、0.3デシテックス以下
の極細繊維を主体とする繊維からなる三次元絡合不織布
と高分子弾性体からなる基体表面が、該極細繊維からな
る立毛のみに覆われた部分と該極細繊維からなる立毛と
ノンスリップ性を付与する樹脂が混在一体化した部分か
らなり、該樹脂には偏平微粒子が混合されている人工皮
革シートが使用されていることを特徴とするスポーツ用
手袋である。
【0010】また、本発明におけるスポーツ用手袋は、
以下の(1)から(8)の工程を順次行うことにより得
られる。 (1)0.3デシテックス以下の極細繊維を発生する極
細繊維発生型繊維を主体とするステープルを、カージン
グしてウェッブとする工程、(2)ウェッブを積層し、
ニードルパンチして不織布とする工程、(3)ニードル
パンチした不織布をプレスする工程、(4)高分子弾性
体溶液または分散液を含浸し、高分子弾性体を凝固させ
る工程、(5) 極細繊維発生型繊維から極細繊維を発
生させ、人工皮革基体を得る工程、(6) 得られた基
体表面をサンドペーパーでバフィングして、該表面に立
毛を形成させる工程、(7)ノンスリップ性を付与する
樹脂の溶液または分散液に偏平微粒子を混合した混合液
を上記(6)で得られた立毛表面に柄状に塗布する工程
(8)(7)で得られたシートを、掌側の少なくとも一
部および指部分の掌側の少なくとも一部として用い、縫
製して手袋とする工程。但し、上記工程(4)と(5)
は、順序を逆転させてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いる繊度0.3デシテ
ックス以下の極細繊維を発生させる極細繊維発生型繊維
は、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマー
を複合紡糸または混合紡糸することにより得られる。そ
の代表的な繊維の形態はいわゆる海島型断面繊維と呼ば
れるものである。この繊維から海成分ポリマーを除去す
ることにより極細繊維が形成される。繊維の島成分ポリ
マーとしては、溶融紡糸可能で、強度等の繊維物性を十
分に発揮するポリマーであって、紡糸条件下で海成分ポ
リマーより溶融粘度が大きく、かつ表面張力が大きいポ
リマーが好ましく、例えば6−ナイロン、66−ナイロ
ン等のポリアミド系ポリマー、およびこれを主体とする
共重合体、ポリエチレンテレフタート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル系ポリマー、およびこれ
を主体とする共重合体等が好適に用いられる。また海成
分ポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶融粘度が
低く、島成分との溶解性、分解性を異にし、海成分の溶
解、除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解性が
大きく、島成分との相溶性の小さいポリマーが好まし
い。例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、変性ポリエステルなどが好適に
用いられる。好ましくは、島成分ポリマーより低い融点
又は軟化点を有するポリマーである。
【0012】本発明における繊度0.3デシテックス以
下の極細繊維(A)を発生させる極細繊維発生型繊維、
すなわち海島繊維の好適な海島体積比率は海:島=30
/70〜70/30の範囲である。海成分が30%未満
では溶剤または分解剤などで溶解または分解除去する成
分が少なすぎて柔軟性が十分発現できず、海成分が70
%を越える比率では、溶解または分解除去後の島成分か
らなる繊維の絶対量が少なく皮革様シートとしての充分
な物性が確保できず、また溶解または分解除去する成分
が多いことは生産性の観点からも不適切である。
【0013】本発明における海成分を溶解除去した後の
好適な島成分、すなわち極細繊維の平均繊維デシテック
スは0.3デシテックス以下、好ましくは0.1デシテ
ックス以下、より好ましくは0.05デシテックス以下
である。島成分の繊維デシテックスが0.3デシテック
スを超える場合には、基体の柔軟性が損なわれゴワゴワ
とした触感となる。特に0.1デシテックス以下の場合
には、高級感ある微細な立毛繊維に覆われたスエード調
のものとなる。極細繊維発生型繊維は、以下従来公知の
方法によって、延伸、捲縮、熱固定、カット等の処理を
経て、ステープルとされる。
【0014】極細繊維発生型繊維のステープルには例え
ばシリコンなどの油剤を付与してもよい。その油剤の種
類としては、繊維間の摩擦を下げる効果のあるポリオル
ガノシロキサンや各種の変性されたシリコン系の油剤、
および繊維間をまとめ対金属間の摩擦を下げる効果のあ
る鉱物油系の油剤、その他帯電防止剤等の公知の油剤を
繊維の特質を考慮しながらブレンドして付与する。付与
する工程としては各繊維の捲縮前、捲縮後、両繊維の混
綿時いずれでもよい。また極細繊維発生型繊維に種類の
異なる油剤を付与してもよい。極細繊維発生型繊維はカ
ード、ニードル工程での巻き付きや繊維割れなどのトラ
ブルが起きやすく、したがって繊維に摩擦係数を軽減す
る油剤を重点的に付与するのが好ましい。続いて、極細
繊維発生型繊維ステープルを公知の方法でカード、ウェ
ッバーを通してランダムウェッブまたはクロスラップウ
ェッブとし、これらのウェッブを積層することにより得
ることができる。
【0015】本発明におけるニードルパンチのフェルト
針は公知のものが用いられるが、ウェッブの厚さ方向へ
の縫いつけを行うには繊維切れの起きにくい1バーブ針
が好適に用いられる。また不織布の表面の比重を上げる
ためには3バーブ、6バーブ、9バーブ等の多バーブの
針が使用できる。目的によってこれらの針を組み合わせ
て良い。
【0016】ニードルパンチ工程におけるパンチ数は使
用する針の形状や、ウェッブの厚みにより異なるが、2
00〜2500パンチ/cm2の範囲で設定される。一
般的に極細繊維発生型繊維のニードルパンチにおいて
は、ニードルパンチ条件が強すぎる場合には極細繊維発
生型繊維の切断や繊維割れがおこり、絡合が向上せず、
またニードルパンチ条件が弱すぎる場合には厚み方向に
並ぶ繊維数の不足をまねき絡合が向上しないし、美しい
毛羽密度の高い高級感あるスエード面が得られにくい。
【0017】ニードルパンチされた不織布は次に表面を
平滑化し、厚みを規制するため、厚さ方向にプレスす
る。プレスの方法は、複数の加熱ロール間を通す方法、
予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法等従来公知の
方法が利用でき、極細繊維発生型繊維中の海成分すなわ
ちポリエチレンなどの低溶融粘度成分の溶融・圧着によ
り、より不織布の平滑化を達成することが出来る。なお
この工程の際に、テンションやプレス等による工程の形
態変化を抑制する目的でポリビニルアルコールやデンプ
ン、樹脂エマルジョン等の除去可能接着剤を付与するこ
とは差し支えない。
【0018】面を平滑化した不織布は次に高分子弾性体
溶液または分散液を含浸し、スポンジ状に凝固させる。
高分子弾性体としては従来から皮革様シートの製造に用
いられている樹脂が好適に用いられる。すなわち、ポリ
ウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸
系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、および
これらの共重合、これらの混合物等が好適である。なか
でもポリウレタン樹脂が天然皮革様の風合い、触感等が
得られることから好ましい。これらの樹脂は水系エマル
ジョンまたは有機溶剤溶液として前記不織布に含浸した
後、湿式凝固等を行うことによりスポンジ状に凝固す
る。
【0019】高分子弾性体溶液または分散液を含浸凝固
した繊維質基体は、次に、極細繊維および高分子弾性体
の非溶剤であり、極細繊維発生型繊維の海成分の溶剤ま
たは分解剤である液により該海成分を溶解または分解除
去することにより0.3デシテックス以下の極細繊維を
発生させ、極細繊維と高分子弾性体からなる人工皮革基
体を得る。なお、高分子弾性体を含有させる工程と、極
細繊維発生型繊維を極細化する工程とは、順序を逆転さ
せてもよいが、柔軟な皮革様シートを得る点からは、高
分子弾性体を含有させる工程を行った後に、極細繊維発
生型繊維を極細化する工程を行うのが好ましい。
【0020】人工皮革基体の厚みは用途に応じて任意に
選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは
0.3mm〜3mmである。また極細繊維を主体とする
繊維質材料と高分子弾性体との量比としては、重量比で
35/65〜65/35が好ましい。この範囲を外れる
と繊維と弾性重合体とのバランスが悪くなり、製品とし
ての充実感や柔軟性が得られなくなる。
【0021】基体層の表面に立毛を存在させる方法とし
ては、特に限定されないが、好ましくはサンドペーパー
などの研磨材にて表面を擦り、繊維を掘り起こす方法が
高級感のある天然皮革様の面感が得られるので好まし
い。立毛は、特に基体層にハンドリング性および表面塗
布樹脂を強固に接着させる点から必要である。
【0022】表面を毛羽立てた皮革様シートを次に染色
する。染色は、通常の染料液浴中に浸漬して染色する方
法の他に、捺染方法を用いて染色することもできる。こ
のようにして所望の色調に染色された人工皮革の表面に
ノンスリップ性を付与する樹脂を部分的に付与する。ノ
ンスリップ性を付与する樹脂しては、ブタジエン、イソ
プレン系等のゴム系ポリマー、アクリル系ポリマー、ま
た、その他の樹脂とのブロック共重合ポリマー等が好ま
しく用いられる。また、上記樹脂にポリテルペン系樹
脂、石油系炭化水素樹脂など公知の粘着樹脂を添加して
も良い。さらに、無機または有機の粒子や粉体等を添加
することでノンスリップ性を調整することも可能であ
る。さらに滑り止め効果をさらに向上させるために、表
面樹脂を付与するに先立って、基体層の表面を賊型して
面に凹凸を与えることが好ましい。また軟化剤、充墳
剤、老化防止剤などを、表面の摩擦抵抗が低下しない範
囲であれば表面樹脂に添加してもよい。また、表面に水
分が付着したときにもノンスリップ性が低下しないよう
に、水分を含んだ際にノンスリップ性を発揮する化合物
を添加することも好ましく用いられる。そのような化合
物としては、アビエチン酸系化合物が挙げられ、特に軟
化点が65〜80℃である化合物が好ましい。具体的に
は、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエ
チン酸、ピマル酸、パラストリン酸等の化合物及びこれ
ら化合物の水素添加物が挙げられる。また、天然ロジン
を使用しても良い。もちろんこれらを混合して用いても
よい。さらに、樹脂塗布部分と極細繊維立毛部分の濃度
さ・色差を出し、柄感を強調するために、樹脂に顔料・
染料を添加しても良い。
【0023】ノンスリップ性を付与する樹脂に混合する
偏平微粒子としては、粒径が0.5μm〜150μm、
厚みが0.1μm〜10μm、偏平度(頂面または底面
の面長径と粒子厚みとの比)が10〜500の微粒子で
あり、頂面および/または底面が平面、好ましくは鏡面
であるようなものであれば特に制限はなく、種々の無機
微粒子、有機微粒子を用いることができる。特にその工
業的入手性、ハンドリング性の面から、雲母に酸化チタ
ンをコーティングした市販のパール顔料が好ましい。
【0024】この偏平微粒子をノンスリップ性を有する
樹脂に混錬した後基体層表面に塗布することにより、偏
平微粒子の一部がその平滑な面を樹脂表面に露出し、樹
脂表面の滑り抵抗を低下させ、結果としてスポーツ用手
袋の表面タッチを滑らかなものとする効果がある。この
効果を十分に発揮させるために、偏平微粒子の添加量と
しては、好ましくはノンスリップ性を有する樹脂に対し
て0.01重量%〜300重量%、より好ましくは0.
05重量%〜100重量%である。添加量が0.01重
量%以下では上述の効果が十分に発現せず、300重量
%以上では製品からの偏平微粒子の脱落が問題となる。
【0025】さらに偏平微粒子として、鏡面を有するよ
うなものを使用した場合には、表面外観に光沢を帯び、
最終的なスポーツ用手袋に高級感が出るという効果も発
現する。
【0026】偏平微粒子とノンスリップ性を有する樹脂
液を混錬する方法としては、十分に混合されている限り
において特に制限はなく、通常の機械混合により実施す
ることができる。
【0027】偏平微粒子が混合されたノンスリップ性を
付与する樹脂液を塗布する方法としては、特に限定され
るものではないが、柄模様を有するグラビアロールにて
塗布する方法、スクリーン捺染方式で塗布する方法が好
適に用いられる。一方、ナイフコートなど表面に一定の
厚みを持って全面にコートする方法、工程紙など基材に
樹脂を全面塗布して製膜し、接着層を介して基体層に接
着する方法、押し出し機からダイを通じて基体層上に均
一に押し出して表面に製膜する方法等があるが、これら
の方法では、基体層表面全体に塗布されているため、立
毛繊維によるスエード調の外観および立毛部と立毛と樹
脂が混在一体化した部分による微妙なハンドリング性が
得られず、また連通孔による表面に付着した水分の基体
層内部への吸収効果も得られないため好ましくない。
【0028】上述したように、偏平微粒子が混合された
ノンスリップ性を付与する樹脂は基体層表面一面に塗布
されているのではなく、人工皮革シート表面は、偏平微
粒子が混合されたノンスリップ性を付与する樹脂と極細
繊維立毛が混在一体化した部分と極細繊維からなる立毛
のみに覆われた部分からなる必要がある。また、その樹
脂の塗布部分の巾は、少なくとも0.2mm、好ましく
は0.5mm以上あれば、立毛により樹脂の塗布部分が
隠されることなく、本来のノンスリップ性を十分発揮可
能である。もっとも好ましくは、人工皮革シート表面か
ら任意の直径2cmの円を取り出した場合に、そのいず
れの円にも、塗布された部分と塗布されていない部分が
存在する場合である。なお本発明で言う「極細繊維から
なる立毛のみに覆われた部分」とは、人工皮革シート表
面を肉眼で見た場合に、実質的に立毛繊維で覆われてい
るように見える部分のことを意味している。
【0029】また、ノンスリップ性を付与する樹脂の塗
布量は、固形分で2〜50g/m2、好ましくは、5〜
20g/m2である。2g/m2以下では、十分なノンス
リップ性を付与できず、また、50g/m2以上ではタ
ック感が有りすぎ、取り扱いが困難となる。また、樹脂
の塗布される面積は、全表面積の10〜80%、好まし
くは、30〜60%のものがよい。10%以下では、極
細繊維立毛の影響が強く出過ぎて、ノンスリップ感が不
十分となる。また、80%以上では、極細繊維立毛部分
が少なすぎ、吸水性、透湿性、さらに外観的にも好まし
くない。
【0030】また、樹脂が極細繊維と混在一体化するこ
とで、極細繊維そのものが有するノンスリップ性と樹脂
が有するノンスリップ性が相乗効果を発揮して、より好
ましいノンスリップ性を発揮することが出来る。また、
樹脂が極細繊維と支えられ、摩耗による脱落・樹脂層の
破壊が防止され、好ましいノンスリップ性の持続性が得
られる。こうして得られたシートを掌部分の少なくとも
一部及び指部分の掌側の少なくとも一部となるように縫
製する。好ましくは、掌部分と指部分の掌側部分が全
て、上記したノンスリップ性人工皮革により形成されて
いる場合である。ノンスリップ性人工皮革の裁断形状、
手袋の縫製方法等に関しては、従来のスポーツ手袋に用
いられているものがそのまま実施できる。具体的なスポ
ーツ手袋としては、ゴルフ用手袋、野球用手袋、スキー
用手袋、自転車用ライダー用手袋、オートバイライダー
用手袋などが挙げられる。このようにして得られる本発
明のスポーツ用手袋は優美な外観、優れたノンスリップ
性、高い耐久性を有する。
【0031】
【実施例】次に本発明の実施態様を実施例で具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中の部数及び%は特に断わりのな
い限り重量に基づくものである。
【0032】実施例1 ナイロンとポリエチレンをチップで50/50の量率で
混合して、押し出し機にて島成分が6−ナイロンであっ
て、海成分が高流動性低密度ポリエチレン(海成分/島
成分比率=50/50)からなる600島の海島型繊維
を紡糸した。得られた糸を延伸、クリンプ、カットし
て、3.5デシテックス、カット長さ51mmのステー
プル繊維を得た。該ステープル繊維をカードに通し、ク
ロスラッパー方式によりウエッブとし、積層した。次に
針に1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて980
P/cm 2の針刺し密度でニードルパンチして目付45
0g/m2の不織布を得た。この不織布を加熱後、プレ
スして表面を平滑にした後に13%のポリウレタンのジ
メチルホルムアミド(DMFと略す)溶液を含浸し、D
MF水溶液で凝固し、湯洗し、熱トルエンで繊維中の海
成分であるポリエチレンを抽出除去し、0.045デシ
テックスの太さの6−ナイロンの極細繊維とポリウレタ
ンからなる人工皮革用基体を得た。この人工皮革基体を
厚さの中間で2分割し、分割面をサンドペーパーでバフ
ィングして厚さを0.5mmとした後、凝固時の表面を
エメリーバフ機で処理して立毛面を形成し、下記の2:
1型金属錯塩染料を用いてウィンスタイプの染色機にて
浸染染色した。 染料:ラニールブルーBW(住友化学)1.2% 均染剤:1% 染色後、ソーピング、水洗し、乾燥、整毛して厚さ0.
5mm、目付210g/m2のスエード調人工皮革を得
た。
【0033】ノンスリップ性を付与する樹脂として、ス
チレンーイソプレンブロック共重合ポリマーの水素添加
物(SEPS)[(株)クラレ製セプトン2043を3
0部トルエン100部に溶解した液を調製し、これと市
販のパール顔料(商品名:「093EB」日弘ビックス
(株)製)0.5部とを24時間機械混合した。この混
合液を格子模様のプリントロールにて、基体層の立毛面
に30g/m2の塗布量(固形分10g/m2)で塗布し
た。塗布面を観察すると、樹脂層は平均巾1mmの直線
からなる格子状に塗布されており、かつ向かい合う直線
との間には塗布されていない部分が幅約2mmで存在し
ていた。樹脂が塗布された部分の表面積は全表面積の5
6%であった。さらに塗布面には光沢感があり、外観も
高級感に溢れていた。またこの皮革様シートを厚さ方向
の切断面に電子顕微鏡により観察すると、基体層の表面
から内部さらに裏面に至る孔が無数に存在していること
が分かった。この皮革様シートをゴルフ手袋の掌部分及
び指部分の掌側の面に使用して、ゴルフ手袋に加工して
打ちっぱなしの実用テストを行ったところ、表面触感は
タック感があり、かつ滑らかさも兼備しており、水に濡
れたときも若干スリップ気味になったが滑り止めの効果
は失われなかった。またこのゴルフ手袋を用いて、1回
30分の打ちっぱなしを週2回の割合で3ヶ月間にわた
り実用テストを実施した結果、表面樹脂およびパール微
粒子の剥離はほとんど見られず、ノンスリップ性の低下
はなかった。さらに引張強度等の機械的性能においても
優れたものであった。
【0034】実施例2 上記実施例1の工程にてノンスリップ性を高める樹脂に
さらに摩擦性を高めるために粘着付与剤(ポリテルペン
系樹脂)及びロジンを該樹脂に対して各30%添加して
処理を行ったところ、表面タック感が良好で肌合いも優
れた皮革様シートが得られた。この皮革様シートをゴル
フ手袋に加工したところ、実施例1のものより優れたノ
ンスリップ性を示した。
【0035】比較例1 上記実施例1において、パ−ル顔料を混錬したスチレン
ーイソプレン共重合ポリマーの水素添加物を基体層上に
25g/m2の塗布量で全面に塗布したところ、ノンス
リップ性のあるシートが得られた。これをゴルフ手袋に
加工して使用試験を行ったが、雨水等で水が付着したと
き、吸収されず樹脂表面に浮いた状態になり、ノンスリ
ップ性を阻害された。またスエード感がまったくなく、
外観的に商品価値に劣る物であった。
【0036】比較例2 上記実施例2において、パール顔料を添加せずに樹脂を
柄塗布したところ、ノンスリップ性のあるシートが得ら
れた。しかし、乾燥状態においてもノンスリップ性が強
いために、商品加工時にシート同士の付着が発生するな
どハンドリングに問題があるものとなった。さらにこれ
をゴルフ手袋として加工し使用試験を行ったところ、8
割のモニターが「ドライ時のタック感が強すぎる」と評
価し、商品価値の低いものであった。
【0037】
【発明の効果】本発明により、乾いている場合はもちろ
んのこと濡れている場合においてもノンスリップ性・ハ
ンドリング性に優れる上に適度な滑らかさも兼備し、し
かも十分なる機械的強度を有し、さらに柄状になってい
る樹脂塗布部分と立毛部分の濃度さ・色差・外観差、偏
平微粒子添加によって得られる光沢による優美な外観を
有するスポーツ用手袋が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 史洋 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 小野田 明俊 大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会社 クラレ内 Fターム(参考) 3B033 AB02 AB07 AB10 AC06 AC07 4F055 AA02 AA27 BA02 CA10 DA07 EA11 EA24 EA30 FA01 GA22 HA04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スポーツ用手袋の掌側の少なくとも一部
    及び指部分の掌側の少なくとも一部に、0.3デシテッ
    クス以下の極細繊維を主体とする繊維からなる三次元絡
    合不織布と高分子弾性体からなる基体表面が、該極細繊
    維からなる立毛のみに覆われた部分と該極細繊維からな
    る立毛とノンスリップ性を付与する樹脂が混在一体化し
    た部分からなり、該樹脂には偏平微粒子が混合されてい
    る人工皮革シートが使用されていることを特徴とするス
    ポーツ用手袋。
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