JP5106931B2 - ボール - Google Patents
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Description
また、バスケットボール等のボールには、操作性を向上するための特性としてノンスリ
ップ性が要求される。ノンスリップ性に優れたバスケットボールとしては、ボール本体の
外表面に、9個ないし12個のカバーパネルとそれらのカバーパネルを接合する溝形成部
材からなるバスケットボールが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、特許
文献3においては、カバーパネルの接合部分の溝形成部材の面積比率が小さいため、十分
なノンスリップ性を得ることは困難である。
さらに、外表面に多数の特定の窪みを有するバスケットボールが提案されている(特許文献5参照)。特許文献5によると、この窪みの形状は、凸凹部の高低差が200〜500μm、隣接する凹部の垂直投影面積が79〜314mm2(直径10〜20mm)、凹部同士の平均間隔が8〜16mm(5/16 - 5/8 inches)である。しかしながら、繊維基材を含むシートからなるボールにおいては、このように大きな窪みを設けると耐磨耗性が低下したり、クッション性、ノンスリップ性が劣るという問題がある。
また、ポリウレタンを含有する繊維素材の表面にポリウレタンの湿式凝固被覆層が積層され、該被覆層表面に複数の突起と突起間の谷を有し、該突起の側面が開孔している吸汗性を有するボール用素材(特許文献6参照)が提案されている。しかしながら、特許文献4の素材は、汚れが付きやすく、長期間使用していると汚れが蓄積して、ノンスリップ効果が極端に落ち、使用に耐えなくなるとともに、ソフトなクッション性も満足できるものではなかった。
すなわち、本発明は、
(1)繊維基材の表面に実質的に連続する凸部とそれに隣接する半球状の凹部を有する被覆層が形成され、凸部と凹部の高低差が50〜1000μm、隣接する凹部の垂直投影面積が3〜30mm2、凹部同士の平均間隔が0.5〜3mmからなるシートであって、さらに表面には深さが該凹部の深さ未満でかつ10〜100μmの二次凹凸が形成され、該二次凹凸の全投影面積の総面積が連続する凸部の面積比率で1〜30%であるシートからなる、バスケットボール用、ハンドボール用、ラグビーボール用、アメリカンフットボール用のいずれかのボールである。そして、
(2)被覆層が高分子弾性体で形成されたものである(1)に記載のボール。
(3)高分子弾性体が多孔質状態となっているものである(1)または(2)に記載のボール。
(4)凹部の垂直投影面積の総面積が、シートの表面積の30〜60%である(1)〜(3)のいずれかに記載のボール。
(5)凸部表面または凹部表面の少なくとも一部がノンスリップ性の樹脂で被覆されている(1)〜(4)のいずれかに記載のボール。
(6)繊維基材が、繊維絡合体と高分子重合体からなる皮革様繊維基材である(1)〜(5)のいずれかに記載のボール。
(7)繊維基材の厚さが0.4〜3.0mmである(1)〜(6)のいずれかに記載のボールである。
「実質的に連続する凸部」を有するシートの形成方法としては、安定的に所望の凹凸形状が付与可能な方法であれば、従来公知の方法が何れも採用可能である。例えば、繊維基材の表面に形成された高分子弾性体からなる被覆層の表面を、所望の凹凸形状を有するエンボスロール等により型押しをする方法、あるいは所望の凹凸形状を有する離形シートに高分子弾性体液を流延・固化させて形成した高分子弾性体層をシートの表面層として使用する方法などを採用することができる。
エンボスロールを使用して、所定の凸部を形成する場合は、使用するロールのシボ深さとロールの温度、圧力、時間の条件を適宜設定して行うことができる。これらの条件は、特に制限されないが、ロールのシボ深さ80〜1100μm、ロール温度150〜180℃、プレス圧5〜50kg/cm、時間10〜120秒間の範囲で調整し、希望のエンボスシボ深さを得ることができる。
凹部の垂直投影面積の総面積は、シートの表面積に対する比率で好ましくは30〜60%であり、より好ましくは40〜50%である。凹部の総面積の割合が30%未満だと、掌でボールを把持した際に、一本の指先で把持する凹部の面積及び個数が減少するため、良好なノンスリップ性は得られ難い場合があり、一方60%を越えるとノンスリップ性は良好となるが、ボールとして使用した際の耐磨耗性が低下する場合がある。ここで、凹部の垂直投影面積の総面積のシート表面積に対する比率は、半球状の凹部の垂直投影面積を電子顕微鏡により測定し、単位面積当りの比率より求める。
また、凹部の形状は半球状であることが重要である。ここで「半球状」とは、完全な半球であることを意味するものではなく、概略の形状が半球状になっていることを意味する。そして、本発明の「半球状」の形状は、球の中心を通らない面で切断して形成される体積の小さい方の立体の形状が好ましい。凹部の形状をこのような半球状とすることで、非半球状では得られないような立体形状自体の耐久性、耐磨耗性と、指先の形状にフィットし、良好なノンスリップ性を兼ね備えたものとすることができる。
また、本発明の半球状の凹部同士の平均間隔は0.5〜3mmである必要がある。0.5mm未満の場合、凹部同士が近づきすぎて凸部の形状が部分的にシャープになりすぎるため、ソフト性、クッション性及び触感、さらに表面摩耗強度に劣るものとなる。また3mmを超える場合、フィット性やノンスリップ性に劣るものとなる。凹部同士の平均間隔は、好ましくは1〜2mmである。
なお、「凹部同士の平均間隔」とは、表面を電子顕微鏡にて撮影し、任意の凹部10点を選び、その凹部の外周を基準に隣りあう凹部の最短距離を測定した平均値をいう。また、凹部が前記のとおり全て曲線であれば、シート表面の垂線となす角度が45°の部分を凹部と凸部との境界とし、あるいは角があればその部分を凹部と凸部との境界として、境界線に囲まれた部分を外周とする。
二次凹凸が凹部の場合、二次凹部の深さは本発明の半球状の凹部の深さ未満であって、10〜100μmである。そして好ましくは、20〜70μmである。凹部の深さが半球状の凹部よりも深い場合、耐磨耗性および審美性に劣り、凹部の深さが10μmに満たない場合、ボールを把持する手の指紋との引っ掛りが不十分となる。凹部の深さが100μmを超える場合は、シャープな凹凸模様を付与することが困難となると共に、審美性の乏しい外観となる。二次凹凸の全投影面積の総面積が、連続する凸部(凹部以外の部分)の面積比率で1〜30%であることが好ましく、3〜20%であることが好ましい。二次凹凸の面積比率が1%に満たない場合は、このボールをつかむ手の指紋の微細凹凸とかみ合う部分が不足し、良好なノンスリップ性を得ることは出来ず、30%を超える場合は、隣接する一次凸部間の間隔が狭くなりすぎ一次凸部を付与した効果が得られなくなり、良好なノンスリップ性が得られないと同時に、審美性の乏しい外観となり好ましくない。
エンボスロールを使用して、所望の二次凹凸を形成する場合は、使用するロールの凹凸部高さとロールの温度、圧力、時間の条件を適宜設定して行うことができる。これらの条件は、特に制限されないが、ロールの凸部高さ80〜700μm、ロール温度150〜180℃、プレス圧5〜50kg/cm、時間10〜120秒間の範囲で調整し、所望の凹部深さを得ることができる。
または、一回の賦形処理で二次凹凸も同時に付与できるよう、一次凹凸の凹部以外の部分に二次凹凸が存在するように、あらかじめ凹凸を付与した形状のエンボスロールを作製して使用することも可能であり、経済的には好ましい方法である。
またノンスリップ性の樹脂には、ポリテルペン樹脂、石油系炭化水素樹脂など公知の粘着付与剤を添加してもよい。また無機又は有機の粒子や粉体等を添加することによりノンスリップ性を調節することも可能である。さらに軟化剤、充墳剤、老化防止剤などを、表面の摩擦抵抗が低下しない範囲であれば表面樹脂に添加してもよい。
本発明のシートに用いることができる繊維基材としては、天然皮革、編織物、あるいは不織布等の各種の繊維基材を使用することができる。編織物、あるいは不織布等を繊維基材として使用する場合は、必要に応じてこれらに高分子弾性体が含有されたものなども使用可能であり、また皮革様シートとして従来公知のものが何れも使用可能である。これらの中では、繊維絡合体と高分子弾性体からなる皮革様の繊維基材が好ましく、特に、繊維絡合体として使用する3次元絡合不織布の内部に高分子弾性体がスポンジ状態で含浸されているものが好ましい。これは、シートの表面に存在する連続した凸部に隣接して存在する凹部がボールをつかむ指先とかみ合い、しかもシートの表面のタッチ、風合いが柔軟であり、ある程度のクッション性を有していることによりノンスリップ性が向上するからである。
極細繊維発生型繊維を経由して極細繊維を得る方法(b)としては、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマーを複合紡糸または混合紡糸し、この繊維から該ポリマーの少なくとも一成分を抽出除去又は分解除去、あるいは構成ポリマーの界面でポリマーを分割剥離する方法が一般的である。少なくとも一成分を除去するタイプの極細繊維発生型繊維の代表的な繊維の形態としては、いわゆる「海島型繊維」と呼ばれるものや、「多層積層型繊維」などが挙げられる。
海島型繊維の場合には海成分ポリマーを抽出除去又は分解除去することにより、また多層積層型繊維の場合には少なくとも何れかの積層成分ポリマーを抽出除去又は分解除去することにより、残った島成分からなる極細繊維束が得られる。また、構成ポリマーの界面で剥離分割するタイプの極細繊維発生型繊維の代表的な繊維の形態としては、いわゆる花弁状積層型繊維や多層積層型繊維などが挙げられ、物理的処理、あるいは化学的処理により積層する異種ポリマー間の界面で相互に剥離させることにより極細繊維束を得ることができる。
また海島型繊維または多層積層型繊維の海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶融粘度が低く、島成分との溶解性、分解性を異にし、海成分の溶解、除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解性が大きく、島成分との相溶性の小さいポリマーが好ましい。例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリスチレン、変性ポリエステルなどが好適に用いられる。
用いることのできる高分子弾性体としては、皮革様シートの製造に一般的に用いられている公知の高分子弾性体が何れも使用可能であり、例えばポリウレタン系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ゴム系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、およびこれらの変成物、共重合物、あるいは混合物等が好適な例として挙げられる。
ポリウレタン系樹脂の代表例としては、例えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオ−ル、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系の有機ジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種の有機ジイソシアネートと、ジオール、ジアミン、ヒドロキシアミン、ヒドラジン、ヒドラジドなどの活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物から選ばれた少なくとも1種類の鎖伸長剤とを所定のモル比で反応させることにより得られる各種のポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンは、必要に応じて、複数種のポリウレタンを混合したものを用いてもよく、また合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニルなどの重合体を添加して得た重合体組成物として使用することもできる。
一方、繊維シートの段階で極細繊維化処理をした場合には、高分子弾性体により極細繊維束が強く拘束されるため、皮革様基材の風合いがより硬くなる傾向にあるものの、皮革様基材中の高分子弾性体比率を少なくすることで硬くなる傾向は抑えることが十分に可能であり、繊維の比率がより高い場合に得られる充実感のあるしっかりした風合いを目的とする場合には好ましい方法でもある。
本発明において、高分子弾性体被覆層に連続した凸部をエンボスロールまたは平板エンボス等を用いて形成する場合は、高分子弾性体層が多孔質状態となっていることが好ましく、乾式法または湿式法で凝固、乾燥させる方法が好ましい。また、連続した凸部を離型紙を用いた転写方式で形成する場合は、特に制限はないが、表面タッチや風合いの点から乾式法または湿式法で凝固、乾燥させる方法が好ましい。凝固、乾燥の方法としては、分散液を使用する場合は、発泡剤などの添加剤を使用し、乾式法により凝固、乾燥を連続的に実施する方法が一般的である。溶液を使用する場合は、高分子弾性体の貧溶剤を含む処理液を塗布、あるいは処理浴内へ浸漬することにより、高分子弾性体を多孔質状態で凝固させる方法が一般的で好ましい方法である。
繊維基材として、繊維絡合体と高分子弾性体からなる繊維基材を採用する場合は、繊維基材に含浸させる高分子弾性体の凝固と被覆層を形成する高分子弾性体の凝固とが同時に完了するような方法を採用すると、凝固後の乾燥を1回で済ませることができる上、得られた皮革様シートにおいて繊維基材と高分子弾性体被覆層(多孔質表面層)との一体感が得られやすいので、本発明において好ましく採用される方法である。
ポリウレタン系樹脂としては、前記した各種のポリウレタンが挙げられる。また、必要に応じて複数種のポリウレタンを混合したものを用いてもよく、また合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニルなどの重合体を添加して得られる、ポリウレタンを主体とした重合体組成物として使用することもできる。主体として用いられるポリウレタンとしては、耐加水分解性、弾性などの点で、ポリテトラメチレングリコールに代表されるポリエーテル系のポリマージオールを主体として使用したものが好ましく用いられる。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
また、以下の実施例及び比較例における、ノンスリップ性、クッション性、ドリブル等の地面との衝突を想定した耐摩耗性テストは、次のとおり評価した。
[ノンスリップ性]
従来のバスケットボール(比較例1)に比べて、滑りにくいか滑りやすいかを、汗をかく前後で、任意に選出した10人のバスケットボールプレーヤーにより評価した。
[クッション性]
従来のバスケットボール(比較例1)に比べて、ボールをキャッチするときの衝撃が強いか弱いかを、任意に選出した10人のバスケットボールプレーヤーにより評価した。
[ドリブル等の地面との衝突を想定した耐摩耗性テスト]
ボールを発射速度37km/時で、1.6m離れた合板に入射角度60度で当てることを2万回くりかえし、その後のボール表面の状態を観察して以下のように評価した。
実用上問題のないレベル:表皮の剥れが見られず、著しい汚れがない。
実用上問題のあるレベル:空気挿入口の周囲や、ボール表面に表皮の剥れが見られる。または、著しく汚れている。
得られた凹凸形状は、連続した凸部とそれに隣接する凹部との高低差が何れの場所においてもほぼ同様の大きさであって、その平均値が400μmであり、また凹部の垂直投影面積、即ちシート表面に垂直な上面方向からの凹部の投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が7mm2であり、凹部同士の平均間隔が1.5mmであり、凹部の投影面積の合計面積の割合がシート全体の投影面積の40%であった。
次いで、連続した凸部のみを、先に着色した色にカーボンブラックを添加して黒味方向に色調を変化させたエステル系ポリウレタンインクでグラビア法により着色した。そして凸部着色面上に、高さ60μm、垂直投影面積が0.06mm2の突起状の凸部を有するエンボスロールを用いて、温度150℃、圧力6kg/cm、処理速度2m/分で型押しを行って二次凹凸を形成した。二次凹凸は、38μmで、二次凹部の全投影面積の割合が基材シートの全表面積の12%であった。
以上により得られたシートで被覆したバスケットボールを作製し、バスケットボールの試合に使用した。その結果、凸部の引っ掛かりにより従来のバスケットボールに比べて優れたノンスリップ性を有すると共に、凸部のクッション性としては従来のバスケットボールに比べると、ボールをキャッチする際に指先に受ける衝撃が大幅に低減されており、耐摩耗性も優れていた。成人用としてはもちろんのこと、特に指先が未発達な児童用としては従来のバスケットボールには実現できなかった適性を有するボールであった。また、汗をかいた場合にも良好なノンスリップ性を維持していた。
このようにして得られたシートで実施例1と同様にバスケットボールを作製し、使用したところ、実施例1と同様のクッション性と、実施例1より一段と優れたノンスリップ性を有しており、耐摩耗性も優れていた。そして一般的に成人より握力の弱い児童用としてさらに優れた適性を有するボールであった。
実施例1にて製造した凸部着色後のシート表面の凸部に、二次凹凸部を形成させることなく、実施例2と同様の方法でノンスリップ性を付与する樹脂を塗布した。
このようにして得られたシートで実施例1と同様にバスケットボールを作成し、使用したところ、従来のバスケットボールに比べて優れたノンスリップ性を有すると共に、凸部のクッション性としては従来のバスケットボールに比べると、ボールをキャッチする際に指先に受ける衝撃が大幅に低減されており、成人用としてはもちろんのこと、特に指先が未発達な児童用としては従来のバスケットボールには実現できなかった適性を有するボールであったが、実施例1のボールに比べノンスリップ性が低下し、特に汗でボール表面が濡れた際には滑ってコントロール性が低下した。
実施例1にて製造した凸部着色後のシート表面に高さ200μm、垂直投影面積が0.08mm2の台形状の凸部を有するエンボスロールを用いて、温度150℃、圧力6kg/cm、処理速度2m/分で型押しを行って二次凹凸を形成した。二次凹凸は、123μmで、二次凹部の全投影面積の割合が基材シートの全表面積の16%であった。
このようにして得られたシートは、表面がざらついた感じとなり、ボールをキャッチする際に指先に受ける衝撃が逆に強く、耐磨耗性に劣るものであった。また、審美性に乏しい外観となった。
実施例1にて製造した凸部着色後のシート表面に高さ10μm、垂直投影面積が0.02mm2の台形状の凸部を有するエンボスロールを用いて、温度150℃、圧力6kg/cm、処理速度2m/分で型押しを行って二次凹凸部を形成した。二次凹凸部は、5μmで、二次凹部の全投影面積の割合が基材シートの全表面積の4%であった。
このようにして得られたシートで実施例1と同様にバスケットボールを作成し、使用したところ、比較例1と同様に、実施例1のボールに比べノンスリップ性が低下し、特に汗でボール表面が濡れた際には滑ってコントロール性が低下するという意見があった。
エンボスロールにて付与する凹凸模様として一般的なバスケットボールに用いられている形状、即ち直径1.8mm程度で、高低差が200μm程度の半球状の突起が0.5mm間隔程度で隣接して多数存在し、実質的に連続した凸部を有しない形状のシート表面が得られるエンボスロールを使用した以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られたシートを表面に有するバスケットボールを作成して使用したところ、実施例1に比べるとクッション性に劣り、ボールをキャッチする際に指先に受ける衝撃が大きく、成人用としては使用可能ではあるが、児童用には不向きなレベルのボールであり、また実施例1と比べて滑りやすいものであった。
Claims (7)
- 繊維基材の表面に実質的に連続する凸部とそれに隣接する半球状の凹部を有する被覆層が形成され、凸部と凹部の高低差が50〜1000μm、隣接する凹部の垂直投影面積が3〜30mm2、凹部同士の平均間隔が0.5〜3mmからなるシートであって、さらに表面には深さが該凹部の深さ未満でかつ10〜100μmの二次凹凸が形成され、該二次凹凸の全投影面積の総面積が連続する凸部の面積比率で1〜30%であるシートからなる、バスケットボール用、ハンドボール用、ラグビーボール用、アメリカンフットボール用のいずれかのボール。
- 被覆層が高分子弾性体で形成されたものである請求項1に記載のボール。
- 高分子弾性体が多孔質状態となっているものである請求項1または2に記載のボール。
- 凹部の垂直投影面積の総面積が、シートの表面積の30〜60%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のボール。
- 凸部表面または凹部表面の少なくとも一部がノンスリップ性の樹脂で被覆されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のボール。
- 繊維基材が、繊維絡合体と高分子重合体からなる皮革様繊維基材である請求項1〜5のいずれか1項に記載のボール。
- 繊維基材の厚さが0.4〜3.0mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載のボール。
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