JP4132094B2 - 柔軟性および引裂強力に優れた繊維質シート状物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、人工皮革等の構成基体として用いられる、柔軟な風合いをもちあわせていて、引裂強力に非常に優れている繊維質シート状物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より柔軟な風合いをもちあわせている、および/または、引裂強力に優れている人工皮革等の構成基体用の繊維質シート状物について数多く提案されており、多くの素材が生み出されてきた。
柔軟な風合いの繊維質シートを得る方法としては、人工皮革用基体を作るに際し、繊維絡合不織布等の繊維構造体にポリビニルアルコール(以下PVA)等の可溶性樹脂を付着させ、重合体を含有せしめた後、PVAを溶解除去し、繊維と重合体との間に空隙を形成せしめる方法が、特公昭45−18745号公報、特公昭45−1943号公報、特開昭62−33885号公報、特開昭62−149986号公報に提案されている。これら水溶性高分子を付与することによって、繊維表面を水溶性高分子で被覆することにより繊維と弾性重合体とが接着することを防止し、より柔軟な風合いが得られることとなる。
また、引裂強力を向上させる方法として、特公昭59−39550号公報に不織布とポリウレタンエラストマーを主体とする重合体からなる多孔質シートに、ポリアミン誘導体のエピハロヒドリンによる重縮合カチオン活性剤を付与せしめることを特徴とする引裂強力の優れた多孔質シート、特開平5−279968号公報に繊維絡合不織布中の見掛け比重を上げることにより、繊維質シートの引裂強力を高める方法が提案されている。
また、高強力繊維による不織布に関するものとしては、補強用不織布、高強力シート状物などについて提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近来、靴用等に用いられる人工皮革の分野において高品質化が要求され、外観、風合い等の感性面と、引裂強力、機械的強度等の物性面をすべて満足させることが求められている。しかも最近の傾向から特に競技靴分野においては、薄地化、軽量化の傾向にあり、薄くて強いものが求められている。
しかしながら、従来公知である極細繊維束と高分子弾性体からなる人工皮革用基体では、外観、風合い等の感性面については申し分ないが、引裂強力、機械的強度の物性面については、繊維質基体を構成する繊維の物性自体に限度があり、用途によっては、著しく優れているものは得られていなかった。
引裂強力を向上させる手段として、例えば、特公昭59−39550号公報に不織布とポリウレタンエラストマーからなる多孔質シートに重縮合カチオン活性剤を付与する方法、また特開平5−279968号公報に繊維絡合不織布中の見掛け比重を高める方法が提案されているが、いずれの方法も高引裂強力シートとしては不十分なものであった。
また、高強力繊維による不織布シートについても、いくつかの提案がなされているが、人工皮革用基体として用いるには、外観、風合い等の感性面で劣るという問題があり、人工皮革用基体としては今まで用いられていなかった。
さらに、高強力繊維を不織布シートとした時デニールが太い為に、繊維同志の絡み合いが悪く、引裂き時に素抜け状態となり、高強力繊維自体の持つ物性面の効果が得られないという問題があった。
【0004】
本発明は、高強力繊維のもつ物性特性を損なうことなく、人工皮革用基体として応用するために、高強力繊維同志では絡み合いが悪かったものを、極細繊維を併用することにより、三次元絡合をより緻密化させ、高強力繊維自体のもつ物性特性を繊維質シートに生かすものである。
すなわち本発明は、該問題を解決し、人工皮革等の構成基体として用いられる、柔軟な風合いをもちあわせていて、引裂強力に非常に優れている繊維質シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、繊度0.1dr以下の極細繊維(A)および繊度1.0dr以上で強度10g/dr以上の高強力繊維(B)とが、A/Bが重量比で5/95〜50/50の比率で混合され、三次元絡合してなる繊維絡合不織布とその絡合空間に存在する弾性重合体からなる繊維質シート状物である。
【0006】
本発明の繊維シート状物は、例えば以下の工程を組み合わせることで得られる。すなわち、以下の▲1▼〜▲6▼の工程を順次行い繊維質シート状物を製造することができる。
▲1▼溶解または分解除去することのできる海成分中に、海成分より溶解性または分解性の低いポリマーからなる島成分が存在しており、かつ海成分を溶解または分解除去することにより島成分が残り、島成分として繊度0.1dr以下の極細繊維Aに変成し得る極細繊維発生型繊維、あるいは、接合力の低いまたは処理剤による分解性が異なるポリマーからなり、機械的にまたは処理剤によって各ポリマーからなる極細繊維にフィブリル化する極細繊維発生型繊維を製造する工程、
▲2▼極細繊維発生型繊維と繊度1.0dr以上で強度10g/d以上の高強力繊維Bとを混合する工程、
▲3▼該繊維の混合物からなる絡合不織布を製造する工程、
▲4▼必要に応じて不織布を溶解除去可能な樹脂などにより仮固定する工程、
▲5▼該絡合不織布に弾性重合体液を含浸し、湿式凝固し多孔質化する工程、
▲6▼該繊維のうちの極細繊維発生型繊維から極細繊維Aに変性する工程により、本発明の繊維質シート状物を得ることができる。
【0007】
本発明に用いる極細繊維Aは、少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊維発生型繊維からつくられる。例えば、海成分が溶剤または水酸化ナトリウム等の分解剤により溶解または分解することで島成分がフィブリル化する抽出型繊維あるいは機械的にまたは処理剤によって各ポリマーからなる極細繊維にフィブリル化する分割型繊維等があげられる。極細繊維発生型繊維は、必要に応じて延伸、熱処理、機械捲縮、カットなどの処理工程をへて、繊度1〜15drの繊維とする。
【0008】
また、極細繊維を構成するポリマーは、6−ナイロン、66−ナイロンをはじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする溶融紡糸可能なポリエステル類などから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。
また、抽出型繊維で抽出または分解除去される成分は、極細繊維成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、極細繊維成分との相溶性の小さいポリマーであり、かつ紡糸条件下で極細繊維成分より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合体、変性ポリエステルなどのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。
ここで極細繊維Aは繊度0.1dr以下となるようにする。好ましくは、0.1〜0.003drの範囲である。極細繊維Aの繊度が0.1drより大きいと繊維質シート状物としたときに、表面の平滑性が悪くなり、また柔軟な風合いのものは得られにくい。
【0009】
また本発明に用いる高強力繊維Bは、ポリアクリルニトリル系炭素繊維、超高強力ポリエチレン繊維、高強力ポリビニルアルコール系合成繊維(高強力ビニロン繊維)、全芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、全芳香族ポリエステル繊維など強度10g/dr以上を満足するものであればいずれの繊維でもかまわないが、好ましくは、カードの開繊性、不織布への加工性などから全芳香族ポリエステル繊維がよい。強度が10g/drより小さいと高強力繊維の特性が生かせず、絡合不織布とした時に、強力あるいは引裂強力に優れたものは得られない。
ここで繊維Bの繊度は1.0dr以上となるようにする。好ましくは、1〜20drの範囲である。1.0drより小さいとウエブを形成する際にカードの通過性が悪く、生産性に適していない。また、目付の均一なウエブが得られない。20drを越えると、繊維が剛直すぎるため良好な絡合不織布が得られず、本発明にそぐわないものとなる。
【0010】
極細繊維Aと高強力繊維Bとを混合する方法としては、紡糸後の繊維を延伸、油剤付与、機械捲縮をかけた後、カットしてステープルとしたものをブレンダーを使用して混合してよく、あるいは、フィラメントの段階で合糸により繊維束として混合する、また、それぞれの繊維でウエブを形成したあと積層しニードルパンチなどで絡合させ、繊維の一部を混合させるなど、いずれの方法でもかまわない。
ここで、極細繊維Aと高強力繊維Bとを混合する比率としては、A/Bが重量比で5/95〜60/40、好ましくは10/90〜50/50の範囲とする。Aの比率が5%未満であると繊維絡合不織布が、ほとんど高強力繊維で構成されるため、不織布を引裂く際に、素抜け状態となり引裂強力がそれほど高いものとならない。というのも本発明の構造が、極細繊維Aが高強力繊維Bに絡み付くことにより絡合性を高めているからである。さらに、Aの比率が5%未満ならば繊維質シートとした時の風合いが硬いものとなる。
逆にAの比率が60%を越えると高強力繊維Bの高強力特性が生かせず、繊維質シートとした時の引裂強力が高強力繊維Bを混合しない時とほとんど変わらない。
また、極細繊維Aと高強力繊維Bとを混合する際に、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル等の通常の繊維を、必要に応じて混合してもさしつかえない。
【0011】
混合繊維は、カードで開繊し、ウエーバーを通してランダムウエブ、またはクロスラップウエブを形成し、得られた繊維ウエブは、所望の重さ、厚さに積層する。次いで、ニードルパンチ、高速流体パンチなどの公知の方法で絡合処理を行って絡合不織布とするか、あるいはこのステープルを編布に水流等を使用して絡合させ、繊維絡合不織布とする。
繊維絡合不織布の目付、見掛け比重は、特に限定されるものではなく、目的とする最終的な用途分野に応じて適宜選択すればよいが、通常、目付100〜1000g/m2 、見掛け比重0.15〜0.5の範囲から選ばれる。
【0012】
必要に応じて、絡合不織布の表面を平滑にしたり、風合いなどの機能性を高めるために、溶解除去可能な樹脂を付与して仮固定する。溶解除去可能な樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂など溶解除去可能な樹脂であればいずれでもかまわないが、生産性など取り扱いやすさの点で、水溶性のポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。
【0013】
次に、繊維絡合不織布に弾性樹脂液を含浸し、加熱乾燥することでゲル化させるかあるいは弾性樹脂の非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固することで多孔質化する。ここで含浸する弾性樹脂は、例えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールあるいはポリエステルポリエーテルジオール等の複合ジオール等から選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系のジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種類のジイソシアネートと2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種類の低分子化合物とを所定のモル比で反応させて得たポリウレタンおよびその変性物であったり、ポリエステルエラストマー等の他の弾性樹脂およびアクリル系等の弾性樹脂であってもよい。また、これらを混合した重合体組成物でもよい。しかし、柔軟性、弾性回復性、スポンジ形成性等より上記のポリウレタンが好ましく用いられる。
【0014】
上記のような重合体を溶剤あるいは分散剤に溶解あるいは分散させて得た重合体液を繊維絡合体に含浸し、樹脂の非溶剤で処理して湿式凝固させスポンジをつくるか、そのまま加熱乾燥し、ゲル化させスポンジをつくるかの方法で繊維質基体を得る。この重合体液には必要に応じて着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、分散剤等の添加剤を配合する。繊維質基体に占める重合体の比率は、基体に柔軟な風合いと弾性回復性を持たせ、何より重要なことには平滑性の高い基体表面を形成するために固形分として重量比で10%以上、好ましくは30〜50%の範囲で含有させるのがよい。弾性体比率が10%未満では緻密な弾性体スポンジが形成されない。
【0015】
次に、重合体を含有した繊維質基体を極細繊維及び重合体の非溶剤であり、かつ極細繊維発生型繊維の分散媒成分の溶剤または分解剤等によって処理するかあるいは機械的な処理を加えることで極細繊維Aの束を発生させることにより、極細繊維が高強力繊維にからみついた構造をした繊維質シートが得られる。
得られた繊維質シートは、柔軟な風合いをもちあわせていて引裂強力が優れたものであった。
【0016】
本発明で得られた繊維質シート状物は、その用途に応じて、シート状物の少なくとも一面を起毛処理して繊維立毛を形成し、必要に応じて染色、柔軟化、整毛などの仕上げ処理を行って、スエード調シートとする。
また、繊維質シートの表面を平滑化し、その面にポリウレタン組成液などの被覆層形成材をグラビアなどの方法により塗布し、固化して被覆層を形成する。あるいは、繊維質シートの平滑化面に、別に離型紙などの支持体上で製膜したポリウレタンなどの弾性ポリマーを主体としたポリマーの多孔質層あるいは非多孔質層を接着して被覆層を形成し、必要に応じてエンボシング処理、柔軟化、染色などの仕上げ処理を行って銀付皮革様シートとする。
【0017】
【実施例】
次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の部および%は、ことわりのない限り重量に関するものである。
なお、これらの実施例および比較例において、極細繊維発生型二成分混合紡糸繊維(A)の海成分を抽出除去したのちの皮革様シート状物の厚みが、ほぼ同一の約1.0mmとなるように、絡合不織布の厚み、目付を調整した。また皮革様シート状物に含まれているポリウレタンの量が一定(繊維に対して65重量%)となるように、ポリウレタン溶液を含浸する際の搾液条件を調整した。
【0018】
実施例1
島成分がナイロン−6 50部、海成分がポリエチレン 50部の極細繊維発生型二成分混合紡糸繊維を80℃温水中で2.9倍に延伸し、繊維油剤を付与し、機械捲縮をかけて乾燥後、51mmにカットしてステープルとしたもの(以下繊維A)(繊度5.5dr、強度2.0g/dr)と、パラヒドロシキ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のポリエステル共重合体による繊維長51mmの全芳香族ポリエステル系溶融液晶ポリマー繊維(以下繊維B)(ベクトラン(商品名):(株)クラレ製 HT 2.5×51 クリンプ 繊度2.5dr、強度19g/dr)を混綿比率が重量比でA/B=25/75(%)となるように混綿した。この混綿繊維をカードにかけ、クロスラップ法で目付約250g/m2 のウエブを形成し、ついで約500P/cm2 ニードルパンチングした。さらにPVAで糊付けし、熱処理、カレンダーロールでプレスすることで表面の平滑な絡合不織布を得た。この絡合不織布の目付は約230g/m2 、見掛け比重0.22で、引裂強力20×20kgであった。この絡合不織布にポリエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタンの13%DMF溶液を含浸し、DMF/水混合液の中に浸して湿式凝固した後、70℃の熱水中でPVAを除去し、さらに熱トルエン中で混合繊維中の海成分を溶出除去し繊維質シート状物を得た。得られた繊維質シート状物の片面をエメリーバフ機で処理して立毛面を形成し、スエード調皮革様シート状物を得た。得られたスエード調皮革様シート状物は目付約250g/m2 、厚み約1.0mmであり、ナイロン極細繊維とベクトラン繊維が絡み合った構造をしており、それぞれの繊維立毛を形成していた。また、引裂強力が25×22kgと非常に優れたものであり、柔軟な風合いをもちあわせていた。
【0019】
実施例2
実施例1において、繊維Aおよび繊維Bの混綿比率が重量比でA/B=50/50に変更する以外は実施例1と同様に処理してスエード調皮革様シート状物を得た。この皮革様シート状物は、実施例1同様引裂強力に優れ、風合いも良好であった。また、表面のタッチは、実施例1より滑らかな感じであった。
【0020】
実施例3
実施例1と全く同様の方法で繊維質シート状物を得た。得られた繊維質シート状物の片面に、乾式造面法で三層のポリウレタン樹脂を塗布した。すなわち、離型性シート上に表皮層としてエーテル系ポリウレタン(大日精化(株)製、ME8115)25%溶液100部に白顔料20部の割合で混合したものを70g/m2 塗布し、80℃で1分乾燥した後、中間層としてエーテル系ポリウレタン (大日精化(株)製、ME8105)25%溶液100部に白顔料20部の割合で混合したものを150g/m2 塗布し、80℃で2分乾燥した後、さらに接着層としてエーテル系ポリウレタン(大日精化(株)製、ME8105)25%溶液を150g/m2 塗布し、繊維質シート状物とクリアランスロールで貼り合わせた後、100℃で2分乾燥した。二日間熟成させ、離型性シートを剥離させ銀付皮革様シートを得た。得られた皮革様シート状物は、実施例1と同様に引裂強力が非常に優れたものであり、柔軟な風合いをもちあわせていた。
【0021】
実施例4
実施例1の極細繊維発生型繊維(繊維A)と繊維長76mmの高強力ビニロン繊維((株)クラレ製:BC 5.0×76 マルキ T-16 繊度5.0dr、強度17g/dr)(繊維C)とを混綿比率が重量比でA/C=25/75(%)となるように混綿した。この混綿繊維をそれ以後は、実施例1と同様の方法で繊維質シート状物さらにスエード調皮革様シート状物を得た。この皮革様シート状物の引裂強力は実施例1よりやや劣るが優れたものであり、柔軟な風合いをもちあわせていた。
【0022】
比較例1
実施例1における極細繊維発生型海島繊維ステープル(繊維A)のみを使用してカードで開繊し、クロスラップ法でウエブを形成し、ついで約500P/cm2 ニードルパンチした。さらに熱処理、カレンダーロールでプレスすることにより、表面の平滑な絡合不織布を得た。それ以後は実施例1と同様の方法でスエード調皮革様シート状物を得た。この皮革様シート状物の風合いについては柔軟性があり非常に良好なものであり、表面のタッチもかなり滑らかであったが、引裂強力は9×8kgと比較的低いものであった。
【0023】
比較例2
実施例1における全芳香族ポリエステル系溶融液晶ポリマー繊維ステープル (ベクトラン短繊維)(繊維B)のみを使用して、実施例1と同様の方法でスエード調皮革様シート状物を得た。この皮革様シート状物は、風合いについては非常に硬く柔軟性は良好とはいえるものではなかった。また引裂強力は15×15kgと比較例1よりは優るものであったが、実施例1よりは劣っていた。
【0024】
比較例3
比較例2と同様に全芳香族ポリエステル系溶融液晶ポリマー繊維ステープル (ベクトラン短繊維)(繊維B)のみを使用してウエブ形成、ニードリングにより三次元絡合させた後、バインダーとしてポリウレタン水系エマルジョン15%溶液をDip−Nip法により含浸させ熱処理、カレンダーロールでプレスすることにより、表面の平滑な絡合不織布を得た。それ以後は実施例1と同様の方法でスエード調皮革様シート状物を得た。この皮革様シート状物は引裂強力については比較例2と同等のレベルのものであり、風合いについても非常に硬く皮革様シート状物とはいい難いものであった。
【0025】
それぞれの皮革様シート状物についての評価結果を表1に示す。
また、本発明の繊維についての物性結果を表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明で得られた繊維質シート状物は、柔軟な風合いをもちあわせていて、引裂強力に非常に優れているものであり、靴用等の人工皮革用基体として利用できる。
Claims (1)
- 繊度0.1dr以下の極細繊維(A)および繊度1.0dr以上で強度10g/dr以上の高強力繊維(B)とが、A/Bが重量比で5/95〜50/50の比率で混合され、三次元絡合してなる繊維絡合不織布とその絡合空間に存在する弾性重合体からなる繊維質シート状物。
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