JP2001226881A - 人工皮革用繊維質基体 - Google Patents

人工皮革用繊維質基体

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JP2001226881A
JP2001226881A JP2000032229A JP2000032229A JP2001226881A JP 2001226881 A JP2001226881 A JP 2001226881A JP 2000032229 A JP2000032229 A JP 2000032229A JP 2000032229 A JP2000032229 A JP 2000032229A JP 2001226881 A JP2001226881 A JP 2001226881A
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Kimio Nakayama
公男 中山
Takeshi Yamazaki
豪 山崎
Tatsuya Oshita
竜也 尾下
Yoshihiro Tanba
善博 丹波
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】天然皮革ライクな風合い・外観であって、従来
の人工皮革に無い高級感を有するスエード調人工皮革及
び銀付調人工皮革を提供する。 【解決手段】熱トルエン膨潤度が20〜60%でかつ平
均繊度が0.5デシテックス以下である弾性ポリマーか
らなる極細繊維(A)と平均繊度が0.1デシテックス
以下である非弾性ポリマーからなる極細繊維(B)から
構成された極細繊維束からなる繊維質基体であって、弾
性ポリマーからなる極細繊維(A)と非弾性ポリマーか
らなる極細繊維(B)の重量比(A/B)が10/90
〜60/40であって、かつ該極細繊維束間および束内
部に離型剤が含有されている人工皮革用繊維質基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来の人工皮革に比べ
ゴム感・反発感が少なく、充実感に優れ、柔軟な天然皮
革ライクな風合いを有する人工皮革用繊維質基体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、人工皮革は、ナイロンやポリエス
テルなどの非弾性ポリマーの極細繊維発生型繊維からな
る不織布に、15〜60重量%程度の弾性ポリマー、例
えばポリウレタンの溶液を含浸した後、湿式法または乾
式法により該弾性ポリマーを凝固させたのち、極細繊維
を発生させるなどの方法で一般に製造されている。該方
法ではスポンジ状あるいはブロック状の弾性ポリマーが
極細繊維束の周囲を覆い囲む構造となっているため、弾
性ポリマー特有のゴム感・反発感が強く、天然皮革に比
べて風合い・ドレープ性や表面の緻密感・面感などの感
覚的性能が劣っている。またポリウレタンを溶剤系で使
用しているため、溶剤回収などの製造工程が複雑で生産
性が悪く、さらに該溶剤が人体に有害である場合が多く
製造環境上の問題も抱えている。
【0003】他方、天然皮革は繊維のみで形成されてお
り、非常に細いコラーゲンのミクロフィブリルが数百本
集束してファイバー(0.05〜1.0デニール程度)
を作り、それが数本〜数十本集束してファイバー束(1
〜10デニール程度)を形成し、ミクロフィブリル同士
やファイバー同士およびファイバー束同士が3次元的に
緻密に絡合した構造をとっている。人工皮革において
も、繊維状の弾性ポリマーをバインダーとして用いた繊
維のみで構成された繊維質基体を用いて、天然皮革独特
の風合い・充実感・外観を得ようとする試みが多数開示
されている。
【0004】例えば、海島構造の極細繊維発生型の弾性
ポリマーからなる繊維と極細繊維発生型の非弾性ポリマ
ーからなる繊維を混合して不織布化した後、溶剤抽出な
どで海成分を除去して極細繊維を発生させ皮革様シート
を製造する方法が、特開昭59−211664号、特開
昭59−211666号、特開昭63−12744号、
特開昭63−12745号、特開昭64−52872、
特開平2−14056号、特開昭60−45656号、
特開昭60−139979号等の公報に開示されてい
る。これらの方法では、弾性ポリマーからなる極細繊維
は、極細繊維発生型繊維の段階でいくら細繊度化を計っ
ても、海成分を抽出除去する際の溶剤処理等で弾性ポリ
マーが大きく膨潤し、弾性ポリマーからなる繊維束内の
弾性ポリマー同士が癒着して結束一体化してしまい、最
終的には1本の太い繊維となる。そのため、工業的に製
造可能な弾性ポリマーの繊度は2デニールを越えた太い
ものとなる。
【0005】また、同一の繊維束内に弾性ポリマーと非
弾性ポリマーが共存する繊維形態で使用した例として
は、弾性ポリマーを芯成分とし、可溶性ポリマーからな
る海成分の中に非弾性ポリマーが島状に分散する混合ポ
リマーを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を用いる方法が、
特開昭61−194247号公報や特開平10−370
57号公報等に開示されており、また弾性ポリマーを島
状に分散させた可溶性ポリマーと非弾性ポリマーを島状
に分散させた可溶性ポリマーがサイドバイサイド型に貼
り合わされた複合繊維を用いる方法が、特開平5−33
9863号、特開平5−339864号公報に開示され
ている。前者の方法では、弾性ポリマーからなる繊維の
本数が1本のみであるため、工業的に製造可能な弾性ポ
リマーの繊度は1デシテックスを越えた太いものとな
る。後者の方法については、弾性ポリマーが可溶成分を
溶解除去する際に大きく膨潤し、弾性ポリマーからなる
極細繊維同士が癒着して結束一体化してしまう結果、最
終的に太い繊維となり、反発感やゴム感の強いものとな
って天然皮革ライクなものは得られない。このように、
上記したいずれの方法においても、弾性ポリマーからな
る繊維の繊度は、1デシテックスを越えたものとなり天
然皮革に比べて繊度が大きすぎることから、天然皮革ラ
イクな風合いのものは得られず、また表面の緻密さや平
滑性に劣るものとなる。
【0006】また、弾性ポリマーと非弾性ポリマーが分
割するタイプの複合繊維を用いる例としては、特開昭6
2−41375号、特開昭62−78246号、特開平
2−160964号、特開平6−173173号等の公
報などで開示されている。これらの方法では、非弾性ポ
リマーからなる繊維および弾性ポリマーからなる繊維の
繊度は共に0.5デシテックス程度が工業的に限界であ
り、天然皮革に比べて非弾性ポリマーと弾性ポリマーが
共に太い繊度のものしか得られず、天然皮革ライクな風
合いは望めない。
【0007】このように、今まで開示されている弾性ポ
リマーを繊維の形態で使用する方法は、何れの方法も弾
性ポリマーの繊度が、天然皮革に比べかなり太いものと
なっている。その結果、風合い・外観が天然皮革からは
程遠いものとなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、従来
技術では弾性ポリマーをミクロファイバー化することが
できなかったため、天然皮革ライクな風合い・外観を得
ることができなかった。本発明は、弾性ポリマーのミク
ロファイバー化を達成し、従来の人工皮革に比べゴム感
・反発感が少なく充実感があって柔軟な天然皮革ライク
な風合い・外観を有する人工皮革用繊維質基体を提供す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、海成分を
溶剤等で抽出除去しても、弾性ポリマー同士が膠着一体
化することなくミクロファイバー化される方法を鋭意検
討した。その結果、熱トルエン膨潤度が20〜60%で
かつ平均繊度が0.5デシテックス以下である弾性ポリ
マーからなる極細繊維(A)と平均繊度が0.1デシテ
ックス以下である非弾性ポリマーからなる極細繊維
(B)から構成された極細繊維束からなる繊維質基体で
あって、弾性ポリマーからなる極細繊維(A)と非弾性
ポリマーからなる極細繊維(B)の重量比(A/B)が
10/90〜60/40であって、かつ該極細繊維束間
および束内部に離型剤が含有されている人工皮革用繊維
質基体により、弾性ポリマーのミクロファイバー化が達
成され、天然皮革のような緻密な極細繊維基体が形成さ
れて天然皮革ライクな風合い・外観を有するシートが得
られることを発見し、本発明に至った。
【0010】また本発明は、下記(I)〜(III)の工
程を順次行うことを特徴とする人工皮革用繊維質基体の
製造方法である。 (I)熱トルエン膨潤度が20〜60%でかつ平均繊度
が0.5デシテックス以下の弾性ポリマーからなる極細
繊維(A)と、平均繊度が0.1デシテックス以下であ
る非弾性ポリマーからなる極細繊維(B)を発生し得る
極細繊維発生型繊維であって、極細繊維(A)と極細繊
維(B)の重量比(A/B)が10/90〜60/40
である繊維からなる絡合不織布を作製する工程、(II)
該極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変換する工程、
(III)工程IIの後の乾燥処理までの間に離型剤を付与
する工程
【0011】本発明において、弾性極細繊維(A)およ
び非弾性極細繊維(B)を発生させる繊維としては、弾
性ポリマーからなる島と非弾性ポリマーからなる島が同
一繊維中に別々の島として存在しており、海成分が、島
成分を構成する弾性ポリマーおよび非弾性ポリマーと溶
剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、
島成分ポリマーとの親和性の小さいポリマー[以降、海
成分ポリマーと称する]である海島構造断面の繊維、す
なわち極細繊維発生型繊維が挙げられる。弾性ポリマー
からなる島と非弾性ポリマーからなる島は繊維断面中に
均一に分散されているのが好ましい。
【0012】該極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変換
する方法として、一般的に75〜95℃の熱トルエンで
海成分ポリマーを抽出除去する方法が好適方法として挙
げられる。一般的に用いられる弾性ポリマーでは熱トル
エン中での膨潤度が60%を越えるため熱トルエン中で
大きく膨潤して、抽出除去を促進させるための熱トルエ
ン中のプレス工程で弾性ポリマー同士が癒着一体化す
る。このような弾性ポリマーを用いた弾性極細繊維
(A)においては熱トルエン中で大きく膨潤し、熱トル
エン中のプレス工程で弾性極細繊維の束間及び束内で弾
性極細繊維同士が激しく癒着して結束一体化してしま
う。弾性極細繊維同士が癒着して結束一体化した場合に
は、弾性ポリマーからなる繊維の繊度が太いものとな
り、天然皮革ライクな風合いのものは得られない。また
逆に、熱トルエン膨潤度が非常に低い弾性ポリマーもあ
るが、それを用いた場合には、弾性ポリマーと弾性ポリ
マーに近接した部分の非弾性ポリマーの膠着が起こらな
いため、緻密に集合した構造とならず、天然皮革ライク
な風合いのものが得られないばかりか、繊維の素抜けが
起こり、工程上や実用上に問題が生じる。これらのこと
から、弾性ポリマーの熱トルエン膨潤度が、得られる皮
革様シートの風合いに密接に関係していることが分か
る。
【0013】そこで、弾性ポリマーの熱トルエン膨潤度
について詳細に検討した結果、高級感ある皮革様シート
の風合いが得られる範囲は、弾性極細繊維(A)の熱ト
ルエン膨潤度が20〜60%であり、好ましい範囲は3
0〜50%であることが判明した。20%未満では本発
明の弾性極細繊維(A)と弾性ポリマーに隣接した非弾
性極細繊維(B)の膠着が起こらず、緻密に集合した構
造をとることができないばかりか、繊維の素抜けが起こ
り工程上や実用上に問題が生じる。また60%を越える
場合には弾性極細繊維(A)同士および弾性極細繊維
(A)と非弾性極細繊維(B)が激しく癒着して、後工
程の膠着防止剤及び膠着解除処理をしても、その効果が
認められないものとなる。
【0014】本発明では、上記した弾性極細繊維(A)
と非弾性極細繊維(B)から構成された繊維質基体に、
離型剤、すなわち膠着防止剤を付与することが必須であ
る。離型剤を付与しなければ、弾性極細繊維(A)のミ
クロファイバー化は達成されず、天然皮革ライクな風合
いのものは得られない。離型剤の付与方法としては、極
細繊維発生型繊維を極細繊維束に変換後、離型剤を付与
すること方法が用いられる。離型剤としてはポリアミド
誘導体の塩化合物又はシリコーン系化合物が好ましく、
特にポリアミド誘導体の塩化合物が、風合いへの悪影響
が少ない点で好ましい。離型剤の付与率はシート基体重
量に対して固形分で0.2〜1.0%が、弾性極細繊維
(A)のミクロファイバー化を達成できる点、および風
合いへの悪影響が少ない点で好ましく、より好ましくは
0.4〜0.6%である。本発明において、好適なポリ
アミド誘導体の塩化合物としては、化1の一般式 また
は化2の一般式で表される化合物又はそのエピハロヒド
リンによる重縮合物であり[但し、化1および化2にお
いて、R1 R'1 は炭素数11〜25のアルキル基、R 2
炭素数2ないし3のアルキレン基、、R3 R' 3はH又
は分子間架橋結合で、同一であっても異なるものであっ
てもよく、更に n1は0〜8の数、n2は0〜8の数]、
その塩化合物の好適な具体例として、下記化3、化4、
化5、化6等で表わされる化合物が挙げられ、中でも、
離型効果が最も高い点で化3で表される化合物が最も好
ましい。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】本発明において使用される上記ポリアミド
誘導体は、アルキル基の炭素数が11〜25の高級脂肪
酸とアルキレン基の炭素数が2ないし3のポリアルキレ
ンポリアミンを脱水縮合し、さらに必要に応じ尿素ある
いはチオ尿素等で架橋して得られる前記一般式で表され
る化合物或いはそれをエピハロヒドリンにより重縮合す
ることにより得られる。これに用いられる高級脂肪酸の
例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、アラギジン酸、ペヘニン酸等が挙げら
れ、なかでもアルキル基の炭素数が17以上の高級脂肪
酸が好ましい。またポリアルキレンポリアミンの例とし
ては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロ
ピレンジアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられ
る。さらにエピハロヒドリンと反応させると、エピハロ
ヒドリンは2官能性の化合物であるため、ポリアミド誘
導体をカチオン化すると共に架橋し、その結果、塩化合
物が得られる。
【0022】またシリコーン系化合物としては、下記化
7で表される化合物が挙げられ、その好適な具体例とし
ては、ジメチルシリコン、メチルフェニルシリコン、メ
チルハイドロジェンシリコン、アミノ変性シリコン、エ
ポキシ変性シリコン、アルキル変性シリコン、シリコン
ポリエーテル共重合体等が挙げられ、中でもアミノ変性
シリコンが離型効果が高い点で好ましい。
【0023】
【化7】 (R:メチル基であり、その一部を長鎖アルキル基、フ
ェニル基、Hあるいは分子間架橋結合、トリフルオロプ
ロピル基、アミノ基、アミノ変成アルキル基、エポキシ
変成アルキル基などで置き換えたものでもよい)
【0024】離型剤の付与は、海成分ポリマーを熱トル
エン等で抽出除去して極細繊維束に変換し基体中の抽出
溶剤を熱水中で共沸追い出しした後の基体がまだwet
の状態で、かつ極細繊維同士の擬似膠着部分が固定され
ていない状態の時に、離型剤の水溶液中に基体を浸漬し
て離型剤を付与した後、乾燥する方法が好ましい。極細
繊維束に変換し乾燥処理した後に離型剤を付与した場合
には、極細繊維の擬似膠着部分が既に固定された状態に
なっており、離型剤の効果は十分には期待できない。ま
た、離型剤の付与法としては、海成分ポリマーを熱トル
エン等で抽出除去し極細繊維束に変換し基体中の抽出溶
剤を熱水中で共沸追い出し後に、離型剤が極細繊維束の
内部および該束間に上記したシート基体重量に対して固
形分で0.2〜1.0%の量が存在していれば、特に限
定されず、極細繊維発生型繊維を製造する際に上記した
離型剤を混練する方法なども採用することができる。
【0025】本発明において弾性極細繊維(A)の平均
繊度は0.5デシテックス以下であることが必須であ
り、0.5デシテックスを越える場合には、弾性ポリマ
ー特有の反発感が高くなることに加え、表面の緻密さ・
平滑性に劣ったものとなり、天然皮革ライクな風合い・
外観を確保することが困難になる。好ましい弾性極細繊
維(A)の平均繊度は0.3デシテックス以下、更に好
ましくは0.2デシテックス以下であり、そして好適に
は0.001デシテックス以上である。また本発明のお
いて、非弾性極細繊維(B)の平均繊度は0.2デシテ
ックス以下であることが必要で、0.2デシテックスを
越える場合には風合いの堅いものとなり、また表面の緻
密さ・平滑性に問題が生じ、天然皮革ライクな風合い・
外観を確保することが困難になる。非弾性極細繊維
(B)の好適な平均繊度は0.15デシテックス以下、
さらに好ましくは0.1デシテックス以下で、また好適
には0.0002デシテックス以上ある。また、極細繊
維束中における弾性極細繊維(A)の本数としては、特
に限定されないが、3本以上が好ましい。3本未満の場
合には、弾性ポリマーの平均繊度を0.5デシテックス
以下にすることが工業的に困難になる。
【0026】本発明では、弾性極細繊維(A)と非弾性
極細繊維(B)の重量比(A/B)は10/90〜60
/40の範囲にあることが必須である。重量比(A/
B)が60/40を越えて弾性極細繊維の割合が高い場
合には、機械的物性などの実用性能が満足できるレベル
に到達しないのに加え、弾性ポリマーの反発感やゴム感
が強くなる。逆に、重量比(A/B)が10/90未満
の場合には、弾性極細繊維(A)に近接していない非弾
性極細繊維(B)が多くなり、弾性極細繊維(A)と非
弾性極細繊維(B)の膠着している部分が不足するた
め、構造がルーズなものになり、天然皮革ライクな風合
いは得られないばかりか、繊維の素抜けが起こり工程上
や実用上に問題が生じる。好ましい(A/B)の重量比
は20/80〜55/45の範囲である。
【0027】本発明の極細繊維発生型繊維において、島
成分の弾性極細繊維(A)を構成する弾性ポリマーと
は、該ポリマーを室温にて50%伸長した場合の1分後
の伸長回復率が50%以上であるポリマーを意味し、ま
た非弾性極細繊維(B)を構成する非弾性ポリマーと
は、同様の方法で測定した弾性伸長回復率が50%以下
または室温において限界伸長率が50%に達しないポリ
マーを意味している。
【0028】島成分の弾性極細繊維(A)を構成する弾
性ポリマーとしては、例えばポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオ
ール、ポリラクトンポリオール、ポリカ−ボネートポリ
オールなどの数平均分子量500〜3500のポリマー
ポリオールから選ばれた少なくとも1種と、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキ
シルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネートなどの有機ジイソシアネートと、
1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、エチレ
ンジアミンなどの活性水素原子を2個有する鎖伸長剤と
を反応させて得られるポリウレタン類、またはポリエス
テルエステルエラストマーやポリエーテルエステルエラ
ストマーなどのエステル系エラストマー類、ポリエーテ
ルエステルアミドエラストマーやポリエステルアミドエ
ラストマーなどのアミド系エラストマー類、ポリイソプ
レン、ポリブタジエンなどの共役ジエン系重合体あるい
は共役ジエン重合体ブロックを分子中に有するブロック
共重合体ポリマー類、その他溶融紡糸可能なゴム弾性挙
動を有するエラストマー類が挙げられる。中でも、その
柔軟性・低反発性に加え、摩擦抵抗が高く非弾性ポリマ
ーへのバインド効果が高いこと、更には耐熱性・耐久性
に優れることなどの点でポリウレタン類が最も好まし
い。
【0029】島成分の非弾性極細繊維(B)を構成する
非弾性ポリマーとしては、例えば、ナイロン−6、ナイ
ロン−66、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロ
ン−12やそれらの共重合体をはじめとする溶融紡糸可
能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレ―ト、ポリ
ブチレンテレフタレ―ト、カチオン可染型変性ポリエチ
レンテレフタレ―トをはじめとする溶融紡糸可能なポリ
エステル類、ポリプロピレンやそれらの共重合体をはじ
めとする溶融紡糸可能なポリオレフィン類などから選ば
れた、少なくとも1種類の溶融紡糸可能なポリマ―であ
る。もちろん2種以上のポリマーを混合使用してもよ
い。
【0030】一方、極細繊維発生型繊維の海成分を構成
するポリマ―としては、島成分ポリマーと溶剤または分
解剤に対する溶解性または分解性を異にし(海成分を構
成するポリマーの方が溶解性または分解性が大きく)、
島ポリマーとの親和性の小さいポリマ―であって、かつ
好ましくは同一溶融系に存在する島成分の溶融粘度より
小さい溶融粘度であるか、あるいは表面張力の小さいポ
リマ―であり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、
変性ポリスチレン、エチレンプロピレン共重合体などの
易溶解性のポリマーや、スルホイソフタル酸ナトリウム
やポリエチレングリコール等で変性(共重合)したポリ
エチレンテレフタレートなどの易分解性のポリマ―から
選ばれた少なくとも1種の溶融紡糸可能なポリマーであ
る。
【0031】また、溶融紡糸安定性の点から、非弾性ポ
リマーおよび海成分ポリマーは弾性ポリマーの溶融紡糸
可能温度に適した融点を持つポリマーを選択することが
好ましい。例えば、弾性ポリマーにポリウレタン類を用
いる場合には、非弾性ポリマーおよび海成分ポリマーの
融点は230℃程度以下、弾性ポリマーにポリエステル
エラストマー類やポリアミドエラストマー類を使用する
場合には、非弾性ポリマーおよび海成分ポリマーの融点
は260℃程度以下のものを選択する。
【0032】極細繊維発生型繊維は、必要に応じて延
伸、捲縮、熱固定、カットなどの処理工程を経て繊度1
〜20デニールの繊維とする。なお、本発明で言う繊度
及び平均繊度は極細繊維発生型繊維の断面から容易に求
められる。すなわち極細繊維発生型繊維の場合には、そ
の断面の顕微鏡写真を撮り、弾性極細繊維(A)と非弾
性極細繊維(B)のそれぞれの本数を数え、長さ900
0mの繊維を構成している弾性極細繊維(A)および非
弾性極細繊維(B)それぞれの重量をそれぞれの本数で
割ることにより求められる。弾性極細繊維(A)と非弾
性極細繊維(B)の重量比に関しても、弾性極細極細繊
維(A)と非弾性極細繊維(B)で溶解性や分解性を異
にする任意の溶剤を選び、繊維質基体から弾性極細繊維
(A)のみあるいは非弾性極細繊維(B)のみを除去す
ることにより求められる。
【0033】また、本発明において、極細繊維集合体
は、上記した弾性極細繊維(A)と非弾性極細繊維
(B)のみからなる場合が好ましいが、本発明の風合い
・外観を損なわない範囲で、本発明の範疇に入らない繊
維を少量混合しても構わない。さらに繊維中には、各種
安定剤や着色剤などを混合してもよい。
【0034】極細繊維発生型繊維をカードで解繊し、ウ
ェバーを通してランダムウェブまたはクロスラップウェ
ブを形成し、得られた繊維ウェブを所望の重さ、厚さに
積層する。次いで、ニードルパンチ、高速流体流処理な
どの公知の方法で絡合処理を行なって不織布とする。ま
た必要に応じて、不織布に、溶解除去可能な樹脂、たと
えばポリビニルアルコール系樹脂を付与して不織布を仮
固定してもよい。
【0035】風合い調節等の目的で、必要に応じて繊維
絡合不織布に少量の溶剤系や水系の非繊維状の弾性重合
体を含浸、凝固してもよい。ただし、非繊維状弾性重合
体の量が多い場合には天然皮革ライクな風合いが得られ
なくなるため、極細化後の不織布の重量に対して20%
程度以下にすることが好ましく、更に好ましくは10%
程度以下である。繊維絡合不織布に含浸する弾性重合体
としては、例えば、ポリエステルジオ―ル、ポリエ―テ
ルジオ―ル、ポリエーテルエステルジオール、ポリカ―
ボネ―トジオ―ルなどから選ばれた少なくとも1種類の
平均分子量500〜3000のポリマ―ジオ―ルと、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ―ト、イソホ
ロンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―
トなどの、芳香族系、脂環族系、脂肪族系のジイソシア
ネ―トなどから選ばれた少なくとも1種のジイソシアネ
―トと、エチレングリコール、エチレンジアミン等の2
個以上の活性水素原子を有する、少なくとも1種の低分
子化合物とを所定のモル比で反応させて得たポリウレタ
ンである。ポリウレタンは、必要に応じて、合成ゴム、
ポリエステルエラストマ―などの重合体を添加した重合
体組成物として使用する。ポリウレタン等の弾性重合体
を溶剤に溶解あるいは水などの非溶剤中に分散させて重
合体液としたのち、繊維絡合不織布に含浸し、重合体の
非溶剤で処理して湿式凝固させるか、あるいは熱処理や
熱水処理を施して乾式凝固や熱水凝固し、繊維質基体と
する。重合体液には必要に応じて着色剤、凝固調節剤、
酸化防止剤等の如き添加剤を配合する。
【0036】次に、非弾性極細繊維(B)を構成するポ
リマー、弾性極細繊維(A)を構成するポリマーおよび
含浸された弾性重合体の非溶剤であり、かつ極細繊維発
生型繊維の海成分の溶剤または分解剤である液体で繊維
質基体を処理する。例えば(B)を構成する非弾性ポリ
マーがナイロンやポリエチレンテレフタレートやポリプ
ロピレンで、(A)を構成する弾性ポリマーや含浸され
た弾性ポリマーがポリウレタンやエステルエラストマ
ー、アミドエラストマーであり、海成分ポリマーがポリ
エチレンである場合には処理剤としてトルエンが使用さ
れ、また上記(B)の非弾性ポリマーがナイロンやポリ
エチレンテレフタレートやポリプロピレンで、上記弾性
ポリマーがポリウレタンやアミドエラストマーであり、
上記海成分ポリマーが易アルカリ分解性ポリエステルで
ある場合には苛性ソーダ水溶液が使用される。中でも、
抽出溶剤としてトルエンを使用した場合には、上記した
熱トルエン膨潤率を有する弾性極細繊維(A)が非弾性
極細繊維(B)に適度に膠着して、弾性極細繊維(A)
が非弾性極細繊維(B)をバインドできることから特に
好ましい。この処理により、本発明の極細繊維発生型繊
維は海成分ポリマーが除去されて、弾性極細繊維(A)
と非弾性極細繊維(B)からなる極細繊維束に変成され
る。海成分ポリマーを溶解除去した繊維質基体から残存
した海成分の溶剤あるいは分解剤を除去するために、温
水中に該繊維質基体を浸漬するが、その際の温水中に前
記した離型剤が添加されていることが好ましい。離型剤
が添加されていることにより、前記したように、その後
に行う乾燥処理の際に弾性極細繊維(A)同士が過度に
癒着することを防ぐことができる。それと同時に、弾性
極細繊維(A)は海成分の溶剤あるいは分解剤によって
適度に膨潤し弾性極細繊維(A)に近接した部分の非弾
性極細繊維(B)が部分的に膠着した状態となる結果、
弾性極細繊維(A)と非弾性極細繊維(B)が共にミク
ロファイバーに分繊されつつ緻密に集合した極細繊維集
合体となる。
【0037】このようにして得られた人工皮革用繊維質
基体は、上記のような極細繊維束のみから構成されるた
め、天然皮革にみられるような緻密な繊維質基体構造と
なる。その結果、従来の人工皮革にない天然皮革ライク
な風合い・外観を有し、スエードタイプあるいは銀付タ
イプとして衣料用、家具用、靴用、鞄用などの広い用途
に適用できる。特に、本発明の皮革様シートは、天然皮
革でしか得られなかった高級銀付き商品の分野や高級ス
エード商品の分野に特に有用である。
【0038】スエードタイプは、本発明の人工皮革用繊
維質基体の一面をサンドペーパーで毛羽立てることによ
り立毛を有する面とし、得られたスエ―ド調繊維質基体
を繊維の種類に応じて酸性染料、金属錯塩染料、分散染
料などを主体とした染料を用いて、通常の染色方法によ
り染色を行い、必要に応じて染色したスエ―ド調繊維質
基体を、もみ、柔軟化処理、ブラッシングなどの仕上げ
処理を行なって、スエ―ド調人工皮革が得られる。
【0039】銀付きタイプとする場合には、銀面層とな
る表面被覆層の形成は、離型性支持体上にポリウレタン
等の弾性ポリマー溶液または分散液等を塗布し、更に必
要があれば着色剤を添加したポリウレタン等の弾性ポリ
マー溶液または分散液を塗布し、塗布した被膜層がまだ
粘着性のあるうちに人工皮革用繊維質基体に接合して一
体化する方法、あるいは乾燥させた被膜層を柔軟な接着
剤で人工皮革用繊維質基体に接合して一体化するなどの
転写法、あるいはポリウレタンなどの弾性ポリマー溶液
または分散液を人工皮革用繊維質基体に刻目ロールで塗
布積層して乾燥する方法、あるいはロールコーティング
法等で人工皮革用繊維質基体に塗布し、湿式凝固し、乾
燥し、次いで表面着色するなどで表面被覆層を形成し、
さらにエンボス加工して仕上げるコーティング法等によ
って表面被膜層を形成する。表面皮覆層を形成した銀付
き皮革様シートは表面仕上げが不十分であれば、更に着
色剤を含むか、または着色剤を含まないポリウレタン溶
液を塗布して着色の調整、光沢調整を行ったり、必要に
応じて柔軟化処理や染色処理や撥水剤処理などの仕上げ
処理を行い銀付き皮革様シートとするなど、一般に用い
られる何れの方法でも構わない。
【0040】
【実施例】次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中の部および%は、ことわりのな
い限り重量に関するものである。なお、熱トルエンに対
する弾性極細繊維(A)の膨潤率は、得られた人工皮革
を、溶剤処理等で弾性極細繊維(A)以外の成分を除去
して弾性極細繊維(A)のみにした後、弾性極細繊維
(A)を50〜100℃で5〜20時間、真空乾燥して
からフ゜レス成型機を用いて弾性極細繊維(A)が熱溶融す
る温度で100μmのフィルムに成形し、このフィルム
から1辺10cmの正方形の大きさを切り出し重量(W
0)を測定した後、90℃の熱トルエン中に1時間浸し
てから、表面に付着したトルエンを拭き取って重量
(W)を測定し、下記の計算式に従い膨潤率を計算し
た。 弾性極細繊維(A)の膨潤率(wt%)=(W−W0)
×100/W0
【0041】実施例1 ナイロン−6[非弾性極細繊維(B)を構成する非弾性
ポリマー]40部とポリエチレン(メルトインデックス
=70)40部とを同一溶融系で溶融したものと、ポリ
エステル系ポリウレタン[弾性極細繊維(A)を構成す
る弾性ポリマー]20部を別の系で溶融したものとを、
紡糸口金部で繊維形状を規定して紡糸する方法により、
弾性ポリマーの島本数が25本となるように紡糸し、繊
度15デシテックスで重量比(A/B)が33/67の
極細繊維発生型繊維を得た。このとき、該繊維の断面を
観察すると、ナイロン−6からなる極細繊維(B)の平
均本数は約600本であり、ポリエステル系ポリウレタ
ンとナイロン−6は繊維断面中にほぼ均一に分散してい
た。得られた繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した
後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後、クロ
スラップウェバーでウェブとした。次に、ニードルパン
チにより、目付700g/cm2の繊維絡合不織布とし
た。これらの工程中に、繊維は約5.9デシテックスに
なっていた。この繊維絡合不織布にポリエーテル系ポリ
ウレタン3%を主体とする水系ポリウレタンエマルジョ
ン組成物を含浸し、熱処理を施した後、極細繊維発生型
繊維中のポリエチレンを90℃トルエン中で抽出除去し
た後、95℃の熱水中で、基体中のトルエンを共沸によ
り追い出した。トルエン追い出し後のwet状の繊維質
基体を純分で1%のポリアミド誘導体の塩化合物(化合
物名:ベヘニン酸トリエチレンテトラミンアマイドのエ
ピクロロヒドリン4級塩)の水溶液で置換後、140で
乾燥して、ポリエステル系ポリウレタン極細繊維(A)
とナイロン−6極細繊維(B)からなる極細繊維集束
体、及び非繊維状ポリウレタン(重量含有率=2wt
%)とからなる厚さ約1.3mmの繊維質基体を得た。な
お90℃トルエンによる弾性極細繊維(A)の膨潤率は
42%であった。
【0042】この繊維質基体の極細繊維束の断面を電子
顕微鏡で観察すると、ポリエステル系ポリウレタンから
なる極細繊維(A)はほぼ25本に分繊されてポリエス
テル系ポリウレタン極細繊維同士の膠着はあまり見られ
なかった。またポリエステル系ポリウレタンからなる極
細繊維(A)と極細繊維(B)が部分的に膠着した緻密
な極細繊維質基体構造となっていた。ポリエステル系ポ
リウレタンからなる極細繊維(A)の平均繊度は0.0
55デシテックスでかつ繊度のばらつきは殆どなく、ナ
イロン−6からなる極細繊維(B)の平均繊度は0.0
040デシテックスであった。この基体の一面をバフィ
ングして厚さ1.20mmに厚み合わせを行なった後、他
の面をエメリーバフ機で処理して極細繊維立毛面を形成
し、さらにIrgalan Red 2GL(Chiba Geigy)を用いて、4
%owfの濃度で染色した。仕上げをして得られたスエ
ード調人工皮革は柔軟で反発感やゴム感が小さくドレー
プ性を有して天然皮革に近い風合いであり、また発色性
に優れて優雅なライティングを示し外観も極めて良好な
ものであった。
【0043】また、上記の繊維質基体を下記の方法で銀
付調人工皮革に仕上げたところ、柔軟で反発感やゴム感
が少なく天然皮革に近い風合いであった。また折れ皺感
が天然皮革ライクであり外観も優れたものであった。
【0044】銀付調人工皮革の仕上げ方法:上記の繊維
質基体の一面をバフィングして厚さ1.20mmに厚み合
わせを行なった後、表面を120℃のフラットロール面
に接触させて表面平滑化処理を行った後、ポリウレタン
20%溶液をグラビアロールで塗布し、更にポリウレタ
ン10%溶液をグラビアロールで塗布した。そしてポリ
ウレタン塗布面を加熱エンボスロールでエンボシィング
して銀付調人工皮革に仕上げた。
【0045】実施例2 非弾性ポリマーのナイロン−6をナイロン−12に変更
した以外は実施例1と同様の操作を行いスエード調人工
皮革を得た。得られたスエード調人工皮革は実施例1と
同様に天然皮革に近い風合いであり、電子顕微鏡で観察
した結果も実施例1と同一であった。そして外観も良好
なものであった。
【0046】実施例3 弾性ポリマーのポリエステル系ポリウレタンをポリエー
テル系エステルエラストマーに変更し、非弾性ポリマー
のナイロン−6をイソフタル酸10モル%変性ポリエチ
レンテレフタレートに変更し、染料は分散染料を用いて
染色した以外は実施例1と同様の操作を行いスエード調
人工皮革を得た。弾性極細繊維(A)の膨潤率は50%
であった。得られたスエード調人工皮革は実施例1と同
様に天然皮革に近い風合いであり、外観も良好なもので
あった。
【0047】比較例1 弾性極細繊維(A)の熱トルエン膨潤度が90%のポリ
エーテル系ポリウレタンに変更した以外は実施例1と同
様の操作を行い、スエード調人工皮革を得た。この極細
繊維集合体の断面を電子顕微鏡で観察したところ、ポリ
エーテル系ポリウレタン繊維同士が癒着して一体化し、
その中にナイロン−6繊維が抱え込まれた状態になって
いて、ミクロファイバー化されていなかった。得られた
スエード調人工皮革は実施例1からのものと比べ、堅く
紙的な風合いであり、表面のライティングに乏しく外観
も劣ったものであった。
【0048】比較例2 弾性極細繊維(A)の熱トルエン膨潤度が10%のポリ
エステル系ポリウレタンに変更した以外は実施例1と同
様の操作を行い、スエード調人工皮革を得た。この極細
繊維集合体の断面を電子顕微鏡で観察したところ、ナイ
ロン−6からなる極細繊維(B)はポリエステル系ポリ
ウレタンからなる極細繊維(A)にほとんど膠着されて
おらず、構造がルーズなものであった。得られたスエー
ド調人工皮革は実施例1からのものと比べ、紙的な風合
いであり、表面毛羽抜けが多く外観bに劣ったものであ
った。
【0049】比較例3 トルエン追い出し後のwet状態の繊維質基体の離型剤
(ポリアミド誘導体の塩化合物)処理を行わなかった以
外は、実施例1と同様の操作を行いスエード調人工皮革
を得た。この極細繊維集合体の断面を電子顕微鏡で観察
したところ、ポリエステル系ポリウレタン繊維同士が癒
着して一体化し、その中にナイロン−6繊維が抱え込ま
れた状態になっていて、ミクロファイバー化されていな
かった。得られたスエード調人工皮革は実施例1からの
ものと比べ、堅く紙的な風合いであり、表面のライティ
ングに乏しく外観も劣ったものであった。
【0050】比較例4 ポリエステル系ポリウレタンとナイロン−6の重量比を
33/67から5/95に変更した以外は実施例1と同
様の操作を行ってスエード調人工皮革を得た。この極細
繊維集合体の断面を電子顕微鏡で観察すると、ポリエス
テル系ポリウレタンはミイクロファイバー化されていた
が、ナイロン−6からなる極細繊維はポリエステル系ポ
リウレタンからなるの極細繊維に膠着されていない部分
が多く、構造がルーズなものであった。得られたスエー
ド調人工皮革は実施例1からのものと比べ、紙的な風合
いであり、表面毛羽抜けが多く外観に劣ったものであっ
た。
【0051】比較例5 ポリエステル系ポリウレタンとナイロン−6の重量比を
33/67から80/20に変更した以外は実施例1と
同様の操作を行ってスエード調人工皮革を得た。この極
細繊維集合体の断面を電子顕微鏡で観察すると、ポリエ
ステル系ポリウレタン繊維同士が膠着して一体化し、そ
の中にナイロン−6繊維が抱え込まれた状態になってい
てミクロファイバー化されていなかった。得られたスエ
ード調人工皮革は実施例1のものと比べ、堅くて反発感
やゴム感が強い風合いであり、表面のライティングに乏
しく外観も劣ったものであった。
【0052】比較例6 ポリエステル系ポリウレタンの島本数を25本から1本
にした以外は実施例1と同様の操作を行ってスエード調
人工皮革を得た。この極細繊維束の断面を電子顕微鏡で
観察すると、平均繊度1.5デニールのポリエステル系
ポリウレタン繊維1本とナイロン−6繊維が混在一体化
した構造になっていた。得られたスエード調人工皮革は
実施例1からのものと比べ、やや反発感が強い風合いで
あって、表面に白色状の毛羽斑が目立ちざらざらしたタ
ッチで、外観・面感に劣ったものであった。
【0053】
【発明の効果】本発明により選られるシートは天然皮革
ライクな風合い・外観あるため、スエードタイプあるい
は銀付タイプとして衣料用、家具用、靴用、鞄用などの
広い用途に適用できる。特に、本発明のシートは、天然
皮革でしか得られなかった高級銀付き商品の分野や高級
スエード商品の分野に特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹波 善博 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4F055 AA02 BA02 CA18 EA03 EA04 EA07 EA09 EA11 EA24 HA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱トルエン膨潤度が20〜60%でかつ平
    均繊度が0.5デシテックス以下である弾性ポリマーか
    らなる極細繊維(A)と平均繊度が0.1デシテックス
    以下である非弾性ポリマーからなる極細繊維(B)から
    構成された極細繊維束からなる繊維質基体であって、弾
    性ポリマーからなる極細繊維(A)と非弾性ポリマーか
    らなる極細繊維(B)の重量比(A/B)が10/90
    〜60/40であって、かつ該極細繊維束間および束内
    部に離型剤が含有されている人工皮革用繊維質基体。
  2. 【請求項2】 離型剤が、ポリアミド誘導体の塩化合物
    又はシリコーン系化合物である請求項1に記載の人工皮
    革用繊維質基体。
  3. 【請求項3】下記(I)〜(III)の工程を順次行うこ
    とを特徴とする人工皮革用繊維質基体の製造方法。 (I)熱トルエン膨潤度が20〜60%でかつ平均繊度
    が0.5デシテックス以下の弾性ポリマーからなる極細
    繊維(A)と、平均繊度が0.1デシテックス以下であ
    る非弾性ポリマーからなる極細繊維(B)を発生し得る
    極細繊維発生型繊維であって、極細繊維(A)と極細繊
    維(B)の重量比(A/B)が10/90〜60/40
    である繊維からなる絡合不織布を作製する工程、(II)
    該極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変換する工程、
    (III)工程IIの後の乾燥処理までの間に離型剤を付与
    する工程
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN100455708C (zh) * 2003-05-29 2009-01-28 可乐丽股份有限公司 皮革样片及其制备方法
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WO2022244882A1 (ja) * 2021-05-21 2022-11-24 旭化成株式会社 人工皮革、及びその製法

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