JP4549915B2 - スエード調人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

スエード調人工皮革およびその製造方法 Download PDF

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本発明は環境対応型の製造方法にて、スエード感、表面タッチ、柔軟な風合い特性並びに最適な力学物性、耐摩耗性および耐湿摩擦堅牢度等に優れたスエード調人工皮革を工業的に安定して提供するものである。
従来から人工皮革の製造において、主として極細繊維と高分子弾性体とで構成されたものが開発されており、このような極細繊維からなるスエード調人工皮革は、スエード感や表面タッチ感、柔軟性に優れており、天然皮革に近い素材として評価されてきた。
従来製法では、繊維の極細化手法として、溶解性の異なる2成分の樹脂から製造した海島繊維から海成分をトルエン等の特定の有機溶剤により溶解除去する方法、高分子弾性体の付与方法としては、ポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液のように高分子弾性体を有機溶剤に溶解した状態で繊維基材に含浸する方法が広く用いられてきた。このような製法は多量の有機溶剤を使用するため、製造に従事する人員の健康面への影響、製造系から外界への排出、製品への残存などによる環境への影響が危惧されており、近年、環境対応の観点から、製造工程中で有機溶剤を使用しない方法が検討されるようになっている。
例えば、高分子弾性体の付与方法としては、水分散系高分子弾性体を用いた方法が提案されている。しかしながら、水分散系高分子弾性体を用いた場合には、一般に、前述の溶剤系の付与方法に比べて、マイグレーションの発生により均一付与が困難、多孔質性を付与しにくいため風合いの硬化を招きやすい、強度物性に劣るために耐摩耗性に欠ける等の問題があり、単純に従来製法にとってかわれるものではない。
この点については、たとえば、極細繊維含む不織布シートに無機塩類を溶解、混合したポリウレタンエマルジョンを付与し、加熱乾燥する際にマイグレーションを防止する方法(例えば、特許文献1を参照。)が提案されている。この方法によれば、高分子弾性体の均一付与が可能となり充実感が向上するが、繊維と樹脂との接着性が強いため、耐摩耗性を確保するために高分子弾性体の付与量を多くすることで風合いが硬くなりやすく、逆に付与量が少ない場合には柔軟な風合いとなるが耐摩耗性に劣るものとなる。
また、可細化性繊維を含むシートに粘弾性樹脂と仮充填物を付与、凝固し、しかる後、該シートを構成する可細化性繊維の可細化を行い、その後さらに粘弾性樹脂を付与、凝固し、仮充填物質を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。この方法によれば、たしかに風合いは柔軟化するが、繊維と粘弾性樹脂間で接着する力が弱まり耐摩耗性の確保は困難となる。
そのほかにも、水分散系高分子弾性体を使用する場合には、染色工程等の水処理工程で高分子弾性体の膨潤が起こって、高分子弾性体が脱落したり、極細繊維束内部の極細繊維を膠着させて、得られるスエード調人工皮革のスエード感や表面タッチ、風合い、引裂強力に劣る問題があった。また、使用時、特に濡れた際の擦れによって、水分散系高分子弾性体が脱落して色移りが起こりやすい問題等があり、溶剤系の付与方法を使用した場合の品質水準には到達できていないものであった。
海島繊維で代表される極細繊維発生型繊維の極細化の方法としては、これまで海成分に用いられてきた有機溶剤可溶性樹脂を水溶性樹脂に置き換えることで環境対応を図る検討も近年盛んに行われている。水溶液処理で極細化する場合、被水抽出性ポリマーが微量、抽出後に残存し、糊のように極細繊維あるいは該繊維束内部の極細繊維を膠着させて、得られるスエード調人工皮革のスエード感、表面タッチ、風合い、更には引裂強力が劣る傾向がある。更に、親水性の高い被水抽出性ポリマーが微量残存することに起因して、得られるスエード調人工皮革の吸水性が高くなり、湿潤下での色移りが起こりやすい傾向がある。
特に、水溶性樹脂を使用した海島繊維と水分散系高分子弾性体を組合せて、有機溶剤を全く使用しない製造方法を採用する場合には、高分子弾性体の繊維との接着性の弱さ、水膨潤性、高吸水性、低耐水性と、被水抽出性ポリマー残存に伴う高吸水性と合わさって、得られるスエード調人工皮革のスエード感、表面タッチ、風合い、耐摩耗性、湿潤下での色移りが一層劣る傾向がある。
また、水溶性樹脂の溶解除去工程等、製造条件の微妙な変動が品質に影響を与えやすいため、安定的に一定品質の物が得られ難く、生産安定性にも問題を抱えている。
つまり、製造工程で有機溶剤を全く使用しない環境対応型の製造方法による、スエード感、表面タッチ、風合い、力学物性の良好なスエード調人工皮革素材が強く求められているものの、従来から行われているアプローチは既に限界の域に達しており、未だ満足するものは得られていない。
特開平6−316877号公報 特公昭62−264号公報
水分散系高分子弾性体と極細繊維からなる絡合不織布からなる環境対応型のスエード調人工皮革の製造方法において、(1)水分散系高分子弾性体が染色時の熱水で膨潤し易い結果、極細繊維が膠着して、得られるスエード調人工皮革のスエード感や表面タッチ、充実感に劣る問題、(2)水分散系高分子弾性体が溶剤系高分子弾性体より力学的物性が弱く吸水性が大きいために、使用時の湿潤下の擦れ等による耐摩耗性の低下および色移りが起こりやすい問題、さらに(3)極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分で代表される極細繊維発生型繊維の極細化する時の水溶性高分子成分が微量、抽出後に残存し、糊のように極細繊維あるいは該繊維束内部の極細繊維を膠着させて、得られるスエード調人工皮革のスエード感、表面タッチ、風合い、更には引裂強力が劣る問題等の課題があった、
本発明は環境対応型の製造方法にて、天然皮革に類似したスエード感、表面タッチ、柔軟かつ充実感のある風合いを有し、耐摩耗性、耐湿摩擦堅牢性等の耐水性、等の力学物性に優れたスエード調人工皮革を工業的に安定して提供するものである。
本発明は、単繊維繊度が0.0003〜0.5dtexの極細繊維からなる絡合不織布の内部に水分散系高分子弾性体が含有されてなるスエード調人工皮革において、該極細繊維間および水分散系高分子弾性体にポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物が付与され、該ポリアミド誘導体の塩化物としての付与量がスエード調人工皮革に対して0.05〜2質量%であることを特徴とするスエード調人工皮革である。
また本発明は、単繊維繊度が0.0003〜0.5dtexの極細繊維からなる絡合不織布の内部に水分散系高分子弾性体が含有された人工皮革基体にポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物をポリアミド誘導体塩化物がスエード調人工皮革に対して0.05〜2質量%となるように付与し凝固する工程を含むスエード調人工皮革の製造方法である。そして、人工皮革基体を構成する極細繊維が極細繊維発生型繊維を極細化して得られる繊維であることが好ましく、該極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなり、水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
本発明は、環境対応型のスエード調人工皮革の製造方法であり、得られたスエード調人工皮革は、良好なスエード感、表面タッチ、および柔軟な風合い特性、並びに実用的に充分な力学物性、耐摩耗性、耐湿摩擦堅牢度等に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、前述の課題について鋭意改良を検討した。その結果、スエード調人工皮革の全質量に対して0.05〜2質量%のポリアミド誘導体の塩化合物の付着量となるように該ポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体との混合物を人工皮革基体を構成する絡合不織布の極細繊維間及び水分散系高分子弾性体に付着含有させることで、これらの問題点を解消でき、天然皮革に類似したスエード感、表面タッチ、充実感を有し、耐摩耗性、湿摩擦堅牢性等の力学物性に優れたスエード調人工皮革を工業的に安定して提供できることを見出した。
本発明において、好適なポリアミド誘導体の塩化合物としては、ポリアミド誘導体が下記一般式(1)であることが好ましい。
CONR(RNR’)nOCR’ (1)
(但し、R、R’は炭素数11〜25のアルキル基、Rは炭素数2ないし3のアルキレン基、R、R’はHあるいは分子間架橋結合で、同一であっても異なるものであってもよく、nは1〜8の整数)
本発明において使用される上記ポリアミド誘導体は、アルキル基の炭素数が11〜25の高級脂肪酸とアルキレン基の炭素数が2ないし3のポリアルキレンポリアミンを脱水縮合し、さらに必要に応じ尿素あるいはチオ尿素等で架橋して得られる前記一般式で表される化合物あるいはそれをエピハロヒドリンにより重縮合することにより得られる。これに用いられる高級脂肪酸の例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギジン酸、ベヘニン酸等が挙げられ、なかでもアルキル基の炭素数が17以上の高級脂肪酸が好ましい。
またポリアルキレンポリアミンの例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。さらにエピハロヒドリンと反応させると、エピハロヒドリンは2官能性の化合物であるため、ポリアミド誘導体をカチオン化すると共に架橋し、その結果、塩化合物が得られる。なかでも[C22H45COHNC2H4NHCOC23H47]HClが最も好ましい。
本発明におけるポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物の付与による改良効果は定かではないが、適度な滑り効果と適度な繊維接着性を有することで、極細繊維の分繊性を向上しつつ、得られるスエード調人工皮革表面の摩擦抵抗を低減することで、耐摩耗性の向上、スエード感、表面タッチ、充実感、更には引裂強力などの力学物性を向上したり、或いは、吸水性の高い水分散系高分子弾性体や残存する水溶性樹脂による吸水効果を抑制することで、得られるスエード調人工皮革の湿潤状態での擦れによる水分散系高分子弾性体や極細繊維の脱落を低減する効果が有ると推定している。また、ポリアミド誘導体の塩化合物が適度な皮膜形成性を有することで、極細繊維間や極細繊維束間を適度に接着して、染色工程や実使用下での毛羽脱落を抑制する効果も有ると考えられる。このような理由から、ポリアミド誘導体の塩化合物の付与は、極細繊維からなる絡合不織布を有するスエード調人工皮革に特に有効と考えられる。一方摩擦抵抗の低減効果をもつ、フッ素系、シリコーン系の場合には、滑り効果が大きすぎ、また、繊維接着性や皮膜形成性が劣るため、本発明の目的を達することが難しい。
ポリアミド誘導体の塩化合物は、スエード調人工皮革に対して0.05〜2質量%を極細繊維間および水分散系高分子弾性体に付着含有させることが必要である。0.05質量%未満では、改良効果が得られ難く、本発明の目的とする天然皮革に類似したスエード感、表面タッチ、充実感を有し、耐摩耗性、耐湿摩擦堅牢性等の力学物性に優れたスエード調人工皮革を工業的に安定して提供することができない。一方、2質量%を超える場合には、風合いが硬くなる。より好ましい含有量は、スエード調人工皮革に対して0.2〜1質量%である。
また、極細繊維間および高分子弾性体にポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物の状態で付着させることが重要であり、何れかに付着していない場合には、本発明の効果を得ることが難しい。従って、極細繊維発生型繊維からなる絡合不織布に水分散系高分子弾性体を付与して凝固し、その後該不織布を構成する極細繊維発生型繊維の極細化を行い、しかるのち、ポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物を付与して凝固することが好ましい。
そして、ポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物の質量比がポリアミド誘導体の塩化合物/水分散系高分子弾性体=0.2/100〜10/100であることが好ましく、0.5/100〜5/100であることが天然皮革に類似したスエード感、表面タッチ、充実感を有し、耐摩耗性、耐湿摩擦堅牢性等の力学物性に優れたスエード調人工皮革が得られ易い点でより好ましい。
本発明のスエード調人工皮革を構成する人工皮革基体の絡合不織布の製造に好適な繊維としては、極細繊維発生型繊維が用いられる。極細繊維発生型繊維とは、例えば、チップブレンド方式や複合紡糸方式で代表される方法を用いて得られる相溶性の異なる異種ポリマーからなる海島型断面繊維や多層積層型断面繊維等から海成分ポリマーや被除去ポリマーを除去して得る方法、2種以上の相溶性の低い重合体が隣接してなる易分割型複合繊維を物理的または化学的に処理して界面で剥離分割させて極細繊維とする方法等により極細繊維あるいは極細繊維束が得られるような繊維をいう。
また、本発明においては、上記した極細繊維発生型繊維以外に、紡糸延伸時に直接、極細繊維そのものを得る方法により製造した極細繊維を用いても差し支えない。
本発明の該極細繊維発生型繊維の繊度は特に制限されるものではないが、1〜6dtexが後に述べるウエブ工程の通過性の点で好ましい。また、極細繊維化後に単繊維繊度が0.0003〜0.5dtexとなることが必要である。0.5dtexを超えるとシート状物の柔軟な風合いが失われる傾向がある。また、0.0003dtex未満の場合後工程での染色性や繊維の強力特性が低下する。シート状物、特に人工皮革としての性能、すなわち柔軟性、触感、外観品位、強力特性などを高めるために0.0003〜0.5dtexが採用される。より好ましくは0.003〜0.2dtex、更に好ましくは0.007〜0.1dtexの範囲である。
本発明において、海島繊維で代表されるような極細繊維発生型繊維を経て絡合不織布を製造する場合、該繊維を構成する一部の樹脂成分、例えば海成分を除去することによって極細繊維化することから、除去成分として、例えばポリスチレン及びその共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の溶剤除去可能なポリマーの1種または2種以上を用いることができるが、本発明においては、環境汚染、溶解除去時の収縮特性等を総合的に考慮すれば、極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなることが好ましく、該水溶性高分子成分が熱溶融性を有しかつ熱水溶解可能なPVAを用いるのがより好ましい。熱溶融性を有し熱水溶解可能なPVAについては後で詳述するが、このような変性PVAを溶解除去する際に大きな収縮が生じ、シート状物およびそれを用いた人工皮革基材の高密度化が達成され、ドレープ性や風合い等が天然皮革に酷似したものとなる。
上記PVAはホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性および抽出処理時の収縮特性などの観点から、共重合単位を導入したPVAであることが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数4以下のα―オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチレンビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類がより好ましい。また炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に1〜20モル%存在していることが好ましい。さらに、α−オレフィンがエチレンである場合において、繊維物性が高くなること、及び熱水での溶解性が良好となることから、特にエチレン単位が4〜15モル%変成されたPVAを使用することがより好ましい。
またけん化度は90〜99.99モル%が好ましく、92〜99.98モル%がより好ましく、94〜99.96モル%がさらに好ましく、95〜99.95モル%が特に好ましい。けん化度が90モル%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な複合溶融紡糸を行うことができない。一方、けん化度が99.99モル%よりも大きいPVAは安定に製造することが困難である。更に、PVAの一次構造や高次構造を調節し結晶性や水溶性を制御して、適当な熱水溶解性に調整する。
常温で水に溶出するタイプのPVAを水溶性高分子成分として用いた場合には水分散系高分子弾性体の含浸時に水溶性高分子成分が溶出し高分子弾性体水分散液を汚染してしまう場合があり、また水溶性高分子成分の一部溶出に伴い極細繊維部分が露出することによって含浸した高分子弾性体が極細繊維束内部に入り込んで、得られるスエード調人工皮革の風合いを硬化する傾向があることから、60〜100℃の熱水で容易に溶出するタイプのPVAを水溶性高分子成分として用いることが好ましい。さらに60〜100℃の熱水で水溶性高分子成分を溶出することによって、スエード調人工皮革に残存するPVAを1%以下に低減でき、また、絡合不織布の収縮挙動が発生し構造捲縮を生じやすいことから天然皮革並みの優れた風合いの人工皮革基体が得られる点で好ましい。
本発明の水難溶性高分子成分としては極細繊維となりうる公知の樹脂を使用できる。例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系等の繊維形成性能を有する樹脂であれば特に限定するものではない。ただし、PVAを高温で紡糸すると紡糸性の悪化を招くため、極細繊維を構成する水難溶性高分子成分の融点を適宜選択することが好ましく、極細繊維を構成する水難溶性高分子成分としては、極細繊維を形成する過程において溶解除去される水溶性高分子成分の融点〜+60℃の間の融点を有する熱可塑性成分を選択することが極細繊維発生型繊維の紡糸安定性の点で好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートあるいはイソフタル酸を共重合したポリブチレンテレフタレートなどで代表されるポリエステル系樹脂、あるいはナイロン6、ナイロン11、ナイロン12などで代表されるポリアミド系樹脂が好ましく挙げられる。なお水溶性高分子成分の融点としては、紡糸性などの点から160〜230℃が好ましい。160℃未満の場合には、形態安定性が劣り、実用性の点から好ましくない。
そして、極細繊維発生型繊維を構成する水溶性高分子成分と水難溶性高分子成分の質量比率としては、10/90〜60/40の範囲が、極細繊維発生型繊維の断面形成性が良好となるために好ましい。断面形成性が良好なことは、海島繊維において水溶性高分子が極細繊維を完全被覆した状態となるために絡合不織布内部での均一な浸透性が得られ水分散系高分子弾性体の均一含浸に有利である点、あるいは、人工皮革基体とした際に発生する極細繊維の絡合状態が均一となり得られる人工皮革の風合いを損なわない点、から品質の安定化に寄与するため好ましい。
本発明の絡合不織布の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、まず上記で得られる極細繊維発生型繊維を捲縮付与した後、フィラメントとして長繊維絡合不織布を製造する方法はもとより、ステープル化し、カード、クロスラッパー、ランダムウエバー等によりウエブを形成し、ニードルパンチまたは、高圧水流処理等の公知の絡合処理をおこなうことにより繊維を絡合させる。
または、極細繊維発生型繊維を捲縮付与した後ステープル化し、カード、クロスラッパー、ランダムウエバー等によりウエブを形成し、必要に応じて該ウエブの表層、下層、あるいは中間層に上記繊維を用いた織編物を積層し、ニードルパンチまたは、高圧水流処理等の公知の絡合処理をおこなうことにより繊維を絡合させる。
ステープル化した際の繊維長は、平均繊維長18〜110mmであることが好ましく、平均繊維長20〜80mmがさらに好ましい。繊維長が18mm以上のものでないと効果的な絡合ができず、また110mmを越えた場合では、カード処理などの工程通過性が低下する傾向となる。ただし、その後のスライスやバフィングなどの後加工を経ることにより、最終製品中には切断されてしまい18mm未満になった繊維が一部含まれていることがあるが、これは効果的絡合が達成されてから後に発生した繊維であるので、特別不都合もなく差し支えないものである。
本発明では絡合方法として、ニードルパンチ処理が水溶性高分子成分を溶解し難い点で好ましく用いられる。具体的なニードルパンチ条件としては、不織布を充分に絡合させるためにニードル針のバーブ位置が不織布表面まで貫通するような条件でかつニードルパンチ数が400〜5000パンチ/cmの条件が好ましく、より好ましくは1000〜2500パンチ/cmの条件である。
得られた絡合不織布に、必要に応じ乾熱収縮、熱水収縮等を施し、単位面積あたりの繊維密度を大きくすることができる。これらの収縮処理により緻密な繊維構造とすることで、スエード感が向上する。
好ましくは水溶性成分の脱落のない乾熱収縮処理により布帛の面積を収縮前の40〜90%にする。収縮後の面積が収縮前の面積の90%を超えるような低い収縮では緻密感が得られず風合いやスエード感が劣るため好ましくなく、あるいは、短繊維が素抜けやすくなって、それを固定するための高分子弾性体の必要量が多くなる傾向があり好ましくない。逆に、収縮後の面積が収縮前の面積の40%未満となるような大きな収縮の場合には風合いが硬化するため好ましくない。乾熱収縮処理は、上記絡合不織布を160〜200℃の雰囲気下に0.5〜3分放置することにより好適に行なわれる。
必要に応じて、不織布に、溶解除去可能な樹脂たとえばPVA系樹脂などの水溶性糊剤を付与して、不織布を仮固定してもよいし、表面平滑化や比重調整などのために、熱プレスなどの熱処理を行っても良い。熱プレスによる比重調整が、水溶性成分の脱落のないこと、水分散系高分子弾性体付与の際の制御のしやすさの点から好ましく用いられる。
絡合不織布の厚みは、得られる人工皮革の用途等によって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、その厚みは0.2〜10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程度であることがより好ましい。密度は0.30〜0.80g/cmが好ましく、0.40〜0.60g/cmが更に好ましい。0.30g/cm未満であると繊維の立毛感が不足し、さらに機械物性も低下する傾向があり、0.80g/cmを越えると得られる人工皮革の風合いが硬くなる傾向があるため好ましくない。
本発明の人工皮革基体の水分散系高分子弾性体としては、人工皮革に用いられる公知のものが用いられ特に限定はされないが、風合いや充実感の点でウレタン系樹脂および/またはアクリル系樹脂あるいはそれらの複合樹脂が好ましく用いられる。
本発明の絡合不織布と水分散系高分子弾性体(以下、単に高分子弾性体と称すこともある)の質量比率は、水分散系高分子弾性体:極細繊維からなる絡合不織布=5:95〜40:60の質量範囲とすることが好ましく、より好ましくは10:90〜30:70である。高分子弾性体が5質量%未満の場合、絡合不織布を十分固定できず、得られるスエード調人工皮革のスエード感や表面タッチ、表面摩耗性等の物性に劣る傾向がある。逆に、40質量%を越える場合には、高分子弾性体特有の反発感や抵抗感が大きくなって、得られるスエード調人工皮革の風合いや表面タッチが劣る傾向がある。
本発明の高分子弾性体には、本発明の特徴を損なわない限り、浸透剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造膜助剤、感熱ゲル化剤、柔軟剤、滑剤、防汚剤、蛍光剤、防黴剤、難燃剤、PVA、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、染料などを適宜含有していてもよい。
また高分子弾性体の水分散液を絡合不織布の内部に含浸した後、高分子弾性体を凝固させる。凝固する方法としては、公知の方法が挙げられるが、例えば、熱処理して乾式凝固、あるいは熱水処理、スチーム処理、赤外線処理を行って感熱凝固する方法が好ましく挙げられる。
また本発明では、水分散系高分子弾性体の水分散液に感熱ゲル化性化合物や金属塩を添加する等の公知の方法で、絡合不織布全体に均一に存在できるように高分子弾性体を凝固する方法を加えることがより好ましい。
水分散系高分子弾性体を絡合不織布内部に含浸する方法については、絡合不織布中に高分子弾性体の水分散液を均一に含浸させ得る公知の方法を採用すれば良いが、水分散液中に絡合不織布を浸漬した後にプレスロールやドクターナイフなどを用いて水分散系高分子弾性体の含浸量を適量なものに調整する方法や、定量ポンプ付きのコート塗工方法による方法などが好ましい例として挙げられる。
なお、上記の質量比率となるように水分散系高分子弾性体を付与するにあたり、水分散系高分子弾性体の付与はニ段階に分けて行なうことが重要である。すなわち、例えば極細繊維発生型繊維からなる絡合不織布に一段階目として水分散系高分子弾性体を付与して凝固し、その後該絡合不織布を構成する極細繊維発生型繊維の極細化を行い、人工皮革基体とし、しかるのち、二段階目の水分散系高分子弾性体を付与して凝固する方法が用いられる。かかる場合、第一段階目の含浸時に水分散系高分子弾性体付与目標量の全量を添加することは好ましくない。海成分の溶解除去前に全量添加し、二段目の付与を行なわない場合、風合いはソフトになるが、極細繊維と樹脂との不十分な接着に伴う毛羽抜け、耐摩耗性の低下等の種々の問題が生じる。また、一段目の含浸を行なわず、高分子弾性体付与目標量の全量を二段目すなわち海成分溶解除去後の含浸時に添加することは好ましくない。この場合、毛羽抜けおよび耐摩耗性は向上するが、風合いの硬いものとなる。
ここで、風合いの柔軟性と耐摩耗性を両立させるためには、第一段目の樹脂添加量は水分散系高分子弾性体付与目標量の50〜95%とすることが特に好ましく、70〜85%がとりわけ好ましい。
前述したように、本発明では、極細繊維間および水分散系高分子弾性体に、ポリアミド誘導体の塩化合物が、スエード調人工皮革の全質量に対して0.05〜2質量%付着含有されていることが必要である。ポリアミド誘導体の塩化合物は第一段階目と第二段階目に分配して混入してもよいが、極細繊維発生型繊維の細化後の第二段階目には水分散系高分子弾性体との混合物として必ず添加する必要がある。第二段階目に混合物として付着させることで極細繊維間および水分散系高分子弾性体に効果的に付着する。
以上の工程によって得られた人工皮革基体は、公知の方法で、表面を起毛処理し、染色処理を行うことによってスエード調人工皮革とすることができる。
本発明において、得られるスエード調人工皮革の密度は0.35〜0.70g/cmであることが好ましい。密度が0.35g/cm未満の場合には、天然皮革ライクな風合いが得られ難くなり、また密度が0.70g/cmより大きい場合には、柔軟性に劣る傾向となる。好ましくは、0.40〜0.60g/cmの範囲である。
以上の環境対応型の製造方法により得られたスエード調人工皮革は、良好なスエード感、表面タッチおよび柔軟な風合い特性並びに実用的に充分な力学物性、耐摩耗性、耐湿摩擦堅牢度等に優れたものとなり、カーシート、インテリア、衣料をはじめとした諸用途に好適に用いることができる。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
[湿摩擦堅牢度の評価]
JIS L0849(摩擦に対する染色堅牢度試験方法)の湿潤試験により評価した。
[摩耗状態の評価]
マーチンデール型摩耗試験機を使用して、JIS L1096摩耗強さE法に準拠し、押圧荷重12kPaにて20000回まで摩擦処理を行った。途中、1000回毎に表面(摩擦面)の毛玉発生の有無を目視にて判定した。併せて、20000回処理後の試料の質量減少を測定した。
[製造例1]
[水溶性熱可塑生PVAの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cmとなるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
得られたエチレン変性PVAのけん化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.03質量部であった。また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをd−DMSOに溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5でけん化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置してけん化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。該精製PVAの1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ1.50モル%および83%であった。さらに該精製PVAの5%水溶液を調製し、10μm厚のキャストフィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥した後、DSC(メトラー社、TA3000)に測定した融点は206℃であった。
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等質量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸8モル%変性ポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)を島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、550ホール)から、海成分/島成分比率=30/70の比率、口金温度250℃で吐出し紡糸した。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸した。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を、捲縮機で捲縮を付与し51mmにカットしてステープル化した。この海島型複合繊維ステープル(原綿)は単繊度4.13dtex、強度3.2cN/dtex、伸度40%であった。
得られた原綿からカード、クロスラッパー工程を経て形成した繊維ウエブを積層し、2000P/cmのニードルパンチを行い、目付質量450g/m、見かけ密度0.22g/cmのシート状物を得、さらに加熱により収縮させ、下にカレンダロールでプレスして見かけ密度0.50g/cmの繊維質シートとした。
この繊維質シートに、エバファノールAP−12(日華化学(株)製、水性ポリウレタンエマルジョン)と感熱ゲル化剤として硫酸ナトリウムを固形分質量比100:3で配合した一段目含浸液をピックアップ率80質量%となるように含浸させ、乾燥、キュアリングを施したのち、90℃の熱水浴中で、30分間のPVA除去処理を行い、海成分のPVAを除去して島成分よりなる極細繊維束を発現させ、皮革様シートとした。
得られた皮革様シートに、エバファノールAP−12と、ニッテックスAP(吉村油化学(株)製、ポリアミド誘導体の塩化合物)を表1に示す率で混合した二段目含浸液をピックアップ率40質量%とし、スエード調人工皮革に対して0.5質量%となるようにパディング付与し、乾燥、キュアリングを施した。
次いで、バフィングにより表面を毛羽立て、分散染料による染色処理、仕上処理を施し、厚さ0.9mm、目付510g/m、比重0.57g/cmのスエード調人工皮革を得た。
得られた人工皮革は、充実感と柔軟性を併せ持ち、湿摩擦堅牢度、耐摩耗性ともにインテリア用途に充分な性能を有するものであった。
[比較例1]
実施例1において、二次含浸液としてニッテックスAPを配合せず、エバファノールAP−12の希釈液を使用する以外は、同一の条件にて人工皮革を作成した。
得られた人工皮革は、柔軟性に欠け、湿摩擦堅牢度に劣るなど、実用性能の不足したものであった。
[比較例2]
実施例1において、ニッテックスAPの配合量を表1のとおりスエード調人工皮革に対して0.03質量%となるようにパディング付与してポリアミド誘導体の塩化合物量を減らす以外は、同一の条件にてスエード調人工皮革を作成した。
得られたスエード調人工皮革は、柔軟性に欠け、湿摩擦堅牢度に劣るなど、実用性能の不足したものであった。
[比較例3]
実施例1において、二次含浸液として、エバファノールAP−12と、NKガードNDN−2000(日華化学(株)製、フッ素系処理剤)を表1に示す率で混合した液を使用する以外は、同一の条件にてスエード調人工皮革を作成した。
得られたスエード調人工皮革は、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であったが、摩擦試験において、毛玉が発生してしまい、摩耗減量値も大きく実用性能の不足したものであった。
[比較例4]
実施例1において、二次含浸液として、エバファノールAP−12と、ニッカシリコンAM204(日華化学(株)製、シリコーン系処理剤)を表1に示す率で混合した液を使用する以外は、同一の条件にてスエード調人工皮革を作成した。
得られたスエード調人工皮革は、風合いおよび湿摩擦堅牢度は良好であったが、摩擦試験において、毛玉が発生してしまい、摩耗減量値も大きく実用性能の不足したものであった。
Figure 0004549915

Claims (4)

  1. 単繊維繊度が0.0003〜0.5dtexの極細繊維からなる絡合不織布の内部に水分散系高分子弾性体が含有されてなるスエード調人工皮革において、該極細繊維間および水分散系高分子弾性体にポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物が付与され、該ポリアミド誘導体の塩化物としての付与量がスエード調人工皮革に対して0.05〜2質量%であることを特徴とするスエード調人工皮革。
  2. 単繊維繊度が0.0003〜0.5dtexの極細繊維からなる絡合不織布の内部に水分散系高分子弾性体が含有された人工皮革基体にポリアミド誘導体の塩化合物と水分散系高分子弾性体の混合物をポリアミド誘導体塩化物がスエード調人工皮革に対して0.05〜2質量%となるように付与し凝固する工程を含むスエード調人工皮革の製造方法。
  3. 人工皮革基体を構成する極細繊維が極細繊維発生型繊維を極細化して得られる繊維である請求項2に記載のスエード調人工皮革の製造方法。
  4. 極細繊維発生型繊維が水溶性高分子成分および水難溶性高分子成分からなり、水溶性高分子成分が炭素数4以下のα−オレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を1〜20モル%含有し、けん化度90〜99.99モル%の変性ポリビニルアルコールである請求項3に記載のスエード調人工皮革の製造方法。
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