JP2014025153A - 熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維、その極細繊維の繊維絡合体、人工皮革、及びその極細繊維の製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維、その極細繊維の繊維絡合体、人工皮革、及びその極細繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極細繊維同士が束状に固着しにくく、例え、束状に固着して形成されても容易に開繊させることのできるポリエステル系エラストマーの極細繊維、特に人工皮革の基材として好ましく用いられる、ポリエステル系エラストマーの極細繊維からなる繊維絡合体を提供する。
【解決手段】水溶性熱可塑性樹脂を海成分とし、熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とする海島型繊維から、水溶性熱可塑性樹脂を熱水抽出して得られ、平均繊度0.001〜0.5デシテックスであり、熱可塑性ポリエステルエラストマーの荷重たわみ温度が100℃以上である極細繊維。
【選択図】図2

Description

本発明は、弾性を備えたポリエステルエラストマーの極細繊維、その極細繊維から形成された繊維絡合体、人工皮革、及びその極細繊維の製造方法に関する。
従来から、天然皮革に似た質感を有する人工皮革として、繊維絡合体に弾性樹脂を含浸付与して得られる人工皮革が知られている。人工皮革の製造に用いられる繊維絡合体としては、極細繊維からなる繊維絡合体が広く知られている。極細繊維からなる繊維絡合体を用いた人工皮革は、柔軟性と充実感とを備え、天然皮革の風合いにより近い風合いを発現する。
極細繊維からなる繊維絡合体としては、機械的特性が高く、風合いも優れ、さらに、紡糸性にも優れることから、ポリエステル繊維やポリアミド繊維からなる繊維絡合体が広く用いられてきた。また、例えば、下記特許文献1は、分割型複合繊維から得られる極細繊維の繊維絡合体を開示しており、その段落[0024]には、ポリウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマーの極細繊維も列挙されている。
また、人工皮革に伸縮性を付与する目的で、下記特許文献2は、非弾性のポリマーからなる極細繊維と弾性ポリマーからなる繊維とを含む繊維絡合体を用いた人工皮革を開示する。そして、その弾性ポリマーとして、各種ポリウレタン類、各種ポリエステルエラストマー類、各種ポリアミドエラストマー類、各種共役ジエン系重合体、等の弾性ポリマーを列挙する。
特開2003−328276号公報 特開2005−97821号公報
弾性ポリマーからなる極細繊維の繊維絡合体を含む人工皮革は、例えば、特許文献1に、その極細繊維としてポリウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマーの繊維が列挙されているように、その可能性は示唆されているが実用化は困難であった。その理由は、ポリウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマーの極細繊維は、紡糸することが困難であったためである。
本発明者らは、弾性繊維からなる極細繊維の繊維絡合体を製造するために、種々の検討を行ってきた。そして、人工皮革に要求される機械的特性や風合いを実現することを満足しうる弾性繊維として、ポリウレタン系エラストマー(以下、PU系エラストマーとも称する)及び熱可塑性ポリエステルエラストマーを有力な候補として選択していた。そして、これらの繊維を用いて極細繊維の繊維絡合体を製造することを試行錯誤していた。
PU系エラストマーの極細繊維を製造するために、PU系エラストマーを島成分とし、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂(以下、単にPVAとも称する)を海成分とする海島型繊維を溶融紡糸し、海成分を熱水で選択的に除去することによりPU系エラストマーの極細繊維を形成することを試みた。しかし、PU系エラストマーはPVAとの反応性が高く、反応することによりガスを発生するために安定した溶融紡糸ができなかった。
また、PU系エラストマーの極細繊維を製造するために、PU系エラストマーを島成分とし、ポリエチレンを海成分とする海島型繊維を溶融紡糸し、海成分を熱トルエン等の有機溶媒で選択的に除去することによりPU系エラストマーの極細繊維を形成することも試みた。しかし、この場合には、PU系エラストマーがトルエン等の有機溶媒により膨潤して固着してしまい、極細繊維が束状に固着されて形成される。このような極細繊維の繊維絡合体を用いて人工皮革を製造した場合、表面を起毛した場合に、束状の極細繊維が開繊されないためにスエード感のあるような表面が得られず、ささくれ立った起毛状態を有する表面しか得られなかった。
一方、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維を製造するために、一般的な熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とし、PVAを海成分とする海島型繊維を溶融紡糸し、海成分を熱水で除去することにより熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維を形成することも試みた。しかし、この場合にも、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維が固着して束状に形成された。
本発明は、上述した問題を解決すること、すなわち、極細繊維同士が束状に固着しにくく、例え、束状に固着して形成されても容易に開繊させることのできる熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維、特に人工皮革の基材として好ましく用いられる、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の繊維絡合体を提供することを目的とする。
上述したように、弾性繊維からなる極細繊維を主体とする繊維絡合体を製造することは困難であった。本発明者らは、鋭意検討した結果、海島型繊維を用いて熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維を製造する際に、特定の性質を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いることにより、上記課題を解決した極細繊維を形成することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の極細繊維は、水溶性熱可塑性樹脂を海成分とし、熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とする海島型繊維から、水溶性熱可塑性樹脂を熱水抽出して得られ、平均繊度0.001〜0.5デシテックスであり、熱可塑性ポリエステルエラストマーの荷重たわみ温度(ASTM D648 0.45MPa、以下同様)が100℃以上である極細繊維である。このように荷重たわみ温度が100℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いて、海島型繊維を経て極細繊維を製造する場合、水溶性熱可塑性樹脂の熱水抽出処理の際に熱可塑性ポリエステルエラストマーの表面が軟化して極細繊維同士が固着することを抑制することができる。
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーの結晶化温度は160℃以上であることが好ましい。結晶化温度が160℃以上である場合には、海島型繊維を溶融紡糸する際に、水溶性熱可塑性樹脂が固化する前に熱可塑性ポリエステルエラストマーの繊維が充分に延伸される。その結果、繊維強度の高い熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維が形成される。なお、熱可塑性ポリエステルエラストマーの結晶化温度が低すぎる場合には、低延伸または未延伸の繊維が形成される傾向がある。この場合には、繊維強度が低くなり、例えば、ニードルパンチにより海島型繊維を絡合させるときに、海島型繊維が容易に損傷して頻繁に切断されるために繊維絡合体を形成させることが困難になる傾向がある。
また、本発明の極細繊維絡合体は上述した極細繊維から形成されている繊維絡合体である。このような極細繊維絡合体は、上述したような熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維から形成されているために、製造過程において極細繊維同士が強く固着されにくく、また、固着されても開繊されやすい極細繊維絡合体になる。
また、極細繊維絡合体は、その表面が起毛処理されており、起毛処理された表面において観察される、開繊されずに固着した極細繊維束の数密度が平均7束/mm2以下であることが好ましい。上述した熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維は、極細繊維同士が固着しにくいために、簡単な起毛処理により、表面の極細繊維が容易に開繊するため、開繊されずに存在する極細繊維束が少ない。
また、本発明の人工皮革は上述したような繊維絡合体を含む。
また、本発明の極細繊維の製造方法は、荷重たわみ温度が100℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とし、水溶性熱可塑性樹脂を海成分として海島型繊維を溶融紡糸する工程と、海島型繊維中の水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解除去する工程と、を備える。このような工程によれば、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維を製造過程において強く固着させることなく、製造することができる。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維は、極細繊維同士が束状に固着されにくく、例え、束状に固着されても容易に開繊する。また、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の製造方法によれば、そのような極細繊維を容易に製造することができる。
熱可塑性ポリエステルエラストマーの示差走査熱量測定(DSC)のチャートの一例を示す。 実施例1で得られた極細繊維の繊維絡合体の起毛後の表面のSEM写真である。 比較例1で得られた極細繊維の繊維絡合体の起毛後の表面のSEM写真である。
[第1実施形態]
本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維、及びその製造方法の一実施形態を詳しく説明する。
本実施形態の熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の製造方法においては、はじめに、荷重たわみ温度が100℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とし、水溶性熱可塑性樹脂を海成分とする海島型繊維を溶融紡糸する。
水溶性熱可塑性樹脂としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により、溶解除去または分解除去できる熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。このような、水溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂(PVA);ポリエチレングリコール及び/又はスルホン酸アルカリ金属塩を共重合成分として含有する変性ポリエステル;ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらの中では、紡糸安定性や抽出除去性に優れている点からPVAが特に好ましく用いられる。本実施形態においては、PVAを海成分として用いた例を代表例として詳しく説明する。
本実施形態においては、海島型繊維の島成分であり、極細繊維を形成するための樹脂として、荷重たわみ温度が100℃以上、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いる。また、荷重たわみ温度の上限は特に限定されないが、160℃以下、さらには155℃以下であることが好ましい。
荷重たわみ温度が100℃未満の場合には、海島型繊維を形成した後、PVAを熱水中で選択的に除去して熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維を形成する際に、形成される熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の表面が熱水により軟化して固着されて集束される。なお、荷重たわみ温度が高すぎる場合には、エラストマーとしての充分な伸縮性を有する人工皮革が得られにくくなる傾向がある。
なお、熱可塑性ポリエステルエラストマーの荷重たわみ温度は、熱可塑性ポリエステルエラストマーを成形して、長さ80mm×幅10mm×厚み4mmの短冊状の試験片を調整し、得られた試験片を用いて、ASTMD648に準じて荷重0.45MPaで測定された値である。
また、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、結晶化温度が150℃以上、好ましくは158℃以上、さらには160℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いることが特に好ましい。結晶化温度が低すぎる場合、溶融紡糸の際に、PVAが熱可塑性ポリエステルエラストマーよりも先に固化してしまい、熱可塑性ポリエステルエラストマーは延伸されにくくなり、繊維強度が低下する傾向がある。このような場合には、例えば、後述するような海島型繊維の繊維絡合体を製造する場合に、ニードルパンチにより海島型繊維が容易に損傷して切断されてしまうために、海島型繊維の繊維絡合体を製造することが困難になる傾向がある。
熱可塑性ポリエステルエラストマーの結晶化温度は、示差走査熱量測定(DSC)により、アルミニウム製等のパンに適量のサンプルを入れ、常温から250℃まで20℃/分の昇温速度で昇温した後、2分間ホールドし、20℃/分の速度で降温したときに、例えば、図1に示すような、DSCのチャートにおける発熱ピークの温度として測定することができる。
なお、熱可塑性ポリエステルエラストマーとは、疑似架橋点を形成するための、通常、芳香族ポリエステル等からなる結晶性のハードセグメントと、弾性を発現するための、通常、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステル等の非晶性のソフトセグメントとを備えた弾性を有する熱可塑性の共重合体である。これらの中では、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルである熱可塑性エラストマーが柔軟性、耐熱性、耐薬品性の点から特に好ましい。
荷重たわみ温度が100℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーの具体例としては、例えば、東洋紡績(株)製の熱可塑性ポリエステルエラストマーである商品名ベルプレンの各グレードのうち、荷重たわみ温度(ASTM D648.0.45Mpa)が100℃以上のグレード、具体的には、例えば、ベルプレンのP−90B(荷重たわみ温度101℃、結晶化温度157℃)、P−150B(荷重たわみ温度117℃、結晶化温度163℃)、P−280B(同155℃、結晶化温度174℃)、E−450B(荷重たわみ温度161℃、結晶化温度185℃)、S−2001(荷重たわみ温度107℃、結晶化温度170℃)、S−3001(荷重たわみ温度117℃、結晶化温度175℃)、S−6001(荷重たわみ温度130℃、結晶化温度180℃)、S−9001(荷重たわみ温度146℃、結晶化温度186℃)等が挙げられる。なお、ベルプレンのPグレード及びEグレードはソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであるグレードであり、Sグレードはソフトセグメントが脂肪族ポリエステルであるグレードである。
なお、熱可塑性ポリエステルエラストマーには、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、各種添加剤、具体的には、例えば、触媒,着色防止剤,耐熱剤,難燃剤,滑剤,防汚剤,蛍光増白剤,艶消剤,着色剤,光沢改良剤,制電剤,芳香剤,消臭剤,抗菌剤,防ダニ剤,無機微粒子等を必要に応じて配合してもよい。
本実施形態においては、海島型繊維の海成分の水溶性熱可塑性樹脂としてPVAを用いる。海成分のPVAは、海島型繊維を極細繊維に変換する際に、例えば、熱水により選択的に除去される成分である。PVAとしては、PVAのホモポリマーの他、共重合、末端変性、および後変性により官能基を導入した変性PVAであってもよい。
共重合性、溶融紡糸性および繊維物性等の観点からは、エチレン,プロピレン,1−ブテン,イソブテン等の炭素数4以下のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,n−プロピルビニルエーテル,i−プロピルビニルエーテル,n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類を共重合させて変性された変性PVAが特に好ましい。この場合、エチレン単位の含有割合としては、3〜15モル%、さらには5〜13モル%であることが好ましい。
PVAのケン化度としては、90〜99.99モル%、さらには93〜99.98モル%、とくには、94〜99.97モル%、殊には、96〜99.96モル%の範囲であることが好ましい。PVAのケン化度がこのような範囲である場合には、水溶性に優れ、熱安定性が良好で、溶融紡糸性に優れ、また、生分解性にも優れたPVAが得られる。
海島型繊維は、熱可塑性ポリエステルエラストマーとPVAとを複合紡糸用口金から押出して溶融紡糸し、口金から吐出した溶融状態の海島型繊維を冷却装置により冷却した後、エアジェットノズルなどの吸引装置を用いて、目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引取速度に相当する速度の高速気流により牽引細化し、移動式ネットなどの捕集面上に堆積させる。
溶融紡糸における紡糸温度(口金温度)は、熱可塑性ポリエステルエラストマー及びPVAの種類により、溶融紡糸に最適な温度が適宜選択されるが、具体的には、例えば、220〜270℃、さらには240〜250℃程度の温度が選ばれる。
海島型繊維の平均繊度は特に限定されないが、1〜5デシテックス程度であることが好ましい。PVAと熱可塑性ポリエステルエラストマーの体積比に相当する横断面における海成分と島成分の平均面積比も特に限定されないが、海成分/島成分=5/95〜70/30であることが好ましい。
そして、このようにして形成された海島型繊維から、海成分であるPVAを熱水等により選択的に除去することにより、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維が得られる。
PVAを選択的に除去する方法としては、具体的には、例えば、海島型繊維を85〜100℃の温水に浸漬し、好ましくは、海成分の除去率が95質量%以上、さらには98質量%以上になるまで100〜600秒間程度処理することによりPVAを抽出除去することが好ましい。温水で処理する場合には、抽出処理の際に有機溶剤を用いた場合に発生するような揮発性物質の発生が抑制されるために、環境負荷が低く、労働衛生上も好ましい。
このようにして平均繊度0.001〜0.5デシテックスである熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維が得られる。極細繊維の平均繊度は0.001〜0.5デシテックスであり、0.01〜0.3デシテックス、さらには0.02〜0.2デシテックスであることが好ましい。極細繊維の平均繊度が0.001デシテックス未満の場合には、繊維強力が低くなりすぎて得られる極細繊維の機械的特性が低くなる。また、0.5デシテックスを超える場合には、繊維自体が嵩高いために密度を上げることができなくなり、例えば、緻密な繊維絡合体を得ることが困難になる。
以上、本実施形態の極細繊維について詳しく説明した。なお、本実施形態の極細繊維は、機械的特性及び風合い等の観点から人工皮革に用いられるような繊維絡合体として、特に好ましく用いられる。次に、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維絡合体の製造について、詳しく説明する。
[第2実施形態]
本実施形態の熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維絡合体は、上述した極細繊維の製造方法を用いて製造することができる。以下、その工程について、詳しく説明する。なお、第1実施形態と重複する内容については、煩雑化を避けるために、説明を簡略化する。
はじめに、第1実施形態で説明した方法と同様の方法により、PVAを海成分とし、熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とする海島型繊維を溶融紡糸し、口金から吐出した溶融状態の海島型繊維を冷却装置により冷却した後、エアジェットノズルなどの吸引装置を用いて、目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引取速度に相当する速度の高速気流により牽引細化し、移動式ネットなどの捕集面上に堆積させてウェブを形成する。また、必要に応じて、得られたウェブをプレスすることにより部分的に圧着して形態を安定化させる処理をしてもよい。このような方法により、海島型繊維の長繊維からなるウェブが形成される。なお、長繊維を製造する代わりに、従来から知られた、短繊維の製造法により、海島型繊維の短繊維からなるウェブを形成してもよい。
そして、上述のようにして得られたウェブを複数枚重ねて絡合処理することにより海島型繊維の絡合体であるウェブ絡合シートを形成する。具体的には、ウェブをクロスラッパー等を用いて厚さ方向に複数層重ね合わせた後、その両外側から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件でニードルパンチを行う。パンチング密度は特に限定されないが、500〜5000パンチ/cm2の範囲であることが、海島型繊維のニードルによる損傷を抑制しながら充分に繊維を絡合させることができる点から好ましい。
このような工程により、海島型繊維が三次元的に絡合されたウェブ絡合シートが得られる。なお、ウェブ絡合シートには、その製造から絡合処理までのいずれかの段階で、針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与することが好ましい。
なお、上述したように、熱可塑性ポリエステルエラストマーの種類によっては、海島型繊維を溶融紡糸する際に、PVAが固化する前に熱可塑性ポリエステルエラストマーの繊維が充分に延伸されずに固化されることがある。このような場合、極細繊維の繊維強度が低くなる傾向がある。このような場合、熱可塑性ポリエステルエラストマーの結晶化温度が150℃以上、さらには158℃以上、とくには160℃以上である場合には、熱可塑性ポリエステルエラストマーが固化する前にPVAが固化することが抑制される。そのために、熱可塑性ポリエステルエラストマーの繊維を充分に延伸させることができる。この場合には、ニードルパンチにより海島型繊維を絡合させるときに、繊維は切断されにくくなる。
上述のようにして得られたウェブ絡合シートには、形態安定性を付与したり、風合いを調整したりすることを目的として、ポリウレタン系樹脂等の高分子弾性体を含浸付与してもよい。具体的には、例えば、ウェブ絡合シートに、高分子弾性体を含むエマルジョン等を含浸させた後、高分子弾性体を凝固させることにより、ウェブ絡合シートに高分子弾性体が含浸付与される。
高分子弾性体としては、従来から人工皮革を製造する際等に使用されている高分子弾性体が特に限定なく用いられうる。その具体例としては、例えば、ポリウレタン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂,ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂,弾性ポリスチレン系樹脂,弾性ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ポリウレタン系樹脂が、柔軟性と充実感に優れる点からとくに好ましい。
ウェブ絡合シートに高分子弾性体を含浸付与する方法の具体例としては、例えば、ポリウレタンエマルジョンやアクリル系エマルジョンのような高分子弾性体を含む液をウェブ絡合シートに含浸させた後、乾燥することにより凝固させる方法が好ましい。
上述のように、高分子弾性体を含む液をウェブ絡合シートに含浸させた後、乾燥させることにより、ウェブ絡合シートに高分子弾性体を含浸付与することができる。ウェブ絡合シートに含浸させる高分子弾性体の割合は特に限定されないが、高分子弾性体の固形分量/形成される極細繊維の量の質量比が0/100〜40/60、さらには、5/95〜30/70になるような比率に調整されることが好ましい。高分子弾性体の比率が低すぎる場合には、高分子弾性体を付与する効果が充分に発現されない傾向がある。また、高分子弾性体の比率が高すぎる場合には、得られる繊維絡合体がゴム感あるいは樹脂感を持った風合いとなり、天然皮革に似たしなやかな風合いが得られにくくなる傾向がある。
高分子弾性体を含む液としては、上述のような水性エマルジョン等の水性液が、有機溶剤を使用しないために環境負荷が小さい点から好ましい。なお、高分子弾性体の水性液としては、高分子弾性体の水性エマルジョンや、高分子弾性体の水性懸濁液や、高分子弾性体を水系媒体に溶解させた水性溶液等が挙げられる。
高分子弾性体を含む水性液の乾燥条件は高分子弾性体が乾燥凝固する条件であれば特に限定されない。例えば、水性エマルジョンの場合には、110〜150℃程度の温度で5〜30分間乾燥させるような条件が挙げられる。
そして、このようにして形成されたウェブ絡合シートまたは高分子弾性体を含浸付与させたウェブ絡合シートから、海島型繊維の海成分であるPVAを熱水等により選択的に除去することにより熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維が形成される。なお、高分子弾性体を含浸付与させたウェブ絡合シートの場合、高分子弾性体を含浸付与する前に極細繊維化しても、高分子弾性体を含浸付与した後に極細繊維化してもよい。高分子弾性体を含浸付与した後に極細繊維化した場合には、PVAが除去された部分が空隙になることにより、よりしなやかな極細繊維絡合体が得られる点から好ましい。
PVAを選択的に除去する方法は、第1実施形態で説明した方法と同様の方法が用いられる。このようにして、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の繊維絡合体が形成される。
このようにして得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の繊維絡合体は、必要に応じて、厚み調整や表面の平滑化を目的として、所定の厚みにスライスされたり、サンドペーパーなどを用いてバフィング処理されたりしてもよい。さらに必要に応じてその表面に銀面層が形成されてもよい。また、揉み柔軟化処理、逆シールのブラッシング処理、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理等の仕上げ処理が施されてもよい。
なお、本実施形態で形成された、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維絡合体は、それを形成する熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維同士が束状に固着されにくく、例え、束状に固着されている場合でも容易に開繊する。従って、例えば、表面にサンドペーパーを当ててバフィング処理した場合には、極細繊維同士が束ねられた状態で固着したような、ささくれ立ったような表面ではなく、極細繊維の単繊維が固着せずに起毛されたようなスエード調の表面を表出させることができる。このようにして起毛処理された表面には、極細繊維束の大部分は開繊している。具体的には、起毛処理された表面における、開繊されずに固着した極細繊維束の数密度は平均7束/mm2以下、さらには平均5束/mm2以下、さらには平均4束/mm2以下であることが好ましい。このような場合には、スエード調の美しい表面を実現することができる。なお開繊されずに存在する繊維束の数密度は、50倍に拡大した電子顕微鏡写真から、約5mm2程度の範囲を4箇所抽出し、集束して開繊していない繊維束の束数を各領域で計数し、各領域の束数の平均の束数をその平均面積で割ることにより算出できる。
このようにして得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維絡合体は、人工皮革基材として好ましく用いられる。人工皮革基材の表面には、さらに、表面を加飾し、また、表面を保護する目的で、必要に応じて銀面層を設けてもよい。
人工皮革基材の表面に銀面層を形成する方法としては、人工皮革基材の表面に、乾式造面法、ダイレクトコート法などの方法により銀面層を形成する方法が挙げられる。なお、乾式造面法は、離型紙などの支持基材上に高分子弾性体を含む銀面表皮膜を形成した後、その銀面表皮膜の表面に接着剤を塗布し、スライス面に貼り合せて、必要によりプレスして接着し、離型紙を剥離することにより銀面層を形成する方法である。また、ダイレクトコート法は、第2の高分子弾性体を含む液状樹脂または樹脂液をスライス面の表面に直接塗布した後、硬化させることにより銀面層を形成する方法である。銀面層を形成するための高分子弾性体としては、上述した高分子弾性体と同様の種類の高分子弾性体等、従来から銀面層の形成に用いられている高分子弾性体を特に限定なく用いることができる。銀面層の厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜50μm程度であることが、機械的特性と風合いとのバランスを維持することができる点から好ましい。
このようにして得られた人工皮革は、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維からなる繊維絡合体を主体とするために、伸縮性に富み、また、繊維の機械的特性にも優れている。従って、手袋や乗馬用パンツのような衣料や、靴等の表皮材、家具の表皮材等として好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
海成分として、エチレンで変性した変性度8モル%の変性PVAを用い、島成分としてソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、荷重たわみ温度が117℃の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンP−150B、結晶化温度163℃)を用い、繊維1本あたりの島数が25島で、海成分/島成分が30/70(重量比)となるような溶融複合紡糸用口金を用い、245℃で海島型のフィラメントを口金より吐出した。そして、紡糸速度が3500m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度2.8デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集した。そしてネット上に捕集された海島型長繊維を表面温度42℃の金属ロールで軽く押さえることにより表面の毛羽立ちを抑えてネットから剥離し、さらに、表面温度53℃の金属ロールとバックロールとの間を通過させて熱プレスすることにより、表面の極細繊維が仮融着した目付69g/m2のウェブを得た。
そして、得られたウェブに油剤及び帯電防止剤を付与し、クロスラッピングすることにより8枚重ね、総目付が550g/m2の重ね合せウェブを作成し、さらに、針折れ防止油剤をスプレーした。
そして、針先端からバーブまでの距離が3.2mmの1バーブ針を用い、針深度8.2mmで両面から交互に2600パンチ/cm2のパンチ密度でニードルパンチングすることにより、目付650g/m2の海島型繊維の繊維絡合体を得た。
そして、海島型繊維の繊維絡合体を乾熱ロールでプレスすることにより、見掛け比重を0.4に調整し、さらに、水系ポリウレタンエマルジョンを含浸付与し、150℃で乾燥及びキュアリングを施すことにより、ポリウレタンが含浸付与された海島型繊維の繊維絡合体を得た。
そして、ポリウレタンが含浸付与された海島型繊維の繊維絡合体を95℃の熱水に浸漬し、海成分の除去率が98%以上になるまで変性PVAを溶解除去する処理を行った後、乾燥した。このようにして、平均繊度0.098デシテックスの熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維からなり、厚み1.3mm、ポリウレタン/極細繊維の質量比が13/87である、熱可塑性ポリエステルエラストマーの極細繊維の繊維絡合体を得た。
そして、得られた極細繊維の繊維絡合体の表面を180番手のサンドペーパーでバフィング処理することにより、表面の極細繊維を起毛した。このようにして、表面が起毛された極細繊維の繊維絡合体が得られた。
このようにして得た極細繊維の繊維絡合体について、その製造工程における生産性及び得られた極細繊維の繊維絡合体の極細繊維の固着状態等を以下の基準により判定した。
〈極細繊維の固着性〉
得られた極細繊維の繊維絡合体を厚み方向に切断し、断面を表出させた。そして、表出した断面のSEM写真を撮影し、観察された極細繊維の固着状態を以下の基準で判定した。
A:極細繊維同士がほとんど固着していない。
B:極細繊維同士が部分的に融着して固着していた。
〈起毛後の表面における、開繊されずに固着した極細繊維束の数密度〉
起毛された極細繊維の繊維絡合体の表面をエチケットブラシ(登録商標)で整毛し、その表面の50倍のSEM写真を撮影し、SEM写真から約5mm2の領域を4箇所抽出し、各箇所における、開繊されずに固着した極細繊維束の束数を数え、数密度の平均を算出した。なお、実施例1で得られたSEM写真の一例を図2に、後述する比較例1で得られたSEM写真の一例を図3に示す。
〈ニードルパンチによる切断性〉
上述したように海島型繊維の繊維絡合体をニードルパンチしたときに、海島型繊維の切断状態を以下の基準により判定した。
A:ニードルパンチによる、海島型繊維の切断は少なかった。
B:ニードルパンチにより、海島型繊維が頻繁に切断されていた。
結果を下記表1に示す。
[実施例2]
島成分として、東洋紡績(株)製のベルプレンP−150Bの代わりに、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、荷重たわみ温度が155℃の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンP−280B、結晶化温度174℃)を用いた以外は実施例1と同様の工程及び条件により、極細繊維の繊維絡合体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
島成分として、東洋紡績(株)製のベルプレンP−150Bの代わりに、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、荷重たわみ温度が101℃の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンP−90B、結晶化温度157℃)を用いた以外は実施例1と同様の工程及び条件により、極細繊維の繊維絡合体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
島成分として、東洋紡績(株)製のベルプレンP−150Bの代わりに、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルであり、荷重たわみ温度が117℃の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンS−3001、結晶化温度175℃)を用いた以外は実施例1と同様の工程及び条件により、極細繊維の繊維絡合体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
島成分として、東洋紡績(株)製のベルプレンP−150Bの代わりに、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、荷重たわみ温度が74℃の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンP−70B、結晶化温度145℃)を用いた以外は実施例1と同様の工程及び条件により、極細繊維の繊維絡合体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
島成分として、東洋紡績(株)製のベルプレンP−150Bの代わりに、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、荷重たわみ温度が50℃の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンP−150M、結晶化温度105℃)を用いた以外は実施例1と同様の工程及び条件により、極細繊維の繊維絡合体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
島成分として、東洋紡績(株)製のベルプレンP−150Bの代わりに、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルであり、剛性が低いために荷重たわみ温度が測定できない熱可塑性ポリエステルエラストマー(東洋紡績(株)製のベルプレンP−40H、結晶化温度100℃)を用いた以外は実施例1と同様の工程により極細繊維の繊維絡合体を製造しようとした。しかし、海島型繊維から変性PVAを除去するための熱水処理において、極細繊維同士が融着して極細繊維化できなかった。
[比較例4]
海成分として、変性PVAを用いる代わりに低密度ポリエチレン(LDPE)を用い、熱水で変性PVAを除去する代わりに、90℃のトルエンでLDPEを除去した以外は実施例1と同様の工程及び条件により、極細繊維の繊維絡合体を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
本発明に係る実施例1〜4で得られた極細繊維の繊維絡合体に含まれる繊維絡合体中の熱可塑性ポリエステルエラストマーはいずれも極細繊維同士がほとんど固着していなかった。また、その表面の起毛された極細繊維同士もほとんど固着しておらず、独立して起毛されており、スエード調の表面を示していた。また、特に、結晶化温度が160℃以上である熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いた実施例1、2、4の場合には、ニードルパンチによる海島型繊維の切断も少なかった。一方、荷重たわみ温度が74℃または50℃の熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いた比較例1及び比較例2の場合には、極細繊維同士が部分的に融着により固着しており、また、その表面の起毛された極細繊維同士が束の状態でささくれ立ったように起毛されていた。同様に、変性PVAの代わりに、LDPEを用い、90℃のトルエンでLDPEを除去した比較例4の場合には、熱可塑性ポリエステルエラストマーがトルエンで膨潤して極細繊維同士が溶着し、また、その表面の起毛された極細繊維同士が束の状態でささくれ立ったように起毛されていた。
本発明の極細繊維の繊維絡合体及び人工皮革は、紳士靴、スポーツシューズ、鞄、ベルト、カメラケース、ランドセルなどの製造に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 水溶性熱可塑性樹脂を海成分とし、熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とする海島型繊維から、前記水溶性熱可塑性樹脂を熱水抽出して得られ、
    平均繊度0.001〜0.5デシテックスであり、
    前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの荷重たわみ温度(ASTM D648 0.45MPa)が100℃以上であることを特徴とする極細繊維。
  2. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの結晶化温度が160℃以上である請求項1に記載の極細繊維。
  3. 請求項1または2に記載の極細繊維から形成されていることを特徴とする繊維絡合体。
  4. 請求項3に記載の繊維絡合体の表面を起毛処理して得られ、
    前記起毛処理された表面において観察される、開繊されずに固着した極細繊維束の数密度が平均7束/mm2以下であることを特徴とする繊維絡合体。
  5. 請求項3または4に記載の繊維絡合体を含むことを特徴とする人工皮革。
  6. 荷重たわみ温度が100℃以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを島成分とし、水溶性熱可塑性樹脂を海成分として海島型繊維を溶融紡糸する工程と、
    前記海島型繊維中の前記水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解除去する工程と、
    を備える極細繊維の製造方法。
  7. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの結晶化温度が160℃以上である請求項6に記載の極細繊維の製造方法。
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